Y字の交差路

 ここはY2つめがノリで作ったブログです。  カードワースを中心に、私が思ったことや考えたことを徒然なるままに書きたいと思います。

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精霊術の云々

 いつまでもデータ消失に意気消沈してても仕方がないので、少しブログのほうを書こうと思います。
 
 ほぼすべて消えてしまったのですが、新装版の風屋では精霊術を白面紗(風屋の店主)の奥さんが担当して販売する予定でした。
 その際、3種類の精霊術として、明確に分類しようと考えていました。
 
 一つは召喚。
 Martさんのシナリオや旧風屋の【渓流の激衝】のような、九条のんさんの召喚魔方陣をバックにした、グレイスケール+青のオーバーレイのスキルですね。
 
 次いで霊験。
 これは【水精の癒手】のように、精霊の力をつかって効果を引き出すもので、精霊を召喚するものとはちょっと違います。
 ライトグリーンのスキル枠です。
 
 最後は憑精。
 術者がその身に精霊を宿すシャーマンキングみたいなスキルです。
 肉体強化や狂戦士化といった効果が主ですが、精霊以外にも英霊の力を借りるものもあり、ジャンルとして広いものにするつもりです。
 
 
 加えて雪と氷の精霊術の補完をする予定です。
 
 召喚系ではリサイクルがほとんどです。
 氷柱の小人を召喚するもの。
 呪歌の【雪精の輪舞】に登場する精霊を召喚するもの。
 甲冑と氷の剣を持った氷の戦乙女を召喚するもの
 上位精霊として冬将軍を召喚するもの。
 
 霊験ものでは雪の妖精の力で傷をふさぐものや、雪男が雹を降らせる低レベル全体攻撃など。
 高レベルでは敵一体を氷付けにする封印術など。
 
 
 あと、雪の女王級の精霊召喚として、【天地の霊母(あめつちのはは)】というスキル。
 これはフィンランド神話に登場する大気の女神イルマタルを召喚するというもの。
 
 加えて、【森羅の鳴動】という精霊術、霊験の奥義を考えていました。12レベルのスキルです。
 普通はただの小規模災害の召喚なのですが、上位精霊の召喚中に使用するとすさまじい効果になるというもの。
 余波で低レベルの敵を消し飛ばしたりできる、究極の精霊術です。
 上位精霊の召喚中に使うと、都市破壊規模の災害や、神のごとき奇跡を起こせるというものです。
 キーコードや対応外のシナリオのための屁理屈も考えていて、「何らかの理由で上位精霊が力を貸してくれなかった」、「世界の均衡をゆがめるので、力を制限して使った」等の理由でキーコード相当の効果が出ないことも踏まえたデザインにしようと思っています。
 Martさんの『碧海の都アレトゥーザ』で手に入る、【水姫召喚】でも、アレトゥーザの開祖の霊霊術師が使ったような大浄化とかできないか、とかも考えてました。やるには召喚獣そのものの改変が必要なので、難しいなぁとは思うのですが。
 【森羅の鳴動】は合体スキルをつきつめて生まれたもので、上位精霊と術者が協力して行うかんじです。
 多種の精霊に対応できるようにしたいと思っています。
 このスキルの効果は後で募集するつもりですが、このスキルに対応する上位精霊は召喚獣側にちょっとした細工が必要で、ちょっとややっこしいのが玉に瑕なのですが。
 
 少し落ち着いて、復旧が進んだら、どんな上位精霊がどんな力を使うのか募集しようと思っています。
 
 ちなみに、雪の女王は問答無用で裏モード。
 イルマタルは地震、津波、大風の災害を選んで使用できるようにと考えています。
 
 パソコンの故障で製作は大幅に遅れてしまいましたが、逆に制作意欲は増していますので、完成はさせるつもりです。
 気長にお待ちくださいね。 
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『風たちがもたらすもの』(『風屋』) | コメント:4 | トラックバック:0 |

…あうう、パソコンが…

 お知らせです。
 
 Y2つめのメインPCがクラッシュし、製作中の風屋のデータや、メールのデータ等が根こそぎ吹っ飛びました。
 
 業者に頼んでサルベージをお願いしてみようと思いますが、ハードディスクの異音からして、絶望的な感じです。
 
 メールは何とか復旧しました。
 
 正直、ショックで寝込みそうです…
 風屋の追加データの設定とか、ごっそり逝っちゃったので。
 
 うう、壊れる前兆の異音とか、まったくなかったんですけど…
 
 風屋をお待ちの方、ほんとに申し訳ありません。(泣)
未分類 | コメント:8 | トラックバック:0 |

『ダンピール』

 薄暗い教会の廊下を、女は歩いていた。
 
 着ているのは白と紫を基調とした、男物の簡易法衣に黒いストラ(首掛帯)。
 
 白は純粋な信仰を表し、職務にかける信念を示している。
 紫は改悛の色で、不浄を滅するために武器を持つこと、血を流すことへの懺悔を表す。
 そして漆黒のストラは、人の罪と異端を嘆く悲しみを意味する。
 そのストラには、女が司教であることを表す紋章が刺繍されていた。 
 
 彼女はフェリス ラザハッド。
 異端討滅組織“神の鉄鎚”の指令であった。
 
 普通司教の位は、都市レベルの教区を統べる高僧に与えられるものである。
 しかし、異端を見つけ場合によっては討伐するその特殊な仕事柄、超法規的行動が取れるように法王庁から特権を与えられた“神の鉄鎚”の指令官は、司教を兼任することが通例だった。
 特別な任務で与えられる聖職、名義司教である。
 
 吸血鬼や悪魔といった恐るべき邪悪は、時に都市や国家レベルの滅亡を招くことがある。
 素早く、確実にそういった邪悪を滅ぼす力。
 状況次第では、一都市の教会の戦力をそのまま指揮できる権力。
 必要だからこそ与えられた特権であった。
 
 しかし、フェリスとすれ違う者たちはその誰もが羨望と同時に、侮蔑と軽蔑の視線をその法衣に注ぐ。
 
「…く、あの“灰もどき”がっ!」
 
「…女の分際で、司教座など、何と嘆かわしい…」
 
「…呪われた化け物め…」
 
 怨嗟をこめて、すれ違う者たちが聞こえる声で陰口を吐く。
 それを、風を切るように無視して進む。
 
 やがて、ある一室にたどり着くと扉をノックする。
 そして、中から聞こえた入室の許可を受け、その扉をくぐった。
 
 そこは調度品の類も無く、祈りのための小さな祭壇以外は神学の書がずらりと本棚に置かれた、少し手狭な部屋だった。
 中では1人、緋の僧衣を着た初老の僧侶が、机でペンを走らせていた。
 
「…マグヌス閣下。
 
 “第七の鎚”討滅指令官フェリス、聖務を終え、ただ今帰還致しました」
 
 机の前で簡易の礼をとる。
 
「…ふむ、御苦労。
 
 楽にして、少し待ちたまえ。
 この書類の印を終えたら、報告を聞くとしよう」
 
 しばらくは紙の上をペンが走る、小気味良い音が鳴っていた。
 
 やがて男が書類を巻き、赤い蝋を熔かして封印を終えると、それを机の脇に置く。
 
「これでいい。
 
 さて、話をしよう。
 おおまかなことは報告書で知っているよ。
 
 相手は〈騎士〉並の異端だったようだね。
 デップ〝元〟司祭は、昨日の裁判で、東の修道院に派遣されることに決まった。
 …体のよい追放だが、あのビール樽には少し甘い処分かもしれないな。
 さすがに司祭を破門するには、教会の体裁が悪い、ということだ。
 
 書類を見れば、破門にすべきだと私は思うのだがね。
 
 彼は最後まで君のことを悪魔だの、異端だのと叫んでいたそうだが…
 終いには、罵詈雑言の言葉も尽きてしまった様子だよ。
 
 ただ、殴りつけるのは遠慮したほうがよいな。
 つまらない詮索をするものもいる。
 今回の場合は、君の信仰ゆえの〈愛の鞭〉ということにしておいたから、今後は自重するように。
 
 私個人としては、喝采したいところだがね。
 
 安心したまえ。
 君はよくやっている。
 
 さすがはエリヤ君の秘蔵っ子だけはある。
 
 私も先代の無能者を放逐して、君を推挙した甲斐があるというものだよ」
 
 男はマグヌス。
 西方の聖北教会において、その中枢となる人物の1人である。
 
 40代で緋の僧衣…枢機卿まで登り詰めた手腕からも、その実力が伺い知れた。
 緋は、信仰のためならば、いつでもすすんで命を捧げるという決意を表す色である。
 
 枢機卿とは、法王庁から称号を与えられた貴族のような者だ。
 多くは僧侶としての位階も持ち、その多くが司教座である。
 マグヌスの場合、フェリスと同じ司教だが、格が違う。
 大都市の教区を統べる大司教でさえ、それに及ばない権力を持っていた。
 
 彼は西方に客分として滞在しているが、その目的は広大な西方各教区の監督であり、同時に他の要職にある枢機卿や司教に法王の命を伝える、法王直下の監視官であった。
 あらゆる聖北の組織が円滑に動けるように、法王庁からお目付け役として派遣された橋渡しのような職務をこなしている。
 面だって活動したり、名が残るような仕事ではないが、教会組織を裏で支える要職であった。
 
 若い頃から次期法王候補の1人と目されていたが、自身は聖北の正義に尽くすと宣言し、城塞都市ベルンでその辣腕を振るっている。
 彼がリューンなどの大都市にいないのは、ベルンが地理的に法王庁にも近いからだ。
 
 またベルンは、西方のあちこちに伝令や命令を行き渡らすのにも都合が良い場所にあった。
 東方の異教徒の進行を阻止し、宗教都市であるラーデックやペルージュに通じる街道の要所を守っているのがベルンである。
 
 マグヌスの性格は、合理的で実力主義。
 かつ、差別や偏見を、人間の持つ心理として視野に入れながら、それに囚われて大局を見誤らない聡明さ。
 この時代にあって、稀有な気質の聖職者であり、英明な人物であった。
 
 彼は、数十年前まで燻っていた悪習の魔女狩りと異端審問のありかたに異を唱え、活動してきた。
 彼の登場によって、西方における魔女狩りで、誤って殺される女性は激減したと言われている。
 
 加えて、男女の差別もしない男だった。
 
 本来女性であるフェリスの、異端討滅官指令=司教という大抜擢は、前代未聞のことである。
 教義的な理由によるのだが、女性の聖職者は少なく、司祭以上の位階のものなど無いに等しい。
 しかもフェリスは普通の人間ではない。
 そんな彼女を、今の地位に押すほどの発言権が、マグヌスにはあった。
 フェリスの役職が、公表された役職ではなかったことも、その要因ではあったのだが。
 
「…君は優秀だよ、フェリス君。
 
 しかし、あまり過激には動かないでくれたまえ。
 君の信仰は、秘蹟の発現からも十分証明されている。
 …が、それすらできない愚か者たちにも言い分はあるらしい。
 
 君の出自はそれだけ特殊なのだ。
 その銀の歯が、君の信仰の証だと言っても、愚か者たちは聞こうともしないが、ね。
 
 私が君を庇えるのはあと20年ほどだ。
 それまでに愚かな因習が改革できるかは、分からないが…
 君の寿命なら、20年など、我々の数年に過ぎないね。
 
 もっとも、聖戦という激務で、私より先に殉教されてしまうと話は違うが、ね。
 そのようなことが無いように、日々神に祈っているよ。
 
 君が神に召される時は、エリヤ君やアンゼルムス君と同じ形で無いことを願うばかりだ」
 
 そう言って、優しげな目でフェリスを見つめるマグヌス。
 出会った時に比べ、髪には白いものが目立ち、顔にも随分と皺が増えていた。
 
「お気遣い感謝いたします、閣下。
 …呪われたこの身、“ダンピール(半吸血鬼)”である私が、主の御膝元で戦えるのは閣下のおかげです。
 
 ですが、この身が役尽きるその時まで…不浄と戦うのは、私が主より賜った使命。
 そして、このような形でしか、私には閣下やエリヤ元指令、そしてわが師父の大恩に報いることができないのです」
 
 フェリスはそう言って苦笑する。
 
「ふふ、私が思うに…
 
 聖地の総大司教より、君の方がよほどその聖職に相応しいよ」
 
 マグヌスの言葉を聞きながら、フェリスは遠い過去に思いを馳せていた。
 
 
「…迷わず神の御許に行くがいい」
 
 それは双剣を構えた大男であった。
 
 赤いちぢれたくせ毛は炎のように風になびき、その眼光は稲妻のように激しい。
 左右に持つのは、十字架を模した黄金の剣。
 鋼のような筋肉と、厳つい髭面。
 
 対するは、不浄の存在、グールたち。
 人の屍肉を漁る亡者である。
 
 男が一刀を振るう度、グールは次々に灰となっていく。
 動く度に、胸に下げた聖印が揺れて煌いた。
 
 そして男は、そこにいた最後の亡者を浄化した。

 
 
 汗を拭い、大男はその村に足を踏み入れた。
 西方東部の辺境にある小さな村である。
 
 近くに家から飛び出すように現れた老人が、男の前に跪く。
 
「あ、ありがたやぁ~!!」
 
 大男は、薄汚れていたが、司祭の僧衣を纏っていた。
 僧職に不釣合いな双剣を除けば、外見こそ厳ついが、一応は聖職者である。
   
 この周辺に出没するという亡者(アンデッド)を倒すためにやってきた。
 すでにこのグールたちの原因だった死霊術師は、男が倒していた。
 
「御老人、面を上げられよ。
 
 自分は、自分の責務を全うしたのみ。
 さあ、立たれるがよい」
 
 なおも畏まる老人の肩を抱いて抱き起こし、大男は微笑んだ。
 
「失礼。
 
 自分はアンゼルムス ラザハッド。
 この地に現れた不浄を討つために、聖北教会から派遣された者。
 
 御老人はこの村の?」
 
 老人は、アンゼルムスと名乗った男に頷く。
 
「そうですじゃ。
 
 他の連中は、あの鬼たちを恐れて、今は籠もっております」
 
 油断無く周囲をうかがいながら、アンゼルムスは、出てきた家の方に老人を連れて行く。
 
「おそらくもう、グールどもはおらぬでしょうが…
 
 自分はもう少し、周囲を調べてきます。
 村の衆は、それまで家の中で待っておられよ」
 
 アンゼルムスがそう言うと、老人は村はずれの丘を指差した。
 
「この鬼どもは、丘に住む鬼子の仕業に違いありません。
 
 まったく、あんな鬼子を村に入れるからじゃ…」
 
 苦々しい声で、老人は毒づいた。
 
「…鬼子?
 
 はて、御老人。
 それはいかな?」
 
 アンゼルムスの目が鋭くなる。
 
「…5年ほど前のことじゃ。
 
 1人の若い女が、子供を伴ってこの村に来たんじゃ。
 若い女は、それは美しい女子での。
 
 随分さまよってきたのじゃろう、その親子を、村長が哀れに思って村はずれの空き小屋に住まわせたのじゃ。
 
 ところが、その子供は鋭い牙を持ち、血のような赤い瞳をしておった。
 しかも、薄気味悪いほど白い肌は、日に当たると肌が火ぶくれを起こすんじゃ。
 噂に聞く吸血鬼に違いあるまい。
 
 わしは、あんな鬼子は追い出すべきじゃといったんじゃが、村長の息子が母親の色気に毒されての。
 おそらく、美人の母親とねんごろにななっておったんじゃろうが…
 
 それからじゃ…
 日照りが続き、疫病が流行り、ついには化け物がやってきおった。
 
 あの親子は、化け物じゃっ!」
 
 アンゼルムスはふむ、と目を閉じ考え込んだ。
 そして老人に頷く。
 
「まことにその親子が悪鬼の類であるなら、自分が退治いたそう。
 
 あの丘の小屋でよろしいのか?」
 
 老人は、ところどころ抜けて黄ばんだ乱杭歯をむき出して、何度も頷いた。
 
 
 老人の言った丘には、粗末な小屋があった。
 
 隙間だらけで、屋根が傾いでいる。
 人が住んでいるのかも、怪しかった。
 
「…失礼。
 
 少しばかり聞きたいことがあるのだが、この家の主殿は御在宅か?」
 
 律儀に扉をノックし、アンゼルムスは家主を呼んだ。
 
 しばらくして戸が開き、みすぼらしい格好の子供が現れた。
 
「…おかあさまはびょうきです。
 
 このいえには、わたしとおかあさましかいません」
 
 見つめ返したのは、紅玉のような赤い瞳だった。
 くすんだ髪は真っ白で、肌も病的に白い。
 覇気の無い、怯えたような、あきらめたような表情。
 
 力無い様子の子供は、しかし端整な顔立ちの女の子だった。
 
 アンゼルムスは屈んで、その娘の口元に手をやった。
 娘がびくりと後ずさる。
 
 アンゼルムスは逃げられないように、娘の肩を掴むと、その唇を指で押し上げた。
 子供には似つかわしくない、鋭い犬歯。
 
(これは…、ただの白子(アルビノ)かと思ったが、本物のダンピールかっ!)
 
 娘は少し抵抗したが、やがてあきらめたように動かなくなった。
 
「娘…
 
 お前、血が飲みたいと思ったことはないか?」
 
 娘の肩を掴んだまま、アンゼルムスは聞く。
 
 娘は少し考えると、首を横に振った。
 
「…そうか。
 ならばまだ間に合う。
 
 自分は、お前たちを殺しに来たのではない。
 話がしたい。
 
 それに、この家の様子では、母上にまともな薬など与えておらぬのだろう?
 
 自分の薬をわけてやろう。
 家に、入れてくれないか?」
 
 アンゼルムスは笑顔を浮かべて薬を見せ、娘の頭を撫でた。
 娘はまた少し考えて、小さく頷いた。
 
「自分はアンゼルムスという。
 
 娘よ、お前の名は?」
 
 扉を開けてくれた娘に問うと、娘は下を向いてぼそりと言った。
 
「…ウルヴェチカ。
 
 でも、このなまえはきらいです。
 おかあさまはエリカとよんでくれます」
 
 エリカとはこの地方の言葉で、愛娘を呼ぶ愛称だ。
 因習の多い地方であり、本名で呼ぶと悪魔に攫われる、といった伝承がたくさんある。
 
 アンゼルムスは厳つい髭面を、さらにしかめた。
 
(ウルヴェチカ…だと?!
 
 淫蕩で殺戮を好み、悪魔に国を明け渡したという伝説の王女の名。
 このあたりでは、口に出すのも避けられる忌み名ではないか。
 
 このような悪趣味なことをするのは、おそらくこの子供の…)
 
 そして、アンゼルムスはその娘の出生がどんなものか、およその見当がついた。
 
 
 小屋の奥に進むと、粗末な藁葺きのベッドに、やせた女性が横たわっていた。
 くすんだ髪、こけた頬。
 しかし、そうなってさえ、美しいと感じさせる女性だった。
 
「お休みのところを、失礼する。
 
 自分はアンゼルムス。
 ある使命のために、この村までやってきた。
 
 貴方は、この子の母上か?」
 
 アンゼルムスが問うと、女性は薄く眼を開けて弱々しく頷いた。
 
「…聞きたいことがあるのだが、まずはこの薬を。
 
 滋養となり、すぐに効く。
 …うむ、失礼」
 
 とても起き上がれないと知ったアンゼルムスは、口移しで薬を飲ませた。
 この時代、道具の無い場所で口移しの投薬は、それほど珍しいことではなかった。
 加えてアンゼルムスは、そのようなことに躊躇っては命を落とすほど、死が近い生活をしている。
 
「…いけ、ません。
 
 お坊様の、身体が汚れます」
 
 構わずアンゼルムスは、水筒で湿らせた布で女性の口元や汚れた頬を拭った。
 
「汚れるというのは、病のことか?
 
 あいにくと、この身は神にささげておるゆえ、簡単には汚れぬ。
 
 そなたを不幸にした悪鬼の類ならば、この聖なる剣で打ち払ってみせよう。
 
 それに、娘御の悪趣味な名はそなたがつけたのではなく、父親がつけたのだな?
 
 そなたを汚すことは何人にもできぬ。
 心と魂の汚れぬ者は清いのだ。
 心清く無い者が、どうしてこの子を育てられよう。
 娘をエリカ(愛子)と呼ぶ母に、汚れた者がいるものか。
 
 この娘がヴァンピール(吸血鬼)の子ということも知っている。
 
 安心されよ、殺す気は無い。
 信仰と神に誓って、だ。
 
 ただ、そなたにきちんと話が聞きたいのだ。
 
 私ならば、この娘に呪われた宿命と戦う術を与えられるかもしれぬ。
 
 だから教えてほしい、あの娘のことを…」
 
 アンゼルムスは真摯な瞳で、女性を見つめた。
 
 
 ダンピール(半吸血鬼)と呼ばれる者がある。
 
 蘇った死者の伝説は、西方東部に多いが、ダンピールもそんな中で生まれた種である。
 
 西方東部からその東、中東、中原にかけて、古代の神話の神々は血を好む性質が多い。
 生贄、虐殺、破壊…
 血なまぐさい伝説がたくさんある。
 
 ウガリッドの主神バアルの妻、鮮血の女神アナトは悪名高い女悪魔リリスのモデルとも言われる。
 夫を奪った神を、その武勇で八つ裂きにしている。
 その妹アシュタロトは、悪魔として有名である。
 
 生贄を求め、敵を残忍なやりかたで殺す神も多い。
 そういった古の神々の多くは、聖北教会の登場によって悪魔に変えられていった。
 
 神とは本来自然の化身であり、土着の精霊でもある。
 残虐性は自然の暴威そのものだ。
 聖北の唯一神を受け入れた人は、その暴威を神として畏怖することから、悪魔として忌み嫌うようになった。
 
 血なまぐさい信仰は、聖北の登場で掃討されたかに見えた。
 しかし、長く信仰で培われてきた恐れの念がある。
 土着の神を悪魔とした民衆は、悪鬼となった神の復讐を恐れ、その恐怖が歪んだ因習を残していった。
 
 死後、首を刈り取る葬儀。
 心臓に杭を打ち込む行為。
 
 邪神や悪魔に魅入られて、怪物にならないようにするための行為。
 
 だが、そういった人々の恐怖と歴史の影に、本当の悪鬼邪神が付け入り、おぞましい怪物が現れることになる。
 
 吸血鬼。
 古今様々に呼ばれるが、その特徴の本質は同じだった。
 
 曰く、人の生血を糧にする。
 曰く、蘇った亡者である。
 
 血を啜る悪霊(悪鬼)だから吸血鬼、というわけだ。
 
 怪力、邪眼、飛行能力、魅了の力…
 数々の欠点と共に、それを補ってあまりありたくさんの能力を持つ、恐るべき不死の怪物。
 
 様々な状況で生まれるとされるが、その多くは呪いで生まれるという。
 何かによって魂を呪われ、汚された者は、死に切れずに人の命とその欠片である生血を奪う怪物となる。
 
 死者に呪いをかけるのは、人に放逐された邪神や悪魔。
 死という尊厳を奪われたものは、血を啜る亡者に堕ちる。
 
 この呪われた亡者は、何度も人間社会を脅かしてきた。
 
 そして、この亡者は戯れに人と交わって子供を残すことがあった。
 
 亡者の生殖ゆえ、命を育むのは、決まって命を孕むことができる女。
 母体に注ぎこまれた魔性が育ち、生まれるのは矛盾した存在。
 死者の、生きた子供。
 
 それはダンピールと呼ばれる。
 
 ダンピールには子をなす能力が無い。 
 なぜなら、半分は死人だからである。
 命を作り出すのは、正しい命の表れ。
 対して、歪んだ命。
 
 一代限りの特異な鬼子である。
 
 ダンピールは、亡者の不死性を持つ故に寿命が長い。
 吸血鬼の種類にもよるが、その寿命は人間の5倍とも10倍とも言われる。
 老いも遅い。
 
 中途半端に親の吸血鬼の欠点を引き継ぐが、同時にその怪力や異能を得る。
 
 加えて、思春期を過ぎると、親のように血を求めるようになる。
 呪われた悪鬼の子供…
 
 アンゼルムスが出逢ったアルビノの少女は、そういったダンピールの1人であった。
 
「…この子の父親はグラウス。
 
 不死の王を名乗る、大吸血鬼の継嗣です。
 
 グラウスは、戯れに私を辱め、この子を身ごもらせました。
 でも、私にはこの子を殺すことが出来なかった。
 
 生まれて目も開かない、子兎のように小さな赤子を…どうして殺すことなど出来ましょう。
 私は女であり、母なのです。
 
 だから、私は生家を出て、放浪しながらこの子を育てました。
 慣れない生活をしながら、ついにこの村にたどり着きました。
 
 私を捕まえた村人は、私に食べ物と住処を与えるかわり、生活の場を与えるかわりにこの身体を求めました。
 
 このような場所の村人に、色町で遊ぶ金などありませんから。
 それに、私はもう子供が出来ない身体…都合がよかったのでしょう。
 
 まるで家畜のような生活でした。
 逃げ出さないように足の腱を切られ、歩くことも出来ません。
 
 この子が生かされているのは、村人の慈悲ではなく、私が命を絶たないようにするためです」
 
 アンゼルムスは眉をひそめた。
 
 おそらく、村の者がこの女性の美しさに懸想し、このような暴挙に出たのだろう。
 辺境の貧しい村では、歪んだ心を持つ人間たちも多い。
 このような暴挙を止める人間も、罪を裁く人間も、いないのだ。
 
「地獄のような毎日でしたが、それでもこの子がいたから耐えてきました。
 どんなにこの身が汚れても、私にとってこの子と生きることがすべてだったのです。
 
 でも、私の身体はもう長くないでしょう…
 こうやって死を待つ身です。
 
 この子は私が死ねば殺されてしまいます…きっとひどい方法で。
 この村に来た時から呪われた子供だと蔑まれ、そして1人で生きていく力もありません。
 
 母として、それだけは、それだけは耐えられないのです…
 
 この私の衰えた身は、魔女として罰してくださって結構です。
 でも、娘だけはどうかお助け下さい。
 
 この子に罪があるというなら、産んだ私こそが罪。
 
 どうか、どうか、この子の命ばかりはお助け下さい」
 
 涙ながらに話す女、名をエレーニアという。
 
 かつては貴族の娘であり、その美貌と気品から、若い貴族の若者たちの憧れであった女性である。
 しかし、彼女は呪われた者に蹂躙され、その地位を追われた。
 
「グラウス。
 
 知っているとも。
 我が天敵、悪魔アガウスの眷属、不死の王デルフトが継嗣。
 呪われた〈夜の貴族〉…しかも〈王族〉だ。
 
 生れ落ちてより、邪神に見入られ、邪術を行うクドラク(妖術師)となった。
 そして、最凶のヴァンピール(吸血鬼)デルフトに気に入られ、その継嗣となった邪悪な男。
 
 彼の下劣な輩に出会うとは、貴女の心中と苦労の数々、お察しする。
 
 安心なされよ。
 この娘はまだ〈血の渇き〉を覚えておらぬ。
 今ならば、その呪われた疼きを封じることができる。
 
 この娘は、自分が責任もって預ろう。
 
 自分が育て、神の子としての生き方を教えるつもりだ。
 呪われた出生は取り払えぬが、己が運命は切り開ける者に育てると約束いたそう」
 
 アンゼルムスの言葉に、エレーニアは思わず、「ああ神様…」と呟いた。
 
「…お坊様はなぜ、私たちのような者に、こんなにも良くしてくださるのですか?
 
 私の出会った聖職者は、皆、私を娘を殺すか追放しようとしました。
 見ず知らずの私たちに、なぜ…?」
 
 エレーニアの問いに、アンゼルムスは大きく息を吐く。
 そして語りだした。
 
「ここよりさらに東。
 
 中原に差し掛かる場所に、ヒョルドと呼ばれる大地がある。
 自分はその地の小さな村で生まれた。
 
 彼の地には、吸血鬼を作り出すという、亡者の主にして混沌…アガウスという邪神の伝承が伝わっている。
 古き神ゆえ、その名も知る者は少ないが。
 
 自分の出生は、その邪神に呪われたものだったのだ。
 
 自分は、生まれた時に血のように赤い、呪われた胞衣(えな)につつまれて生まれてきた。
 自分のような者を、ヴィエドゴニヤ(赤の申し子)と言う。
 邪神に見入られ、クドラクとなり、最後はヴァンピールに堕ちる宿命を与えられた鬼子だ。
 
 ゆえに、迫害され、泥を啜り砂を齧って生きてきた。
 
 そんな自分を引き取り、育ててくださった方が、聖者と呼ばれたドミニク様だ。
 
 ドミニク様は、自分に戦う術と生きる道を与え、そして信仰を教えてくださった。
 
 このような身の上だからこそ、人事とは思えぬ。
 この娘との出会いは、主が与え賜うた奇跡。
 
 必ずや、立派な神の使徒として育てて見せよう」
 
 アンゼルムスもまた、呪われた宿命と戦い続けている男だった。
 エレーニアは安心したように、微笑んだ。
 
「私は何年も神様を憎んできました。
 
 そんな神様も、私を見捨てなかったのですね…
 主よ、感謝いたします。
 思い残すことは、もう…」
 
 そう言うと、エレーニアは愛娘を呼び、抱きしめた。
 
「私のエリカ。
 かわいそうな娘。
 
 どうかお前は生きて、幸せになって。
 
 貴女を産んだせいで、貴女に不幸な死を与えたなら、私は死んでも死に切れません。
 
 貴女には神様が道を下さった。
 だから、どうか生きて…
 私が貴女を産んだことが、過ちではないということを、生きて示して。
 
 貴女の幸せな生が、私の最後のお願いよ」
 
 母は娘を強く抱きしめた。
 
 そして数時間後、エレーニアは神に召されたのだった。
 
 
「行くぞ、娘よ」
 
 エレーニアの葬儀を終え、アンゼルムスは娘を連れて村を後にする。
 母子を忌み嫌う村人に死体を蹂躙されぬよう、火葬にした。
 
 村人は、厄介者を追い払えると思ったのか、アンゼルムスが娘を連れて行くことに異は唱えなかった。
 
 襤褸を纏い、娘はアンゼルムスに手を引かれて歩き出す。
 
 村が見渡せる場所まで来た時、娘は村を振り返った。
 そこにはまだエレーニアを焼いた煙の残りが、霞のように漂っている。
 
 娘はじっとそれを眺め、一雫、涙を流した。
 
 アンゼルムスは、聖水の瓶を返して娘にふりかけ、己が掛けていた聖印を娘の首に掛けた。
 
「今日からお前は使徒フェリスだ。
 
 フェリスとは、不屈の祈りで人を救う奇跡を起こしながら、魔女として列聖されなかった不遇の聖女の名。
 それでも信仰を捨てず、愛を説いて生きた、わが師の友だ。
 その生き方は、私の目に焼きついている。
 
 お前に、その信念と、優しさを願ってこの聖名を送ろう。
 
 名に恥じぬ生を、神と母に誓うがよい」
 
 その娘、姓はアンゼルムスの『ラザハッド』をもらった。
 
 …20年以上昔、フェリスが10歳になる前の話である。

 
 
 フェリスの過去その1です。
 
 ところどころ、やばい表現がありますが、フィクションということで。
 登場人物、人名や地名、宗教や組織は、現実のものとは一切関係ありません。
 
 アンゼルムスのモデルは洗礼者ヨハネで、髭面の屈強な神父さんのイメージです。
 彼はフェリスの師であり、養父として彼女を育てます。
 フェリスの登場した話で、彼女が使っている黄金の柄の剣はアンゼルムスのものです。
 
 フェリスの母エレーニアは、元貴族の御令嬢で、フェリスも5歳ぐらいまでは、実家で幽閉されて過ごしていました。
 かなり不幸な生い立ちです。
 
 私、こういう主人公ばかり書きますね…Sかも。
 
 アンゼルムス、キャラクター的にすごく好きです。
 髭親父、萌えません?
 
 『灰色の嵐』、ぼちぼちと書いていく予定です。
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CWPC4:バッツ

 フィリの案内で、オルフとエルナはラトリアの国境を目指していた。
 
 陽気でおしゃべりなこの少女、見かけによらず細かいことに気がつく娘だった。
 狩人の娘というだけはある。
 
 12歳の平均身長から見れば、女子でも低いほうだろう。
 しかし、意外な膂力を持つことは、邪魔な茂みを手斧で軽々と薙ぎ払う様子から感じ取れた。
 
「お前、以外に力があるな。
 
 この手の草木はかなり硬いだろに」
 
 オルフが感心したように言うと、ニカッと笑ってフィリは力瘤をつくった。
 
「これでも、父さんが取ってきた獣の皮を剥いだり、薪作ってたからね。
 
 あと、使ってるのが手斧だからさ。
 
 この手斧はその頃から愛用してるんだけど、ナイフなんかより便利だよ。
 ボクみたいに身体が小さくても、得物自体が重いと威力も増すし。
 加えて、今は弓の弦が切れちゃって…ボクの頼れる相棒はこれだけだよ。
 
 短剣やナイフもほしいんだけど、ちょっと財布が寂しいからね。
 お兄さんも、すぐ折れる剣や槍より、斧にしてみたら?
 その体格なら、両手持ちの斧でも軽々と振り回せるでしょ?」
 
 オルフは立派な体格をしている。
 背丈は190cmを少し超えるほどだ。
 大男の部類に十分入るだろう。
 
「…まぁな。
 
 でも俺は元農民だったから、斧よりは鍬か鎌の方が使い慣れてる。
 人を殺すためには使いたくないけどな。
 
 剣を使ってるのは、俺に武術を教えてくれた旅の戦士が剣術使いだったからだ。
 といっても、技を1個習っただけだがよ。
 
 正直言って、剣はまともな道具にもならねぇし、槍に比べりゃ短ぇな。
 斧みたいに頑丈でも無し、ナイフみたいに小回りも利かねぇ。
 …それでも剣を使う奴が多いのは、戦いにおいて最も汎用性のある形、だからだそうだ。
 
 どんな状況でも、使い手の技がありゃ、いろんな使い方が出来る。
 槍は狭いところじゃ使えないし、斧は敵にぶち当てるのが少しばかり難しい。
 かといって、ナイフみたいな小せぇ得物は、人を殺すにゃ小さすぎる。
 けど、難しい御託なんて言っても様にならねぇよな、俺じゃ。
 
 とどのつまり、俺が剣を使ってるのは、がたいと腕っ節でも簡単に扱える〈平凡〉な武器だからさ。
 
 聖北の坊さんが言うにゃ、剣は形が聖印に似てるから持ってると落ち着くんだそうだがな。
 
 ま、俺は…効果的な武器をとっかえひっかえするほど殺しに慣れたくねぇ。
 人を殺す武器は、手に1つありゃ十分だよ。
 
 だから結局、武器も戦う技ってのも、生き残るためにこいつが扱えりゃそれでいいのさ」
 
 オルフは腰に下げた剣を、かちゃん、と軽く叩いた。
 
 
「これは…
 
 間違いありません、エルネード様のお側付き侍女、マーサです」
 
 アレクセイは、転がっていた死体でただ1人だけ外套で覆われていた老婆の顔を確認し、白い貌をさらに青白くして言った。
 
「…ということは、カーティンの姫様は生きてるってことだな。
 
 それに、この婆さんを殺したのはここに転がってる兵士どもだ。
 婆さんは正面から切られた口だが、兵士どもは剣も抜けずにやられてる奴がいる。
 このやり方は、不意討ちだな。
 
 殺された兵士どもの死体は、どれも力任せなやり方でやられているが、存外いい筋をした奴だ。
 この隊長格を袈裟斬りにした技…“焔紡ぎ”の【担ぎ颪】かもしれねぇ」
 
 死体を検分していたナルグは、苦い顔をして言った。
 
「…“焔紡ぎ”?」
 
 アレクセイが聞くと、ああ、とナルグが頷く。
 
「“焔紡ぎ”ワディム。
 
 北方の戦場じゃ、知らねぇ奴は笑われるぜ。
 
 俺も若い頃、南の方の戦場で会ったことがあったけどよ…
 腕っ節は、俺より上だった。
 今でも正直、勝てるかわからねぇな。
 
 最近じゃめっきり名前を聞かねぇが、北方じゃマルディアンの“天剣の将”と並び称されるほどの剣豪だ。
 
 戦争が無い時は、少しの間同じ場所に留まって、駆け出しの将兵に技を指南して銭をもらうような副業もしてたからな。
 あの男の直弟子なら、こんなお粗末な腕じゃねぇだろうが。
 技を聞きかじった程度の奴かもしれねぇが、まぁ、油断はするなよ」
 
 アレクセイは目を丸くした。
 ナルグは強い。
 その剣術はラダニールでも一流といえるだろう。
 
 〈雪狼団〉で最強なのは団長のビュリカだというが、実際にアレクセイが見た最強の男はナルグである。
 そのナルグにここまで言わせる“焔紡ぎ”と、その剣士の技を使う者。
 
 ぶるり、とアレクセイは身体を振るわせた。
 頬は少し引きつっている。
 
(…そんな荒くれがエルネード様と?
 
 く、こうしては!!!)
 
 駆け出そうと、マーサの死体の側から立ち上がったアレクセイをナルグが引き止める。
 
「だが、解せねぇこともある。
 
 何でこの婆さんだけ、丁寧に扱っていたかだ。
 まずマルディアンの連中で無いことは判ってるが…
 俺たち傭兵やギマールの鉄血兵どもにゃ、こんなしゃれた甘いことをする奴はいねぇはずだ。
 
 かけてあった小汚ねぇ襤褸だが、多分元はギマールの歩兵が持つ厚手の外套だ。
 こんな状況で身の回りの物を使うなんて、よっぽどの甘ちゃんか、度の過ぎた阿呆か、戦場を知らねぇ素人だろう。
 
 加えて、物を取ってるが根こそぎじゃねぇ。
 …必要最低限、小銭と携帯食だ。
 金目のロザリオとか、この連中が修道院から盗んだものには手をつけてないから、強欲じゃなく必要に迫られてやった口だ。
 物取りとして足がつかねぇように考えてるなら、頭の良い奴だろうが…
 
 やったのは1人だ。
 筋が良くてもこの程度の腕で…こんな襤褸着てた食い詰めの兵卒が、物取りで兵士5人を敵にするなんてのは常軌を逸して間抜けなことだ。
 
 怪我もしたみてぇだな。
 途中で血痕が無くなってるから、治療したんだろうが…
 これだけの出血をする怪我をして、娘1人連れて逃げるなんてできねぇぞ?」
 
 少ない情報でこれだけのことを予測したナルグは、さすがは歴戦の傭兵だけはある。
 
「…そういえば、エルネード様は司祭様もお認めになるほどの信仰心と不思議な力を使うそうです。
 
 癒しの秘蹟、【癒身の法】でしたか。
 ラダニールでは聖なる奇跡を起こせる聖職者自体、数が少ないそうですから。
 エルネード様は将来、女性で司祭様になれるのではと噂されていたほどです。
 
 その力を使って傷を手当したのなら…」
 
 アレクセイの言葉に、ナルグはさらに渋い顔をした。
 
「そうだとしたら、もっと解からねぇ。
 
 …お姫さんはその男を治したのか?
 ギマール人なら敵国だぞ?
 
 しかも、マルディアンより先に戦争吹っかけて、王政や貴族制を何より忌み嫌う国だ。
 ラトリア人にとっちゃ、マルディアンより憎たらしい敵のはずだぜ」

 あっ、とアレクセイもそのことに気がつく。
 
「加えて、〈政教分離〉を唱え、唯一ラダニールで聖北教会を排斥した、あのギマールだ。
 
 俺たちがマルディアンについたのだって、お前らガチガチの聖北教徒どもがギマールの仕事を嫌ったから、団長が気ぃきかしたんだぞ。
 そんな奴らに、お姫さんが素直に従うと思うか?」
 
 ギマール共和国は、軍事拡張において、ラダニールで影響力の強い聖北教会の干渉を退け、聖職者という職業を無くしてしまった。
 それはあくまでも、聖職者からその地位と資格と特権を取り上げ、信仰そのものを排斥したものではなかったが、周囲の国家にとってそれは驚愕の事件であった。
 
 ギマールは他にも貴族や王侯の存在を否定し、軍隊の階級以外の身分制度も全て廃止している。
 貴族、加えて聖北教徒であるカーティン侯爵家にとっては忌むべき国のはずだ。 
 
「し、しかし、エルネード様はお優しい方です。
 
 きっと慈悲の気持ちで治したのでは?」
 
 アレクセイの言葉に、ナルグは首を横に振る。
 
「あのワイルズ将軍の娘が、そんなに浅はかとは思えねぇが…
 ま、仮にそうだとして、だ。
 
 一緒に行動する理由はなんだ?
 
 たとえ命の恩人が相手でも、敵国に素直に捕まるようなことはしないんじゃねえか?
 エルネード姫は聡明で思慮深い人物だと聞いている。
 
 その姫さんが素直に従ったってことが…助けた奴の腕の素人加減と、臆病な兵卒がとるような行動と噛み合わねぇ。
 姫さんを助けるために、ギマールに忍び込んだ将兵なら、腕はもっと立つはずだ。
  
 姫さんは自分を助けてくれて、この婆さんに外套をかけた奴を信頼してついていったってことか?
 怪我した、ギマールの一兵士に?
 
 どっちも分かれて行動すべきだろうに、取られた水袋は2つ。
 
 なんで2人で行動する必要がある?
 
 そこが、解からねぇ…

 …考えられんのは、傷を手当した姫さんを人質としてかっさらったか、美人だったからかっさらった…
 っておい、予想なんだからそんな俺を殺しそうな勢いで、鼻息荒くするなっ!
 
 …ったく。
 お前、お袋さんと信仰と姫さんのことになると、とたんに暴れ馬になりやがる。
 
 今の予測は当てはまらねぇから、安心しろ。
 そんな下種が、5人相手取って姫さんを助けるわけねぇだろ?
 そこんところが解せねぇんだからよ」
 
 腕を払って駆け出そうとしたアレクセイをなだめ、ナルグは続ける。
 
「だが、もしギマールの脱走兵なら、少しは話も通じるな。
 
 線としちゃそれが堅い。
 どうして助けたのかはわからねぇが、この兵士どもを殺した奴は、姫さんを助けて共同で逃げることにしたんだろう。
 
 その野郎、おそらくはギマールの恩赦兵…元犯罪人か旧敵国の兵士が恩赦を餌にされて、無理やり戦争に駆り出されていた口だろうな。
 もしそうだとしたら、機を見るのが上手い奴だ。
 
 ふん、なるほど…助けて自分を売り込んだとすりゃ、話は通じるな。
 
 だとしたら、姫さんは金のなる木だ。
 その野郎も乱暴はしねぇだろ」
 
 アレクセイは少し力を抜いた。
 
「ま、貞操は保障できねぇけどな。
 
 男と女、しかも命がけで逃亡するとくりゃ、けっこう女の方が男に参っちまう。
 心細いから人肌が恋しくなるし、世間知らずで年頃の姫さんなら案外今頃しっぽりと…
 
 って、お~い…
 
 行っちまった。
 冗談だったんだけどな」
 
 目を血走らせて全力疾走するアレクセイの背を見つめ、ナルグは人の悪そうな笑みを浮かべた。
 
 
 ガキィィンッ!!!
 
 オルフは敵の剣を受け止め、エルナを背後に庇った。
 
「くそっ!
 
 先行していたマルディアン兵か…」
 
 相手は3人の兵士である。
 しかも、今相手にしている兵士は正規兵らしく、厚手の立派な革鎧を着ている。
 
 北方の戦場では金属の鎧を着る者は少ない。
 寒さで冷えた鎧が体力を奪うからだ。
 
「…そこの娘、カーティン家の御令嬢だな?
 
 おとなしく剣を引け。
 さもなくば―――なんだと?!」
 
 にじり寄っていた1人の兵士が、足を切られて転倒する。
 
「…そこ、血の筋だよ。
 
 手当てしないと、出血して、冷えて死んじゃうかもね」
 
 手斧を構え、不適に笑うのはフィリであった。
 
「ぐ、小僧!!!」
 
 もう1人の兵士をいなし、今度は重い攻撃で反撃するフィリ。
 手斧はその兵士の手の甲を粉砕した。
 
 激痛に膝を突いた兵士は、フィリが振るった手斧の背で頭を強打され、失神する。
 
 オルフを相手にしていた兵士が、フィリに注意を取られて隙をみせた。
 わずかなものであるが、オルフは迷わず踏み込んで敵の膝を斬った。
 
「ぐぅわあぁぁぁ!!!」
 
 よろめいた兵士は、何時の間にか接近したフィリの一撃で昏倒させられていた。
 
「…ふう。
 
 助かったぜ」
 
 オルフが敵を縛り上げると、エルナが簡単に止血をする。
 フィリは小銭と手頃な剣を1本奪う。
 
「はい。
 
 この隊長格の剣は使えると思うよ。
 あと、いいナイフ持ってるやつがいたから、これももらっておこうよ。
 
 命の代金と思えば、安いよね?」
 
 なかなかにフィリという少女は抜け目がなかった。
 
「お前、結構腕が立つな。
 
 大人の兵士2人を相手に、たいしたものだ」
 
 フィリはニカッと笑った。
 
「弓を修理すれば、もう少し役に立つんだけどね」
 
 この少女、特別俊敏ではなかったが、それなりの膂力があり、何より斧の扱いが実に巧みである。
 剛柔あわせ持つ戦い方は、子供とは思えなかった。
 
「ボクみたいな女の子は、多少力があっても体格負けしちゃうから、手数と小技で責めるんだ。
 
 必要なら人を殺すぐらいはやれるよ。
 そうしなきゃ、子供が戦場で生き残ることなんてできないもん」
 
 少しだけ無理をした笑顔だった。
 
「父さんを殺した兵士、ボクがこの斧で殺したんだ。
 
 獣をあわせれば、ボクの方がお兄さんより殺してるかもしれないよ。
 ふふ、あっ…」
 
 フィリを、後ろからエルナが抱きしめた。
 オルフもその頭を、わっしわっしと撫でる。
 
 2人とも、この少女の肩が震えていたことには気がついていた。
 
「無理するな。
 
 人間斬るのなんて、お前みたいな娘が慣れていいことじゃねぇ」
 
 苦笑いしたフィリは、少の間、泣きそうな顔になった。
 
「ありがとな。
 
 さぁ、他のやつらがこねぇうちに、逃げるぞ」
 
 拘束した兵士たちを茂みに隠し、
 オルフは回収した剣に持ちかえると、荷物を担ぎ歩き出した。
 
「…お兄さん、好い人だね。
 
 ボクの相棒なんて、ガサツだのガキは色気が無いだの言うくせに、助けられても小言ばっかり。
 しかも、自分の都合が悪くなるとすぅぐ女扱いだもん。
 
 そのくせ、美人に弱いし、軽いし…
 
 ほんと、組むほうは大変だよ。
 
 仲間になるなら、誠実な人がいいよね~」
 
 フィリのおしゃべりを黙って聞くオルフ。
 
「…そうね。
 
 オルフは私も助けてくれたわ」
 
 フィリの言葉に頷きながら、エルナは優しげな笑みを浮かべていた。
 
「…お嬢ちゃん。
 
 あんたの仲間との合流場所は、まだ遠いのか?」
 
 頭を掻きつつ、照れ隠しでオルフが聞く。
 
「…どうやら、合流地点まで行く必要ないみたい。
 
 アイツと私で交わした符号があったよ。
 この木、刃でつけたささくれがあるでしょ?
 
 ぴったり2つだから、こっちの方角に20歩で…
 
 ――――――19、20と、あった。
 
 ここからしばらく行った先にいるみたい。
 川の音がするから、その辺で休んでるかもね」
 
 フィリの注意力はたいしたものだった。
 何気ない木々の傷や、枝の先をしっかりと観察していたのである。
 
「…バッツ~、いるんでしょ?
 
 ボクだよ、フィリだよ~。
 
 お~いっ!
 いたら…あたっ!」
 
 飛んできた小石が頭を直撃し、フィリは涙目で呻いた。
 
「…ど阿呆!
 
 でかい声だすなっての。
 この辺、武装した兵士が何人もうろついてんだぞ」
 
 小声で、しかしかなり激昂した様子の声が木の上から聞こえてきた。
 
「いた~い。
 
 ヒドイよバッツ。
 何も石を投げなくても…」
 
 頭をさすっているフィリの前に、バンダナで額を巻いた若い男が飛び降りた。
 身軽な動作である。
 
 年の頃はオルフと同じぐらい。
 くすんだ色の柔らかそうなブロンドは丁寧に手入れされていた。
 少し軽薄そうな服装をしているが、フィリを睨む眼は鋭い。
 
「…加えて、なんだこいつらは?
 
 俺はこんな知り合いがいるなんて聞いてないぞ?」
 
 腕を組んだ男は、オルフを睨み、エルナまで目が行って硬直した。
 
「あ、いや、何というか…
 
 俺、コイツの保護者みたいなもんで、ああ、そうそう。
 つまり仲間なんですよっ!」
 
 突然態度が変わった男を、一同が注視する。
 
「…なるほど。
 
 わかりやすい奴だな」
 
 視線をエルナに釘付けにしたまま、鼻の下を伸ばしてあたふたと言い訳をしている男に、オルフは苦笑した。
 
 
「…な、なんだって!
 
 じゃあ、この綺麗な女性(ひと)はラトリアの将軍の御息女なのか?!」
 
 とりあえず、追われる立場の4人は歩きながら現状を確認し合っていた。
 
 エルナの身分を知って、男…バッツは目を丸くする。
 
「そっ。
 
 それで、ボク1人で兵士たちの包囲を突破するには、ちょっと辛かったから、西方に行く道を教えて案内するかわりに組んだってわけ。
 このお兄さん、なかなか強いよ」
 
 バッツはぎっとフィリを睨む。
 
「どうしてお前はそういうことを簡単に決めやがるんだっ!
 
 身勝手な奴だよ、まったく…」
 
 金やら、身分証やらとぼやいているバッツは、随分と神経質な性格らしい。
 
「すまないな。
 彼女には随分と助けてもらった。
 
 なんとか南に…いやイルファタルまででいい。
 協力してもらえねぇか?」
 
 バッツはぎろりと、今度はオルフを睨んだ。
 
「迷惑だと思うなら、これで別れてくれ。
 
 あんた、聞けばギマールの脱走兵だって言うじゃないか。
 あの国は逃亡兵は死刑か無期懲役だろ?
 
 しかも恩赦での兵役で脱走兵なんて、死刑確定じゃないか。
 側にいたら命がいくらあっても足りないぞ。
 
 加えて、マルディアンの兵士5人を殺してるなんて、どのはずれたバカか?
 あんたは、ギマールとマルディアンの2国から追われてるんだぞ」
 
 うっ、と言葉につまるオルフ。
 
「しかも、殺さずにふん縛った兵士がいる、だって?
 
 中途半端なことしやがって…
 フィリ、お前もだっ!
 ったく、顔を見られてるから、指名手配だぞ、お前たち」
 
 一息おき、バッツは厳しい言葉で宣言した。
 
「フィリはもともと仲間だし、な。
 女らしい格好でもさせれば大丈夫だろう。

 カーティン家のお嬢さんは、変装するか貌を汚すかすれば何とかなる。
 いざってときは、俺と夫婦だって言って、フィリを子役か俺の妹にでも役付ければいい。
 
 だが、あんたはダメだ。
 その体格じゃ、一緒にいるだけで旗もって宣伝するようなものだ。
 
 俺はあんたとはいけない」
 
 バッツの言葉は最もだった。
 オルフは溜息をついて頷いた。
 
「…分かった。
 
 もう少し行ったら別の道を行こう」
 
 冷徹にバッツは首肯した。
 
 別れを告げようと、オルフが他の2人に向き直ろうとした時、エルナがすっと歩み出た。
 
「…では、私もオルフと行くわ。
 
 お別れね、フィリちゃん」
 
 エルナの突然の言葉に、オルフは思わず振り返った。
 
「な、何言っているんですか?!
 
 こんな男といたら、逃げられるものも逃げられなくなってしまいますよ!!」
 
 随分慌ててバッツがエルナを止めようとする。
 だが、エルナは静かに首を横に振った。
 
「オルフが追われる理由の多くは、私を助けたからよ。
 そんな人を、犠牲になんて出来ない。
 
 それに、兵士たちの手当てをしたのは私。
 彼に非は無いわ」
 
 凛とした言葉で、エルナは断言した。
 
「…俺と一緒に掴まっちまったら、婆さんの犠牲も無駄になるんだぞ?
 
 それが分かってるのか?」
 
 低い声でオルフがたしなめると、エルナはしっかりと頷いた。
 
「なら、何をしたらいいのか分かるはずだぜ。
 
 それに、つまらない貴族の見栄や、同情ならいらねぇ。
 俺は俺の意思でお姫さんを助けた。
 恩なんて感じなくていい。
 
 あんたはフィリたちと行くんだ」
 
 言い含めるようにゆっくりと言葉にするオルフ。
 だか、エルナはなおも首を横に振った。
 
「貴方の意思があるように、私にも意思があるわ。
 
 それに、貴族として、同情して選んだことじゃないの。
 これは私の〈人〉としての誇りよ。
 
 もしこの尊厳を失うのなら、貴族である前に〈私〉ではなくなってしまう。
 それに、ここで貴方と別れたなら、私は必ず後悔するわ。
 
 貴方に助かってほしいというのは、私の希望。
 貴方と一緒に行くというのは、私の我侭。
 だから、見栄でも同情でもない。
 
 それに、私はマーサが守ってくれた〈私〉でいたい。
 そのために、貴方と一緒に行きたいのよ」
 
 蒼い双眸がオルフを見つめる。
 それはとても高潔な意思を感じさせる、澄んだ瞳だった。
 
(…ああ、そうか。
 
 この姫さんは、根っからの貴族なんだな)
 
 なぜ貴族が貴いのか。
 
 オルフは今まで貴族という存在を疎ましいと思っていた。
 偉そうに上から命令するだけの、略奪者。
 
 しかし、エルナはきっと本当の貴族、貴い人間なのだと素直に感じていた。
 
「…それで貴方が私を足手まといと感じたのなら、捨てて行ってくれてかまわないわ。
 
 私の考える貴方なら、きっとそんなことはしないと思うのだけれど」
 
 くすり、と微笑むエルナ。
 
「…分かった。
 
 勝手にしろ」
 
 少し呆れた貌で、オルフは苦笑しながら頷いた。
 
「…うん!
 
 じゃぁ、ボクもこんな鬼畜野郎じゃなく、オルフたちと行くね。
 バッツは1人でどこにでも行けば?
 
 バッツみたいにすぐ人を切り捨てるやつの側にいたら、ボクも切り捨てられちゃうかもしれないからね。
 …後をついてくるのは勝手だけど、邪魔しないでよね」
 
 そう言ってフィリはエルナに駆け寄る。
 バッツは開いた口が塞がらない様子で、呆然としていた。
 
 オルフには、バッツが哀れに感じられた。
 仲間のことを考えるなら、バッツの出した結論も正しいからだ。
 
「…ではバッツさん。
 
 せっかく出会えたのに、残念です」
 
 エルナは微笑んで、悪意無く止めを刺した。
 
(…痛ってぇ。
 
 あいつ、背中が煤けてやがる)
 
 すでにエルナとフィリは歩き出していた。
 オルフもそれに従う。
 
「あわわ、ま、待てよっ!!!」
 
 バッツは情けない声を上げ、慌ててオルフたちの後を追った。



 小物盗賊バッツの登場です。
 
 性格は狡猾で神経質。
 長いものには巻かれる臆病さ。
 女にはてんでだらしが無く、美人には弱い…
 
 盗賊らしいイメージを突き詰めると、こんな感じになるのかもしれません。
 
 オルフに対するバッツの反応は、非情な印象があるかもしれませんが、現実主義の盗賊らしい考え方をしているだけです。
 ただ彼の場合、慎重というよりは臆病なんですが。
 
 
 バッツはエルナに一目惚れです。
 エルナのような、綺麗で意志の強い女性はバッツの好みです。
 しかも、振り向かない女性には余計萌える厄介な性質だったり。
 
 貧乏な出自で、コンプレックスの塊です。
 繊細で神経質ですから、冷静ぶっていてもぴりぴりしてしまうことがあります。
 また嫉妬深く、男らしく信頼されるオルフに嫉妬して対抗意識を燃やします。
 
 エルナの信頼を得ているオルフのことは、ライバル視してつっかかっていきます。
 彼はある意味、パーティの中で一番人間臭い奴かも知れません。
 
 楽観的でマイペースなフィリとのコンビで、笑いも表現できたらなぁ、と思います。
 
 今回、フィリが戦闘で活躍しましたが、フィリって、ダメージ系のアクションカードとフェイントの4つ全てが緑玉適性なんですね。
 バランスよく強いので、見かけによらずかなりの戦力になります。
 一応、豪傑型だけはあるわけです。
 盗賊としての資質もあるので、万能タイプのレンジャーとしての活躍を期待しています。
 
 話を戻して、バッツのデータは以下の通り。
  
◇バツィン デル(バッツ)◇
 男性 若者 万能型

貧乏     不心得者   不実
貪欲     利己的    進取派
神経質    好奇心旺盛  遊び人
陽気     繊細     軟派

器用度:10 敏捷度:10 知力:5
筋力:5 生命力:5 精神力:4

好戦性+2 社交性+1 臆病性+2
狡猾性+2
 
 能力値の合計では一番優秀だったり…
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