Y字の交差路

 ここはY2つめがノリで作ったブログです。  カードワースを中心に、私が思ったことや考えたことを徒然なるままに書きたいと思います。

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申し訳ありません…

 管理人のY2つです。
 
 7月中には配布する予定だった、記念シナリオの新セットですが…
 
 『風たちがもたらすもの』と先行配布札、あまりに拡張内容を増やしすぎたことで、スキル絵の合成やら、データの打ち込みやら、デバグをする時間が取れない状況です。
 本業が忙しくなったこともあり、モチベーションも保てず、結局月末まで来てしまいました。
 
 申し訳御座いません…
 
 現在の状況でも、新スキルを最低14枚ぐらいは提供できるのですが、ジャンルがばらばらで統一性も中途半端、バグチェックもまだ終わっていませんので、勝手ながら発送延期に致しました。
 
 月末の2日間は遠方に出張しなければならず、とても配布できる段階までまとめることは無理ということもあります。
 
 8月はびっしりと仕事の予定があるので、後半まで製作開始はできないですし、大幅に製作が遅れることをお伝え致します。
 
 その分、詰め込む量を増やしてからお送りします。
 
 最終的には、以下のものを盛り込みたいとは思っていますが、全部セットするにはかなり時間がかかりそうな気が致しますので…
 お送りできるものは、切りのよい拡張の後になるかと。
 
 まず、新スキルは、植物の精霊術と氷の精霊術、鋼鐵の精霊術を各種。
 その他精霊術少し。
 秘蹟(神聖魔法)を少し。
 抜刀居合い系のスキルを5枚ずつ×4系統。
 レイピア系の剣舞術を5枚×2系統。
 中華系槍戟術を5枚×3系統。
 外套で戦う闘牛士みたいなスキルを5枚×2系統。
 敵を靴で踏んづけるスキルを5枚×1系統。
 盾を使った技能を5枚×2系統。
 
 アイテムはスキルに応じたものを少し。
 
 付帯能力は、鋼鐵関連が一つ増えて、改変。
 
 【氷結の君主】はわずかに弱体化(処理終了済みです。気になるほど弱くはなっていないと思います)+クロスオーバー処理追加。
 
 等を企画推進中です。
 リクエストを確認後、できる限り対応する予定です。
 
 
 楽しみに待っていてくださった方々には、申し訳なく思っています。
 お許しください。
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『建国記念祭』

 その日、国は祭りの熱気であふれていた。
 
 季節は4月。
 北方ではまだ肌寒い季節である。
 
 そして、ここでも祭りのイベントに庶民たちは歓声を上げ、その刺激に瞳を輝かせていた。
 
 人々に囲まれた広場、そこで2人の男が対峙している。

 手に持つのは、互いに槍を模した細長い棒、棍と呼ばれる武器だ。
 相手に怪我をさせないよう、その両端には麻布が巻きつけられ、小さな膨らみを作っている。
 
 2人のうち、1人は2mを越える巨漢だった。
 筋骨隆々で、肌は汗に濡れ、つやつやと輝いている。
 腕は子供の頭ほど太く、手に持った棍がまるで玩具のようだ。
 棍に巻いた麻布には赤黒い、真新しい染みもある。
 誰かの顎を砕いた時の、血であろうか。
 
 対するは、すらりと細身の男である。
 特徴を挙げるなら、一言で〈美男子〉だった。
 青黒い長髪を後ろで束ね、女も羨だろう白い肌。
 整った鼻梁に、引き結ばれた凛々しい口元。
 切れ長の神秘的な青黒い瞳は、相手の大男を飲み込むように映している。
 
 大男は大声をあげたり、地面を踏んで威嚇するが、美男の方は動じた様子もなく微動だにしない。
 よく見れば、大男の方が気後れしているのが分かる。
 
 周囲から野次が飛ぶが、大男は先ほどから美男に近寄ることすらできない。
 
 やがて、美男の方が滑るように動いた。
 その後は電光石火。
 
 脇と喉を突かれ、呼吸が一瞬止まった大男の脛と膝を棍で打ち据え、倒れたところに振り下ろす一撃。
 大男が思わず目と閉じるが、痛みはやってこなかった。
 恐る恐る目を開けると、棍の先が大男の頭の上で寸止めされている。
 
「しょ、勝者シグルトっ!」
 
 美男が棍を引き、大男に手を差し伸べる。
 唖然とした大男がその手を取ると、美男…シグルトは軽々と大男を引き起こした。
 同時に、爆発的にシグルトの周囲で歓声が上がった。
 
「誰か、誰か挑戦者はいないかっ?!」
 
 シグルトの勝利を告げた男が周囲に問いかけるが、周囲の屈強な男たちは皆その視線を避けるように項垂れている。
 
「では…この度の槍術披露の儀は、シグルトの優勝とするっ!」
 
 大男を助け起こしたシグルトが、棍を軽く掲げると、周囲の者たちがそれを讃えて爆音のような喝采を浴びせた。
 
「…負けたぜ。
 
 まさか16歳で、出場資格持ったばっかりの野郎に負けるとはな。
 さすがは槍の英雄ハイデンの一番弟子、“青黒い稲妻”だ」
 
 大男は、苦笑しながらシグルトに突かれた喉を撫でている。
 そこは鬱血して痣ができていた。
 
「昨年の覇者の言葉だ…謙遜するのは無礼だろうな。
 
 他の戦士たちに勝てたことも、ともに俺の誇りとしよう」
 
 シグルトはそう言って頷いた。
 
 さらに周りから歓声が上がる。
 男たちは羨望の目で、女たちは熱い恋慕の視線でシグルトを見つめていた。
 
 〈槍術披露の儀〉…俗的には〈槍試合〉と呼ばれる武芸大会は、この国の風物詩である。
 年代分けされたこの武芸大会で優勝することは、武を重んじるこの国では意味が深い。
 
 シグルトは16歳から19歳が参加する若手のグループで、初めて参加して優勝したのだ。
 加えてシグルトは12歳から15歳が参加できるグループでも4年間優勝している。
 この国で、シグルトの武勇を知らぬ民は少ない。
 
 この国の民たちは、強い者を重んじるからだ。
 
 強いシグルトの周囲には、自然と人の輪ができていた。
 
「ちょ~っと、開けてくれ」
 
 そんな人垣を掻き分けて、金髪の男がやってきた。
 
 少し軽薄そうな、けれど決して憎めない雰囲気の優男だ。
 シグルトは苦笑して、周りに道を開けてくれと伝える。
 
 その金髪男の後ろを、そばかすを残した少女がおっかなびっくりついてくる。
 
「そっちは先に優勝したようだな、ワイス」
 
 シグルトに名を呼ばれて、金髪男は自慢げに力瘤を作った。
 
「まぁな。
 
 〈弓試合〉は俺が4年制覇だぜ。
 お前が今回負ければ、並んだのによぅ」
 
 金髪男…ワイスが残念そうに言うと、後ろにいた少女が思いっきり拳骨でワイスの頭を殴った。
 響く鈍い音に、周囲の男たちが目を丸くする。
 
「こぉの、馬鹿兄貴っ!
 
 ルト兄ちゃんの勝ちを残念がるなっつうのっ、もうっ!
 なんで素直に祝福しないんだか、あきれてあたしゃ手が痛いよっ!!」
 
 拳をさすりさすり言う少女。
 対して頭を抱えつつ、唸るようにワイスが半泣きで少女を睨む。
 
「こぉの、じゃじゃ馬ぁっ!
 
 手が痛てぇのは、俺の賢い頭を殴ったからだってのっ!
 普通女が拳で殴るか、拳でっ!!」
 
 息の合った2人の応酬に、周囲が笑い声でどっと沸いた。
 
「2人ともそのぐらいにしておけ…笑いものになってるぞ?
 
 エリスも、いきなり殴るのは止めておけ。
 こいつがよけい馬鹿になったら、俺も困るからな」
 
 シグルトの言った冗談めいた言葉に、さらに周囲が沸く。
 エリス、と呼ばれたそばかすの少女は、真っ赤になって蜂蜜色の柔らかそうな髪を掴み、顔を隠そうとする。
 
「馬鹿とはなんだよルトッ!
 
 俺はこれでも字が読めて書けるんだぜ!!」
 
 識字率の低いこの時代、この国の庶民にあって、それは確かに自慢できることだった。

「字を教えた俺の感想だ。
 
 覚えが悪かっただろう?」
 
 肩をすくめたシグルトに向かって、ワイスは地団太を踏む。
 しかし、からかわれたことに気がつくと、やがてワイスも笑い出した。
 
 
 シグルトとワイスは幼馴染だ。
 その付き合いは10年以上になる。
 普段朴念仁のシグルトが冗談を言い、からかうのはこの男ぐらいであろう。
 
 そしてワイスやその妹であるエリスは、シグルトのことをルトという愛称で呼ぶ。
 〈シグ〉、というのはこの国では〈勝利〉を意味し、多くの者が名に含める。
 この国の建国王もシグヴォルフ然り。
 シグルトの妹も同様に略して、愛称で呼ばれていた。
 
 珍妙なこの呼び方は、ワイスとエリスしかしないのだが、シグルトはその呼ばれ方にすっかり馴染んでいた。 
 
 シグルトは友をあまり作らない、孤高の男であった。
 
 幼少期から、人一倍強く、何より大人びた考えをしていた彼は、普通に他の子供たちと遊ぶよりも、野山で風と戯れることを好んだ。
 持って生まれた神秘的な美貌と、他者を寄せ付けない厳しい雰囲気。
 その美貌に惹かれて仲良くなろうとしたものもいたが、幼少のシグルトは抜き身の刃のように他者との関わりを避けていた。
 複雑な出生と、かつてとある理由で迫害されていたことも理由だった。
 
 だが、ワイスとエリスの兄妹だけは違った。
 
 ワイスはシグルトの昔住んでいた家の周りの子供たちのガキ大将で、1人で遊んでいるシグルトに興味を持ち、一緒について遊ぶようになった。
 そのうちに2人は自然と今のような関係になっていた。
 ワイスの妹も、シグルトをもう1人の兄のように慕い、シグルトの妹の親友となり、仲の良い4人組になっていた。
 色々なことがあって、シグルトは昔住んでいた家を離れたが、今でもワイスとエリスはシグルトにとって特別な存在である。
 
 軽薄そうに見えるワイス…この幼馴染だが、実は弓の名手で、その実力は平民の若手では最高だと言われていた。
 
 その妹であるエリスは、ごくごく普通の娘で、シグルトにとってはもう1人の妹のような存在だった。
 蜂蜜色の柔らかそうなブロンドは抜きん出て美しく、まだ顔に残るそばかすが愛らしい。
 
 シグルトは、親しい者と過ごす時の心地よさに、柔らかな微笑を浮かべていた。
  
 
「さぁて、これからは祭りだ、祭りっ!
 
 思う存分、ガルツを飲もうぜっ!!」
 
 ワイスが側にあった大きな樽を拳で小突くと、周囲の男たちがどっと沸いた。
 
 ガルツというのは、保存に様々な香草を用いたビールの一種である。
 酒精(アルコール)は強くないが、使った香草の作用で、酒精の酔いに加えて、また違った酩酊をもたらす。
 
 〈飲むパン〉と呼ばれるビールは、粗末な食事を補い、断食の間の水分、栄養補給として修道院で作られていた。
 加えて、水があまり綺麗でなく生水を飲むのが危険な国々では、酒の飲用は子供でも当たり前な地域が多い。
 麦から作られるビールの類は、寒く葡萄の育ちが悪い北方の国の中では、よく飲まれる酒である。
 
 本来、修道院が特権的に作っていたビールだが、その製造技術は秘伝である。
 修道院の作るビールは質も良い。
 その多くは聖職者や裕福な商人たちが飲むもので、修道院の貴重な財源にもなっていた。
 
 庶民にとっても酒はつらい労働を忘れさせるものだ。
 だが、質のよい高級ビールなど、飲める庶民は少ない。
 厳しい北方の気候で、決して庶民の生活は裕福ではない。
 
 そこで、古来の粗悪な造りのビールであるガルツが、この国の庶民の酒として定着していた。
 だが、こういった酒ですら、庶民は満足に飲むことができない。
 
 だから、祭りのようなイベントで楽しみである酒を取っておき、その時に思う存分飲むのだ。
 
 シグルトは、不思議な香りのする苦味と辛味の強いこの国のガルツが、嫌いではなかった。
 
 木製のカップに生ぬるいガルツがなみなみと注がれ、皆に配られていく。
 ぬるいビールは、泡立ちがよく、濃厚な味の泡は飲むというより食べる形に近い。
 
 庶民は、男も女も同様に酒を飲む。
 この時代、性別の差無く酒を飲むのは当たり前のことだった。
 むしろ、子を産み育てる女たちは、男より酒豪が多いほどである。
 
 だが、祭りの席で武芸を競った男たちにとって、その時に飲む酒は特別なものだった。
 
 大きな酒樽がいくつも置かれ、木製の酒杯に並々と注がれたガルツが男たちに行き渡る。
 
「んじゃ、王様が作った、我らが故国とっ!
 
 今回俺たち2人の優勝とっ!
 
 美味いガルツ、そして好い女に、かんぱ…」
 
 お調子者のワイスが、乾杯の音頭を取ろうとした瞬間、シグルトの酒盃が後ろから伸びた白い手によって奪われた。
 
「…に・い・さ・ん。
 
 この時間からお酒なんて、いい身分よね。
 ずっと私1人に貴族のぼんくらどもの相手をさせて、あんまりじゃない?」
 
 年頃の娘としてはやや品の無い様にも見える格好で腰に片手を添え、シグルトと同じ色の青黒い髪の女が立っていた。
 
 女性にしてはやや太い眉が、凛々しい印象を与える。
 シグルトほど目立つ容貌ではないが、端整な顔立ちで、素朴な美しさがあった。
 しかし、その秀麗な眉は吊り上り、口元は引きつっている。
 三角に座らせた眼は、火を吹くようにシグルトを睨み据えていた。
 
 唖然とする周囲の眼差しも気にせず、娘は一気に手元のガルツを飲み干すと、たんっ、とその杯を樽の上に置く。
 そして、大股でシグルトの前に回り、腕を取って引っ張った。
 
「兄さんは、これから私と王宮の祝典に参加するはずでしょ?
 
 さぼったりしたら、また私がベーオウルフお兄様に嫌味を言われるのよ。
 それに、今回はお父様にもよろしくって頼まれてるじゃないっ!」
 
 シグルトは額に手をやり、肩をすくめる。
 
「一杯ぐらい、勝利と祝いの酒を飲みたかったんだがな。
 
 仕方ない…」
 
 シグルトは立ち上がると、立てかけてあった棍を手に取り、美しい刺繍のされた上着と上質の絹で出来た外套を纏う。
 
「すまん、ワイス。
 
 俺のお姫様が怖いんでな。
 来年はもう少し早く始めてくれよ。
 こういう飲み逸れはつらい。
 
 どうせ、俺が祝典から戻ってきても、ガルツは一滴も残ってないだろうし。
 まぁ、今夜は甘ったるい葡萄酒で我慢しておくよ…」
 
 何か言おうとしたワイスを、シグルトの腕を掴んだ娘が逆正三角形から、二等辺三角形に変えつつある目で睨む。
 う、と黙ったワイスに、シグルトは肩をすくめ、娘に引きずられていった。
 
「…最強の戦士も、妹には形無しだよね」
 
 エリスが残念そうに眉根を下げ、自分のガルツに口をつけた。
 
「…ルーンの三角形の目、なんでいつもの可愛いタレ目がああなるのか、俺にはわからんぜ」
 
 緊張で乾いた喉を潤すように、ガルツを飲みかけた後、ワイスは今気がついたようにはっとなる。
 そして、ばつが悪そうに小さく乾杯の音頭をとった。
 
 
「…そんなに引っ張らなくても、俺は逃げないぞ、シグルーン。
 
 それに、そこまで怒るのなら、貴族の相手などせずにお前だって平民の祭りに出ればいいじゃないか」
 
 少しあきれたようにシグルトが、娘に語りかける。
 シグルトがシグルーンと呼んだ黒髪の娘は、疲れたような顔をして自分より頭1つ以上背の高い兄を見上げた。
 
「兄さんはいいわよ、いつも勝手気ままだし。
 
 でも、今回は違うのっ!
 隣国スウェインから、私が修道院にいた頃に目をかけて下さった方がお見えになるのよ。
 出席しないとその方に会えないのよ。
 
 だから、絶対に付き合ってね、って言ったのに…」
 
 シグルーンはすねたように口を尖らせている。
 
 彼女はシグルトと同母の妹だ。
 
 普段は聡明で温厚、毅然とした娘なのだが、シグルトにだけはこうやって甘えてくる。
 昔からお兄ちゃん子で、小さい頃からいつもシグルトの後を追いかけてきた。
 
 シグルトも、シグルーンは命を懸けても守ると誓った大切な肉親である。
 
「王宮の奥に入るには、男性のエスコートがいるのよ。
 
 それを、あの陰気なベーオウルフお兄様に頼んだりしたら…
 四六時中、貴族の何たるかのお説教で終わっちゃうわ」
 
 大げさにため息を吐くシグルーン。
 
「そんなに急がなくても、スウェインの使節団は陛下の謁見を終えないと現れないはずだ。
 
 祝杯の酒を一杯飲む時間ぐらいあっただろうに…」
 
 その言葉に、シグルーンはまた目を釣りあがらせる。
 
「お酒を飲んで?
 
 あのベーオウルフお兄様が、それこそ怒るわよ…ヒュクッ」
 
 腕を組んだシグルーンは少し上気した顔で言うと、1つ可愛らしいしゃっくりをした。
 
「…それはお前だぞ、シグルーン。
 
 まったく、酒に弱いくせに…きついガルツを一気に飲んだりするからだろう。
 俺は先に行ってるから、母さんたちがいる宿に戻って水でも飲んで、少し酒精を抜いて来い。
 
 そうだな、第4鐘…祝典の中盤までに来るようにすればいい。
 王宮の噴水の前で落ち合おう。
 エスコートといっても、宮中に入るときに一緒にいればいいからな。
 
 先にベーオウルフに会ったら、適当にお前が気持ち悪くなった、とでも言っておくぞ。
 
 それでいいな?」
 
 シグルトの言葉に、シグルーンが複雑そうな顔をした。
 
「ね、兄さん。
 
 まだ、お兄様を…」
 
 シグルーンが紡ごうとした言葉を制し、シグルトが微笑む。
 
「俺もあいつも、互いが嫌いだからな。
 
 お前のようにあいつを呼んだら、きっと互いに気持ち悪くて悪酔いしたようになるさ。
 俺たちは今のままで良いんだよ。
 
 だが、もう憎むほどじゃない。
 それはたぶん、お互いに分かってる…」 
 
 優しげに微笑むシグルトに、シグルーンは小さく頷いて、じゃあ後で、と駆けて行った。
 
「…俺もアイツも、意地っ張りなのは似てるかも知れんな」
 
 シグルトは、妹の後姿を見送りながら苦笑するのだった。
 
 
 シグルトとシグルーンには、ベーオウルフという母親の違う兄がいる。
 ベーオウルフは、陰気で神経質な男であり、シグルトとシグルーンを愛人の子として嫌っていた。
 
 シグルトもその異母兄とは馬があわず、互いに仲が悪い。
 
 始めて引き合わされた時、ベーオウルフはシグルトとシグルーンを罵って乗馬用の鞭で叩き、シグルトは激昂してベーオウルフ殴り倒した。
 出会いからして最悪の形と言えたが、成長して嫌味っぽいのはあいかわらずなものの、しぶしぶ兄として振舞う異母兄である。
 
 そんなそのベーオウルフが、シグルトたち兄妹を憎んでいたのには訳があった。
 
 ベーオウルフの母親フリーデリーケは、政略結婚で嫁いだ身だった。
 その夫であり、シグルトたちの父でもあるアルフレトは、その妻を大切にしていた。
 
 しかし、フリーデリーケは猜疑心が強く我侭で、気位の高い女だった。
 夫に多くを求めながら、男爵という夫の低い身分に不満を言い、アルフレトに冷たく接したのだ。
 そして、ベーオウルフが生まれると、自分の役目は終わったとばかりにアルフレトから距離を置いた。
 
 冷め切った夫婦生活に落ち込んでいたアルフレトは、1人で森を散策中、馬の暴走で森に置き去りにされ途方に暮れていたオルトリンデ…シグルトたちの母と運命的な出会いをする。
 
 オルトリンデは建国王の弟から続く公爵家の令嬢であったが、後に家の没落によって身分を失ったところをアルフレトに助けられた。
 
 オルトリンデの両親である公爵夫妻は、事業の失敗で名誉を失い、それを嘆いて自殺してしまった。
 国では、自殺は大罪であり、死後は公式の埋葬すら許されない。
 貴族にあるまじき行いがあったとして、オルトリンデの家は建国から続く長い歴史を終え、取り潰された。
 
 オルトリンデは重罪を犯した者の子として、その全てを失ってしまった。
 
 妙齢で美しかったオルトリンデは、その身を好色な男たちに奪われようとしていたが、アルフレトが先んじて、愛人として引き取ったのだ。
 罪人の子となったオルトリンデを救うには、便宜上不名誉に扱い、愛人として囲うよりその身を救う術はなかった。
 
 だが、アルフレトは、オルトリンデに指一本触れなかった。
 美しいオルトリンデを得たと、多くの貴族がアルフレトを嫉妬して、不名誉な噂を流したが、アルフレトは不満の言葉一つ言わずにオルトリンデを庇い通した。
 
 そんな優しく誠実なアルフレトを、オルトリンデは慕い、深く愛していた。
 やがて、妻とのすれ違いから心に深い傷を負っていたアルフレトと、彼をそっと支えようとしたオルトリンデは自然と愛し合うようになり、生まれたのがシグルトとシグルーンだった。
 
 オルトリンデはかつて、王国一と謳われた絶世の美女であった。
 身分を失ったが、その血筋は王家に連なるほどである。 
 
 虚栄心の強いアルフレトの本妻フリーデリーケは、シグルトたちが生まれると劣等感と嫉妬に狂い、幼いベーオウルフに、己の心に燃える暗い憎しみを説いて育て、終には心を患って衰弱死していた。
 
〝あの愛人の子供たちに負けてはいけませんよ…〟
 
 死ぬときまで、その妄執を息子に吹き込み続けたフリーデリーケ。
 その子であるベーオウルフは、出会う前から顔も知らないシグルトたちを強く憎んでいたのだ。
 
 言葉汚く自分や家族を罵るこの異母兄を、事情を知らなかったシグルトも激しく憎んだ。
 シグルトにとって母や妹は、何より大切であり、母の名誉を汚す者は敵だったのだ。
 
 いがみ合う2人は、何度も殴り合う喧嘩をした。
 
 だが、やがて時が経って分別ある若者に成長したシグルトは、兄が何故自分たちを憎んでいたかを知り、自分から憎むことを止めた。
 ベーオウルフも自分と同じく母親を愛していたのだと、気付いたからだ。
 
 そして、聡明なベーオウルフも、〈愛人の子〉とシグルトやシグルーンを貶す事はなくなった。
 未だに互いの間にできた深い溝を埋めることはできないが、もう争うことはなかった。
 
 互いに嫌いだという感情は、まだ残っていたのだが。
 
 ベーオウルフはシグルトに匹敵する努力家であり、すでに王国の正騎士の称号を受けて、現在では帯剣を許されていた。
 シグルトの国では、帯剣は特別な資格を意味するもので、王に許された強い権力の象徴なのだ。
 そして、ベーオウルフの剣術の腕は、若い騎士の中では最強である。
 
 シグルトとベーオウルフの父アルフレトは、温厚な性格であるが、国で名の知れた武人だった。
 数年前に国王暗殺を企てた50人以上の敵から、たった1人で王を守り通した王国最強の騎士だったのだ。
 
 その武勲に、国王は大きな所領の追加と子爵の称号叙勲を与えようとしたが、アルフレトは王の与えてくれた恩賞を辞退した。
 代わりにシグルトたちの母であるオルトリンデの名誉回復を願い、正式な妻として家に迎え入れ、シグルトたちを貴族の子として認知したのだ。
 
 無理な戦いで利き腕を痛めたアルフレトは騎士を止め、後にその任を成長したベーオウルフに譲った。
 今では、愛するオルトリンデと、穏やかな隠居生活を楽しんでいる。
 
 そんなアルフレトの子であるシグルトとベーオウルフは、庶民と貴族最強の戦士として、互いに父の名声をさらに高めていた。
 古い神話や伝承を愛するアルフレトが送った異母兄弟のそれぞれ名は、サーガにある伝説の英雄たちと同じものだ。
 そして、名前に負けない武人として2人は知られるようになっていた。
 
 この仲の悪い2人とも、成長して父の苦労と誠実さを学び、互いに父を尊敬していた。
 そして、今では父の名誉のために、憎しみ合うことはきっぱりと止めたのである。
 
 複雑な経緯を経て貴族になったシグルトだが、10歳で認知されるまで、シグルトは庶民の子として育った。
 表に出られない不名誉な女の息子として、また母譲りの美貌を嫉妬され、シグルトの幼年期は礫を投げられ罵られる過酷なものであった。
 しかし、シグルトは努力して母と妹を守れるようになり、ワイスたちのような友を得た。
 さらには森で狼に襲われた時、まだ9歳だったシグルトは勇敢に戦って他の子供を助け、今では周囲に認められる男に成長していた。
 
 貴族となった今では、庶民のちょっとした英雄として名を知られつつある。
 シグルトも、貴族より庶民の生活を愛している。
 父の領土の民たちは、そんな庶民派のシグルトを慕っていた。
 
 過去を振り返って、シグルトは今の身を不思議に思う。
 
 シグルトは、名誉を重んじる男ではあるが、それは彼の名誉ではなく、常に家族や友人のためのものだった。
 貴族としての身分を煩わしくも感じていたが、同時にそれが家族のためにあるのならば、それも好いと考えるようになっていた。
 
「…しかし、年に一度の酒を飲めないのは、参るな」
 
 苦労性のシグルトは、癖になった苦笑をして肩をすくめると、王宮への道を急ぐのだった。

 
 
 外伝、いよいよ本編に突入です。
 シグルトの過去の人間関係が少し紹介です。
 
 話に出てくるガルツ、ビール純正法ができる前の、粗悪なビールをモデルにしています。
 微妙に違う詳細は、まあ、ファンタジーということで。
 
 次回はいよいよシグルトの運命の女性の登場です。
 ぼちぼち時間を見て更新していきますね~
シグルト外伝 『青黒い稲妻』 | コメント:0 | トラックバック:0 |

CW:Y2つ流札講座 その陸

 札講座、今回は効率的なスキルカードの装備についてお話します。
 
 スキルカード、適当にPCに合うものを考えなしに装備する人もいると思いますが、それはカードゲームの基礎から見ますとNGです。
 
 どのようなスキルが、どのぐらいの確率で手札にくるのか、大まかな流れをイメージして装備しないと、いつまでたっても中途半端な活躍しかできません。
 得意分野を大いに生かし、巧みなスキル活用を行うには、最初にどのようにスキルを装備するかで五割近く結果が定まってしまいます。
 
 これから話すのは、私流のスキルのセットの仕方です。
 これが全てではなく、あくまでも基礎的なことですので、PCを作成する上での参考程度になさってください。
 
 
 まず、スキル装備の上で一番重要なのが、「器用貧乏」にならないようにすることです。
 そのキャラクターが、回復も魔法攻撃も白兵戦も全部できる、という設定にすることは、カードワースのシステム上極めて困難です。
 
 適当にバランスよくスキルを装備しても、戦闘中に思ったようにスキルが配布されず、スキル配布アイテムを使ってカード交換ばかりすることになっては、敵から見れば、ただ混乱して1つの行動にこだわってるだけのお間抜けさんに見えるでしょう。
 敵の反撃を食らって、大ピンチ…ということも少なくありません。
 万能キャラクターの作り方は、後半で説明しますので、まず前半では、ある程度効率を生かしたキャラクターにするためのスキルセットについて例を挙げて解説します。
 
 まず、そのキャラクターのもっとも重要視する行動に則したタイプを仮に設けます。
 大雑把に
 
 
・アタッカー/ファイター
 攻撃力に優れ、アクションカードもある程度使えます。
 基本は筋力、あるいは器用度も必要です。
 
・アタッカー/キャスター
 スキルで攻撃することを重んじるタイプです。
 アクションカードよりも、スキル重視の攻撃がメインです。
 魔術師や、敏捷性タイプの戦士がこれにあたります。

・サモナー
 召喚獣で攻撃、防御、サポートするタイプです。
 精霊術師がこれにあたります。
 召喚獣を召喚し、効果が発動するまでの間をどのようにするかが重要です。

・ヒーラー
 スキルを使って回復を行います。
 
・サポーター
 スキルを使って仲間をサポートします。
 
・オールラウンダー
 何でも屋です。
 装備にはもっとも気をつけなければなりません。
 
・アイテムユーザー
 アイテムを中心に使います。
 スキルの配布効率が悪い盗賊などにお勧めです。
 
 というタイプを設けて、分けて説明します。
 
 
・アタッカー/ファイターのスキルセット
 元々アクションカードがある程度使えるタイプです。
 正統派戦士がこれにあたります。
 基本は使うスキルを、「半分以上ダメージ系のスキルにする」ことです。
 最初のうちは、苦手な戦闘力を補うようにします。
 筋力タイプであれば絡め手となる、能力ダウンや撹乱効果のあるスキルか、命中精度の高いスキル。
 器用度が高くフェイントが得意なら、一発の破壊力が高いスキル。
 あとは、全体攻撃、魔法物理属性で非実体を攻撃…というものを補っていきます。
 スキルは手札になったときに使う構えで、普段は得意なアクションカードで戦うのが常となります。
 回復や補助スキルは、持つとしてもとりあえず入れてある程度に。
 実際に戦闘となれば、回復や補助は仲間か道具に頼ったほうがいいでしょう。
 持っているスキルは、戦闘以外に、回復役であるヒーラーの手札温存として使用するようにします。
 ソロ(一人用)シナリオでは、無理に回復スキルを持つより、回復アイテムを持っていたほうがお勧め。
 防御に不安があるなら、鎧系のアイテムの所持や、防御召喚獣をつけるスキル(【硬気功】や【風精召喚】)を前もってドーピングしておくとよいです。

・アタッカー/キャスター
 この手のスキル攻撃中心のタイプでは、「スキル配布アイテムの所持」や、「連続でスキルを配布するスキル」の装備が重要です。
 魔術師や、ダンサーのような、得意とする能力値に則したスキルを使うものがこれにあたります。
 スキルを手札に素早く配布するために、なんとか【賢者の杖】のようなアイテムが欲しいところ。
 その手のアイテムが無い場合は、スキルレベルが低いスキルを多めに装備して、配布される札を増やします。
 魔術師タイプなら【眠りの雲】で相手の動きを縛りつつ、ゆっくりスキルを循環させるか、率先して【魔法の矢】のような攻撃スキルで倒せる者から倒していく戦法がお勧めです。
 低レベルのスキルを、通常の行動に使えるぐらい配布されるように、多めにセットしておきます。手札切れになると厳しいからです。
 資金や装備スロットに余裕があるなら、全体攻撃の派手なスキルや、大きな威力のスキル、攻撃の効率を高めるスキルなどをセットします。
 回復スキルや能力アップ等の補助系は半分、できれば3分の1以下の構成にしましょう。そうしないと攻撃スキルの循環が悪くなります。
 補助系スキルは、「戦闘前」にドーピングし、戦闘中の配布は期待しないよう心構えをすれば、本分である攻撃に集中できます。
 
・サモナー
 基本的に先読みが重要になります。
 精霊術師のような召喚術中心の職業がこれにあたります。
 前もって召喚獣を呼び出しておき、召喚獣の回数が切れるまでは手札を交換しつつ、手札を使うタイミングを伺う「待ち」のスタイルに適しています。。
 召喚スキルは曲が強く、召喚スロットが不足すると使い難いので御注意を。
 戦闘が長期戦にならない限りは、どうしても召喚して発動する微妙な間のせいで活躍し難いので、召喚獣をあらかじめ戦闘前に召喚しておくと効率的です。
 召喚獣は回復や召喚獣消去のイベントが無い限り、基本的に召喚したシナリオでは消えません。フィールドで行動して時間がたつと効果が消滅するタイプのスキルとはまた違った優位があります。
 また、召喚獣はフィールドでは対象を定められるものが多いので、遠距離攻撃などは回数が多く威力が低いものをキーコードとして用いれば、威力の強いスキルを温存できます。
 時間に余裕があるシナリオならば、事前に召喚獣を召喚して見張りなどを倒すといった使い方ができるわけです。
 ただ、攻撃系の召喚獣は、勝手にキーコードを発動するので、人質がいるギミックバトルでのような繊細な場面では危険です。御注意を。
 敵を掃討するようなシナリオでない限りは、防御系や回復系の召喚獣を召喚しておき、長時間戦うようなボス戦では手札に来た攻撃系召喚獣に換えるパターンが堅実です。
 自動で発動する召喚獣は、リューンの【水精召喚】のような回復がもっとも使いやすく堅実で、戦闘では有難い効果です。
 召喚獣が使い切られるまでの間、召喚した後の間を補うため、アイテムによる補助があるとさらに理想的です。
 あるいは、召喚系以外のスキルをセットすれば、召喚獣スロットを気にしない行動も可能ですが、その場合はスキル装備の傾向を攻撃なり回復なりに統一すると、行動が中途半端になりません。
 召喚タイプのスキルは、自由な装備をしてもそれほど苦痛には感じないでしょう。戦闘中に召喚獣が勝手に行動するからです。
 召喚獣が発動するまでの隙を、いかに補うかが重要です。
 召喚獣は自身に召喚することが多くなるので、付帯能力の装備は控えるべきです。
 
 実はアタッカーやアイテムユーザーのようなタイプは、召喚獣スロットが空きやすいので、召喚タイプのスキルを少数セットしておくと意外にも使えます。
 もともと戦闘力が高いアタッカーは、召喚とコンビネーションでスキルを用いることで、各段に実力をアップできます。
 リプレイのラムーナのような、ダンス系召喚スキルと攻撃スキルを組み合わせた戦い方をするものが、これにあたります。

・ヒーラー
 常に手札に回復スキルが1枚はあるように、スキル配布アイテムを装備し、回復スキルは「多め」に装備します。
 体力の回復を中心に、毒や麻痺、精神の回復は、アイテムか体力回復を含む複合スキルにしたほうがよいです。
 というのも、毒や麻痺、精神の異常は普段の戦闘ではあまり起こらないからです。
 【静心の法】や【血清の法】は、使う機会が訪れないまま、体力回復スキルの配布を妨げる傾向が強いのです。
 精神異常を用いてくる敵や、毒をもつ敵と対峙するのでない限りは、回復量が少なくても体力回復のスキルを第一に考えたほうがよいでしょう。
 ダメージは戦闘ではほぼ回復ばかり頼りますし、毒で低下した体力を回復できる分、体力回復のスキルの方が使い勝手が良いです。
 専業のヒーラーは、体力回復のスキルをできるだけ多く装備します。
 スキル配布アイテムがなければ半数、スキル配布アイテムがあっても、3分の1ぐらいは欲しいところです。
 対象1人を大きく回復するスキル、全体を小回復するスキル、対象1人の体力と毒や麻痺を回復する複合スキル、精神と体力を回復する複合スキルを全て持っていれば、ヒーラーとしては超一級です。
 サポーターと兼業するのもよいでしょう。
  
・サポーター
 他の職業と兼業させることができます。
 ただし、あまりにサポーターの要素を強くしすぎると、兼業する職業の要素を喪失させてしまいます。
 サポーター要素の強い、能力強化系スキルは、構成を半分以下にするか、あるいは専業に設定すべきです。
 大胆にくっきりと構成し、相応しい戦略で用いることが重要となります。
 代表するものは、僧侶や吟遊詩人のような職業です。
 専業のサポーターの場合、戦闘では仲間の補助か、邪魔にならないように防御系アクションカードで我慢しましょう。
 PCの適性がどれも平均的でふるわない場合、サポーターがもっとも適しています。
 能力向上系のスキル、特に使用頻度の高い「防御力」と「行動力」を優先してセットすることがお勧めです。
 低レベルのスキルを序盤にどんどん使い、ボス戦まで高レベルのスキルを温存しておけば、肝心な場所で本領発揮が可能です。
 スキル配布のアイテムを持って、できないことはあきらめ、仲間の補佐を第一に考えましょう。
 「行動力」を上げていれば、雑魚程度ならば戦えるように自身を強化するという戦略もあります。
 きちんとしたサポーターならば、全体の強化よりも、個人の能力を複数強化する複合スキルや、一個の能力を爆発的に増加させるスキルを持って、ピンポイントで強化していくと扱いやすいでしょう。
 防御力UPのスキルは、率先して回復スキルを持つキャラクターに使うと、打たれ強くなりますよ。
 「献身的」にスキルを使うことが、「生かす」行動に繋がります。
 もう1つ、仲間の手札を手助けするタイプもあります。
 スキル配布のアイテムはレアだったり、高価なので、仲間のスキル配布を手伝うメンバーがいると助かるのです。
 仲間を専業の行動に集中させることができるでしょう。
 サポーターは「縁の下の力持ち」です。
 
・オールラウンダー
 万能タイプです。
 スキルに一定の統一感を持たせることがとても重要です。
 なんでも装備、ではなく、攻撃なら攻撃、魔法なら魔法で、どのような状況でも結果を出せるようにスキルを装備すると良いです。
 もっとも多様な能力を求められますが、要は「攻撃タイプ」にするか「回復+サポーター」タイプにするかです。
 どうしても攻撃と回復をあわせたオールラウンダーを作りたいなら、攻撃はアイテムカードに頼り、手札をそろえたらアイテムカードで停滞させつつ、必要なときにスキルを使う、「待ち」型の戦法が有効です。
 スキルは手持ちの札を使う機会が来てから使うのです。
 神官戦士などはこれに属するでしょう。
 しかし、どうしても器用貧乏な雰囲気は否めません。
 本職に比べて劣る部分を、戦術やスキルのコンビネーションで補うよう心がけることが必要になります。

・アイテムユーザー
 盗賊のように、戦闘以外にこそ役立つスキルが多いタイプにお勧めです。
 戦闘で役立つことは放棄し、【フェイント】や【見切り】をしつつ、攻撃や行動はアクションカードやアイテムカードに頼るスタイルが良いです。
 そもそも、盗賊は戦闘では役立たずであることが当たり前なので、人並みに戦うつもりなら工夫が必要です。
 アイテムの多くは器用度の適性なので、回復役が倒れたときに回復薬を使う(素早いので全滅する前に使える可能性があります)とか、ギミック戦闘で特殊アイテムをつかうとか(鏡で視線を跳ね返すとか)はこのタイプに任せると良いです。
 いると便利な予備要員であり、アイテムという堅実な手段を確保できるので、いざと言うとき保険になります。
 アイテムは勝手に使用しないように、前回紹介した〈ホールド〉をしておきましょう。
 武器タイプのアイテムカードがあれば、適性が合うか、固定効果が強い場合、なかなかの活躍が期待できます。
 雑魚の数を減らしたり、瀕死の敵に止めを刺す役回りに回すのがコツです。
 


◇さらに高度なスキル装備
 スキルの装備において、もう1つ特別な装備の仕方があります。
 それは、「あまり配布されたくないスキルは、レベルの高いものにする」というものです。
 
 カードワースでは、スキルレベルが高いと、使用回数、すなわち持ち札が少なくなるというシステムです。
 戦闘以外では、スキルは自由に使うことができますから、あまり配布して欲しくないスキルがあったら、装備するキャラクターのレベルより若干スキルレベルの高いものにするとよいです。
 具体例は【魔法の鎧】などで、一度戦闘直前に使えば、しばらくは使わなくても平気なこのようなスキルは、あまりあるとかえって手札の循環を邪魔になることもあります。
 5レベルのスキルならば、3レベルの頃に装備し、レベルが高くなって配布効率が上がってきたなら、それより低レベルの他のスキルを装備してその配布を数で圧倒するか、さらにレベルの高い同種のスキルに変えていくのです。
 スキルを使うことが前提の、とりわけヒーラーとサポーターの兼業のようなタイプは、このスキルセット方法を利用すると効率がよくなります。
 戦士に回復スキルを持たせる場合は、あえてスキルレベルの高いものにし、回復スキルを必要とする激戦では、スキルを使ってそれらのカードが後半に回って来易いようにするのもよいでしょう。
 
 応用として、低レベルのスキルを序盤に使い、高レベルのスキルを温存する戦術は、ボス戦で強い手札を維持するコツです。
 邪魔になるスキルは、使えるときに使い切っておき、重要な戦いで好みのスキルを振るえるようにすると、戦闘がよりドラマティックになりますよ。
 
 スキルのセットは、使い方を見越して行うことが大切なのです。
 
 
◇万能屋はアイテムカードで
 オールラウンダーの部分で解説しましたが、万能タイプは器用貧乏になりがちです。
 こういった万能タイプを使う場合、重視する行動をスキルとして、多少可能な行動はアイテムカードに頼ると使い分けが容易です。
 回復スキルに重点をおき、攻撃は少しずつダメージを与えられるアイテムカードとアクションカードに頼る。
 あるいはスキル配布アイテムを持っておき、スキルを手元においてから戦うスタイル。
 どちらにしろ、スキルに傾向を持たせて、手札の配布を確率で予想できることが大切です。
 大胆な割り切りも大切ですよ。

  
 長々と書きましたが、PCの職業的な雰囲気を損なわないように、考えた上でセットすることも大切です。
 いくら効率重視だからといって、個性の無い装備では、プレイする上でしらけることもあるでしょうから。
 アソビやイメージを損なわないことも、楽しむ上では重要です。
 
 リューンのスキルのみでは構成に限界があるので、食わず嫌いにならずに、他のシナリオのスキルも是非活用してみてください。
 
 ただ、あまりにレベルの高い(装備するPCより4レベル以上スキルレベルが高い場合)スキルの装備は、失敗しやすくなったり、プレイする上でバランスを崩します。
 必中の同じカードばかり装備しても、面白みの無いPCになるかもしれません。
 欠点を持ってみることも、その危機感にどきどきするスリルが味わえます。逆境を楽しんでみるのも一興かと。
 
 
 効率は、楽しめる程度に考えるのが好いでしょう。
 
 カードワースは、デュエルを行うようなものではなく、それぞれのプレイヤーさんが楽しんでプレイすることが大切だと、私は思うのですが。
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『ecclesia』

 真っ赤な夕焼けの下、“風を纏う者”はリューンの郊外にある『小さき希望亭』に帰還するために歩いていた。
 
 肩を揺すりながら、上機嫌に歩くのはスピッキオ。
 大柄で逞しい、聖海教会の司祭である。
 
 スピッキオが手に持つ新しい聖印が、夕日を反射してあざやかに輝いていた。
 
「…はあ、その金メッキ、しまってよね。
 見てるとまた腹がたってくるから」
 
 とある教会で手に入れたその聖印を、スピッキオは大切そうに撫でている。
 メッキとはいえ、使われた黄金がしっかりと塗布された重厚な造りのそれは、なかなかに立派である。
 
 もともとのスピッキオの聖印は木製だったためか、狼との激しい戦闘のなかで壊れてしまった。
 
 それはスピッキオに子供が寄進してくれたもので、とても大切にしていたものだったが、粉々になるとどうしようもない。
 気落ちしていたスピッキオだったが、その聖印を手に入れてから随分元気になった。
 
「そう言うでない。
 儂ら僧侶にとって、聖印とは心の拠り所となる柱のようなものじゃ。
 ましてや、この聖印は真実を照らす強き意志の聖人、縁のもの。
 
 それにしても、彼の聖トリスタに関わる教会だったとは…」
 
 スピッキオは宗教学にとても造詣が深い。
 列聖された聖人も、教派を問わず全部暗唱できるほどだ。
 
 真実を暴き照らすという聖人トリスタの名は、竜殺しのゲオルギウスなどの特別有名な聖人に比べ、あまり知られていないがその偉業を讃える者は多いのだという。
 加えてスピッキオ曰く、トリスタは聖海教会でも信奉する教派があるという。
 
「聖人は、女性の場合や異教に関わる場合は賛否両論あって、同じ教派の中でも扱いが違うのじゃ。
 
 北方で名を高めた癒しの聖女オルデンヌは、彼女同じ聖海教会の中にさえ、魔女扱いする輩もおるからの。
 儂が修道院で読んだ聖人伝の中には、破り捨てられたものや、新しく書き加えたものが沢山あった。
 
 10年ほど前には、異教撤廃を訴えた保守派の司祭であったグーニのジャンピエロが、〝女性の列聖は淫魔の誘惑に負けた異端の所業である〟などと言って領主と結託し、3人の修道女を魔女として焼き殺しておる。
 この男は聖ミネルヴァや聖オルデンヌの挿絵がある書物を焚書とした後、修道女の父親に後ろから刺されてその火にくべられたそうじゃ。
 
 儂は、教派が違おうと、敬うべき行いをした聖人ならば尊ぶべきと考えるがの」
 
 そして、聖印をまたそっと撫でる。
 
「儂は、黄金や銀を信仰しておるのではない。
 
 この聖印が尊き形であれば、そこから祈りが届くと、信じておるよ」
 
 ほっほ、と笑うスピッキオ。
 レベッカは、はいはいと、疲れた様子で肩をすくめた。
 
 
 それは数日前のこと。
 
 フォーチュン=ベルからリューンに帰還し、宿に戻る途中、リューンの郊外にある教会で小さなに行き当たった。
 祈るために立ち寄りたいというスピッキオに、ものめずらしさも手伝って、仲間たちは特に反対もしなかった。
 
 折りしも、その教会は祝日であり慈善市(バザー)が開かれていた。
 
 慈善市とは、教会が孤児院や教会を維持する上で、信徒の不要な私物や、教会手製の品物を持ち寄り、それを販売した金銭を活動資金として教会に寄付する好意である。
 場合により教会は、免罪符や教会に関係した、聖別した装飾品を売ることなどもあり、教会の重要な収入源となっている。
 特に、大きな教会などと違って、あまり寄付が集まらない教会や、孤児院などの慈善施設を維持するには重要な資金源である。

 慈善市で売り出される衣料品や小道具は、大抵は古着や古道具の類であるが、この教会では普段から教会の特別な信徒に譲っている特別な装飾品を売っていた。
 スピッキオが見つけたその聖印(クルシス)も、そういったものの1つだった。
 
 にぎやかな慈善市を見回っていたときである、スピッキオは並べられていた小さな聖印を手に取り、少し驚いたようにそれを見つめた。

 何気なくその聖印に張られていた値札を見て、レベッカは目を疑い、何度も桁を確認した。
 レベッカの鋭い鑑定眼は、それがメッキであることを即座に見抜いている。
 
「こんなのが銀貨千枚ですって?
 
 何の冗談よ…」
 
 レベッカの見立てでは、価値は値札の5分の1が相場だった。
 売っていた優しそうな尼僧の話だと、磨いた青銅に金メッキをしたものだが、特別な秘蹟で聖別されたものだという。
 祈りの力を高めるため、秘蹟を使うスピッキオには有難い品である。

 レベッカとスピッキオの、買う買わないという問答は長く続いたのだが、スピッキオに粘られ、終いには聖人トリスタに関わる説法を2時間もされて、折れた。
 
「僕の魔導書に効果が似ているね。
 
 だとしたら、いつでも確実に秘蹟を使ってもらえるから有利になるよ」
 
 ロマンの言葉に、仲間たちはレベッカ以外がすべて賛同している。
 
「せめて、本物の銀とか金なら付加価値ができるのにねぇ。
 
 ま、だとしたらこのお人好しの爺さんだと盗まれるでしょうから、丁度いいかもね」
 
 所持金の減り具合を理由に、渋っていたレベッカも、仲間の総意ならばと従った。 
 説法を聞かされたせいで、疲れ切っていたのが最大の理由であったのだが。
 
 しかし、パーティの財布を預かるレベッカとしては痛い出費であった。
 財布がこれ以上軽くならないことを真剣に祈ろうかと、レベッカはため息をついた。

 しかし、にわか仕込みの祈りなど、神は許さなかったらしい。
 
 さらにその日、慈善市を眺めていた少女から、レベッカは哀れみの目で見られた。
 信仰心が足りないから可哀そう、だそうである。
 
 スピッキオにも同じことを言われ、レベッカは神に祈ろうとしたことは黙っていようと心に誓う。
 そして神に祈るのは、この逞しい爺さんだけで充分、と敬虔になることは早々にあきらめたのだった。
 
 これ以上の買い物はだめよ、と念を押しつつ、レベッカも結局は慈善市を大いに楽しんだ。
 金を使わないにしても、品物を眺めることは楽しいし、客人に無料で振舞われた菓子の類がことのほか美味だったこともある。
 
 レベッカは宿代の節約のために一計を案じ、一晩の宿を条件に売り子の老いた尼僧の手伝いをし、慈善市に集められていた古道具の類を完売させてみせた。
 さらに嬉しいことには、それに感謝した教会の司祭と尼僧が、シグルトたちに夕食を御馳走してくれることになったのだ。
 
 シグルトたちは客人として一晩この教会に逗留し、その間に教会に住む人物たちと知り合う機会を得た。 

 
 教会の庭園では、アーサーという騎士風の男が、剣の鍛錬をしていた。
 聖騎士、この時代では聖堂騎士や半僧職にある特別な騎士で、彼の所作を見たシグルト曰くかなりの実力者だという。
 
 レベッカの信仰心の無さを指摘した、不思議な少女ラティレアが、アーサーに付きまとうように側にいた。
 人見知りをするタイプだが、内気な態度の中に好奇心を隠せない少女である。
 
 アーサーのマントの後ろで、興味深げにこちらを観察するラティレアに、シグルトは仲間が驚くような穏やかな表情で近づくと、声をかけていた。
 子供とは正直な者で、美しく優しいシグルトにラティレアはことのほか懐いたようだった。
 
「この子がこんなに懐くなんて、珍しいんですよ」
 
 鍛錬を終えて汗を拭きながら、アーサーはラティレアの頭を優しく撫でている。
 
「シグルトは好い人です。
  
 でも、神様のこと、あんまりお祈りしません。
 それは、だめです」
 
 少し舌足らずな、独特の口調で話すラティレア。
 この少女は人の信仰心を見抜く、不思議な才能があるのだという。
 
 レベッカやロマンは哀れみの目で見られて、早々に場を辞した。
 
 シグルトはラティレアの評価に苦笑して、そうかもしれないな、と微笑んだ。
 
 普段は張り詰めた表情が多いシグルトであるが、純粋な子供の前では和らいだ表情をする。
 スピッキオがそれを指摘すると、シグルトは子供好きであることを告白した。
 
 シグルトの意外な一面である。 
 硬派で厳しい雰囲気のシグルトが、ラティレアと一緒に和やかに花の話をするところなどは、仲間たちを驚かせた。
 
「私、アーサーみたいに長い名前、ありません」
 
 自分の名を名乗るとき、姓のないことを付け加えたラティレア。
 少し寂しそうな表情である。
 
「そうか、実は俺も名前はシグルトというだけなんだ」
 
 そう言って、すぐ返すシグルト。
 
 シグルトの故国は、姓という概念のない国である。
 大抵は姓のかわりに、「~の子」というニュアンスの名を名乗る。
 
 子供というものは、共感するものに好意を示しやすい。
 特に、内気な子供はそれが顕著である。
 
 ラティレアも、そう思ったのか…
 
「私のが、ちょっぴり長い名前。
 シグルト短くて可哀そう。
 
 だから私のこと、ラティ、呼ぶです。
 これで一緒です」
 
 不思議な価値観で同情されたシグルトは、にこやかにラティレアの頭を撫でて頷いていた。
 
 ロマンはグレンというこの教会の司祭と話し込んでいた。
 グレン司祭は、豪放磊落で声の大きな人物だった。
 
 司祭が取り出した様々な道具を、ロマンは感心した様子で見つめ、時折質問している。
 意気投合しているのか、熱弁を振るう2人の間には、他人が入っていけない雰囲気がある。
 
 一方ラムーナは、教会の裏手で薪を割る修道士風の男をじっと眺めていた。
 その男は、シグルト以上の仏頂面で、薪をなんと素手で叩き割っている。
 
 曲芸じみたそれが珍しいのか、ラムーナは側で目を輝かせていた。
 それが気になるのか、その修道士風の男キーフは、時折ラムーナを睨むように見ては、また薪を割ることを繰り返していた。
 
「ラムーナ、あんた睨まれて怖くないの?」
 
 ぶらぶらと散歩していたレベッカが聞くと、ラムーナは人懐こい表情で微笑んだ。
 
「キーフさんは、薪の欠片が当たらないか心配してくれてるだけだよ」
 
 優しい人だ、というラムーナの評価にレベッカがキーフを見ると、彼は腰に下げた重厚な数珠(ロザリオ)を揺らして、ぎろりとレベッカを睨んだ。
 
「私にはそうは見えないわ…坊主って苦手だし、退散するわね」
 
 そういって場を後にするレベッカの後ろで、薪が2つになる豪快な音がまた響いた。
 
 
 スピッキオはレイオラという老シスターと、ハーブティーを飲みながら和やかに話していた。
 
「実に好い教会じゃな。
 
 教会と言うよりは、修道院に近い雰囲気がある。
 天の恵みを享受し、穏やかに健やかにある信仰とは好いものじゃ」
 
 お代わりの茶を注ぎながら、レイオラは頷いた。
 
「ふふふ、グレン様なんかはお説法のときに熱が入りすぎてしまったりするのだけれど…
 
 ここにいる人たちは、み~んな好い方たちですよ。
 穏やかで、和やかで」
 
 のんびりした口調で言うレイオラに、スピッキオはふむと頷いた。
 そして、程よい温度に煎れられたハーブティを、目を細めて飲み干した。
 
 やがて夕刻になり、一行は教会の人々と別れを惜しむと、宿に帰るのだった。

 
 
 短編で、匈歌ハトリさんのシナリオ『ecclesia』をリプレイです。
 激しい戦いが続いた“風を纏う者”が、ちょっと癒される、そんな感じでプレイしました。
 
 『ecclesia』は教会型の店シナリオです。
 ぺすとるが大好きな方は、愛用なさっている方も多いかも。
 今回のリプレイでは、肝心の部分はごまかしました。
 銃の扱いは、中世でも12世紀から14世紀をモデルにしている、シグルトたちのリプレイでは、扱いがとても難しいのです。
 それでもこのシナリオをプレイするのは、十字架タイプのアイテムの購入ができるからと、何よりほのぼのしたシナリオの雰囲気に癒されるからです。
 
 各NPCが、生き生きと描かれており、私の好きな店シナリオの一つです。
 カード絵も、素材を提供してくださるほどの方ですから、秀麗なものばかり。
 ただし、ほとんどのスキルやアイテムは【_厚き信仰】専用なので、僧侶タイプのPC以外はあんまりお呼びでないです。
 ピクニック感覚の採集シナリオの前に、パイやランチを買って行きたい気もしますが。
 
 私はリプレイの上では銃の扱いを出していませんが、実際はレトロなフリントロックのような銃は大好きでして。
 海賊映画に出そうな単発銃は、触りたくなります。
 普通の聖銃は、称号関係なしで使えるみたいですから、盗賊タイプの隠し武器に好いかもしれませんよ。
 
 アクセサリー、【クルシス】はやや強力ですが、金ぴかの方はスキル配布アイテムなのでなかなか使えます。
 この手の僧侶用をイメージさせるスキル配布アイテムはなかなかありませんし。
 
 【ロザリオ】は高レベルになれば有難いアイテムです。
 ちょっと強いですが。
 ちなみに、リプレイ中でもちょっとだけ書いてますが、ロザリオは本来カソリックの祈祷数珠のことで、祈りの回数を数えるために珠が連なったものです。目的は仏教の数珠と似てますね。
 十字架がついてるものがありますが、大切なのは珠の方なんですね。
 初期型のものは、回数用の珠ばかりで、十字架が付いてたり、首に掛けられるものは発展型みたいです。
 爪繰るものですから、首に掛けることは間違いだそうです。
 首に掛けるペンダントタイプのクロスとは別物ということですね。
 昔のお坊さんは帯に挟んでぶら下げていました。
 
 スキルは、戦う僧侶に向いたものが多いです。
 カード絵がとても綺麗で、名前がまた通にはたまらないでしょうね。
 お勧めの店シナリオです。
 
 現在は匈歌ハトリさんのサイトでDLできます。
 匈歌ハトリさんが前のハンドルネームだったときにはギルドにも登録されていたはずですが、今DLできるものはNPCの絵が一新されていて、また素敵な感じです。
 私、レイオラさんの大ファンでして…、ほんわか笑っているあのおばあちゃんを見ると和みます。
 
 シグルトたちが作中の聖トリスタ教会に訪れるのは、アーサーがぎっくり腰になる少し前をイメージしています。
 アーサーとラティレアの掛け合いは楽しいです。
 
 作中、聖海教会と聖北教会の聖人のことにちょっと触れてますが、Y2つのリプレイ仕様です。
 Martさん、匈歌ハトリさん、リプレイの都合ということで、お許しください。
 
 
 さて、今回の収入と出費ですが…

◇シナリオ 
・ecclesia(匈歌ハトリさん)
 クルシス(-1000SP)
 
◇現在の所持金 800SP◇(チ~ン♪)


〈著作情報〉2007年07月11日現在
 
 『ecclesia(エクレシア)』は匈歌ハトリさんのシナリオです。現時点で匈歌ハトリさんのサイト(ブログ)で素材とともに配布されています。
 シナリオの著作権は、匈歌ハトリさんにあります。
 
 カードワースはgroupAskに著作権があり、カードワースの管理、バージョンアップ、オフィシャルな情報等はgroupAsk official fansiteにて、カードワース愛護協会の皆さんがなさっています。
 このリプレイは各シナリオをプレイした上で、その結果を小説風リプレイとしてY2つが書いたものです。
 書かれた記事、書かれる記事は、特定のシナリオの名前が出たときは、そのシナリオの著作権はすべてそのシナリオの作者さんにあります。
 
 また、リプレイ中に使われる内容には、各シナリオで手に入れたスキルやアイテム、各シナリオに関連した情報等が扱われることがあります。
 それらの著作権は、それぞれのシナリオの作者さんにあります。
 またカード絵等の素材に関しては、シナリオ付属の著作情報等を参考にして下さい。
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記念品のバグについて

 管理人のY2つです。
 
 5月31日、このブログの一周年記念で送った品ですが、たくさんバグがあったので、31日にコメントを下さった方には、修正をしつつ時機を見て最新版をお送り致します。お許し下さい。
 
 加えてまたバグが出ています。
 6月1日に見つかったバグです。
 この日のうちに記念品をもらった方は、このバグは特別スキルに影響するものではありませんが、『剣士の求め』の部分を御確認ください。
 
 やっぱり、テストプレイ、製作者1人では追いつかないのかなぁ…
 
 必要でしたら、修正版をお送りします。(自分でエディタ弄って直していただいてもOKです、著作権に触れるような内容ではないので)
 『剣士の求め』、致命的バグはもう無いと思うのですが…
 面目次第もございません。
 苦情は、この記事のコメントでお受けします。
 
 
 バグの内容は、
 
・『剣士の求め』
 スキルカード【輝陽閃】のレベルとスキル販売の説明文の修正。(すでに修正版をお送りしました)
 
 同じく【輝陽閃】のカード説明、メニュー説明の誤字。
 カード関係の誤字修正は…
 
「レベル3技能カード(剣技)。闘志を光に変えて剣に宿し、その一振りは有形無形の敵を断つ。実体無き敵にも届くその攻撃は不浄な存在に対しては、凄絶な威力を発揮する。光は太陽と同じ輝きであり、周囲を明るく照らすだろう。勇猛性と剣を振るう腕力を要する。」

 カッコ内の説明文に、カード、メニューの説明文を交換すれば応急処置(スキルを使用するだけ)可能。
 
 6月2日、【破陣襲】、販売説明の誤文を修正。
 ×【薙ぎ払い】→〇【薙ぎ倒し】。
 スキルそのものに影響はありません。そのまま書き換えるだけでも応急処置可能。
 
 
・『風たちがもたらすものVer1.01SP』
 スキル【旋風の乗手】の召喚獣【飛翔の旋風】の召喚獣の説明文に誤字。

「召喚獣カード。スキル【旋風の乗手】によって呼び出された旋風。付帯者を乗せて空を飛ぶ。具体的には飛行能力と浮遊能力を得る。また旋風は障壁となって術者を守ってくれるだろう。」
 
 カッコ内の説明文に、【飛翔の旋風】のカード説明文を交換し、スキルカードにセットすれば応急処置可能。(スキルは問題なく使えるようになります)
 
 スキル【魂散る閃き】6月1日、バグ報告がありました。
 攻撃時の防御低下モーションにおかしな部分があります。
 
 最初の防御低下モーションの方を-10にセットすれば応急処置可能。
 
 6月19日、アイテム【紅蓮の魔弓】のバグ報告がありました。
 適性が敏捷度になっていますが、器用度が正しいです。
 
 エディタで適性を敏捷度から器用度にすれば、応急処置可能。

 
 6月22日、付帯能力【猫の業】のバグ報告がありました。
 消したはずだったのですが、セーブ不良だったようです。
 【猫の業】についている使用イベントは不要です。
 すべて取り除けば応急処置可能です。
 

 7月7日、スキル【悪辣なる剣】のバグ報告がありました。
 使用イベントにおける称号分岐の過ちです。
 
 【悪辣なる剣】使用イベントで、
1.「魔剣の恩恵」ツリーにおける一番最初の称号分岐を、
 ×「現在選択中のメンバ」→〇「パーティの誰か1人」へ。
2.「魔剣の災厄」ツリーにおける一番最初の称号分岐を、
 ×「現在選択中のメンバ」→〇「パーティの誰か1人」へ。
3.「魔剣の災厄」ツリーにおける最後から一つ前の称号消去を、
 ツリーにおける最後から二つ前の称号消去と位置交換。(推奨)
 
 以上の変更をすれば応急処置可能です。
 「3.」は
 「魔剣の災厄」ツリーにおける最後から一つ前の称号消去を、
 ×「現在選択中のメンバ」→〇「パーティ全員」へ。(非推奨)
 でも大丈夫です。
  アップデート版では(推奨)の方を使います。

 
 7月9日、スキル【蹂躙の災禍】及び召喚獣【雷光の鉄鎚】のバグ報告がありました。
 
 具体的には召喚獣【雷光の鉄鎚】分岐の誤字ですが、セットしなおさなければならないので、【蹂躙の災禍】にもバグが残ってしまいます。
 
1.召喚獣【雷光の鉄鎚】の使用イベントで、最初の称号分岐を、
 ×【:電撃の鉄鎚】→〇【:雷光の鉄鎚】へ。
 ×「;」「電」「槌」→〇「:」「雷」「鎚」。
 似ているので、間違えないように御注意を。
2.スキル【蹂躙の災禍】の使用イベントで、下から2番目のツリー、「【雷光の鉄鎚】召喚」の上から二つめの効果イベント、召喚モーションの召喚獣を【雷光の鉄鎚】にセットし直す。
 
 以上の方法で応急処置可能です。
 非常に繊細で面倒な処置で、すみません。
 
 加えて【蹂躙の災禍】の使用イベントには誤字があります。
 使用イベントの下から4番目のツリー、「【破滅の落星】召喚」で、
 効果イベント「【破滅の落星】と一緒に【隕石郡】が現れた!」とありますが、
 「【破滅の落星】と一緒に【隕石群】が現れた!」が正しいです。
 ×郡→〇群です。
 お許しください。
  
 
 バグ報告感謝です。
 
 最新版は『風たちがもたらすものVer1.01SP´β2』です。
 
 6月末までに記念品を送った方々は、とりあえず応急処置を実行してお使いください。バグ修正+多少データ追加した『風屋』の最新バージョンを、7月に一斉送信致します。
 
 これから希望の方には、バグのみ修正したβ版を送りますので、少しの間お待ちください。
 
 御迷惑をおかけします。

 
 
・『風屋』新札先行配布
 アイテム【備前長船】のデータ。ダメージがすべてレベル比になっているが、3つのモーション中、下2つは固定ダメージが正しい。
 
 ダメージモーションを下2つ、レベル比から固定に変えれば、応急処置可能。
 
 6月23日、スキル【金色の英雄】のバグ報告がありました。
 使用イベントに問題があります。
 
 スキル使用イベントツリーの「クーポン『_♂』を所有している」は誤りで、「クーポン『_♂』を所有していない」が正しいです。
 これを修正すれば応急処置可能です。
 
 最新版はファイル名の横に「´」がついています。
 7月にカードを追加した最新版をお渡しする予定です。

 
 6月27日、「´」版に余分なファイルが入っていることが判明しました。
 プレイに支障はありませんが、ファイルが少し重くなるので、解凍してシナリオと同名の同枠ファイルは消して下さい。
 御迷惑をおかけします。
 
 
 今後送る方には、これらは修正されています。
 他にバグ報告がありましたら、ここにコメントして下さいね。
 
 申し訳ありません。
 
 バグ報告を下さった方々、ありがとうございます。
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『希望の都 フォーチュン=ベル』 ゴブリンと狼

 冒険者パーティ“風を纏う者”は最初の冒険を契機に、小さな依頼をこなしながら、各都市を巡っていた。
 
 最初はリューン近郊の村でねずみ退治に参加したり、近所に迷惑をかけて立てこもっている子供を取り押さえたりといった、実に地味で小さな仕事をしつつ、日銭を稼いでいたが、旅するうちに希望の都と名高いフォーチュン=ベルに到着する。
 
 湖と山に面した美しいこの都は、英雄と呼ばれるに相応しい冒険者が、何らかの形で関わることの多かった。
 そのためか、その幸運にあやかろうとする若い冒険者たちがよく訪れる。
 
 交易も盛んで、この都市でしか手に入らない品もあるという。
 そして、ロマンがどうしてもほしいという魔導書を偶然見つけ、一行は高い買い物をすることになった。
 
「銀貨二千枚よ、二千枚!
 
 あの黒い僧服イ○レ女の時の報酬と同じなのよ!
 
 ああ、もう信じられない!!!」
 
 大きな散財だとレベッカは嘆いたが、シグルトはなだめるように言った。
 
「ロマンの魔術は俺たちの切札になる。
 
 いざというとき、すぐに呪文を唱える準備ができるというあの本は、これから必要だ。
 次にこの都市に来るのがいつになるかわからないし、買えるときに装備を整えるのは基本だろう?」
 
 シグルトがそう言うと、レベッカは何も言えなくなる。
 
 この男は、仲間のために自分が一番損をしていても平気な男だ。
 
 大金を得ることができた最初の頃の依頼で、一番活躍していたのはこの男である。
 しかし、シグルトが今腰に下げている剣は、彼が冒険者になることを彼が決意して三代目であり、2本目のお下がりである。
 
 レベッカは、装備に妥協する気はない。
 ロマンのもつ魔導書を買うお金があれば、優れた技術をたくさん学べるし、薬や道具、シグルトにふさわしい剣や鎧だって買えるのだ。
 
 ばつが悪そうなロマンの肩をぽんぽんと叩いて、シグルトは大丈夫だというふうに微笑んでいる。
 納得がいかなくても多数決で決まったようなものだ。
 他の2人はこういう欲に関わることはからっきしである。
 
「はあ、シグルトがそう言うんじゃ、私だけ悪者じゃない!
 
 …もう、いいわよ。
 いまさら買ったもの返しても足元見られるんだし」
 
 そういってレベッカは肩を落とした。
 
「絶対役立ててみせるよ!」
 
 ロマンの小動物のような目にも弱い。
 
 結局折れるレベッカだった。
 
 
「っ!!!」
 
 気合とともにシグルトは、攻撃を受けたゴブリンを、そのまま力任せに吹き飛ばす。
 
 今シグルトが使う剣は、折れないようにと、切れ味は二の次の重い片手半剣(バスタードソード)だ。
 引退するという老冒険者から譲ってもらったもので、かなりの重量がある。
 そのかわり頑強さは確かだった。
 
 襲い来る3匹のゴブリンを相手に、シグルトは後衛を庇い、かすり傷を負いつつも敵を圧倒していた。
 次の一撃でゴブリンの頭蓋をかち割り、続く敵へと立ち向かう。
 
 レベッカとラムーナが、ゴブリンの奴隷らしいコボルトを相手取り、スピッキオは杖でコボルトと戦っている。
 狭い洞窟では、スピッキオの杖は扱い難い様子だった。
 
 しかし仲間と協力して、何とかコボルトを倒すことに成功する。
 
「スピッキオッ!
 突きで牽制しながら、敵の膝頭を狙え。
 
 ラムーナとレベッカは、互いの背中を守るようにその調子でそいつを抑えるんだ。
 
 …ロマンッ、魔術で支援をっ!!!」
 
 矢継ぎ早に指示を出して、戦闘指揮を執るシグルト。
 
「《…眠れっ!》」
 
 ロマンが【眠りの雲】で、ボス格のゴブリンシャーマンと、ゴブリン1匹を眠らせると、シグルトはその横で背後から襲い掛かってきたコボルトの腰椎を剣の柄頭で粉砕し、逆手の肘で吹き飛ばした。
 その死体に邪魔されたゴブリンが怯む。
 
「起きてる奴は、その2匹だけだ。
 
 油断せずに追い込むぞっ!」
 
 シグルトに呼応して、仲間たちがじわりじわりと敵を追い詰める。
 
「《…眠れっ!》」
 
 怯えた敵が背中合わせで集結した瞬間、狙っていたかのようにロマンがもう一度【眠りの雲】で敵を眠らせる。
 全て眠った敵を掃討するのに、時間はかからなかった。
 
 
 フォーチュン=ベルで受けたゴブリン退治の依頼は、ゴブリンたちのいる本拠地を突き止めることから始まった。
 調査はレベッカのような盗賊の本分である。
 たちまちにゴブリンたちの住処を見つける。
 
 ロマンが【眠りの雲】の呪文を用いて見張りを眠らせ、全員で奇襲を仕掛け、圧勝に終わった。
 
 奇襲の指揮を執ったシグルトの指示の巧みさと、ラムーナの突撃力、スピッキオの思わぬ豪傑ぶり。
 
 素早い敵はレベッカとラムーナが挟むように撹乱し、ロマンが手に入れたばかりの魔導書の力で素早く呪文を仕掛け、敵を無力化する。
 効率的で堅実な作戦は、シグルトの指揮能力によってより確実な作戦に変わっていた。
 
「ね、買っておいてよかったでしょ?」
 
 少し誇らしげにロマンが胸を張る。
 今回もっとも活躍したのは、確かにロマンの魔術だった。
 
「はいはい。
 
 ま、銀貨二千枚の投資分は、役立ってもらわなきゃねぇ」
 
 報酬の銀貨を数えながら、レベッカはやや上機嫌だ。
 
「…凄いですね。
 
 今回の依頼では、負傷者も出なかったんでしょう?」
 
 フォーチュン=ベルの冒険者の宿、『幸福の鐘亭』の女店主メイフィールドが酒の肴を用意しながら、話しかけてきた。
 
「ああ、有難いことにな…」
 
 この美貌の女店主を目当てに、この宿に飲みに来る冒険者以外の常連客も多い。
 愛称はママで、愛想もよく、口調は上品。
 
 彼女を見ながら、男性客の何人かが鼻の下を伸ばしている。
 
 その視線の先で話している美男美女は、実に絵になった。
 シグルトは、聞かれたことにただ答えているだけなのだが。
 
「またこの手の依頼があったなら、紹介してくれると有り難い。
 
 駆け出しの俺たちは、仕事を取るためにもいくらか名を売る必要があるし、経験も必要だ。
 
 命に関わる、あまり危険な討伐の仕事ばかりするのは、本来はよくないんだが…最初のうちにこういった荒事にも慣れないといけないだろう。
 あらゆる状況に対応できなければ、冒険者は生き残れないと言うし、な。
 
 そういうわけだから、よろしく頼む」
 
 シグルトがそういって頭を下げると、女店主は少し頬を上気させて頷いた。
 
 凛々しい美貌のシグルトを見れば、貞淑な女性でも大抵は見惚れる。
 
 この女店主は未亡人で、前の夫を今でも愛しているらしく、男たちの口説き文句には見向きもしない。
 だが、シグルトに対しては、そういう女性も絵画や彫像に見惚れる感覚で惹き付ける魅力がある。
 
 加えて、シグルトの神秘的な眼差しは女殺しだ、とはレベッカの談。
 宿にいる他の女性冒険者たちが、ちらちらとシグルトを眺めていた。 
 
 『幸福の鐘亭』は、フォーチュン=ベルでも初心冒険者が訪れる冒険者の宿である。
 もう一軒ある『運命の呼鈴亭』は、超一流の玄人冒険者が行く宿であり、名の無い冒険者は行っても恥をかくだけだという。
 
 まずは無難に名を売り出そうと、シグルトたちは比較的小さな仕事から受けていた。
 
 冒険者として一番経験のあるレベッカが、こういう下積みをすることは、後に依頼をもらうためのコネクションの形成と依頼人の信頼を得るために絶対必要だと言い、シグルトとロマンはそれに賛成した。
 ラムーナは皆に従う意思を示し、スピッキオは特に反対せず受け入れた。
 
 その後、シグルトたちは真面目に地味な活動をせっせとこなしてきたが、その依頼の達成率はまだ十割という完璧ぶりだ。
 失敗するだろう、危険な依頼はレベッカが目ざとく見つけるし、冒険者にもっとも必要となる、戦士、盗賊、魔術師、僧侶の4つの分野をしっかりとおさえているシグルトたち“風を纏う者”は、状況への対応力が優れている。
 
 加えてシグルトがリーダーであることが、大きい。
 
 戦士として強く、誠実で生真面目なシグルトは依頼人の信用を得やすい。
 
 彼の美しい容貌もそれに一役買っているし、依頼人が高飛車で仲間のことを揶揄する場合、すっぱりと依頼を断る路線にもっていく。
 金銭よりはまず経験、と安くても確実にでき、依頼人の誠実さを重視して仕事を選び、加えて油断というものがまったく無い。
 仲間を重んじ、それを立てながら、まとめるべきところはさっと決断して承認する。
 問題が起これば責任はまずシグルトが取る構えで、失敗を仲間のせいにはしない。
 
 仲間たちは、シグルトに本気で不満を言う者は一人もいない。
 彼は、それだけのことをやり、そして責務は確実に果たすからだ。
 
 そのためか仲間への評価が厳しいレッベカですら、シグルトには厚い信頼を寄せていた。
 酒を飲めば、手放しに自慢するほどである。
 
 数日フォーチュン=ベルで過ごすうちに、“風を纏う者”のメンバーは、それぞれの特徴をよく知られるようになっていた。
 
 前述したリーダーのシグルトは、指揮能力に優れる戦士である。
 努力家で、暇なときは鍛錬を欠かさない。
 また戦士にありがちな力任せな戦い方ではなく、戦術を駆使した、見事な戦い方をする。
 仲間たちの中で誰よりも勇敢で、責任感が強く誠実だ。
 最初は態度と美しさに、付き合ううちにその性格に魅了されると、評価する者もいる。
 多くの冒険者を見てきた者たちは、シグルトはきっと名を残す冒険者になると、強く期待していた。
 
 パーティの御意見番で盗賊のレベッカは、その経験から非常に多くのことをこなしていた。
 交渉、依頼の吟味、情報集め…
 裏方とも言える仕事は、彼女がこなすとまったくそつが無い。
 ややだらしないところがあるが、いざ仕事になればまったく隙を見せない女であった。
 誠実で真っ直ぐなシグルトが騙されないよう、しっかりとしたアドバイスをし、常に狡猾で慎重である。
 “風を纏う者”が受ける仕事を堅実にこなせるのは、彼女のパーティ管理能力が優れているからだろう。
 金銭や装備のチェックも彼女の仕事で、仲間たちはいつも彼女の用意のよさに驚かされていた。
 
 魔術師であるロマンだが、その博学ぶりは驚異的であった。
 ロマン曰く、自身は賢者であるとのこと。
 子供と侮る者には容赦なく、その含蓄を思う存分出して相手をやりこめる。
 巧みな魔術と、シグルトの戦略を即座に理解する聡明さ。
 少しひねくれているが、努力家で謙虚である。
 端整で美しい容貌は、子供らしい中性的な姿から、一見少女のようにも見える。
 生真面目で、知識に対する執着が強く、パーティの生き字引のような存在だった。
 
 軽戦士であるラムーナは、パーティのムードメーカーだ。
 女性としてはまだ子供っぽさが抜けないが、底抜けに明るい彼女の姿は、仲間たちの清涼剤である。
 苦境にあっても、ぎすぎすした雰囲気でも、ラムーナが雰囲気を変えるのだ。
 だが、この少女が大変な仲間思いで、気配りができることは、仲間たちもよく分かっていた。
 観察力に優れ、レベッカほどではないが、器用で細かいことに気がつく。
 素早さは仲間の中では最も優れ、反応速度も一級である。
 シグルトに戦術を仕込まれ、体格的にも普通の戦士からは大きく劣るのだが、俊敏で巧みな戦い方を行うため、十分な戦力になっていた。
 
 聖海教会の僧侶であり、司祭でもあるスピッキオは、老獪で正義感が強い。
 この時代、僧侶は非常に尊敬される職業である。
 やや堅物ではあるが、良心的な判断力を持ち、豊富な人生経験から柔軟性もある。
 厳つい体格に似合わず温厚な性格で、異教に対しても理解がある。
 加えてスピッキオは優秀な秘蹟の使い手でもあった。
 彼の治癒の秘蹟は、仲間たちにとっては貴重な命綱となっている。
 さらにスピッキオは、優れた体格から旅で悪漢を追い払ってきた豪傑だ。
 杖を武器に戦う姿は、下手な戦士よりよほどそれらしい。
 
 この5人は、冒険に必要なスペシャリストが揃っていることから、実に優れたパーティだった。
 チームワークも、結成したばかりのパーティとは思えないほど強い。
 妬まれることすらあったが、“風を纏う者”結束は驚くほどに堅く、ものともしなかった。
 ある者は、〝“風を纏う者”が複数形でパーティ名を名乗らないのは、パーティが一つにまとまっているからだからだろう〟などと評価している。
 
 結成して一月にもならないが、“風を纏う者”は確実に名を売りつつある。
 そんなパーティに入りたいと、駆け出しの何人かが売り込んでくることもあった。
 
 一般的に6人で活動することが多いといわれる冒険者のパーティ要員数から見れば、5人組の“風を纏う者”にはまだ空席があると感じるのだろう。
 しかし、そのほとんどはレベッカの反対で、あるいは実力不足や性格の問題点を理由に退けられている。
 
 レベッカ曰く、「仲間や環境に甘えることが目的の連中とつるむ気は無い」そうで、まして美しい容貌のシグルトやレベッカ、ロマンといったごく個人と親しくなりたいという、軟派な目的なら論外だった。
 
 ごくまれに、自身に相応しい実力と評価して、少し実戦経験のある冒険者の売り込みもあるが、レベッカの評価は渋い。
 
〝1人であるってことは、なしかしら問題があったからよ。
 
 おまけに、自分の実力を売り込んでくる連中は、たいがい自意識が過剰だから選別には注意が必要だわ。
 気をつけないとチームプレイを乱されるし、私たちみたいに今でも十分安定しているパーティならなおさらね〟
 
 冒険者になってから数年間、ずっと仲間に対する理想が高く、シングルの冒険者を続けていたレベッカのお眼鏡にかなう者は、今のところ無かった。
 
 フォーチュン=ベルにやってきて2週間。
 “風を纏う者”は、ほぼ現在の形で安定しつつ、特別な5人組の冒険者として知られるようになっていた。
 
 やがて、その実力を頼って、また新しい依頼がやってくるのだった。
 
 
 その依頼は森に巣食う狼の討伐だった。
 
 10頭ほどいるという狼たちは、狡猾なボス狼に率いられ、旅人や木こりをも襲うという。
 
 最初、シグルトは珍しく仕事を請けるのを渋った。
 
〝狼みたいな野獣は素早く、森のような隠れる場所が多い地形では、さらに手強くなる。
 
 奇襲を受ければ、俺たちだけでは勝てるかどうか分からない〟
 
 しかし、切迫した依頼人の様子、加えて“風を纏う者”の名を頼っての依頼だったので、結局は皆でよく注意する、ということで行うことになった。
 
 シグルトは依頼人に地理を詳しく聞き、綿密な作戦をたてて様々な対処法を吟味し、はぐれた時の合流地点と目印の付け方を決める念の入り様で行動を決めた。
 一旦行動に出れば大胆ともなるシグルトであるが、必要なとき、ことにそれが仲間の命に関わる場合は極めて慎重だった。
 
 シグルトは、なぜか実戦経験が豊富で、集団を率いて戦うことに慣れている。
 彼の立てる作戦は、経験豊富なレベッカや、リューンの大学で学んでいたロマンも感心するほど効率的で、特に仲間の実力を常に把握し、最もふさわしい作戦を決める応用力は、それを見た誰もが驚いていた。
 
 そんなシグルトは、予期しないことがあっても即座に行動を決定する大胆さと、冷静な対処能力がある。
 もともとの気質ではなく、状況に応じて大胆にも慎重にもなれる、経験を積み自身の内面を禁欲的に磨いたものだけが持つ、独特のセンスだった。
 
 そんなシグルトが吟味した作戦である。
 反対する仲間はいなかった。
 
 そして次の日、準備を終えた一行は森に入っていった。
 
 
 深い森の中を、レベッカが慎重に調べながら進む。
 その際シグルトは、吹く風の向きには特に注意していた。
 
 狼は嗅覚に優れている。
 風上に立とうものなら、すぐに気付かれてしまうからだ。
 
 やがて、数時間森を歩くと、敵を見つけたレベッカが警告する。
 仲間たちが見ると、数匹の狼が寝そべっていた。
 
 シグルトが目で指示を出すと、ロマンが【眠りの雲】の呪文を唱え始める。
 
「《…眠れっ!》」
 
 ロマンの呪文が完成すると、2匹の狼がそのまま動かなくなった。
 突然の人間の声に、残った狼たちはうなり声を上げながら近寄ってくる。
 
「注意しろっ!
 
 不利な状態で逃げない狼は、士気が高い!!」
 
 警告したシグルト、そしてラムーナが武器を構えて前に出た。

「…ハァッ!」
 
 ラムーナが地を蹴り、鋭い突きで先頭の狼の右目を刺す。
 シグルトがその狼の脇腹を切り払い、倒れたところにスピッキオが杖で止めを刺す。
 
 レベッカは軽快な足運びで、1匹を受け持つ。
 
「《…眠れ!》」
 
 ロマンの呪文が立て続けに放たれ、もう1匹を眠らせた。
 
 シグルトはすぐにレベッカの前に立ち、怯んだ最後の1匹を見る間に追い詰めていく。
 仲間たちが態勢を整える間に、シグルトの重い斬撃は、2匹目の狼を屠っていた。
 
 そして3匹目、ロマンの呪文で眠った狼にも、シグルトが剣を振り下ろし、止めを刺す。
 
 シグルトは、敵に止めを刺すことや、仲間がためらうことを率先して行う男だ。
 仲間の厚い信頼は、シグルトの普段からの姿にもよるのだろう。
 
 タッタッタ…
 
 森の奥から、狼たちの駆けてくる音が聞こえる。
 仲間の危機に反応したのだろうか?
 
「次が来るぞ…
 
 皆、油断するなっ!」
 
 狼の血に濡れた剣の柄をにぎり、シグルトが鋭く警告する。
 
「…グルルゥッ、ガフッ!!!」
 
 草むらから飛び出したのは数等の狼たち。
 その中で一際強そうな1匹が進み出る。
 
 低い唸り声を上げるそれは、子牛ほどの大きさもある蒼い毛並みの巨大な牡狼だ。
 
「ボスってわけね…」
 
 レベッカが短剣を構えつつ、油断無く構える。
 
 ボス狼に付き従うように、4匹の狼が陣を組むようにその周りに並ぶ。
 
「気をつけてっ!
 
 指揮官のいる狼は強いよっ!!」
 
 ロマンの言葉に、皆が頷く。
 
 ボス狼ともう1匹の狼が連携して、体格の小さなロマンに襲い掛かってきた。

「…ぬぅうっ!」
 
 スピッキオが横から杖を振るい、その狼の頭蓋を砕く。
 
 シグルトが一瞬で間合いを詰めてきた1匹を殴りつけ、その隙に横から噛み付こうとするもう1匹の牙を、腕に巻いた硬い布を噛ませてがっしり受ける。
 
 狼の爪でかすり傷を負ったロマンは、その間にも呪文を唱え、魔術を完成させた。
 
「《…穿てっ!》」
 
 その【魔法の矢】で首を貫かれた狼が1匹、地面に倒れ伏せる。
 
 レベッカはとんとんっと、軽やかなステップでボス狼を引きつけ、攻撃をかわす。
 もとより、こんな巨体と力比べをするつもりなど無く、誘うように防御をしながら後退して仲間から引き離す。
 
 一方、腕に噛み付いた狼を近くの木の幹に叩き付けて振りほどくと、剣を構えなおすシグルト。
 片目がひしゃげ、牙が折れ、歯茎からあふれる血で大地を染めながら、その狼はよろよろと後退する。
 
 仲間の危機を悟ったのか、突然向きを変えたボス狼がラムーナに突進した。
 吹き飛ばされたラムーナは、木の幹に叩きつけられ、崩れるように倒れ意識を失った。
 
 シグルトは目前の狼を斬り払って止めを刺し、ボス狼の方に向かおうとするが、もう1匹の狼がその前を遮る。
 
「くっ、ロマンッ!」
 
 即座に場を読んで、シグルトが鋭い声で行動を示唆した。
 
「《…穿てっ!》」
 
 ロマンの呪文が、ラムーナに止めを刺そうとしたボス狼を弾き飛ばした。
 
 シグルトはその隙に、立ち塞がった狼の頭蓋を、突風のような攻撃で打ち砕く。
 その狼は骨が無くなったようにふらふらとよろめき、くたりと地に倒れ臥した。
 
「後1匹っ!」
 
 レベッカの声に、士気を高めた仲間たちは、一斉に最後のボス狼を取り囲む。
 しかし、残ったその巨狼は手強かった。
 
 シグルトの攻撃を巧みにかわし、ロマンが唱えた眠りの呪文にも耐える。
 逆に、反撃の攻撃でスピッキオがよろめく。
 ラムーナが失神するほどの、巨体で行う素早い突進は、凄まじい威力があるのだ。
 
「《…眠れっ!》」
 
 しかし、めげずに呪文を唱え続けたロマンの【眠りの雲】が、ついにボス狼を捉えた。
 眠気によろめくボス狼。
 
 立っている4人は一斉に、手持ち最大の手で討って出る構えを取る。
 スピッキオの杖の一撃が、ロマンの呪文が、ボス狼の厚い毛皮の上で弾ける。
 
「…はぁぁあっ!!!」
 
 それらの攻撃で後退したボス狼。
 わずかに生まれた絶妙の間に、シグルトが上段から振り下ろす【渾身の一撃】で、ついにボス狼の眉間をかち割る。
 飛び散った鮮血と脳漿が、びしゃりと大地に降りかかった。
 
 ボス狼はよろよろと後退し、森に敷き詰められた落ち葉の上に、どうっ、と倒れた。
 
「…はぁ~」
 
 力が抜けたように、ロマンがへたり込んだ。
 
 倒れたラムーナの元にレベッカとスピッキオが駆けて行く。
 油断無く周囲を哨戒しながら、シグルトは剣についた獣臭の混じる血糊を拭い取った。
 
「…ほっ。
 
 ラムーナは意識を失っているだけよ」
 
 スピッキオが癒しの秘蹟を行うと、ラムーナが目を覚ます。
 
 周囲に敵がいないことを確認したシグルトと、服についた落ち葉を払って立ち上がったロマンが、ラムーナの方に駆け寄る。
 スピッキオの癒しの秘蹟を施され、ラムーナはうっすらと目を開けた。
 
「…ラムーナ、まだ無理に立つな。
 身体を強く打っているから、咳き込むぞ。
 
 打った場所が背中のようだったから、少し寝て休んでいれば回復できるだろう。
 
 幸い、木までの距離が短かったし、この木は苔が厚く生えているから、衝撃を受け止めてくれたようだな。
 
 他に傷が無いか、レベッカが確認してくれ。
 男連中は少し離れて待つとしよう。
 
 ラムーナは受身が上手いから、後遺症の残るような怪我は、さっきの様子を見る限りは無いが…
 
 頭や、内臓の辺りに痣や鈍痛が無いか、調べておいた方がいい。
 骨に異常があるなら、俺が背負うから、すぐに言ってくれ。
 吐き気や、喉の奥から血の味がするようなら、すぐ言うんだぞ。
 
 スピッキオは、ロマンの手当てをあっちで頼む。
 …スピッキオも、さっきの狼の突撃で受けた打撲は、治療しておいたほうがいい。
 
 俺は、噛まれた傷に効きそうな薬草を探しておく。
 爪の傷や、噛み傷はすぐに塞ぐなよ?
 
 消毒しないと、不潔な爪や牙の毒にやられることがあるからな。
 こういう獣相手のときは、注意してくれ」
 
 先ほどすぐにラムーナの元に駆け寄らなかったのは、シグルトが一番状況を理解していたからだった。
 それにシグルトはレベッカたちを信用している。
 
 噛まれて少し血に染まった布を解き、口で血を吸って吐き捨てながら、シグルトは適当な薬草を見繕う。
 それを噛み、傷口に押し当てて応急処置をすると、残った薬草を仲間たちに配る。
 移動しながらそれらを効率的に行うシグルト。
 
「実戦慣れしたあんたが居るから、助かるわ。
 
 とっさに腕を噛ませて木の幹に叩きつけるなんて、プロの冒険者でもなかなかできないことよ」
 
 ロマンの手当てを手伝いながら、レベッカが感心したように言う。
 
「俺のいた国では、毎年何人かが狼の犠牲になった。
 
 対処の仕方も、子供のうちから叩き込まれるんだ。
 狼は、力の無い子供や老人から狙ってくるからな」
 
 そして、初めて狼を倒したのは9歳の頃だ、と苦笑する。
 
「安全なはずの森に子供たちだけで出かけたとき、はぐれの大きな牡狼に襲われたんだ。
 
 2人が大怪我をした。
 俺がその狼を殺した頃には、皆失禁して泣いてたな…」
 
 レベッカが、あんたはもらさなかったの、とからかう。
 
「俺は一緒に居た妹たちを守らなければいけないと、もう必死だった。
 
 擦り傷だらけになって、それでも狼を手に持った棒で何度も殴って…
 今回だって、怖かったよ。
 
 一番怖いのは、殺す感触というやつだがな…」
 
 そういうと、シグルトは手ごろな窪みを見つけて、そこに狼の死体を運び始める。
 
「…なにをしてるの?」
 
 ロマンが聞くと、シグルトは周囲の木々を見渡した。
 
「木々が血の臭いを嫌って、ざわめいている」
 
 シグルトの不思議な言葉に、ロマンが眼を丸くした。
 
「…この感覚は、分かり難いか。
 
 木々の精霊が騒いでいると言えば、理解できるか?
 俺は、昔からこういうことが分かる方でな。
 
 精霊の姿を見ることができるわけではないんだが、なんとなくその意識みたいなものが感じ取れるんだ」
 
 そう言った後、シグルトはなんとも言えない苦笑を浮かべた。
 
「俺の故郷では、この手のことに厳しく対処する聖北教会の保守派が信仰されていた。
 
 かつてはエルフの住んでいた森に面し、古い精霊信仰を行っていた歴史を持つ国だったが、今ではそういうことは邪教の名残だと異端視される始末だ。
 
 俺も異端に断じられないように、故国ではこの感覚のことは隠していたんだが…冒険者になって、話せるようになるとはな。
 
 リューンには大きな〈精霊宮〉もあるし、肩身が狭くなくて有難いよ」
 
 シグルトの意外な資質を知って、仲間たちは皆驚いた。

「そんな感覚のせいか、樹木のざわめきや風の荒れ方で、精霊の気持ちが分かるんだ。
 
 精霊たちは機嫌が悪いと、時々悪戯をする。
 今後、依頼人たちが森を使うことを考えるなら、後始末はできるだけしておいた方がいい。 
 
 それに、狼は誇り高い獣だ。
 このまま野にさらして、村人が確認に来たとき、蛆のわいた姿をさらすのは気が引ける。
 死体を涼しいところに集めて、軽く土と落ち葉をかけて目印をしておけば、村人が確認を終えた後は土に返るだろうからな。
 
 この狼たちは、生きるために喰らい、自分たちのテリトリーを守ろうとしていただけだ。
 
〝死んだものには、憎む相手にも敬意を〟
 
 昔、色々なことを教えてくれた、ある婆さんが言ってた言葉だ。
 
 俺も、冒険者として一歩誤ればこの狼と同じように、山野に屍として横たわることがあるかもしれない。
 だから、今出来るうちに自分の近くだけでも、死んだものには敬意を尽くしておきたいんだ」
 
 シグルトは神秘的なその青黒い瞳で、物悲しげに狼の骸を見つめていた。
 
 普段は、そういうことを偽善と笑うこともあるレベッカも、この時は神妙な気持ちになるのだった。 



 買い物に小バトル。
 Djinnさんの傑作『希望の都フォーチュン=ベル』のリプレイをお届けします。
 
 旧版では『冒険者の余暇』という、いくつかのシナリオをまとめたタイトルにしていたのですが、シナリオの小イベントを詳しく書くために、今回は単独のタイトルに直し、かなり加筆致しました。
 
 このシナリオは、私も製作に関わったことがあるシナリオで、プレイしたことのある方は、どこかでジャドそっくりな私とお会いしているかもしれませんが…本来の私はあんなに厳つくありません。
 お腹の贅肉が気になるただのおっさんです。
 
 有名な街シナリオですので、カードワースのユーザーであれば知らない方は少ないのではないでしょうか。
 いろんなことができるマルチシナリオです。
 店としてはもちろん、小遣い稼ぎをするためにモンスター討伐するのもなかなか楽しいです。
 
 今回、ここではジュムデー秘本を買いました。
 高いですが、前のシナリオであぶく銭をもうけましたからね。
 
 さらに、シナリオでゴブリンとウルフを討伐して小金を稼いでいます。
 1レベルのスキル一個分になりますし、プレイしてもレベルアップには繋がらないので、初期の軽いアルバイトにぴったりです。
 
 リターンになって、【フェイント】が上手に使えるようになったラムーナ。
 レベッカとダブルフェイントするとえげつないです…混乱カード2枚配ると、低レベルの敵はほぼ混乱しますからね。
 しっかり活躍しましたよ。
 
 ウルフ戦はかなり苦戦しました。
 やっぱり、回復役にスキルが配布されないときついですね。(このときスピッキオはスキル配布アイテムが無かったので)
 
 ダメージのMVPはあいも変わらずシグルト。
 命中精度の高い【攻撃】カードで攻めると、ゴブリンを2~3発で撃沈します。
 
 【渾身の一撃】も強く、意外なことに【会心の一撃】もそこそこに使えます。
 適性こそ普通ですが、シグルトは【会心の一撃】の適性が8である上に性格の修正が高いので微妙に強かったりします。
 勇猛性の高い戦士は優秀ですね。
 ウルフ戦では、精密な【攻撃】で確実に敵数を減らし、主力戦士の面目躍如です。
 
 『希望の都フォーチュン=ベル』は、低レベルのときから通えるシナリオの1つとして、お勧めです。
 この戦闘のサブミッションは、その魅力の1つですね。
 
 このシナリオは、何度かに分けてぼちぼち紹介していきますね。
 
 
 今回の収入と出費は以下の通りでした。
 旧リプレイと結果はほぼ同じです。

◇シナリオ
・希望の都フォーチュン=ベル(Djinnさん)
 ゴブリン討伐(+300SP)
 ウルフ討伐(+300SP)
 ジュムデー秘本(-2000SP)
 
◇現在の所持金 1800SP◇(チ~ン♪)
 
 次回は匈歌ハトリさんの『ecclesia』です。
 旧版ではやらなかった、登場人物たちとの交流がある短編になります。
 公開にそれほど時間はかからないと思うのですが。
  
 御期待くださいね~
 

〈著作情報〉2007年07月03日現在
 
 『希望の都フォーチュン=ベル』はDjinnさんのシナリオです。現時点でgroupAsk official fansiteのギルドに登録されています。
 シナリオの著作権は、作者さんにあります。
 
 カードワースはgroupAskに著作権があり、カードワースの管理、バージョンアップ、オフィシャルな情報等はgroupAsk official fansiteにて、カードワース愛護協会の皆さんがなさっています。
 このリプレイは各シナリオをプレイした上で、その結果を小説風リプレイとしてY2つが書いたものです。
 書かれた記事、書かれる記事は、特定のシナリオの名前が出たときは、そのシナリオの著作権はすべてそのシナリオの作者さんにあります。
 
 また、今後リプレイ中に使われる内容には、各シナリオで手に入れたスキルやアイテム、各シナリオに関連した情報等が扱われることがあります。
 それらの著作権は、それぞれのシナリオの作者さんにあります。
 またカード絵等の素材に関しては、シナリオ付属の著作情報等を参考にして下さい。
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記念品特別仕様終了のお知らせ

 『Y字の交差路』一周年記念、たくさんのコメント有難う御座いました。
 
 ただ今を持ちまして、記念シナリオの配布を軽量版に変更致します。
 
 これから記念記事にコメントくださった方は、シナリオ配布を御希望した場合、軽量版の配布に切り替わりますので、悪しからず御了承ください。
 
 軽量版は、『風たちがもたらすものSP』及び『剣士の求め』のみの配布となります。
 『新札先行配布』は過日の宣言通り含まれませんので、御承知ください。
 『新札先行配布』収録のスキルやアイテムは、後々『風たちがもたらすもの』に収録する予定です。
 
 現在までにコメントを下さった方には、送れることが可能な方のみ、シナリオをお送り致しました。
 その方々には、バグを修正したバージョンも、7月中にはお送りすると思います。御承知くださいね。
 
 
 「コメント書いたのに、記念品が届かない」という方は、メールアドレスの指定が無い方、あるいはメールアドレスの文字化け等のトラブルが原因の可能性があります。
 お手数ですが、ブログの秘匿コメントかY2つまで直接メールで御連絡ください。コメントを確認の上、特別仕様をお送り致します。
 
 その際、ブログの秘匿コメントでは、メールフォームではなく、文章内に暗号処理を施したメールアドレスをお書きください。確実だと思います。
 メールフォームで暗号(@を他の文字に変えるなど)処理をした場合、全角文字を用いると文字化けを起こすようです。
 
 メールの指定を忘れてしまった方は、今からでも結構ですので、その旨そえてお知らせください。
 
 繰り返し申しますが、メールアドレスの指定が無い場合、お送りできません。
 
 
 Y2つめのメールは、
 
 y2tu☆eos.ocn.ne.jp(☆を@に変更)です。
 
 よろしくお願い致します。

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