Y字の交差路

 ここはY2つめがノリで作ったブログです。  カードワースを中心に、私が思ったことや考えたことを徒然なるままに書きたいと思います。

『魂の色』

 男は動けずに倒れていた。
 
 眼前には、薄気味悪い黒衣の女。
 唇とそれを舐める舌だけが、やけに紅い。
 
 近寄ってくる女は、艶めかしく、そしてとてつもなく恐ろしかった。
 だが、絶望した男にとって、もうどうでもよいことだった。
 
 妹同様だった少女は、暴行を受けて自殺した。
 親友は、全身を切り刻まれて死んだ。
 父は、男の身代わりに復讐されて殺された。
 母と妹は、父の死を嘆き修道院に入った。
 最愛の女性は、男の元を去った。
 
 今残っているのは、痩せ衰えてまともに立つことも出来ない身体が一つ。
 
「うふふっ、美味しそうね。
 
 神々が見いだし、鍛えられた鋼のような魂が、絶望に曇るその姿。
 それでも世を憎まない、貴方の気高さ。
 美しい存在が、堕ちて地に伏すこの不条理。
 
 ああ…唾を飲み、熟すのを待った甲斐があったわ」
 
 歪に女は笑う。
 その手にはどす黒い、血に濡れたような色艶の凶悪な大鎌。
 
「でも、もう少し調味料を加えましょう。
 
 …知っていた?
 
 貴方の影を囓って貶めたのは、この私。
 あの矮小な男の欲望を強め、そそのかしたのはこの私。
 復讐を耳元で囁き、貴方の父を殺させたのもこの私。
 王の嫉妬を駆り立て、貴方の庇護者たる姫君を幽閉したのもこの私。
 
 うふふ、今目を見開いたわね?

 何て、何て綺麗。 
 高潔なその魂が、驚きと憎しみに黒くなるその瞬間。
 
 …私が憎いでしょう?
 貴方から全てを奪う、この私が。
 
 だって、私は“貪り”。
 貪欲の化身たる、死神ですもの。
 
 神と精霊に祝福された貴方から、奪い尽くすのは楽しかったわ。
 人々に愛される美しい貴方を、穢すのは心地好かったわ。
 
 選ばれた希少な存在を握り潰す、この背徳。
 ああ、たまらない…」
 
 歓喜に身を震わせ、女は地を滑るように近づいて来る。
 
「もっと私を憎んで、その魂を昂ぶらせて。
 
 貴方は綺麗なのに、今は滑稽で何て無様。
 
 この理不尽に嘆きながら、私に食べられてね。
 足掻いて貰わなければ、躍り食いにならないもの。
 喉の奥で、貴方の抗いを感じるのが楽しみだわ。
 
 …うふふ、その絶望と苦しみは終わらないのよ。
 私に食べられて、永遠になるの。
 
 貴方は私の中で、絶望にのたうちまわりながら、嘆き続ける。
 狂ったまま、美しい声で叫ぶのでしょう。
 
 囓った貴方の影は、希望に満ちていて青臭かったわ。
 甘い絶望に熟した今度は、残さずに食べてあげる。
 
 あら、泣いているの?
 
 とっても、素敵…悔しいのね?
 貴方、本当に美味しそうだわ」
 
 女は男の顎をつまみ、ぐいと上向かせる。
 真っ赤な長い舌で、また舌なめずりし、艶然と微笑んだ。
 
 男は怒りに狂いそうになりながら、その女を掴んで殴ろうとした。
 そして空しく空を掴む。
 よろよろと振るった拳が、女の顔に触れそうになって、すり抜けた。
 
 それを見た女はことさら楽しそうに、耳障りな声で甲高く嗤う。
 
 何も出来ない歯痒さに、男は地に伏し、大声で泣いた。
 
 
「…ぉぃ、ぉい、起きろっ!」
 
 唐突な覚醒に、シグルトは目を瞬いた。
 
 眼前には茶色の襤褸を纏った骸骨が立っている。
 
「―――お前は…死神か?」
 
 典型的な死神を格好…外套姿の骸骨は、シグルトの調子外れな言葉に首を傾げ、からりと音を立てた。

「肝がでかいのか阿保なのか、分からない奴だな、お前。
 
 普通は誰でも、もっと驚くもんだぞ?」
 
 骸骨が、呼吸など出来ないはずなのに、何故か溜息を吐く。
 
「…そうか?
 
 鎌が無いが、それだけお約束な姿ならば、誰でも気付きそうなものだが?」
 
 髑髏の額に手をやり、骸骨は肩を落とした。
 どうやら、落ち込んでいるらしい。 
 
「…オレ、怖くないのか?
 
 死神の畏怖ってやつが無いのか?」
 
 ぶつぶつ言っている骸骨を尻目に、シグルトは周囲を見渡した。
 そこは足下もない闇ばかりだ。
 
「…死神がいるということは、俺は死んだのか?」
 
 シグルトの問いに、骸骨は数回からころと首を横に振った。
 
「死んだわけじゃねぇよ。
 もっとも、生きてる訳でもねぇんだが。
 
 所謂仮死状態、あの世とこの世の狭間ってやつよ。
 本当は、適当な奴の椅子でも引っこ抜いて、この状態にしようと思ってたんだが、お前は寝たままで半分こっちに入り込んでやがった。
 お前は、何でかもの凄く〈死〉に近いんだ。
 
 まあ、手間が省けたぜ。
 
 今は野宿のために入った廃屋の中で、息もせず寝っ転がってるよ」
 
 骸骨の身勝手な物言いに、シグルトは肩をすくめるとまた周囲を見回す。
 
「ならば、この闇の世界はあの世とこの世の狭間…〈幽世(かくりよ)〉か?」
 
 骸骨が頷いた。
 
 〈幽世〉とは、異界と現実世界の混じり合う境だという。
 狭くは〈妖精界〉や〈隠れ里〉とも呼ばれ、そこは時も死も混沌とした場所である。
 死者の魂が彷徨い、神霊が住処とする、現実の世界と少しずれた場所。
 
 精霊や神霊は〈幽世〉に住み、〈幽世〉の存在だからこそ、普通には触れられず、見ることが出来ない。
 精霊を召喚する術法は、〈幽世〉に干渉する手段を用いて、現世にその力を顕現、召喚するのだ。
 
 死者もまた、己の信じる世界、あるいはその者を求める力に引き寄せられ、〈幽世〉を通って死後の世界に逝くという。
 〈幽世〉から漏れ出した彷徨える死者は、不死者(アンデッド)である。
 そして、現実世界と冥界との狭間である〈幽世〉を彷徨う霊魂は、幽霊(ゴースト)と呼ばれる。
 
 唯一の神の世界から〈幽世〉を通って現れた御使いは、聖霊にして使徒。
 堕ちた奈落から〈幽世〉を通って這いずり出でたのは、悪霊にして悪魔。
 魔に淀んだ場所からは、〈幽世〉を通って魔神や鬼の類が現れるという。
 
 そこは夢想と、現実が混じり合った狭間の世界。
 あり得ないものがあり、あり得ないことが起きる神秘と現実の緩衝地帯。 
 
 シグルトは、昔学んだ老婆から、そう教えられていた。 
 
 
「実は、ちょっとオレの仕事を手伝ってもらいてぇんだ…」
 
 その粗野な口調の骸骨…死神がシグルトに干渉してきたのは、彼では解決できない問題を抱えていたからである。
 自分が死んだわけではない、と知ったシグルトは少し安堵した表情になる。
 そして、まずは話を聞こう、と切り出した。
 
 急ぐから、という死神は移動しながら話すというので、シグルトは彼と一緒に空を飛ぶこととなった。
  
 千里の道を一晩で駆ける、という死神の飛翔術だった。
 急に目の前が開け、先ほどの闇とは打って変わった景色を見下ろす形となる。
 眼前に見下ろす山や森を、瞬く間に飛び越す感触に驚きながら、シグルトと死神は簡単に互いの自己紹介を済ませた。
 
「…オレは生前人間でな。
 
 〈死神〉になる奴は、生前の名前を捨てるんだよ。
 けど、呼ばれてる記号みたいなのじゃ、オレも気にいらねぇ。
 
 だから、死神でいいぜ。
 
 …まぁ、他の〈死神〉に会うこともねぇだろうし、な」
 
 先に名乗っていたシグルトは、ふぅんと頷いた。
 
「…さっきから調子が狂いっぱなしだ。
 
 シグルト、お前、俺たちのことを知ってるのか?」
 
 死神の問いに、シグルトは「多少な…」と苦笑した。
 
「昔、死神に命を狙われたことがある。
 お前ほど粗野でなかったが、そいつはもっと邪悪だった。
 
 “貪り”と名乗っていたが…」
 
 死神の下顎がぽろりと落ちた。
 大口を開いて、驚いたらしい。
 
「…あんまりとんでも無い奴のこと言うから、顎が外れちまったじゃねぇかっ!」
 
 落ちた顎を戻しながら、死神がぶるりと身を震わせた。
 
「“貪り”を知っているのか?」
 
 シグルトが問うと、死神は、かくかくと頷いた。
 
「…名付きの〈死神〉は、大抵大物だ。
 
 中でも七つの大罪の一つ、〈暴食(フレッセライ)〉…“大食らい”あるいは“貪り”って呼ばれてる女は、生まれた時からの生粋の死神だぜ。
 俺たちのような、人間上がりとは次元が違う。
 死をもたらす神…古龍や上位精霊と肩を並べるような奴だ。
 
 “貪り”は、英雄や聖人の素質のある奴を破滅させて、その魂を食らうっていう邪神の類だったな。
 狂って普通じゃなくなった死神の、中でも一番イカレた奴の1人だ。
 姿を見られた人間は、確実に魂を食われる…
 有名な英雄や聖人を殺すくせに、人間に名前が知られてないのは、この死神に遭遇して生きてた人間がいないからなんだよ。
 
 お前、よく生きてたなぁ…ま、今は半分死んでるけど」
 
 驚かないわけだ、と感心する死神。
 
「俺も食われかけていたんだがな。
 灰色の髪の男が現れて、その死神を殺したおかげで助かった。
 
 “貪り”がその男を見て、随分狼狽していた。
 “神狩りの灰”と呼んでいたが、死神にも死神がいるのか?」
 
 死神が、もう一度下顎を落とした。
 
「―――ぁぁ、あ~。
 
 …だから、驚かすないっ!
 また顎が外れたじゃねぇかっ!!
 
 何なんだよ、お前は?!
 “神狩りの灰”っていやぁ、邪神や魔神みたいな、手の付けようの無い理不尽を振りまく悪神を専門に殺す、〈神殺し〉じゃねぇかっ!
 
 ぶるる…道を誤って、派手に殺しまくった〈死神〉は、因果律すら両断する、あの〈神殺し〉に狩られるって話だ。
 オレは真っ当な死神なんだぜ。
 
 また死ぬなんてのは御免だ。
 …勘弁してくれ」
 
 怯える死神…完全に本来の構図が逆転している。
 
「―――“神狩りの灰”ってのは、精霊や神って名の付く連中にとっては忌み名なんだよ。
 
 暴風のように現れて、自分の主観だけで判断して神や精霊、悪魔を殺す。
 そのためには何が犠牲になろうと構わない…ってな。
 
 “神狩りの灰”が都市一つ囮にして、満腹した邪神を不意打ちで殺したって話もあるんだぜ。
 
 お前、そんなのと関わってよくもまあ、そんなに平気な顔してられるな…」
 
 驚いて顎を鳴らす死神に苦笑しながら、シグルトは少し昔を思い出した。
 脳裏に、燻るような色あせた記憶が次々と呼び起こされる。
  
 かつてシグルトは、国の次世代を背負うと期待された若者だった。
 
 王国一の剣豪と呼ばれた騎士を父に。
 絶世の美女と謳われた、王家縁の名門貴族に生まれた女性を母に持つ。
 
 数多くの専門家から学ぶ機会を得、力も心も技も備えていたシグルトの未来は、輝いたものになるはずだった。
 
 だがシグルトの生は、恐ろしい〈死神〉によって歪められてしまった。
 シグルトは、“貪り”の暗躍によって破滅寸前まで追い詰められたのだ。
 
 神々に祝福されたシグルトは、常人に無い魂の持ち主だった。
 その魂を欲した“貪り”は、最も彼女が好む破滅して絶望した魂に、シグルトを堕として食らおうとしたのだ。
  
 “貪り”は、ただシグルトの魂を破滅させることを純粋に楽しんでいた。
 
 あれほど歪み邪な存在を、シグルトは後にも先にも見たことが無い。
 剛胆と言われるシグルトだが、斯様な理不尽に出遭えば、他にある大概のことは恐ろしくなくなるものだ。
 
 自分を見下ろして舌なめずりをしていた黒衣の女を思い出し、シグルトもぶるりと肩を震わせた。
 
 次々に自分の大切にしていた世界が壊れ、毟り取られていく喪失感。
 最初は、ただ自身が至らないのだと唇を噛みしめていた。
 これらのかかる不幸は、運命なのだと。
 
 自身のふがいなさを恥じ、嘆くしか出来なかった。
 その無力感に打ちのめされ、惨めに泣いたこともある。
 
 だが、シグルトの不幸は仕組まれていた。
 そのおぞましい、女の死神によって。
 
 自慢げに、いかにしてシグルトから幸せを奪ったか、とうとうと話す“貪り”。
 全てを奪われた憎しみから、シグルトは“貪り”に殴りかかった。
 
 肉体もぼろぼろだったが、それでもシグルトは狂ったように拳を振るい…そしてかすることも出来なかった。
 超常の存在であるその死に神には、人が触れることなど出来なかったのだ。
 
 自身の無力さに、シグルトは恥も外聞もなく涙を流し泣き叫んだ。
 
 その時感じた、地獄の釜の底のような絶望。
 
 シグルトが今の若さで老人のように泰然としていられる理由は、“貪り”に与えられた恐怖と憤怒があまりに強かったためだ。
 人間は、どうしようもない理不尽に心を裂かれ、そしてそこから立ち直った時にはとてつもない心の強さを得る。
 同時に、心の底に深い闇を抱えることになるのだが。
 
 過去という逃げられない鎖に縛られ、後悔という古傷の痛みに心の中で難度も慟哭し、それでもシグルトは今生きいる。
 それは、もう一つの理不尽が現れたからだ。
 
 シグルトが絶望に嘆いていた時、それは現れた。
 灰色の髪に、酷薄な表情。
 全ての理不尽を憎み、それを壊す歓喜に壮絶な笑みを浮かべていたその男。
 
 そして男は、狼狽する“貪り”をその剣で切り裂いた。
 
 シグルトが為す術もなかった相手を容易く殺した男は、シグルトを見下ろし冷笑した。
 
〝…まだ生きていやがるのか?
 
 まあ、死にかけの人間なんぞに関わる気はねぇんだが…
 お前は好い囮になってくれたからな。
 
 死にたいなら、言え。
 ついでに殺してやるぞ…〟
 
 シグルトはその言葉を聞いて、狂ったように殴りかかった。
 その時は、ただ目の前にある理不尽な存在が全て憎かった。
 それに、この男には復讐するべき相手すら奪われてしまったからだ。
 
 男は、避けもせずに拳を受けると、おもむろにシグルトを殴り飛ばした。
 口の端から血を流し、吹き飛ばされる感覚。
 意識がぐらり、と反転しかかる。
 
 地に倒れ鼻血に咽せて咳き込むシグルトに、男は冷たい声で言った。
 
〝何だ、殴りかかる気概ぐらいは残っていやがるのか。
 血がそんなにも赤い…どうしようもなく無力な人間のくせに。

 この期に及んで生きる死ぬも選べないお前は、俺と同じ穴の狢だ。
 
 理不尽が憎いなら、自分で立て。
 そして復讐するんだな。
 
 少なくとも、何かをやってる間は、失った空しさを忘れられるぜ〟
 
 男はそう言い残し、シグルトを置き去りにして去っていった。
 
「―――“神狩りの灰”は、悪魔の王が戯れに人間を孕ませて生まれた半悪魔だ。
 子供の頃から不幸と理不尽に振り回されて、最後には理不尽の全てに復讐するために、〈神殺し〉になったんだそうだ。
 
 世の中、どうしようもない理不尽が生まれれば、それを殺せる理不尽が生まれるんだから、不思議なもんだな。
 
 “神狩りの灰”のおかげで、理不尽によって犠牲になる人間は減ったって話だが、やり口が褒められたものじゃねぇ。
 目的のために、手段は選ばねぇって話だからな。
 
 死神にとっては、触れられねぇ禁忌の存在って奴だ。
 “神狩りの灰”は、殺せないはずのものを殺す存在だからよ。
 
 ま、俺は、そんなキチ○イ女やトンデモ野郎とは違うから安心しな。
 
 ―――話が脇にそれちまったから、戻すぜ。
 
 これから『カザム』という村に行って、オズワルドという男の魂を刈り取るのがオレの仕事だ。
 ところが、このオズワルドって親父、ちょっとばかり悩みを抱えててな。
 〝それが解決するまで待ってくれ〟と言いやがる。
 
 この世に未練とか気掛かりを残したまま死なれると、魂が刈り難くなる。
 中途半端に刈られた魂は、あの世に行けずに彷徨って、〈不死者(アンデッド)〉になっちまうんだ。
 
 所謂〈亡霊(ゴースト)〉なんかだな。
 
 たまにお前らみたいな輩が、そういう連中を退治するんだが、そういう場合、魂は救われることもあの世に逝くことも出来ずに消滅しちまうんだ。
 
 職業死神のオレとしては、そういう刈り零しが無いよう、ちゃんとあの世に送ってやりてぇんだ。
 特に、救われる価値のある人間は、な」
 
 死神は、舌も無い口で流暢に喋る。
 
「なるほど。
 
 オレの役目は、そのオズワルドの悩みを解決するということか」
 
 シグルトに、からんと頷き、死神が続ける。
 
「その悩みってのは、娘の結婚相手を見つけることだそうだ。
 
 …何が悲しくて、死神が〈縁結び〉なんかしなくちゃならねぇんだ?
 第一、オレの柄じゃねぇ」
 
 表情の無い髑髏顔を傾けて、死神は大きな溜息を吐いた。
 
「…それは俺も同様だ。
 
 戦士だぞ、俺は。
 妹には、いつも色恋に鈍感だと言われてきたし、な。
 
 確かにお前の顔を考えれば、俺の方が幾分話を聞いてもらえるかもしれないが」
 
 肩をすくめてシグルトは苦笑する。
 
 死神は憤慨したように胸を張った。
 
「お前ほど男前じゃねぇが、これでも死ぬ前は結構色男だったんだぜ」
 
 肋の軋む音がちょっと寂しげだった。
 
「…では、何故死神になった?
 
 他に、死後の行き先は無かったのか?」
 
 シグルトは気になったことを、ふと訪ねてみた。
 不意に死後の世界を知りたくなったのだ。
 そして頭をよぎるのは、死んでしまった友や父たちのこと。 
 
「ま、色々あるのさ。
 
 …生前にそれなりの能力を持っていれば、修行期間を経て死神になれる。
 
 死神だけじゃなくて、精霊とか、土地神とかにもなれるみたいだぜ。
 思うに、お前はきっとその口だな。
 
 お前は、命がけでとある村を救って、死んだ後土地神になった奴に雰囲気が似てやがる。
 もしかしたら、精霊や神になる素質があるかもしれないぜ。
 
 オレが死神になったのは、生前の職業の…っと、これ以上は秘密だった。
 すまねぇな。
 
 オレは十五年程度だが、数百年死神やってる奴もいる。
 
 ま、死ぬ前に身の振り方考えるのは、止めといた方がいいぜ。
 大概はロクな死に方にならねぇ。
 
 命は大切に、な…」
 
 シグルトが、そうだな、と頷く頃、『カザム』の村が見えてきた。
 
 
「…言い忘れてた。
 
 オレたちは生きてる奴らの目には写らねぇ。
 触れることも出来ねぇんだ。
 あと、生きた奴がその身に直接着けた物、服なんかは、生気が移ってるから触れないんだ。
 
 例外として、霊感の強い奴や、死期近づいた人間なんかには姿が見えるし、話も出来る。
 触れる場合もあるな。
 
 その類の霊媒師や精霊術師なんかとは話せるかもしれないが、この村にはそういう奴はいないみたいだな。
 お前は、結構その手の才能があるかもしれないぜ。
 
 ま、つまりは、直接干渉はできねぇんだが…植物や家具、あとは今のオレらみたいな霊的な存在には触れたり話したり出来るんだ。
 
 この村は、浮遊霊とかいねぇから静かなものだぜ。
 
 …っと、あの村外れの建物がオズワルドの家だ。
 まずはそいつに会って、話をしよう」
 
 シグルトは死神の言葉に頷くと、死神の指さす家に向かった。
 
 その家の玄関脇や窓際には、綺麗に手入れされた鉢植が飾られている。
 周囲には爽やかな花の香りが漂っていた。
 
 シグルトは死神にならって家の扉をすり抜ける。
 触れる、と意識しなければ、無機物にも触れられないらしい。
 
 珍妙な感触を確かめながら、シグルトは死神に続いてもう一つの扉をくぐり、その部屋に入った。
 
 窓際のベッドに、やつれた様子の初老の男が横になっている。
 男はすぐにシグルトたちの存在に気付き、上体を起こした。
 
(…隙があるようで、全く無いな。
 人を安心させるために、作られた仕草だ。
 
 柔和に見えて、目つきも鋭い。
 戦士か、あるいは…)
 
 シグルトは僅かな動作から、その男が一般人ではないと感じた。
 むしろ、常人よりも危険に身を置いている冒険者に近い存在ではないかと推察する。
 
「…こいつがオズワルドだ」
 
 死神の言葉に、初老の男…オズワルドは少し首を傾げた。
 
「…ほほう、美しい方だ。
 
 そちらの方は、死神殿のお仲間かね?」
 
 シグルトは一歩進み出ると、軽く会釈した。
 
「俺はシグルト。
 
 この死神に、貴方の悩みを解決するよう依頼された冒険者だ」
 
 ふぅむ、と感慨深げにオズワルドが頷く。
 
「死神が冒険者を雇うとは…
 
 いや、失敬。
 それだけ私の願いが、死神殿にとって困難なことだったということですね。
 
 明日をも知れぬ、このような老いぼれのために、とんだ迷惑をかけてしまいました」
 
 礼儀正しく頭を下げるオズワルド。
 
 シグルトは、気にするなと言うように、軽く首を振って応えた。
 
「それが俺のすべきことならば、するだけだ。
 
 行いの結果は、自身に返る。
 今ここに俺が居るということは、俺にとっても必要だからだろう」
 
 オズワルドは感心したように目を細めた。
 
「これは、頼もしい。
 私も様々な人間を見てきましたが、貴方のような方ならば安心です。
 
 …死神殿から、ある程度の話は聞かれていると思いますが、何からお話ししましょうか」
 
 そしてオズワルドは、ぽつりぽつりと話を始めた。
 
 
 要約すればオズワルドの願いは、愛娘アネッタを託せる、その夫となるものが決まってほしい、というものだった。
 
 オズワルドとアネッタの親子は、2人きりの家族だ。
 オズワルドが死んでしまえば、アネッタはただ1人になってしまう。
 
 娘には普通の幸せを、とオズワルドは言う。
 
「―――アネッタは、私の実の娘ではありません。
 
 私の友人、ホーキンスの子供なのです…」
 
 語られたアネッタの出生とオズワルドの過去は、壮絶なものだった。
 
 オズワルドとその友人のホーキンスは、ある組織に属する暗殺者だった。
 情け容赦なく人を殺す仕事を、いくつもこなしてきたという。
 
 ある時オズワルドは組織の命令で、裏切り逃げ出した友人のホーキンスを殺すことになった。
 
 長い追跡の末に、オズワルドはホーキンスを見つけるが、彼には愛した女の忘れ形見である娘がいた。
 ホーキンスは、娘の母親と恋に落ちて組織を抜けたのだ。
 
 そしてホーキンスは、娘の命だけは助けてくれと哀願した。
 同時に、自分たちのような人生は歩ませないでくれとも。
 
 だが、オズワルドは迷い無くホーキンスを組織の命令通りに殺し、その娘も殺そうとした。
 そんな時、自分の父親の血でまみれたオズワルドを見上げ、娘は笑ったという。
 赤ん坊の無邪気な笑みをみて、オズワルドはどうしてもその子に武器を振り下ろせなかった。
 
 遂に娘を殺すことが出来なかったオズワルドは、ホーキンスを殺した短剣を投げ捨て、その娘を連れて逃亡したのだ。
 
「その娘こそ、アネッタなのです。
 
 私は、ホーキンスの最後の言葉を守って、彼女を育てました。
 
 最初は罪滅ぼしのつもりでした…
 しかし、今では彼女が何より愛おしい。
 
 あの娘は私の宝です。
 だから、彼女には幸せに、普通に暮らしてほしいのです。
 
 人殺しの子供であることを知らぬまま、父親を殺した男に育てられた不幸を知らぬままに…」
 
 
 オズワルドの切なる願いを、シグルトは快く請け負った。
 死という理不尽を受け入れながら、愛する娘を想うオズワルドを見て、何かしてやりたいと感じたからだ。
 自身もまた多くの理不尽に嘆いてきたからこそ、シグルトは親身になって依頼を受けたのだった。
 
 そして、アネッタの後を任せてもよいとオズワルドが考える、2人の若者のことを聞き出した。
 
 調べるうちに、アネッタがカールというパン職人の青年と両想いであることを突き止める。
 
 パン屋で、初々しく話すアネッタとカールを、シグルトは優しい目で見つめていた。
 
「お前、そんな顔ができるんだな。
 
 その顔を見せりゃ、女なんてイチコロだろうぜ」
 
 冗談めかして死神が言うと、シグルトは少し寂しそうに笑った。
 
「…今の俺には無用だ。
 
 色恋にうつつを抜かすには、いろんなものを失い過ぎてしまった。
 俺は一度、心の底から恋をして、失敗したからな。
 
 だが、この2人は、幸せになるべきだと思う。
 互いに想い合っているんだ。
 
 俺には出来なかったことだから、なおさらそう思うのかも知れないが」
 
 アネッタを見つめながら、シグルトは故郷で別れた恋人のことを思い出していた。
 
「何だ、お前、ふられたのか?」
 
 死神がからかうように言う。
 
 シグルトは、そんなところだ、と何かを懐かしむように苦笑した。
 
 
 パン屋を去ったアネッタを追って、村の道を歩いていると、シグルトは嫌な気配を感じてそちらを見た。
 
 襤褸を纏った醜い乱杭歯の骸骨が、ねっとりとした視線でアネッタの背中を見つめていた。
 
(禍々しさの程度がまるで違うが、どこかあの女に似ている…)
 
 かつて自分を襲った死神と同じ邪な気配を感じ取り、シグルトは眉をひそめた。
 
「「何で他の死神がいるんだよ」」
 
 死神と乱杭歯の骸骨が、同時に同じ疑問を口にする。
 
「…お前、事故死専門の死神だな?」
 
 死神が乱杭歯の骸骨を指さし、軽蔑した響きの声で聞く。
 睨み合う2人の死神。
 
「うるせぇな、関係ねぇだろっ!」
 
 いらいらしたように乱杭歯の死神は、さらに声を荒げた。
 
 やがて、険悪な様子で言い争い始める2人の死神。
 話の様子から、死神同士にも派閥や縄張り意識があるらしいと分かる。
 
「俺の仕事の邪魔をするなよっ!」
 
 ひとしきり罵詈雑言を交わし合い、捨て台詞を残して去る乱杭歯の骸骨に、肩を怒らせて死神が怒鳴り返した。
 
「けっ!
 
 てめぇこそ、二度とその薄汚ぇ面、見せるなっ!!」
 
 去って行く乱杭歯の骸骨を、シグルトは鋭い目で睨んでいた。
 
「…あいつ、アネッタを見ていたな。
 
 場合によっては、戦うことになるかもしれない」
 
 シグルトの洞察に、死神が頷く。
 
「あの糞野郎は、死神鴉って呼ばれてる奴だ。
 
 魂をかっさらうために、自分で意図的な事故を起こしたりするとんでもない奴なんだ。
 もしアネッタに手を出そうとしやがったら、あのデコボコの歯ぁ、みな引っこ抜いて、泣かせてやるっ!!」
 
 憤る死神の横で、死神鴉の去った方角を睨み続け、シグルトは一波乱起こりそうな苦い予感を噛みしめていた。
 
 
 数時間後、シグルトたちはオズワルド邸に戻っていた。 

「…答えは出たな。
 アネッタとカールが結婚すれば、ことは解決するはずだ。
 
 だが、カールは近日中にリューンに行くかも知れない。
 今の状態でアネッタは、オズワルドさんを置いてカールについて行くことはあり得ないだろう。
 
 オズワルドさんに2人を呼んでもらい、結婚の話をまとめることが一番無難だな。
 今の俺では、気付いてもらうことさえ困難だ。
 
 明日、早速オズワルドさんに話してみよう」
 
 一日の経過をオズワルドに報告した頃には、とっぷりと日が暮れていた。
 
 シグルトは一日アネッタや、他の人間たちの動向を観察し、自分からは干渉しなかった。
 いらいらとした様子の死神に、「俺たちが無理に何かをしても話をこじらすだけだ」と取り合わなかった。
 
 むしろシグルトは、別のことを気にしていた。
 昼間現れた死神鴉がアネッタを襲わないよう、見張っていたのだ。
 
「…ああ、もう歯痒いぜ。
 
 話せれば、がば~っとくっつかせるのによっ!」
 
 死神の言葉に、シグルトは首を横に振った。
 
「ことを急くのは分かる。
 あまり時間がないからな。
 
 だが、男と女の恋愛は無理強いして解決することではない。
 
 むしろ、アネッタにカールという想い人がいたことは幸運だった。
 オズワルドさんとの死別は悲しいことだが、彼女にはカールがいる。
 
 2人の努力次第だが、きっと幸せになれるだろう」
 
 そうだな、と死神が頷いた。
 
「やっぱり、アネッタの幸せは、好きな男結婚して平和に暮らすことだろうな。
 生きる死ぬの、世界じゃなくてよ。
 
 お前もそう思うだろ?」
 
 死神はシグルトに同意を求めるように、聞いた。
 シグルトは少し考えた様子だったが、また首を横に振った。
 
「人の幸せは、それぞれの人のものだ。
 
 周りの者が騒いだところで、誰かが本人に代われる訳じゃない。
 幸福を金勘定のように計ることも、できはしないんだ。
 
 アネッタの幸せは、彼女にしか分からない。
 俺たちには、それがどんなことか想像する程度しかできないんだよ」
 
 シグルトの言葉に、死に神はカチリと歯を鳴らした。
 言葉を飲み込んだのだろうか?。
 
「…願わくば、オズワルドさんの願いとアネッタの幸せが少しでも同じものであるよう、祈るばかりだな。
 
 そうでないと、俺たちではどうしようもない」
 
 頼りねぇなぁとぼやく死神。
 
「俺みたいな唐変木に、色恋の相談をされても困る。
 故郷でも、女心に疎いとよく言われた口だ。
 
 次に相談する必要ができたのなら、もう少し恋愛巧者を選んでくれ」
 
 ああそうするよ、と死神は歯を鳴らした。
 まるで、苦笑しているようだった。
 
 
 次の日、シグルトは幾分早く目覚めた。
 
「アネッタでしたら、村外れに花を摘みにいっております。
 
 いつも欠かさず、家の花を換えてくれるのですよ」
 
 オズワルドの顔色は、昨日にもまして悪い。
 しかし、愛娘を自慢する様子は誇らしげであった。
 
 シグルトは、その言葉に頷くと、すぐに踵を返した。
 そして、オズワルド邸を出て村外れに走り出す。
 
「おいおい、どうしたんだよ、そんなに急いで…」
 
 追いかけてきた死神に、シグルトは走りながら渋い顔で言った。
 
「どうも嫌な予感がするんだ。
 …昨日の死神鴉のことが気になって、仕方がない。
 
 未だ事故が起きてないことを考えると、無性に、な」
 
 そうだったな、と死神も歩みを早めた。
 
 村外れには岩場があり、そこでアネッタが花を摘んでいた。
 彼女の無事な様子に、死神が肋骨を撫で下ろす。
 
「どうやら、無事だな。
 
 だが、あの鴉が狙うとしたら、絶好の場所だ。
 何か手を打っておきたいが…」
 
 シグルトはざっと周囲を見回すが、岩ばかりである。
 さわさわと、風が草花を揺らしていた。
 
「手って言ってもよ…
 
 周囲を周回してみるか?」
 
 死神の言葉を聞きながら、シグルトは岩場を見上げた。
 ちょっとした崖になっており、すぐに崩れる様子は無かったが、そうなれば危険だろう。
 
「せめて、何か飛び道具…
 
 風だっ、その手があったかっ!!」
 
 シグルトは何かに気がついた様子で、周囲を見る。
 
「ここならば大丈夫だろうな…
 来てくれれば、良いんだが。
 
 《来い…トリアムールっ!!》」
 
 突然何かを呼ぶような言葉を発したシグルトを見て、死神が首を傾げた。
 
「…身体が離れているから、無理か?
 
 でも、霊体には干渉できると聞いていたが」
 
 何を、と死神が言いかけた時、にわかに強い風が吹いてシグルトの周囲を旋風が取り巻いた。
 
「お、おい、何だその風…」
 
 死神が骨だけの指で、旋風を指さす。
 その旋風は、やがてくるくると収束し、少女の姿を取った。
 髪の毛に当たる部分が周囲の景色に溶け込み、身体も透けている。
 
「…ぅわぁぁあんっ、シグルト~!!」
 
 その少女は、急に涙目になると、シグルトにガバッとしがみついた。
 
「…???
 
 なんだ、そのちんまいのは?」
 
 確かに小さい。
 人間で言えば13歳前後ぐらいの少女だが、身体のサイズは人間の3分の2程度だ。
 特徴といえば豪勢な巻き毛で、それが螺旋状にさわさわと渦巻いている。
 
 少女はぐい、と振り向くと、ふわりと浮かび上がって死神を見下ろした。
 
「失礼な骨ねっ!
 
 私は、誇り高き西風の娘っ!!
 この優美な姿を見て、〈ちんまい〉とは何よぅっ、〈ちんまい〉とはっ!!」
 
 柳眉を逆立てていた少女は、すぐにニヘッと相好を崩し、口元に手をやると馬鹿にしたように死神を見下ろした。
 
「…あははっ♪
 
 そっか~、骨だもんね。
 頭空っぽだから、馬鹿なんだ~♪
 
 や~い、骨っ、がらんどう、すっとこどっこいっ♪
 
 隙間風が吹きそうだね、ヒューヒュー♪」
 
 捲し立てる少女に、死神はどうしていいのか分からず、ぽかんとしていた。
 目があったなら、丸くなっていたかも知れない。
 
「俺に力を貸してくれる精霊、トリアムールだ。
 
 彼女は、旋風の精霊なんだよ」
 
 シグルトが説明すると、旋風の少女…トリアムールは、またシグルトにしがみついた。
 
「心配したよ~
 シグルト、昨日から急に動かなくなっちゃうんだもん。
 
 死臭がしないから、生きてるってことはわかったんだけど、ずっと目を覚まさないし、息してないし。
 シグルトは寝てるともの凄く生気が薄くなるから、いつもみたいなのかなぁと思ったんだけど、今日起きなかったら、私が見える人連れてこようかと思ってたんだ。
 
 …って、おおっ!
 
 触れるっ!
 見えてるっ!
 話せてるっ!!
 
 これは、す・ご・い~♪」
 
 ぺたぺたとシグルトに触れながら、しきりに感心しているトリアムールの頭を撫でるシグルト。
 
「…確かに凄い。
 
 お前がそんな姿で、こんなにお喋りだと、初めて知ったよ」
 
 シグルトの表情は優しく、年下の弟妹を見るそれだ。
 
 死神は、惚けたようにしばらくトリアムールの起こす風に、骨を鳴らしていた。
 
 
 トリアムールは、『風繰り嶺』でポダルゲから預かった旋風の精霊である。
 
 シグルトは精霊を視認したり、その声を聞いたり話す能力は無い。
 せいぜい気配を感じ取ることぐらいしか出来ないのだが、それでも、この旋風の精霊がずっと側にいることは知っていた。
 
 半分が〈幽世〉の存在である精霊は、現界(現実世界に現れていること)しているのでない限り、普通は見ることも触れることも出来ない。
 精霊とは、事象の〈精(元素…エレメント)〉が意思を持つ霊としてある様をいう。
 
 精霊術師とは、霊と通じる感覚を持って、〈幽世〉から精霊の力を引き出すことが出来る者だ。
 そうしなければ、精霊は現実世界と違う存在故に、顕現することは適わない。

 もっとも、上位精霊のような強大な存在は、仮に現身(うつしみ)を現実世界に作ることで、自ら現れることも可能だという。
 あるいは、自分の力が強く表れる支配領域に〈幽世〉を滲み出させて、現れる精霊も存在する。
 
 己の力を媒介に、精霊という〈幽世〉の一部をそのまま顕現させるのが、〈精霊召喚〉。
 力の一部を事象として顕すのは〈霊験〉。
 術者そのものを媒介に、その身に〈精〉を憑依あるいは宿すことを〈憑精〉という。
 
 術師によって定義がまるで違うこともあるが、シグルトは精霊術がそういうものであると聞いている。
 
 トリアムールの力を借りて、シグルトが行使するのは〈憑精〉である。
 風を纏い、その身に宿すことで力を得る術だ。
 瞬間的に感覚が鋭くなり、力も増す上、旋風を放って敵を切り裂く。
 
 〈憑精〉とは〈精(エレメント)〉の宿り。
 〈精〉、すなわち精霊の力そのものを身に憑依させてその力を振るう、顕現の術(すべ)。
 本来は、優れた精霊術師のみが使える精霊術の高等技術である。
 
 トリアムールを身に纏うように宿す〈憑精〉の術、【飄纏う勇姿(つむじまとうゆうし)】。
 
 この精霊術は、精霊と交感する心の力ではなく、宿主の身体能力を源とする。
 
 まだ若い精霊で、それほど強大な存在ではないトリアムールは、己の〈精〉である旋風のコントロールが上手くない。
 だから、この〈憑精〉も精霊術としては、比較的簡単なものに属する。
 
 旋風は、本来奔放に吹くものだ。
 力任せに宿主の動作に乗って、風を放つ。
 加えて宿主の身体能力を、感覚とともに高めてくれる。
 
 特別術師としての素養が無くても使え、まさにシグルトのような戦士にこそ適する術だった。
 
 トリアムールとの同調で研ぎ澄まされた感覚。
 シグルトはその状態で周囲を伺う。
 
「…誰か来る」
 
 気配に気付いたシグルトの横で、馬鹿にされたことに憤然と抗議している死神と、シグルトを勝手に連れ出したことを怒っているトリアムール。
 言い争っている2人に、たしなめるようにシグルトが声をかけた。
 
 
「お早う、アネッタ」
 
 それは村長の息子のハンスだった。
 アネッタの兄のような存在であるらしい。
 
 情報を集めて村を探る中で、シグルトはこの青年の言葉からアネッタとカールの関係を知ることが出来た。
 
「あっ、お早うハンス。
 
 朝のお散歩?」
 
 親しく声を交わす姿は、まるで本当の兄妹のようだ。
 シグルトは2人を見つめながら故郷に残してきた妹を思い出し、目を細める。
 
 アネッタとハンスは、摘んでいる蓮華草という花の話題で談笑していた。
 蓮華草はオズワルドが好む花で、この場所にアネッタが撒いたのだという。
 
「蓮華草か…」
 
 死神がぼそりと呟いた。
 
「知ってるか?
 
 蓮華草ってのは、〈私の幸福〉って花言葉があるんだぜ」
 
 誰に話すともなく死神が言う。
 
「…ぷ、ぶははははっ!!
 
 骨が、骨が花言葉~♪
 似合わな~いっ!!!」
 
 トリアムールが思いっきり吹き出して、からかうと、死神が激昂した。
 
「だぁ~っ!!
 
 何なんだよ、このちび精霊っ!
 人がせっかくシリアスで格好良い台詞をだな…」
 
 トリアムールは、ふふん、と鼻で笑った。
 
「だ~って骨でしょ。
 人じゃないでしょ。
 
 シリアスとかロマンスとか、言ってても似合わないもん。
 
 あと、私はちびじゃないのっ!
 立派なレディなんだからねっ!!」
 
 賑やかにまた言い争いを始める死神とトリアムールの声を呆れて聞きながら、シグルトはアネッタとハンスの動向を見守っていた。
 
 どうやらアネッタにカールとの将来を心配していたハンスが、アネッタにオズワルドと話し合うよう切り出してくれたようだ。
 今夜みんなで話し合おう、と話をてきぱきと纏めていくカール。
 
「どうやら、このまま行けば解決しそうな雰囲気だな。
 
 …ん?」
 
 ぱらぱらと降ってくる小石に気付き、シグルトの表情が一変した。
 崖の上で、昨日の死神鴉が大きな岩を落とそうと身構えていたのだ。
 
「死神っっっ、奴だ…!」
 
 剣を抜き、鋭く言い放つ。
 
「…っ!!!
 
 あんの糞鴉ぅ!
 2人に向かって岩を落とす気だ!」
 
 息巻く死神。
 
「死神…ここからあそこまで俺を飛ばせるか?」
 
 シグルトに、応よっ!と死神が力を発する。
 千里の道を一晩で飛ぶという、あの力をだ。
 
「来い、トリアムールっ!
 
 奴を斃す」
 
 そう言って死神鴉を睨み、トリアムールに手を差し出すシグルト。
 
「…うんっ!!!」
 
 トリアムールは一陣の風に変わり、巻き付くようにシグルトに身体に絡みついた。
 
 染みこんでくる風の霊気。
 冴え渡る感覚。
 漲る力。
 
「一気に飛ぶぜ、シグルトっ!!!」
 
 死神の飛翔術で、一気に距離を詰め、シグルトは死神鴉の前に躍り出た。
 同時に死神鴉に体当たりを敢行し、岩を落とせないよう後ろに追いやる。
 
「お、お前ぇ、何の真似だっ!
 
 俺の仕事の邪魔をするなと言ったはずだぞっっ!!!」
 
 乱杭歯を怒りで噛み鳴らし、死神鴉が恫喝してくる。
 
「…〈仕事〉だと?
 
 ふざけるなよ、この鴉野郎が。
 故意に寿命のある人間を殺して無理矢理魂を奪うのは、死神にとちゃ禁忌中の禁忌じゃねぇかっ!」
 
 追いついた死神が、死神鴉がアネッタに近づけないよう道を阻む。
 
「…今までずっとこんな形で魂を奪ってきたな、貴様。
 
 俺はこれから起きるその理不尽を見逃すことは出来ない。
 
 あの娘の幸せを願う親に、俺は依頼を受けた。
 その願いを守るのも、俺の仕事だからな。
 
 させん…」
 
 シグルトの雰囲気が研ぎ澄ました刃のように、武人のそれに変わる。
 う…と気圧されした死神鴉が後ろに退く。
 
「う、うるせぇ、黙れっ!!
 
 これが俺様のやり方なんだよ。
 邪魔するなら、相手になってやらぁっ!!!」
 
 噛みつくように、死神は殴りかかってきた。
 
「食らいやがれっ!」
 
 死神鴉が不思議な魔力を放つ。
 
((気をつけてっ!
 
 防御力を低下させる魔法だよっ!!!))
 
 警告しつつ、トリアムールは自らが起こす風で死神鴉を打ち据えた。
 よろめく死神鴉に、シグルトの斬撃と死神の拳が決まる。
 
「く、糞、魔法を使いやがるのかっ!!」
 
 怯んだ死神鴉は、次の旋風をその襤褸で遮った。
 
「あんにゃろう…絶対魔法防御の結界を使いやがったっ!!」
 
 トリアムールの旋風が、結界に遮られる。
 
 だが、シグルトの勢いは収まらない。
 力に任せて、結界の張られた襤褸の上から、死神鴉の頬を剣の鍔で殴りつける。
 
「が、があぁっ!!」
 
 歯が欠けてよろめく死神鴉。
 
「…おらぁぁっっ!!」
 
 止めとばかりに死神が骨の拳で、敵の顎を砕いていた。
 吹っ飛んだ死神鴉は、歯を散らして地に倒れる。
 
「ひ、ひくひょう(畜生)…」
 
 空気の抜けた情けない声で、死神鴉が恨みの言葉を口にする。
 
「へっ!
 
 貴様なんぞ、戦場で命知らずの馬鹿どもの魂でもかき集めてるのがお似合いだぜ。
 これ以上、その歯を抜かれたくなかったら、とっとと失せやがれっ!!!」
 
 死神の声を支持するように、シグルトも剣を構えて死神鴉を睨む。
 
「…ほ、ほほへへひゃがれっ(覚えてやがれっ)!!!」
 
 死神鴉は、空気に溶けるように消えていった。
 
 気付ばトリアムールはシグルトの肩に寄りかかり、眠っているようだった。
 初めて使った術のため、張り切って大量の力を消耗したせいだろう。
 シグルトは、そっとトリアムールを背負うと、周囲の様子を伺う。
 
「ふう、下の2人も帰ったみたいだな。
 
 俺たちも戻ろうぜ」
 
 死神の言葉に、剣を鞘に収めながらシグルトは頷いた。
 
 
(…糞っ!糞っ!
 
 あの冒険者めっ!!!
 見てろ…死体を見つけて生き返れないようにしてやるっ!!)
 
 逃走した死神鴉は、心の中で毒づきながら走っていた。
 
 生き返れないと知ったとき、あの冒険者はどんな顔をするのだろう?
 それを考えれば、この憤りも少しは愉快なものにかわるというものだ。
 
 歯の欠けた顎を押さえながら、死神鴉は嫌らしい笑みを浮かべる。
 
「…待てよ、そこの鴉野郎。
 
 お前、理不尽をばらまいてるな?」
 
 えっ…と振り向いた瞬間、死神鴉は悲鳴を上げる間もなく真っ二つにされていた。
 
「…お前みたいな下種には、慈悲が過ぎたな。
 もう少しいたぶってやればよかったか?
 
 それにしてもあの若造、生霊になって人助けとはな。
 鼻水垂らして泣き喚いていたあの野郎が…くくく、大したしぶとさだぜ。
 
 俺と同じ理不尽に囚われて、絶望という淵から這い上がったんだ。
 俺とは違った形で理不尽に立ち向かえるぜ…お前。 
 
 人の生を弄ぶ化生どもよ。
 人間ってのは、案外思い通りにならないもんだ。
 
 貴様等に牙を剥く獣が育つのを、震えて待ちやがれ…」
 
 その灰色の髪の男は、死神鴉を両断した剣を担ぐと、シグルトの去った方角を見た。
 
「這い上がってこい、若造。
 お前は俺と同じ、世界の理不尽に挑む資格がある。
 
 理不尽に見初められ、理不尽に振り回され、理不尽に打ちのめされ…
 足掻き、砂を噛み、なおも立とうとするその気概。
 忘れなけりゃ、神でも殺せる。
 
 お前みたいなのがいりゃぁ、ちっとは俺も楽になるからな」
 
 そう言って男…“神狩りの灰”は楽しそうに笑みを浮かべていた。
 
 
 結局、オズワルドの願いは無事に叶った。
 その日の夜に話し合った末、カールにアネッタの将来を託したオズワルドは、幸せそうに逝った。
 
 死神は、オズワルドの願いで彼の魂を連れ、村の南にある丘に向かう。
 その丘には蓮華草の咲き乱れる小さな墓地があった。
 
「ここはホーキンスの墓です。
 アネッタの本当の父親の、ね。
 
 蓮華草は、彼が好きだった花なんです。
 私がここに墓を建て、花も咲かせました…
 
 私が死んだ以上、もう訪れる者はいないでしょうから、最後に立ち寄ろうと思ったのです」
 
 そう言って、オズワルドは一輪の蓮華草を摘むと、その墓に供えた。
 
「じゃあ、そろそろ行こうか、ホーキンス」
 
 オズワルドの言葉に、シグルトはやっぱりそうか、という顔をした。
 
「…何だよ、2人とも気が付いていたのか」
 
 骨を鳴らして、死神…ホーキンスは肩を落とした。
 
「お前が、蓮華草云々と言った時になんとなくな。
 
 それに、お前はいつもアネッタの方ばかり見ていた。
 俺は鈍いが、肉親への情は分かるつもりだよ」
 
 シグルトの言葉に続くように、オズワルドも頷いた。
 そして溜息を吐くホーキンスを急かし、シグルトに礼と別れを告げる。
 
「お前に頼んで本当に好かったよ、シグルト。
 
 …ありがとよ」
 
 死神に気にするな、とシグルトは微笑んだ。
 
「お前の霊脈が、身体に戻してくれるぜ。
 
 疲れて寝ちまった、お前のちんまい相棒にもよろしく伝えてくれ。
 
 じゃあな、シグルト。
 くれぐれも命は大切にしろよ。
 
 時期が来たら、オレが迎えに行ってやらぁ…」
 
 死神ホーキンスの軽口に、シグルトは「それは御免だな」と肩をすくめる。
 
「では、お元気で。
 
 本当に有難う御座いました」
 
 オズワルドは再び礼を延べ、満足そうに微笑んだ。
 
 そうして、死神ホーキンスとオズワルドは去っていった。
 
 
 数日後、シグルトはカザム村に立ち寄り、アネッタとカールの結婚式を眺めていた。
 そして、祝福される2人に、ホーキンスの墓地に咲いていた蓮華草で花束を作り渡す。
 
 場違いな美しいこの冒険者の登場に、村人たちは目を白黒させていた。
 
「あ、あの…貴方は?」
 
 尋ねるアネッタに、シグルトは優しく微笑んだ。
 
「君の〈お父さんたち〉の知り合いだ。
 
 彼らの代わりに、これを渡したくてな。
 この花は〈私の幸福〉という意味があるそうだな。
 
 〈お父さんたち〉にとって君の幸福が、自身の幸福だったと俺は思う。
 そして君たちのさらなる幸せを、望んでいるはずだ。
 
 だから、きっと幸せになってくれ…」
 
 彼の暖かい言葉に、アネッタは感動したのか、泣き崩れた。
 
 シグルトの〈お父さんたち〉という言葉は違う意味であったが、アネッタたちはシグルトがアネッタの両親の知り合いだと思ったのだろう。
 大人びたシグルトの雰囲気は、もっと年を経たようにも感じさせる。
 
 アネッタとカールは席を設けて、もてなそうと言った。
 だが、シグルトは急ぐ先があると言って断り、その場を去ろうとする。
 
「ま、待って下さい。
 
 貴方はシグルトさんですよね?
 父の遺言で、生前とてもお世話になったからお礼をするようにと、お金と手紙が残っていました。
 
 後日リューンに行く予定だったので、その時にお渡ししようと思っていたんですが…」
 
 その間にカールが、件の報酬の入った袋を持って走ってくる。
 
「そうか…では、有り難く受け取るよ。
 
 そう言えば、リューンでパン屋をやるそうだな。
 場所が決まったのなら時間がある時でいい、リューン郊外の『小さき希望亭』という冒険者の宿の主人か娘さんに、場所を教えておいてくれ。
 
 今度、仲間たちと伺うよ」
 
 優しい瞳で、シグルトはふわりと笑った。
 傍で見ていた村娘たちが、一斉に頬を赤らめる。
 
 死神が「女なんてイチコロ」と評した笑みを残し、シグルトはアネッタから銀貨の袋を受け取ると、満足そうな足取りで踵を返し旅立つ。
 
 その傍で風の精霊トリアムールは、日差しに照らされて透けるシグルトの魂を眺めながらついて行く。
 シグルトの魂の色は、理不尽に立ち向かい道を切り開く、清浄な白い鋼色。
 トリアムールには、2人の男の願いを叶えた充実感から、その魂がシグルトの喜びで優しく気高く輝いているようにも見える。
 
 自身も誇らしい気持ちで胸を満たしてシグルトの後を追いかけながら、トリアムールは爽やかな一陣の微風を吹かせるのだった。

 
 
 だいぶお久しぶりのリプレイです。
 
 今回は、ソロプレイの傑作『魂の色』。
 
 私、難度もプレイしました。
 
 初回プレイでは、銀色称号の魂の色にするのも難しいのですが、慣れてくると綺麗な魂の色を狙えます。
 シグルトは「白く輝く魂」でした。
 このシナリオでは二番目ですが、通常プレイで狙えるものでは最高の色です。
 一番点数が高い色は、怪我人を出させて限定した治癒スキルで回復しないと到達出来ません。
 でも、私はこの色で好かったと思います。
 なんというか、シグルトって「聖者の如き魂」出はないと思いますので。
 
 私は二番目が好きです。
 金属なら銀。
 宝石ならサファイヤやエメラルド。
 シグルトは英雄型で、特殊型の二番目。
 
 シグルトは、心の奥底に深い闇を抱えています。
 ですが、それゆえに輝きも強くなる、「汚れを知った白さ」が彼の色なのだと思います。
 無垢ではなく、磨いた輝きというやつですね。
 あるいは、溶かして打ち、鍛え上げた鋼鉄の輝きでしょうか。
 
 今回は、ついにトリアムールたんも喋ってます。
 可愛いでしょう?
 シグルトの精霊としてはかなりギャップがあるのですが、それもまた好しっ!ということで。
 
 
 今回、また怪しい人物とか、シグルトの過去が露わになっています。
 シグルトが故郷を後にした一番の理由は、自分のせいで周囲を巻き込んでしまった罪悪感からでもあります。
 同時に、そうまでして生き残った命を尽くすために、シグルトは再び戦う決意をしました。
 だからこそ、ああも強く、ああも不屈の意志でことに臨めるのです。
 
 シグルトの強さは、言わばどん底を垣間見て開き直った強さですので、多少のことでは動じないんですね。
 自身の無力感と絶望にとことん打ちのめされて、そこから這い上がってきた者が持つ、挫折を知った強さです。
 もともと完璧主義というか、妥協を知らなかったシグルトが、敗北と挫折を知って立ち直る強さを得たわけですから、彼が図太いのは当然なんですね。
 
 
 さて、今回出てきた“神狩りの灰”ですが、私が戯れ言の中でぼやいた中にデータがあったりします。
 興味のある方は、探してみて下さい。
 
 この兄ちゃん、とっても自己中でして、かなりやばいです。
 もう、気に入らない神様とか悪魔がいれば、片っ端からぶった切っていきます。
 理不尽を殺す理不尽。
 何というか、運命だの、宿命だのと変な柵を押しつけてくるでっかい連中をぶった切るアンチウェポンというか…
 私の天の邪鬼気質が設定として浮き上がった兄ちゃんです。
 
 私、こういうアヴェンジャータイプのきゃらも大好きなんですよねぇ…。
 
 
 さて、一時分散した“風を纏う者”ですが、次回では集結します。
 ちょっとずつパワーアップした面々が登場出来るかと。
 
 
 今回、ちゃっかり小銭を稼いでいるシグルト。
 所持金も+500SPです。
 
 この時点でパーティ基金が5000SP超えてますから、パワーアップも早く出来そうです。
 レベッカ辺りは喜んでいるでしょう。
 
 
 〈著作情報〉2007年11月29日現在

 『魂の色』はZER0さんのシナリオです。現時点でgroupAsk official fansiteにて配布されている『寝る前サクッとカードワース_vol.4』に収録されています。
 シナリオの著作権は、ZER0さんにあります。
 このリプレイの時のバージョンはver.1.21です。
 
 カードワースはgroupAskに著作権があり、カードワースの管理、バージョンアップ、オフィシャルな情報等はgroupAsk official fansiteにて、カードワース愛護協会の皆さんがなさっています。
 このリプレイは各シナリオをプレイした上で、その結果を小説風リプレイとしてY2つが書いたものです。
 書かれた記事、書かれる記事は、特定のシナリオの名前が出たときは、そのシナリオの著作権はすべてそのシナリオの作者さんにあります。
 
 また、リプレイ中に使われる内容には、各シナリオで手に入れたスキルやアイテム、各シナリオに関連した情報等が扱われることがあります。
 それらの著作権は、それぞれのシナリオの作者さんにあります。
 またカード絵等の素材に関しては、シナリオ付属の著作情報等を参考にして下さい。 
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