Y字の交差路

 ここはY2つめがノリで作ったブログです。  カードワースを中心に、私が思ったことや考えたことを徒然なるままに書きたいと思います。

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『碧海の都アレトゥーザ』 風は留まらない

 その日の夕刻。
 『悠久の風亭』に戻ったシグルトを見つけた途端、ラムーナが駆け寄って来た。
 
「…元気だったか、ラムーナ?
 
 皆も揃っているようだな」
 
 穏やかな微笑を浮かべ、シグルトが宿を見渡す。
 カウンターに座っていたレベッカが、お帰りとばかりにアレトゥーザ名物【イル・マーレ】の瓶を掲げた。
 
 その横でナッツを摘んでいたスピッキオが、ほほ、と笑った。
 
「遅いよ、もう。
 
 書棚2つ分の本を読むくらい待ったんだからね」
 
 すねたようにロマンがそっぽを向くが、再会が嬉しいのか少し頬が赤い。
 この少年のひねくれた態度は、相変わらずだ。
 
「すまないな。
 
 少しばかり野暮用を済ましていたら、随分到着が遅くなってしまった」
 
 そう言ってシグルトは、銀貨の袋を取り出すとカウンターに置いた。
 “風を纏う者”の他のメンバーたちは、結構な額の銀貨に目を丸くしていた。
 
「驚いた…
 使うかも知れないと思って渡した銀貨の他に、大分増えてるじゃない。
 
 他にも仕事をして来たのね?」
 
 渡した時には千枚ほどだった銀貨が随分増えたのを確認し、レベッカも銀貨を懐から取り出してその横に置いた。
 銀貨五百枚ほどである。
 
「私もちょっとばかり収入があったのよ。
 
 別れる前にシグルトと私で稼いだお金を合わせると、銀貨五千枚以上あるわ。
 その仕事で見つけた魔法のお宝なんかもあるし、しばらくは資金に困らないわね。
 この杖、デザインが気に入らないからって、ロマンは使ってくれないし…
 今度、どこかの冒険者に売り込んでみるわ。
 
 余裕も出来たことだし、今夜は久しぶりの再会を祝して豪勢にしましょうよ」
 
 レベッカがそう言うと、宿の女将であるラウラがやって来て、皆の前に料理の大皿をどさりと置いた。
 
「これはうちの奢り。
 
 レベッカたちには、留守番や宿の雑用をやって貰ってたからね」
 
 新鮮な海産物をふんだんに使ったボリュームたっぷりの料理に、レベッカが目を輝かした。
 
「すまない…馳走になる。
 長旅で保存食ばかりだったから、楽しみだ。
 
 レベッカは…手持ちの酒があるようだな。 
 ロマンには、蜜入りの果実水を。
 ラムーナには、ミード(蜂蜜酒)でいいか?
 スピッキオはいつもワインだったな。
 俺はエールを貰おう。

 それと、魚の〈あら〉があったら、いつもみたいに辛めの香草を使って一料理頼む。 
 仲間には、適当な料理を見繕って出してくれ」
 
 ラウラが呆れたように肩をすくめた。
 
 シグルトは、余り豪華な食事を頼まない。
 硬い筋の肉や、魚のあらを好む。
 あげくに、あまり好まれない海草や、臓物の煮込みなども好き嫌い無く食べる。
 
 硬い物ばかり食べるシグルトの顎は強靱で、胡桃や動物の骨を容易く噛み砕けるほどだ。

「あんたさぁ…

 こんな時ぐらい、もっと良い物食べなさいよ」
 
 レベッカがそう言うと、シグルトは苦笑した。

「古くなった塩漬けの魚に比べれば、みんな御馳走だ。
 
 それに、〈あら〉は煮込みにするとなかなかいける。
 なにより、身になる食い物だからな」
 
 魚の骨や目玉も残さず食べるというシグルトは、やや痩せた体格にしては骨格ががっしりしており、かなりの力がある。
 彼より二回りも大きい男を、軽々と投げ飛ばすぐらいだ。
 
 戦士は食事から、というのがシグルトの言い分だ。
 脂肪の少ない物を食べ、鍛錬を怠らないシグルトは余分な脂肪など全くなく、猫科の野獣のようにしなやかな筋肉をしている。
 同時に持久力が高く、打たれ強い。
 
 祝いの席ですら酒の量を守る徹底ぶりも、リューンの『小さき希望亭』では有名だった。
 シグルトが好むのは辛口のワインかエールだが、ぐいぐい飲むのではなく、ちびちびやる。
 
 素面を保ち腹八分であることが、どんな時でもすぐ動き回れる条件だからという言い分だ。
 そのあたりでも優秀な戦士である。
 
 シグルトの禁欲さには、一分の隙も無い。
 
 己の腹についた脂肪を思い出し、レベッカは少しやけになって杯をあおった。
 
(まったく、美味しいから仕方ないじゃないっ!)
 
 心の中で愚痴を言うレベッカの横で、遠慮無く食べているのはラムーナである。
 
 育ち盛りのラムーナは、今までが痩せ過ぎだったので、食事は大いに必要なのだ。
 それに、激しい戦いのダンスを習得したため、その分活力が必要だった。
 
 ロマンは小食だが、甘い物が好きである。
 
 食べても一向に太らない体質で、ニキビすらない端整な顔立ちは女性に羨ましがれる程だ。
 ロマンの話では、適度に摂取をしないとさらに太りやすくなるそうである。
 決まった時間に量を計算して摂取するのが、肝要らしい。
 
 スピッキオは老人ではあるが、長身のシグルトよりもさらに一回り大柄である。
 
 だが、見た目に似合わず大食いではなかった。
 彼の好物はナッツ類で、胡桃や南瓜の種には目が無い。
 肉類よりも海産物が好きで、それは南海地方の出身らしいとも言える。
 
 久しぶりに出来る一緒の食事は、それぞれ思うところはあるものの、和やかな時間となるのだった。


「皆、食事をしながら聞いてくれ。
 
 今後のことなんだが…
 最近アレトゥーザ近郊には、随分余所の冒険者が集まって来たようだ。
 噂では地元の冒険者と、俺たち外様の冒険者の間で摩擦が起きているらしい。
 
 こんな競争状態の状況では、あまり仕事が無いと思うんだ。
 
 この手のことは、リューンやアレトゥーザのような大都市では頻繁あることだが、そのうち落ち着くだろう。
 だが、その間暇を持て余すのも考えものだ。
 
 早いうちに別の都市に移動した方が仕事にありつけるかもしれないし、今なら路銀にも余裕がある。
 通る街道の、選択肢も増えるはずだ。
 
 どうだろう?」
 
 都市に訪れたその日に旅立ちを提案するシグルト。
 気が早いようにも見えるが、リーダーとしてのシグルトは迅速な決断力を持っていた。
 彼のこういった提案は、大概が正論である。
 
「それには私も賛成ね。
 
 良いだか悪いんだか、私たち“風を纏う者”は、そこそこに仕事が出来るからってことで、地元の冒険者に煙たがられているのよ。
 名が売れることは、大切なことなんだけど。
 
 昨日この都市の知り合いと飲んだのだけど、露骨に私たちをライバル視してる連中もいるって聞いたわ。
 
 “海風を薙ぐ者達”っていう地元のベテラン連中を中心に、ちょっとばかりきな臭い噂もあるみたいだし。
 連中、この間でっかいへまをやらかしたらしくて焦ってるって話だわ。

 この手の連中に、目の敵にされたらやっかいよ。
 少なくとも“海風を薙ぐ者達”に、今の私たちじゃ足下にも及ばないわ。
 こいつ等の武勇伝は有名だしね。
 
 それに、聖海教会の派閥闘争が激しくなりそうだわ。
 あの教会は、保守派と穏健派で真っ二つに別れてるけど、最近特に保守派が派手に動き回ってるみたい。
 
 その上、この都市の司教はバリバリの保守派で潔癖症って話だから、私たちにもとばっちりが来るかも知れないわ。
 教会って、時には仕事をくれるお得意様だけど、教義とか信仰が絡まると途端に石頭になって文句を言ってくるし。
 保守派の何人かは、国外の人物…特にラムーナみたいな東方の民や、南方大陸出身の黒き民を目の敵にしているしね。
 
 この間、チーロとかいう保守派の坊主がラムーナに因縁をふっかけてきたのよ。
 いかがわしいとか、なんとか。
 スピッキオと一緒に、しばらくふんぞり返って椅子に座ることが出来なくしてやったけどさ。
 
 小耳に挟んだ話じゃ、この都市近郊の〈鮫〉…海賊の動きが活発になってきたみたいだし、アレトゥーザの宿敵といえる隣国フォルトゥーナとの緊張が高まって、騒がしくなってるわ。
 戦争が起こりそうな感じで、しかも仕事がやり難い規制がかかりそうな気もするのよ。
 軍人どもやお役所は、余所者の活動を嫌うからね。
 
 今後、動き難くなるかもしれないし、外出が緩やかなうちにこの都市を出るのが賢明でしょう?」
 
 レベッカの言葉に、ロマンが頷く。
 
「最近『賢者の塔』で、馬鹿な同業者が礼儀を欠いたことをしたらしいんだよ。
 おかげで、僕らも貸し出し書物に制限がかかちゃったんだ。
 
 今読める類の本はどこにでもあるし、僕も別の都市に移るのは反対しないよ」
 
 続いてシグルトがラムーナの方を注視する。
 
「ここで習ったダンスは、後は実戦で磨くだけだって言われてるよ。
 私はいつでも大丈夫。
 
 仕事を探すのなら、すぐにでも出発しようよ」
 
 ラムーナの横で、一人渋い顔をしているのはスピッキオである。
 
「儂としては、レベッカの言った教会のことが悩ましいところなんじゃが。
 
 他に反対もおらんようじゃし、仕方あるまいて」
 
 決まりだな、とシグルトが決を出した。
 
「…お前たち、此処を離れるのか?」
 
 話を聞いていたらしい『悠久の風亭』のマスターが、ぼそりと野太い声で問うた。
 シグルトが、悪漢たちに絡まれいたレナータを助けて彼女と親しくなって以来、このマスターのシグルトを見る目は大きく変わっている。
 
 最初はどこか余所者として少し粗雑な扱いを受けていたのだが、“風を纏う者”の面々が長く逗留したせいもあってか、今ではこの宿に属す地元冒険者たちに対するように扱ってくれた。
 
「ああ。
 落ち着いたらまた来るつもりだが、しばらくは別の都市で仕事をすることになるだろう。
 
 俺たちは冒険者だ。
 旅をするのは職業柄、だな」
 
 シグルトが苦笑して言うと、マスターは深く溜息を一つ吐き、不意に面を上げて言った。
 
「…お前たち、この宿の専属にならねぇか?」
 
 “風を纏う者”の面々が、一様にマスターを注視する。
 
「余所者から、この都市の宿で専属になる冒険者も沢山いる。
 もちろん専属にするなら、宿の店主の目に適った奴じゃなきゃいけねぇんだがな。
 
 その点、お前たちは問題ねぇ。
 実力は発展途上だが、仕事の誠実さはあちこちで聞いてる。
 パーティとしての結束力もつえぇ。
 
 レベッカはこの都市の盗賊ギルドにコネがあるだろ?
 そこの爺さんは、聖海の司祭様じゃねぇか。
 縁だって十分にある。
 
 その気がありゃ、問題はねぇよ」
 
 やや頬を赤らめているマスターである。
 褒めることが苦手なのだろう。
 
 マスターの横で、ラウラが片目を瞑った。

「この人がこんなことを言うのは珍しいのよ。
 
 でも、あんたたちを認めてるのはこの人だけじゃない。
 私としても、あんたたちには専属になって欲しいわ。
 
 仕事が出来て信頼に値する冒険者を、より多く抱えるのは冒険者の宿でとても大切なことなのよ。
 特に盗賊と僧侶が揃っていて、シグルトのように優れたリーダーがいるパーティは、喉から手が出るくらい」
 
 ラウラの言葉を横で聞いていたマスターは、動きを止め、真剣な顔になった。

「特に、シグルトはレナータと仲良くしてくれてるだろ?
 
 美人なレナータ目当ての軟派野郎なら、ぶん殴って追い出すところだが、お前は見返りも求めずあいつを助けてくれた。
 それに、恩を着せたりしてねぇ。
 お前がどんな奴か見てきたつもりだが、レナータの知り合いの中じゃ、一番男気がある奴だ。
 いっつもあいつに気を遣ってくれてるし、お前と会ったって後、レナータがよく笑うんだよ。 
 
 あいつはこの都市で、一人で頑張ってるんだ。
 だがよ…
 この間みたいにいわれのねぇ因縁ふっかけられて、酷い目に遭うこともある。
 女一人で生きてくにゃ、世知辛い世の中だ。
 あいつが不憫でよぅ。
 
 俺たちはレナータにでかい借りがある。
 その借りを返してぇんだが、俺たちがしてやれることっていえば、せいぜい食い物の差し入れをするぐれぇだ。
 
 レナータには、もっと側で支えてやる奴が必要だと思っちゃいるんだが、よ。
 だから、あいつと仲の良いシグルトが此処に留まってくれると、ありがてぇんだ」
 
 マスターは期待の籠もった目でシグルトを見つめる。
 だが、シグルトは少し目を伏せ、そして首を横に振った。
 
「マスターの申し出は凄く嬉しい。
 
 だが、俺たちはリューンの冒険者だ。
 仲間の意見はそれぞれあると思うが、俺は流浪していたところをリューンの『小さき希望亭』で拾って貰った恩義がある。
 
 宿を換えるのは、冒険者として不義理の極みだ。
 やれば冒険者の世界では、村八分に近い扱いをされるのはマスターたちも知ってるだろう?」
 
 登録した宿を抜けて他の宿の冒険者になるということは、一見当たり前に出来そうだが、実は最大の禁忌の一つである。
 何故なら、特定の冒険者の宿に属す冒険者は、宿独自のコネクションや秘密に関わり、特権と共に多くの責任を有するからだ。
 
 宿を通して受けた依頼人の秘密や、宿独自のルール。
 宿を換えるのは、そういったものを捨てるということだ。
 同時に宿にとって目障りな存在となり、裏切り者同様の扱いとなる。
 
 過去にそのような宿抜けをしたことがある冒険者は、「裏切る可能性のある者」として扱われることが多い。
 だから、冒険者として再び迎え入れる宿は少なくなり、そう言う人物だと知って迎え入れた宿は、常識知らずだと不名誉な扱いをされる。
 そんな宿は、冒険者に関わる組合から十中八九爪弾きにされ、経営がおぼつかなくなるだろう。
 
 冒険者が宿を移籍する場合は、互いに友好な関係の宿同士で、片方から紹介状を携えて行うのが普通だ。
 だが、これはそれなりに実力のある冒険者がやることであり、冒険者になって間もないシグルトたちは紹介状を書いてもらえるほどではない。
 実績は積みつつあるが、“風を纏う者”の面々は駆け出しである。
 
 大変な遠方からの移籍である場合、例外になる場合もある。
 これは、あまり褒められたことではないが仕方ない、程度に扱われる場合がほとんどだ。
 最も、不義理だと白い目で見られる可能性は捨てきれない。
 
 他には、冒険者その者が独立して冒険者の宿のようなコミュニティを作る場合もある。
 だが、これは引退した冒険者などの選択肢で、現役の冒険者がすることではない。
 
 こういった背景から、冒険者はどんなに遠くで仕事をしていても、何れは所属していた冒険者の宿に帰還するのが常識であった。
 冒険者にとって所属する宿は、根無し草とも言われる冒険者たちの故郷であり、帰るべき家なのである。
 
 宿の移籍はつまり、故郷の家族を見限るような行動なのだ。
 
 無論、このような綺麗事だけで冒険者がやっていけるわけではない。
 実際に無理な移籍をしつつも、実力で周囲に認めさせた者たちもいるし、止むに止まれぬ事情で移籍に踏み切った者たちもいる。
 
 だが、義理堅いシグルトとしては出来る限り仁義を守るのがスタイルだ。
 マスターの申し出を有り難いと思っていても、裏切り者の汚名を世話になっている『悠久の風亭』にもたらすのは絶対避けたいという気持ちだった。
 
 シグルトの言いたいことが判ったのか、マスターは残念そうに肩を落として、「そりゃ、仕方ないよなぁ」と呟いた。
 
「あんたみたいな義理堅さがあるからこそ、声をかけたんだけどね。
 最初にこの宿に来てくれなかったことを残念に思うわ。
 
 でも、もし何かあって行き場所が無くなったら、うちに来ることを最優先にしてね」
 
 ラウラは結果が判っていた、とばかりにそう付け加えた。
 
 シグルトは、「すまないな…」と謝罪の言葉を言うと、出されたエールを一口啜った。
 “風を纏う者”の面々も、シグルト同様の意見らしく、皆すまなそうにしている。
 
「…だが誓おう。
 
 俺が及ぶ限り、レナータのために尽くすつもりだ。
 彼女は、この都市で出来た最初の友だからな」
 
 何気ない言葉であったが、シグルトは誓いのために命を賭けられる男だった。
 誓いのために己の力を尽くすことは、彼の名誉なのだ。
 
 そして、誠実で公正なシグルトが誓う言葉に嘘は無い。

「それに、レナータは強い女性だ。
 誰かに護られることを、好しとはしないだろう。
 
 親しいということは、信じられることでもあると俺は思ってるよ。
 
 だから、彼女が本当に助けを求めた時…
 俺が助けるべき時が来た時に、力を尽くす。
 
 彼女を背負うわけでも、恩を売るわけでもない。
 共に歩む時がある、けれど互いの誇りと別の道を歩むことを尊重して並ぶことが出来る…
 
 俺はレナータの、そんな友でありたい」
 
 シグルトの言葉に、マスターが目を見開いた。
 
 レナータが自身の道を必死に生きていることを、シグルトはちゃんと見ているのだ。
 だからこそ、彼女の誇りを重んじ、友として横に並ぶのだと。
 
 レベッカが誇らしそうに鼻を鳴らした。

「うちのリーダーはこういう奴よ。
 
 だから、この私が認めてるの」
 
 自慢げなレベッカの態度に、マスターがまた一息大きく吐いた。
 今度は諦めたような、溜息だった。 

 
 
 どうやら私の執筆には周期があるようです。
 スキルの方がスランプで作れないので、偏った勢いをリプレイにぶつけてみました。
 
 ようやく“風を纏う者”が揃いました。
 ここまでバトルがしばらく無かったので、次回はどか~んとやりますよ。
 
 今回、シグルトが「宿の移籍」について話していますが、これはカードワースのシステムから見た上でのY2つなりの解釈です。
 宿に帰還しないとシナリオが終わらないし、宿のメンバーを別宿にすることは普通出来ませんよね?
 それに、冒険者ってとても契約ごとに五月蠅いと思うので、こういう常識があってもいいかなぁ、と。
 
 皆さんのスタイルと違ってしまう場合は申しわけないのですが。
 
 
 シグルト、今回「友情」について語っています。
 友人とは、「互いの領域を尊重しあって並ぶ仲」というのが、彼なりの哲学なのですが…
 実は私が友人に対して持つ考えもこれに近いものがあります。
 おせっかいで押しつけがましく強制するのって、親しい仲には阻害にしかならない場合もあります。
 それに、誰かに面倒を見て貰うって、自尊心を著しく害すでしょうし。
 
 私は一人で『蒼の洞窟』にいるレナータは、独立した自立心の強い女性だと思うので、それを感じて彼女の立場や考えを尊重できるシグルトを関連づけて考えてしまいます。
 
 シグルトは、かなり自尊心が強い部分があります。
 「名誉こそ命」ですからね。
 でも、彼の自尊心は、他人のそれを尊重できる公正で誠実なところから始まっていると思います。
 言葉にしてみると、今更ながら臭いですけどね。
 
 対して「献身的」で「愛に生きる」一は、もしかしたらおせっかいかもしれません。
 そういうのもありですが。
 
 PCの心理の動きを考えてみると中々楽しいです。
 
 
 さて、集結したシグルトたちの資金ですが、5538SPもあります。
 シグルトとレベッカが稼いだお金がほとんどですが、この2人、金策上手なのでしょうね。
 
 今後の買い物が楽しみですが、シグルトは旧版とはかなり違う成長ルートを通ると思います。
 同時に私が関わったスキルの、意外な使い方なども紹介するつもりです。
 
 自作シナリオのスキル関連はモチベーションが回復次第、やるつもりですが、もうしばらくお待ち下さい。 
 
 
〈著作情報〉2008年04月24日現在

 『碧海の都アレトゥーザ』はMartさんのシナリオです。現時点ベクターで配布されています。
 シナリオの著作権は、Martさんにあります。
 このリプレイの時のバージョンはVer1.22です。
  
・Martさんサイト『esotismo.』 (閉鎖)
  
 カードワースはgroupAskに著作権があり、カードワースの管理、バージョンアップ、オフィシャルな情報等はgroupAsk official fansiteにて、カードワース愛護協会の皆さんがなさっています。
 このリプレイは各シナリオをプレイした上で、その結果を小説風リプレイとしてY2つが書いたものです。
 書かれた記事、書かれる記事は、特定のシナリオの名前が出たときは、そのシナリオの著作権はすべてそのシナリオの作者さんにあります。
 
 また、リプレイ中に使われる内容には、各シナリオで手に入れたスキルやアイテム、各シナリオに関連した情報等が扱われることがあります。
 それらの著作権は、それぞれのシナリオの作者さんにあります。
 またカード絵等の素材に関しては、シナリオ付属の著作情報等を参考にして下さい。
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『碧海の都アレトゥーザ』 精霊を担う者

 その日も燦々と眩しいアレトゥーザの太陽を見上げ、シグルトは眉根をしかめつつも柔らかな微笑を浮かべていた。
 南海から吹き付ける湿った潮風の香りが、ここからは見下ろせないが、美しい碧海を想起させる。
 
 シグルトはまた『蒼の洞窟』を目指していた。
 石畳を叩く靴音は、心持ち軽い。
 知った者に間もなく再会する安堵感からであろうか。
 
 ちょっとした冒険を終え、シグルトが『悠久の風亭』に到着したのは今日の昼過ぎである。

 “風を纏う者”の仲間たちはそれぞれ出かけていておらず、夕方には集うだろうと聞き、それまで暇を潰すことにしたのだ。
 この都市に住む者でシグルトが知り合いと言えるのは、『悠久の風亭』の主人とその妻ラウラ、そして精霊術師のレナータぐらいしかいない。

 遠く北方からやって来たシグルトは、まだ冒険者としての経験も浅く、コネクションも少ないのだ。
 すでにその技量を認められつつあるものの、深い部分ではまだ駆け出しであった。
 
 旅先で縁を作るのも、冒険者にとっては重要なことである。
 冒険中に困った時、最終的にはその土地でのコネが最後の切り札になるからだ。
 
 アレトゥーザでレナータという知り合いが出来たことは、シグルトにとって有り難いことであった。
 
 それにレナータは、きつい訛りのある生粋のアレトゥーザ市民たちとは違い、きちんとした交易語で会話が出来る。
 共通語として広く広がっている西方の交易語以外にも、故国の北方語系列の言葉をいくつか流暢に話せるシグルトだが、南海近くで話される訛りの強い言葉は少し苦手だった。
 澄んだレナータの言葉は訛りが少ないし、彼女はお喋りではない。
 自身も普段はやや寡黙な傾向のシグルトにとって、付き合いやすい人物であった。

 やがて見えてきた洞窟の入り口をくぐり声をかけると、すぐにレナータが出迎えてくれた。 
 
 シグルトは土産代わりに、『悠久の風亭』の女将さんがもたせてくれた焼菓子と、旅先の市で手に入れた新しい陶器のカップをレナータに手渡した。
 神経質な妹と、資産家でロマンティストな恋人を持っていたシグルトは、意外にも土産や贈り物などで細やかな気遣いが出来る。
 基本的には鈍感で武骨なのだが、知人を大切にする誠実でお人好しな本質はこういったところで表れるのだ。

 安物で悪いな、と言うシグルトに、レナータは思い切り首を横に振って嬉しそうに器を抱きしめていた。
 
 そしてお礼にと、レナータが煎れてくれる香草茶を飲むことになった。
 新しいカップが早速役立つと、レナータは白い肌を喜びに上気させて洞窟の奧に消えていく。
 
 シグルトは適当な岩を選んで腰掛けると、爽やかな洞窟の涼気に身を任せていた。

 戻ってきたレナータにお茶を注いで貰い、その熱さと香りを楽しみながら、ゆっくりとカップを揺らす。
 
 2人静かに、洞窟に光を反射させる美しい水面を眺めてお茶を飲むだけ。
 しかしそれは、シグルトのような闘争に身を置く冒険者にとって、かけがいのない安らぐ時間だった。
 
 またここに来ることが出来たことを尊び、知人との再会を喜び、静寂の優しさを味わう。
 普段あまりに簡単に手に入るそれは、実はとても素晴らしくて大切なものなのだとシグルトは思う。
 何故なら、そういったものの多くをシグルトは一度失ってしまったからだ。

 故郷の妹や愛した女性、友を思い出し、シグルトは少しだけ憂いのある表情を浮かべて昔を懐かしんでいた。

 シグルトがそんな気持ちで過ごす中、レナータは少し雰囲気の変わったシグルトをぼうっと眺めている。
 雰囲気が変わった原因はよく分かっている…シグルトの周囲を忙しなく飛び回っている精霊のせいだ。 

「…今日は可愛らしいお嬢さんを連れていますね」
 
 過去を思い目を閉じていたシグルトの周囲を、彼の関心を誘うかのようにふわりと風が舞った時、レナータは興味深そうに語りかけた。

「ああ、〈トリアムール〉のことか」
 
 半眼に目を開いたシグルトがさらりと言葉にした名前から、その意味を感じ取ったレナータは目を丸くした。
 
「その名前の韻…強い言霊を感じます。
 
 もしかして精霊に名を贈ったんですか?」
 
 シグルトが軽く頷くと、レナータはなるほどと虚空に目をやった。
 おそらくそこに〈トリアムール〉がいるのだろう。
 
「初めてお逢いした時からシグルトさんには、精霊術師の才能があると思っていました。
 貴方は精霊たちを強く惹き付ける何かを持っています。
 何れは何かの精霊と交信を持つのではないかと…
 
 でも、この娘は普通の風の精霊じゃありませんね?
 まだとても若いけれど、とても格が高い…
 かなり上位の精霊の、直接の眷属か化身、あるいは分霊でしょうか…
 
 名を与えたということは、契約した精霊なのでしょうが。
 でもその様子では、まだこの子のことが見えないのでは?」
 
 シグルトは頷く。
 
「俺の目は精霊を捉えることは出来ないし、この耳はその言葉を聞くことはかなわない。
 一度、精霊と似たような状態になったことがあって、その時は見えたんだけどな。
 
 見たり聞いたりは無理だが、昔から不思議と精霊の存在は感じ取れた。
 
 母の話ではずっと昔、物心つく前には精霊の言葉を聞き、見ることが出来ていたようだ。
 何故か、ふつりとそういった力がなくなってしまった。
 まあ、霊感の強い子供の時分が終わると、こういった力は失いやすいらしいが。
 
 俺が精霊の存在を五感の全てで捉えらなくなったのも、俺が純粋さを失ったせいかもしれない。
 
 いつの間にか戦士として敵を殺す感触に馴染み、感受性を捨て、精霊の嫌うという鉄の武具を振るうようになった。
 少なくとも、幼い頃の純粋さを懐かしむぐらいには時を経てしまったと思うよ。
 
 子供の頃、いろんなことを教えてくれたまじない師の婆さんがいたんだが、よく精霊のことをせがんで聞いた。
 聖北の教えよりも、地に着いた古い神々や精霊の話の方が、あの頃の俺にとって興味深かったからな。
 
 俺の故郷は聖北教会の勢力が強くて、その教義も聖海とは比べものにならないくらい過激で保守的なんだ。
 坊主たちには、前に君にちょっかいをかけていた助祭のような連中がごろごろしていた。
 異種族はドワーフ以外の入国を認めなかったし、異端として処刑される人間も多かった。
 
 だから、おいそれとまじないや精霊のことを口には出来なかったが、昔から精霊の存在には全く違和感を覚えなかったよ。
 俺の母は戯曲や物語が好きで、父は他国の神話や伝承に造詣が深くそういった文化に寛容な人だったから、そういう存在の話をよく聞いた。
 …そのためかもしれないな。
 
 精霊と強い絆を持ってみると、今になって見過ごしていた多くの物を強く感じるし、失った感性を惜しむ気になる。
 
 だが、過ぎ去った時は戻らない。
 今俺に出来ることは、とても君たち精霊術師のようにはいかないよ」

 昔を思い出していたからか、少し饒舌になったシグルトを眩しそうに見つめながら、レナータは「そんなことはありませんよ」と優しく声にした。

「シグルトさんは不思議な人です。
 
 きっと戦っている時は炎のように苛烈で、荒ぶる風のように勇敢なのでしょうけど…
 こうやって話している時は、時を経た隠者のように静謐さを感じます。
 
 それに、感性を惜しめる人には、それを持っているからこそ惜しめるんですよ。
 精霊術師にもっとも必要となる、〈観る〉力は、そこから始まるんです。
 感じようとする意思こそが、精霊と交信し繋がるための礎なのですから…」

 そうかな、とシグルトは遠い目をした。
 こんな時のシグルトは、老人のような奥深い印象を周囲に与える。
 
「俺が出来ることと言えば、今は覚え始めたばかりのにわか剣術と、〈トリアムール〉の力を身に宿すぐらいだ。
 新しい力を得たばかりの身で、さらなる力を求めるのは貪欲だろうか?
 それとも、力を貸してくれる〈トリアムール〉に失礼かもしれないが。

 だが、戦士の性分だな…得た力の先にさらなる力があるか、つい考えてしまう。
 そして、精霊術師のように、もっと精霊のことを深く知りたいと思う」
 
 シグルトは軽く肩をすくめて、そのあと「愚痴を言うようで悪いな」と謝った。
 
 だが、レナータはシグルトの言葉に小首を傾げていた。
 
「精霊を身に宿す?
 そんな…もしかしてシグルトさんが使うのは〈憑精術〉なんですか?
 
 精霊術の中でも、降霊や憑依はほとんどが高等技術なんですよ。 
 いきなりそんな術を修得出来るなんて…
 まして、見えていないのに見えない存在を認めることってとても難しいことなんです。
 それに、よほど精霊と信頼関係を結ばなければ、誇り高い精霊は術者には宿らないんですよ。
 
 …ずっと前から少し不思議だったんです。
 シグルトさんからは精霊術師の才能は感じていました。
 戦士としての資質が強いから、その道には進まなかったのでしょうけど、他に何か…
 何か強い力で、精霊たちに愛されながらも、どこか精霊たちが距離を取っているような。
 
 その性質…そして雰囲気。
 貴方は精霊を魅了しながら、同時にどこか退けている。
 そんな雰囲気を持つ術師に、一つだけ心当たりがあります。

 貴方からは、微かに鐵(てつ)の精霊の気配がするんです。
 武器を振るう戦士だからかもしれませんが。
 
 孤高を司る戦士の精霊。
 そして、高貴を司る鋼の気質。
 
 しかも、精霊の最上位たる…」
 
 そこでレナータは口籠もり、ぶるりと身を震わせた。
 
「…シグルトさん。
 貴方は滅多に生まれない〈刃金の精霊術師〉になる素質があるかもしれません。
 
 屈強なる戦士であり、同時に精霊術師の才能。
 代償を厭わない勇気と、力を磨く意志力。
 そんな者だけが最奥に至れるだろうという、謎の多い特別な精霊の術師。
 
 でももし、その機会が巡ってくるとしても気をつけて下さい…」
 
 不安そうにレナータは呟いた。
 
「…〈刃金の精霊術師〉?
 
 もしかして、それは〈ダナ〉の力を使う戦士のことか?」
 
 レナータの顔が、シグルトの言葉に引きつる。
 
 精霊や神々の名前には、強い言霊が宿っているのだ。
 シグルトが口にした神名には、周囲を凍て付かせるほどの神威を持っていた。
 
 そしてレナータは感じ取っていた。
 シグルトの近くから、何かとてつもなく強大な存在がうっすらと眼を開き、レナータを睨み据えるのを。
 
 シグルトの傍にいたトリアムールと、『蒼の洞窟』に存在する精霊の全てが、畏怖から一斉に身をすくませた。
 
「シグルトさん…
 
 精霊たちや精霊術師の前で、その名を軽々しく口にしてはいけません。
 …いいえ、それだけではなく、あらゆる場所で。
 
 その神名は、とてつもない言霊を持ちます。
 開闢の母、創造の母とされる大女神…女神の中の女神と謳われる存在。
 
 貴方の精霊も、この洞窟の精霊たちもこんなに怯えている…
 
 彼の大女神は、生み出し奪い去る恐るべき者。
 様々な伝承の中でその本質が語られず、ただ〈母〉として太古から畏怖される最上位の精霊です。
 
 その力は海を割り、山を砕き、同種の神魔を殺すことすら出来るとか。
 
 おそらく、聖北の神に匹敵する神名を持った数少ない女神なのです。
 聖北、聖海といった一神教の信仰が強いこの西方で、未だに川や大地にその名を残すほどの。
 
 彼の大女神と微睡で邂逅した者は、恐るべき力を得る変わり、そのために多くの犠牲を捧げる必要があると聞きます。
 女神の子供たちが神としての威勢を振るった時、それに通じるまじないにおいて最高の供物だったものは生贄と犠牲でした。
 
 名前すら力の代償に奪われる…名を奪われれば存在すらも残らず、その者は消えてしまうのです。 
 そして、それ以上に全てを奪う故に、最後には畏怖しか残らない…彼の女神はそれほど恐れられているのです」
 
 蒼白な顔で言葉にするレナータ。
 彼女の忠告に、シグルトは強く頷いた。
 
「肝に銘じよう。
 
 まともな術師でもない俺が、神名を口にするのは軽率だったな」

 困ったように頭を掻くシグルトに、レナータは少し表情を緩めて頷いた。

「鉄は、かつて偉大な聖戒の王が神殿を建てる時、その使用を嫌ったとされるものだ。 
 南海の古い神話では、鉄を意味する民は殺戮を好む戦闘民族で、滅ぼされたのだという。
 妖精は鉄を嫌い、精霊は鉄の前に力を失って正体を顕すという。
 かつて天空を不能にし、ある英雄が怪物から首を叩き落とした鎌は、アダマス…鉄で出来ていた。

 きっと俺が口にした精霊には、そんな力があるのだろうな」
 
 はい、とレナータが肯定する。

「孤高にして蛮勇なる戦士の精霊。
 
 最初に西方に鉄をもたらしたという民が崇めていたのが、彼の女神の子供たちなのです。
 そして、あらゆる精霊や妖精は、その女神の子供たちが姿を変えたのだという話もあります。
 
 鍛冶の神としてドワーフたちからも畏怖され、同時に母…つまり生み出す者として発明と利器の象徴とされました。
 それは金属を、富をもたらす大地そのものであり、錆び朽ちる死と荒廃そのもの。
 
 そういった全てを司る、古い古い女神であると聞いています。
 
 きっとシグルトさんは、彼の女神に見初められた戦士なのかも知れません。
 彼の女神は、ことさら強く眩い魂と意思を好むと聞きますから」
 
 レナータはまた一つ頷くと、シグルトの瞳をじっと見つめた。
 青黒く深いシグルトの瞳には、深海を思わせる神秘的な魅力がある。
 
「シグルトさんが訪れる時、風や水の精霊たちがはしゃぐんです。
 
 私の師が教えてくれたのですが…
 時々人の器に生まれるのに、精霊のような魂を持った者が生まれることがあるそうです。
 
 多くのそういった人たちは、関わってくる精霊や大きな存在に運命を掻き乱されて、不遇の人生を過ごすそうですが…
 時折、それらの逆境さえ力に換えて大成する人物がいると。
 
 それが〈英雄〉と呼ばれる存在になるのだそうです。
 シグルトさんは、きっとそんな人。
 
 ここを訪れる人の中には、時々シグルトさんのような人がいます。
 可能性と一緒に、精霊たちの様々な期待を背負った人が…」

 レナータは、自分を師と慕ってくれる朴訥な若者や、緑玉のような髪を持つ女性と、刃のような鋭さを持った黒髪の剣士を思い浮かべた。
 
 ニコロという精霊術師の青年は、その行いに人を惹き付ける不思議な魅力がある。
 この間レナータを心配して訪れたエアリスという女性には、神秘的で輝くような魂と意思を感じる。
 月のような蒼い霊気に包まれた黒髪の剣士シュウは、どこか人間離れした何かでぞくりとさせられる。

 シグルトからも、彼が何か強力な運命のようなものを背負っているように感じられた。
 
 シグルトは優秀でとても強いはずだが、それ以上に危うげな儚い印象も受けるので、レナータは心配だった。
 彼の放つ静かな雰囲気ですら、死を受け入れて待つ老人のようにも感じられて、傍にいると不安になるのだ。
 
 出逢って間もないが、レナータはシグルトに対して強い親しみを感じている。
 だから、その力になりたいと思う。
 この若者が、周りを顧みずに迷わず危機に陥った自分を助けてくれたように、レナータもシグルトを救いたいと願うのだ。
 
 いつの間にかじっとシグルトを見つめていたことに気付き、気まずくなって上を見上げると、シグルトの風の精霊〈トリアムール〉が頬を膨らましてレナータを睨んでいた。
 
(大概精霊というものは、純粋で、どこか押しつけがましくて、その上嫉妬深いもの、ね…)
 
 微笑ましそうに〈トリアムール〉を見上げ、心の中で呟く。
 そしてレナータは、嫉妬深い風の娘に微笑みかけながら、真新しいカップに残った、やや冷めたお茶を啜るのだった。 

 
 
 随分お久しぶりのY2つです。
 17日まで仕事で飛び回ってました。
 年度初めですねぇ。
 
 さて、今回のリプレイですが…
 制作中のシナリオで扱う精霊術に関して、ちょっと紹介です。
 
 シグルトのスキル屋が煮詰まると、こっちのシナリオを弄るのですが、ケルトの大女神ダナ(ダヌ)に関わる鋼鉄の精霊術を題材にしたハイリスク(汚名を発動条件にする)スキルや、付帯能力を扱ったもので、風屋にそのスキルなどを一部出していますが、それも大幅に改良する予定です。
 
 Djinnさんの『魔剣工房』でケルト系の魔剣(【クラウ・ソラス】、【アロンダイト】、【アンサラー】、【エクスカリバー】あたり)がある方は、関連してパワーアップイベントがあるかも知れません。
 魔剣工房のアイテムや、Martさんのシナリオの精霊術などは、修得しなくても持っていると役に立つかも。
 
 シグルトのシナリオが落ち着いたら、ある程度形にする予定ですが…まずは「四詠桜花」からですね。
 現在、離れていて下がったモチベーションと感覚を回復しつつ、準備しています。
 
 リプレイでは、次回以降パーティ集結予定です。
 もうじきフォーチュン=ベル編が始まります。
 シグルトのパワーアップぶりや、トリアムールの活躍もばりばりといきますよ。
 
 …5月は多少暇でありますように… 

 
〈著作情報〉2008年04月19日現在

 『碧海の都アレトゥーザ』はMartさんのシナリオです。現時点ベクターで配布されています。
 シナリオの著作権は、Martさんにあります。
 このリプレイの時のバージョンはVer1.22です。
  
・Martさんサイト『esotismo.』 (閉鎖)
  
 カードワースはgroupAskに著作権があり、カードワースの管理、バージョンアップ、オフィシャルな情報等はgroupAsk official fansiteにて、カードワース愛護協会の皆さんがなさっています。
 このリプレイは各シナリオをプレイした上で、その結果を小説風リプレイとしてY2つが書いたものです。
 書かれた記事、書かれる記事は、特定のシナリオの名前が出たときは、そのシナリオの著作権はすべてそのシナリオの作者さんにあります。
 
 また、リプレイ中に使われる内容には、各シナリオで手に入れたスキルやアイテム、各シナリオに関連した情報等が扱われることがあります。
 それらの著作権は、それぞれのシナリオの作者さんにあります。
 またカード絵等の素材に関しては、シナリオ付属の著作情報等を参考にして下さい。
 
 
※最近カードワースのgroupAsk official fansiteが移転した模様です。
 4月中に旧アドレスは閉鎖されるみたいですので、ブックマークの書き換えをお勧めします。
 新アドレスは以下の通り。(○をhに変えて下さい)
 
 ○ttp://cardwirthaigo.sakura.ne.jp/ 
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最近多忙につき…

 長らく留守にして申しわけありません。
 本業の方が忙しくて、ほとんど活動できない状態です。
 
 四月の後半ともなれば、多少は身動きが取れると思いますが、第一週が過ぎるまでは身動きできなくなります。
 シナリオやリプレイを読んでくださる方には申しわけありませんが、気長にお待ち下さい。
 
 私自身はカードワースを止める気はありませんので、そのうち復活すると思います。
 
 
 活動を再開した暁には、素材もほぼ揃ったので、リプレイと平行で龍使いさんリクエストの「四詠桜花」を完成させたいと思っています。
 バリバリのギミックスキルになると思いますので、二刀流PCを作りたい方は、ちょっぴり期待しておいて下さいね。
 剣魔法のような召喚術を内包した、カウンターと溜めを利用するシステムを考えています。
 
 溜めは、気功系の技に応用して、中華系の槍術を3種ぐらい漠然とイメージしています。
 
 他にも、白拍子の舞踏スキルなど喪考えていたり。
 古事の有名な女性の名を冠したスキルで、変身というか演じるというか、憑依っぽいスキルになると思います。女性向きで器用度に適応した感じです。
 スキルは【松風】&【村雨】(水属性の特殊能力?)とか【紅葉】(鬼女化)とか【葛葉】(妖弧化)とか。
 
 何だか、東洋に偏ってますね… 
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