Y字の交差路

 ここはY2つめがノリで作ったブログです。  カードワースを中心に、私が思ったことや考えたことを徒然なるままに書きたいと思います。

『女剣士』

 美しい曙光がイルファタルの港を照らす朝。
 
 肌寒い風に乗って、〈白き疾風〉と名づけられた帆船は、南へと向かって出発しようとしていた。
 
 そんな時、船に向かって駆け足でやってくる女がいた。
 朝日を浴びて、そのプラチナブロンドが煌きながら舞う。
 
 女は軽快に船に飛び乗ると、ふう、と一息吐いて、あっけに取られた船長に向き直った。
 船員たちは女に見入って、ぽかんと口を開けている。
 
 凛々しいという言葉が似合う、背の高い女だった。
 エルナを白い可憐な百合に例えるなら、その女はしなやかな白い薔薇だ。
 
 その身に、男性貴族が着るような袖長の綿詰服(タブレット)と長衣(サーコート)を纏っている。
 腰には緻密な細工をされた鍔と護拳の広刃剣(ブロードソード)を下げ、胸元には小さな銀のクロス。
 長い白金色のブロンドと、北方人特有の白い肌。
 目は細く切れ長で、整った鼻梁と形の良い唇。
 
 人が見惚れるだけの美貌がそこにあった。
 
「このような形で乗ることになってすまない。
 
 遅くなったが、これが乗船許可証だ。
 確認していただけるかな、船長殿?」
 
 やや低い深みのある声。
 口調も男性のそれである。
 
 女は封印された羊皮紙を船長に差し出した。
 船長が羊皮紙の封蝋に押された紋章を確認し、目を見張る。
 商会のものとは違った、剣がドラゴンを刺し貫く紋章…
 
「これは、モーガン子爵の竜殺紋…
 
 あんた、いや、貴女様は?」
 
 慌てて畏まる船長に、女は頷いた。
 
「私はスウェイン王国子爵モーガンの娘、グウェンドリン。
 
 ある人物を探すために南に行く必要がある。
 その許可証を確認してくれないか?
 
 それと、私の部屋を用意してほしい。
 無ければ船倉でも構わない。
 無理を言うのだ、そのぐらいは我慢しよう」
 
 さらに慌てて船長は素早く許可証を確認し、許可証の内容が間違いないことを確かめると、大きな身体を折り滑稽なくらい卑屈に頭を下げている。
 その礼を制すると、女はオルフたちのもとに颯爽と歩み寄った。
 そして、エルナの姿を見つけると大きく目を見開く。
 エルナも何かに気がついたように、驚きで開いてしまった口元を手で隠し、女を見つめ返した。
 
「なんと、カーティンのエルネード殿か?
 
 このようなところでお会いできるとは…」
 
 細い目を見開いたまま、軽く首をかしげる女。
 それでもあっけに取られて口を開くようなことをしないのは、大したものだった。
 
「グウェンドリン様、ですか?
 
 本当に、なんて偶然なのかしら…」
 
 驚きから少し嬉しそうな顔になって、エルナは微笑んだ。
 
「…お国の大事、聞き及んでおります。
 
 御身の無事を神に祈っておりました。
 …マーサ殿は?」
 
 悲しげに首を振り、私をかばって、とエルナが言うと、女は胸元で十字を切って瞑目した。
 
「…エルナ、この人は知り合いか?」
 
 オルフが恐る恐る聞くと、エルナは軽く頷く。
 
「イルファタルの隣国スウェインは知ってるかしら?
 この方は、あの国の子爵様の御令嬢なの。
 
 私が修道院に入ったばかりの頃、外交のためにエンセルデルの教会に滞在なさっていたのよ。
 巡礼で修道院長様に従ってエンセルデルに行ったとき、声をかけてくださって…
 歳が近いからと、親しくしていただいたの。
 
 遠く離れていたけれど、何度も文を取り交わさせて頂いたわ。
 
 こんな場所で逢えるなんて…」
 
 顔見知りに再開できたことがよほど嬉しいのだろう。
 エルナは少し顔を高潮させ、胸の前に手を組んだ。
 
 一方、祈りを終えた女はエルナに柔らかな笑みを向ける。
 
「マーサ殿は残念だった。
 しかし、貴女が無事だったことは嬉しい。
 
 なるほど、南に行かれるとは考えられたな。
 それならば、いらぬ争いにはならぬだろう」
 
 事情を察し、女は深く頷いている。
 
「…ところで、そこな逞しい御仁は?」
 
 ふっ、とブロンドを揺らめかせて女はオルフを見る。
 
「ああ、旅は道連れってやつだ。
 
 俺はオルフ。
 ラインドの子、オルフだ。
 
 なんというか、貴族の礼儀とかわからねぇから、無礼は許してくれ」
 
 オルフの言葉に女は首を横に振った。
 
「先に名を名乗る者が、無礼であるはずがない。
 
 私はグウェンドリン。
 親しいものはグウェンダと呼ぶ。
 不快でなければそう呼んで欲しい。
 
 エルナ殿を助けていただいたようだな。
 その勇気のおかげで、私は友を失わずに済んだ。
 
 …そなたに感謝を」
 
 優雅な一礼に、オルフは照れて頭を掻いた。
 
「エルナ殿、オルフ殿。
 
 道中しばらく共になるが、よろしく頼む」
 
 重ねて礼をする女、グウェンダに、オルフは焦り、その礼を留める。
 
「俺はオルフでいい。
 
 敬語で呼ばれるような身分じゃねぇんだ。
 ええと、グウェンダ?」
 
 合わせるように、「私もエルナと…」、と言うエルナ。
 
 グウェンダは、「喜んで…」と細い目をさらに細めた。
 
 
 船は、グウェンダの登場というハプニングはあったものの、時間通りに出向する。
 
 他の仲間たちは、グウェンダを紹介される。
 口調と格好こそ珍妙だが、グウェンダは礼儀正しく、仲間たちにも船員たちにも好意的に迎えられた。
 
 今、オルフとエルナは、はじめて乗る船から見える海の景色に、言葉を忘れて見入っている。
 朝焼けの輝きは、薄黒い海を輝くうねりに変え、その美しさは幻想的だった。
 
 美しい朝の景色に、フィリも目を輝かせている。
 
 だが、すがすがしい朝に、むっつりとした顔、ぶすっとした表情の男がそれぞれいた。
 
 バッツとコールである。
 この2人は、言い争うことはとりあえず止めたが、その仲の悪さは水夫たちがすでに噂にするほどだ。
 2人とも甲板で景色を眺めているが、互いから顔をそらしていることからも、険悪さが窺い知れる。
 
 そんな2人を、あきれた顔でニルダが観察している。
 コールのお目付け役だというこの老婆は、この2人が衝突しないよう常に見張っており、それが分かるバッツとコールはし、正面からいがみ合うことを止めていた。
 
 ニルダは、宿の騒動の後、騒がしさに起きてきたエルナに自己紹介をし、すでにそれなりに友好な関係を築いている。
 最初エルナは、異教徒とされる精霊術師のニルダに随分気を使っていた。
 だが、ニルダはエルナが他の聖職者のように精霊術師を差別しないことを示し、上手くやっていこうと持ちかけたので、温厚なエルナは喜んでそれを受けた。
 
 ニルダは実に頭がよく経験豊富で、その落ち着いた態度は一行を上手くまとめ上げていた。
 しかし、派手な印象にもかかわらず、ニルダは出すぎたことはしないし、高慢さをまったく感じさせなかった。
 フィリはすっかりこの老婆と意気投合し、精霊の話や、昔話などをせがんでは、興味深そうに話を聞いていた。
 
 エルナもこの老婆を信頼している様子である。
 加えて、ニルダに歳近かくして亡くなった、侍女のマーサと重ね見ている様子もあった。
 
 オルフにしてみれば、この老婆の出現は実にありがたかった。
 バッツとコールを制御できるのはエルナとニルダだけだからである。
 
 エルナの前ではバッツもコールも猫を被っており、加えてエルナはそれを素直に信じるお人好しだった。
 鈍いオルフでも分かるぐらい、バッツとコールはエルナに対して態度が違う。
 バッツはエルナに恋愛感情を抱いている様子で、コールはフェミニスト的な性格に加えて高貴な女性を神聖視しているようだった。
 互いにエルナを大切に思っているのはよい傾向だが、そのあたりでもライバル意識のようなものができたのか、ときおり互いに眼光をぶつけ合っている。
 
 そんな2人が爆発しそうになると、ニルダは実に巧妙に2人を説得してしまう。
 
 気苦労が少なくなって、オルフは初体験の船旅を楽しんでさえいた。
 
 さらに、バッツとコールはその後に船酔いで寝込んでしまった。
 しばらくは起き上がる気力もなくなった様子である。
 2人の猛烈なにらみ合いがなくなったので、オルフはのんびりとした穏やかな時間を過ごすのだった。
 
 だが意外にも、冷静で泰然としたグウェンダも船酔いの影響があるらしく、少し蒼い顔をして海風に当たっていた。
 もっとも男2人よりは、よほど意志が強い様子で、失態を見せはしない。
 
 エルナの話では、グウェンダは優れた剣の使い手だという。
 
 グウェンダの故国スウェインは尚武の国で、女でも武芸を学ぶ。
 とりわけグウェンダは優秀で、女だから騎士にこそなれなかったが、女性の聖職者を守る衛士に任官していたという。
 
「僭越ですが…なぜ南に?
 
 グウェンダのいた、シグヴォルフの聖イヴォンヌ修道院は国外出奔は禁止でしたよね?
 ここにいるということは、もしかして…」
 
 エルナが聞きにくそうに尋ねると、グウェンダは苦々しく唇を吊り上げた。
 自嘲的な笑み、それは決して船酔いのせいばかりではないようだ。
 
「…恥をさらすようだが、告白しよう。
 
 私はシグヴォルフに、親友と呼べる者がいたのだ。
 加えるなら、その女性は、私と共に修道院で幼少期を過ごした、幼馴染だった。
 
 エルナも知っているだろう。
 スウェインやシグヴォルフでは、貴族の女子は一時期修道院に預けられて、信仰と礼節を学ぶ。
 女性とは、そのとき知り合い、互いの悩みも秘密もを語り合う仲だった。
 
 その友の女性には婚約者がいてな…ここからが恥なのだが、私もその男に懸想していたのだ。
 ふふ、色恋など柄ではないと思うが、どうにもならないものだな。
 
 もっとも、友の女性もその男も、深い絆で結ばれていたから、私は身を引いた。
 私の入る余地など、元々無かったのだが。
 
 私の惚れた男は、気持ちの好い男だった。
 恋破れた私にも、変わらずに友として接してくれた。
 だからこそ、私はその男への気持ちを伏して、修道院の衛士としてこの身を神に捧げて一生を終えるつもりでいた。
 
 それに未練がましいが、シグヴォルフの聖イヴォンヌ修道院は、その男と同じ国の空の下にあるはず、だった…」
 
 思わぬグウェンダの恋の話。
 オルフもエルナも、どこか緊張した顔立ちで聞いていた。
 グウェンダは、どちらかというと男勝りの印象がある。
 彼女の情熱的な愛の告白は、悪いと思いつつも意外な話であった。
 
「…素敵な男性だったのですね」
 
 エルナが言うと、グウェンダは頷いた。
 
「私があの男に勝てるものといえば、無謀さと信心ぐらいなものだった。
 
 私同様、焦がれる女は多かったよ。
 
 下級貴族の次男だったが、その武勇と努力で、伯爵家の一人娘だった私の友の婚約者になったほどだ。
 人を魅了せずにはおかない、そんな男だった。
 
 だが…」
 
 空を仰ぎ、拳を握り締め、グウェンダは奥歯を噛み締める。
 
「…だが、下らぬ男の横恋慕が、その男と友の仲を引き裂いてしまった。
 
 友は男を助けるために、別の男の妻になり…男は傷ついて国を去った。
 
 友と惚れた男が苦境にあったとき、私は祖国に帰りその場にいなかった。
 何も知らずに、日々のうのうと暮らしていたのだ。
 
 今でもこの身が呪わしい…
 
 友には、困ったときには必ず力になると互いに誓い合っていた。
 実際、異国である友の国で、私は彼女に何度も助けられた。
 その恩義は言葉に尽くせ無い。
 
 そして友の愛した男は、女の身で戦士を志す私の、ただ1人の理解者だった。
 
 北方の民は保守的で、女は戦う者ではなく、子を産みはぐくむ者だと言われてきた。
 貴族ともなれば、女は家のためにその身も心も、顔も知らぬ男に捧げるものだと教えられて育った。
 それが嫌だった私は、いつも男のように振る舞い、男のように剣を学び、男のような格好をしてきた。
 
 出合った男たちは私を笑うか、説教するか、珍しい者でも見るかのように扱った。
 親友でさえ、私が剣の話をすると、困ったような顔をした。
 
 その男だけが、微笑んで私を認めてくれた。
 
 その時に、いつかその男のそばで、力になりたいと思った。
 だが、友が、その男が最も苦しいとき、私は何もしてやれなかった。
 
 最近のことだが、その男が私を頼ってきたのだ。
 だが、事情を知らぬ愚かな家人が、男を追い払ってしまったのだ。
 
 〝南に行く。もう会うこともないだろうが、よろしく伝えてくれ〟
 
 と、そう言い残して去ったそうだ。
 
 …なんとも悔しい気持ちだ。
 私はいつも、何もできずにいたのだ。 

 だから、私は身分を捨ててその男を追うつもりだ。
 
 その男との愛に生きることはできなくとも、今度こそ、何か力になりたい…」
 
 一見、クールなグウェンダの、実に情熱的な話に、オルフもエルナも聞き入っていた。
 
「その、グウェンダが、そんなに惚れ込むんだ。
 
 きっとその男も、あんたに惚れ直すんじゃないのか」
 
 オルフがそう言うと、グウェンダはまた苦笑して首を横に振った。
 
「あの男は一途で、真っ直ぐだ。
 きっと、1人しか愛さない。
 
 だからこそ魅力的なのだが。
 
 あの男が再び誰かを愛するとしたら…それは奇跡だろうな。
 
 でも、私は愛されるために追うのでは無い。
 
 あの男は、私を友として認めたくれた武人なのだ。
 だから、そこに愛がなくても、友として助けたい」
 
 告白して、グウェンダは細い目をさらに細めて微笑んだ。
 
「…そうか。
 何ていうか、余計な世話だったな。
 
 ところで、その男の行き先に心当たりはあるのか?」
 
 ばつが悪そうに頭をかきながら、オルフが話題を変える。
 どうも、惚れた腫れたの話は苦手なオルフである。
 
「おそらくはリューンだろう。
 
 南で最大級の交易都市だ。
 何か情報が得られるだろうしな」
 
 グウェンダの言葉にオルフは深く頷く。
 
「まぁ、リューンまで行くなら、俺たちとしばらく一緒だな。
 
 けど、1人で探せるのか?
 なんなら、その男を見かけたら、俺も声をかけておくぜ?」
 
 オルフの申し出に、すまないな、とグウェンダが返す。
 エルナも協力すると微笑んだ。
 
 2人に感謝の心を示し、グウェンダは上り始めた太陽の光を眩しそうに手で遮りながら、語りだした。
 
「私の追う奴は、独特な男だから、会えばきっと分かるだろう。
 
 年代は私と同じ。
 少し痩せているが背は高い。
 
 贔屓目に見ても、かなり美しい容貌の男だ。
 
 他に特徴をあげるなら…
 北方人には珍しい、黒系統の、何というか青黒い艶のある髪と同色の瞳をしている。
 
 名は有名な竜殺しと同じでな。
 まあ、シグヴォルフ訛りで、語尾の発音が少しだけ違うんだが…」
 
 オルフとエルナは、何かに気がついたように顔を見合わせた。
 
「なぁ、グウェンダ。
 
 その男って、シグルトって名前じゃ…」
 
 ぐわっと立ち上がって、グウェンダがオルフの胸倉を掴んだ。
 
「知っているのかっ?!」
 
 細い眼を最大に見開いて、グウェンダがオルフに迫る。
 そして、自分の失態に気がついたのか、少し頬を染めて引き下がる。
 
 あやまるグウェンダに、オルフは咽て起きた咳を落ち着けながら、ゆっくり頷いた。
 
「たぶん先日、イルファタルで会った男だ。
 
 暴れ馬からエルナを庇ってくれたんだ。
 すげぇ男前だったから、よく覚えてるんだけどよ。
 
 俺も詳しくは知らねぇけど、顔ははっきり覚えてるから、会ったらあんたのことを話しておくよ」
 
 グウェンダが再びすまない、と頭を下げる。
 
 エルナは何かを思案するように黙っていた。
 オルフが、どうしたんだ、と首を傾げると、エルナは心配そうな表情で答える。
 
「あの方…、この船に乗っていないなら、陸路で南に向かったのではないかしら?
 
 だとすると、身体の調子も悪そうだったから…」
 
 それを聞いて、間違いない、とグウェンダが頷いた。
 
「シグルトは、大怪我を負い、一月生死を彷徨うほどだったのだ。
 旅のできる身体ではないと、最後に姿を見た方が言っていた。
 
 しまったな…陸路で追えばよかったか」
 
 悔しそうに、グウェンダは甲板を拳で叩いた。 
 
 
 その頃…
 
 エルナを追跡して、3人ばかり傭兵がイルファタルに入っていた。
 
 その筆頭はアレクセイ。
 傭兵、〈雪狼団〉の小隊をまとめる切込み隊長である。
 
 他の国が追跡を止めた中、アレクセイは半ば意地と私情でエルナ追跡を行っていた。
 付いてきた2人は、アレクセイに心酔する傭兵である。
 
 上司であるナルグとはラトリアで別れた。
 
 ナルグは、お前の職は空けておくぞ、と肩を叩いて笑いながらアレクセイを見送ってくれた。
 他の傭兵が不満をもらすと、「色恋ってやつだけはどうにもならねぇのよ」と苦笑しただけだったという。
 
 ついてきた部下はゴルドバという屈強な男と、オレークという俊敏な男だ。
 ゴルドバは無口だが慎重で、オレークは狡猾さを備えている。
 
 2人とも敬虔な聖北教徒で、持つ武具には聖印である十字を刻み、食事の時には祈りを欠かさない。
 
 実際のところ、ナルグはあまりに熱烈な聖北教徒であるこの3人を、しばらく団から離して、団の統制をやり直す意図もあった。
 
 この3人が中心となって、聖北教徒にとっては敵国となる国への団の売り込み…傭兵家業の妨げとなっていたのだ。
 団にも聖北教徒は多いが、この3人は特別信心深い。
 
 ある者はアレクセイたちを“聖北狂い”と揶揄したほどだ。
 そう評価した男はその後、アレクセイに顔が判別できないほどの折檻を受けて聖北教徒に改宗した。
 同時に少し頭の中も天国に近づいた様子で、時折「天子様が見える…」とつぶやくという。
 
 アレクセイは優秀な戦士であったが、商売で戦争を行う傭兵としてはあまりに信仰に傾向し感情的である。
 その実力は団でも認められていたが、協調性と柔軟性においては団の規律を乱しかねない人物だったのだ。
 彼を拾い、武術を仕込んだナルグもこの男の実力は高く評価していたが、信仰に傾向し、感情的になるアレクセイを団に縛り付けても悪影響しか出ないだろうと、決断したのである。
 
 ナルグの考えは冷血とも取れるが、命のやり取りをする傭兵にあって、それを束ねるものがこの程度の割り切りをできないのなら、群雄割拠するラダニールで最強の傭兵団とされる軍隊の幹部職は務まらない。
 
 そんな上司の思惑など露ほども知らず、アレクセイは部下の2人を急かして強行軍でイルファタルに向かったのだった。
 
 
 イルファタルに到着したアレクセイは、オレークに命じてエルナたちの足跡を探させる。
 そして目的の人物たちが、その日の朝に船でイルファタルから出航したことを知ると、地団太を踏んだ。
 
 すぐに別の船を捜すが、あいにくと次の船が出るのは1週間以上先であった。
 
 アレクセイたちは駆け回って動く船を捜した。
 しかし、法外な運賃を要求したり、期日を重んじる者ばかりで、目的の船は見つからなかった。
 
 次の日、アレクセイは情報をくれた水夫たちが止めるのも聞かず、いわく付きの船の船長を尋ねた。
 
 その男は角のついた兜をかぶり、腰には巨大な斧を下げている。
 凶悪な髭面で、水夫と言うより野盗に近い格好だった。
 その男の部下も似たような容貌の強面ばかりである。
 
 その船長は、ヴァイキング…かつて北方を荒らしまわった荒くれの末裔であった。
 
 ヴァイキングが活躍していたのはおよそ100年ほど昔である。
 すべてが海賊まがいの蛮族ではなく、農民や漁を生業にする者もいた。
 しかし、ツンドラの寒冷な荒野を故郷とする彼らは、新しい新天地を求めて海に乗り出し、次々とたどり着いた地を侵略していく。
 その行為は、聖北においては蛮行ともとれるもので、略奪と殺戮によって人々を恐怖させたのである。
 
 彼らは北方独自の神々を信仰し、蛮勇で戦う戦士たちであった。
 
 アレクセイが南に向けて船を出してほしいと頼むと、髭面の船長は馬鹿にしたように飲んでいた杯を投げつけた。
 それが頬をかすめ、酒の滴が髪を濡らす。
 
「綺麗な兄ちゃんよう。
 
 俺たちは泣く子も黙るヴァイキングの末裔なんだぜ。
 細っこい枯れ枝みたいな神さまに祈って、右だか左だかの頬を差し出せって言うような甘っちょろい考えの連中を乗せる気はねぇ。
 
 そんなに海を渡りたきゃ、その神様にでも祈るんだなぁ」
 
 そう言って、がはは、と笑った髭面の男に、アレクセイは目を座らせて近寄っていった。
 
「おう、何だやるのか?
 
 俺には雷神トールがついてるんだ。
 お前みたいにわらしべみたいな軟弱そうな野郎じゃ、足元にも…ぐはぁっ!」
 
 すべてを言わせる前に、アレクセイは髭面の喉を掴むと、片手で無造作に壁に投げつけた。
 髭面は一回転して壁に叩きつけられ、壁板の何枚かをへし折って失神した。
 胴回りが自身の倍以上ある大男を、軽々とアレクセイは投げて見せたのである。
 
 体格的に細身に見えるアレクセイだが、その凄まじい力は、クー・フーリンの再来ともてはやされたほどだ。
 傭兵団の剛力たちも、アレクセイの怪力を凌ぐものはいなかった。
 
 一発で頭目をのばされ、髭面の部下たちは唖然としてアレクセイを見た。
 
「私には主の加護があるのです。
 
 従うならよし。
 そうでないなら罰をあたえますよ…」
 
 こめかみを引きつらせて睨むアレクセイに、髭面の男たちは顔を見合わせたあと屈服した。
 
 その後、1日遅れてアレクセイたちはヴァイキングたちの船に乗り、オルフたちの追跡を再開するのだった。
 
 
 思わぬ凪のせいで、船の進行は遅れていた。
 
 緩やかな波のおかげか、バッツとコールはだいぶ船酔いから回復したが、海の上であることには不満そうだった。
 胃の中のものと一緒に、体力と気力まで吐き出してしまったのだろう。
 険悪な仲の2人とも、喧嘩するどころか、互いに睨み合う様子さえなかった。
 
 グウェンダは、シグルトとのすれ違いで落胆したのか、体調を崩し、ここ数日は船室で休んでいる。 
 
「食料も水も余裕あるから大丈夫らしいが、そろそろ風がほしいな」
 
 オルフがぼやくと、ニルダが難しい顔をした。
 
「…あと1日はこんなんじゃろうねぇ。
 
 海風の精霊たちがずいぶん疲れているよ。
 数日前に嵐で騒ぎ過ぎたんじゃ。
 
 …ふむ。
 風が吹く前にどうやら、一波乱ありそうじゃの」
 
 意味深げな言葉にオルフが振り向くと、ニルダは銀色の複雑な模様の刺青が施された手をかざし、指差した。
 
「…船か?
 
 オールみたいなのがいっぱいでてるが…」
 
 オルフが近くの水夫に聞くと、その船を見た男は震え上がった。
 
「ヴァ、ヴァイキングの長船(ロングシップ)だっ!
 
 船長に知らせないとっ!!!」
 
 すぐに警戒をあらわす鐘が鳴り響き、武装した水夫たちが看板に現れた。
 
「…ヴァイキングって、一昔前まで北方や西方の海を荒らしまわったっていう、海賊どもか?」
 
 オルフが問うと、ニルダが首を横に振る。
 
「すべてが海賊ってわけじゃなかったんじゃよ。
 
 貧しい土地に、荒んだ心。
 だから生きるために奪ううちに、海賊まがいの略奪もするようになった連中さね。
 
 といっても、聖北や奪われたり殺された連中にはただの怖い略奪者、なんじゃろうが…」
 
 かもしれないな、と言いつつ、オルフは武具の具合を確かめていた。
 
 オールによる人力駆動もできるヴァイキングの船、ロングシップはこのような凪のなかでも進むことが出来る。
 見る間に近づいてくる舟に、〈白き疾風〉の船員たちは緊張した面持ちで持ち場についていく。
 
「すまねぇな、あんたら。
 
 これから弓で迎撃するから、ちっと樽の陰にでも隠れててくれ。
 やつらも射撃で反撃してくるかもしれねぇからよ」
 
 〈白き疾風〉の船長であるガリズという男だ。
 
 浅黒く日焼けし、海風にささくれた肌。
 丸太のような腕に、大柄なオルフよりさらに背の高い岩のような体躯。
 まさに屈強の巨漢である。
 
 飛び道具を持たないオルフは頷き、船内からやってきたフィリたちにも隠れることを促す。
 
 最初の攻撃は〈白き疾風〉だった。
 停船の警告に従わないことを確認したガリズが、太い腕でロングシップを示すと、船員たちが一斉に矢を放つ。
 中には強力な破壊力を持つ、大型の固定式弩(バリスタ)もあり、図太い矢がロングシップのオールを数本へし折っていった。
 こちら側の船員たちから、大きな歓声が上がる。
 
「ふん、ヴァイキングどもが怖くて、イルファタルの海人(あま)が務まるかってんだ。
 
 ウゥォルァ、オラオラ~ッ!
 とっとと尻尾巻いて逃げねぇと、今度はその貧弱なマストを吹き飛ばすぞ、クォラァッ!!!」
 
 野太いだみ声でガリズががなり、引き続いて船員たちが罵りの声をあげる。
 しかし敵船は少し勢いをなくしただけで、どんどん近づいてくる。
 乗っている髭面の男たちは、革と木の盾を構え、矢のほとんどを受け止めていた。
 
 集団戦において弓矢は大変強力な武器である。
 対して、盾による遮蔽は、弓矢に対する最も優れた防御手段だった。
 
「…ちぃっ。
 どうやら馬鹿じゃねぇみてぇだな。
 
 もう1射したら白兵戦だ。
 
 客人には指一本触れさせるんじゃねぇ…
 わかったか、野郎どもっ!!!」
 
 ガリズの掛け声に、船員たちはそれぞれの得物を掲げ、鼓舞の叫びで応えた。
 
「…よぉぉぉおし、ぅてぇぇぇ!!!!!」
 
 無慈悲な第2射がヴァイキングたちを襲う。
 
 再び放たれた固定式弩の太矢が、1人のヴァイキングの盾を貫通し、その胸を抉る。
 絶叫を上げながら男はそのまま矢の勢いで浮き上がり、海に転落した。
 
「うぉぉぉおおおっ!!!」
 
 弓を看板に放り出すと、ガリズが腰の分厚い蛮刀(ファルシオン)を鞘払う。
 金属が擦れる音が合唱し、次々に水夫たちも海兵刀(カトラス)を抜いた。
 
 応えるように、矢襖になった盾を投げ捨てて、ヴァイキングたちが得物を構えた。
 
 ドカァァァンンッ!!!!
 
 船の衝角(ラム)がぶつかり擦れ合う音。
 飛び乗ってきたヴァイキングを、ガリズの蛮刀が叩き斬った。
 
 船上での戦闘はバランスが悪い。
 加えて甲冑などの重い装備は、海に転落したとき、致命的な拘束になる。
 したがって、軽装のまま刀剣で斬り合うその戦いは、一撃必殺の放ち合いである。
 
 血飛沫と怒号。
 剣戟の打ち合う甲高い音。
 酔ったように戦う屈強な男たち。
 
 海戦の迫力に圧倒されながら、オルフも後ろのエルナやフィリを庇うように剣を構えた。
 
 フィリが落ちていた弓を拾い、矢を放つ。
 首を貫かれた髭面が、痛みと苦しさで自棄になったように斧を振り回す。
 刺さった矢を水夫の1人が引っつかみ、海兵刀の切っ先を胸に突き立て、止めを刺した。
 
「おう、やるなお嬢ちゃんっ!」
 
 敵を海に蹴落として、水夫が得物を掲げてフィリを讃えた。
 戦況は圧倒的に水夫たちの優位である。
 
「よぉし、このまま…ぐはぁっ!」
 
 次の敵に向かおうとした水夫は、たった一太刀で胴を両断され、目を見開くと海に落ちていった。
 
「…ふん、所詮は戦い方も野蛮なだけの連中。
 
 私が出るしかないようですね」
 
 それは優男、というのがしっくり来る秀麗な男だった。
 十字架を象った大剣を担ぐ、色白なその男は、独特な異様さを放っている。
 
「く、よくもっ!!」
 
 3人ばかり水夫が襲い掛かる。
 だが、優男は余裕の笑みを浮かべて大剣を一閃した。
 
 たった一振り。
 薙ぎ払われて、その3人の水夫は武器ごと肋骨を断ち割られて血煙を吹いた。
 
「な、なんてでたらめな野郎だ…」
 
 オルフは苦労して緊張した喉を動かし、たまった唾液を嚥下した。
 
 血に濡れた剣を振るい、血糊を払い捨てると、優男はゆっくりと歩いてくる。
 たった1人の男の出現で戦況は一変していた。
 
「てぇめぇえええっ!!!」
 
 ガリズが上段に得物を構えて振り下ろす。
 
 ギィィィィイイン!!!!!
 
 重い金属が不協和音を歌い、盛大な火花が優男とガリズに降りかかる。
 金属と空気の焦げる錆っぽい異臭に、両者は頬を引きつらせた。
 
「ほう…
 
 これはなかなか良い腕だ。
 久しぶりにそれなりの力を込めて、受けましたよ」
 
 薄笑いを浮かべ、優男は余裕の顔だ。
 
 体重を乗せた必殺の斬撃を軽々と受け止められ、ガリズの首筋を冷たい汗が流れ落ちる。
 
「では、こっちの番、ですよっ!」
 
 横薙ぎの一閃を蛮刀で受け止めたガリズは、その巨体ごと数歩後ろに押しやられた。
 痺れるのはガリズの丸太のような両腕。
 分厚い鉈のような蛮刀は軋んだ音を立て、欠けて飛び散った得物の破片が甲板に突き刺さった。
 
 周囲の男たちは、己の戦いを忘れてその凄まじい対決に目を瞬かせている。
 
(くそ、なんて膂力だ。
 
 まるでオーガーが振り回す丸太みてぇだ。
 次を受けたら、武器がもたねぇ)
 
 加えて敵の武器は、明らかに普通の剣ではない。
 魔法か秘蹟で強化された、特別な武器だろう。
 
(ああ、ちくしょう…
 
 こんなんなら、こんな得物より華国のドラゴンソード(青龍刀)でも買っとくんだったぜ)
 
 内心悪態を吐きながら、ガリズは必死に次の攻撃を模索していた。
 
(あのでかい得物だ。
 
 懐に潜り込んで、一撃。
 それしかねぇな…)
 
 荒くれの水夫を束ねる豪傑である。
 決断は早かった。
 
「…いくぜぇぇぇえええっ!!!!!」
 
 渾身の踏み込みで、優男が構える前に接近する。
 これから優男が剣を振り上げても、ガリズはその前に首を斬る自信があった。
 
「ふん、甘い」
 
 次の瞬間、ガリズの襟を何かが絡め、後ろに追いやった。
 
「ぬなぁっ…?!」
 
 それは優男が突き上げた大剣の柄である。
 さらにそのまま担ぐように、優男は剣を上段構えの体制に持っていっていた。
 完全な死に体に、優男は最高の構え。
 
「はぁああっ!!!」
 
 大剣の重さをのせた凄まじい上段からの振り下ろし。
 得物で受け止められたのは奇跡だった。
 
 それでも凄まじい振り下ろしはガリズの蛮刀を砕き折り、岩石のようなその肩を割って鎖骨を粉砕していた。
 
「噛み上げる下顎で持ち上げ、上顎で噛み砕く…。
 
 雪狼伝来の【狼顎咬(ろうがくこう)】。
 私に使わせた実力は、評価しましょう」
 
 泡を吹いて失神したガリズを後に、優男はオルフたちへと視線を向けた。
 
「くそ、優男のくせに、なんででたらめな力をしてやがる…」
 
 明らかに格上の敵に、オルフは膝が慄いていた。
 エルナやフィリを守ろうと、男の前に立ち塞がる。
 
「…どきなさい。
 
 私は無益な血潮で、大切な方の目を汚したくはないのです。
 貴方がたが邪魔をしなければ、殺しはしませんよ。
 
 私は、エルネード殿下をお迎えに上がっただけですから」
 
 オルフの目が鋭くなる。
 
「…あんた、マルディアンかギマールの追っ手かよ」
 
 剣を構え、オルフが呟く。
 
 その後ろから矢を放とうとしたフィリは、飛んできたナイフを慌ててよけるが、弓の弦を切られてしまった。
 アレクセイの後ろから、屈強な男とひょろりとした痩せた男がその隙を庇うように陣取る。
 ナイフを投げたのはこの男のようだ。
 
「私はどちらの手先でもありません。
 
 強いて言うならマルディアンの側でしたが、傭兵ですから。
 北方の男なら、“雪狼”の名は御存知でしょう?」
 
 後ろに控えていたコールが、怯んだように尻餅をついた。
 
 周囲の水夫たちも震え上がって後退する。
 
「よりによって、悪名高い“雪狼”が追っ手かよ…」
 
 戦場にいたオルフは、その名をよく知っていた。
 北方、特に戦争の多かったオルフの故郷ラダニールでは、泣く子も黙る最強の傭兵団である。
 
 戦場で彼らに出合ったら、国を捨てても逃げるか降伏しろと噂になるほどだ。
 
 冷や汗でぬめり、歯が浮くような緊張に震える身体を、何とか意志の力で支え、オルフは立っていた。
 
「…オルフ、待って。
 
 私を連れて行けば、皆さんにはこれ以上手を出さないのですね?」
 
 後ろからエルナが歩み出る。
 すると男は自ら跪き、剣を背後に下げる。
 
「もちろんです。
 そちらが手を出さねば、私が斬る理由はありません。
 
 そして、お久しぶりです、エルネード様。
 貴女の身は、私がこの命に変えてお守り致します」
 
 エルナがその男を見て、何かに気がついたように眼を見開いた。
 
「…アレク、貴方はアレクセイなの?」
 
 顔を上げ、深く男が頷いた。
 
「お迎えに上がりました。
 
 かつては貴女の側で幼少を過ごした時を、懐かしく思います。
 今では、家も零落し、貴女様の親戚を名乗るなど、とてもできないのですが。
 
 そう、一度は、この身を下賎の泥土に沈めました…
 
 しかし、貴女を守るという、尊い誓いは忘れておりません。
 この日のために、剣を磨き私はここにいます。
 
 私のマリア様、どうぞこのゲオルグの剣で貴女を悪竜たちから守る栄誉をお任せください」
 
 歯の浮くような気障な台詞に、周囲の男たちがあっけにとられた。
 
「…どうしてこんな酷いことをしたの?
 
 私を助けてくれるのなら、戦う必要はなかったはずでしょう!」
 
 激昂したようにエルナが上ずった声で言うと、男は子供をあやすような優しい眼差しで見つめ返し、その言葉を否定した。
 
「矢をもって攻撃してきたのは、こちらの船が最初です。
 私たちは、こちらに矢は放ちませんでした。
 
 それに、戦場にあって剣を振るうのは私の使命なれば。
 
 黙って切られることは優しさではありません。
 死しては使命も果たせませんから。
 先に剣を振るわれたから、義のために刃でそれを除いたのみです。
 
 貴女を傷つけるつもりは、ありません。
 
 私は、貴女をお父上の元にお連れします。
 貴女が望まれるのなら、故国の復興に力を貸すよう、“雪狼”の団長に進言することも致します。
 
 そこな野蛮な男にまかせずとも、貴女のその身と名誉をお守りします。
 この身と、主への信仰にかけてっ!」
 
 自分の言葉に酔うように話しかける男を、エルナは悲しそうな眼でみつめた。
 
「…私は帰れません。
 
 この身が戻れば、お父様の邪魔になるわ。
 
 アレクセイ…これは私が選んだ選択なのよ。
 南に落ち延びるのは、お父様の近くにいれば、私を盾にしようとする輩が現れるかもしれないからなの。
 
 祖国の復興をお父様がするというのなら、私はその邪魔をしたくない。
 
 だから、どうかこのまま帰って…」
 
 拒絶の言葉に、男は困ったように眉をひそめた。
 
「エルネード様の優しさは胸にしみます。
 
 しかし、貴女はラトリアの王位に関わるお血筋。
 北方より離れても、その身を狙う者は後を絶たないでしょう。
 
 ましてや、御身の父上は、ラトリア最後の重鎮。
 実質はラトリア軍の最高指導者です。
 
 事実、私がここまで貴女を迎えにくる間に、3つほど他勢力の追っ手があるとの情報を得ました。
 知人もいない不確かな御身で、情勢定まらぬ南の地に行くのであれば、そういった追っ手の望むがままでしょう。
 
 答えは明白。
 私と一緒にラダニールへともどり、お父上の側で活動なさるべきではありませんか?
 
 そうであるなら、このアレクセイ、一命にかえて貴女をお守りします」
 
 男、アレクセイの言葉はもっともに聞こえた。
 エルナの目に迷いが浮かぶ。
 
「さっきから聞いてりゃ、ぐだぐだとうるせぇぞ、男女っ!
 
 もっともらしいことぬかしてやがるが、手前ぇが“雪狼”なら、マルディアンの手先じゃねぇか。
 バイキングの長船なんかで突っ込んでくりゃ、弓を撃たれて当たり前だ。
 戦う気がねぇなら、白旗掲げて寄ってきて、用件を言えばよかったはずだぜ。
 
 それに、エルナを連れて行くなら、その所在を知ってる俺らは生きた情報源だ。
 エルナを掻っ攫ったら、手前ぇ、その後ろの奴らに俺らを殺させて、口封じでもする気だろ?
 この船を燃やして、海賊の仕業にでも見せる気か?
 
 そうでなけりゃ、さっきから油臭ぇことが納得いかねぇ。
 潮風に混じって、焼き討ちで消えちまった寒村に残ってたやつと同じ臭いがしやがる。
 
 さっき、〝私が斬る理由は…〟とか言ってたな。
 律儀にあんただけは手を下さずに、約束どおり部下に俺たちを殺させるのかよ?
 
 こういう下種なことする奴は、皆同じ、嘘臭ぇ臭いで分かるぜ…」
 
 オルフが自分を奮い起こすように大声で言うと、バイキングたちがアレクセイに不安そうな表情を向ける。
 まるで嘘がばれて、指示を仰ぐかのようだった。
 
 エルナも周囲から臭ってくるランプの油のような異臭に気付き、はっとした表情でアレクセイを見た。
 
 アレクセイは、苦虫を噛み潰したように、オルフを睨み、剣の柄に手をかけた。
 
「ふん、下賎な男だけあって、同種の悪臭には敏感なようですね。
 
 この手の策略など、私も嫌いなのです。
 お優しいエルネード様を悲しませたくなかったから、回りくどいことをしたというのに。
 
 どうやら貴方は、献身や自己犠牲も知らぬようです。
 所詮は、大儀の分からぬ輩でしたね。
 
 乱暴ですが、仕方ありません。
 貴方から、審判されるべき場所に送って差し上げます」
 
 大剣を無造作に片手で掴み、アレクセイは大胆な歩みでオルフのほうに歩いていく。
 
「くそ、言ってることが支離滅裂な野郎だ…
 
 頭腐ってるぜ、お前っ!」
 
 オルフが迎え撃つ構えを取った。
 その瞬間である。
 
 それは暴風のような一撃だった。
 
 オルフは、何とか鍔元で攻撃を受け止めたが、そのまま吹き飛ばされて転倒する。
 大きな身体を甲板に叩きつけられ、絞るような呼吸をしてオルフは呻いた。
 
 慌ててフィリが手斧を構えるが、アレクセイはその延髄に軽く剣の柄をぶつけて、その意識を奪う。
 魔術を準備していたコールは、痩せた男の投げたナイフで腕を刺され、呪文の詠唱を中断して跪いた。
 戦闘力のないバッツは、蒼い顔でおたおたとするしかない。
 
「この程度で、よくも侮辱の言葉を言えたものです。
 
 どうやら、獣のような感覚は、その鼻ぐらいですね」
 
 冷酷な眼差しで喘ぐオルフを見下ろし、アレクセイは止めを刺そうと剣を振り上げた。
 
「《雪男よ、お前の悪戯で、そやつらと遊ぶがよい!》」
 
 独特な甲高い韻を踏んだ声で、ニルダが天空を指差した。
 とたんに、アレクセイやその仲間たちに、鶉(ウズラ)の卵ほどもある大量の雹が降り注いだ。
 
「…ぬくっ!」
 
 雹で打たれ、血を流す額を拭い、アレクセイが憤怒の形相でニルダを睨む。
 
「…おのれ、異教の妖術師かっ!!」
 
 ニルダのそっ首を刈り飛ばそうと、迫るアレクセイ。
 
「…そこまでだ、優男」
 
 不意に迫った刃を慌てて防ぎ、アレクセイはさらに現れた敵を確認する。
 
「グウェンダっ!」
 
 エルナの声に軽く片手を上げて応えると、あらわれた男装の美女グウェンダは、すっとアレクセイの首元に剣先を向けた。
 
「人が船酔いにようやく慣れてきたと思えば、今度は海賊もどきか。
 
 まったく、騒がしい…」
 
 圧倒的に不利な状況で、焦った様子も無く眉をひそめ、グウェンダは隙の無い構えでアレクセイと対峙した。
 その実力を警戒したのか、痩せた男がナイフを投げつける。
 
 キィンッ!
 
 鋭い一撃を剣の切っ先で流れるように弾き、グウェンダは一瞬でアレクセイとの間合いを詰めた。
 
「ぬぅっ!」
 
 跳ねるように首筋を狙った突きを、致命傷にならない程度に何とかかわすアレクセイ。
 裂かれた肩の痛みに、憤怒の形相で睨み、唸るような振り落としでグウェンダの頭を狙う。
 
 キュイィィィンッ!
 
 巧みにその攻撃を剣で逸らすグウェンダ。
 大剣の一撃が甲板の板を粉砕し、木屑が両者の頬をかすめる。
 
 正面から受ければ確実に剣と一緒に真っ二つになるだろう、アレクセイの一撃を、グウェンダはその力を流すように剣をぶつけることでかわしたのだ。
 同時に、大剣の広い制空圏の外に移動している。
 
「…今の突き、正等派剣術のものですね?
 騎士か衛士…随分基礎を磨かれたとお見受けします。
 
 なるほど、精密の技を放ちながら、同時にこちらの攻撃の届かない位置に即座に移動するとは…侮れないものですね」
 
 先ほどまで怒りに満ちていたアレクセイの顔は、まるで凍りついたように鉄面皮に変わる。
 それは、相手を命を賭けるに値すると認めた戦士の表情だった。
 
「その単純な大振りの一撃ですら、動き回る私に剣で捌かせる貴公の打ち込みは、称賛に値するな。
 
 冷や汗が酔い覚ましになったぞ」
 
 逆手で髪に付いた木片を払い、グウェンダはまた突きの構えを取る。
 それに応えるように、アレクセイが上段に大きく剣を構えた。
 
「…【鷹の構え】とは古風だな。
 
 むっ!」
 
 それは一瞬。
 グウェンダがわずかに作った隙に向けて、アレクセイは先ほどガリズを打ち破った技で襲い掛かった。
 斬ると見せかけて、下から突き上げるような柄の引っ掛け。
 
 グウェンダは自身も柄でそれを捌くが、勢いで身体が浮かび上がる。
 
 ブォン!
 
 狙ったかのように、その一撃がグウェンダに振り下ろされた。
 
 グァキィィッ!
 
 軋むような音を立てて、グウェンダはアレクセイの一撃を正面から受け止めていた。
 どんなに破壊力のある一撃も、鍔元を狙って受けられれば威力がそがれる。
 
「…フッゥ!!」
 
 しかし、アレクセイが驚異的なのは、弾かれた大剣の僅かな後退から、再びそれを斬撃に繋いだことだ。
 闘争本能から、さらに放たれた技【鷹影斬】。
 古典剣術の至宝【鷹の構え】。
 その真価は、この無我のコンビネーションにある。
 
 だがグウェンダは、なんと迷わず踏み込み、その一撃を自身の肩口で受けた。
 鈍い音は、彼女の鎖骨が折れる音。
 彼女の綿詰服を裂き、鮮血が吹くが、酷薄な笑みすら浮かべてグウェンダは重い敵の剣を払い、肩口からはずした。
 
「…こちらの番だぞ、優男」
 
 必殺の3連撃を凌がれ、一瞬できたアレクセイの緩み。
 
 グウェンダは、それを狙っていた。
 にわかに剣気を帯びた刀身が、ぶるり、と震える。
  
 ビュオォォォォォッ!!!!!!
 
 それは稲妻の閃きか、台風の暴威か。
 
 目を見張ったアレクセイは、全身を裂かれて転がるように吹き飛んだ。
 
「…ふむ。
 
 この連撃剣をとっさに防いで、まだ生きていることも、称賛に値するな優男。
 
 だが、貴公の乾坤一擲の闘い方。
 膂力で圧倒し、打たれ弱さを隠すためだろう。
 
 その傷で振るうには、いささか重そうな得物を使っているな?
 
 両手で振るわねばバランスの悪い、その大剣。
 鎖骨を折られても、利き腕で振るえる私の剣。
 
 さらに立って、全身を裂かれた身体で、私とその利便を比べてみるかね?」
 
 傷口を押さえながら、アレクセイは血で滑る身体を忌々しそうに起こす。
 
「ふふふ、驚きました。
 私がここまで追い詰められるとは。
 
 女性と侮らなくて、正解でしたよ。
 
 そのクロス、貴女も聖北の徒。
 主の御加護が等しくあるのですね。
 
 しかし、義は私にある。
 誤った同胞を正すのも、私の役目です」
 
 血に濡れる剣を、ぐっと持ち上げ、アレクセイは無理に胸元で十字を切ると、グウェンダを見つめ返した。
 
「…他者と闘った後の貴公に挑んだ分、私に利はあった。
 
 もっとも、船酔いのせいで、これ以上は勘弁願いたいが。
 やると言うなら、次は確実に止めを刺すとしよう。
 
 早く船室で休みたいのでな…」
 
 グウェンダの軽口に、アレクセイは口で傷口の血を吸い、拭って吹き捨てる。
 
「さきほどの攻防…まさか防御でくるとは。

 私の攻撃に耐え切って反撃するなど、正気の沙汰とは思えませんが…結果は大したものですよ。
 見事な駆け引きでした。
 上手く裏をかかれましたね。
 
 ふふ、船酔いの女性に負けたとあっては、生涯笑いものです。
 失った名誉は、挽回するとしましょうか。
 
 次は、私が貴女を血の海に沈めます。
 正しき信仰があるのなら、貴女は天の門をくぐるでしょう。
 
 そうすれば、船酔いに悩むことも、もう無いでしょうしね」
 
 互いに大きな傷を負いながら、それを致命傷にしなかった使い手の2人。
 滴る血で甲板を朱に染め、互いに油断無く睨み合う。
 
 オルフはだらしなく甲板に臥したまま、魅入られたようにその2人を眺めていた。

 
 
 プロローグ的なリプレイ2のお話の前編です。
 
 今回登場のグウェンダは、シグルトの知人で、男性版シグルトのような人物です。
 突きを主体にした剣術の使い手で、ブログ一周年記念でお配りしている『剣士の求め』のスキルを使います。
 
 アレクセイとのスキルを使ったバリバリのバトル、楽しんでいただけたでしょうか。
 
 
 アレクセイとグウェンダのバトルは、以下のような流れです。
 
 グウェンダが【隼踊穿】で奇襲、次のラウンドにアレクセイが【鷹の構え】。(【隼踊穿】の回避ボーナスで、グウェンダは攻撃をディフェンスしています)
 次のラウンド、アレクセイが【狼顎咬】と【鷹の構え】のボーナス召喚獣【鷹影斬】のコンボ、それをグウェンダが【鉄守構】でブロック。
 次のラウンドに【迅雷颶】でグウェンダがしかけ、アレクセイは【防御】とアイテムの防御効果でなんとか耐え切る状態。
 
 負傷状態はアレクセイが重傷で、グウェンダが半ダメージぐらい。
 グウェンダの【迅雷颶】は、破壊力が船酔いの行動力低下と負傷で発揮されず、体力の低いアレクセイでもなんとか生きてます。
 
 リプレイに関連する以上、データはぶっ飛んだものにならないよう、イメージして書いています。
 彼らが使った戦術は、実際にカードワースで使用できます。
 Martさんのプライベートシナリオ『焔紡ぎ』と、ブログの記念シナリオにあるスキルでできますので、よかったらお試しください。
 
 ええと設定狂に加えて、私って銀髪大好きです。
 シルバーブロンドとか、プラチナブロンドなんて、それはもう…
 某有名アクションRPGのフィー〇などは、ある方に頂いたイラストを壁紙ししてたぐらいです。
 
 グウェンダ、実を言うとシグルトより気に入ってたり。
 彼女の名前、グウェンドリンは、月の女神を語源とするウェールズ系の名前らしいので、なんとなく髪のイメージから名づけました。
 私、太陽より月が好きなのです。
 
 男性っぽい武骨口調も、普通のPCだとセリフ対応の限界からめったにシナリオで対応してないので、脇役になりましたが…この手のクールな女性、男装の麗人って、萌えます。
 自分で作った設定で萌えてれば世話ないですね…
 
 彼女はシグルトの外伝でも登場し、活躍させたいと思っています。
 シグルトのもてっぷり、前も宣言しましたが、だんだん明らかになります。
 
 
 今回の著作情報をば。
 
 今回アレクセイの使っていたスキルは、Martさんのプライベートシナリオ『焔紡ぎ』のものがあります。
 スキル【鷹の構え】と召喚獣【鷹影斬】です。
 著作権はMartさんにあります。
 
 登場人物アレクセイは、らっこあらさんが設定してくださったキャラクターです。
 著作権、使用権はらっこあらさんが最優先です。
 
 御承知ください。
 以後、リプレイでは、以上の著作権が尊重されます。
 
 後はとりあえず、今回拙作のスキルを適用しましたが、一応著作権があるものの、リプレイやレビュー、ショートストーリー(SS)、小説等で私Y2つのシナリオのスキル、アイテム、召喚獣、登場人物は、画像や音楽素材の著作権に触れなければ、自由に話に用いてくださってかまいません。触れる場合は、シナリオにある著作権を参考に、素材の作者さんの著作権は尊重してくださいね。
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この記事のコメント

女性を百合に喩えると二重の意味になりかねません。いや、そういう意図は無いと思いますけど。

ところで、データを抑えていても、同レベルのキャラからのスキル攻撃は基本的に即死モノのダメージが飛ぶはずですが…(渾身の一撃(適正緑以上)の乱数部が最大だった場合でも即死の可能性があります。)基本的に防御力に+修正のある道具(装備)所持、ということでしょうか。

船上戦闘といえば、思い出すのはフォーチュン=ベルでの依頼でしょうか。港湾都市や沿岸部での依頼はまま見かけるのですが、戦場での戦闘は意外と少ないですね。

アレクセイさん…戦闘中にしては台詞が多いですが…負ける方の典型、だというのは邪推でしょうか。
2007-06-24 Sun 17:15 | URL | 愛・舞・魅 #17ClnxRY[ 編集]
〉百合
 女性の同性愛をあらわす隠語として使われるようになったのは、20世紀で、しかも日本の文学からのようですね。
 
 古来百合は女神や神聖な助成の象徴であったようで、特に白百合は、聖母マリアや、ジャンヌ=ダルクといった、純潔性をもつ女性の象徴だったようです。
 色によって花言葉は違うんですけどね。
 
 エルナは聖名がマリアなので、そっちで白百合のイメージだったりします。
 
 
〉スキルの効果やら
 実際にお渡しした『剣士の求め』のデータから計算していただくと分かるはずですが、グウェンダとアレクセイは、かなりシビアな紙一重の攻防を行っています。
 
 どちらもスキルを2つずつ互いに命中させ、二人とも防御を行って、スキルの効果を軽減しています。
 
 アレクセイは防御力、抵抗力、回避力が各+1になる特殊な武器を使っていますが、実は体力が低く30しかありません。
 
 グウェンダとアレクセイは互いにレベル4。
 グウェンダは船酔いで行動力が-5になっています。
 
 最初にグウェンダがヒットさせた【隼踊穿】は、命中こそしたものの、ダメージが振るわず、しかもペナルティのせいで威力がかなり落ちています。
 加えてアレクセイの剣の防御効果は10%ほどダメージを軽減します。
 必殺のタイミングで放った【迅雷颶】も、アレクセイは【防御】+剣のボーナスで何とか耐えます。
 残り体力2点ぐらいでふらふらですが。
 
 グウェンダはスキル【狼顎咬】の効果を受けていますが、スキル【鉄守構】でブロックしています。
 グウェンダの使った防御スキルは、羆の攻撃にも耐えられるという防御スキルです。
 ダメージを8割減らせるので、連撃でもらったダメージもきっちり減らし、体力は半分ちょっと切るぐらい。
 でもアレクセイは、スキルの適性が最高なので鎖骨を折られるぐらいのダメージを一度にもらってます。
 
 カードワースの戦闘は、防御関係のダメージが関わると様子が変わってきます。
 一撃必殺か、瀕死になるのがスキルによる攻防ですが、きっちり二人とも防御で耐えています。
 
 どちらもスキル配布系のスキルをうまく発動させ、それを察知して防御しているわけです。
 敵のスキルの動きに反応して、次がでかい一発だと予測して防ぐことは、敵の使ったカードのエフェクトで一瞬現れるスキル絵や音で、暴露してなくても可能ですよね?
 
 アレクセイは、ダメージが期待値以上なら、ぎりぎりダウンしています。運がよかったというか。
 
 今回の戦闘は、そういうありえる結果を反映して作ってます。
 ダメージ計算機で、船酔いのペナルティや適性から求めたデータを元にしています。
 
 ちなみにグウェンダがひらひらと攻撃をかわしていますが、あれは【隼踊穿】の大きな回避修正のおかげです。実際、同じように使えますよ。
 
 
 海上戦闘…実は、一番恐ろしいのは火事でしょう。
 
 昔の木造船は、水がしみこまないように油やら塗料やら使ってますから、油撒かれて火をつけられるとすぐ炎上してしまいます。
 あんまりそういう表現が無いのですが…
 まあ、多少海風で湿ってるから燃えにくいとも考えられますが、いったん焼け始めたら早いでしょう。
 消火に水かけようにも、近くにあるようで海水は手の届かないところにありますし。
 
 もちろん、船体に風穴開けられても沈んでしまいますが。
 
 余談ですが、話の時節は冬ですので、海に落ちたら死亡はほぼ確定です。
 有名なタイタニック号の乗客の死亡者は、海に落ちて体温低下で死んだ人がほとんどだとか、聞いたことがあるような…
 
 
 アレクセイ、性格が実に複雑なので、支離滅裂なことをやります。
 彼、お人好しで誠実ですが、貪欲で混沌派で過激です。
 冷静ですが派手で好奇心旺盛で陽気なので、おしゃべりで、行動的です。
 いい奴なんだか、悪人なんだか、はた迷惑なのか、侠客なのか。
 ぶっ飛んだごちゃ混ぜ気質に書かせてもらっています。
 アレクセイ、人様に頂いたNPCなのですが、私に使わせるとやり放題です…すみません、らっこあらさん。
 
 でも、アレクセイ、筋力12で勇猛性+4という人間兵器です。
 オーガーと腕相撲して勝てます…
 思うに、しぶといかと。
 
 はちゃめちゃなキャラクター、書いてて楽しいです。
 彼は、普通のおしゃべりなやられ役には絶対ならないでしょう。
 
 負けてもたぶん、復讐心燃やして復活するでしょうね。
2007-06-25 Mon 23:44 | URL | Y2つ #TIXpuh1.[ 編集]
こんばんはm(__)m
Y2つさんの、アレクセイの使い方は、本当に私の理想どおりです(^^)
アレクセイは、良い奴なのか悪い奴なのかわからない、だが楽しみの為に暴行や殺人をするような悪漢ではない、行動に一貫性が無い、敵だと思ったら仲間になっていた(あるいはその逆)みたいなキャラクターをイメージしているので、本当に楽しく動いてくれます♪
Y2つさんの、リプレイは本当にキャラが生き生きしていて、楽しいです♪

2007-06-30 Sat 20:05 | URL | らっこあら #mQop/nM.[ 編集]
ども、龍使いです。 遅れながら、感想をば
やはり、Y2つさんのリプレイは読んでて面白いです。戦闘の場面情景は浮かびやすいですし、ボク自身かなり理想の書き方をしているので、結構尊敬してたりw
それで、読んでて思った事ですが……アレクセイとグウェンダの戦闘を読んでた時、『戦闘が終わった辺りで、エアリスがその場にいたら、なんかアレクセイの頬を叩いてなにか言いそうだな~』と思ってしまいましたw
恐らく、エアリス自身がアレクセイの台詞と行動を、一人の神官として許せない行為と思うからでしょう。 あの行動で義がこちらにあると言う台詞は、関係の無い者を巻き込む者の言う台詞では無いとおもいますから。
まぁ、何故か考えた彼女の行動に驚きを隠せませんでしたが……当の自分が。
とりあえず、単純に思った事なので深く考えないでくださいw 行動は恐らく彼女ならやりかねませんが(汗

っと、ここらでこっちのブログの事を少々。
Y2つさんの言う通り、カーナは24~6位の年齢に設定しています。 これは元々考えてた事で、伝わっていないと思いますが、かなり明るくさばさばとした女性キャラを意識しています。
彼女のようなタイプは、かなり好きなんですよね。 さばさばとした姉御系って、一緒にいて退屈しないですし。
ただし、リアナ譲りなのか金勘定には凄くうるさいです……が、損得抜きで依頼を受けたりする辺りお人好しです。

魔術やアイテムだけではなく、スキルとかもかなりこだわりますね。
ギミックとか使う動作とか……そう言うのは考えていて楽しいですし、そう言う書き方をする事で少しでもイメージを伝えられればと言うのもあります。
まぁ、根は自称設定狂なので凝るんですけどね。自然に

とりあえず、こんなところです。 あ、後『風屋』新札先行配布SPください。 興味凄くありますので
それでは
2007-06-30 Sat 22:51 | URL | 龍使い #-[ 編集]
〉らっこあらさん
 好き放題やらせていただいてます。
 私の描くアレクセイは、かなり思い込みの激しい過激で冷静なお人好しです。
 行動が一定に定まらないのは、彼の混沌とした性格を表現するものです。
 うまく表現できてるとよいのですが。
 
〉龍使いさん
 アレクセイは性格が混沌としていますが、思い込むと一途で、周りが見えなくなるタイプです。
 アレクセイのこの性格は、彼の上司も危険視しています。
 
 アレクセイは過去に貴族の身分を終われ、人を殺して逃亡したという、かなりブラックな過去があります。
  
 彼の信仰に触れた行動は、その身に背負った罪の十字架への贖罪であり、ゆえに彼は「汚れた」状態から「綺麗になる」という歪な行動癖があるのです。
 つまり、えげつないことも大儀のために行うなら、自分が率先して汚れよう、という行動に変わるんですね。
 そのためか、しばしば行き過ぎて突飛だったり、破綻した行動を正義として行ってしまうのです。
 
 それに、アレクセイにとっては、「エルナを連れて行く」ことがこの話の時点で、最重要の正義ですから、それを邪魔する要素は苛烈に「敵」として攻撃する構えです。
 
 アレクセイの主張する正義は、「押し付けがましい」部分があります。
 ですが、それを信奉することで、さまざまな罪悪感に耐えようとするアレクセイの心は、宗教に狂信的になる者の悲しい性だとも言えます。
 得てして、信仰で主体性を支えるタイプの人間は、彼のように極端な者になるものも少なくないと思うのですが。
 
 おそらくエアリスが、アレクセイの行動屋態度だけで判断し、彼の深い心情を理解しないで頬をはったとしても、彼は動じたりしないでしょう。
 アレクセイを動かすのは、常に彼の中にある大切な存在であり、他の者に心を動かされる以前に、彼は硬派で頑固です。
 
 でも、かみ合わない者同士が、違う主張をぶつけ合い、すれ違うのもまたドラマでしょうね。
 
 
 カーナって、さばさばして、金勘定にうるさいお人好しですか。
 うちのリプレイのレベッカは、慎重なタイプですので、ある意味粘着質なんでしょうかね?
 金勘定にうるさいお人好しという部分には共通点がありますが。
 カーナの場合は、「けち」なのか、それとも「守銭奴」なのか、あるいはその両方なのか。
 金勘定にうるさいといっても、金を必要とする目的の違いなんかで、ずいぶん様子が変わりますよね。
 レベッカの場合は、「目的のために倹約する」タイプで、お金をためることそのものには執着していないのですが、カーナは度のタイプなんでしょうか。
 損得なしで依頼を受けることがある、ということは、お金よりもカーナが優先するものを重視してという行動なのでしょうね。
 
 私はキャラクターを考えるときは、優先行動をはっきりしておくことが大切だと思っています。
 だれにでも言えることですが、物事を優先純で解決し、同等の価値の譲れないものについての場合に葛藤する、というやつですね。
 盗賊系のキャラクターは、その心理描写も楽しいものです。
 
 スキルは…『風屋』のスキルを使用していただけば、私がどのくらいこだわってるか、分かりますよね?
 そう、やりすぎてバグを作るぐらいこだわってます。
 設定狂謳うって、そういうことでもあるのでしょうが。
 
 新札先行配布SPは、6月中にコメントくださった方には全員お送りする予定です。
 まだ製作中ですので、しばらくお待ちくださいね。
 
 長いコメントで失礼致しました。
2007-07-02 Mon 02:35 | URL | Y2つ #TIXpuh1.[ 編集]
ん~と……エアリスの行動に関しては、本気で何気に考えただけなのでそこまで深読みしてませんでした(汗
ですが、行動だけでも、深い心情を察したとしても彼女の取る行動は変わらないですね。
彼女自身、その戦いで出る関係の無い者の死を許す事は恐らく出来ないでしょうし、彼女の見方からすれば、今回のアレクセイの行動は例え訳があっても許される行動を逸脱していると思うからです。
彼女自身、異端審問官の父を持つが故に、教会の裏などを幼少時から見ている過去もあるので、彼と同様に、凛として自分の主張を譲らないと思います。
Y2つさんの言うとおり、すれ違う意見をぶつけ合うのも、確かにドラマですね。 ちょっと見てみたい気がw

で、カーナのタイプですが……なんて言ったら良いかな…?
リアナの冒険者としての教えを受け継いでいると言うのもありますが、カーナのタイプはレベッカと同じだと思います。 その一方で貯蓄をしたりしますが、これはPTの万一のための保険なんです。
冒険中に武器やアイテムが切れたりした時に所持金では足りなくなる可能性が出てくるので、万一の為にやりくりして少しずつ何とかしようと言う行動です。 これは冒険者時代のリアナも実際にやっていた行動で、当時のリアナのPT達の財布は実質彼女が握ってました。
カーナもその辺りをリアナに叩き込まれたので、金勘定にうるさくなったと言う感じです。
彼女もリアナも、『用心してし過ぎる事は無し』と言う共通の持論がありますしね。

損得勘定抜きで依頼を引き受ける事があると言うのは、これは生来のお人好しの性格が一番の理由です。
アサッシン時代は出来ませんでしたが、本来の彼女は困ってる人を放っておけないタイプなんです。
特に、自分と同じ孤児からの依頼などが来ると、率先して引き受けようとします。
他に、損得勘定よりも自分の行動に後悔が無いようにすると言う動き方もあるので、それも手伝って得より損をする事が多い方ですね。

彼女が優先とする行動は、リアナから教わった事で『先ずは考えて、自分の後悔の無いように行動する。損得勘定はその後』と言う感じです。

リアナの教えが多いですが、カーナの場合はリアナが母にして冒険者の師匠でもあったので、それを参考にしているんですけどね

長々書きましたが、これにて。
なんか纏まりないなぁ……と思いつつ、後日詳しい設定を魔術師辺を書きながらUPしたいと思います。 まぁ、突込み所満載なのは否めないんですけどね、何故か(汗&苦笑
それでは
2007-07-03 Tue 00:47 | URL | 龍使い #-[ 編集]
〉龍使いさん
 実際に怖いのは、聖職者よりも中途半端な知識を曲解したアレクセイのような一般信者のほうかもしれません。
 
 中世に魔女狩りが横行した大きな理由の一つに、商売敵や、妬ましい相手を、「密告」する人間が多かったこともあります。
 実際に異端審問をする人たちは、むしろ生真面目に職務に励んでいた人たちもいるようで、逆に暴走して狂信する連中のストッパーになってもいたようです。
 大規模な魔女狩りは、集団ヒステリーを起こした民衆が求めて起こすことも多かったみたいですし。
 まあ、教会のトップである教皇が暴走すると、下位組織はいっせいに暴走して、それを利用して異端審問で財産没収をするような輩が出たのも史実ですが。
 
 カーナは会計タイプなわけですね。
 優秀な会計がいないと、パーティはいつも貧乏です。
 冒険者に贅沢は敵かもしれません。
 
 師匠直伝なら、さぞかし堂に入った金銭管理をするのでしょうね。
 でも、お金にこだわるキャラクターって、商業の発達した都市に何らかの形で関わった場合が多いでしょうね。
 私はレベッカのように盗賊に会計をやらせることが多いのですが、物価の高い都市の事情を知っている盗賊が、よりお金を重要視する印象を受けるためかもしれません。
 
 カーナはより人間的な、お人好しみたいですね。
 
 うちのレベッカはお人好しではありますが、自身のそれを感傷と切り捨てる傾向があります。
 レベッカがお人好しな行動をするときは、仲間に影響されていることが多いです。
 そういう意味では、悪いほうにすれてないカーナは魅力的かもしれませんね。
 
 魔術師の設定、SS。
 楽しみにお待ちしております。
 頑張ってくださいね。
2007-07-03 Tue 14:54 | URL | Y2つ #TIXpuh1.[ 編集]

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