Y字の交差路

 ここはY2つめがノリで作ったブログです。  カードワースを中心に、私が思ったことや考えたことを徒然なるままに書きたいと思います。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

スポンサー広告 |

『希望の都 フォーチュン=ベル』 ゴブリンと狼

 冒険者パーティ“風を纏う者”は最初の冒険を契機に、小さな依頼をこなしながら、各都市を巡っていた。
 
 最初はリューン近郊の村でねずみ退治に参加したり、近所に迷惑をかけて立てこもっている子供を取り押さえたりといった、実に地味で小さな仕事をしつつ、日銭を稼いでいたが、旅するうちに希望の都と名高いフォーチュン=ベルに到着する。
 
 湖と山に面した美しいこの都は、英雄と呼ばれるに相応しい冒険者が、何らかの形で関わることの多かった。
 そのためか、その幸運にあやかろうとする若い冒険者たちがよく訪れる。
 
 交易も盛んで、この都市でしか手に入らない品もあるという。
 そして、ロマンがどうしてもほしいという魔導書を偶然見つけ、一行は高い買い物をすることになった。
 
「銀貨二千枚よ、二千枚!
 
 あの黒い僧服イ○レ女の時の報酬と同じなのよ!
 
 ああ、もう信じられない!!!」
 
 大きな散財だとレベッカは嘆いたが、シグルトはなだめるように言った。
 
「ロマンの魔術は俺たちの切札になる。
 
 いざというとき、すぐに呪文を唱える準備ができるというあの本は、これから必要だ。
 次にこの都市に来るのがいつになるかわからないし、買えるときに装備を整えるのは基本だろう?」
 
 シグルトがそう言うと、レベッカは何も言えなくなる。
 
 この男は、仲間のために自分が一番損をしていても平気な男だ。
 
 大金を得ることができた最初の頃の依頼で、一番活躍していたのはこの男である。
 しかし、シグルトが今腰に下げている剣は、彼が冒険者になることを彼が決意して三代目であり、2本目のお下がりである。
 
 レベッカは、装備に妥協する気はない。
 ロマンのもつ魔導書を買うお金があれば、優れた技術をたくさん学べるし、薬や道具、シグルトにふさわしい剣や鎧だって買えるのだ。
 
 ばつが悪そうなロマンの肩をぽんぽんと叩いて、シグルトは大丈夫だというふうに微笑んでいる。
 納得がいかなくても多数決で決まったようなものだ。
 他の2人はこういう欲に関わることはからっきしである。
 
「はあ、シグルトがそう言うんじゃ、私だけ悪者じゃない!
 
 …もう、いいわよ。
 いまさら買ったもの返しても足元見られるんだし」
 
 そういってレベッカは肩を落とした。
 
「絶対役立ててみせるよ!」
 
 ロマンの小動物のような目にも弱い。
 
 結局折れるレベッカだった。
 
 
「っ!!!」
 
 気合とともにシグルトは、攻撃を受けたゴブリンを、そのまま力任せに吹き飛ばす。
 
 今シグルトが使う剣は、折れないようにと、切れ味は二の次の重い片手半剣(バスタードソード)だ。
 引退するという老冒険者から譲ってもらったもので、かなりの重量がある。
 そのかわり頑強さは確かだった。
 
 襲い来る3匹のゴブリンを相手に、シグルトは後衛を庇い、かすり傷を負いつつも敵を圧倒していた。
 次の一撃でゴブリンの頭蓋をかち割り、続く敵へと立ち向かう。
 
 レベッカとラムーナが、ゴブリンの奴隷らしいコボルトを相手取り、スピッキオは杖でコボルトと戦っている。
 狭い洞窟では、スピッキオの杖は扱い難い様子だった。
 
 しかし仲間と協力して、何とかコボルトを倒すことに成功する。
 
「スピッキオッ!
 突きで牽制しながら、敵の膝頭を狙え。
 
 ラムーナとレベッカは、互いの背中を守るようにその調子でそいつを抑えるんだ。
 
 …ロマンッ、魔術で支援をっ!!!」
 
 矢継ぎ早に指示を出して、戦闘指揮を執るシグルト。
 
「《…眠れっ!》」
 
 ロマンが【眠りの雲】で、ボス格のゴブリンシャーマンと、ゴブリン1匹を眠らせると、シグルトはその横で背後から襲い掛かってきたコボルトの腰椎を剣の柄頭で粉砕し、逆手の肘で吹き飛ばした。
 その死体に邪魔されたゴブリンが怯む。
 
「起きてる奴は、その2匹だけだ。
 
 油断せずに追い込むぞっ!」
 
 シグルトに呼応して、仲間たちがじわりじわりと敵を追い詰める。
 
「《…眠れっ!》」
 
 怯えた敵が背中合わせで集結した瞬間、狙っていたかのようにロマンがもう一度【眠りの雲】で敵を眠らせる。
 全て眠った敵を掃討するのに、時間はかからなかった。
 
 
 フォーチュン=ベルで受けたゴブリン退治の依頼は、ゴブリンたちのいる本拠地を突き止めることから始まった。
 調査はレベッカのような盗賊の本分である。
 たちまちにゴブリンたちの住処を見つける。
 
 ロマンが【眠りの雲】の呪文を用いて見張りを眠らせ、全員で奇襲を仕掛け、圧勝に終わった。
 
 奇襲の指揮を執ったシグルトの指示の巧みさと、ラムーナの突撃力、スピッキオの思わぬ豪傑ぶり。
 
 素早い敵はレベッカとラムーナが挟むように撹乱し、ロマンが手に入れたばかりの魔導書の力で素早く呪文を仕掛け、敵を無力化する。
 効率的で堅実な作戦は、シグルトの指揮能力によってより確実な作戦に変わっていた。
 
「ね、買っておいてよかったでしょ?」
 
 少し誇らしげにロマンが胸を張る。
 今回もっとも活躍したのは、確かにロマンの魔術だった。
 
「はいはい。
 
 ま、銀貨二千枚の投資分は、役立ってもらわなきゃねぇ」
 
 報酬の銀貨を数えながら、レベッカはやや上機嫌だ。
 
「…凄いですね。
 
 今回の依頼では、負傷者も出なかったんでしょう?」
 
 フォーチュン=ベルの冒険者の宿、『幸福の鐘亭』の女店主メイフィールドが酒の肴を用意しながら、話しかけてきた。
 
「ああ、有難いことにな…」
 
 この美貌の女店主を目当てに、この宿に飲みに来る冒険者以外の常連客も多い。
 愛称はママで、愛想もよく、口調は上品。
 
 彼女を見ながら、男性客の何人かが鼻の下を伸ばしている。
 
 その視線の先で話している美男美女は、実に絵になった。
 シグルトは、聞かれたことにただ答えているだけなのだが。
 
「またこの手の依頼があったなら、紹介してくれると有り難い。
 
 駆け出しの俺たちは、仕事を取るためにもいくらか名を売る必要があるし、経験も必要だ。
 
 命に関わる、あまり危険な討伐の仕事ばかりするのは、本来はよくないんだが…最初のうちにこういった荒事にも慣れないといけないだろう。
 あらゆる状況に対応できなければ、冒険者は生き残れないと言うし、な。
 
 そういうわけだから、よろしく頼む」
 
 シグルトがそういって頭を下げると、女店主は少し頬を上気させて頷いた。
 
 凛々しい美貌のシグルトを見れば、貞淑な女性でも大抵は見惚れる。
 
 この女店主は未亡人で、前の夫を今でも愛しているらしく、男たちの口説き文句には見向きもしない。
 だが、シグルトに対しては、そういう女性も絵画や彫像に見惚れる感覚で惹き付ける魅力がある。
 
 加えて、シグルトの神秘的な眼差しは女殺しだ、とはレベッカの談。
 宿にいる他の女性冒険者たちが、ちらちらとシグルトを眺めていた。 
 
 『幸福の鐘亭』は、フォーチュン=ベルでも初心冒険者が訪れる冒険者の宿である。
 もう一軒ある『運命の呼鈴亭』は、超一流の玄人冒険者が行く宿であり、名の無い冒険者は行っても恥をかくだけだという。
 
 まずは無難に名を売り出そうと、シグルトたちは比較的小さな仕事から受けていた。
 
 冒険者として一番経験のあるレベッカが、こういう下積みをすることは、後に依頼をもらうためのコネクションの形成と依頼人の信頼を得るために絶対必要だと言い、シグルトとロマンはそれに賛成した。
 ラムーナは皆に従う意思を示し、スピッキオは特に反対せず受け入れた。
 
 その後、シグルトたちは真面目に地味な活動をせっせとこなしてきたが、その依頼の達成率はまだ十割という完璧ぶりだ。
 失敗するだろう、危険な依頼はレベッカが目ざとく見つけるし、冒険者にもっとも必要となる、戦士、盗賊、魔術師、僧侶の4つの分野をしっかりとおさえているシグルトたち“風を纏う者”は、状況への対応力が優れている。
 
 加えてシグルトがリーダーであることが、大きい。
 
 戦士として強く、誠実で生真面目なシグルトは依頼人の信用を得やすい。
 
 彼の美しい容貌もそれに一役買っているし、依頼人が高飛車で仲間のことを揶揄する場合、すっぱりと依頼を断る路線にもっていく。
 金銭よりはまず経験、と安くても確実にでき、依頼人の誠実さを重視して仕事を選び、加えて油断というものがまったく無い。
 仲間を重んじ、それを立てながら、まとめるべきところはさっと決断して承認する。
 問題が起これば責任はまずシグルトが取る構えで、失敗を仲間のせいにはしない。
 
 仲間たちは、シグルトに本気で不満を言う者は一人もいない。
 彼は、それだけのことをやり、そして責務は確実に果たすからだ。
 
 そのためか仲間への評価が厳しいレッベカですら、シグルトには厚い信頼を寄せていた。
 酒を飲めば、手放しに自慢するほどである。
 
 数日フォーチュン=ベルで過ごすうちに、“風を纏う者”のメンバーは、それぞれの特徴をよく知られるようになっていた。
 
 前述したリーダーのシグルトは、指揮能力に優れる戦士である。
 努力家で、暇なときは鍛錬を欠かさない。
 また戦士にありがちな力任せな戦い方ではなく、戦術を駆使した、見事な戦い方をする。
 仲間たちの中で誰よりも勇敢で、責任感が強く誠実だ。
 最初は態度と美しさに、付き合ううちにその性格に魅了されると、評価する者もいる。
 多くの冒険者を見てきた者たちは、シグルトはきっと名を残す冒険者になると、強く期待していた。
 
 パーティの御意見番で盗賊のレベッカは、その経験から非常に多くのことをこなしていた。
 交渉、依頼の吟味、情報集め…
 裏方とも言える仕事は、彼女がこなすとまったくそつが無い。
 ややだらしないところがあるが、いざ仕事になればまったく隙を見せない女であった。
 誠実で真っ直ぐなシグルトが騙されないよう、しっかりとしたアドバイスをし、常に狡猾で慎重である。
 “風を纏う者”が受ける仕事を堅実にこなせるのは、彼女のパーティ管理能力が優れているからだろう。
 金銭や装備のチェックも彼女の仕事で、仲間たちはいつも彼女の用意のよさに驚かされていた。
 
 魔術師であるロマンだが、その博学ぶりは驚異的であった。
 ロマン曰く、自身は賢者であるとのこと。
 子供と侮る者には容赦なく、その含蓄を思う存分出して相手をやりこめる。
 巧みな魔術と、シグルトの戦略を即座に理解する聡明さ。
 少しひねくれているが、努力家で謙虚である。
 端整で美しい容貌は、子供らしい中性的な姿から、一見少女のようにも見える。
 生真面目で、知識に対する執着が強く、パーティの生き字引のような存在だった。
 
 軽戦士であるラムーナは、パーティのムードメーカーだ。
 女性としてはまだ子供っぽさが抜けないが、底抜けに明るい彼女の姿は、仲間たちの清涼剤である。
 苦境にあっても、ぎすぎすした雰囲気でも、ラムーナが雰囲気を変えるのだ。
 だが、この少女が大変な仲間思いで、気配りができることは、仲間たちもよく分かっていた。
 観察力に優れ、レベッカほどではないが、器用で細かいことに気がつく。
 素早さは仲間の中では最も優れ、反応速度も一級である。
 シグルトに戦術を仕込まれ、体格的にも普通の戦士からは大きく劣るのだが、俊敏で巧みな戦い方を行うため、十分な戦力になっていた。
 
 聖海教会の僧侶であり、司祭でもあるスピッキオは、老獪で正義感が強い。
 この時代、僧侶は非常に尊敬される職業である。
 やや堅物ではあるが、良心的な判断力を持ち、豊富な人生経験から柔軟性もある。
 厳つい体格に似合わず温厚な性格で、異教に対しても理解がある。
 加えてスピッキオは優秀な秘蹟の使い手でもあった。
 彼の治癒の秘蹟は、仲間たちにとっては貴重な命綱となっている。
 さらにスピッキオは、優れた体格から旅で悪漢を追い払ってきた豪傑だ。
 杖を武器に戦う姿は、下手な戦士よりよほどそれらしい。
 
 この5人は、冒険に必要なスペシャリストが揃っていることから、実に優れたパーティだった。
 チームワークも、結成したばかりのパーティとは思えないほど強い。
 妬まれることすらあったが、“風を纏う者”結束は驚くほどに堅く、ものともしなかった。
 ある者は、〝“風を纏う者”が複数形でパーティ名を名乗らないのは、パーティが一つにまとまっているからだからだろう〟などと評価している。
 
 結成して一月にもならないが、“風を纏う者”は確実に名を売りつつある。
 そんなパーティに入りたいと、駆け出しの何人かが売り込んでくることもあった。
 
 一般的に6人で活動することが多いといわれる冒険者のパーティ要員数から見れば、5人組の“風を纏う者”にはまだ空席があると感じるのだろう。
 しかし、そのほとんどはレベッカの反対で、あるいは実力不足や性格の問題点を理由に退けられている。
 
 レベッカ曰く、「仲間や環境に甘えることが目的の連中とつるむ気は無い」そうで、まして美しい容貌のシグルトやレベッカ、ロマンといったごく個人と親しくなりたいという、軟派な目的なら論外だった。
 
 ごくまれに、自身に相応しい実力と評価して、少し実戦経験のある冒険者の売り込みもあるが、レベッカの評価は渋い。
 
〝1人であるってことは、なしかしら問題があったからよ。
 
 おまけに、自分の実力を売り込んでくる連中は、たいがい自意識が過剰だから選別には注意が必要だわ。
 気をつけないとチームプレイを乱されるし、私たちみたいに今でも十分安定しているパーティならなおさらね〟
 
 冒険者になってから数年間、ずっと仲間に対する理想が高く、シングルの冒険者を続けていたレベッカのお眼鏡にかなう者は、今のところ無かった。
 
 フォーチュン=ベルにやってきて2週間。
 “風を纏う者”は、ほぼ現在の形で安定しつつ、特別な5人組の冒険者として知られるようになっていた。
 
 やがて、その実力を頼って、また新しい依頼がやってくるのだった。
 
 
 その依頼は森に巣食う狼の討伐だった。
 
 10頭ほどいるという狼たちは、狡猾なボス狼に率いられ、旅人や木こりをも襲うという。
 
 最初、シグルトは珍しく仕事を請けるのを渋った。
 
〝狼みたいな野獣は素早く、森のような隠れる場所が多い地形では、さらに手強くなる。
 
 奇襲を受ければ、俺たちだけでは勝てるかどうか分からない〟
 
 しかし、切迫した依頼人の様子、加えて“風を纏う者”の名を頼っての依頼だったので、結局は皆でよく注意する、ということで行うことになった。
 
 シグルトは依頼人に地理を詳しく聞き、綿密な作戦をたてて様々な対処法を吟味し、はぐれた時の合流地点と目印の付け方を決める念の入り様で行動を決めた。
 一旦行動に出れば大胆ともなるシグルトであるが、必要なとき、ことにそれが仲間の命に関わる場合は極めて慎重だった。
 
 シグルトは、なぜか実戦経験が豊富で、集団を率いて戦うことに慣れている。
 彼の立てる作戦は、経験豊富なレベッカや、リューンの大学で学んでいたロマンも感心するほど効率的で、特に仲間の実力を常に把握し、最もふさわしい作戦を決める応用力は、それを見た誰もが驚いていた。
 
 そんなシグルトは、予期しないことがあっても即座に行動を決定する大胆さと、冷静な対処能力がある。
 もともとの気質ではなく、状況に応じて大胆にも慎重にもなれる、経験を積み自身の内面を禁欲的に磨いたものだけが持つ、独特のセンスだった。
 
 そんなシグルトが吟味した作戦である。
 反対する仲間はいなかった。
 
 そして次の日、準備を終えた一行は森に入っていった。
 
 
 深い森の中を、レベッカが慎重に調べながら進む。
 その際シグルトは、吹く風の向きには特に注意していた。
 
 狼は嗅覚に優れている。
 風上に立とうものなら、すぐに気付かれてしまうからだ。
 
 やがて、数時間森を歩くと、敵を見つけたレベッカが警告する。
 仲間たちが見ると、数匹の狼が寝そべっていた。
 
 シグルトが目で指示を出すと、ロマンが【眠りの雲】の呪文を唱え始める。
 
「《…眠れっ!》」
 
 ロマンの呪文が完成すると、2匹の狼がそのまま動かなくなった。
 突然の人間の声に、残った狼たちはうなり声を上げながら近寄ってくる。
 
「注意しろっ!
 
 不利な状態で逃げない狼は、士気が高い!!」
 
 警告したシグルト、そしてラムーナが武器を構えて前に出た。

「…ハァッ!」
 
 ラムーナが地を蹴り、鋭い突きで先頭の狼の右目を刺す。
 シグルトがその狼の脇腹を切り払い、倒れたところにスピッキオが杖で止めを刺す。
 
 レベッカは軽快な足運びで、1匹を受け持つ。
 
「《…眠れ!》」
 
 ロマンの呪文が立て続けに放たれ、もう1匹を眠らせた。
 
 シグルトはすぐにレベッカの前に立ち、怯んだ最後の1匹を見る間に追い詰めていく。
 仲間たちが態勢を整える間に、シグルトの重い斬撃は、2匹目の狼を屠っていた。
 
 そして3匹目、ロマンの呪文で眠った狼にも、シグルトが剣を振り下ろし、止めを刺す。
 
 シグルトは、敵に止めを刺すことや、仲間がためらうことを率先して行う男だ。
 仲間の厚い信頼は、シグルトの普段からの姿にもよるのだろう。
 
 タッタッタ…
 
 森の奥から、狼たちの駆けてくる音が聞こえる。
 仲間の危機に反応したのだろうか?
 
「次が来るぞ…
 
 皆、油断するなっ!」
 
 狼の血に濡れた剣の柄をにぎり、シグルトが鋭く警告する。
 
「…グルルゥッ、ガフッ!!!」
 
 草むらから飛び出したのは数等の狼たち。
 その中で一際強そうな1匹が進み出る。
 
 低い唸り声を上げるそれは、子牛ほどの大きさもある蒼い毛並みの巨大な牡狼だ。
 
「ボスってわけね…」
 
 レベッカが短剣を構えつつ、油断無く構える。
 
 ボス狼に付き従うように、4匹の狼が陣を組むようにその周りに並ぶ。
 
「気をつけてっ!
 
 指揮官のいる狼は強いよっ!!」
 
 ロマンの言葉に、皆が頷く。
 
 ボス狼ともう1匹の狼が連携して、体格の小さなロマンに襲い掛かってきた。

「…ぬぅうっ!」
 
 スピッキオが横から杖を振るい、その狼の頭蓋を砕く。
 
 シグルトが一瞬で間合いを詰めてきた1匹を殴りつけ、その隙に横から噛み付こうとするもう1匹の牙を、腕に巻いた硬い布を噛ませてがっしり受ける。
 
 狼の爪でかすり傷を負ったロマンは、その間にも呪文を唱え、魔術を完成させた。
 
「《…穿てっ!》」
 
 その【魔法の矢】で首を貫かれた狼が1匹、地面に倒れ伏せる。
 
 レベッカはとんとんっと、軽やかなステップでボス狼を引きつけ、攻撃をかわす。
 もとより、こんな巨体と力比べをするつもりなど無く、誘うように防御をしながら後退して仲間から引き離す。
 
 一方、腕に噛み付いた狼を近くの木の幹に叩き付けて振りほどくと、剣を構えなおすシグルト。
 片目がひしゃげ、牙が折れ、歯茎からあふれる血で大地を染めながら、その狼はよろよろと後退する。
 
 仲間の危機を悟ったのか、突然向きを変えたボス狼がラムーナに突進した。
 吹き飛ばされたラムーナは、木の幹に叩きつけられ、崩れるように倒れ意識を失った。
 
 シグルトは目前の狼を斬り払って止めを刺し、ボス狼の方に向かおうとするが、もう1匹の狼がその前を遮る。
 
「くっ、ロマンッ!」
 
 即座に場を読んで、シグルトが鋭い声で行動を示唆した。
 
「《…穿てっ!》」
 
 ロマンの呪文が、ラムーナに止めを刺そうとしたボス狼を弾き飛ばした。
 
 シグルトはその隙に、立ち塞がった狼の頭蓋を、突風のような攻撃で打ち砕く。
 その狼は骨が無くなったようにふらふらとよろめき、くたりと地に倒れ臥した。
 
「後1匹っ!」
 
 レベッカの声に、士気を高めた仲間たちは、一斉に最後のボス狼を取り囲む。
 しかし、残ったその巨狼は手強かった。
 
 シグルトの攻撃を巧みにかわし、ロマンが唱えた眠りの呪文にも耐える。
 逆に、反撃の攻撃でスピッキオがよろめく。
 ラムーナが失神するほどの、巨体で行う素早い突進は、凄まじい威力があるのだ。
 
「《…眠れっ!》」
 
 しかし、めげずに呪文を唱え続けたロマンの【眠りの雲】が、ついにボス狼を捉えた。
 眠気によろめくボス狼。
 
 立っている4人は一斉に、手持ち最大の手で討って出る構えを取る。
 スピッキオの杖の一撃が、ロマンの呪文が、ボス狼の厚い毛皮の上で弾ける。
 
「…はぁぁあっ!!!」
 
 それらの攻撃で後退したボス狼。
 わずかに生まれた絶妙の間に、シグルトが上段から振り下ろす【渾身の一撃】で、ついにボス狼の眉間をかち割る。
 飛び散った鮮血と脳漿が、びしゃりと大地に降りかかった。
 
 ボス狼はよろよろと後退し、森に敷き詰められた落ち葉の上に、どうっ、と倒れた。
 
「…はぁ~」
 
 力が抜けたように、ロマンがへたり込んだ。
 
 倒れたラムーナの元にレベッカとスピッキオが駆けて行く。
 油断無く周囲を哨戒しながら、シグルトは剣についた獣臭の混じる血糊を拭い取った。
 
「…ほっ。
 
 ラムーナは意識を失っているだけよ」
 
 スピッキオが癒しの秘蹟を行うと、ラムーナが目を覚ます。
 
 周囲に敵がいないことを確認したシグルトと、服についた落ち葉を払って立ち上がったロマンが、ラムーナの方に駆け寄る。
 スピッキオの癒しの秘蹟を施され、ラムーナはうっすらと目を開けた。
 
「…ラムーナ、まだ無理に立つな。
 身体を強く打っているから、咳き込むぞ。
 
 打った場所が背中のようだったから、少し寝て休んでいれば回復できるだろう。
 
 幸い、木までの距離が短かったし、この木は苔が厚く生えているから、衝撃を受け止めてくれたようだな。
 
 他に傷が無いか、レベッカが確認してくれ。
 男連中は少し離れて待つとしよう。
 
 ラムーナは受身が上手いから、後遺症の残るような怪我は、さっきの様子を見る限りは無いが…
 
 頭や、内臓の辺りに痣や鈍痛が無いか、調べておいた方がいい。
 骨に異常があるなら、俺が背負うから、すぐに言ってくれ。
 吐き気や、喉の奥から血の味がするようなら、すぐ言うんだぞ。
 
 スピッキオは、ロマンの手当てをあっちで頼む。
 …スピッキオも、さっきの狼の突撃で受けた打撲は、治療しておいたほうがいい。
 
 俺は、噛まれた傷に効きそうな薬草を探しておく。
 爪の傷や、噛み傷はすぐに塞ぐなよ?
 
 消毒しないと、不潔な爪や牙の毒にやられることがあるからな。
 こういう獣相手のときは、注意してくれ」
 
 先ほどすぐにラムーナの元に駆け寄らなかったのは、シグルトが一番状況を理解していたからだった。
 それにシグルトはレベッカたちを信用している。
 
 噛まれて少し血に染まった布を解き、口で血を吸って吐き捨てながら、シグルトは適当な薬草を見繕う。
 それを噛み、傷口に押し当てて応急処置をすると、残った薬草を仲間たちに配る。
 移動しながらそれらを効率的に行うシグルト。
 
「実戦慣れしたあんたが居るから、助かるわ。
 
 とっさに腕を噛ませて木の幹に叩きつけるなんて、プロの冒険者でもなかなかできないことよ」
 
 ロマンの手当てを手伝いながら、レベッカが感心したように言う。
 
「俺のいた国では、毎年何人かが狼の犠牲になった。
 
 対処の仕方も、子供のうちから叩き込まれるんだ。
 狼は、力の無い子供や老人から狙ってくるからな」
 
 そして、初めて狼を倒したのは9歳の頃だ、と苦笑する。
 
「安全なはずの森に子供たちだけで出かけたとき、はぐれの大きな牡狼に襲われたんだ。
 
 2人が大怪我をした。
 俺がその狼を殺した頃には、皆失禁して泣いてたな…」
 
 レベッカが、あんたはもらさなかったの、とからかう。
 
「俺は一緒に居た妹たちを守らなければいけないと、もう必死だった。
 
 擦り傷だらけになって、それでも狼を手に持った棒で何度も殴って…
 今回だって、怖かったよ。
 
 一番怖いのは、殺す感触というやつだがな…」
 
 そういうと、シグルトは手ごろな窪みを見つけて、そこに狼の死体を運び始める。
 
「…なにをしてるの?」
 
 ロマンが聞くと、シグルトは周囲の木々を見渡した。
 
「木々が血の臭いを嫌って、ざわめいている」
 
 シグルトの不思議な言葉に、ロマンが眼を丸くした。
 
「…この感覚は、分かり難いか。
 
 木々の精霊が騒いでいると言えば、理解できるか?
 俺は、昔からこういうことが分かる方でな。
 
 精霊の姿を見ることができるわけではないんだが、なんとなくその意識みたいなものが感じ取れるんだ」
 
 そう言った後、シグルトはなんとも言えない苦笑を浮かべた。
 
「俺の故郷では、この手のことに厳しく対処する聖北教会の保守派が信仰されていた。
 
 かつてはエルフの住んでいた森に面し、古い精霊信仰を行っていた歴史を持つ国だったが、今ではそういうことは邪教の名残だと異端視される始末だ。
 
 俺も異端に断じられないように、故国ではこの感覚のことは隠していたんだが…冒険者になって、話せるようになるとはな。
 
 リューンには大きな〈精霊宮〉もあるし、肩身が狭くなくて有難いよ」
 
 シグルトの意外な資質を知って、仲間たちは皆驚いた。

「そんな感覚のせいか、樹木のざわめきや風の荒れ方で、精霊の気持ちが分かるんだ。
 
 精霊たちは機嫌が悪いと、時々悪戯をする。
 今後、依頼人たちが森を使うことを考えるなら、後始末はできるだけしておいた方がいい。 
 
 それに、狼は誇り高い獣だ。
 このまま野にさらして、村人が確認に来たとき、蛆のわいた姿をさらすのは気が引ける。
 死体を涼しいところに集めて、軽く土と落ち葉をかけて目印をしておけば、村人が確認を終えた後は土に返るだろうからな。
 
 この狼たちは、生きるために喰らい、自分たちのテリトリーを守ろうとしていただけだ。
 
〝死んだものには、憎む相手にも敬意を〟
 
 昔、色々なことを教えてくれた、ある婆さんが言ってた言葉だ。
 
 俺も、冒険者として一歩誤ればこの狼と同じように、山野に屍として横たわることがあるかもしれない。
 だから、今出来るうちに自分の近くだけでも、死んだものには敬意を尽くしておきたいんだ」
 
 シグルトは神秘的なその青黒い瞳で、物悲しげに狼の骸を見つめていた。
 
 普段は、そういうことを偽善と笑うこともあるレベッカも、この時は神妙な気持ちになるのだった。 



 買い物に小バトル。
 Djinnさんの傑作『希望の都フォーチュン=ベル』のリプレイをお届けします。
 
 旧版では『冒険者の余暇』という、いくつかのシナリオをまとめたタイトルにしていたのですが、シナリオの小イベントを詳しく書くために、今回は単独のタイトルに直し、かなり加筆致しました。
 
 このシナリオは、私も製作に関わったことがあるシナリオで、プレイしたことのある方は、どこかでジャドそっくりな私とお会いしているかもしれませんが…本来の私はあんなに厳つくありません。
 お腹の贅肉が気になるただのおっさんです。
 
 有名な街シナリオですので、カードワースのユーザーであれば知らない方は少ないのではないでしょうか。
 いろんなことができるマルチシナリオです。
 店としてはもちろん、小遣い稼ぎをするためにモンスター討伐するのもなかなか楽しいです。
 
 今回、ここではジュムデー秘本を買いました。
 高いですが、前のシナリオであぶく銭をもうけましたからね。
 
 さらに、シナリオでゴブリンとウルフを討伐して小金を稼いでいます。
 1レベルのスキル一個分になりますし、プレイしてもレベルアップには繋がらないので、初期の軽いアルバイトにぴったりです。
 
 リターンになって、【フェイント】が上手に使えるようになったラムーナ。
 レベッカとダブルフェイントするとえげつないです…混乱カード2枚配ると、低レベルの敵はほぼ混乱しますからね。
 しっかり活躍しましたよ。
 
 ウルフ戦はかなり苦戦しました。
 やっぱり、回復役にスキルが配布されないときついですね。(このときスピッキオはスキル配布アイテムが無かったので)
 
 ダメージのMVPはあいも変わらずシグルト。
 命中精度の高い【攻撃】カードで攻めると、ゴブリンを2~3発で撃沈します。
 
 【渾身の一撃】も強く、意外なことに【会心の一撃】もそこそこに使えます。
 適性こそ普通ですが、シグルトは【会心の一撃】の適性が8である上に性格の修正が高いので微妙に強かったりします。
 勇猛性の高い戦士は優秀ですね。
 ウルフ戦では、精密な【攻撃】で確実に敵数を減らし、主力戦士の面目躍如です。
 
 『希望の都フォーチュン=ベル』は、低レベルのときから通えるシナリオの1つとして、お勧めです。
 この戦闘のサブミッションは、その魅力の1つですね。
 
 このシナリオは、何度かに分けてぼちぼち紹介していきますね。
 
 
 今回の収入と出費は以下の通りでした。
 旧リプレイと結果はほぼ同じです。

◇シナリオ
・希望の都フォーチュン=ベル(Djinnさん)
 ゴブリン討伐(+300SP)
 ウルフ討伐(+300SP)
 ジュムデー秘本(-2000SP)
 
◇現在の所持金 1800SP◇(チ~ン♪)
 
 次回は匈歌ハトリさんの『ecclesia』です。
 旧版ではやらなかった、登場人物たちとの交流がある短編になります。
 公開にそれほど時間はかからないと思うのですが。
  
 御期待くださいね~
 

〈著作情報〉2007年07月03日現在
 
 『希望の都フォーチュン=ベル』はDjinnさんのシナリオです。現時点でgroupAsk official fansiteのギルドに登録されています。
 シナリオの著作権は、作者さんにあります。
 
 カードワースはgroupAskに著作権があり、カードワースの管理、バージョンアップ、オフィシャルな情報等はgroupAsk official fansiteにて、カードワース愛護協会の皆さんがなさっています。
 このリプレイは各シナリオをプレイした上で、その結果を小説風リプレイとしてY2つが書いたものです。
 書かれた記事、書かれる記事は、特定のシナリオの名前が出たときは、そのシナリオの著作権はすべてそのシナリオの作者さんにあります。
 
 また、今後リプレイ中に使われる内容には、各シナリオで手に入れたスキルやアイテム、各シナリオに関連した情報等が扱われることがあります。
 それらの著作権は、それぞれのシナリオの作者さんにあります。
 またカード絵等の素材に関しては、シナリオ付属の著作情報等を参考にして下さい。
スポンサーサイト

CW:リプレイR | コメント:2 | トラックバック:0 |
<<記念品のバグについて | HOME | 記念品特別仕様終了のお知らせ>>

この記事のコメント

リプレイ、今回も楽しませていただきました。
フォーチュン=ベルはマジック(TCG)が元ネタになったカードが多いですね。
ジェムデー秘本もそうだったと記憶しています。

私のメインのパーティーの魔術師は風屋の魔晶石をスキル配布に使っています。枚数が多いですし、イメージとして両手を空けておきたいからというのがあるからです。防御結界も重宝ですし。スキル回復は意外と出番が無かったりしますが。

勇猛適正のカードには【居合い斬り】など強力な技も多く、勇猛性の高い戦士は戦闘で大きく活躍できますね。

ところで、この時点ではシグルトはダナをカードとしては所持していないのでしょうか。
ダナそのものは少年時代に受け継いでいるようですが。
2007-07-09 Mon 08:47 | URL | 愛・舞・魅 #/Rsq8gUM[ 編集]
〉愛・舞・魅さん
 MTGは第4版~第5版の英語版をやってたことがあります。
 今何版ぐらいでしょうかね?
 カードを賭けてやるデュエルが嫌いで止めてしまったのですが。
 
 ロマンは、「杖は魔剣工房のカドゥケウス」と決めていまして、あえて魔導書というマニアックな路線を取りました。
 それに、低レベルの永久スキル配布アイテムとして、【賢者の杖】はやや強い気がしたので。
 不便で、お金の無い状況を必死に工夫して乗り越えることも、またカードワースの楽しみだと思います。
 大金を後で得て、物を買えるようになることも、成功した冒険者の気分を味わえますし。
 ただ、さすがに2000SPでカード配布1枚は、ちょっと高い買い物でした。
 スキルなら1レベル3枚買えますからねぇ。
 
 【魔力の晶石】、かなりコストが高いのですが、お金が余っているなら、魔術礼装の電池として持ち歩くために2~3個、というイメージだったのです。
 
 でも、結界は1回だけですが効果が大きいので、スキルで一撃必殺の世界のカードワースではそこそこに役立ちますし、召喚スペースが余りがちな魔術師が保険として付与しておくと、奇襲とかに対応できますね。
 スキル配布も大量配布ですから、お守り代わりにするといざというときは便利でしょう。
 これらの効果は、最初【魔導の昇華】のおまけ的な効果だったのですが、アイテム化で、もうちょっと使い方が増えたような気がします。
 この効果、好き嫌いが出そうな気もしますが。
 
 スキル回復は、面倒な手順を踏みますし、使えるのは1人1回限りですから、「迷う」余地があるのです。
 これ自体が保険であり、おまけみたいな効果ですから、ワイトの攻撃とかトラップで、完全な役立たずになった魔法使いに、起死回生のチャンスを与える意味がありました。
 まあ、【魔法薬】を使えば早いのですが…
 
 【魔力の晶石】は、本来魔術礼装とセットで使うことが望ましいです。
 一般PCにも使えるように、充電式飛行靴や、銃弾感覚で魔法を放つ魔法の杖とか、魔力をフルチャージして使用回数4回の結界を形成するとか、使い道は増やせばもっとありそうですが。
 
 現在、魔力付与してマジックアイテムを強化する店シナリオも企画してはいるのですが…その主な原料の一つとして【魔力の晶石】をと考えています。
 エネルギー源になるのは言うまでもありませんが。
 このシナリオは、『風屋』と他のシナリオが公開できる形になったらゆっくり作りたいところですが、リプレイで片鱗を見せるかもしれないです。
 例えば、他のシナリオのアイテムをより高レベルの仕様を理由に、256画像化したりとか、ちょっと野望があったりなかったり。
 これ以上シナリオの製作数を増やすと、他のシナリオが停滞するので、我慢しているのですが、いずれ作りたいとは思います。
 金余りアイテム余りになったPCたちの新しい生き甲斐を目指したいと思います。
 
 
 勇猛性は、結構上げやすい特徴で傾向もあります。
 戦士をイメージさせますし、アクションカードの2種類に影響してます。
 とりあえず能力は6ぐらいでも、勇猛性を高くしていけば、戦える万能タイプになりやすいのは確かです。
 勇猛性+4の勇将型は、主能力が7前後でもテストPC並の戦力になりますし、器用度を5以上にすれば会心の一撃まで強くなります。、
 特に勇将型は勇猛性が飛びぬけて高いので、優秀な戦士になりますね。
 
  
 シグルトはまだダナをカードとして所持していません。
 外伝序章をよく読んでもらうと分かるはずですが、肝心のカードは、継承者である戦士がどこか(旧リプレイを隅々まで読んでいるなら分かるかもしれませんが)に姿をくらましてしまったのでありません。
 
 シグルトがオルテンシア姫から引き継いだのは、かつてダナをその身に宿していたオルテンシア姫が、シグルトを後継者の候補として選んだということです。
 同時に、シグルトはオルテンシア姫の意思を受け継ぎます。
 シグルトは「オルテンシア姫に正式に認められた、刃金の後継者」ということになります。
 つまり、「受け継いだのは称号と意思」ということなんですね。
 
 ダナはさまざまな分霊と姿を持つ精霊で、同種の分霊や化身がたくさんあります。(といっても、現存するそれは非常に少ないのですが)
 オルテンシア姫は、スキルカードという形でそれらをいくつか所有していますが、御神体とも言うべき【鋼鐵の淑女】は失われています。
 ちなみに『風屋』のカードは、パラレルワールド的、あるいは希少なもう一つの分霊ということで。
 
 しかし、オルテンシア姫は精霊術という断片を触媒に、ダナが理想とし、そしてシグルトという人物を見込んでその成長に小さなつながりの因子を与えていることを、ダナから伝えられて知っています。
 シグルトが赤ん坊の頃になぜかあった「金床」に乗ったのは、実はダナの祝福を受けている証拠なのです。
 「打ち直されて強くなる魂と運命」を象徴します。
 空に手をかざしたのは、風の精霊の言葉を聞いたからで、同時にシグルトが天の元、空のような壮大な物語に関わること、そして風は旅(冒険)の象徴です。
 あの序章の伏線からそこまで読めたら、テレパシー大賞を作ってあげたいところですが…
  
 ええと、【鋼鐵の淑女】、実は第三段階まで作るつもりです。
 付帯能力型の完全覚醒した上位精霊ですから、それなりのイベントにはする予定ですが…
 
 気長にお待ちくださいね。 
2007-07-09 Mon 18:49 | URL | Y2つ #TIXpuh1.[ 編集]

コメントの投稿















コメント非公開の場合はチェック

この記事のトラックバック

| HOME |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。