Y字の交差路

 ここはY2つめがノリで作ったブログです。  カードワースを中心に、私が思ったことや考えたことを徒然なるままに書きたいと思います。

『碧海の都アレトゥーザ』 更なる邂逅

 シグルトがレナータと話を終え、『蒼の洞窟』を後にしようとしたとき、その女性は息を切らして走ってきた。
 
 普段雑事に囚われないシグルトも、極めて珍しいその女性の髪の色に、思わず目を留めた。
 生粋のエメラルドのように濃い緑色のそれは、独特の光沢を放ち、潮風に乗って舞うようになびいていた。
 そもそも、このような色に染める染料は無いし、その自然な色彩は、その髪が地毛であることを証明している。
 
 人間でこのような髪の者を、シグルトは見たことが無い。
 シグルトの故国シグヴォルフの隣には、妖精や亜人といった人外の類が多数生活する国があるが、その国の木々の精霊には木の葉色の髪の精霊がいると聞いたことはある。
 しかし、精霊の存在を感じることができても、その目で見ることまではできないシグルトにとって、せいぜい噂で聞いた程度のことだった。
  
 端整な顔立ちと、強い意志を感じさせる瞳。
 首に架かった十字架から、聖北か、それに近い教会の信者であることを推察できる。
 
 女性は、シグルトの前で足を止め、一瞬その容貌に目を見開いて見とれたような仕草をしたが、慌てて気を取り直すように数回首を横に振る。
 根が正直な娘なのだろう。
 女性に進路を塞がれてしまったため、シグルトは相手の出方を見ることにした。
 
 少し待つと、女性は乱れた呼吸を落ち着けて、シグルトに詰め寄った。
 
「さっき、ここに住んでるレナータが襲われたって聞いたんだけど、それは本当なのっ?!」
 
 いきなり本題に入り、有無を言わせぬ勢いである。
 シグルトの服をぐっと掴み、その瞳は剣呑な光を放っていた。
 
 その素早い動作に内心驚き、その娘が戦士としての訓練を積んでいることを感じ取りながら、シグルトはゆっくりと頷く。
 そして、娘の手を軽く叩き、まずは手を離すようにと伝える。
 
 自分の行った無礼な行為に気がついたのだろう。
 女性は、肌理の細かい白い肌を真っ赤にして恥じ入ると、慌てて手を離した。
 
「…まったく。
 
 話半分に急に駆け出したかと思えば、近くにいた人の胸倉を掴んで恐喝まがいに事情を聞くなど…
 いつものお前らしくないぞ、エアリス」
 
 泰然とした様子で、女性の後ろから現れたのは、短切り揃えた黒髪の美しい男であった。
 年の頃はシグルトと同じぐらいか。
 腰に下げた両刃剣といい、油断の無い物腰や鋭利な眼光から、この男も戦士であることが分かる。
 
「仲間が失礼をしたな。
 
 俺はシュウと言う。
 こっちはエアリス。
 共に仕事をする冒険者だ。
 
 仲間の無礼を許してくれ」
 
 緩やかな一礼に、シュウと名乗った男が礼法の心得があることを感じ取ったシグルトは、しっかり頷いて応えた。
 
「俺はシグルト。
 貴公らと同じ冒険者だ。
 
 知人の危機に心騒ぐのは仕方あるまい。
 レナータは幸せ者だな。
 
 エアリス殿といったか?
 俺は気にしてはいないから、畏まらなくても結構。
 
 加えるなら、レナータは無事だ。
 大きな怪我も無いし、今はこの洞窟にいて休んでいる。
 
 俺は彼女に害を加えるつもりは無い。
 そちらが聞きつけた騒動で、先ほどレナータと知り合ったばかりだ。
 
 件の騒動を起こした悪漢は少しばかり懲らしめておいたが、あれで懲りる輩とも思えなかった。
 もし、貴公らが彼女の知人ならば、今後気遣ってやってくれ」
 
 そう言うとシグルトは穏やかな笑みを浮かべ、エアリスと呼ばれた娘に向かってもう一度強く頷くと、2人に軽く一礼して去っていった。
 
 
「…はぁ。
 
 相手が大人な人で、よかったぁ」
 
 シグルトが去った後、エアリスは、自身の愚行を許してもらえた安堵と、レナータ無事の方に安堵し、胸を撫で下ろしていた。
 
「お前が話をちゃんと聞かないから、こういうことになるんだぞ、エアリス。
 
 事情は分からなくも無いが、話半分で飛び出すのだからな。
 あの話にはちゃんと続きがあって、男が1人現れてレナータを助けていたんだ。
 すでにことが決着した話を聞いて、その後で駆けつけたところで、到底間に合うものでは無いぞ?
 
 それにしてもあの男…
 おそらく最近噂になってる、“風を纏う者”のシグルトだ。
 レナータを助けたという男は、彼だろう。
 
 俺が元騎士であることも、おそらく見抜いていたな。
 簡易だが、きちんとした礼で返されたのは久しぶりだ。
 北方から来たというが、あの男、騎士か貴族としての経験があるに違いない。
 
 噂には尾ひれがつくものだが…あの隙の無さといい、話の分かる度量といい、噂どおりの好漢のようだ」
 
 シュウの言葉に、「あの人が…」とエアリスも納得したように頷いていた。
 
 シュウたち“碧風と共に歩む者”は、シグルトたち“風を纏う者”と同じく、リューンを拠点として活躍する新進気鋭の冒険者である。
 驚異的な天才揃いとして知られ、またそのパーティ構成が実に独特なことでも有名だ。
 
 珍しい髪のエアリスや、人間ではなくエルフの子供までいる。
 
 同じように異種族がいるパーティとしては、ドワーフがいる“風を駆る者たち”も有名だが、新米では抜きん出て有名なパーティが“風を纏う者”だった。
 なぜ有名かといえば、その仕事振りもそうだが、リーダーのシグルトが話題に事欠かない人物だからだろう。
 
 目の覚めるような美貌に、知略を備えた武勇、加えて公正で誠実な人柄。
 
 総合的な戦士としての資質は、シュウの方が優れているかもしれない。
 実践剣術を数多く習得し、その能力も驚異的なシュウは、人間離れした天才剣士だ。
 加えて騎士としての実戦経験を持つシュウは、戦術観に優れ、新米冒険者とは思えない実力である。
 
 それはエアリスも同じで、秘蹟を起こす力を秘め、同時に気を用いた体術まで使いこなすエアリスは、やはり常人離れした天才だった。
 
 だが、シグルトに会ってみて感じたことは、樹木の年輪のような奥深さだ。
 死線を彷徨い、慟哭で身を裂き、砂を噛む屈辱を知り、そして這い上がってきた者だけが持つ独特の悲壮感。
 多くの悲しみを知り、だからこそ人の不幸を感じてそれを心遣う優しさ。
 そして、話してみて感じた人を惹きつけて止まないカリスマ性。
 その行動の一つ一つに、何かを感じさせる重みがあった。
 
 シュウにも、常人ならば驚愕するような過去がある。
 短く切り揃えた黒髪は、もともと長く後ろで束ねていた。
 彼が過去を受け入れ、迷い無く前に進もうと決めた時に心の整理として切ったものだ。
 そんなシュウだからこそ、シグルトの持つ一種独特の雰囲気の理由がなんとなく分かるのだ。
 そして感じる。
 理不尽に打ちのめされ、慟哭で己を磨いた者のみが持つ底知れぬ強さというものを。
 
「…噂通り強いのだろうな、あの男は。
 あの落ち着きは、技を磨き抜いた戦士だけが持つものだ。
 
 一度剣を合わせてみたいものだが…」
 
 気を取り直して、エアリスはレナータのところに向かっている。
 洞窟の入り口で、1人見張りをするように立ったまま、シュウは1人ぼそりと呟いていた。
 
 
 それは異様な光景だった。
 
 アレトゥーザが誇る『賢者の塔』の図書室の一角。
 そこでは、2人の子供が読書に勤しんでいた。
 
 この光景だけならば、別に異常とは言えないだろう。
 しかし、その2人の子供が読んでいる本と言えば…
 
 片方の銀髪の少年が読んでいるものは、大人でも敬遠しそうな難解な外国語の博物誌である。
 
 一方、図書室の中でも暑苦しい外套を脱がず、フードを目深に被ったもう1人の子供…体格から推察できるのだが…の方は、数百年前の古語で書かれた叙事詩を読んでいた。
 こちらは本ですらなく、古めかしい木簡だった。
 
 どちらに干渉するでもなく、本のページをめくる音と、木簡を広げる乾いた音が鳴る。
 それ以外には、2人の呼吸音と、椅子や机が微かに軋む音がするだけだ。
 
 子供の1人はロマンである。
 昼近い時間帯の図書室は、人の影も少なく、本の管理をする司書以外は、隣で木簡を広げている人物ぐらいしかいない。
 
 読書に干渉されることが嫌いなロマンは、もう1人の客人にも干渉するつもりは毛頭無かった。
 邪魔者や喧騒が無い場所で、ゆっくり未読の本を読むことは、ロマンにとって至福の一時だ。
 
 室内でフードを取らないことはマナーが悪いと言えるが、それ以外には特に問題の無いもう1人の子供については、干渉しないことに決めていた。
 服装以外では、実に理想的な読書をする人物だからである。
 
 ロマンは、常人が読破に数日かかるであろう、分厚い革表紙の本を一時間足らずで読み終え、重そうにその本を司書に返しにいく。
 ふと気配を感じて振り向くと、もう1人の子供も木簡をまとめて司書に返すようだ。
 
 2人が書物を司書に返し、次に読む本を吟味する。
 やがて2人の手が、『南海の精霊』という本に同時に伸びた。
 
 そこでようやく2人は目を合わせることになる。
 相手の外套の合間から見える顔は、どうやら少女のようだ。
 まだ読みたい本は数あるし、読書家として同じ趣味の読書家に先を譲るのはマナーだと思っているロマンは、どうぞという軽い仕草の後に、別の本をすぐに物色し始めた。
 
 
 数時間後、すっかり日が暮れて、図書室の閉館を伝えられた2人は、本を返すと同時に図書室を出た。
 
 歩み去ろうとするロマン。
 
「あの、さっきはありがとう…」
 
 外套姿の子供が不意に声を掛けてきた。
 子供の声ゆえに、性別は分かり難い。
 
「どういたしまして。 
 
 でも一言言わせてもらうけど、図書室でそのフードを被りっぱなしはよくないよ。
 理由が無いなら、今度は脱いでね」
 
 ひねくれ者のロマンらしい返し方であった。
 
 何を思ったか、相手はいそいそと外套のフードを脱ぎ、そのプラチナブロンドを潮風にさらす。
 
「…あっ」
 
 ロマンはなぜその子供が外套を被っていたか理解する。
 人間のそれより尖っていて長い耳。
 
「そうか、君エルフだったんだね?」
 
 エルフ、とは亜人とも妖精とも言われる種族である。
 華奢な体格に、秀麗な容貌、特徴は長く短剣のように鋭く尖った耳だ。
 魔法や不思議な術を使う才能を持ち、特に精霊術を使うのに優れると言われるが、エルフそのものにもたくさんの亜種がある。
 
 人間でない、ということからか、聖北教会などの一部の過激な輩は迫害されたり差別を受けることが多い。
 加えてエルフの多くは、集団意識が強く排他的で、めったに自分の属するコミュニティから出ようとしない。
 そのためか、好奇心の強い変わり者か、理由が無い者以外はめったに人間が目にすることは無い。
 
 だが、冒険者はその例外だ。
 身分出生をあまり問わず、実力が何より評価される冒険者の世界では、エルフを含めた特殊な出生の種族や人間が数多くいる。
 もともと人間には無い力を持つ、エルフや大地の妖精と言われるドワーフ、獣人…獣の特徴を持った亜人種…などが冒険者となることは度々あった。
 
 しかし、ロマンの前にいるのはエルフの〈子供〉である。
 エルフは、寿命が人間の数倍から百倍近いものまでいるが、反面出生率が極めて低いため、子供を極端に大切にする傾向がある。
 多くのエルフのコミュニティでは、成人するまで子供を外に出さず、大切に育てるのが普通だ。
 
 もしその例外があるとしたら、コミュニティから追放されるか、コミュニティが滅びるか、あるいは取替え子ぐらいである。
 取替え子(チェンジリング)は、古い先祖の血筋が隔世遺伝によって現れ、異種族の中にさらなる異種族が現れることである。
 人間と高い確率で混血が可能なエルフは、時折その先祖血筋が現れてエルフやハーフエルフといった者が人間の中から生まれる場合がある。
 一種の先祖帰りなのだが、突然異種族の子供が生まれた場合、悪魔の仕業や妖精の悪戯と嫌って、生まれた子供は迫害されたり、酷い時は捨てられたり殺されてしまう。
 
 ロマンの目の前にいるエルフの子供、人間では10歳ぐらいに見えるが、この年齢でここにいること自体が極めて珍しかった。
 
(…これだけ綺麗な子だと、人攫いに狙われるかもしれないよね)
 
 南方の奴隷商人の中には、エルフのような美しい種族を奴隷として高く扱う輩もいると聞く。
 このエルフの子供は、身を守るために耳を隠していたのだろう。
 
 その愛らしい容貌は、普段シグルトのような美貌を見ていなければ、見ほれたままポカンとする醜態をさらしていただろう。
 
 陽光を連想させるプラチナブロンド。
 澄んだ深い湖が空を映したような、蒼い瞳。
 華奢でほっそりとした、柔らかそうな曲線の頬。
 肌は血管が透けて見えそうなほど白く、雪花石膏(アラバスター)のように滑らかだ。
 
 世には綺麗な存在がたくさんあるのだな、と思いつつ、ロマンは数度瞬きをした。
 
「…正しくはハイエルフだよ」
 
 ロマンの言葉に少しむっとしたような声で返すエルフの子供。
 ハイエルフにとって、下級種とされるエルフと同等に扱うことは、大変な侮辱になることがある。
 
「そうか、ごめんね。
 僕は普通のエルフと、ハイエルフを見分けるほどの知識が無いから。
 
 自身の無学はお詫びするけど、後学のために、伝説で言うところの高貴さや寿命以外で、〈普通の人間が見て分かる〉その違いがあれば教えてくれるかな?」
 
 これは意地悪な返し方だった。
 
 エルフとハイエルフでは、特別な外見上の違いが無いことはロマンも分かっている。
 ハイエルフとは、エルフの祖とも言える古代種、あるいは純粋な妖精として、人間の世界に定着する前の力を持った者たちなのだともされるが、多数あるエルフの亜種と同様、その境界線は曖昧だ。
 ロマンの知るエルフには、背に洞(うろ)を持つエルフや、猿のようなエルフの亜種もある。
 
 そも、エルフという呼び方は、北方の妖精をあらわす言葉〈アールヴ〉から発祥したものである、という説が有力だ。
 光妖精(リョースアールヴ)と闇妖精(デックアールヴ)は、、現在の光エルフと闇エルフを示すとも言われている。
 
 エルフの上位種とされるハイエルフだが、ロマンにとっては、分類学的に妖精系の亜人の一つに過ぎないのだ。
 
 ロマンの意図に気がついたのか、ハイエルフを名乗った子供は少しむくれたように頬を膨らめた。
 
「君って意地悪なんだね。
 
 さっきはあんなに紳士的だったのに…」
 
 自称ハイエルフの子供は、拗ねたように下を向いて呟く。
 ロマンは肩をすくめた。
 
「150年くらい前に博物誌を書いた賢人、イエハトがこう言ってる。
 
 〝誇る称号があっても、称号を明かさぬうちに礼を求める者は愚かである〟って。
 
 まして、人間の僕にとっては、エルフでもハイエルフでも、普段は何の意味も持たないからね。
 君の種族としての特徴を、賛美の意味でも侮辱の意味でも、特別視する気は無いよ。
 
 僕は賢者だから、何事も客観的に観察評価することが至上命題なんだ」
 
 この言葉は、ロマンなりの礼儀でもある。
 ロマンは、「種族的な差別はしない」とも言っているからだ。
 
 自称ハイエルフの子供は、ロマンの示した言葉の、もう一つの意味に気がついたのだろう。
 機嫌を直したように、胸を張った。
 
「ボクはルアム。
 ハイエルフの末裔で魔術師だよ。
 
 さっきは、先に本を読ませてくれてありがとう。
 
 それと、ボクのさっきの言葉は確かに理不尽だったよね。
 ごめんなさい。
 
 ボクはハイエルフの一つ、銀エルフの末裔だから、そのことは誇りなんだ。
 許してくれるかな?」
 
 ルアムと名乗った子供は、優雅に頭を下げた。
 
「君の態度は知者として正しいね。
 過ちを認め正す謙虚さは、賢人の美徳だよ。
 
 僕はロマン。
 冒険者であり、魔術師で賢者。
 
 イグナトゥス派の末裔、アレグリウス導師の弟子で、リューンの大学で知識を学んだ者さ。
 
 ハイエルフの魔術師、ルアム殿。
 さっき、本を譲ったのは、賢人としての礼に過ぎないよ。
 願わくば、君が同じような状況で、知識を求める者に道を譲るきっかけになりますように。
 
 共に知識を求めるものとして、お願いするよ」
 
 そう言ってロマンは、金褐色の目を細め、軽く会釈する。
 
「〈黄昏の金目(たそがれのきんもく)〉…」
 
 不意に、ルアムの瞳が淡い金色に変わった。
 何かに憑かれたように、ぼんやりとする。
 
「あはは、単に金色かかってるだけだよ。
 
 僕の属する魔術師協会で祖とされる大魔術師イグナトゥス。
 彼が狡猾な魔神から奪ったという、知識のみで事象を分析して、自身の属する文明の黄昏を予知した慧眼。
 すべての知識を、無限の記憶の箱に収める入り口とされる、認識のレンズ。
 
 そんな怖いもの、僕が持ってるわけないよ。
 僕はごく普通の人間で、イグナトゥスみたいに魔神から力を奪うなんて芸当はできないからね。
 
 金目には、常ならぬ魔力があるって聞いたことはあるけどさ」
 
 逆光で、ロマンにはルアムの瞳の変化が分からなかった。
 
「さてと。
 
 何だか西日が眩しいね。
 もうすぐ日が沈むし、僕は帰らなきゃ…」
 
 ロマンは、ルアムに軽く手を振って別れを告げ、去って行った。
 
「…あっ…」
 
 ルアムはその少し後に、眠りから覚めたように眼を見開いた。
 
「…〈黄昏の金目〉は時を経て、相応しき者に継承される。
 真の知識に目覚めたとき、叡智は自ずと事象の黄昏を照らし、黄金の輝きを宿す。
 
 彼は、イグナトゥスの…」
 
 ルアムは、昔読んだ大魔術師の弟子が書いたという、書物の一説を思い出していた。
 その書によると、大魔術師はその生み出した魔術と予見の力を恐れられて殺されたとされる。
 しかし、大魔術師は己の黄昏も既に知っており、後継者である弟子に様々なことを書き残していた。
 
 そして、大魔術師が死ぬと、その両目の部分には洞のように何も無く、魔神の嘲笑が聞こえたという。
 だが、大魔術師の口元は満足げに微笑んでいたそうである。
 大魔術師は、魂移転の法や輪廻転生の秘密すら知っていたと言われる。
 
「…〝無知なる者には、知る喜びがある〟…」
 
 その大魔術師が、死に際に呟いたという言葉を思い返し、ルアムは不安そうに自身の肩を抱いた。
 
 ルアムの瞳が金色に変わり、今のような状態になるのは〈時詠み〉という未来予知の力が発揮する時だ。
 普段この力は眠っていて現れないが、極限状態や特別な意味を持つ出会いや状況でまれに発動し、ルアムに真実を見せる。
 
「…きっと、また会うって事なんだよね…」
 
 ルアムは、ロマンとの出会いが特別であることを感じ、小さく身震いをした。

 
 
 龍使いさんとのクロスリプレイです。
 登場したキャラクターは、うちのブログのリンクにある、『集いし者達の空間』で、龍使いさんが執筆されているリプレイの主役たち“碧海と歩む者”です。
 うちのリプレイの主力“風を纏う者”と同じく、特殊型ばかりの天才パーティです。
 龍使いさんが、これからどんな彼らを描くのか楽しみです。 
 
 かつてMartさんとのクロスリプレイでも盛り上がりましたが、クロスオーバーによるリプレイには、独特の楽しさがあります。
 ぜひ、現在リプレイを書かれている方にもお勧めしたいですね。
 
 ちなみに、私のリプレイとクロスオーバーしてくださる場合、お礼と言っては何ですが、お望みなら何かPC専用のオリジナルスキルをデザインして差し上げたいなぁと思っています。可能な限りですが。
 風屋で、そのPCをちょっとした英雄に格上げして、その人物が使っていたスキルとして出したいなぁ、という野望もあったり。
 
 今回、何気に風屋の新付帯能力が一個出てます。
 ロマンの設定もちょっぴり開放です。
 
 今回登場のエアリスは、レナータと知り合い、という設定を頂きましたので、そのように書いています。
 レナータと、舞台となっているシナリオ『碧海の都アレトゥーザ』はMartさんに著作権がありますので、この記事の最後の著作権情報を参考になさってください。
 レナータ嬢、人気ありますよね。
 
 
〈著作情報〉2007年09月03日現在

 『碧海の都アレトゥーザ』はMartさんのシナリオです。現時点でMartさんのサイトで配布されています。
 シナリオの著作権は、Martさんにあります。
 このリプレイの時のバージョンはVer1.22です。
 
・Martさんサイト『esotismo.』
 アドレス(http://sky.geocities.jp/mart_windowl/) 
 
 カードワースはgroupAskに著作権があり、カードワースの管理、バージョンアップ、オフィシャルな情報等はgroupAsk official fansiteにて、カードワース愛護協会の皆さんがなさっています。
 このリプレイは各シナリオをプレイした上で、その結果を小説風リプレイとしてY2つが書いたものです。
 書かれた記事、書かれる記事は、特定のシナリオの名前が出たときは、そのシナリオの著作権はすべてそのシナリオの作者さんにあります。
 
 また、リプレイ中に使われる内容には、各シナリオで手に入れたスキルやアイテム、各シナリオに関連した情報等が扱われることがあります。
 それらの著作権は、それぞれのシナリオの作者さんにあります。
 またカード絵等の素材に関しては、シナリオ付属の著作情報等を参考にして下さい。
 
 今回のクロスオーバーは龍使いさんのブログ『集いし者達の空間』で連載中の、CWリプレイのパーティ“碧風と共に歩む者”とのクロスです。
 リプレイ及びオリジナルの登場人物における著作権は、龍使いさんにあります。
 
・龍使いさんのブログ『集いし者達の空間』
 アドレス(http://dragontamer.blog72.fc2.com/)
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 ご無沙汰しております。台風お見舞いに伺いました。

 リプレイ、新しいクロス企画が始まっていたのですね。ブログ同士のこうした試みは読者としてもワクワクします^^*。私も表に戻る日が来たら借り物ではない物語を紡ぎたいものです。

 最近は新たなお付き合いもあってCW界隈にはろくすっぽ顔を出しませんが、貴ブログのご発展をお祈りしておりますね。それでは乱筆にて。
2007-09-06 Thu 18:01 | URL | 樹音 #EDSLkfi6[ 編集]
〉樹音さん
 こちらこそ御無沙汰しております。
 
 9月は台風が旬(?)なので、困ったものですが、私の住んでいるところは台風の被害がとても少ない所です。
 もっとも、母が植えた花桃の枝が折れるとか、とっとした被害はありました。
 当日、私は台風の中をコンブニまで買い物に行ってました。向こう見ずと言うか…
 そういうわけで、元気にやっております。
 
 気が向いたら戻れるのがCWの良さでもありますので、気が向いたらうちのブログも覗いてやってくださいね。
 
 私も今月中には、『風屋』の氷の精霊術の残りをなんとか完成させたいと思っています。
 女王様を含めて33枚、召喚獣を含めると50枚近くあるんですよね…
 規約による修正を含めると、作業がたくさんでぐったりしてしまいます。
 
 何か形になりましたら、お送りしますね。
 
 クロス企画も、やってくれる方がいるようでしたら、できる限りやりたいなぁ、と思っています。
 頑張りますね。
 
 コメント有難う御座います。
 では。
2007-09-09 Sun 17:55 | URL | Y2つ #TIXpuh1.[ 編集]

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