CWPC1:シグルト
2006.05.31(22:39)
3
冒険者の宿『小さき希望亭』。
リューンの郊外に位置し、ちょっと髪の生え際が危ない頑固親父が経営する冒険者の宿である。
宿の親父がいつものように食器を磨いていると、宿のドアにつけられた鈴がからん、と鳴った。
「いらっしゃい…宿をお探しかい?」
さらりと聞いた親父をいぶかしげに見つめた客は、年のころは17、8になる青年だった。
凛とした眼差しに端整な顔立ち。
筋骨隆々ではないものの、服の合間から見られる体格は強靭さを連想させる。
背丈は180cmちょっと。
リューンの街娘に騒がれそうな美丈夫である。
(こいつは、あいつが騒ぎそうだな…)
ミーハーな自分の娘を思い出し、心の中でぼやく親父。
「ここが冒険者の宿、か…」
青年はふう、とため息をつく。
「小さき希望亭っていうんだ。看板にあっただろう?」
親父が言うと青年は黙ってうなずいた。
「俺はシグルト。冒険者になりに来た」
…偉大な龍殺しの英雄と同じ名前を持つ青年は、実に簡素に名を名乗った。
「ああ、新人ってやつか…」
親父は少しあきれたようにつぶやく。
この手の若手冒険者見習いは後をたたずやってくる。
一年も続けられずにほとんどが宿を去っていくのだが。
親父は大げさに手を広げると、やれやれというように首をすくめた。
「おまえさん、なんでこんな世知辛い商売やろうと思ったんだい?
甘くないぞ、冒険者って仕事は」
親父はいつもこの手の輩に、一応は同じ言葉をかける。
適当な気持ちで失敗すれば死ぬ職業であり、失敗した冒険者が出れば宿の名も落ちる。
まずは新人の意気込みを確認する…簡単な試験のようなものだった。
青年は緊張した様子もなくどっかとカウンターの椅子に腰を下ろす。
「兄貴が騎士の家門を継いだ。
俺は次男でしかも妾腹ってやつさ。
継げる土地も屋敷もない。
坊主になるほど敬虔じゃないし、書庫で埃と巻物に埋もれる柄でもない。
自慢できるものは腕っ節ぐらいだからな。
穀潰しになりたくなきゃ、傭兵か冒険者しかなかっただけだ。
で、傭兵には一応上官とかあるだろ?
そういうのは兄貴を見ててうんざりだから、冒険者になろうと思った。
…そんなもんだな、理由なんて」
淡々と語ったシグルトという青年は、安酒のラベルに視線を向け、むっつりと黙り込んだ。
(なるほど、その辺の若造みたいに夢だの希望だのは言わないか…)
親父は内心ニヤリとした。
生きるために冒険者になる…
変な先入観や憧れで冒険者になる若手とは違った、ふてぶてしさ。
こういう人物の方が強くなるし、つらい仕事にも耐えられることを親父は長い経験から理解していた。
「そうか。じゃあ、宿帳に名前を書いてくれ」
親父は手垢で汚れささくれた羊皮紙の束…冒険者の名簿を、カウンターにどっかとおいた。
これが後に『小さき希望亭』最強の剣士と呼ばれるようになる冒険者シグルトと親父の邂逅である。
うちの現在のパーティのリーダーです。
すこしインチキして作った英雄型。
武骨でぶっきらぼうな戦士をイメージしています。
だんだん紹介していくつもりですが、根は仲間想いで好い奴です。
シグルトという名前は北欧神話の英雄、龍殺しのシグルトからとったものです。
シグルトの父親は西方諸国の北にある寒冷な地方に小さな所領を持つ騎士で一応は男爵様でした。
高慢で貴族であることを鼻にかける兄と、同母の妹がいます。
父親が槍試合で負った怪我がもとで他界し、兄が所領を継いだのですが、妾腹として兄に忌み嫌われていたシグルトは、兄に「服従か追放か」を迫られて、母親と妹が修道院に入るのを確認した後に父の所領を離れ冒険者になることを決意します。
容貌、度胸、知性のすべてにおいて兄より優れていたので、虚栄心の強いシグルトの兄にとっては忌々しい存在でした。
凛々しく背が高いので女性にもてるはずなのですが、鈍感で武骨とくれば色恋には当然朴念仁。
女性の必死のアプローチを「変な行動」と率直に言ってヒンシュクを買うタイプです。
貴族の恋人がいましたが、彼の朴念仁ぶりに愛想をつかしてシグルトの兄と結婚してしまいました。(そのつもりでしたが、シナリオ進行の関係でシグルトを庇うために結婚したことに…)
彼が父の所領を出たのは、自慢げに新妻を語る兄に辟易したのも理由です。(これも最初のリプレイを書いているとき、大幅に変更しました。シグルトにはもう少し不幸になってもらいました)
性格は例えるならドライアイス。
クールだけど触ると火傷するホットな部分も持ち合わせています。
「腕っ節が強いだけだ」と本人は言っていますが、知性はそれなりに高いし、勇敢で根性があります。
身分や種族の差でいわれのない迫害を受けるものが大嫌いで、弱いものを守ることを誓い、その信念を貫くことを名誉としています。
◇シグルト◇
男性 若者 英雄型
秀麗 高貴の出 誠実
鈍感 勤勉 武骨
硬派 お人好し 名誉こそ命
器用度:5 敏捷度:6 知力:7 筋力:11 生命力:8 精神力:8
社交性+1 勇猛性+3 正直性+2
データの調べ方は秘密です。
とりあえずこんな風に書いていくつもりです。
長いのは私の癖みたいなものですので、まあ、読む方は流すか慣れていただけると幸いです。
リューンの郊外に位置し、ちょっと髪の生え際が危ない頑固親父が経営する冒険者の宿である。
宿の親父がいつものように食器を磨いていると、宿のドアにつけられた鈴がからん、と鳴った。
「いらっしゃい…宿をお探しかい?」
さらりと聞いた親父をいぶかしげに見つめた客は、年のころは17、8になる青年だった。
凛とした眼差しに端整な顔立ち。
筋骨隆々ではないものの、服の合間から見られる体格は強靭さを連想させる。
背丈は180cmちょっと。
リューンの街娘に騒がれそうな美丈夫である。
(こいつは、あいつが騒ぎそうだな…)
ミーハーな自分の娘を思い出し、心の中でぼやく親父。
「ここが冒険者の宿、か…」
青年はふう、とため息をつく。
「小さき希望亭っていうんだ。看板にあっただろう?」
親父が言うと青年は黙ってうなずいた。
「俺はシグルト。冒険者になりに来た」
…偉大な龍殺しの英雄と同じ名前を持つ青年は、実に簡素に名を名乗った。
「ああ、新人ってやつか…」
親父は少しあきれたようにつぶやく。
この手の若手冒険者見習いは後をたたずやってくる。
一年も続けられずにほとんどが宿を去っていくのだが。
親父は大げさに手を広げると、やれやれというように首をすくめた。
「おまえさん、なんでこんな世知辛い商売やろうと思ったんだい?
甘くないぞ、冒険者って仕事は」
親父はいつもこの手の輩に、一応は同じ言葉をかける。
適当な気持ちで失敗すれば死ぬ職業であり、失敗した冒険者が出れば宿の名も落ちる。
まずは新人の意気込みを確認する…簡単な試験のようなものだった。
青年は緊張した様子もなくどっかとカウンターの椅子に腰を下ろす。
「兄貴が騎士の家門を継いだ。
俺は次男でしかも妾腹ってやつさ。
継げる土地も屋敷もない。
坊主になるほど敬虔じゃないし、書庫で埃と巻物に埋もれる柄でもない。
自慢できるものは腕っ節ぐらいだからな。
穀潰しになりたくなきゃ、傭兵か冒険者しかなかっただけだ。
で、傭兵には一応上官とかあるだろ?
そういうのは兄貴を見ててうんざりだから、冒険者になろうと思った。
…そんなもんだな、理由なんて」
淡々と語ったシグルトという青年は、安酒のラベルに視線を向け、むっつりと黙り込んだ。
(なるほど、その辺の若造みたいに夢だの希望だのは言わないか…)
親父は内心ニヤリとした。
生きるために冒険者になる…
変な先入観や憧れで冒険者になる若手とは違った、ふてぶてしさ。
こういう人物の方が強くなるし、つらい仕事にも耐えられることを親父は長い経験から理解していた。
「そうか。じゃあ、宿帳に名前を書いてくれ」
親父は手垢で汚れささくれた羊皮紙の束…冒険者の名簿を、カウンターにどっかとおいた。
これが後に『小さき希望亭』最強の剣士と呼ばれるようになる冒険者シグルトと親父の邂逅である。
うちの現在のパーティのリーダーです。
すこしインチキして作った英雄型。
武骨でぶっきらぼうな戦士をイメージしています。
だんだん紹介していくつもりですが、根は仲間想いで好い奴です。
シグルトという名前は北欧神話の英雄、龍殺しのシグルトからとったものです。
シグルトの父親は西方諸国の北にある寒冷な地方に小さな所領を持つ騎士で一応は男爵様でした。
高慢で貴族であることを鼻にかける兄と、同母の妹がいます。
父親が槍試合で負った怪我がもとで他界し、兄が所領を継いだのですが、妾腹として兄に忌み嫌われていたシグルトは、兄に「服従か追放か」を迫られて、母親と妹が修道院に入るのを確認した後に父の所領を離れ冒険者になることを決意します。
容貌、度胸、知性のすべてにおいて兄より優れていたので、虚栄心の強いシグルトの兄にとっては忌々しい存在でした。
凛々しく背が高いので女性にもてるはずなのですが、鈍感で武骨とくれば色恋には当然朴念仁。
女性の必死のアプローチを「変な行動」と率直に言ってヒンシュクを買うタイプです。
貴族の恋人がいましたが、彼の朴念仁ぶりに愛想をつかしてシグルトの兄と結婚してしまいました。(そのつもりでしたが、シナリオ進行の関係でシグルトを庇うために結婚したことに…)
彼が父の所領を出たのは、自慢げに新妻を語る兄に辟易したのも理由です。(これも最初のリプレイを書いているとき、大幅に変更しました。シグルトにはもう少し不幸になってもらいました)
性格は例えるならドライアイス。
クールだけど触ると火傷するホットな部分も持ち合わせています。
「腕っ節が強いだけだ」と本人は言っていますが、知性はそれなりに高いし、勇敢で根性があります。
身分や種族の差でいわれのない迫害を受けるものが大嫌いで、弱いものを守ることを誓い、その信念を貫くことを名誉としています。
◇シグルト◇
男性 若者 英雄型
秀麗 高貴の出 誠実
鈍感 勤勉 武骨
硬派 お人好し 名誉こそ命
器用度:5 敏捷度:6 知力:7 筋力:11 生命力:8 精神力:8
社交性+1 勇猛性+3 正直性+2
データの調べ方は秘密です。
とりあえずこんな風に書いていくつもりです。
長いのは私の癖みたいなものですので、まあ、読む方は流すか慣れていただけると幸いです。
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