Y字の交差路

 ここはY2つめがノリで作ったブログです。  カードワースを中心に、私が思ったことや考えたことを徒然なるままに書きたいと思います。

PC1:ヴァルター

 これから新しいリプレイとして、悪漢リプレイを始めます。
 その名も『CWD:リプレイ ピカレスク』。

 某悪人PCのシナリオのような、残忍で退廃的な内容になります。
 なんでこんな記事書くのかというと、こういうリプレイはまだ見かけないから、です。

 かといって18禁仕様かというと、そんなことはありません。
 コンビニや本屋で売ってるマンガの方が、よほどこのリプレイよりきつい描写であるかと思います。

 これはフィクションであり、そもそも時代と世界も違うので、犯罪云々の原因としてつなげるのはナンセンスですが…

 最初に断っておきますが、私はハッピーエンドや幸せな話も好きです。
 でも、ピカレスクロマンに感じ入ることも結構あったり。

 面白いもの、興味深いものに対しては、それがどのようなものであるにしろ、他人に迷惑をかけるものでなければ、「興味のある人」は見ても読んでも大丈夫だと考えます。
 こういうことを大義名分にしてやり過ぎるのも考えものですが…
 
 ピカレスクは、風刺であったり憤懣であったり、破滅的な人間の傾向であったり…
 普通のリプレイにはあまりなかった、破滅性と「悪い冒険者」としてのpcを描きたいと思います。

 何となく、わかる方だけ読んで下さい。


 このリプレイ記事には、残酷或いは不快な描写が含まれます。
 
 場合により、不愉快な印象を与えるかもしれませんので、読まれる場合は個人の責任でお願い致します。





 それは嗅ぎ慣れた腐肉の悪臭だった。

 臭いの元はすぐ近く…男の眼からである。
 膿み崩れた液体が、緩みかけた包帯の隙間から零れていく。
 包帯に染みついて固まりかけた粘液の硬さは、血が固まったそれにもよく似ているとも思う。

(…ケッ。
 
 くだらねぇこと考えてる間に、烏に食われそうだぜ。
 ま、俺みたいな小悪党には、それがお似合いだがよ)

 寄りかかった岩の冷たさに眉をしかめながら、隻眼の男…ヴァルターはまた心の中で悪態を吐いていた。

 大きな男であった。
 身長は190?を越えている。
 体格の割にはやや細いが、常人よりも一回り以上太い手足と厚い胸板。
 
 見える肌だけでも無数の傷痕があるが、その大半は古びたものだ。
 傷に詳しいものならば気付くだろうが…それは戦場や仕事で付いたものではなく、長い間の虐待によって付けられたものである。
 
 傷の引き攣れ具合からいって、幼少期についたものだろう。

(ま、いいか。

 あの糞豚野郎は、かっ殺してやったからな)

 自分に傷を刻んだ男…養父を名乗りながらも、母親や自分を散々虐待していた小太りの醜男は、8歳の時に殺した。
 意外に人間を殺すのは簡単だと、初めて知った時だ。

 母は晩年、心が曖昧になっていた。
 まだ20代で過労死した母の細い腕には、養父がきつく縛って欝血した縄の痕と、自殺を躊躇ったために出来た白い線がいくつも刻まれていた。
 脚も腕も女翌ケ細って、所々折れかけていたと記憶している。

 娼婦まがいのことをしていた母の近くには、噎せるような香水の残り香と粘ついた空気が澱んでいた。
 養父に騙され、奴隷同様に扱われていた母は、ついに一度もヴァルターを名前で呼んでくれたことは無かった。

(…当然だろうぜ。

 どっかの戦争で負けた傭兵が、腹いせで暴れた末の火事泥棒の最中に、一発決めて出来た餓鬼なんてよ)

 一度は孤児院に身を寄せていたこともある。
 だが、そこも救いの場所ではなかった。

 養父を殺して逃げ出した後に拾われたそこは、慈善事業を隠れ蓑にした人身売買の営業所だったのだ。
 
 傷だらけでしかも男である自分には買い手がつかず、修道服を着た小太りの女にいつも殴られていた。
 まだ小さかったヴァルターは、食い物の奪い合いでもいつも負けて、腹を空かしていた記憶がある。
 
 そんな糞溜で、いくらか年上の少女がいつも食い物を分けてくれた。
 レベッカと呼ばれていたその娘は、狡猾で手先が器用で要領がよかった。
 彼女は保護者を気取る人買いどもを手玉に取り、よく見れば美人の顔をうまく歪めて汚し、売られないようにしていた。
 腐った場所での世渡りは、その少女に習った。
 
 レベッカは、金の価値や物のくすね方、字の読み書きを教えてくれた。
 ヴァルターがこの年齢まで生きてこれたのも、その手ほどきのおかげであろう。

(姐さん、盗賊ギルドの一員になったんだよな。

 …はは、俺みたいなロクデナシとは大違いだ)

 盗賊ギルドのガサ入れで、ヴァルターのいた孤児院は無くなった。
 姉と慕うレベッカは、その時腕を失った一人の盗賊に取り入り、孤児院を去ったと聞いている。
 ヴァルターは恐ろしくて、失禁しながら隠れていたといううのに。
 
 風の噂で、レベッカが盗賊ギルドを止めて冒険者になったと聞いていた。
 
(…その点俺は、しくじってこの様かよ。

 ああ、くそっ、姐さんに会いいっときゃよかったかな)

 吐溜のような生活の中で、少しだけ憧れていた年上の姐貴分を思い出し…ヴァルターは起き上がろうとした。
 だがそれすら出来ず、少し噎せて血を吐いた。

(あ~、やっぱ場目か。

 腸が、出てるもんなぁ)

 孤児院を出てから、生きるためには何でもやった。
 強請り、強盗、殺人… 
 10代の頃には立派な小悪党になっていたと思う。

 だが、12歳の時に牢獄にぶち込まれて、18歳まで鉱山暮らし。
 鉱山で爆発事故があった後は、逃げ出した連中と山賊になり、腕っ節の強さから兄貴分を名乗っていたこともある。

 だが今はどうだ?
 
 山賊退治の依頼を受けた冒険者たちの襲撃を受け、仲間は皆死んだ。
 自分も片目を失い、腹に大怪我をしている。

(ああ、月が綺麗だぜ。

 こんな夜空に看取ってもらえりゃ、まぁ俺みたいな悪党の終わりにゃ十分、だよ…な)

 ぼんやりと霞んでいく月の光が、どこか歪んでいた。
 それは、何年ぶりかに流した、悔し涙だったかもしれない。

(…畜生、やり直してぇ。

 母ちゃんの胎の中から、生まれ変わって…
 せめて姐さんみたいに、光の下で生きてぇ、よ)

 己の惨めな死に際に涙し、月に向かって手を伸ばす。
 そして、意識が遠のいていく。
 
 …力無く地に堕ちるその掌。

 だが、手が泥にまみれるその前に…
 白く小さな手が伸ばされ、それを受け止めた。

 それは柔らかな女性の手。
 ヴァルターはその白い手を、生まれてから一度も信じたことの無かった「天使の手」かとふと思い、即座に苦笑する。

 まったく馬鹿らしい…自分のような悪党を迎えに来るのは、死神か悪魔のはずだから。
 
 そして、「ありえねぇ」と呟こうとし、そのまま気を失うのだった。






 さて、いよいよ『CWDリプレイ ピカレスク』連載開始?です。

 シナリオ『邪なる僕』もほぼ完成ですし、前からやってみたかった事をモチベーションが続くうちにやっちゃいます。
 最近まるでリプレイを書いてなかったですし、ちょっと別路線を、ということで。

 このリプレイでは、うちで主宰しているカードワースダッシュの実験も兼ねて、そっちでPCを作ることに致します。
 やや強めになりますが…
 

 『CWDリプレイ ピカレスク』は、いわゆる悪人PCのリプレイです。
 こういう楽しみ方もあるんだなぁ…程度に読んで下さい。

 殺人や恐喝といった犯罪社会を背景に、いわゆる『チンピラ』や『犯罪者予備軍』として見られがちな、もう一つの冒険者の世界を表現したいと思います。

 死霊術師や邪神官も出す予定ですので、そっち系が嫌いな方は読まない方がよいかも。
 描写もちょっとばかり血生臭いかもしれません。

 ピカレスク…と名付ける以上は、破滅的で痛快な内容にしたいと考えています。
 どうやってPCたちが野垂れ死ぬか、ちょっと考えてたり。

 ダッシュ仕様実験を兼ねて始めたリプレイ「ピカレスク」。
 当ブログ初登場の悪役PC、一人目は、元山賊の怪力男ヴァルターです。


◇ヴァルター◇ (CWDスタンダード仕様)
 男性 若者 豪傑型


下賎の出   貧乏     不心得者
不実     冷静沈着   貪欲
利己的    混沌派    鈍感
好奇心旺盛  楽観的    陽気
高慢     粗野     武骨

器用度:3 敏捷度:5 知力:4 筋力:12 生命力:10 精神力: 6
好戦性+3 内向性-1 勇猛性+1 大胆性+1 狡猾性+4
 

 そのリプレイ名の通り、悪漢であるヴァルターは、いわゆる小悪党です。
 
 しかしながらダッシュ仕様ですから、能力値はかなり優秀です。
 酷い人生を歩んで来たのに生き残っているのは、一重にその優秀さ故でしょう。

 ヴァルターは北方の滅んだ寒村の生まれです。
 母親はそこそこに美人だったのですが、村が傭兵の略奪に遭い、強姦されてヴァルターを身ごもります。
 
 村はその時に滅びました。
 リューンに居た親戚を頼ってきたヴァルターの母親は、当てが外れて物乞い同然の暮らしをしていました。
 ですが、親切な振りをした男に騙されて一応は結婚します。
 
 その男はサディストで、屈折した思考の持ち主でした。
 ヴァルターが生まれた後、母親は夫の虐待と自身の不幸から徐々に心を蝕まれていきます。
 やがて完全に正気を失ったヴァルターの母を疎ましく思った夫は、彼女に娼婦まがいのことをさせてお金を稼ぐようになります。

 ヴァルターは小さい頃から養父に虐待され、生きていたのも奇跡でした。
 そんな酷い生活も、ヴァルターの母親が真正のサディストの客によって殺せれてしまうことで終わります。

 ヴァルターは養父と母を殺した男の、文字通り寝首を掻き、逃げ出すのです。
 
 その後リプレイのレベッカと同じ孤児院に収容され、ユベールが孤児院を壊滅させた後にストリートキッズに。
 12歳の時、殺人罪投獄されて地方の鉱山に贈られますが、そこで労働をしつつ怪力を養い、鉱山の爆破事故に乗じて脱出。
 数年間、脱出した仲間と一緒に山賊生活をしてきました。

 ですが、最近になってその盗賊団の横行に悩んだ近隣の村人たちが冒険者に依頼し、ヴァルターたちは壊滅させられてしまうのです。
 
 そして瀕死の重傷を負ったヴァルターは…という辺りで次回に続くわけです。


 ヴァルターは、自覚がないものの、物凄い怪力です。
 大した努力もせずに盗賊団の兄貴分になれたのも、その怪力のおかげでした。
 鉱山送りになった原因も、些細なことで喧嘩になった相手を殴り殺してしまったからです。

 体格にも恵まれており、それは実の父親である傭兵の血筋でしょうか。
 性格が大分破綻していますが、生まれ故ともいえます。

 一応主人公ですが、かなりぶっ飛んだ…シグルトとは正反対の主人公かもしれません。
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