Y字の交差路

 ここはY2つめがノリで作ったブログです。  カードワースを中心に、私が思ったことや考えたことを徒然なるままに書きたいと思います。

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PC3:ゾーヤ

 カードワースダッシュリプレイ・ピカレスクは、悪人PCを題材にしたカードワースリプレイです。
 
 年齢制限を設けるほどの内容ではありませんが、気味の悪い表現や、悪人的行動の描写で不快になる方がいらっしゃるかもしれません。
 このリプレイを読まれて、気分が悪くなっても、Y2つは責任が持てませんので、よろしくお願い致します。

 それを踏まえた上で、自己責任で続きを御読み下さい。(ぺこり)

 今回はかなりマッドで猟奇的なので、重ねて申し上げますが、責任はとれません。
 悪しからず、御了承下さい。






 部屋に入って来る人の気配で、ヴァルターは目を覚ました。

「アウロラか?」

 ヴァルターの問いに、「ええ」と返事がある。
 間も無く何時もの様に明かりが灯り、アウロラが穏やかに微笑んだ。

 ぐっすりと眠っていたので、かなり気分が好い。
 
 元々回復力は常人離れしているヴァルターである。
 多少貧血気味だが、しっかりと喋ることも出来、自分で食事や用が足せるほどになっていた。
 未だに部屋を出てすぐの薄暗い厠に、落ちないように跨って排便するのには慣れていないが。

 ヴァルターとアウロラは、互いに自己紹介を済ませていた。
 名乗ると言っても、自慢出来ることなどほとんど無い元山賊と、陰のある死霊術師。
 互いの名前と肩書程度の紹介でしかない。
 
 アウロラの職業に多少は驚いたものの、自身の助けになると知った、後のヴァルターの決断は迅速だった。

 行動が素早くなければ、悪党揃いの山賊の中で兄貴分になどなれない。
 それにアウロラは、性格面ではいたって普通の若い娘である。
 親身に世話を焼いて貰ったこともあって、ヴァルターはアウロラをとても信用するようになっていた。

 犯罪者として生きてきた中で、ヴァルターが強く感じていることがある。
 それは、〈信用〉の大切さだ。

 悪党はすぐに裏切る…だから疑心暗鬼になってしまう。
 彼らが互いに信用するには、目的なり名分なり、理由があることが最も大切だ。

 利己的な悪党程、その傾向は顕著である。
 犯罪組織の多くが〈面子〉に拘るのもそのためだ。
 団体維持のために、構成員に協調性やモチベーションを抱かせるための、団体としてあるいはカリスマとしての矜持を保つことこそが、組織の礎となる。

 「〈面子〉を守る」という目的があることで、組織としての体裁を保つのだ。
 これ故、犯罪組織を統率する首領は、ことさらに〈面子〉や〈約定〉を大切にする。
 裏切りを許さないことで組織構成員を縛り、恐怖で統制を取るのである。

 そういう考えにどっぷりと染まっていたヴァルターは「手を貸してほしいから助けた」という、アウロラたちの利己性を信用したのである。
 ただ助けたいから助けた、などという感情論では、何れ別の感情によって裏切られる可能性がある。
 
 ヴァルターは慈悲や愛情といった、「感情による繋がりだけ」を口にする人間は、「反吐が出るほど嫌い」だった。
 
 仲が好いからこそそれなりの打算があり、譲り合うのは処世術。
 感情による行動も分からなくは無いが、それに利己性が伴ってこそ、しっかりした人間関係が築ける。

 そんな考え方だからこそ、自身の行動を客観的に〈気まぐれ〉と評し、「手を貸してほしい」という欲求を出したアウロラを信用したのである。

 加えて、「借り」は出来るだけ早く返す信条であった。
 体面上の義理を重んじるのも、悪党に多い特質である。

 回復の後に手を貸す条件として、ヴァルターは「食事を含めた回復への手助け」と「なんらかの武器」をアウロラに要求した。
 
 アウロラは快諾し、親身になって食事を含めた世話をしてくれる。
 武器の方は、どこからか錆びた剣を調達して来た。

「…死んだ兵士のものよ。

 この辺りは、犯罪者を収容して働かせる鉱山が沢山あるわ。
 その監視役として兵隊が派遣されるけど、そういう人は〈飛ばされた〉人がほとんど。

 中には同僚や囚人と争って死ぬ人もいるけど、お墓も作ってもらえずに放置された人もいる。
 
 漂って来た、そんな死の気配を追って行ったら、その剣と死体があったわ」

 ヴァルターの目に巻かれた包帯を取り替えながら、アウロラが剣を手に入れた経緯を説明してくれた。

「…鈍らだな、こりゃ。

 ま、重さはあるし造りは頑丈だから、使い物にはなるだろうぜ」

 一生懸命研いだ跡がある剣を確かめ、ヴァルターは肩をすくめた。

 数日の付き合いで律儀な性格だとすぐに分かった、アウロラのことである。
 拾った時には赤錆の塊だった剣を、見栄えがまともな程度に磨いてくれたのだろう。
 
 しかし、錆びきった武器の手入れなど、鍛冶師や金物屋にでも持っていかない限り大変な作業だ。
 
 錆を落とし剥がれ崩れた痕がデコボコとして、所々が刃こぼれだらけ。
 よく使った鎌や包丁は、研いでいても疵やへ込み欠け込みがあるものだが、この剣もそんななりをしていた。

「ま、当面武器はこいつで十分だろう。

 話ぁ変わるが、もう一人の仲間ってのはまだ戻らねぇのかい?」

 その辺から拾ってきてもらった砥石で、刃の手入れをしながら、ヴァルターが聞く。
 石と金属が産む、軋んだ摩擦音が気持ち悪い。
 水を使わすに磨くと、研ぐ音は歯が浮く様な音になるのだ。
 
 不快な音に眉をひそめつつ、アウロラが答えてくれる。
 彼女の仲間は、周囲の偵察に出かけたまま、此処数日戻ってないと言う。

「何分気まぐれな人だから。
 もしかしたら興味深いことでも見つけて、油を売ってるのかもしれないわ。

 ―…そうね。
 話に出たついでに、彼女のことを説明しておいた方がいいかしら」

 何かに困ったように、ふうと溜息を吐くアウロラ。
 呆れた様子、とでも言おうか。

「そいつって女なのか?

 まあ、むさい男よりは歓迎するけどよ」

 ヴァルターがおどけた様子で聞くと、アウロラは眉根を寄せた顰め面になった。

「貴方も彼女のことをよく知ったら、そんな悠長な口調じゃなくなるわ。

 とにかく、突飛でとんでもない人だから注意してね。
 ある意味…貴方を殺そうとした冒険者より、よっぽど危険だから」

 包帯を巻き終えたアウロラは、手に付いた糸屑を払う。

「詳しくは、彼女が戻ってから知ればいいわ。
 でも、彼女に敵と認識されるようなことだけは避けてほしいの。
 
 貴方が彼女に気に入られることを祈ってるけど、そうでなければ酷い目に遭うわ。

 仲間としてはとても頼りになるけど、残忍で冷徹で、敵を絶対に許さない」

 肩を抱えて身震いするアウロラ。
 その様子にヴァルターも不安になった。

「おいおい…どんな奴なんだ、そいつは?」

 ヴァルターが聞くと、アウロラはしばし考え込み、そして答えた。

「…獲物を前にじゃれる猫?

 あるいは暗殺者も裸足で逃げ出す奇人、かしらね…」

 何ともいいようのない例えに、ヴァルターは困ったような顔をした。
 抽象的で訳が分からないが、恐ろしそうなことが共通している。
 只者ではないことだけは、強く伝わった。

「…私も知り合ってそんなに経ってないの。

 でも、短い付き合いで私の人間観を変えたぐらいだから…」

 言いかけて、アウロラは急にはっとした表情で扉を見た。

「どうした?」

 問うたヴァルターに黙るように促し、アウロラは厳しい顔をする。

「人の足音がしたの。

 数人…私の話した仲間ではないわ」

 すぐにヴァルターも剣に手をかけて、口元を引き締めた。
 アウロラには、話題の仲間一人しかいないと聞いている。
 慎重な性格のアウロラは、仲間が戻った時の合図も決めていると言っていた。

 必然、足音の主は招かざる客ということだ。

「…ぐ、こちとら病み上がりなんだぜ」

 ヴァルターは、早速手に入れたばかりの鈍らを携え、寝台から降りた。
 その背にアウロラを庇うと、油断無く構える。

 今や、鈍いヴァルターでも分かるほどに靴音がする。
 足音を隠そうとしている歩き方だが、洞窟では予想外に音が響くのだ。

(忍び足が苦手な奴がいるな。

 だが、分かるぜ。
 こいつらは皆、敵だ!)

 ヴァルターが緊張から唇を噛み締め、獰猛な闘争心で歯を軋ませた。

 途端、扉が蹴破られ、男たちが躍り込んで来た。
 中に見覚えがある顔がある。

「見つけたぞ、山賊め。

 貴様で最後だっ!」

 熱血漢らしい尖った金髪の男がどなった。
 手に持った剣は、ヴァルターの片目を潰した獲物である。

(糞…分が悪ぃな。

 アウロラは戦いには向きそうもねぇし、病み上がりのこの身体で、どこまでやれるか)

 相手は4人組の冒険者であった。
 金髪をリーダーに、盗賊風の黒髪と、茶髪の魔術師、そして聖印を下げた司祭風の男がいる。

 油断無く構えており、隙が無い。
 実際、6人ほどいたヴァルターの仲間を、見事な連携で屠った連中だ。

「…入口付近のスケルトン、どうやらその女はあれを操っていた死霊術師かまじない師っぽいな。

 皆、気をつけろよ」

 茶髪の魔術師が冷静に注意を促している。

(畜生、冷静で取り付く島もねぇ。

 万事休す、か?)

 それは、がむしゃらに突っ込もうと、ヴァルターが力んだ瞬間だった。

 ギィヤァァァァァァァァァッ!!!!!!!

 耳を劈く様な絶叫を上げて、突然おぞましいものが背後から冒険者たちを襲った。

 骸骨や頬に崩れた人間の顔が、青白い光の中に見え隠れしている。
 冷水を浴びせかけられたように、場がぴしりと張りつめた。

「ぐぅぁっ、死霊か!」

 骸骨顔の死霊に噛みつかれ、慌てた魔術師がアウロラの仕業かと目を吊り上げ、杖を構えようとした。
 …が、あっけなくその首が折れ曲った。
 ボキリ、という鈍い音が狭い部屋に反響する。
 
 鼻血をぼたぼた流しながら、白目を向いた魔術師は力無く崩れ落ちた。

「…オスカーッ!!!」

 駆け寄って癒しの術を掛けようとした司祭風の男。
 しかし、それは叶わない。
 その男はわずに呻くと、ごぼりと血を吐いて倒れ伏した。
 首が後ろからひしゃげている。
 
 倒れた男の後ろから、ぬっと現れた白い顔。

 …女である。

 美人ではあるが、紫色の奇抜な衣装に同色の帽子を被り、背丈は男性並みに高い。
 蝋燭に映し出されたその白い顔には眉毛が無く、額に茨を模した金鎖を斜めに掛けている。

 肉感的な唇から、ぺろりと現れた赤い舌が、顔を汚していた返り血を一雫舐め…
 歓喜の表情を浮かべて、女は歯を剥き出し嗤った。

「駄目ですわ。
 人の留守中に、怪我人の部屋を4人掛りで強襲なんて。

 思わず奇襲し返して、二人程殺してしまったじゃないですか」

 血に染まった女の手には武器が無い。
 その素手で縊り殺したのだ。
 
 死体二つの側で、血に塗れて嗤う女は凄まじい迫力である。

「ゾーヤっ!

 戻って来たのね?」

 アウロラが安心したように声をかけると、女は気だるげにゆっくりと頷いてそれに応えた。
 その手が空気を撫でるように前にかざされる。

「き、貴様…うぎゃぁぁぁっ!!!」

 襲いかかろうとした金髪の戦士が、地面に転がって悶えだした。
 女が手を突き出したまま一言二言呪文を唱え、奔った赤い光が戦士の腹を貫いたのだ。

 その横で、仲間の死に茫然としていた茶髪の盗賊が、恐怖に目を見開いて言葉を漏らした。

「…その呪文、邪教の司祭か?」

 御名答、とばかりに女は、また大きく頷いた。
 
 瞬く間に冒険者たちを劣勢に追いやった女の手口に、ヴァルターは唖然となる。

 完璧な奇襲から、厄介な戦力から潰していく。
 情け容赦の無い残忍確実な行動力。

 慣れていなければ、ここまで素早く嗤いながら殺すことなど出来ないだろう。

「くそ、くそぉうっ!!!」

 茶髪は自棄になったように襲いかかるが、それをひょいと躱すと、女はそのしなやかな手を男の顎下に突き上げた。

 クジュリ、と指が肉に突き刺さる嫌な音。
 人間の顎と首の骨の間には柔らかい部分があるが、女はそこに指を刺したのだ。

 呼吸が出来ずに喘ぐ茶髪の頭を、そのまま枯れ木でも扱う様に持ち上げて一振りすると、土壁に叩きつけ息の根を止めた。
 冒険者たちがまるで子供扱いである。

「…レディに向かって、そのような下品な罵倒は失礼です。

 私、悲しく思いますわ」

 肉から指を引き抜き、手に付いた血脂を倒れた男の服で拭き取りながら、女はおどけたように肩をすくめる。

「あら、爪が折れてしまいましたわ。

 手入れが大変でしたのに」

 指から滲む自身の血をしゃぶりながら、他人事のようにまだ笑みを絶やさないその女。
 血が出るほどに爪が折れ、物凄い激痛を感じているはずなのに、だ。

 彼女の足元で、身体に走った痛みに悶絶する戦士が怯えたように震えていた。
 女は戦士に視線を合わせ、さも楽しそうにもう一度その白い歯を向き出して嗤う。

「さあ、貴方が最後のお一人。

 存分に、私(わたくし)を楽しませて下さいますわね?」

 蝋燭の光に照らされて嗤う眉の無い女の顔は、さながら闇より現れた美貌の女悪魔だ。
 その足元で、金髪の戦士は失禁しながら涙を流し、震えていた。


 結局、ゾーヤと呼ばれた女は、ヴァルターの目の前で最後の戦士を嬲りものにした。
 起き上がろうとするために突っ張った腕を蹴折り、痛みに呻いている上から鎖骨を踏み砕き、這いずる後ろから追いかけて足を潰す。
 
 あまりに凄惨な現状に、アウロラは蒼白な顔で目を背けている。
 
 戦士は小便以外に大便も漏らしたのだろう、生臭い不快な臭気が漂ってきた。
 
 骨折の度悲鳴を上げて、「助けて、助けて…」と半泣きになっている戦士。 
 必死に身を守ろうとしたことが返って苦しみを長引かせ、余計悶える羽目に陥っていた。

「ウフフゥ、好いですわぁ。

 血沸き肉踊るような闘争にはお付き合いくださらなかったのですから、せめて私の玩具になってくださいまし、ね?」

 折る骨が無くなった後、さらに追い討ちで目玉を抉り、手に付いた血液混じりの粘液を舐め取りながら、ゾーヤは嗤う。

(…ひでぇ。

 俺の仲間で生粋のサディストだったボーンだって、あそこまではしなかったぜ)

 アウロラが言っていた様な人間観の変革を感じつつ、ヴァルターは顔が引き攣るのを抑えることが出来なかった。
 猟奇的、という言葉が頭に浮かび、血の気が引く。

 度重なる激痛で遂に戦士が気絶すると、熱い溜息を吐いたゾーヤは、飽きたとばかりに頭を踏み潰して止めを刺した。
 砕かれた脳髄の雫が飛び散り、それを避けたヴァルターは、思わず「ひっ」と息を漏らす。

 ゾーヤは、今更気付いたようにヴァルターを見やると、「あら」と上品に口元を隠して照れ笑いをした。

「失礼。
 楽しみ過ぎて、失念していましたわ。

 こうして挨拶を交わすのは初めてですわね。

 私は、混沌の神にして不死者の主たるアガウス様の僕、ゾーヤと申します。
 気が付いて何よりです、山賊さん。

 これからよろしくお願い致しますわ」

 そう言うと、ゾーヤはまじまじとヴァルターを見つめ、最後ににたりと笑った。
 
 多分自分の顔は、暗くなければ青ざめて見えるだろう。
 そんな風に思い、ヴァルターは何とか頷いて女に応えた。
 

「…アウロラ。
 ここはもう使えませんから、村人が山狩りに来る前に離れると致しましょう。

 手荷物は、準備したものを持てばいいですわ。

 私、この山賊さんと少しお話があるので、先に行ってて下さる?」

 流し眼を送るゾーヤを見て、アウロラは何かに気が付いたように頷くと、そそくさと部屋を出て行った。
 その頬が、妙に赤い。

(…アウロラぁ、頼む、この女と二人っきりにしねぇでくれ…)

 哀願するようにヴァルターが、アウロラの背を目で追うが、その願いは叶わなかった。

「…さぁて。

 では、山賊さん?
 これから先、長いお付き合いになるのですし、しぃっかり、お互いを知らなければなりませんわよね。
 
 男と女が互いを知るには、一つ、とても好い方法がありますわ」

 ゾーヤの意図に気付き、ヴァルターは背筋が凍る思いだった。
 彼女の眼は、「血に興奮したから燃え上がりましょう!」とばかりに、蠱惑的な視線を送って来る。

 この猟奇的な女邪神官は、あれだけの殺戮を行った後で欲情しているのだ。

 ヴァルターはそれなりに女性経験はあった。
 夜這いか強姦といった、褒められたものではないものばかりだが。

 強奪で血に酔えば、ゾーヤの様な気持ちになる者がいることも、分からなくは無い。
 ここまで極端では無いが、ヴァルターもそっち側の人間なのだ。

 だが、脳漿の飛び散った阿鼻叫喚の状況に興奮する、世間一般的で言うところの異常者ではなかった。
 オレンジの脂肪と、土混じりの赤い血と、青白い脳漿…
 人間だった破片が飛び散るこの惨状では滾るどころではない。

 にじり寄ってくるゾーヤに、必死に笑いかけようとするが、顔が引き攣るだけである。

「…背が高くてたくましい身体。
 アウロラが治療をする間、ずっと触れてみたいと思っていましたの。

 私、女としては背が高い方ですから、自分より背が高い殿方には弱いのですわ…って、あら?」

 ヴァルターの股間に手をやり、ゾーヤは首を傾げた。
 そこは力無く垂れているだけだ。

 指から滲んだ血を擦り付けながら、女は恨めしそうにヴァルターを見やる。

「…すまねぇ。

 病み上がりなんで、起つものも起たねぇよ」

 絞り出すように、何とか言い訳を考えて告げたヴァルターの頬を、冷汗混じりの返り血が、つつっと滑り降りた。

「あらぁ、そうですの。
 病み上がりの生理現象では、仕方ありませんものね。
 
 念のためにお聞きしますけど、私に魅力が無い…ということではありませんわよね?」

 残念そうに見上げるゾーヤに、ヴァルターは、ガクガクと首を縦に振って肯定した。
 首を横に振ろうものなら、此処にある肉片の仲間入りになるだろう。

「俺も、すっげぇ残念だ。
 ああ、もう、悔しくて顔が引き攣るぜ。
 
 あんたみたいないかした女なら、元気なら本当に、一晩寝かせねぇんだぜ?

 きっとまだ飯が食い足りねぇんだよ、ハハ…」
 
 残った片目を剥いて、欲情している様を必死に演じようとするヴァルター。
 まさに生死を掛けた大芝居である。 

「…まぁ良いでしょう。

 楽しみは後に取っておけばより熟して甘美になるもの。
 男と女とは、焦れるぐらいがちょうどよいかもしれませんわね」
 
 しなを作って腰を振り、女邪神官ゾーヤは、甲高く「おほほ」と笑った。



 すいません、すいません…
 思いっきりワルノリして書いてました。

 気持ち悪かった方、すみません。

◇ゾーヤ◇ (CWDスタンダード仕様)
 女性 大人 勇将型

秀麗     都会育ち   厚き信仰
不実     冷静沈着   貪欲
利己的    混沌派    進取派
好奇心旺盛  過激     楽観的
遊び人    陽気     派手
高慢     上品     名誉こそ命

器用度:7 敏捷度:7 知力:5 筋力:7 生命力:3 精神力:9
好戦性+2 社交性+2 勇猛性+3 大胆性+1 狡猾性+3

 所持スキル(スタート資金-1200SP)
・【痛苦の楔】Y2つのシナリオ『邪なる僕』より
・【亡者叫喚】Y2つのシナリオ『邪なる僕』より


 ゾーヤは邪神アガウスに使える、災禍教の邪神官です。
 苛烈で享楽家、混沌を好み、権力を風刺し、自ら望んで道化的な行いをします。
 
 支離滅裂な行動を取ったり、思わぬ慈悲を出すかと思えば、笑顔のまま癇癪を起して相手の首を平気でへし折ったり。
 冷静ぶっていますが、その内面は熱く残酷で派手です。

 眉を剃り、額には茨を模した金のチェーンを斜めに掛け、鋭利な眼光に肉感的な唇と白い肌。
 美しいのですが、同時に近づくと刺されそうな鋭利な危うさを持っている…
 
 口調はぞくっとするその奇抜な美貌を惹きたてるように、慇懃な程上品で丁寧です。

 彼女についての多くは、謎に包まれています。
 
 ただ、確実に言えるのは、彼女が戦闘狂ということでしょう。
 女性としてはやや高めの身長で、少し顔色は悪いかも、という一見体格的にはあまり戦闘向きには見えない容貌です。
 しかし、露出度の少ない奇抜な長衣の下は、無駄なく鍛えられたしなやかな身体を隠しており、その戦闘力は怪物です。

 あらゆる武器をソツなく使いこなし、盗賊並に鍵を開けてしまう器用さと、猫のような俊敏性。
 巧みなテクニックで敵を幻惑し、鮮やかに渡り合う社交性と狡猾さ。
 時には苛烈に、時には獅子のように敵に立ち向かう激しい気性。
 何より、その戦闘力に加えて、邪法を使う強い精神力があります。

 普段はなりを潜め(一応冷静沈着で利己的なのです)、寸鉄も帯びていませんが、必要となれば何でも武器にして戦いますし、素手でも大の男を撲殺するだけの実力があります。
 その戦闘力の具体例としては、フェイント、攻撃、会心の一撃、渾身の一撃といった敵を対象とするアクションカードが全て優秀な適性で、行動速度も速く敵のフェイントが利き難い(狡猾)といったものです。
 戦いの機会は逃さず、嬉々として暴れます。

 ゾーヤの戦い方は、【亡者叫喚】で初撃を与えて蹂躙する奇襲戦法か、アクションカードを駆使してラッシュを仕掛けるか、【痛苦の楔】で苦痛に悶えている対象をいたぶり殺すパターンが多いようです。
 その殺人数は二桁代の達しているでしょう。

 戦闘力以外の事と言えば、彼女は嫉妬心が強く、それを隠そうとしません。
 そして、嫉妬の相手は愛すべき仲間であれば異常なほどの好意を示します。
 性別や倫理の枠など、ゾーヤにとっては無いも同然。
 バイセクシャルであり、快楽には正直な様子で、性愛にも奔放です。

 敵や仇に嫉妬した場合、彼女はその残忍さを剥き出しにして相手を破滅させます。
 それこそ、執拗なほどの悪意をもって対峙するでしょう。

 「嫉妬する程愛おしい」あるいは「妬ましくて徹底的に破壊したい」。
 これは彼女の信奉する邪神アガウスの性質そのものでもあります。
 
 彼女の目的は、力をつけて吸血鬼になることです。
 愛する人たちから血を啜って一体となり、敵から血を奪って自らの支配下に置く。
 彼女はそんな狂気を抱いています。
 
 アガウスは大切なものか、その矜持と引き換えに吸血鬼になる力を授ける不死者の守護者です。
 嫉妬や混沌を司り、秩序や権力者を毛嫌いするその気質から、信者に災厄を振りまいて混沌を振りまくことを推奨します。
 同時に、愛することと恋することに一途であれとも説きます。
 愛欲に正直で、奪っても自分の愛を貫くことを勧め、倫理に囚われない執拗な想いを援けるのです。
 自分のことしか考えず付きまとう愛…いわゆるストーカーじみた性格のものを、アガウスが信仰されていた地方では「アガウシス(アガウスの様)」と呼びます。

 ゾーヤは付き纏うよりは、積極的に自分を見せて相手を魅了しようとします。
 そのあたりでは、情愛の示し方は陰湿ではなくさっぱりしている(こう言うと語弊があるかもしれませんが)かもしれません。

 そのぶっ飛んだ性格は、まさに最強(凶、狂、享、恐、叫、嬌…どれがあてはまるかわかりません)の人物でしょう。
 

〈著作情報〉2009年06月03日現在

 『邪なる僕』はY2つ(当リプレイ作者)のシナリオです。現時点で当ブログから配布されています。
 シナリオの著作権は、Y2つにあります。
 このリプレイの時のバージョンはVer0.95です。
 
 カードワースはgroupAskに著作権があり、カードワースの管理、バージョンアップ、オフィシャルな情報等はgroupAsk official fansiteにて、カードワース愛護協会の皆さんがなさっています。
 このリプレイは各シナリオをプレイした上で、その結果を小説風リプレイとしてY2つが書いたものです。
 書かれた記事、書かれる記事は、特定のシナリオの名前が出たときは、そのシナリオの著作権はすべてそのシナリオの作者さんにあります。
 
 また、リプレイ中に使われる内容には、各シナリオで手に入れたスキルやアイテム、各シナリオに関連した情報等が扱われることがあります。
 それらの著作権は、それぞれのシナリオの作者さんにあります。
 またカード絵等の素材に関しては、シナリオ付属の著作情報等を参考にして下さい。
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CWD:リプレイ ピカレスク | コメント:7 | トラックバック:0 |
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この記事のコメント

ゾーヤさんのような魔性に人は惹きつけられ破滅しちゃうんですよねぇ・・・おお怖い怖い
危険な存在ほど人を怪しく魅了すると言うことですかね
2009-06-03 Wed 23:59 | URL | 名無し #-[ 編集]
アウロラの儚さっぷりも好みですが、ゾーヤさんはいいですね~ わたしもパーティーに混ぜてほしいです。楽しそう。
単にモラルがないだけで、人間としてはある意味歪んでないというか、純粋な感じがします。自分の欲求に正直なんですよね。わたしもそういうとこがあるので、なんとなく共感できます。
アウロラとゆりりんな展開になってくれないかと密かに期待しております……(笑
2009-06-04 Thu 08:07 | URL | マルコキエル #SFo5/nok[ 編集]
 ゾーヤさんは(一応)神官戦士タイプですか。・・・それにしても、下手に口調が砕けていないだけ余計に恐ろしい・・・(笑)。

 よく凄惨な表現で物議を醸すことがありますが、私としては、表現そのものが自己目的化しない限りはいいと思います。要は何かを伝えるために、その表現が手段として用いられればいいわけで。ですから、こういうリプレイもアリだと思います。

 私自身、映画などで銃で頭をぶち抜かれるようなシーンは目を背けるくせに、活字や漫画、アニメなんかの残酷なシーンは結構平気ですからねぇ。

 引き続き、期待しております。
2009-06-04 Thu 22:33 | URL | Lohengrin #l5sHo8a.[ 編集]
>名無しさん
 ゾーヤはこのリプレイで最も活躍します。
 リーダーのヴァルターを食って(いろんな意味で)ます。
 私の邪念回路も爆発して、内容は暴走気味になりますが、生暖かいご声援をお願い致します。(笑)

 ゾーヤの場合、魔性の魅力というようり、悪魔そのものですが、その欲望に忠実なスタイルは潔いとさえ感じるキャラクターです。
 いわゆる卑怯で最後にわめくタイプではなく、美学を持って悪人やってる感じですね。
 悪の華ってやつです。

 
>マルコキエルさん
 ゾーヤはアウロラに対してはメンタルなラブです。
 可愛くて過保護になってしまう、そんな愛し方でしょうか。
 ゾーヤの場合は、愛することと友情がごっちゃになってるのですが、相手に応じてそれを切り替えます。
 儚いアウロラを欲で壊すのではなく、そばに置いて護りたいと考えているわけです。
 ただし、執着の仕方はちょっと異常ですけど。
 今後ゾーヤの暴れっぷりは、ピカレスク名物となるでしょう。
 強いですからねぇ…
 
2009-06-04 Thu 22:38 | URL | Y2つ #-[ 編集]
>Lohengrinさん
 ゾーヤは神官戦士といえばそうなのですが、戦士として戦うよりは神官としての矜持で戦う、あくまでも神官という感じです。
 だからこそ武器にはこだわりませんし、戦士としての誇り云々では行動しません。
 戦いは楽しいけれど、肉弾戦はただの手段、という感じでしょうか。
 まあ、モンクっぽい登場の仕方をしてますが。

 文章上は映像が無い分、倫理的には緩いですよね。
 でも、不快な方は目につくだけでもダメな方って、意外にいます。
 一応はそのための続き確認です。

 物書きやる以上、ある程度はマナーが必要になるんですよね。
 怠惰な私としては、面倒なのであまり細かくやりたくは無いのですが。

 リプレイ、ぼちぼちと更新していきますね。
2009-06-04 Thu 23:33 | URL | Y2つ #TIXpuh1.[ 編集]
お久し振りです。

 遅ればせながらお誕生日&ブログ開設3周年おめでとう御座います。v-254記念品、早速落とさせて頂きました。

 リプ拝読。…えらく物騒な尼さん(カルトな巫女さん?)も居たものですね^^;なんとなく平野耕太氏の『cross fire』と言う漫画を思い出します(あっちは某ヤソ旧教ネタですが)。
 ただ、自分の欲望に正直と言う点ではアッパレかな、とも思います。この点に関してはマルコキエル様と同意見ですね。一番見苦しいのは中途半端に腰砕けした外面だけの小悪党…唾棄する価値すら無い小物ですから(笑)。

 それと此方でもそろそろリプレイを再開するつもりでおりますが、ウチで使うキャスト(根暗で偽善者で小市民な呪術師)絡みの設定でゾーヤ姐さんを少し絡ませても宜しいでしょうか?無論、彼女とは正反対の文字通り『小物』と言う設定ですが…。何でしたら草稿を書き上げ次第其方にお送り致しますので。
2009-06-05 Fri 16:42 | URL | 樹音 #EDSLkfi6[ 編集]
 お久しぶりです。
 お祝い感謝致します。

 ゾーヤはキャラクターが濃いので、ほっといても動いてくれると、この記事で書いたこと以外ではあまり設定で縛りを持たせていません。
 その分柔軟に使えるので、重宝しそうなPCです。

 そういうわけで、クロスはある程度お任せします。
 リプレイ再開ということであれば、記事が出来ましたら是非教えて下さい。
 
 現在、こういったブログ記事はサポコン(故障気味のメインの方は仕事で使うことが多く、加えて電気代が嵩むので)でやってます。
 メールの確認は数日に一回という感じなので、お急ぎの連絡はこちらのブログにコメントして下さいね。

 樹音さんのリプレイ、楽しみにしております。
2009-06-05 Fri 21:24 | URL | Y2つ #TIXpuh1.[ 編集]

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