Y字の交差路

 ここはY2つめがノリで作ったブログです。  カードワースを中心に、私が思ったことや考えたことを徒然なるままに書きたいと思います。

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『希望の都フォーチュン=ベル』 錬金術の扉

 希望の都フォーチュン=ベル。
 その一角に、ひっそりと小さな工房がある。

 セラヴィという工房の主は年を経た魔女であり、聖北の影響が少ないフォーチュン=ベルで、悠々自適に過ごしていた。
 この魔女は変幻自在の魔力を持ち、時に妙齢の女性に姿を変えて人を化かすこともある。
 しかし、彼女が西方で有数の賢者であり魔法使いであることも確かだった。

 仲間と別れたロマンは、そんなセラヴィを向学心から尋ね、工房の留守を預かる条件でしばらく住まわせてもらうことになった。
 
 彼が訪ねた時、その金色の瞳を見たセラヴィは大変驚き、そして彼を気に入ったかの様だ。
 ロマンが都に住いる間は、ちょくちょく工房に招いていた。
 
 セラヴィの話では、ロマンの持つ相貌が、左右の瞳が違う色の〈金銀妖眼〉よりも珍しい神秘の相であるという。
 先天的に高い魔力を持つ者が、その魔力を体内で昇華しきれず、瞳の色素にその色が溢れているから、らしい。
 何万人に一人と言う天才的な魔力を持ち、同時に見たものを決して忘れない記憶力と、あらゆる真実を見抜く観察力を併せ持つという。

 ロマンは、そんな評価を「ナンセンス」とばかりに笑い飛ばしていた。
 しかし、工房を自由に使わせてもらえる上に、セラヴィの膨大な蔵書を読む機会も与えられたので、甘えることにしたのである。

 自身でもいくつか薬も調合して見せるロマンは、食費などをその技術を使って稼ぎ、埋め合わせて生活している。
 その腕は折り紙つきで、彼の薬があまりによく利くので、貴族が買いに来るほどだ。
 
 ロマンが工房『象牙の杯』にいるようになってから、その客層はがらりと変わっている。
 
 まず、ロマンの目が覚めるような美しさを見に来る若い娘たち。
 そして、彼の賢者としての見識に惹かれて訪ねて来る智者や魔術師。
 その調合の技能を頼ってくる貴族たちである。

 ロマンは材料さえあれば、最高の薬である【エリクサー】も調合出来る。
 彼が得意とする【若返りの秘薬】は同じ値段でも効果が高く、貴族たちの御夫人に大人気だ。
 
 ただ、ロマンが来て一週間ほどで、あまりに工房が繁盛するため、目的の読書が出来ずに彼は不満顔だった。
 
 今日も、難しいとされる【智慧の果実】を合成して、貴族の夫人に渡していた。

「…はいどうぞ。
 教会勢力が〈堕落の木の実〉といって嫌う物だから、あまり聖北教圏で見せたり自慢しないで下さいね。
 
 お代は何時もの様に、為替でセラヴィ師に渡して下さい。
 では、僕は用事があるので…」

 用件を済ますと、味もそっ気も無く待合室にいる次の客を呼ぶ。

(まったく…。
 気軽に本が読めるっていうから引き受けたのに、これじゃ雑用じゃないか!

 シグルトが修行から戻ったら、僕も一緒に移動しよう。
 錬金術関係はほとんど読ませてもらったし、ね。

 でも、【賢者の石】を作る方法は流石に分からないね。
 【エリクサー】を生み出し、鉛や銅を黄金に変える石なんて眉唾っぽいけど、錬金術最大の目的であるそれが存在するなら、僕も見てみたい。
 それがあるとしたら、物理法則をひっくり返すからね。

 今の僕では、黄金の化合物や鉱石から金を抽出するのが精いっぱいだからなぁ…
 
 ま、元々純粋な黄金は、出来る化合物の絶対数が少ないし、あんまり意味無いよね。
 化合物を戻すのも容易だし、うん、行為そのものがちょっと無駄かな。
 そこまでして化合物作って戻すのって、お金かかるだけの道楽にしかならないし。

 昔の、詐欺師もどきの錬金術師やったように、金が入ってるように見えない合金から金を取り出して、〝賢者の石の精製〟に成功した~とか。
 この手の技術は知的探求心と好奇心の満足を除けば、まず人を騙すぐらいしか使い道が無いよ)

 半ば魔術的な要素を含む錬金術。

 しかしロマンは、魔術的な分野よりも科学的な術理を重んじていた。
 何でも神秘性に頼るのは、分からない部分が多過ぎて気持ち悪いのだ。

 魔術や秘蹟がまかり通る今の世の中において、ロマンは魔術の徒であるよりあくまで知識の担い手であろうとする、変わり者だった。
 
 天才と謳われながら、実際には努力勤勉をとても大切にする秀才肌であり、祈るよりも求め磨くことが美徳だと信じている。
 だから、信仰や宗教の必要性は認めても、自身の考えや生き方を拘束するそれらに依存するつもりはまるで無い。
 
 人は禁断の果実を食べて知恵と羞恥心を覚え、堕落して嘘を吐き、楽園を追放されたという。
 だが、神の箱庭に押し込められていた人間は、果たしてその生に何の意味があったのか。

 親への反逆は、独立への一歩である。
 ロマンには、それを愚かだとする神学者の考えは分からない。

 本来親は、子の独立を願うものだ。
 それが、自分の支配から外れるとしても、子供の成長を願わない親がいるだろうか?
 そうやって子は身を切りながら、新しい世界を切り開いていくのだから。
 
 だから思うのだ…〈神はわざと人に独立するきっかけを与えたのだはないか〉、と。
 そして、親に反逆する歪み…世界に挑戦する力こそが〈魔〉であり〈魔法〉なのだ、と。

(あ~あ、これじゃどっかの異端神学者だね。
 まあ、見えない部分を論議するのは、連中に任せておけばいいや。

 僕が欲しいのは、理路整然とした真実と事実だけだ)

 詰まらなそうに鼻を鳴らし、ロマンは残った仕事に没頭し始めた。 



 ロマンのショートストーリーです。
 旧版にはなかったエピソードですが、こんな事を考えながらフォーチュン=ベルで「練って」ました。

 ロマンは、名前に似合わず現実主義者です。
 信仰心など欠片もありません。

 彼の考え方は「信仰?もってても構わないけど、押し付けないでね」です。
 
 私は宗教関係の仕事やってるので、いつも思うのですが、自身の信がないものは信仰ではありません。依存しちゃ信仰じゃないと思うのです。
 声を大にして「強制してはいけないよ」と言いたい所ですが、信教は自由なので、この話はこの辺で。(ゲームの中の話です。現実の宗教云々の話は、論外、ということで)

 今回ロマンは、ガラクタ同然に道具袋に入ってた薬類を練っていいものに変えました。
 以下が結果です。

・ 【聖別の葡萄酒+】=消費【葡萄酒】×1 解毒剤×1
・ 【知恵の果実+】=消費【解毒剤】×1 【魔法薬】×1
・ 【若返りの秘薬+】= 消費【聖別の葡萄酒】×1 【魔法薬】×1
・ 【治癒の軟膏+】×2=消費【傷薬】×4

 全部高品質ですが、実はそうなると使用するには便利でも、練れなくなるという欠点があります。
 後にさらに錬るなら、わざと材料用に低品質を合成するのが大切です。
 傷薬が余っていたら、【治癒の軟膏+】に変えておくと、使い勝手がいいですよ。

 売るとそこそこの値段なので、換金法としても使えます。
 今回は資金に余裕があるので、売らずに実用本位で作成してみました。
 道具袋の整頓もできるので、是非試してみて下さいね。

 私思うのですが、【若返りの秘薬】(+無含めて)、本当に貴族の御夫人が買い漁りそうですよね。
 シナリオに使えそうなネタです。
 某シナリオのジ・レ侯爵夫人のように、若くて美しい御夫人には必要ないのでしょうが。


 金の化合物に関する矛盾を指摘されてしまいました。
 直してはおきましたが、これで矛盾は少し解決したでしょうかね。
 
 黄金って、自然物の中で特に化合し難かったの忘れてました。
 
 ただ、金の合金は多いみたいです。
 どっかの小説で、金を混ぜた金属から黄金を取り出して詐欺をやった錬金術師の話があったような。
 ちょっと技術がいりますが、詐欺師にとっては量ではなく「黄金が生まれたような」印象をパトロンに与えることが重要だったので、今度は矛盾が無いはず…

 私も物書きとして精進が足りませんねぇ。 


 〈著作情報〉2009年06月22日現在

 『希望の都フォーチュン=ベル』はDjinnさんのシナリオです。現時点Djinnさんのサイトで配布されています。 
 シナリオの著作権は、Djinnさんにあります。
 このリプレイの時のバージョンはVer 1.06です。
  
・Djinnさんサイト『水底のオアシス』 (○ttp://djinn.xrea.jp)←○をhに。  
  
 カードワースはgroupAskに著作権があり、カードワースの管理、バージョンアップ、オフィシャルな情報等はgroupAsk official fansiteにて、カードワース愛護協会の皆さんがなさっています。
 このリプレイは各シナリオをプレイした上で、その結果を小説風リプレイとしてY2つが書いたものです。
 書かれた記事、書かれる記事は、特定のシナリオの名前が出たときは、そのシナリオの著作権はすべてそのシナリオの作者さんにあります。
 
 また、リプレイ中に使われる内容には、各シナリオで手に入れたスキルやアイテム、各シナリオに関連した情報等が扱われることがあります。
 それらの著作権は、それぞれのシナリオの作者さんにあります。
 またカード絵等の素材に関しては、シナリオ付属の著作情報等を参考にして下さい。
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この記事のコメント

このコメントは管理人のみ閲覧できます
2009-06-22 Mon 13:14 | | #[ 編集]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2009-06-22 Mon 15:15 | | #[ 編集]
 ロマンの言ってる錬金術師のエピソードは、ほぼオリジナルです。
 実際はもっと単純な方法で詐欺まがいのことが出来ますが、このエピソードは「錬金術師」がやった詐欺の話という設定です。
 
 すなわち、実際の錬金術を使って(科学的技術を使って)詐欺をやる、「真実を巧みに織り交ぜた詐術」という描写にしてあります。
 どっかの小説を元ネタにしてたはずですが、脚色も多分にあります。御了承下さいね。

 プライドの高い詐欺師は、技法にも拘るものです。

 それにより複雑で手間が掛かっても、お金儲けのためだけではなく「錬金術を続ける」ために詐術に走る錬金術師が居てもいいのでは、と言う意味でこんなエピソードを入れました。
 それが詐欺でも、「研究のために仕方なく」って考えた錬金術師が、自分の持てる技術を駆使して渾身の詐術を使う、変な矜持のお話ってことで。
 
 説明不足でお詫び致します。
2009-06-23 Tue 00:06 | URL | Y2つ #TIXpuh1.[ 編集]
ねりねりおもしろかったですよね。
ねりねりを極めるために、どれだけの薬類が荷物袋から消えて行ったことか(笑
マロン……じゃないロマンて、若い女性だけじゃなくて、じいさんばあさんにも好かれるタイプだと思います。かわいい子が黙々と難しい作業をしているところにいじらしさを感じるというか(笑
セラヴィのばあちゃんも何も言わずに、にこにこ(ニヤニヤ)しながら見守ってたんじゃないかな~とか。
錬金術といえば、錬金工房のフィーネを思い出すのですが、昔から考えてたネタとして、NPCじゃなくて、自分達で色々作る専門のシナリオがあっても面白いかなと思うんです。
魔術師キャラが冒険しない時は宿でナニやってるかの雰囲気づけとして。クロスオーバーもしやすそうですし。
システム作る技術がないので、ネタだけですが(笑
2009-06-23 Tue 03:00 | URL | マルコキエル #SFo5/nok[ 編集]
>マルコキエルさん
 錬るのは、回数を覚えてしまえば、後は先輩冒険者の口伝でどうにかなります。
 私は消耗品を纏める意味で錬るのですが、ヴィジュアルを256色にかえるきっかけにも使っていますね。

 フォーチュン=ベルとASKアイテムは、二次的な報酬としてもそれなりに使えます。
 【薬草】まで対応してればベストだったんですが…
 何時か薬剤師用の店シナリオ、作ってみたいですね。

 ロマン、喋り出すとひねくれ者なので、黙って仕事してた方が受けが好いでしょうね。毒舌ですし。
 ただ、腐女子に睨まれるのだけは苦手でしょう。
 ロマンを女装させることに情熱を燃やしている、某クリス譲とか。

 ロマンは中性的な自分の容姿にコンプレックスがあるので、女の子みたい、とか言われると不機嫌になります。
 同時に女装させられた恐怖を思い出し、冷静じゃなくなるかも。

 こういう性格付けは楽しいですね~←作った本人が一番遊んでる
2009-06-23 Tue 12:47 | URL | Y2つ #TIXpuh1.[ 編集]
度々お邪魔致します。

 旧約聖書に登場する『罪の果実』と『楽園追放』。良く人間の『原罪』(仏教の『業』に相当)を語る上で持ち出される話ですね。実は門外漢ながら、私自身もY2つ様と似た様な見解を持っております。
 仮にもし人類が神に背くのを恐れるならば、何故人間に自由意志なぞを最初から与えたのか。
 もし『知恵の果実』を食べた事が重罪ならば、何故アダムとイヴを『壊して』もっとマシな人類を作り直さなかったのか。
 人類を楽園から追放した後に、わざわざ天使達をこっそり送って面倒を見たのは何故か?
 …こうした事を考えて行くと、『楽園追放』が実は狐の子別れの様な荒っぽい巣立ちの儀式だったのではないか?と考えてしまいます。喩えが悪いですが、『バッキャロォォッ!勘当だっ!出て行けッ!』とドラ息子を追い出しつつ陰でこっそり見守っている頑固親父の様な…。そんな無骨な愛情を感じてしまいますね。

 作中の金の化合物のお話ですが、もしや18金を念頭に記されたのでは?手元に資料が無いので詳細は記せませんが、Auの性質を考慮すると確かに化合物という表記には少々違和感を覚えます。
此方でも色々と調べてみますね。

 それから私もリプレイを開始致します。場所はもう少しまとまったらお知らせ致します。
2009-06-23 Tue 16:47 | URL | 樹音 #EDSLkfi6[ 編集]
 あまり自分の意見を言うと宗教論になってしまうので…

 此処に描かれたロマンの考え方は、私の考え方と違います。

 私の考える唯一神像は、「全知全能であり全知全能で無い、矛盾を肯定した故に、恐ろしく慈悲深い」というか、傍観者で鏡みたいな存在と言うか、すごく混沌としたものです。
 それに、他の宗教の神様だからと、ころころ印象が変わりますしね。
 
 私は各PCの性格に沿って、独立して性格を描こうとします。
 私の考えの様に表現出来ていれば、 ロールプレイのリプレイとしては成功したということなのでしょう。

 樹音さんのおっしゃる「狐の子別れ」的な試練説は、私でも理解しやすい考え方です。

 それは、全ての父として神を観た感覚から発生しているように思います。
 性別を超越している神を「男性原理で表現する」ことに、すでに人間的な感情が影響しているように思いますから、ロマンの考え方も「不心得者な人間らしい考え方」っぽいかなと思います。
 
 でも、私はこういった人間性も好きですし、だからこそ文学や芸術で心が震えるとも思っています。

 生意気申してしまいました。お許し下さい。


 黄金の化合物に関してですが、ロマンの考えは魔術な力学も加えた視点なので、彼の言う科学は、もっと風呂敷が広いかもしれません。
 …とりあえず今回はそういうことで、矛盾をする―して下さると幸いです。

 お馬鹿な私の文章は、素人のものとして御容赦下さいね。(汗)
2009-06-24 Wed 18:22 | URL | Y2つ #TIXpuh1.[ 編集]

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