Y字の交差路

 ここはY2つめがノリで作ったブログです。  カードワースを中心に、私が思ったことや考えたことを徒然なるままに書きたいと思います。

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『甘い香り』

 闘技都市ヴァンドールから、シグルトはリューンに戻って来た。
 拠点である『小さき希望亭』に立ち寄るためである。

 北西に位置するヴァンドールから、リューンはそれほど離れていない。
 仲間もいないので、シグルトの移動速度なら半分の時間で踏破出来る。

 剣術を修める過程で、シグルトは徹底的に足腰を鍛えた。
 その技術を応用し、身に宿したトリアムールの力で身体を支え、飛ぶ様に移動する。

 …それは、常人が見ればおそらく仰天する速度である。

 おかげで、たった2日で『小さき希望亭』に到着することが出来た。


 『小さき希望亭』では、問題が無いか確認するだけのはずだった。
 
 だが、人気が出始めた“風を纏う者”の、しかも中心人物が舞い戻ったとなれば、何か起きるのは当然と言えた。
 思わぬ依頼を受ける羽目になったのである。
  
 それは、「ある貴族の身辺護衛」をしてほしいというものだった。

 シグルトを件の貴族に紹介した人物…ヴェルヌー伯は、聖遺物の所有権をめぐった騒動をきっかけに、何かとシグルトに良くしてくれる。
 “風を纏う者”が推進している孤児救済機構にも、少なからず名を貸し援助をしてくれていた。

 恩人の頼みともなれば、義理堅いシグルトは無下にも出来なかった。
 短期間であることを条件に、引き受けることにしたのだ。

 期間は、依頼人がリューンに滞在する2日間である。


 1日目、護衛の仕事は順調にこなした。

 シグルトが関わった護衛任務は、成功率が極めて高い。
 これは、彼が単に強いためではなかった。

 護衛対象をいかに守るか。
 そのための戦術を立てさせた時、シグルトの戦術眼は最も開くのである。

 シグルトは優秀な戦士であったが、自分が決して最強ではないことをよく分かっている。
 だから、徹底的に対策を考え、神経質なほどの作戦を練るのである。

 普段は服装や髪形にも無頓着で、ある一面では自他ともに鈍いと認める性格である。
 しかし、シグルトは人の命を守ることに対しては、どんな仕事よりも熱心だった。
 
 “守戦の名匠”。

 シグルトは後にも沢山の異名を持つことになるが、この名もそういった行動から付けられたものだった。

 今回の依頼でも、依頼人の市街の視察中に随伴し、完璧と言ってよい仕事をしたのである。
 貴族嫌いの悪漢に絡まれるというハプニングもあったが、シグルトの名を聞いたその男は、途端に態度を改めた。

「あんたのことは聞いてるぜ。

 “風を纏う者”のシグルトが護衛するなら、その貴族には守る価値があるんだろう」

 そう言って、絡んだ男は態度を軟化させて去って行った。
 シグルトたちが信頼第一を信条に行って来た行為は、このような形で確実に実を結びつつある。

 実力ある成功者たちは少なからずいる。
 だが、リューンの若手冒険者で、“風を纏う者”ほど好ましい名声を得たパーティは少ないだろう。
 
 しかし、シグルトは過大な評価を受ければ受けるほど顔をしかめた。

「分不相応の評価は、同業者の嫉妬を呼ぶ。

 俺たちの仕事に、差しさわりがなければいいがな」

 どんなに褒め千切られても、シグルトは慢心しなかった。
 彼の心には、過去に味わった苦渋と後悔が重くのしかかっていたからだ。

 結果として、シグルトは大きな失敗をしていない。
 
 護衛対象の貴族…シャノワーヌ子爵は、そんなシグルトを大いに気にって、晩餐に招待してくれた。 
 子爵はシグルトの武勇譚を聞きたがったが、自分は口下手だからと、なんとか話をそらし、気が付いてみればかなり遅い時間になっていた。

 泊まっていけと言う子爵の誘いを、けじめだからと断り、シグルトは夜道を急いで帰ることにしたのである。
 そして、早く宿に帰るために、普段は通らない歓楽街…酔夢街を横切ることにした。
 
 交易路の発展でつとに大きくなったリューンは、人口が密集する都市の一面として、多くの歓楽街や貧民街を抱えている。
 さらに、都市の外にそれらが出来、他の都市と関わりながら、混沌とした発展を遂げていた。

 荒んだ場所が増えれば、荒んだ職業も増えて行く。
 歓楽街には、艶やかな格好した娼婦たちが沢山見受けられた。

 シグルトは、こういった商売女を買ったことが無い。
 それは娼婦たちに魅力が無いわけでも、彼が女嫌いだというわけでもない。
 
 身を掛けて生きる女たちを、軽い気持ちで買うのは、彼女たちを冒涜する気がしたからだ。

 シグルトは、娼婦という職業を尊敬さえしていた。

 伝承に詳しいシグルトは、娼婦が世界で最初の職業として成立したことを知っている。
 娼婦の始まりは聖娼と呼ばれた聖職であり、その性愛を受けられるということは、大地の女神を象徴する女性から受ける祝福だったのである。

 教会勢力の台頭によって、父性中心の倫理観が広がると、娼婦はいかがわしい仕事として卑下されるようになった。
 また、男の嫉妬心や独占欲によって起こる血生臭い争いも、彼女たちを貶める原因になっていたのである。
 
 一部の例外はあるだろうが、なりたくて娼婦になる女は少ない。

 仕方なく春をひさぐ者には、苦境を精一杯生きることに敬意を。
 性愛に奔放で、娼婦を天職と言う者には、大地母神に対するような尊崇を。

 一般的に見て、シグルトは少し変わった価値観と倫理観を持っていた。

 シグルトは、誰か一人を愛することと、操を守ろうとする気持ちは尊いとも思う。
 操という尊い宝を捧げる行為には、確かに愛を捧げることに通じると。
 
 しかし、彼の言う操とは〈精神の操〉…セカンドヴァージンのことなのだ。
 誰かを心から愛そうとする時、想い人だけに捧げる心の操があるのだと。

 とまれ、そういう風に娼婦を考えるシグルトには、娼婦に対する蔑視が全く無い。
 生きるために客を良く見る娼婦たちには、それが分かる。

 それ故か、多くの街娼がシグルトに声をかけてくるが、取り合う彼ではなかった。
 彼は過去に自分の愛を捧げた女性がいる…それが理由だった。

 流石に夜の賑わった歓楽街で、その高速移動を披露するわけにもいかず、シグルトはただの速足で、帰りを急ぐ。

 そして、人混みを避けるため裏道に入った時である。
 
「ねぇ、お兄さん…」

 声をかけられるのが流石に煩わしく感じていたシグルトは、掛けられた声の方にやや剣呑な様子で振り向いた。

 尊敬する職業にも、しつこくされれば疲れもするのだ。
 どんなに優れていても、彼も人間なのである。

 裏道まで追って来た娼婦なら帰って貰わねば、と振り向いて、その声の主を見た時、シグルトは思わず目を見張った。

 見目麗しい女である。
 その美貌は、人間離れしていた。
 
 だが、シグルトが目を見張ったのは、その傾城の容姿に見とれたからではなかった。
 その娘は、かつてシグルトが巻き込んで死なせてしまった親友の妹、エリスに背丈や面影が似ていたのである。

 エリスはブロンドで、その少女は茶髪…顔だってこの少女の方が垢抜けて美しい。
 なのに、目の大きさやはにかみ方がそっくりなのだ。
 その透通るような白い肌も、故郷の人々を思い出させた。

 しばし黙っていたシグルトを見上げた女は、彼女自身もシグルトの美しさに見惚れているようだった。
 
 シグルトの容貌もまた、神々しいほど美しい。
 雑な髪型とその仏頂面がなければ、まるで南海の芸能神アポロンもかくやという美丈夫なのである。

「…びっくり。
 こんな綺麗な人だったなんて。

 ね、少しだけ、私とお話しない?」

 好奇心の籠った、人懐っこい口調で女が誘う。
 
 まだ少女のあどけなさがあるのに、その仕草の一つ一つが妖艶だった。
 上目がちにこちらを眺めるその仕草だけで、普通の男なら虜になっていただろう。

「…本当に少しだけでいいの。 
 駄目かしら?
 
 貴方なら、狼さんになったりしないと思ったんだけど…」

 からかう様な彼女の言葉に、シグルトは我に返った様に無愛想な態度で睨み返した。

「妙齢の女が、会話目的だけで裏道を通る男を呼びとめるのは考えものだ。
 相手次第では勘違いされるぞ。

 話をしたいのなら、御夫人にすればいい。
 俺は女性と話す様な話題を持たない、武骨者なのでな。

 それに、帰り道だ」

 彼のあまりに素気無い返事は、予想外だったのだろう。
 女は少しだけ眼を見開いて、シグルトをもう一度じっくり見つめる。

 …何かが入って来そうな視線だった。

 シグルトは腹の底に軽く力を込め、そして目を細めて、その視線に真っ向から抵抗する。

「…そんなに睨まないで。
 少し、人寂しかったから、お話したかったの。
 
 ここなら、静かだし、誰も通らないわ。
 ね?
 お話、しましょ」

 シグルトは、軽く息を吐くと、口をへの字に歪め首を横に振った。
 今の女の言葉には前後に脈絡が無い…話す事と人気が無いことの脈絡が。

 それがさらに警戒心を起こさせた。

「話をするだけなら、こんな夜半に歓楽街の裏道で男を誘うなど、正気の沙汰ではないぞ。
 
 仕事柄こういった場所に知り合いがいるが、街娼ですら、普通は一人で立つなどありえん」

 本来外相という職業には、盗賊ギルドのような背後組織がある。
 そして、どこかに〈梟〉…見張りが立って、娼婦が強姦されたり変な客に捉らない様に見張っているものだ。

「それに、君の言っていること、やっていうことは矛盾している。
 
 何故人寂しく、話をしたいなら表通りに出ない?
 こんな裏道に通る者など、俺みたいに近道をする部外者か、後ろ暗い奴ぐらいだ。
 
 好奇心で初めてこの町に入ったのなら、女衒(せげん…色街の女を売り買いする仕事)に見つからないうちに、すぐに出た方がいい。

 …もしここに迷い込んだというなら、家の近くまで送ろうか?
 君の家に立ち寄らないことを、条件にさせてもらうがな」

 有無を言わせぬシグルトの言葉に、女は円らな目を最大まで見開いた。
 だが、「送ろう」というシグルトの不器用な優しさを感じたためだろうか…
 
 結局、一緒に歓楽街を出ることになった。

 
 並んで歩く美女の表情は、嬉しそうである。

 シグルトに好意を持つ女性なら、この様に並べれば、有頂天になっただろう。
 だが、女のそれは美貌の男と歩くそれではなく、単に誰かが隣にいることへの悦びの様だった。

「私はアンジュ。

 貴方の名前、教えてくれる?」

 好奇心いっぱいの目で見つめる女に、シグルトは仕方ないという様に名乗った。

「…シグルトだ。

 アンジュ、天使か。
 名付けた人は、きっと、とても君を愛していたのだろうな」

 ふ、と微笑んだシグルトに、アンジュと名乗った女は、少し寂しげな笑みを浮かべて頷いた。

「うん、気に入ってるの。

 貴方も素敵な名前ね。
 確か、不死身の竜殺しの名前よね?

 ちょっと発音が違うけど」

 シグルトは「分不相応だがな」と苦笑した。

「そうかな?
 武器を持ってないけど、貴方って戦士みたいに力強い目をしてる。

 とても似合ってるわ」

 クスリ、とアンジュが笑う。
 はにかんで目を細める仕草は、花が咲きそうなほど愛らしい。

(本当にエリスに似ているな。

 顔など、まるで似ていないのに)

 故郷の生活を思い出し、シグルトも少し目を細めた。

「仕事は何をしてるの?

 傭兵さん、なら武器持ってるわよね?」

 好奇心が強い娘なのだろう。
 色々と聞こうとして来る。

 知り合いに雰囲気が似ていたからだろうか、シグルトは渋々、彼女のおしゃべりに付き合うことにした。

「―…冒険者だ。

 今は別行動中だが、仲間もいる」

 仲間、と言う言葉に、アンジュは羨ましそうな顔をする。
 こんなところで話し相手を求めて来たのだ…孤独な生活をしているのかもしれない。

「冒険者かぁ。

 うん、分かる。
 貴方って、旅人の目をしているもの。

 大変な仕事って聞いたけど、順調なの?」

 話を途切れさせない様に、アンジュは問いを続ける。

「…好い仲間に出逢えて、それなりに成功しているよ。

 少なくとも、食うのには困らないでいられる。
 それなりに幸せだ」

 そう言ってシグルトは、現状に満足している自分にまた苦笑した。

 故郷で恋人と別れ、心の傷はまだ癒えていない。
 なのに、仲間たちの存在は頼もしく、仕事には充実感がある。
 
 そして、それが心地良いと感じていた。

「羨ましいな。

 私なんて…」

 言いかけて止めるアンジュ。

「…私なんて、何だ?」

 シグルトが先を促すと、アンジュは誤魔化す様に頭を振った。

「秘密。

 その方がミステリアスでしょ」

 そう彼女が口にした時、歓楽街の出口が見えた。

 残念そうにアンジュは、シグルトから一歩離れる。

「有難う、送ってくれて。

 ね、最後に握手、しよ?」

 アンジュが手を差し出す。
 シグルトは、ふう、と溜息を吐いた。

「若い婦女子が、始めて歓楽街であった男に、握手など求めるな。

 そんなことでふしだらとまでは言わんが、少し無遠慮だぞ」

 シグルトの硬い返答は、彼が年頃の妹を持っていたことに起因する。

「…もう、さっきからお爺ちゃんみたいに説教臭いわ。

 私と大して年、変わらないわよね?」

 最後が疑問形なのは、シグルトの年が分からなくなったからだろう。
 過去の悲壮と諦観を秘めたシグルトの青黒い瞳は、その年齢をもっと年寄りにも見せるのだ。

 シグルトがふと考えた時、近くの娼館から低い手振り鐘の音が響いた。
 日の終わりを告げる合図であり、歓楽街の本当の始まりを告げる音でもある。

「たった今、日が変わった様だな。
 西方の数え方なら、丁度19になる。

 今聞かれて、気が付いたよ」

 シグルトの誕生日は、つまりたった今からである。

「っえ?、え~!!

 じゅ、19?
 背、すごく高いし全然っ見えない…25歳ぐらいだと思ってた」

 驚くアンジュに、シグルトは少し仕返しを思いつく。
 そう、かつて妹や友人にした時の様に。

「俺が目測25歳ということは、大して変わらないという君もそのぐらいということだな。

 もっと若いかと思っていたんだが…」

 シグルトにからかわれたアンジュは、真っ赤になった。

「ひ、ひど~い!
 
 私、そこまで年増じゃないよぉっ!!」

 この時代、女性で20歳過ぎは行き遅れ、25歳は年増と呼ばれてもおかしくなかった。
 戦争や疫病の関係で、平均寿命が50歳を下回ることも数多いのだ。

 女の役目は早く子を産み、次世代を残すこと。
 古臭いこの御題目が、田舎の農村ではあたり前のように根付いている。
 
 そして、難産や出産後の産褥熱で死ぬ女たちも多かった。

 女性の冒険者には20歳過ぎも結構いるが、結婚適齢期過ぎなのを劣等感にしている場合が多い。
 〈年増〉や〈行き遅れ〉は禁句である。
 
 “風を纏う者”のレベッカも、いつぞや、ある行商が口を滑らせた時に、「尻の毛まで毟る」程激昂したという。

 この場にレベッカがいなくて良かったな、と思いつつシグルトは「冗談だと言ってアンジュに謝った。

「うう、罰として、絶対明日も会って!

 そうしないと許さないからっ!!」

 そうくるか、とシグルトは苦笑する。
 拗ねた様にアンジュは口を尖らすと、シグルトの手をそっと握った。

(…ぬ?)

 一瞬、何かが身体から抜き取られる様な気がした。

「約束…だからね?」

 そう言って離れたアンジュは、夜の街に消えて行った。
 ――花の様な、甘い香りを残して。


 次の日、シグルトは気だるい朝を迎えていた。 
 早起きの彼が、寝過ごすほどである。

「…もう〈お早う〉ではないな。

 起きるのが遅くなって、すまない」

 顔を合わすなり、シグルトは宿の親父…ギュスターヴに謝った。
 親父は気にするな、と首を横に振った。

 他の冒険者からすればずっと早い時間である。
 
 シグルトは、5時間以上寝ることがほとんど無い。 
 普段は一番鶏の鳴き声で起床し、一刻(二時間)程で日課の鍛錬を終える。
 
 鍛錬後はクールダウンをしっかり行い、宿の誰よりも早く朝食の席に着く。
 その規則正しさは、仲間内では有名なことだ。

「何、まだ十分早い。

 昨日は帰りも遅かったんだろ?
 無理もないさ」

 親父は、もう少し寝てても好いんだぞ、と付け加える。 
 …不真面目な他のメンバーには、こんなこと絶対に言わないのだが。

 そして、朝食を手際よく用意する。
 シグルトは、親父の作る暖かな手料理が好きだった。

「ふむ、思えば久し振りに親父の手料理を食えるな。

 小洒落た高級料理を上品に食べるよりも、親父の作った朝飯に齧り付く方がずっといい」

 手渡された、鍋で炒めた塩漬け肉とチーズとハーブを挟んだパンは、まだほのかに暖かい。
 きっと冷めないように、オーブンの余熱で温めていたのだろう。

 こういう親父の気遣いが嬉しい。

 リューンが属する西方中部名産の、硬いパン。
 パンに使う小麦の、グルテンの含有が少ないためだ。

 しかし、外国の焼き方を参考にした親父特製のパンは、かすかな甘みもあって美味である。

 出された飲み物は、朝から酒を飲むことが嫌いなシグルトのスタイルに合わせて、山羊のミルクだ。
 
 骨を強くするこの飲み物は、滋養強壮にも優れ、シグルトのスタミナ源となっている。
 普通は臭みが強いのでヨーグルトやチーズにして食べるのだが、シグルトは平気だった。
 彼の故郷では、病人意外めったに飲めない御馳走だったのだ。

 パンを齧り、山羊のミルクを飲む姿は決して品が良いとは言えないのだが、美貌のシグルトがやると妙に様になるから、不思議なものである。

「お前、少し顔色が悪いぞ。

 疲れてるなら、無理するな。
 丁度マルスたちがいるから、仕事の代理は立てられるしな」

 親父が皿を拭きながら、心配そうに声をかけてくる。

「朝稽古を休んだ上、仕事まで他人任せなら看板を下ろすさ。

 俺たち冒険者は、信用第一だ。
 シャノワーヌ子爵には、今日も是非にと言われている。

 あと一日頑張れば達成する仕事だ、これぐらいは大丈夫だよ」

 生真面目なシグルトの体調管理は、宿でもピカ一だ。。
 ならばと、親父もそれ以上は言わなかった。


 その日の仕事は、体調不良もあってかなり厳しいものになった。
 我慢強いシグルトのこと、そんな様子はおくびにも出さなかったが。

 顔色の悪さを補うため、シグルトは血色を良くする薬草と、結晶化した蜂蜜を湯で溶いて作った薬湯を飲んで、仕事に出かけた。
 結晶した蜂蜜は、多くがブドウ糖であり、てっとり早い疲労回復にはもってこいだ。
 ロマンが好んで疲労回復に使う方法である。

 この様に、高価な蜂蜜や黒糖を湯で溶く甘い薬湯は、金がかかるので普段はあまり出来ない。
 だが、シグルトは肝心な時に動けないなら意味が無いと、妥協しなかった。

 甘いもので疲労を回復する方法は、多用すれば身体が慣れて効果が出ないまま、しかも高過ぎるカロリーのせいで身体に毒となる場合もある。
 しかし、正しく希に使う場合は、絶大な効果が現れる。

 こういった薬湯を飲む時、シグルトは湯気を吸ってから飲むようにしていた。
 身体が疲弊すると、鼻や口、気道の粘膜も荒れる場合があるからだ。
 
 湯気は、気管を温め潤いを与えるため、程よく行えば呼吸が楽になる。
 医師に学んだことのあるシグルトは、こういったさりげない健康法を上手に使い、身体の故障を癒し、闘える身体を維持していた。
 
 普段から摂生に努めているシグルトだからこそ、回復の効果は顕著に表れた。
 湯気の熱気も手伝って、すっかり血色を回復したシグルトは、何事も無く一日の仕事を終えたのである。

 目聡い貴族を相手にする時、顔色が悪いなど不手際でしかない。
 この辺りのプロ意識も、周囲が優れた冒険者としてシグルトを認めている要因と言えた。
 
 そして仕事を終えたシグルトは、昨晩から気になっていたことを確認するため、酔夢街の入り口…アンジュと別れた場所を目指して歩き出した。

 
 辺りはすっかり暗い。
 
 シグルトは近くの壁に寄り掛かると、目を閉じてアンジュが現れるのを待った。

 やがて、待ち人は現れる。
 アンジュはシグルトを見つけると、ぱっと笑顔になって息を切らして走って来た。

「うふふ、待たせちゃった?

 今夜も、良い夜よね」

 嬉しそうなアンジュに、シグルトはしばし空を見上げた後、軽く頷いた。

「…今日もお仕事帰り?」

 アンジュの言葉に、シグルトは目を瞬いた。

「何故、俺が仕事帰りだとわかった?」

 聞き返されたアンジュは、鼻白んで目を寄せる。

「何故って…

 少し疲れた顔してたでしょ。
 それに、どこかいらいらしてたみたいだし。

 今日もちょっと疲れ気味?」

 アンジュの説明に、シグルトは静かに耳を傾けていた。

 薬湯で回復したはずの体調不良を見抜いたことに、シグルトは内心あることを確信する。
 彼女は、目に見えない精気を感じ取れる、ということを。

「君は洞察力が優れているな」

 シグルトの評価に、アンジュは「人間観察が趣味だし、勘も鋭いのよ」と胸を張った。

 しばらくは何気ない会話を続ける。

「そう言えば、貴方って今日が誕生日よね。

 一人で寂しくない?」

 不意に聞き返したアンジュに、シグルトは苦笑して首を横に振った。

「俺の国は回年という年齢の数え方が主流だった。
 さらに北から入って来た暦の影響だ。

 貧しい国でな…一人ひとりの誕生日を祝うなんてことはしない。
 
 皆、正月になったら一律に年を取るって、考え方だ。
 祝うのも同じ日で、正月はすごく楽しみだったよ。

 東洋にも、〈数え年〉という考え方があるな。
 あれは1歳から数えるらしいが。

 妹が西方の暦で言う誕生日に憧れていて、自分以外の誕生日には、知り合いに贈り物をする癖が付いてしまった。

 考えてみれば、珍妙だ。
 しばらく自分の年は、忘れていたよ。

 まあ、俺の仕事に年齢なんて、関係無かったからかもしれんが」

 思い出すようなシグルトの言葉には、言い様の無い寂しさがあった。
 

「ねぇ、また明日も会える?」

 しばらく一緒に話していたアンジュは、シグルトに問うた。

「…いや、それは出来ない。

 仕事がなければ、俺は明日にでもリューンを発つ。
 仲間がいるからな」

 それは決別の言葉だった。
 アンジュは信じられないという風に、シグルトを見た。

「君が何者かは知らない。
 知るつもりも無い…君が話さない限り。

 今夜は約束だった。
 だから会った。

 だが、俺には俺の行く道がある。

 君が何故俺に関わって来たのかは分からないが、俺も君が知り合いに似ているから甘んじた。
 一晩考えれば、それがいかに弱い考えだったか思い知ったよ。

 君に彼女を見ることは、君にも彼女にも失礼だった。

 だから、心から詫びよう…すまない」

 シグルトは頭を下げた。
 その静かな誠意が、返ってアンジュの胸を締め付ける。

(だめ、行ってしまう…この人は!)

 そして、シグルトは苦笑して別れを告げた。

「さよならだ。

 幾、健やかに」

 シグルトは答えを待たず、背を向けた。
 
 それは、たとえ恨まれてもいい…
 互いの惰性でこれ以上は傷つくのは止めようという、シグルトらしい不器用な誠意だった。

 アンジュは堪らず、その背に抱きついた。
 自分と同じ、とてつもない何かを背負った、その背中に。

「…くっ…」

 それは彼の予想通り、起こる。
 根こそぎ体力を奪われる様な脱力感に、シグルトは耐えた。

「…あ、あぁ…」

 アンジュが呻くように 呟く。
 彼女の瞳から、ぽろぽろと涙が零れ落ちた。
 
 前に別れた時の、甘い香りが鼻腔をくすぐる。

 シグルトはそのまま、崩れる様に意識を失っていた。


 忘れられない情景があった。

 綺麗なハニ―ブロンドが自慢で、少し男勝りだが、そばかすの可愛らしい円らな瞳の娘だった。
 照れたり困った時、その髪の毛を掴む癖があった。

 ある日少女は、精一杯の化粧をして、シグルトに愛を告白した。
 もう一人の兄の様に側にいた、シグルトを女として愛していると。

 その時シグルトには、すでに心から愛する女性がいた。

 少女を、シグルトも愛していたと思う。
 恋人や女性では無く、妹の様な幼馴染みというありふれた親しみで。

 不器用だが誠実な性格のシグルトは、その場の流れでうやむやになることを善しとしなかった。
 そして、アンジュに別れを告げたのと同じように、恨まれることを覚悟して、きっぱりと自分の心を告げた。

 最後に別れた時、少女の顔は、言い様の無い悲しみで歪んでいた…
 彼女の顔に、アンジュの泣き顔が重なる。

 それは誤りではなかったのだと、自分の信念は告げていた。
 なのに、結果は誰も救われなかった。

 愛を告白し振られた少女は、シグルトへの想いを利用されて汚され、そして自ら命を絶った。


「――…ぬ?」

 目覚めた時、シグルトは狭い部屋の寝台に横たわっていた。
 
 壁画の描かれたその部屋には、迫られる様な圧迫感がある。

 四角い机と赤い古びた大椅子が一つずつ。
 壁画以外、目立つ者も無い殺風景な場所だった。

 どこかの廃教会の一角、だろう。
 部屋の装飾の剥れ方から、何となく予想が付いた。
 起きてすぐに周囲を観察するのは、冒険者の性であった。

 覚えのある、花の様な甘い匂いを嗅ぎ取り、そこが誰の部屋かも見当をつける。
 そして、主を探して周囲をもう一度見まわした。

 やがて足音と気配、女のものだ。
 奥にあった扉が開き、予想通りにアンジュが部屋に入って来た。

「…気が付いたのね、シグルト」

 心配そうに、アンジュはシグルトを見つめた。

 シグルトの観察力は、即座に必要な情報を導き出す。
 そして、一つだけ頷いてみせた。

「倒れた俺を、君が自分の部屋へ運んでくれた。

 そして介抱してくれたのだな?」

 そう、と彼女は頷いた。

「私、貴方に謝らなければならないことがあるの」

 絞り出すような告白に、シグルトは一瞬迷いそしてまた頷いた。

「礼を、言うべきではないのだろうな。
 そうしたら、もっと君を傷つけるだろう。

 君は、サキュバスかリリムの類か?
 精気を吸うという、化生なのだな。

 心をあやふやにする甘い香りと、目が覚めるような美貌。
 そして、男なら吸い寄せられる妖艶な雰囲気。

 人の体力を奪い取り、食事とする。

 その、俺の知る限りでは、〈こと〉に及んでそういった力を使うと、聞いていたんだがな」

 言い難そうに語るシグルト。

 その全てに、アンジュは何度も頷いて肯定した。
 
 シグルトは、伝承に関する優れた知識がある。
 淫魔や夢魔とも呼ばれる、サキュバスとインキュバスの伝説も良く知っていた。

 女のサキュバスは男から精を奪って殺し、インキュバスと交わって精を渡し、インキュバスが人間の女にその魔精を植え付ける。
 生まれた子供は、魔の者であった。

 有名な騎士王の知恵袋である伝説の魔法使いは、こうした淫魔の子であると言われた。

「私は、触れるだけで食事が出来るみたいなの。

 本来のサキュバスは、人間を食料か繁殖の道具にしか考えない。
 寝込みを襲う、魔物よ。

 でも、男女の交わりで食事をしない私は、普通のサキュバスじゃない。
 異端児なのよ。

 だから、サキュバスの世界を追われてこの都市に来たの」

 シグルトはふむと頷いた。

「淫魔が人に植え付ける魔精を、インキュバスがサキュバスの胎に植え付けた時、男ならインキュバス、女ならサキュバスが生まれる。

 異説では、性交で破滅させた者の魂を媒介に、子が生まれるともあるな。
 だから、奪う存在でありながら、人間に依存する…そんな話を、聞いたことがある」

 シグルトの博識に、「私の説明はいらないわね」とアンジュは苦笑した。

「…たまにいるらしいわ。
 とても人間に近い、私の様なサキュバスが。

 だからかな?
 人間を殺せなかった。
 精を奪えなかったの。

 そんなのだから、人間の食事で我慢してたけど…
 
 それはあくまでも応急処置で、たくさん食べないともたないから、すぐに資金が尽きちゃった。
 私は、魔物だから、お金の貯め方なんて分からないもの。

 何も食べないと、苦しくて、だから使いたくなかったけど、貴方から精気を貰ったの。
 貴方って、厳しい雰囲気を持ってるのに、とても優しい人だと分かったから。

 でも、悔やんだわ。
 貴方から力を奪って…貴方の顔色が青ざめて行くのが怖かった。

 だって、貴方はこんなにも私を真っ直ぐ見つめてくれるもの。
 それに、心配してくれた…下心を持たずに。
 
 なんとなく、貴方が、私の正体に気付いているんじゃないかって感じてたわ。

 私たち淫魔は、その気になって見つめれば相手を欲情させられる。
 力の弱った私の視線にも、その魔力があったはずなのに…
 貴方は耐えて、なのに逃げなかった。

 分かっているのに、女の子を心配するみたいに、接してくれたわ。

 私を普通の女の子の様に見てくれた、初めての人間。
 そんな貴方を、私は殺してしまいそうだった。

 凄く、嫌だったの…」

 俯いたアンジュは、死人の様な顔で床を眺めていた。
 真っ直ぐシグルトを見れないのであろう。

「でも、貴方にきっぱり別れを告げられた時、頭が真っ白になったの。

 貴方は多分、私と同じように孤独がある人。
 私を分かってくれる人だと思ったわ。

 やっと見つけた、心の許せる人が行ってしまう…
 だから行かせたくなくて縋りついたの。

 でも、その時思わず貴方を望んでしまったから、その生気を奪ってしまった。
 屈強そうな貴方が、すぐに倒れるほど。

 そんな自分が、許せなくて、悲しかった…」

 そしてアンジュは、悟った様にシグルトを見つめた。

「もう、こんな奪って生きて行くのは嫌。

 私を理解してくれる人間なんていない…私は簒奪者だから。
 私を理解してくれる同族はいない…私は出来損ないだから。

 貴方以外、私を真っ直ぐに見てくれた人はいなかった。

 私は中途半端。
 殺して奪う淫魔であることも、耐えて人であることも出来ない」

 何時の間にか泣きながら、アンジュは自身の心を吐き出した。

「誰も認めない。
 認めてくれない。

 今まで、ずっとそうだった。
 でも、私は貴方と出会ってしまった。
 
 別れるなんて、出来なかった。
 寂しくて、心細くて、気が狂いそうで。
 
 だから、お願い…
 私が孤独で壊れてしまう前に、貴方の手で、私を殺して…」

 悲痛な声でアンジュはシグルトに乞うた。
 今まで心にため込んだものが、シグルトというきっかけで決壊したのだろう。

「それはしない。

 それが可能でも、だ」

 シグルトは即座に拒絶した。

「どうして?

 私は貴方から、力を奪ったのよ?!」

 アンジュはなおも食い下がった。

 シグルトは、天井を一度見上げ、そして出逢った時の様にアンジュを睨み据えた。

「…都合のいいことを抜かすな。

 君が人を殺せないように、俺もまた殺せないものがある。
 
 少しでも親しく話した者を殺すのは、つらいことだ。
 それを俺に求める君は、とても身勝手だぞ。
 
 自分の弱さを他人に処理させる、逃げ口上だ」

 シグルトの叱責は厳しかった。

「殺してほしいなら、何故俺と知り合ってから死を望んだ?
 殺す者の、見送る者の痛苦を、君は考えないのか?

 不幸に酔って、死ぬことまで他人任せか?

 …甘えるのも大概にしろっ!!」

 それは、炎の様な苛烈な叫び。
 様々な苦しみを経て、尚も生きて来たシグルトの、魂の咆哮だった。
 
「…アンジュ、君に問おう。

 君は本当に死んでもいいのか?
 生きて、その業を克服したいとは思わないのか?

 何故生きて、足掻かない?」

 悲壮なシグルトの言葉は、茨の道を歩んで来た彼の、血が染み込んでいるかの様だ。
 
「…何故俺に、助けてくれと願わない?
 
 俺に死を望むのは、俺の無能をという傷を抉る侮辱でしかない。
 親しくなったものに、殺せと願うのは、そういうことだ」

 シグルトは諭すように言うと、手に巻いた布を解いた。
 生々しい傷痕に、アンジュの顔が引き攣る。

「――…見ろ、これが俺だ。

 この傷痕は、俺が取りこぼした過去そのものだ。

 俺は愛する人を手放した。
 友を護れなかった。
 父を失った。
 母を泣かせた。
 妹を巻き込んだ。
 
 そして、俺を愛していると言ってくれた女の子を、みすみす死なせてしまった。

 大切な人を誰も護れず、絶望の砂を噛みしめて、それでも俺は生きて来た。
 何故なら、生きることでしか償えず、生きることでしか贖えなかったからだ。

 だが俺にも、一緒に歩んでくれる仲間が出来た。
 今、俺は生きて来た事を素直に喜べる。
 
 重い後悔が、夢で俺を苛む時があっても。
 今の我が身が、どれほどの罪と嘆きの上にあるのだとしても…

 俺は生きて来たことを、今胸を張って誇ることが出来る。

 生きるということは、途方もなく痛苦に満ちている。
 だからこそ、乗り越えてある今の生は、様々な物を取りこぼしてしまった俺に残された、希望という名誉なんだ。
 俺にとって、生はそれ程尊い。

 だから、痛苦を歩む親しい者の生も、俺が守りたい名誉そのものだ。
 今日を明日を生きる親しい者は、命を賭けて救いたい存在だ。

 一度失ってしまったからこそ、俺はそれをもう零さない様に足掻くと誓った。

 俺に君を殺せと頼むことは、俺にその名誉を捨てろと言うことだ。
 その希望を踏み躙れということだ。

 そう…俺を殺すのと同義だ。
 過去に絶望した昔の自分を背負い、生き足掻くこの俺を。

 一時何かに頼ってもいい。
 君が孤独で潰れそうなら、俺が君を分かってくれる人間を探してやる。
 俺の時が許すなら、話し相手にもなろう。
 
 絶望に酔うな。
 そして甘えるな。

 不幸ばかりの生にも、幸福という先があり、それは自ら選んで到る場所だ」

 諭す様にシグルトは言う。
 その瞳は、厳しくそしてとても優しかった。
 
「だから、もしまだ心の奥底に、少しでも生きたいと願う心があるのなら…
 辛くても、生きろ。

 君が孤独なのは、今の君が諦め、新しい友を探さないからだ。
 求めないものに、与えられる結果はとても少ない。

 俺も孤独だった…かつてはな。
 だが、絶望を背負って生きた先に、肩を並べて戦える仲間と出逢った。
 
 君は、こんな暗い場所でうずくまって、どうして一緒に歩める人を見つけられると思うんだ?
 異端として殺されることが怖いからか?
 なら、死を求めるのは矛盾している。

 無いなら探せばいい。
 孤独なものに、何も持たない者には、新しく探すべき余地が沢山ある。
 
 一時得れない、あるいは失ったからと、探すのを投げ出したのなら、その結果が今の孤独を作っているんだ。
 俺も、その寂しさを乗り越えたから、はっきり言える。

 死ぬのは、求め続けた先でも遅くない。
 俺が得られた様に、君にも未来はあるんだ。

 だから、死を求めるぐらいなら、生を求めてみろ。
 君が掴み取るべき未来と、友を夢見て。
 願うんだ、捨てるぐらいなら。
 
 願って選び、歩み出す。 
 それが〈生きる〉ということだ」

 もう一度、今度はゆっくりと、シグルトはアンジュを諭す。

「俺には、救えなかった人がいる。
 彼女は、我が身に起こった不幸に耐えられず、自分で命を絶った。
 彼女の兄は、彼女の無念を晴らそうとして命を落とした。

 残された俺は、とても無力で悲しかった。
 死後の先に救いを求める者もいるが、それは残されるものにとって新しい悲しみを残すだけだ。

 だから、君には生きてほしい。
 一時でも、親しく言葉を交わしたからこそ。
 
 その道が茨と刃の痛苦に満ちているとしても… 
 これは、苦しんで来た君の話を聞いても、変わらない俺の願いだ。

 君が俺に助けてくれと求めるのなら、それは惰性にならない。
 知り合った運命と、親しく話した時にかけて、俺は俺の出来る形で君の力になろう。

 俺が君に示してやれる道は、自殺の手伝いではなく、辛くても必死に生きることへの手伝いだけなんだ」

 シグルトは、話す間、ずっと目をそらさず、真剣に語りかけた。
 アンジュは彼の瞳に、ただ説得しようとするための虚構が無く、とても真っ直ぐな想いがあることを強く感じていた。

 そして、彼の言葉を聞いて、胸の中に暖かな光が灯るのを感じていた。
 自分の生は、こんなにもこの男に望まれているのだと。
 
 自然とその頬を、涙がつたって零れ落ちる。
 それは暖かな、喜びの涙だった。


 そうしてアンジュは、生きたいと願った。

 彼女の「生きたい」という一言に、シグルトはしっかりと頷くと、迷わず彼女の手を取った。
 また命を奪うかもと真っ青になったアンジュに、シグルトは微笑んで手を見せる。

 何時の間にか、そこには夢精除け(精気を外に漏らさない)のまじないとアンジュの名前が記されていた。
 古くから伝わる、淫魔からの防衛手段である。
 
 そのまじないには、淫魔を追い払う力こそ無いが、夜に寝込みを襲われても殺されなくなるのだという。
 ただ、名前を知らなければ効果は薄まるらしい。

 アンジュに抱きつかれても倒れるだけで済んだのは、そんな仕込みのおかげだった。 

 シグルトは、貴族から得た謝礼金をアンジュに渡し、当座の資金にする。
 そして、彼女を冒険者として生きられる様に宿に迎え…またその知恵を振るった。

 たった半日で、彼女が救われる光明を見つけ出したのである。

 かつて聞いたある物語。

 東洋のある鬼女が、人の子供たちをさらって血肉を食らう子供たちに与えていた。
 それを悲しむ親を憐れみ、偉大なる者が、智慧を持って鬼女を諭した。
 最も愛する末の子を隠された鬼女は、同じように悲しい親の気持ちを理解した。
 だが、鬼女もその子供たちも、人間の血肉を喰らわなければ生きられなかった。

 その時、血肉の代用品として登場したのが〈柘榴〉である。

 〈柘榴〉には、途方もない生命力が宿っており、主に婦人病に効果があるとされて来た。
 ものは試しに、とシグルトが柘榴酒を与えたところ、アンジュの飢えは嘘の様に消えたのである。

 酒精(アルコール)には魂が宿ると考えた者がいた。
 神々が、そして人が愛して止まない酒は、根本たる力の宿るものだ。
 
 そう、血肉を意味する木の実を、魂たる酒に付け込んだ柘榴酒は、生そのものである。
 人と生きたいと願いながら、精気を奪って生きねばならない魔物が、求めて止まない希望なのだ。

 この日リューン郊外の小さな宿で、ささやかな救いの道が示された。
 人と生きることを願うサキュバスの、救いの道が。

 高価だが、人間の食事よりも代用品として優れている柘榴酒を手に入れるため、アンジュは冒険者として働くことになった。

 美貌のアンジュを見て、宿の男たちは気色ばんだ。
 彼女の魔性の美貌は、希望に満ち溢れ、とてつもなく美しい。

 彼女をパーティにと願う声もあるが、無視した。
 自分を命を賭して救うと言ってくれた、意中の男がいるからである。

 アンジュは何とかシグルトと行動したいと申し出たが、シグルトは俺の役目はとりあえず終わったからと、別件で仕事に勤しんでいる。
 何でも、ある子供から依頼を受けたそうである。
 
「あ~もう、ほんと鈍感っ」

 その日もアンジュは、シグルトに対する不満を口にした。
 
「何が、生きろ~よ。

 もう、こんな可愛い娘放っておいて仕事行っちゃうなんて、あいつ絶対○○よ、○○!
 女の子が瞳を潤ませて、〝お願い連れて行って〟って頼んだのよっ!

 ほんとに、もう…」

 不平を言うアンジュだったが、その表情は生き生きとしている。

 シグルトはきっと、自分と同じ様に子供を助けようとしているのだろう。
 なら、とても彼らしいではないか。

「…ライバル多いわ。

 宿の娘さんなんて、最初っから警戒オーラ全開だし。
 でも、負けないんだから」

 そう言ってサキュバスの少女は、普通の男ならばいちころの、妖艶な笑みを浮かべた。
 とても幸せそうに。

 生きるために必要になるもの…それは生甲斐である。
 シグルトは、サキュバスの少女にそれを示したのだ。

 生甲斐を得た者はそれを目標に出来る。
 とても充実感のある生を送れる。

 時にそれは、幸せに成り得るのである。

 アンジュがにこやかに笑うと、えも言われぬ芳香が辺りに満ちる。
 彼女から薫るその甘い香りも、どこかそんな幸せに溢れているのだった。



 シグルトの珍道中その2、如何でしたでしょうか。

 最初軽く経験値を稼げつつ、さらっといい話が出来そうなソロシナリオを探してて、偶然、最近活動を再開された楓さんのこのシナリオに行き当たりました。

 こいつは運命!
 とばかり、やってみて…
 
 シグルトがとことん、色っぽい話に不似合いだと再確認しました。

 今回のシグルトは、何というかアンジュの評価通り「説教臭いお爺ちゃん」です。
 妹がいるシグルトは、面倒見が良いのですが、本来はお説教ばかりしてた生真面目お兄ちゃん。
 しかも、元来のお人好し気質が手伝って、助けを求められたり、どうしようもない苦境に立たされた者がいたら、命をかけて助けようとするタイプ。

 孤児救済機関然り、レナータの救出然り。
 伏して泣くものがいたなら、「お前にその気があるなら一緒に戦ってやる。だから立て!」と叱りつける…

 人はそれを「お節介焼き」と言います。
 彼のそれは、投げかけるもので、押しつけることは少ないんですけど。

 超美形で完全無欠扱いされてて、実力も伴った英雄候補のシグルトが考えているのは…
 世界を救うことでも、絶大な野望を叶えたいわけでもなく、精一杯生きること。

 何というか、ぶきっちょな、そんなところが彼らしいと思います。

 シグルトも男なので、魅力的な女性に対して「素敵だ~」と思うこともあるでしょう。

 しかし、この男は過去たった一人愛した女性以外は、「恋愛まで発展出来ない程」鈍感で硬派で武骨です。
 生真面目で誠実なその性格が、妥協のある愛に納得出来ないのです。
 甘える愛も、相手が魅力的で真剣だからこそしない。

 恋愛経験があるので、恋の話にはそれなりに理解があります。
 ただ、自分が対象になった時は「鈍感」というか「無神経」というか。

 優柔不断は毒とばかりに、きっぱりさっぱり断るタイプ。
 過去にエリスという失敗談があるにもかかわらず、「それ以外思いつかないから」とやっぱり断ってしまいます。

 そうやって振った女性が山積みになってるのは、どうかとも思うのですが。

 まぁ、「誠実、鈍感、硬派、武骨」ですからね。
 これで女好きだったら、書いてる私が殺意覚えます。

 
 シグルトには苦労させられます。

 私は、シグルトが優秀だ~と書きたいのではなくて、「とてつもなく優秀な人物の意外な素朴さ」を描きたいのです。
 それが目的で、下地としてシグルトを周囲に評価させるように書いています。
 その特性を発動するタイミングが難しく、いつも頭を抱えているのですが。

 シグルトの生は、苦難に満ち辛くても、勝ち取るべきささやかな幸せへの道。
 そうして歩んできた自分の道だからこそ、シグルトは胸を張り、今の生を誇ります。

 英雄型らしい生き様を描くのは難しいですね。
 ただの美形で天才じゃなく、そんな形だけのものより、もっとカッコイイ本質を描きたいのですが…表現力不足です。ふう。


 さて、この『甘い香り』ですが、何というか本来は砂糖菓子の様な甘々なストーリーです。
 恋愛ものをプレイするにしても、硬派系が好きな私としては、アンジュのスウィーツトークにパソコンの前を転がりまわってました。
 何気に照れます、何故か。
 
 硬派なシグルトの性格でプレイするのはちょっと無理あるかな~と思ったのですが、書いてみると新境地。
 
 シグルトって、こんなに説教臭かったのね、とか。
 ちょっとインテリなからかい方するのね、とか。
 シグルトでもレベッカを「年増」扱いする危険性は分かってるのね、とか。

 とまれ、シグルトは罪なことをしつつ、とんでもない人物を連れ込んでしまったのではないかという…
 アンジュは、レベル的にも実力的にも、シグルトとパーティ組める能力を持っています。
 でも、“風を纏う者”の影の実力者であるレベッカとは仲悪くなりそうです。
 公正なシグルトの場合、宿に誘っても、パーティに誘って和を乱すような独断専行はないはず。

 でも、せっかく連れ込んだ面白いキャストなので、今後もちょくちょく登場させようと思います。
 連れ込みPCで2パーティぐらい作ってやろうと、ひそかに画策しています。

 今回もシグルトの伝承知識が発動してました。
 
 シュメール神話や、リリム(リリスの娘である女夢魔たち)伝説をどこで聞いたんだ~って突っ込まれそうですが。
 リリム除けのまじないは、出所がアフマドです。
 確か、中東圏の神話にあった話だったはず。

 リプレイ中においてアンジュを救うことになった柘榴酒ですが…

 柘榴の話は鬼子母神(ハーリティ)の話です。
 「柘榴は人肉の味」がするのだとか。
 それに酒精を加えて、精気の代用品にする、という考えは、不意に浮かんだアイデアです。
 
 柘榴は冥界の食べ物としてギリシア神話でも登場し、ペルセポネを冥界に止めるのにも使われた特別な木の実。

 詳しい人は知ってると思いますが、こういう代用の仕方は、まじないの世界ではあたり前にあり、実際に効果がある方法です。
 純粋なサキュバスには、ちょっとしか効果が無いかもしれませんが、アンジュの様な特殊なサキュバスなら、これでもありかなぁ、と。
 
 いくらなんでも「敵から精気を啜る」というエンディングはシュールすぎるかな、と考えた強引な展開でした。
 シグルトの場合、絶対にアンジュとは〈こと〉に及ばないでしょうし…(ああ、なんてアダルトな話)

 身悶えしつつ、楽しんでプレイさせてもらいました。
 アンジュのイメージ崩したら、御免なさい。(合掌)
 

〈著作情報〉2009年07月04日現在

 『甘い香り』は楓さんのプライベートシナリオです。現時点で下記サイトで配布されています。
 シナリオの著作権は、楓さんにあります。
  
・楓さんサイト『Fleur de cerisier』
 アドレス: ■ttp://blog.goo.ne.jp/kaede_015/(■をhに)
 
 カードワースはgroupAskに著作権があり、カードワースの管理、バージョンアップ、オフィシャルな情報等はgroupAsk official fansiteにて、カードワース愛護協会の皆さんがなさっています。
 このリプレイは各シナリオをプレイした上で、その結果を小説風リプレイとしてY2つが書いたものです。
 書かれた記事、書かれる記事は、特定のシナリオの名前が出たときは、そのシナリオの著作権はすべてそのシナリオの作者さんにあります。
 
 また、リプレイ中に使われる内容には、各シナリオで手に入れたスキルやアイテム、各シナリオに関連した情報等が扱われることがあります。
 それらの著作権は、それぞれのシナリオの作者さんにあります。
 またカード絵等の素材に関しては、シナリオ付属の著作情報等を参考にして下さい。 
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この記事のコメント

ほほぅ……まさか楓さんのシナリオで先を越されるとは思わなかった。偶然とはかくも恐ろしいなぁ……。
実は同じく、楓さんのシナリオで【大富豪の娘】でリプレイ書いてるんですよね、ちょっとシュウの過去話が入るオリジナル展開が入るので苦労してますが、基本的な流れは変えてません。

基本的に自分は、【これなら合うんじゃないか】というシナリオを優先的にやってたりします。
とは言っても、まだ序盤……4レベル以降はまだ考えてないんですよねぇ。
アレトゥーザやフォーチュン=ベル等も、シグルト達とは別件のほうで考えてたりします。 似たような依頼と考えれば、かなりバリエーションは豊富ですからね、こう言うの。

感想ですが、シグルトの格好良さが良く分かるリプレイだったと思います。
らしさというのか……よく作られてるから、尚の事惹かれるのかもしれません。
それに、此方が考えるシュウの強さとはまた違ったシグルトの強さ……正直惚れるんですよねぇ。
Y2つさんの書き方もあるんでしょうが、自分にはここまで書ける自信はあまりありません。
謙遜とかそういうのを抜きにしても、自分はそれほど文章力があるとは思ってません。
趣味として書いてますし、自分なりを信条にやってるだけですからね、人から誉められても嬉しい反面ピンと来ないのが本音だったりします。
過小評価してるといわれればそれまでなんでしょうかねぇ……偶に反論されたりするんですけど、やっぱピンと来ませんよ。

NPC加入かぁ……そこは正直悩む部分だったりします。
1stメンバーだった時はかなり入れてましたが、リプレイが主軸の【碧風と共に歩む者】のメンバーだと、誰いてようか悩むんですよねぇ……。
一応、楓さんがリメイクしたアーガスを最終目標に頑張ってますけど……。
どうなるかなぁ……と思いつつ、自分らしく書いていこうと思います。

そう言えば、前の記事にチャット云々の降りがありましたが、やってるなら一度話してみたいです。
リプレイもそうですが、CW談義に花を咲かせてみたいと思ってたりもしますのでw

ではでは
2009-07-04 Sat 21:24 | URL | 龍使い #-[ 編集]
チャットでしたら、IRCが軽くて便利ですねえ。
自分が使ってるツールだと常時起動していても気になりませんし、
メッセンジャーより格段にチャットとしての軽さはいいですし。

NPC加入は……実は自分の宿の別PTも考えていたりします。
シアとかヒルダとかヘイズルとか使ってみたいんですよね……。
2009-07-04 Sat 22:01 | URL | 鈴鳴らす狐 #PUKLkuOc[ 編集]
知らないシナリオのリプレイというのも面白いですね~。
「どういった展開になるんだろう?」とわくわくしながら読ませていただきました。

シグルト・・相変わらずかっこよすぎて痺れますw
芯があるキャラはやはりとても魅力的ですよね。
シグルトの積み重ねてきた過去があるからこそ、一つ一つの台詞に重みが生まれてすごく説得力を感じました。

私はいろいろなシナリオをこなしていく上で「あ、コイツってこんな奴だったんだ」と知っていく感じでキャラが形成されていくんですが、今回のエピソードもそれに近い驚きでした。
普段穏やかなシグルトが声を荒げるって、すごくレアですよね。
ドライアイスの熱さの部分を垣間見れて、ますますシグルトの魅力に磨きがかかったと思います。

つまるところすごく面白かったです、ハイ。
長々失礼しました。

そしてチャットのお話に耳ダンボです。
機会が持てるなら、一度他のリプレイ書きさん達とも語らってみたいなあ・・なんて。
2009-07-04 Sat 22:21 | URL | ぐぇん #zmJZyRSg[ 編集]
 楓さんのシナリオはもう一個『ジゼリッタ』をプレイするつもりです。
 アロンダイト取り戻した後ですね。

 私は、「似合う」も一つのプレイ基準ですが、「意外」も狙ったりします。
 特に次の回は、シグルトの新たな一面が。

 私は、シグルトを「英雄型らしい能力は持ってるけど、ただの気障な美形にーちゃんにはしたくない」と考えています。
 シグルト自身、周りの評価ばっかり大きくなって困惑してますし。
 
 今回、「お節介な説教爺ちゃん」な性格が出てましたが、これがシグルトの地です。
 それ以外では、容貌能力を別にして、ただ一生懸命で誠実な兄ちゃんなのです。

 ただの美形キャラだと、書いててつまらないんですよ。
 だから、芯というか、信念にひたすらまっすぐで、ひたむきなキャラクターにしてあります。

 文章力に関してですが…正直私の文章力や表現力は、講座で偉そうなこと言える程立派じゃないんですね。
 誤字脱字しまくってますし。
 でも、勢いだけはあると思います。

 私の文章に何かを感じる方は、それを感じ取っているのかもしれません。
 私は楽しんで、かつ夢中になって書きます。
 これがこいつで、こうなんだ~って感じで。

 だから、龍使いさんがもし自分の文章に何らかの不安を感じているなら、自分の持ち味を一個見つけて、それを勢いにして書くとよいです。
 リプレイは技術では無く、書きたい、綴りたい、表現したいという、湧き上がるパトスで書けばいいと思うのです。印象にあるPCたちの行動を、炎のように描くのです。

 3年書いてて感じたのですが、何かに自信がないと表現力って無くなってしまいます。

 上手い下手は置いておいて、必要なのは物語をのびのびと楽しんで書くことです。
 年齢も、知識も、能力も、二の次でいいと思います。
 文章なんてものは、後で書きなおせますから、恥をかくことを恐れずに、自分の持ち味を押し出して、ずんずん書く。
 
 商用小説書くんじゃないんですから、悩む必要は無いです。

 書く時常に思っているのですが、「義務で書く」のはいけません。
 ブログを経営してるからとか、何時までに書く、とか。
 義務に縛られればのびのびと書けなくなります。

 必要なのは、中卒程度の文章力と、勢いと、モチベーション。
 そして、書くことが好きだという気持ちだけです。

 あと、出来れば自分に嘆きながらは書かないことです。
 悲観的な気持ちで書くと、躓きます。
 ええ、私はその経験を何度もしましたので、確信をもって言えます。
 能力の無さに悲観すると、「書けない~」と鬱っぽくなります。

 評価もまた気にしていては書けません。
 文章が絶好調の時と比べるのも、他の人の文章と比較して自分を褒めてあげないのもだめです。
 書き上げたことに胸を張って、自分だけが分かって上げられる自分の好さを褒めることも、長く書くコツだと思います。

 
 NPCの加入、パーティを作るのであれば楽しいですよ。
 一定値まで連れ込みPCを溜めて、独特なパーティを作るのは、快感です。

 連れ込みPCには、たいていドラマがありますから、その物語を吸収して自分の物語に取り込むのが楽しいです。
 

 チャット、現在私封印中です。
 なにしろ、メインに使ってたPCが、ボイスチャットのソフトのせいで不具合起こして、ネット環境がおかしくなり、そのPCはネット封印、メールアドレスも一個使えなくなったので。
 復旧するには手間が多すぎますし、今はもう少し封印するつもりです。
 ウイルスソフトの期限切れもあるんですよねぇ。
 
 いま使ってるPCの通信環境は、モバイルの遅い奴(田舎なので…)です。
 環境がもう少し良くなってから、チャット出来る環境に復帰しようと思います。
 悪しからず、御了承下さいね。
2009-07-04 Sat 22:43 | URL | Y2つ #-[ 編集]
ん~……自信ある無しは特に自分は考えてません。ただ自分なりにを信条に書いているだけですし、書いてる間は楽しいのも事実ですから。
だから、リプレイも自分のやり方で書いていってるだけですね。

自分の持ち味……かぁ。 正直、考えた事なかったです。
ただ僕は、自分の書ける部分で書けるように努力してきただけですし、中学の頃から続けてきた趣味ですから。
まぁ、スランプはいると駄目ですがねw

とりあえず、こっちは自分なりに書いていくだけです。
持ち味は……多分ないとおもうなぁ、ずっと我流で書いてきただけだしw

ではでは
2009-07-04 Sat 23:10 | URL | 龍使い #-[ 編集]
>鈴鳴らす狐さん
 私のネット環境は、時々落ちてしばらくネットできなくなったりします。
 電波が不安定なんで、LANも無線は駄目っぽいのです。
 有線LAN引っ張るには、今の生活環境上かなりややこしい配線をしなきゃならず、そのままになってます。
 少なくとも、大雨が降ると電波が飛ばなくなる今の環境から抜け出すまでは、もう少し様子をみます。

 ヒルダは、文字通り尻に敷かれますからね…(下品ですいません)
 シアは、後々うちのリプレイで登場予定です。
 SIGさんのシナリオは、大好きなので。

 連れ込みPCは、「PC絵の統一が難しい」ので、それも手が出せない理由になりがちです。
 私の場合、それっぽいのに変えちゃんですけど。

 あまりに付属シナリオがある場合は、連れ込むのを遠慮する場合もあります。

 でも、好きなNPCの話とかできたら、楽しそう。


>ぐぇんさん
 レア、と思っていただけたのなら、細工した甲斐がありました。
 シグルトの「意外性」は、表現したかった事の一つなので。

 『甘い香り』を選んだ理由は、このシナリオがプライベートもので世にあまり出回ってなかった事と、公開されて間もないので、リプレイでバッティングし難いかな、と感じたからです。

 クロスの天敵がシナリオのバッティングでして、両方でやっちゃうとアイテムの重複やら、違和感やら起こしがちです。
 アイテムはごまかしが利きますが、連れ込みNPCがいるシナリオは、今後の登場人物にも関わるので、どうしても考えてしまいます。

 ちなみに、『小さき希望亭』には、アンジュ、ジゼル、ラファーガ、アナベル、リノウ、シア、ラディ、リブ、オロフ、レナータあたりが、ほぼ連れ込み決定してます。
 名前でどんなシナリオ経由するかわかれば、たいしたもの。
 思うのですが、男の手頃な連れ込みPCを探しています。
 いたら、教えて下さいね。

 うちのブログはコメント量フリーです。
 可能なら、1セッションリプレイした文章量でも一向に構いませんよ。
 かく言う私が最も書いてます。

 御遠慮なく。
2009-07-04 Sat 23:22 | URL | Y2つ #-[ 編集]
 お世話になっているフーレイです。雰囲気的に普段とちょっと違うかんじがしますねぇ。というより、ザクロのエキスが出た時点でごくりと喉を鳴らした僕がいます(柘榴は好物なのと、鬼子母神の話を思い出したんです。あと別のTRPGの設定にもでてくるので)。

 しかしシグルトさんが説教……。すみません、「学校の先生が人生を悲観する女子生徒を諭す」風に見えました。でも、人間味のあるシグルトさんも実に楽しいです。

ちなみに
シオンの場合でも(過去に色々あるため)<こと>に及ぶことはないかと。ノリ気なのがソウキュウです。

楓さんのシナリオはとりあえず「エトワール」系列はリプレイにできたらなぁ、と思っていますが…予定崩れにならなきゃいいけど(苦笑)。第一にお相手がエルフのおっさんですからね(汗)。
2009-07-05 Sun 01:25 | URL | フーレイ #DEtutM4g[ 編集]
毎回すごいと思うのですが、Y2つさんのリプレイは小物の描写がリアルでいいですよね。
シェーブルは慣れないと本ッ当に臭いと思います。腐った葉っぱとか、おじさんの足のニオイみたいな……味はほんのり甘みがあっておいしいのですが。
中世は、やっぱり自然の力を超然的にとらえることが多かったでしょうね。
娼婦のくだりの話ですが、豊穣=産む物=女神という連想で、北方辺りに伝わる神話(ドルイド的な)も彷彿とさせますね。
長老や、年配の方の話もよく聞いてそうなシグルトですから、おばあちゃんたちから聞いた土着の伝承や神話も、素直に心に留めて、今の価値観に繋がってるんじゃないかな~なんて思ってしまいました。
それにしても、娼婦に限らず"かわゆさを売りにしている"女性は、シグルト相手じゃやりにくいだろうなあと思います。
なまじ美形なだけに、さらに近寄りがたさが増しているというか……
でも、多分、本人は自分のせいで女性が緊張してるとは思ってないんだッ! 鈍感だからッ!(笑
過去、表面しか見れなかった人は、シグルトの真の優しさに気づかず、傷ついたのかもしれないですね。
そう考えると、シグルトは人間(主に女性)関係で結構損してきてますね。多分、本人は損得なんて最初から考えてないのかもしれませんが。本当は一途で、純粋で、素朴な優しい青年なのに~
レベッカに言わせれば、そのへんがほっとけない感じなのかも。仲間としても、多分男性としても(すみません、想像です)。
ごめんなさい、ちょっとリプレイに対する愛を語りすぎましたね(笑
おもしろいので、何だか色々想像してしまうんです!
2009-07-05 Sun 08:20 | URL | マルコキエル #SFo5/nok[ 編集]
お邪魔させて頂きました。

え~と…そちらを正式版にさせて頂こうかしら、と言うのが最初に浮かんだ感想です。凄いですね…あたしも文章力をもっと、上達させたいです。

シグルトさん、硬派でカッコイイです! 競争相手も凄く多そうですね、娘さんを筆頭に。現在、メインで製作中のシナリオでは男性NPCをどう見せるか考えているのでとても参考になりました。完成するにはまだ、時間が必要ですが…

それと、短いですが、「甘い香り」の後日談のシナリオを作っています。近いうちにひっそりとブログで公開されているかも知れませんので、興味がありましたら是非。

では、ありがとうございました! 今後とも宜しくお願いします。
2009-07-06 Mon 21:39 | URL | 楓 #aZ1d6H5Y[ 編集]
>フーレイさん
 『エトワール』は楽しいシナリオなのですが、恋愛要素が強いので、シグルトが関わるのは無理だな、と思っていたシナリオです。
 フーレイさんの描くリプレイで、ヒロインがどんな風に活躍するか、ちょっと楽しみです。

 シグルトは、見かけは冷静ですけど、内心熱くて説教臭いのは、最初からの設定でした。スピッキオの影に隠れて、普段は出てこないんですけどね。

 剣術でも、シグルトのお説教は強烈で、後輩が手を抜いてたりすると叱りつけます。
 ある一面でスパルタの教育方法を認めていたり。
 まあ、本気で習う者に対し、師弟のけじめや妥協を許さない厳しさがあるのは、元から不器用で古風な武人気質なので、デフォルトなんですが。

>マルコキエルさん
 小物の描写がくどいのは「Y2つ節」なのかもしれませんね。
 私が書きたいのは、「匂いのある文章」なんです。
 五感を刺激される様な、そんなリプレイを書きたいです。

 山羊のミルク、実は知り合いが山羊を飼ってて、父が生前体力補給のために飲んでました。かなり臭いですが、甘くておいしい飲み物です。貴重品ですし。

 シグルトは、容貌を武器に言い寄っても100%振っちゃいます。
 面食いではありませんが、母親と元恋人が国一番の美女(母が元、元恋人は現役)で、美人を見慣れてるせいもあります。
 自身もかなりの美形ですし、感覚的に容貌で物事を判断する恋愛感覚は欠如しているといっていいでしょう。
 何が美しいか理解できても、「大切なのは中身」という彼の信念はダイヤモンドの様に頑固です。

 まあ、硬派で武骨だと、こんな感じの頑固者だと思います。

 シグルトは女性に告白されても、きっぱりはっきり振っちゃうので、手を出してどろどろにはならないのですが、その分ばっさり過ぎて、女性を泣かすでしょうね。
 「付き合ってくれないと死ぬ」とか脅されれば、烈火の如く怒って説教するでしょう。「脅迫するものに、愛など抱かない!」とか言いそう。
 実際、元恋人も、一回彼女から告白されて、それをこっぴどく振って、その後だんだん愛を育んだパターンでした。
 ある意味、一目惚れでの恋愛は、絶対しないタイプですね。

 優しさはありますが、厳しく誠実である一面が相手を傷つける場合もあるでしょう。
 それでも、誠意を失えばもっと傷つくと、シグルトは答えるでしょうね。

 だからこそ、保守的な一面を持つ女性なら、シグルトの誠実さを知ってさらにその愛が欲しくなる…だから「モテモテ」。
 本人は困ってるんですが。

 英雄型なので、それに相応しい設定というかお約束を考えたのですが、「色を好む」ではなく「色が付きまとう」にしたわけです。
 こういう不幸というか、障害の多さも「英雄」ぽい一面かと。

 むしろ、そういうシグルトだからこそ、恋愛感情が壊れたレベッカとしては気楽なんですね。
 冒険者なんてやってると、衣食住一緒にいるので、年が近いとパーティ内恋愛が必ず問題になります。それで解散したパーティもたくさんあるでしょう。
 恋愛や女性としての目で見られるのは、レベッカとしては嫌。
 彼女は盗賊として、仲間として評価されたいのです。
 ロマンは餓鬼なのでからかうだけで、スピッキオは枯れた爺様。
 シグルトは、そういう目では見ず、仲間として評価してくれる。
 レベッカにとって、理想的なんですね。

 キャラクターを愛して頂けるのは、光栄ですし、物書きとして嬉しい限りです。
 これからも、また読んで下さいね。


>楓さん
 わざわざのお越し、有難う御座います。

 ソロシナリオの恋愛ものは、多くの場合PCが勝手に恋に落ちてしまい、プレイヤー側には恋愛の仕方を選んだり、惚れる惚れないを選ぶシーンがなかなかありません。

 私って「恋に落ちていた」と「美しいと思った」とか、結果が選択できるシナリオをやりたがる、へそ曲がりなんです。

 シグルトの行動は、「恋などする余裕もない堅物」を前提に、あえて恋愛ネタにチャレンジした、かなりがけっぷちな内容でした。
 いや、個人的に「惚れた女が背に縋るのを振り払って冒険に戻る」硬派なPCを遊びたいなぁ、とか思っていましたし。
 そんな行動をシグルトにとらせた私は、振った女性にぐちを言われる神様の様な心境でしょうか。←ばちあたり

 お約束は大好きですが、そのどこかでへそ曲がりな行動をとらせたがるのは、私の悪癖です。お許し下さい。

 『甘い香り』の続編は楽しみですね。
 是非、リプレイの内容におさまるものなら、シグルトにプレイさせたいところ。

 新作楽しみにしています。
 これからも頑張って下さいね。
2009-07-07 Tue 21:23 | URL | Y2つ #TIXpuh1.[ 編集]
 シグルトさんはまぁ、厳しい人だとは思っていますが・・・スパルタかぁ。あー、そう言えば前にもそうおっしゃってましたねぇ(手紙で)。僕の場合、スパルタはどちらかと言えば(僕自身が)苦手ですが「厳しさが必要な時は厳しく」とメリハリは効かせる所存です。

 シオンは人間修業中なので教えを受ける事が多いでしょう。しかし、まぁ、教える時は……うん、シオンが何かを教えるのが想像できない。一方よく引き合いに出すソウキュウはなんだかんだ言って「これは厳しくいわないと」って時以外は軽くですねぇ。

>エトワール
あー、確かに(笑)。僕の場合、男寡歴100年以上のエルフのおっさんでリプレイを。現在は「きみとステップを踏んで」の一部分から発生したSSを書いています。「エトワール」自体のリプレイは現在どんな風にしようか考え中です。

 実はこっそりとアンバー達【六珠】のリプレイにエトワールとバルディッシュ(エルフ。聖闇教会の聖騎士)が既に出ています。エトワールがアンバーに踊りを教えているシーンもあるんで知っているかもしれませんが。
2009-07-08 Wed 00:44 | URL | フーレイ #DEtutM4g[ 編集]

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