Y字の交差路

 ここはY2つめがノリで作ったブログです。  カードワースを中心に、私が思ったことや考えたことを徒然なるままに書きたいと思います。

『私』

 美しい朝日が差し込む時間、私は部屋のカーテンを勢い良く開いた。

 窓からいっぱいに飛び込んで来る、光の雨。
 少し前までの、夜型だった頃の私は、こんな日々を過ごすことなんて、考えてもいなかったと思う。

 私がこの『小さき希望亭』に来て、もうすぐ一週間になろうとしている。

 この宿を含めた〈冒険者の宿〉と呼ばれる機関では、冒険者と呼ばれる人たちに、仕事の斡旋をしたり、彼らの駐留先になる拠点だ。
 そいう私も、新米だが冒険者である。

 冒険者は、所謂何でも屋みたいな仕事。
 魔物や盗賊の討伐といった荒事も多いけど、荷物の輸送や遺跡の探索、珍しいものでは対立組織の調停なんかもやるらしい。

 〈冒険者〉なんて浪漫溢れる名称だけど、実際にお伽噺の勇者の様な冒険者は、ほんの一部だ。

 私が旅の吟遊詩人に聞いて、初めて抱いた冒険者像は、そんな格好良くて英雄と呼ぶに相応しいものだった。
 そして、このリューンにやってくる前に酒場で聞いた冒険者のイメージは、ならず者そのもの。

 実際に冒険者になってみて、彼らと交流してみたが、その本質は〈十人十色〉。
 本当に英雄そのものと言える凄い人もいれば、私の様な女の子には「隙あらばものにしてやる」とばかりに近寄って来る色ボケ、鋭利で理知的な賢者に、ちんぴらと変わらない人間の屑までいる。

 その点、私の所属した『小さき希望亭』は、良質の冒険者の集まりだった。
 
 冒険者の宿には、〈専属〉と呼ばれる冒険者たちがいる。

 彼らは、その宿から優先的に仕事を受けられる代わりに、宿からの要請を守る義務もある。
 つまり身元のはっきりした仕事人たちで、ギルドと呼ばれる各組織…商人、職人、漁師他色々ある…や、地位の高い人から依頼を貰うことが出来る。

 私もまた、そんな〈専属〉冒険者の登録し終えて数日、といったところ。
 目下、鍛錬しつつ、自分の所属する〈パーティ〉のメンバーを探している、そんな立場にある。

 〈パーティ〉と呼ばれる、冒険者のグループを示す単位がある。
 〈専属〉の優秀なパーティを持つことは、宿のステータスになるのだが、『小さき希望亭』は小さい宿にも関わらず、話題の多い〈専属〉パーティが所属していることで、名が知られていた。

 でも、うちの宿の〈専属〉パーティは現在、なんとたった2つきり。
 正直言って、とても少ない。

 そのうちの一つ、“煌く炎たち”は、マルスという元傭兵の戦士がリーダーのパーティだ。

 彼らは戦闘力が高く、討伐の依頼を得意にしている。 
 他のメンバーは、炎の精霊術師でもある女戦士ゼナ、聖北の元修道女だったレシール、老獪な魔術師カロック、玄人盗賊のジェフで、5人組。

 うちの宿の特徴、と言えば、女性冒険者が意外に多いことだろう。

 それは、この『小さき希望亭』が、女性に居心地の良い宿だからだ。
 此処の主人は、酔って女性冒険者に絡むような奴は締め出しをする。

 女性冒険者の絶対数は、少ない。
 どの位かっていうと、全冒険者のうち一割を切るんじゃないかな?

 何故かって、それはこの仕事がきつくて汚くて危険な仕事だからだ。
 この時代、女であれば、理想は十代のうちに玉の輿。
 男と並んで、切った張った~て世界は、はしたないと言われても仕方が無い。
 
 そんな、私と同じ女性冒険者のゼナやレシールとは、ここ数日で喧嘩友達みたいな関係になった。
 仲良くなってみれば、2人とも人間味のある面白い人たちである。

 ゼナなんかは感情的で、怒るとすぐに炎の精霊を召喚しそうになって皆で止めるのだけど、きちんとした矜持を持っていて、因習なんかには囚われない自由人だ。
 下級貴族の御令嬢だったレシールは、プライドが高くて頭が固いけど、清楚で情が厚い。
 “煌く炎たち”リーダーのマルスは男前(顔じゃないのがやや残念だが)で、他の男性たちもしっかり者。

 冒険者のパーティは6人を一単位とするので、私は5人組の“煌く炎たち”から誘われてたりする。
 しかし、今のところ私が入りたいと念願しているのは、もう一方の“風を纏う者”の方だ。

 “風を纏う者”のメンバーのうち、面識があるのは一人だけだが、私にとってその人は特別。
 こうして冒険者になったのも、また冒険者としてのイロハを教えてくれたのも、皆彼だからだ。

 “風を纏う者”は、新進気鋭のパーティで、結成して半年も経っていない。
 だが、依頼の達成率は9割を超え、成功の街道を躍進というより驀進している。

 貴族にコネがあったり、各ギルドのお偉いさんに注目されてたり、彼らに教えを請いに来る冒険者もいるぐらい。
 『小さき希望亭』が有名になったのも、このパーティのおかげといっていい。 

 “煌く炎たち”同様、まだメンバーが5人なので、空いた最後の座を得ようと狙ってる冒険者も多いが、今のところ全て撃沈している。
 私もそうなのだが、最初のアプローチはすっぱりと断られた。

 諦めきれない私は、鋭意修業中で、いつかその座を射止めようと頑張っている。

 …見ると、窓の下で、あの人が何時もの様に剣の鍛錬をしていた。
 上半身裸で、汗がその白い肌を濡らしている姿は、ちょっとセクシーで野性的だ。

 あんなに綺麗な人なのに、身体には無数の傷がある。
 彼が歴戦の戦士である、証なのかも知れない。

 でも、彼ならこう言うだろう…

〝この傷を負った分、俺は及ばなかったということだ〟

 …こんな感じにね。

 ふふ、この宿に来てから、彼のことはたくさん知った。
 女の子がキャーキャー騒ぐ美貌以上に、素敵で逞しい内面を持っているのに、実はちょっと鈍感で可愛らしい一面だってあることも。

 …お、あそこに並んでるのは、彼の教導目当ての新米冒険者っぽい。
 あっちの桃色なオーラ全開の連中は、性懲りも無く彼の心を射止め様とやって来た娘たちね。
 うわ、マダムっぽいのもちらほらといるわ。
 あそこの子供たちは、彼に遊んでほしい子たちね…意外だけど子供好きで優しいからなぁ。

 …おや?

 ちょっと、待て、待てっ!
 アレは、何?!
 いかにも「ヤラナイカ」な、黒髪の兄貴っぽいのの集団は…
 あ、女の子たちに踏まれた…あーめん。

 相変わらず人気よね…はぁ。


 窓からの観察を終え、借りている2階の部屋から1階の店に降りると、何時もの様に宿の親父さんが食器を磨いていた。

 頭が少し寂しいけれど、それは言わないのが礼儀というもの。
 不真面目な冒険者に対しては厳しい評価をする人だけれど、私には良くしてくれる。

 親父さんは「早いな」と言いつつ、私の好みに合わせて朝食を用意してくれた。

 此処の料理は、賄いでもちょっとした高級料理店より美味しいらしい。
 朝食だけ食べに来る人がいるくらいだから、よっぽどだ。

 賄い、と言えば…今日私は仕事を休んでいる。
 冒険者では無く、副業の方だ。

 顔見せに行って、数回店番をした程度だが、最初から休んでばかりだと止めさせられるかもしれない。
 あの仕事は好きだし、明日は行くことにしよう。

 今私は『ささやかな宝』というファンシーなお店で、雇われ店員の様な仕事もやっていた。
 冒険者として生活が安定するまで、生活費を稼ぐために、世話してもらったのだ。

 そこの店主さんは上品な女性で、全然怒ったりしないし、サービスばっかりするので店の経営が心配。

 品揃えが豊富で、化粧品なんかは毎日売れているので、そこそこに忙しい。
 店主さんには、私の身元保証人にもなって貰っているし、時給扱いで銀貨5枚もくれる。
 
 たかが銀貨5枚って笑う人もいるけど、それだけあれば、この宿で1日分の食事が賄える。
 にこにこ笑って、可愛らしい小物の説明をして、店主さんとお茶を飲みつつ店番すれば稼げるんだから、正直正規の店員になるか真面目に悩んでいる。

 こう言ってはなんだが、私は化粧品にはうるさいのだ。
 特に香水に関しては、専門家に負けない知識があると自負している。

 調香師になるほど器用ではないし、鼻だって特別良い方ではないが…

 香水の産業が活発なリューンのブランドは全部覚えているし、どんな心理作用があって、どの年代のために作られたか、なんていう蘊蓄は誰にも負けない。
 自前でブレンドしたオリジナルの香水は自信作。
 副業採用のきっかけになったくらいで、店主さんが私の名前で出さないか~なんて誘ってくれてる。

 数日前までの私は、それはそれは腐っていた。
 お金は無いし、稼ぎ方は知らないし、そのくせお腹ばかり減るので、泣きそうだった。

 市民税取られたくなくて、歓楽街の廃墟に潜伏して、通りすがりの助平なお兄さんからこっそりあるものを戴く。
 そのあるものは植物や虫からもそれは取れるのだが、微々たるものだった。

 おかげで心が荒むわ、飢えるわ、散々だった。
 ま、逞しくはなったけどね。

 香水の知識の多くは、そんな頃、歓楽街に来る行商人や消費者の女性たちから仕入れた。
 実は、脇の路地や壁の向こうで聞いてただけなんだけど。
 
 そう、香水の消費が最も多いのは、貴族の女性と夜の女なのだ。
 
 夜の女っていうのは、売春や風俗やってる女の人のこと。
 何時の世も、助平な男は後を絶たない。

 特に娼婦さんたちが、ばかすか香水を使う。
 事に及んだ後、嫌な臭いを消すためだ。
 香水は高いけど、相手が萎えてしまったら、お仕事にならない。
 所謂、商売道具である。

 本当はお風呂に入りたいんだろうけど、こういう大きな都市で水はとても貴重なのだ。
 歓楽街ともなれば、飲み水や生活用水まで澱んでいて生臭い。
 水桶にボウフラが泳いでいることなんて、日常茶飯事。

 だからお酒が沢山売れるし、染みついた生臭い悪臭を隠すために香水が大切になる。
 ものによっては虫除けを兼ねてるって、知ってる人は少ないだろう。

 高級な娼館には少ないけど、梅毒や淋病といった花柳病(性病)に苦しむ娼婦さんも多い。
 酷い話だが、病気で出た膿の悪臭を隠すために、香水を使う娼婦さんもいる。

 世知辛い世の中である。

 そんな苦しい生活の場の近くにいて、実用的にもなる香りぐらいは、楽しみたかった。
 悪臭を消すと、別世界に来たみたいで安心出来たし。
 
 買うお金なんて当然無いから、捨てられていた香水の瓶を集めて、残って無いか瓶をひっくり返し見てるうちに、もっと詳しくなってしまったわけだ。

 香水の瓶はお洒落で高価なので、ひびが入ってるとか割れてるのでなければ、再利用が普通。
 私のこの趣味は、瓶を原料に戻して売る人たちに恨まれるので困難を極めたけど、冷や冷やしながら結局続けていた。
 
 何の因果か、その時得た知識が、今の仕事ではすごく役立っている。

 『小さき希望亭』の娘であるクリスティアーネ…通称娘さんは、生粋のリューンっ子で、香水には詳しく、仲良くなるきっかけになった。
 働いてるお店では、お客さんに蘊蓄を披露すれば喜んで買ってくれるし、香水の話は楽しくて時間を忘れてしまう。

 まったく、世の中どう転ぶか分からない。

 腐ってた頃は、「もう死にたい」とか真面目に悩んでたけれど、今の私は結構幸せだった。


 食事をしていると、不意に隣に誰か座る気配がする。
 軟派野郎なら、隣に移るか毒の一つも吐こうとして、その人が〈彼〉であることに気付いた。

 同然そんな不遜な考えは、全部撤回。
 私が出来る最上の笑顔で話し掛ける。

「お早う、シグルト」

 彼は、何時もの様に苦笑して、「お早う」と返してくれた。

 …そう、彼こそ“風を纏う者”のリーダーにして、この宿の中心人物であるシグルト。
 
 名前が竜殺しの英雄と同じだが、それがこれほど似合う人も珍しい。
 背が高くて、凄く綺麗な顔立ちで、神秘的な瞳をしている素敵な男性だ。

 容貌も魅力的だが、天がここまで贔屓して贈り物をした人はいないだろう。
 強くて教養があって、医術の知識や魔法にまで通じている。
 
 軽い嫉妬とともに、誰からも注目される、そんな人。
 そして、私をあの掃き溜めの様な地獄から救ってくれた、大好きな人だ。

 …仕方ないでしょ?
 ただでさえこんなに格好良いのに、私を救ってくれた騎士様だったんだから。

 彼との出逢いは何というか…ええい、言ってしまおう。

 私はサキュバスで、最初は捕食者みたいなものだったのだ。

 サキュバス、というのは女淫魔のこと。
 ちょっと卑猥な種族名かもしれないが、本来のサキュバスは、何というか淫靡なイメージがある。

 まあ、男から精気(生気)を、交わって奪うから当然なのだが。
 
 私もそういうことしてたかって?
 いいえ、してません。(きっぱり)

 …ここからは身の上話になるのだが、私の場合はかなり特殊だったのだ。

 私は事に及ばなくても、触れれば精気を奪い取れるのである。
 だから、男の人とそういう関係になったことは一度も無い。

 本来この能力は、上位の淫魔でなければ使えないものだ。
 やり方としては、「精気を奪う見返りに快楽を与える」という淫魔の王道からは、邪道扱いされるらしい。
 さらに私の場合、飢えた状態でなければ力をコントロール出来るし、万全の時は生物以外の様々な物体からも、精気として力を吸収出来る。

 言ってみればサキュバスでも、超の付く異端だったわけ。
 旅するうちに、同族にも会ったけれど、思いっきり不良品扱いされた。

 相手に接触するために、魔法の鎖で相手を呪縛する呪術も使えるのだけど、これは旅で出会った同族に習った。
 でも、結局私をまともな同族として見てくれない彼らの元にもいられず、流れてこのリューンにやって来た。

 この都市はとても広くて、隠れる場所には事欠かなかったけれど、同時に官憲やら教会やら、私たちの天敵もうようよしていた。

 私は生きるために適当な獲物を見つけて精気を奪って気絶させ、何とか逃げ回っていたのだが、頻繁に食事するとやばい勢力に狙われるので、都市伝説に溶け込む程度に仕事を控えてやっていた。
 それに、こう言うと変かもしれないが、私は人から精気を奪うのがものすごく嫌。

 この〈吸精に対する嫌悪感〉こそ、私が同族と一緒に居られなかった一番の原因である。

 本来のサキュバスたちは、獲物の男性から精気を吸い尽して殺すことをなんとも思わない。
 快楽のうちに殺すのだから、感謝されてしかるべき、なんて考えてるのもいる。
 つまり、嬉々として食い殺すことが出来なければ、彼女たちの仲間にはなれなかったのだ。

 でも、空腹になった者は、人でもサキュバスでも関係なく、荒む。
 食事をするには嫌悪する力を使わねばならず、食事をしないと飢える。
 
 シグルトに出会った頃の私は、この矛盾に疲れきっていて、半ば自棄になっていた。

 最初にシグルトを見つけた時、私は容姿端麗な彼からなら力を吸い取っても平気かも知れないと思った。
 嫌悪する力でも、食事をしなければ七転八倒の苦しみだし、どうせやるなら誘惑に負けたって形にしたかった。
 体の好い言い訳を作ったわけね。

 サキュバスって種族は、所謂〈男好き〉のする物凄い美人(これは種族的進化だと思う)が多くて、大抵の男の人は、花に吸い寄せられる蝶の様にふらふら寄って来る。
 特に飢えてる時のサキュバスは、生存本能が働くのか、男を誘う魅力が全開になる。

 一度私の淫気に当てられて、振り切るまでひたすら追い掛けて来た男の人がいたけど、あれは完全に正気を失っていた。
 私の魅力全開で誘えなかった男の人は、今まで一人もいなかった。

 だがシグルトは、その魅惑にまったく、これっぽっちも靡かなかったのだ。
 挙句、お説教されました…

 結局私は、飢えに耐えきれず彼から精気を頂戴したのだけど(もちろん手を握って、楚々とやりましたよ)、彼に対して特別な執着を…要は私の方が魅了されてしまっていた。
 それに…別れ際の彼は、私と同じ様な孤独を分かる瞳をしていた。
 
 次の晩に会う約束を無理やりして…果たして、彼は来てくれた。
 しかも、律儀に私と決別をするためにだ。

 彼は、私の中に死んでしまった知り合いの女の子を見てたので、正体に気付きつつ優しくしてくれたらしい。
 でも、そういうのは私に失礼だからって、はっきりともう会わないって、別れを告げて来た。

 私は無我夢中で彼を引き止め様として、全開で彼から精気を吸ってしまった。
 
 気絶したシグルトを見て、私は殺してしまった~と、慌てたが、幸い彼は生きていた。
 彼はすでに私の正体を完璧に看破していて、対策を立てていたのだ。 

 無我夢中で隠れ家に彼を運んで、介抱して…起きた彼に、いつの間にか私は、溜まっていたものを吐き出す様に、身の上話をした。
 そうして、自分の節操の無い力にほとほと嫌気がさしていた私は、一通り身の上を告白した後、彼に殺してくれと頼んだ。

 シグルトはそこで、憐憫も敵意も無く、私を叱りつけた。
 いかに私が身勝手なことを言っているのか、激しい口調で叱咤し、そして私に生きる様に言ったのだ。

 もし私が少しでも生きる気があるのなら、自分が手を貸すからと。

 恥ずかしい話、私は泣いてしまった。
 ただの同情では無い、そんな優しい言葉をかけてくれたのは、彼が生まれて初めてだったからだ。

 後は彼に導かれるまま、『小さき希望亭』にやって来た。

 シグルトが凄かったのはここからで、何と私に近しい魔物の伝承から、精気の代わりに飢えを満たす代用品を見つけ出してくれたのだ。
 私もまさか、【柘榴酒】があんなに効くとは思いもしなかった。

 こうして私は、人並に生きる手段を得たのである。

 さらにシグルトは、私が生活出来る様に、様々な手を打ってくれた。

 さっき紹介したお店の仕事や、私の身元保証人を作る交渉、宿に冒険者として登録するための口添えや、後々市民権を取ることが出来るよう前準備。
 当面の生活費と宿代、武具や装備品(お下がりだけど)。
 冒険者として生きて行くための知識の伝授と、教育まで…

 彼は、道端で出会って命を奪おうとまでした私を、「約束したから」と一言で済ませて、救ってくれたのだ。

 私はシグルトに一目惚れし、励まされて惚れ直し、救ってもらって虜になった。
 完全に参ってしまった、というやつである。

 だが、シグルトのストイックさは化物だった。
 多分、淫魔の女王が魔力全開で裸で迫っても、失せろとばかりに睨み返して終わるだろう。

 私もここ数日で何度もモーションを掛けたが、惨敗だ。
 唯一の救いは、他の女性たちも尽く敗れ去っているので、彼が色恋沙汰で陥落する心配はまず無い、ということぐらい。

 つい先日も、なんと2人っきりで依頼をこなし(彼が私に冒険者のやり方を教導するという目的だったが)半日一緒にいたのだが、した話といえば、熊やら仕事のコツの話ばっかり。
 恋や色気なんて、どこの世界の話って雰囲気だった。

 親父さんなど「まあ、シグルトなら間違いは決して犯さんだろう」と断言していたし…
 2人っきりの状況をやっかんだ娘さんやゼナ、レシールに至っては、「どんな風に振られたの?」と、敗北前提で話を聞いてくる始末…ええぃ、駄目でしたともっ!

 でも、私は諦めるつもりなど無い。
 例え、シグルトが何かとち狂ってこれから先恋人が出来たとしても、奪うか二号さんになってやる、ぐらいのつもりである。

 不良とはいえ、私はサキュバスだ。
 奪う恋は、その領分。

 だが、そんな決意を新たにしている私の横で、当のシグルトは幸せそうに朝食を頬張っていた。


「ね、シグルト。

 今日は私に付き合ってくれない?」

 健康のために良く噛んでしっかり食べるシグルトの、ちょっと長い食事が終わるのを待ち、私は切り出した。

「ふむ。

 どういったことをだ?」

 〈デート〉と言いたいところだが、冗談も本気も通じないだろうからとりあえず飲み込む。
 要は、誘うのが先決だ。

「引っ越し。

 前に住んでたところから、お気に入りの家具を持ち帰りたいの」

 言ってみて思わずにんまりする。
 私自身、この宿が帰る場所だと認識していることが、ちょっと嬉しい。

「もしからしたら、力仕事があるかもしれないし。

 …駄目?」

 シグルトは、こういう頼りかたをすれば、先約が無い限り引き受けてくれるはずだ。 
 
「…好いだろう。
 俺も、教導の続きを進めておきたかった。

 話しながらで良ければ引き受けよう。
 君の今後に関して、少し思うところもあったしな。

 だが、今日の仕事は休んだのだろう?
 明日は必ず店に出るんだぞ。

 あの店の店主さんは、時間が空いてる時だけでいいと言ってくれたが、あれほど好条件の仕事は中々無い。
 落ち着くまでは止めさせられない様に、励んでおけ」

 あ、おんなじこと考えてたんだ。
 ちょっと嬉しい。

「うん!」

 私は元気に返事をして、準備をするために、自室に向かった。


 現在、シグルトが私にやってくれている〈教導〉なるものがある。
 
 これば冒険者たちの伝統みたいなもので、後輩冒険者に先輩の冒険者が技術指導してくれることである。
 他の呼び方もあるらしいが、『小さき希望亭』ではこう呼ばれている。

 「冒険者なんて所詮ライバル同士なんだから、失敗しつつ覚えるべき。後輩なってほっとけ」…なんていう放任主義な宿もあるらしいけど、うちの宿は、主人も所属メンバーも、そういうのに真っ向から対抗する姿勢だ。

 宿に所属するメンバーの死や失敗は即宿の看板に泥を塗り、宿の冒険者全員の仕事にも影響する。
 冒険者は人気商売なのだから、この考えは正当だと思う。

 それに、冒険者の失敗は=死亡というシビアな一面だってよくあるのだ。
 同じ宿のメンバーが死ぬのって、気分も悪いよね?って話になる。
 
 有能な人材を育てつつ、宿の名声を高めて組織力強化していくことが、教導の目的である。
 それと、指導した後輩は先輩の意向を尊重して協力するし、後輩は先輩冒険者がこなし切れない仕事を紹介して貰える。

 まさに相互扶助。
 
 『小さき希望亭』は、〈相互扶助〉を特別重んじる宿として、小規模なのにもかかわらず、リューンでは一線を画している冒険者の宿なのだ。
 斬新と言ってもいい。

 実は、他の宿の場合、仕事…依頼の獲得って、ほとんどが「早い者勝ち」なのね。
 同じ宿の専属メンバー同士でも、仕事を取り合って喧嘩が起きることがある。

 ところが、うちの宿は基本的に「譲り合って恨まない」が原則。
 シグルトの属してる“風を纏う者”なんかは、この宿に来る彼ら目当ての仕事を吟味して、ほとんど後輩や宿のパーティに譲っちゃう。

 仕事が無ければ、出稼ぎやコネクションで仕事を探すか、先輩冒険者や宿の親父さんが、冒険者それぞれの技能で出来る仕事を見つけ斡旋する。
 特に、自分の名前で宿に紹介した冒険者の面倒は、紹介したも者が責任を持って見る、という規約まである。

 結果、このスタイルが大当たり。
 秩序がしっかりしてるって評価されて、公的機関から仕事を貰える様になった。 

 うちの基本になったこのスタイルの立役者は、『小さき希望亭』の親父さんとシグルト。
 2人とも、ほんと凄い。

 特にシグルトは、東方の難しい軍学書の知識があって、早いうちから無秩序な冒険者のスタイルに異を唱えていた。

 …冒険者って、場合により山賊やちんぴら扱いされてるの。

 まぁ一分の冒険者が、〈遺跡探索〉なんていう盗掘まがい(このため盗賊用語で冒険者は〈穴熊〉と呼ばれる)や、悪漢討伐にかこつけて乱闘騒ぎ起こしたり、自由=身勝手を勘違いして各地で問題起こしてるのがいるんだから、そういう評価も仕方ないんだけど。

 シグルトは、パーティ結成の頃から「自分たちの立場を守るために、規則や秩序はそれなりに必要だ」って主張して、自分たちの“風を纏う者”で実行し始めたのね。
 親父さんはそれを支持して、思い切って古株の不良冒険者に、「ルールを守るか、別に行くか」投げかけたの。
 
 この背景には、ある事件が関わっていた。

 うちのもう一つの主力パーティである“煌く炎立ち”が結成して間も無い頃のこと。
 そのメンバーであるゼナが、生意気な少し後輩冒険者と乱闘騒ぎを起こしてしまったのよ。

 話を聞いてみると、短気なゼナも悪いんだけど、その後輩たちのリーダーだった魔術師が、〈出し抜き契約〉っていう反則をやったことが原因だったらしい。
 
 〈出し抜き契約〉というのは、宿に来た依頼を、受けるはずの冒険者を出し抜いて、先んじて依頼主と契約を結んでしまうこと。
 今の『小さき希望亭』では、やれば即出入り禁止だ。

 “煌く炎立ち”は親父さんから確約貰ってたので、短気な性格から“炎の猛女”なんて呼ばれてたゼナの怒ること…
 その魔術師は、腕っ節の強い彼女を馬鹿にした次の瞬間、鼻を折られて寝込む羽目になった。

 そのまま乱闘になって、居合わせたマルスと駆け付けたシグルトで止めたんだけど、壊したもののツケで、暫くの間“煌く炎たち”は随分苦しい思いをしたらしい。

 不遜にも、その魔術師とそのパーティは、ゼナの宿追放を親父さんに迫ったのね。 
 ところが…親父さんはゼナを擁護して、魔術師の〈出し抜き契約〉を叱った。

 面子を潰された魔術師は、親父さんに暴言を吐いて、『小さき希望亭』の他のメンバーを先導したの。
 「そんなエコ贔屓するなら、俺たちにも考えがある」ってね。

 あわや、宿分裂ってところで、親父さんはそういった不良冒険者に、さっきの選択を迫った。
 それを機に、実力派だけど高飛車で乱暴だったのや、専属を止める冒険者が相次いで、うちの専属パーティは新米2つっきりになった。
 
 これは、シグルトたち“風を纏う者”の台頭が面白くなかった先輩同輩冒険者の嫌がらせや、元々厳しかった『小さき希望亭』の綺麗過ぎるスタイルに対する、抵抗でもあったみたい。
 ま、この事件が起きる直前に、宿の最強メンバーが相次いで引退してしまったので、『小さき希望亭』で活動するモチベーションが低下してたってこともあるんだけど。

 不良冒険者たちが一斉に宿を辞めたのが春季だったから、この事件〈春風騒動〉と呼ばれたわ。
 まあ、うちの宿はもともと小規模だったので、こんな呼び方や実際に事件があったことを知ってるのは、残ったメンバーくらい。
 
 そうやって傾きかけた『小さき希望亭』を、“風を纏う者”や“煌く炎立ち”のメンバーは必死に守ろうとした。

 『小さき希望亭』の根本になる規則や、後輩育成の綱要(マニュアル)、柵が無いからこそ出来る新しいコネクション、冒険者の家族に出来る孤児の引き取りから発展した孤児救済機関…
 親父さん、シグルト、専属で一番古株の“風を纏う者”のレベッカという人と、“煌く炎立ち”のリーダーであるマルスが中心になって、うちの宿の新基準がまとまったってわけ。

 それがつい最近のことだ。

 シグルトは、元々こういう組織編成の素質があったみたいで(聞いた話では、故郷で16歳の時に、民兵の自警組織作って盗賊討伐とかやってたらしい…凄!)、サポートしたレベッカって人がこれまた盗賊ギルドみたいな裏の組織に特別詳しい人だったの。
 
 数か月で、大改革をやっちゃったわけね。

 騒動の後、シグルトたち“風を纏う者”は、拠点をフォーチュン=ベルやアレトゥーザ中心で活動してたらしい。
 『小さき希望亭』経由の仕事が激減してたし、自分たち新人に対するやっかみの目をそらすこと、宿の名前の宣伝なんかも目的だったらしいんだけど…

 「“煌く炎立ち”に、汚名を雪ぐ機会をくれたんだ」と、マルスが言っていた。
 素敵な話よね。

 話を戻そう。
 
 うちの宿の〈教導〉は、こういった教訓を踏まえて、冒険者が問題を起こさないための規則や生き方を叩き込む。
 だから、〈教導〉なんて硬い呼び方するのね。

 私も、シグルトの生徒として〈教導〉を受けている。

 そしてつい先日、シグルトの実習第一号の生徒になる、という幸運に恵まれたの。
 その時のシグルトってば、とても初めて〈実習教導〉するとは思えないしっかりとした教育をしてくれた。
 
 スパルタだけど、とてもいい経験になったし、ちゃんと実戦も経験出来た。

 …私は今幸運である。
 シグルトという、師であり恩人であり好きな人と一緒にいられる。

 一緒に並んで歩きながら、また彼のことを考えていた。
 そんな時間さえ、とても愛おしかった。
 

 考え事しながらにやけている間に、目的地についていた。
 
 そこは、あの時のままだった。
 そりゃそうか、だって一週間も経ってないもの。

 あの頃の私に相応しい、寂しい部屋だ。
 微かに、私の香水の匂いが残っている。

 部屋を見廻して、覚悟を新たにする。

 …私はこの部屋に来ることを決めた時、ある決意をしていた。

 本当は、その気になれば、引っ越しなんてすぐに済む。
 私が持ち出そうとしているお気に入りのテーブルは小さくて、女でも軽々と持ちあがるからだ。

 私の本当の目的は別にあった。
 それは、彼…シグルトが一緒でなければ出来ないことだ。

 当のシグルトは、物珍しそうに、その部屋の壁画を見ていた。
 それは、ある聖人の物語の様である。
 
 身を犠牲にして殉教する聖人の姿はとてもシュールで、夢の中の話みたいだ。
 正直、ここまでする聖職者の気持ちは理解出来ない。

 身を犠牲に出来るっていうことは尊いのだろうけど、ここまでした聖人を救ってくれない神様は酷いと思う。
 そして、犠牲になることを美談にして騒ぎ立てる後の人たちも。
 それは、大衆や大義のために犠牲になることは、正当だといってる様だからだ。

 本人がその気ならば、それは尊いかもしれない。
 でも、犠牲を出して助かる側が、それを求めるのは間違ってると思う。

 だって、「必要なら生贄になれ」って言ってるのと同じでしょ? 

 …壁画で派手に飾っているけど、此処はがらんどう。
 描かれた絵の様に現実感が無くて、空虚で、拠り所が無い。

 だから、この場に彼が必要だった。

「…目的の物は、このテーブルだったな。

 この程度なら、すぐに梱包出来るだろう」

 慣れた様子でシグルトは、毛布にテーブルを包んでいく。
 
「この包み方は、家具類全般に使えるから、覚えておくといい」

 「わかったわ」と頷きつつ、横で私は微笑んでいる。

 こういう彼も好きだ。
 何時でも師の様に私を導いてくれるから。

 側で見ていると、シグルトは手際良く作業を進めて行く。
 コツを丁寧に説明している彼の横顔は、とても奇麗だ。

 でも、その美貌には似合わないほど、その手は胼胝と傷にまみれている。
 彼が、毎朝激しい鍛錬で刻んで来た強さの証。

「あ、そうやってクッションにするのね?」

 丁寧に、慎重に、彼はテーブルを包んでくれる。
 まるで私の思い出を包もうとしてくれてるみたいだ。
 彼の優しさは、言葉よりも行動にある。
 少し不器用な、彼らしい。

「…案外、ロープはこういった木製の品を傷つけるからな」

 そうして何時もの苦笑。
 彼は何時も、こんな風に苦しげに笑う。
 まるで、心の底から笑うことを戒めているかの様に、つらそうに。

 数日シグルトを観察していて、気付いたことがある。

 彼は、研ぎ澄まされた刃物の様に鋭くて、綺麗で、どこか武骨で…とても儚い。
 その生命の迸りも、燃え尽きる前の炎の様に激しくて、弱々しいのだ。

 だから信じられる。

 彼は、弱さを持ち、弱さを知り、だから強くなれた人だと思うから。
 深い深い闇を抱え、それでも生きることを選び、同じ様に生きる道を私に示してくれたから。

 私は旅をする中で、虚栄に満ちた人たちを沢山見て来た。
 生きる者は、何かしら弱さや背徳を抱えている。

 それを自分から認めて、背負って行く人はとても少ない。
 言い訳をしたり、偽善に満ちた正義感を振るったり…醜悪な姿が満ちている。

 でも彼は、そういった自分の中の醜さと向き合って、だからこそ高潔になろうと努力している。
 彼の見つめる先はとても高い所で、至るために身を律し、進むことが出来る強い人だ。

 …本当は、テーブルのことはあんまり大切じゃなかった。
 こんな風に一生懸舞いな彼には悪いのだけれど、彼とだから踏み出せるきっかけが欲しかったのだ。

「…よし。

 こんなものだろう」

 シグルトが梱包を終えたことを告げた。

「…ん。

 じゃあ、ちょっとだけ待ってて」

 私はおもむろに、彼の後ろにあった棚に近づく。
 そこには、木製の小さな箱が置かれていた。

 【音聞き箱】と呼ばれる機械仕掛けだ。
 捻子を捲き、蓋を開けると曲が鳴る。
 ドワーフの細工師ぐらいしか作れない、高価な品だ。

 それを高く、両手で持ち上げる。
 頭を超える位置まで掲げ…そして床に叩きつけた。
 
 飛び散った木片が服を叩き、跳ねた釘が頬をかすめていった。

「…ふう」

 溜息とともに、ずっと昔の記憶が溢れ、思い返された。


 私の生まれた場所。
 
 それは、山奥の名も無い小さな村だった。

 父は最初からおらず、ただとても奇麗な母が側にいた。
 何時もその美しさに見とれ、見上げていた様に思う。

 私が15歳になった頃、私は他の人間とは違っている自分に気がついた。
 その力を知ったのはもっと前だけれど、それがとても危険で嫌な力であると気付いたのは、悲しい思いをした後だ。

 その日、夕食の魚を獲ろうと、私と母は村近くの浅い川に来ていた。

 海老や魚を取る小さな網を用意している母の横で、彼女が喜んでくれると信じて、私は「効率の良い方法がある」と、川に手を突っ込んだ。
 そして、水の中から精気を奪い取る。
 
 すると、虫や蛙と一緒に、ぷかぷかと沢山魚が浮いて来た。

 「ね?」と自慢げに振り向くと、美しい母の顔は見る影もなく恐怖に歪んでいた。
 そのまま、母は逃げ去って家の扉を閉め、私が泣いて懇願しても、扉を開けてくれなかった。

 不意に窓から、小さな旅行鞄が投げられ、私の横に転がった。
 すぐに、雨戸まで閉められる。

 鞄の中には、幾許かの銀貨と食べ物、そしてこの【音聞き箱】が入っていた。

 私は、箱から流れる音色がとても好きだった。
 珍しい品なので誰も持っていなかったし、もの心付く頃からずっと、寝る時は子守唄代わりにその音色を聞いていたのだ。

 茫然として、導かれる様に箱を持ち上げると、中に手紙が入っていた。

 母からの別離を告げる、簡素な言葉。
 そして、人間のいる町で暮らせと締めくくっていた。

 今思えば、母もサキュバスだったのだろう。
 母は何かに脅え、そして力を隠し、村にいたのだ。
 そして、私が異端の力に目覚めたから、村人に殺される前に追放しようとしたのだ。

 手紙には、沢山の新しい涙の痕があった。


 シグルトは、壊れた箱の前で立ち尽くす私を、静かに、でも優しい目で見つめていた。
 そして、不意に私の頭を撫でる。

「…この箱ね、故郷を追い出される時に母親から渡されたものなの。

 開けるとね、綺麗な音が鳴る仕掛けがしてあって、子守唄代わりに何時も流れる曲を聴いていたわ。
 そうすると、ぐっすり眠れたから」

 その続きを言う前に、シグルトは少し強く頭を撫でた。

「過去との決別は、出来たか?」

 染み入る様な優しい声で、彼が聞いた。
 彼は、分かっていたのだ。

「…過去を壊しても投げ捨てても、自分という過去までは捨てられない。
 
 でも、何かの象徴を捨て去ることは、進み出すきっかけになる。
 俺も、そうだったからな」

 言葉に滲むシグルトの本音に、私は思わず彼を見上げる。
 彼は優しい目のまま、一度だけ強く頷いてくれた。

 私の中のわだかまりは、その笑顔を見ただけで木端微塵に消し飛んだ。
 そこに転がってる箱の残骸の様に。

「…ん。

 帰ろうか」

 私がそう言うと、シグルトは頷いて、包んだテーブルを持ち上げた。

「ね、手、繋いでもいい?」

 甘えてみると、シグルトは撫でていた手を拳にして、軽く私の頭を小突いた。

「あたっ!」

 実はそんなに痛くないが、思いっきりおどけて見せると、シグルトは深いため息一つ。

「…調子に乗るな」

 何時もの仏頂面に戻ったシグルトは、私を置いて部屋を後にする。
 
 …何?
 こんなところまでスパルタ?
 
 もう、私、頑張ったのよ!
 過去を捨てるのって、凄く怖くて、大変なことなんだから…

 むっとした私が追いかけようとすると、彼は外で立ち止まり空を仰いでいた。
 待っていてくれたらしい。

 …ちっ、仕方無い。
 今回はこれで妥協しておくか。

 私は、彼の背中に向けて走り出す。

 外はすっかり昼の日差しになっている。
 部屋に入って少ししか時間が経っていないはずなのに、随分時間が経っていた様に思う。

 追いついた時、シグルトはまた歩き出した。
 彼の長い又下は驚異的な歩幅を約束している…足早っ!

「ねぇ~、待ってよぅっ!!」

 悪魔を捨てた〈私〉。
 人間になった〈私〉。
 
 でも、彼のことでは小悪魔に戻る。
 それは、シグルトという好い男を捕まえたい〈私〉の本能かもしれない。

 とても彼は難敵だけれど。
 何時の日か振り向かせたいから、頑張り続けてみよう。

 
 …しばらく拗ねた調子で言いたてて、彼の周りを歩いていると、彼は宿に行く方とは違う場所に向かった。

 どこに行くのだろう、とついて行く。
 荷物はシグルトが持ってくれてるから楽ちんだし、彼と歩く時間が増えるのは嬉しい。
 
 そうして、しばらく行くと…
 その先には、薔薇の花が一面に咲き乱れる庭園があった。

「うわぁ…」

 リューンにこんな綺麗なところがあったとは、知らなかった。
 シグルトって、ちょっとミステリアスなところがあるけど、人が知らないその一面を垣間見た気がする。

 薔薇園には、庭師らしいお爺さんと、此処の主らしい優しそうな貴婦人が立っていた。
 シグルトは、老人にお金の入った袋を渡すと、薔薇の活けられた凄く小さな鉢を貰い、婦人に頭を下げる。

 2人は顔見知りの様で、婦人はにこにこ笑って、姿勢を直す様に勧めていた。
 シグルトは言葉に甘え、私に軽く目くばせする。

 彼の意図を汲んで、私も一礼した。
 婦人は優雅に会釈して返すと、老人を伴って去って行った。

 婦人を見送った後、シグルトは側までやって来て、その可愛らしい鉢を私に差し出す。
 手乗りサイズの小さな鉢の上で、可愛らしい赤い薔薇が一輪、咲いていた。

「新しい門出のために。

 辛いこともあるが、この薔薇の様に気高く咲ける様、励むといい」

 ええ、私に?
 プレゼントって奴?

 うう、スパルタの後、これは反則…

 私は、思いっきりにやけそうになる頬を何とか保っている。
 やばい、泣きそう。

「…薔薇の花は、薬にも香水の原料にもなる。
 君はクリス嬢(宿の娘さん)とよく香水の話題で盛り上がっていたからな。

 鉢植えなら持って歩けるから、冒険者として旅立つ準備が出来るまで、育ててみるといい。
 育て方は、話を通しておいたから、さっきの老人に聞けば教えてくれる。

 その鉢は魔法の品でな…少し値は張るが、大地の精霊力が薔薇に活力を与え、生かしている。  

 それに、この薔薇はちょっと特殊だ。
 慈しんで育てた花には、彼女たちが宿る。
 
 君には、見えないか?」

 …え?
 
 シグルトの言葉に従って、私がよくその薔薇を見てみる。

 何とそこには葉っぱで出来た服を着て、掌に乗れるサイズの可愛らしい姿の女の子が座っていて、私をにこにこと見つめていた。
 彼女は私の視線に気付くと、ぺこりとお辞儀をした。

 うわ、可愛いっ!
 何これ?

「…やはり見えるな。
 君には、精霊術師の資質がある。

 薔薇は、香りを司る精霊が宿るとされ、珍重されて来た。
 君は香りに詳しいみたいだし、彼女たちとの相性がよかろうと思ってな。

 それに君は、人ならぬものの気持ちが分かるだろう。
 稀有で、尊い才能だ」

 そう言うと、シグルトは私の頭の上に薔薇の葉っぱをちょこんと置いた。

 「彼らしくない悪戯だ」と困惑しつつ、ふと私は、香水関係から何時の間にか覚えた、花言葉を思い出す。
 薔薇の葉の花言葉は…「頑張れ」あるいは「希望あり」。

 私が言い知れぬ感激で震えていると、シグルトは「では帰ろうか」と何時もの調子で歩き出した。
 
 そうか。
 シグルトはもうすぐ仲間の元に還る。
 だから、私が寂しくない様に、この花をくれたのだ。

 同時に、頑張ろうな、という意味。

 …うん、頑張るよ!
 私はそう心で返事をして、彼の広い背中を追いかけた。



 シグルトの珍道中、外伝的な位置づけになった『甘い香り』の後日談、『私』。

 アンジュの独白風に話が進む、いつもとは違う文体でのお届けです。
 このあたりはタイトルを意識しています。

 ちょっと宿の裏事情やら、感性豊かな女の子の視線を描いてみましたが…
 正直男の私が、女の子の繊細な心理描写が出来たかどうか。
 ちょっとチャレンジャーだったかな、と書きつつ戸惑ってました。

 異性の心理は描くのが難しいですね。
 特にアンジュの様な、深い内面を持ってる女の子って。

 
 作者の楓さんには悪いと思いつつ、アンジュの立場や趣味を勝手に設定してしまいました。
 Y2つのリプレイ仕様ということでお許し下さい。

 香水が趣味、というのは前作のタイトルと、アンジュの住んでた場所、そして種族的にマッチングしたものかな、と思ったので。
 それに、リューンはフランスの一都市をモデルにしているので、本場かなぁと。
 こっそり拙作も登場させてたりしますが、そこは著作権の関係で扱い易かったからですね。
 よかったら、プレイしてみて下さい。

 ほんのりとぼかしてありますが、Y2つ仕様では、「アンジュは人間に交じって生活しているサキュバスの子供で、旅の途中で同族に出逢ったが、合わずにまた分かれて一人でいた」みたいな扱いにしてあります。
 楓さんの公式設定では、もしかしたら「サキュバス村出身」ということなのかもしれませんが、呪縛スキルを習ったエピソードを入れておきかったので。

 私のリプレイで、連れ込んだNPCはちゃんと活動します。
 その話限りって寂しいですし、同時に新しい人間関係が膨らんでいくのって楽しいでしょう?

 まあ、師であるシグルトはかなりスパルタで、このシナリオの甘々な雰囲気と比べると、イメージが違ってると思いますが。
 それでも、私なりにかなり冒険した表現を使っています。

 私の文章はくどくていけないのですが、詳細な描写ぐらいしか得意分野が無いので…困ったものです。
 たまに、それも大ポカやりますし。

 ともあれ、恋する女の子のアンジュが、上手く描写出来てることを祈るばかり。
 
 実は、菅野よう子のバンド「シートベルツ」の『SPACE BIO CHARGE』に収録された『I do』という曲を聴きながら、イラリア・グラツィアーノの美声に酔いしれて書いてました。
 タイトルを直訳すると、「私はそうする」。
 音楽は偉大ですね~、乗って書けました。
 歌詞が分かってないですが。


 最後のプレゼントですが、シグルトが600SP出して、拙作『風鎧う刃金の技』から【芳しき薔薇】という召喚術を買って手渡した扱いです。
 薔薇の葉っぱの「頑張れ」という花言葉と、アンジュに匂い系のスキルを持たせたかった、私の個人的な意図が働いてます。
 丁度、適性はアンジュ向きですし、純精霊術師で無くても使えるのがポイントです。

 ついでにスキルを一個ずつ残して、後は売って800SP作ってもう一個スキル(【茨食む口吻】)を買い、残った200SPを『ある日森の中』の報酬800SPと加えてアンジュの所持金を1000SPにし、シグルトから独立させました。

 私は同一スキルを何枚も持たせるスタイルが苦手で、多少弱くなっても「多彩に」装備させようとします。
 アンジュの改造計画は、『甘い香り』のタイトルから、いつかやろうと思っていたのですが、お金に余裕があったので一気にやってみたのですが、悪いチョイスでは無かったと思います。

 シグルトの所持金はちょっと減りましたが、面倒をちゃんと見ている表現になったかと。
 彼の所持金は、現在2555SP。
 まだ十分あります。

 えらく細かいことやってますね…

 このシナリオは心理描写がとても繊細です。
 アンジュを連れ込んでいるなら、是非やってみて下さい。

 私は個人的に、テーブルを横で眺めて相槌うってるアンジュが微笑ましくて好きです。


〈著作情報〉2009年07月24日現在

 『私』は楓さんのプライベートシナリオです。現時点で下記サイトで配布されています。
 シナリオの著作権は、楓さんにあります。
  
・楓さんサイト『Fleur de cerisier』
 アドレス: ■ttp://blog.goo.ne.jp/kaede_015/(■をhに)
 
 カードワースはgroupAskに著作権があり、カードワースの管理、バージョンアップ、オフィシャルな情報等はgroupAsk official fansiteにて、カードワース愛護協会の皆さんがなさっています。
 このリプレイは各シナリオをプレイした上で、その結果を小説風リプレイとしてY2つが書いたものです。
 書かれた記事、書かれる記事は、特定のシナリオの名前が出たときは、そのシナリオの著作権はすべてそのシナリオの作者さんにあります。
 
 また、リプレイ中に使われる内容には、各シナリオで手に入れたスキルやアイテム、各シナリオに関連した情報等が扱われることがあります。
 それらの著作権は、それぞれのシナリオの作者さんにあります。
 またカード絵等の素材に関しては、シナリオ付属の著作情報等を参考にして下さい。
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この記事のコメント

はじめまして、シャプリスといいます。
いつも楽しく読ましてもらっています。

が、汚名は返上するものらしいですよ。
挽回するのは「名誉」らしいです。

と、相棒の杉下右京さんが言ってましたよ。

ということで、これからもブログ頑張ってくださいね。
シナリオも楽しみにしています。
2009-07-25 Sat 00:20 | URL | シャプリス #-[ 編集]
> はじめまして、シャプリスといいます。
 初めまして。

 誤り、直しておきました。
 う~ん、この手の大ポカ、よくやるんですよね。
 気をつけなくては。

 シナリオも、勢いがのった製作再開します。
 本業忙しいので8月のお盆すぎてからかなぁ。

 頑張りますね。
2009-07-25 Sat 01:08 | URL | Y2つ #-[ 編集]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2009-07-25 Sat 02:15 | | #[ 編集]
こんにちは、密かに更新してる狐です。

非公開コメはI doの和訳だったり。
攻殻機動隊に使われてるシーンはかなりクるものがありますので、
機会があったら一見あれ。

しかし、こういう朴念仁な様も「絵」になりますねシグルドは。
こっちのアルト君はこの境地には辿り着けないだろうなあ……。
むしろユスティーナと同じ匂いを感じます。自己犠牲の強いところとか、
本人殆ど無自覚なところとか。
2009-07-25 Sat 02:21 | URL | 鈴鳴らす狐 #-[ 編集]
 いつもお世話になっています。フーレイです。読んでいて何気なくほのぼのしております。確かにモノローグのなかには殺伐としたものもありますが。

 あー、汚名返上と名誉挽回についてはよく間違います。よく間違える例ですね。僕も過去にやってしまいまして親に言われました。だから「汚名返上名誉挽回」と続けて覚えたら間違えないのではないでしょうか。実際僕はこれでがんばってます。

 なにはともあれ、アンジュちゃんのこれからが順風満帆であることを心から祈りつつ。

ちなみに
女性冒険者が少ないのはやっぱり……「女性は早く結婚して~」という風習のある時代だからなんでしょうかねぇ。それかイメージ的に苦手とする女性が多い、とかかしら?
 僕もいくつか宿を持っていますが、女性陣が多いところもあります。
2009-07-25 Sat 12:59 | URL | フーレイ #DEtutM4g[ 編集]
 仕事の関係で、明日から2日ほど留守にします。

 メールの確認等、緊急でも出来なくなりますので、御了承下さいね。

 
>鈴鳴らす狐さん
 歌詞有難う御座います。
 案外、今回のリプレイに合った歌詞でしたね。
 驚きました。

 攻殻機動隊は、サイバー過ぎてついていけないので、無料ムービー一回で見るのを止めてしまったのですが…
 そうですね、機会があったら是非。

 アルトリウス君は、冷静ですけど、若さ(シグルトの場合、内面が年寄りくさいですし)がありますから、今後の行動が楽しみですね。

 シグルトの場合、自己犠牲に関しては、「無駄な犠牲は忌避するけれど、時に自身を犠牲に出来る覚悟は必要」と考えています。
 ただ献身的というのではなく、「犠牲なく終わらせるために努力する」タイプでしょう。
 結果的にシグルトは傷つき、倒れることもありますが、「生還する」という自身への献身も忘れません。

 「自己犠牲」には、様々なとらえかたがあります。
 時に崇高であり、時に愚行となることもあります。
 状況一つで価値も変わってしまう、難しいテーマですよね。

 ユスティーナは、「僧院で教えられて来た倫理的な自己犠牲」の匂いがします。
 犠牲の尊い本質を悟っているのか、あるいはこれから悟るのか…その動向が楽しみですね。
 うちのリプレイで近しいPCといえば、2のエルナでしょうか。立場も似てますし。

 アルト君たちの大暴れ、楽しみです。
 ちょくちょく読みに行かせてもらってます。


>フーレイさん
 私の誤字脱字はいつものことですが、大ポカが多いのは困りもの。
 数度読むのですが、注意力が散漫なのでしょうね、きっと。

 アンジュ嬢の恋はかなり薔薇気分(夢はあれどとげがある)でしょう。
 可哀そうですが、英雄型に恋するとろくなことありません。だって、夭折薄幸、波乱万丈が英雄の性ですから。
 この先彼女がどんな対応をしていくか、私もわくわくしていたり。

 女性冒険者は、きっとリプレイ宿で独占しているのでしょう。
 ほとんどはむさい男の集まりかも。
 宿によっては男女差別とかありそうですね。
 「女だてら」とか「女のくせに」とか。
 
 でも、私は「差別するな!」と真っ赤になって怒ってる人よりも、「女性である美徳も活かす」タイプの女性に凄さを感じます。中世の女傑って、ほとんどこの類でしたし。

 うちの宿の女性は強すぎかも。
 レベッカ姐さんみたいな濃い人多いですし。
 男女差別などやろうものなら、毛をむしられるでしょう。
 くわばらくわばら…
2009-07-28 Tue 16:12 | URL | Y2つ #TIXpuh1.[ 編集]
こんばんわ、楓です。

楽しみながら読ませて頂きました。最近、ちょくちょく遊びに来させて頂いていますがこれだけの質・量の文章を書けるなんて羨ましいですね。彼女に関する設定はあまり意識して無かったので全然大丈夫です(笑)

因みに、『甘い香り』開始前に彼女は同属と一時、行動を共にしていたりします。何故分かったのでしょう(笑)あの装飾画が描かれている部屋の本当の持ち主が…ゲフンゲフン。

今回の『私』のリプレイ記事では、普段とは違う手法でお書きになられたと言う事で…とても彼女のイメージにピッタリだと思いました。あたしは逆に、シナリオ製作の時は基本的にPC・NPC視点で書いているので第3者からの視点で描写を書く事が苦手です。なので、Y2つさんの過去のリプレイ記事も拝見して勉強させて頂いています。近日中に公開するシナリオが第3者視点なので…(汗)

…それにしてもリプレイ記事ってとても面白いですね。あたしに限っては製作者以上にシナリオでの設定が綿密になってますね…今度、書いてみようかしら。


では、『ジゼリッタ』も楽しみにしています!
2009-07-28 Tue 19:50 | URL | 楓 #JalddpaA[ 編集]
 お越し頂き光栄です。

 私の場合、文章を書くにしても、くどくど書くうちにそれなりの文章量になってしまう感じです。
 「あれ書いて、これ書いて…」といううちにいつのまにやら。
 
 アンジュが同胞(サキュバス)と面識があることは、持ってる技能や知識から推測しました。
 彼女は、何も知らない村娘からすれば、自分の能力や自分の魅力に対して、自覚がきちんとされ過ぎている…と感じたのです。
 つまり、それを教えた師にあたる者があってしかるべきかな、と。

 母親に追い出されるシーンでは、そういう教えを受けている印象がありませんでしたし、だとすれば、PCと出逢うまでの空白に、同胞との接触があったのだろうと推理しました。
 決定的なのは、【鉄鎖の法】が呪文でが呪文で無かったことです。
 【吸精の法】が能力扱いだと、誰が、【鉄鎖の法】という呪文を教えたのかな~と。
 この辺りはリプレイでもちょっとだけ触れてますが。

 私の場合、こういう深読みがたまたまあたっただけです。
 多分まぐれです。

 アンジュと行動を共にしていたサキュバス、誰なんでしょう?

 PC、NPC視線で描くと、感情的な表現がしやすい分、客観的な表現が難しい傾向にあります。
 実は、私ってリプレイを書くまで、第三者視点で物が書けなかったのですよ。
 ですが、必要に応じて書いてるうちに、いつのまにか少し書けるようになってた感じです。
 第三者視点で書く時、小説風ならより解説的に、ゲームならセリフと顔絵などの効果を使って表現するので、微妙に違うんですよね。
 文字だけで書くにはボキャブラリーが豊富でないと厳しいのですが、大は小を兼ねるなのか、技術力はつくみたいです。
 何というか、慣れですねぇ。
 一応3年も書いてると、多少は技術力が上がってしかるべきでしょう。
 私の場合、大ポカや誤字脱字は相変わらずですが。(笑)

 リプレイはPC視線でものが見れるので、シナリオ制作にはとても参考になります。
 私の店シナリオなど、ほとんどがリプレイから生まれたようなものですし。
 PC側の需要を知る手段になるかもしれません。

 ジゼリッタは、次の次ぐらいにやろうと思っています。
 クリアしてレベル4なので、きりがいいかも。
 頑張りますね~
2009-07-28 Tue 22:22 | URL | Y2つ #-[ 編集]
…と言うコトで作ってみました(笑) 彼女の師匠たる者が現れます。


一応、このシリーズはとりあえず終了と言うコトになります。多分、またつくるかも知れませんケド。

宜しければお遊び下さい♪ 今回はほぼ回想なのでリプレイは難しいと思いますが…

短いですが今回はこれで。有難うございました!
2009-08-02 Sun 13:27 | URL | 楓 #JalddpaA[ 編集]
 『絆』、ざっとテストプレイしてみました。

 『私』で大分設定弄ってしまったので、ちょっとネタを修正しつつ、リプレイを検討してみます。
 なんと、同属って、身○ですか。

 もしかしたら、Y2つリプレイ版では、別口のサキュバス出すかも。

 次回に『ジゼリッタ』を持ってこようと思っています。
 やっとヴィスマールまでいけそうなので。

 その時にはまたお伺いしますね。
2009-08-02 Sun 22:26 | URL | Y2つ #TIXpuh1.[ 編集]

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