Y字の交差路

 ここはY2つめがノリで作ったブログです。  カードワースを中心に、私が思ったことや考えたことを徒然なるままに書きたいと思います。

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『傾斜45度の戦い』

 シグルトたちは賢者の街と呼ばれるキルノレを経由し、リューンへの帰路をたどっていた。
 
 『ビゾスの書』に関わる騒動の後、手に入れたさまざまな道具や技術の売込みをする間、ロマンはキルノレで呪文を1つ学んでしまった。
 それは半日にも満たない時間だった。
 
 『ビゾスの書』の騒動で手に入ったものを売り込んで得たお金は銀貨千六百枚ほど、ロマンが呪文の習得に払ったお金は銀貨千枚ほど。
 手元には二千枚以上の銀貨がある。
 
 レベッカの機嫌はそこそこにいい。
 今日リューンに帰ったら美味しいもの食べましょうか、とそんな感じだった。
 
 ぽかぽかした秋の日差しが気持ちよい。
 
 “風を纏う者”は数日前までの激しい戦いの反動か、のんびりとした足取りでリューンをめざしていた。
 
 
「う~ん、宿に帰ったら何食べようか?」
 
 レベッカの問いに、シグルトはお前は美食家だからな、と苦笑して、任せるよと言った。
 
 シグルトは好き嫌いが無い。
 食べる必要があるなら何でも食べるし、ゲテモノ料理も好んで食べるわけではないが、必要ならちゃんと摂取する。
 ただ、聞いた話では程よく辛いものが好きらしい。
 キルノレの宿で少し香辛料を使ったスープが出たが、食べている時どことなく幸せそうだった。
 
 辛党と言えばラムーナである。
 この娘、前にロマンが食べられないという激辛料理を代わりに食べてやったりしていたのだが、さすがにレベッカでも鼻がツンとするその料理に眉をひそめたもの…自分の分を食べ終わった後はいつもの数倍水分を取る羽目になったぐらいの…を平気な顔をして食べていた。
 彼女の故郷では辛いものは普通に振舞われるし、暑さに負けなくなるのだそうだ。
 
 ロマンは甘党だ。
 容貌通り小食で、がっついて食べることはまったく無い。
 お菓子の類は好きらしく、甘いものは頭にいいんだよ、と言っている。
 ただそれでいて虫歯が一本が無い。
 食事の後の歯の手入れは欠かさないし、歯の健康に良いと仲間にも噛む薬草をくれる。
 神経質で生真面目な少年である。
 
 スピッキオは薄味が好きらしい。
 塩や香辛料は修道院いた時分には貴重で、かなり質素な食事をしていたらしいので、それも頷ける。
 だがスピッキオ、ナッツの類に目が無い。
 アーモンドを見ると頬を緩めるくらいだ。
 さすがに聖職者だけあって、がつがつ食べたりしないが、彼の歯と顎は歳のわりに胡桃を噛み砕くほど壮健である。
 
 そして、レベッカは仲間内で特別美食家である。
 味覚の鋭いレベッカは、料理の味がよくわかる。
 冒険中の料理は自分のために担当することが多いし、彼女の味付けに文句があったことは無かった。
 レベッカが冒険者をやっていて良かったと思うのは、いろんな場所に行っていろんな食事が出来ることである。
 まあ、時々思わず退きそうになるゲテモノ料理や、極端な味付けに出会うこともあるが、当りも多い。
 アレトゥーザの『悠久の風亭』など、海の幸の使い方がたまらない。
 
 そういえば秋の魚料理が楽しみねぇ、と次にアレトゥーザを訪れたときに食べたいものを頭に浮かべ、レベッカはにんまりした。
 
「あれ?
 
 何かすごい形相で走ってくる人がいるよ」
 
 ロマンの指摘で甘い妄想を止めたレベッカは、ロマンの指差す先を注視する。
 
「はぁ、ひぃ、ふぅ~!
 ぜぇ、ぜぇ。
 
 あ~おったまげた~!」
 
 丸々と太った小男である。
 妙な生え具合の髪型とひょうきんそうな顔立ちがどこと無く憎めない。
 
 訛りがひどい言葉…
 なんとなく田舎臭い。
 
 小男は一行の前に来ると、辺りを見回し、他に誰もいないことを確認して安心したように座り込んだ。
 
「これ、どうしたんじゃおぬし?
 
 この先でなんぞあったのか」
 
 スピッキオが尋ねると小男は大きく頷いた。
 
「そ、そうだ、旅のお坊様!
 
 おらの話を聞いてくんろ!」 
 
 焦った様子の小男を見て一同は顔を見合わせた。
 
 とりあえず話を…ということになる。
 
「ありがてぇ、聞いてくださるか!
 
 いや、これがまたあわれっぽい話でなぁ…」
 
 そう言って、風采のあがらない、樽の様に太ったみじめな小男は、汗をふきふき話し始めた。
 
「おらはサンチョというてな。

 リューンのとある商会で、運送員をやっとるんだ。
 
 さっきまでは荷馬車さひいて、積荷を運搬しとったけんども…
 突然怪物に襲われたんだべ!

 んで、びっくり仰天したおらは、命からがら逃げて来たって訳さね」

 小男、サンチョの話に一行は緊張した面立ちのなる。
 
「それで?」
 
 シグルトが続きを促す。
 
「そりゃ恐ろっすい怪物でな…ばかでけぇ大男だぁ!
 
 身の丈はそこのお坊様より高かったぁ」
 
 そういうとサンチョはすがるような目で一行を見つめる。
 
「あんた方、強そうだなぁ。

 もしあの時あんた方がおったら、きっと、怪物なんぞねじ伏せたろうによぉ…
 
 今日中にあの荷物さ、届けねばなんねぇし… 
 あぁ、積荷が心配だぁ…誰かあれを取り返してくれんかのぉ?」
 
 レベッカが1つ頷いてサンチョの前に出る。
 
「つまり私たちに、怪物を倒して積荷を取り返して欲しい、そういうことよね?」
 
 うんうんとサンチョが頷く。
 
「…まずは詳しい話を聞いてからね」
 
 レベッカの言葉に、何でも聞いてくだせぇ、と腰の低いサンチョである。
 
 
 サンチョの話ではここからずっと向こうの崖を、ぐるッと回った所に馬車と荷物があること。
 無我夢中で駆けて来たので、その正確な場所は分からないことを一行に告げた。
 
「さすがに無報酬でってわけにはいかないわ。
 
 私たちも時間を割いて危険な魔物と戦うわけだから。
 報酬になりそうなものはあるの?」
 
 レベッカの問いに、サンチョは銀貨五百枚を出す。
 
「ん~、どうするシグルト?
 
 報酬はかなり安いけど、サンチョがリューンに戻ってたら間に合わないでしょうし。
 荷物が無事とも限らないわ。
 
 相手が肉食の魔物だったら馬車馬も悲惨なことになってるかも。
 安請け合いして、無報酬なんて目も当てられないわ」
 
 反対なのか?というシグルトの問いに、普段ならね、と返す。
 
「まあ、馬車の確認で済むならよし。
 
 ついでの仕事だから、エール一杯の前にって感覚ね。
 正確な取り交わしのある依頼じゃないから、いつでも無かったことにもできるし、違約金も無いわ。
 
 いざって時には少しくたびれ損になるかもしれないけど、上手くいけば今日はさらに、御馳走美味いっ、てことになる。
 
 ま、この男は現金もっているんだし単純そうだから、報酬をもらい損ねることはないわよ。
 
 親父さんへの土産話も増えるかもね」
 
 特に反対するものもいないので、シグルトはサンチョの依頼を受けることにした。
 
 
 サンチョの案内する道は獣道同然の、道無き道であった。
 
「こんなとこと追って逃げてきたなんて、無茶するわよね」
 
 必死で気付かなかっただぁよ、というサンチョにあきれた感じのレベッカである。
 
「ふう、年寄に斜面の多い道はキツイわい」
 
 スピッキオとロマンは疲れた様子である。
 
「…レベッカ!」
 
 鋭いシグルトの声にレベッカが振り向いて頷く。
 
 3体の武装したゴブリンだった。
 
「どうやら、妖魔の縄張りみたいだね、ここ」
 
 一同はサンチョを後ろに庇うと、武器を手に襲い掛かってくるゴブリンを迎え撃った。
 ロマンが魔法で眠らせて、あっけなく戦いは終わる。
 
「ふぅ…ねぇ、サンチョ。
 
 この辺りにはモンスターがたくさんいるの?」
 
 ゴブリンの遺体を律儀に片付けるシグルトの横で、レベッカが聞く。
 
「おうさ、たんといるべよ。

 ほんにおっかない所だぁ」
 
 のん気な声で返す小男に、レベッカはこめかみを押さえた。
 
「じゃあ、何で街道を通らずに、わざわざ危険な山道を通ってたのよ?」
 
 レベッカの突っ込みに、サンチョは頭をかきつつその理由を話した。
 
 買い出しの途中でちょいと一杯やって期日に寝過ごしたこと。
 どうしても今日中に届けなければならない荷物だったので、近道としてこの道を通ったこと。
 
「今日中にリューンまで積荷を運ばないと、おら、大目玉喰っちまうよ…」
 
 それは自業自得でしょ、とレベッカに睨まれてサンチョは汗をかきかき謝っていた。
 
 
 途中、レベッカなら上れそうな崖を見つけるが、一行が登るにはロープでも必要だな、ということであきらめて迂回しつつ、山道を進んでいく。
 
「あら、アレは何?」
 
 レベッカが強そうな蔦を見つける。
 サンチョの話だと、それはジグジグ草という植物で、ロープ代わりに使えるだろうとのことだ。
 
「さっきの崖で使えるかも知れんな」
 
 次の機会までにロープぐらい買っておこう、と相談しつつ、レベッカがそれを取ろうとする。
 しかし、その蔦が突然生き物のようにレベッカに絡んだ。
 
「な、何よこれ!」
 
 そのレベッカを目指して巨大な赤い花のようなものが近づいてくる。
 
「あ、人食い花(マンイーター)…」
 
 ロマンの何気ない言葉にレベッカが真っ青になる。
 
「ジグジグ草はだな、大抵の場合、マンイーターに巻きついとるんだ。

 いや~これはまたでっけぇなぁ!」
 
 そういうことは早く言わんかぁ~、とスピッキオが叱る。
 
 その横をシグルトとラムーナが駆けた。
 
「く、何で蔦まで動くのよ~」
 
 動けない状態でレベッカが力む。
 
「マンイーターがジグジグ草を操っているからだべ!
 
 当たると相当痛いだよ!」

 そういうことは早く言わんかぁ~、とスピッキオが杖でサンチョをしばいた。
 涙目のサンチョの前で、シグルトたちは武器を構える。 

 ぶしゅぅぅ!!!
 
 マンイーターが毒液を吐き出し、ラムーナがそれを受けてしまう。
 
「く…早速使う羽目になるとはね」
 
 ロマンが集中しながら呪文を詠唱し始める。
 
「《侵されざる緋の領域よ、昇れ業火の螺旋の如く!》
 《焔の護り手、風と共に駆け抜けよ!!》」

 ロマンの呪文に呼応して、彼の周囲を護るように緋色の炎が包み込む。
 
「《…焼き払え!!!》」
 
 ロマンが炎に命じるように最後の呪文を唱えると、それは周囲の蔦を焦がしながら、マンイーターを一瞬で焼き尽くした。
 
 【焔の竜巻】。
 ロマンがキルノレで習得した新しい呪文である。
 
「あちちっ…
 
 こら、ロマン!
 なんて危ない魔法使うのっ…
 
 私まで黒焦げになるところよ!!」
 
 服についた煤を恨めしそうに見つめながら、脱出したレベッカが不満を言う。
 その横でシグルトがそれ以上残り火が広がらないように後始末をしていた。
 
 毒液を受けたラムーナはスピッキオが付き添い、【聖別の葡萄酒】(ロマンが調合した高品質のもの)ですっかり毒と傷を癒している。
 
 後始末を終えて蔦を回収したシグルトが、ロマンに言う。
 
「今の魔法は、秋の森のような可燃物の多い場所では、山火事を起こしかねん。
 
 気をつけて使うんだぞ」
 
 そう言って注意した後、すごい魔法だな、と表情を崩す。
 
 ロマンははにかんで、呪文の利点を話し始める。
 
「前に集団攻撃の魔法が必要だって言ってたよね?
 
 この魔法は炎を使った広範囲攻撃魔法であるのと同時に、防御の魔法でもあるんだ。
 唱えた後に術者を炎と上昇気流が護るから、大抵の攻撃は術者に届く前に焼き払っちゃうんだよ。
 
 威力も上位の火炎魔法【炎の玉】ほどじゃないけど、下級妖魔ぐらいなら一掃することができる。
 炎の魔法は使い勝手がいいし、苦手なモンスターも多いからね。
 
 遠距離の敵に使えないけど、周囲の雑魚をやっつけるのには十分さ。
 
 時に攻撃、時に防御、時に火種…
 
 こういういろんな状況をふまえて使える魔法こそ、賢い使い方ができるんだよ」
 
 たった一度で一行を苦戦させた魔物を焼き払った魔法である。
 
「使いどころを考えれば、大きな戦力になるな」
 
 シグルトが頷くと、レベッカも、まあ威力はすごいのよね、と認める。
 
 “風を纏う者”には今までこのような集団攻撃用の攻撃手段は【眠りの雲】ぐらいだった。
 
 炎という暴力に半ば感心しつつ、半ば恐れをいだきつつ、一行はまだ使える蔦を回収し、道を探して移動を開始した。
 
 
 先にあった洞窟で蝙蝠にびっくりしたり、薬草を発見したりしながら、あちこち歩き回ったものの道が見つからず、結局先ほどの崖を蔦で登ることになった。
 
 ここは器用で俊敏なレベッカが登攀し、無事蔦を垂らした。
 体格の大きなシグルトとスピッキオは後になり、ロマンとラムーナが登る。
 ラムーナは身軽だけあって見事な登攀だった。
 スピッキオの後にシグルトが登攀し、途中で蔦は切れてしまったが、なんとかサンチョも持ち上げる。
 
「皆、無事でよかった。
 
 先を急ごう」
 
 小男だが太っているサンチョを軽々と持ち上げるシグルトの豪腕はたいしたものである。
 
 崖伝いに道を探していると、途中で座り込んでいた3匹のホブゴブリンと遭遇する。
 
 シグルトが1匹を壮絶な打ち合いのすえに倒し、1匹をロマンが魔法で倒す。
 もう1匹をレベッカがフェイントで翻弄し、ラムーナとスピッキオが打ち倒す。
 
 このホブゴブリンたちの1匹は、何故か大切そうに箱を持っていた。
 落ちた瞬間に箱が落ちて罠のガスが吹き出し、一行は動きを鈍らせてしまうが、同時に箱が空く。
 箱の中には古めかしい呪文書が入っていた。
 
「う~ん、炎の初級魔法だね。
 
 ありがちな呪文だけど、売れば少しはお金になるよ?」
 
 シグルトかレベッカなら教えてあげるけど、というと2人は首を横に振った。
 
 一行が登った場所の周辺はちょっとした台地になっており、進める道はない。
 
 道を探して行き止まりを観察していると、何を考えたのかサンチョが危ないと言ってしがみつき、力を入れた衝撃で崖がごっそりと崩れ、一行は崖の下(といっても下には柔らかい茂みがあり、それほど高くなかった)に転落した。
 最後に落ちてきたサンチョの下敷きになり思わぬ打撲を受けてしまったのだが。
 
「まったくけしからん。
 
 偉大な秘蹟を小男の下敷きになったために使うことになろうとは…」
 
 主よ、お許しくださいと言いながらスピッキオが【癒しの奇跡】で仲間を癒した。
 
「でもすごいな。
 
 一度に仲間全ての傷を癒せるとは、驚いたよ」
 
 シグルトのこの一言でスピッキオの機嫌も直り、一行はまた探索を続けるのだった。
 
 
「待ちなさい、君たち!」
 
 それは突然の声だった。
 
 小さな羽根の生えた小人が2人、一行を見下ろしていた。
 
「うわぁ、ピクシーだ…
 
 本物の妖精だよ!!」
 
 幾分興奮したようにロマンが言う。
 

「ね、君たち!
 
 何の用事があるか知らないけど、ここから先は立ち入り禁止よ」
 
 若草色の髪をしたピクシーが一行の前に立ちふさがる。
 
「立ち入り禁止ですって?」
 
 レベッカが聞くと黒い髪のピクシーが胸をはって一行の前に舞い降りる。
 
「その通り。
 
 アタシらピクシーの縄張りに足を踏み入れるなんて…
 ふふ、いい度胸じゃないのさ!」
 
 険悪な様子に他のものが緊張する中、シグルトが前に進み出る。
 
「すまない、君たちの縄張りを荒らす気も侵す気もないんだ。
 
 あるものを探していたら、この先の崖を滑り落ちてしまって、迷っている。
 道を教えてくれればすぐに退散するから、許してもらえないだろうか」
 
 シグルトを見た2人のピクシーは一瞬硬直して、次の瞬間火でも噴きそうなくらい真っ赤になった。
 そして2人でひそひそやりはじめる。
 
「ちょっとちょっと、何でこんな好い男が人間にいるのさ!」
 
「知らないわよ。
 
 でも、何で私たちみたいに小さくないのかしら。
 もったいない…」
 
 盗賊の耳で全て聞いてたレベッカは、もてるわねぇ~、とシグルトの型をぽんぽんと叩く。
 
 話しこんでいるピクシーたちにサンチョが進み出て聞く。
 
「そ、そうだべ!

 お前ぇさん方ら、おらの荷馬車さ見かけんかったか?」
 
 サンチョを見て、うっとなったピクシーたちは、また相談をはじめる。
 
「…ソーニャ、知ってる?」
 
 若草色の髪の方が黒い髪の方に聞く。
 
「それなら、確か…」

 何か知ってるらしい雰囲気に、シグルトが2人に声をかける。
 
「知ってるのか?」
 
 シグルトを見て表情をだらけさせるピクシーたち。
 
 やがて黒いほうがはっとして咳払いをする。
 
「さぁて?」
 
 とぼける風であるが、時折シグルトをちらちらと見ている。

「…と、とにかく、あなたたちに攻撃の意志は無さそうだし…

 私達の村まで来てくれる?」
 
 若草色の髪の方が一行、特にシグルトの方を見ながら言う。
 
「しかたない。
 
 穏便にすむよう話し合ってみよう。
 一緒にいろいろ聞けるかもしれないしな」
 
 シグルトは仲間たちを見まわして、ピクシーに従う旨を告げた。
 
 
 ピクシーの住処は巨大な木の根にあった。

「ようこそ、ピクシーの村へ!

 ここが私達の我が家なの」
 
 一行、特にシグルトに若草色の髪の方が言った。
 
「…ねぇ、長!
 
 出ておいでよ。
 客が来てるんだ!」
 
 黒い髪の方が声をかける。
  
「…あぁ、レーニャにソーニャか。
 
 どうした、人間なんぞ捕まえて来て?」
 
 偉そうに腕を組んだ男のピクシーだった。
 
「エヘヘ…ポーリャを助けてもらおうと思ってさ」
 
 一行を見ようともせず、偉そうなピクシーは溜め息を吐いた。
 
「確かに、ポーリャを助けるには我らだけでは成し難いが…
 
 信用できるのか?
 人間風情を…」
 
 それに対し黒い髪のピクシーが羽根を震わせて言う。
 
「まぁ…それは分からないけどね。
 
 とりあえず、交換条件にしようと思ってさ」
 
 何だそれは?と聞く偉そうなピクシー。
 
「あぁ。
 
 ほら、今朝方にさ、樽をいくつも積んだ大きな人間の馬車を見かけたろ?
 
 こいつら、それがあった場所を知りたいらしいんだ。
 それを見つけたら出てくってさ」
 
 偉そうなピクシーは、ふむ、と頷いて初めて一行を見る。
 
「成程…それでいいかな?

 人間達よ」
 
 それにサンチョが進み出てうんうん頷く。
 
「いいに決まっとるでねぇか!

 おらの自慢の荷馬車さ、森ん中に放っぱっとく訳にゃあいかんべさ!」
 
 そこでレベッカがあつかましいサンチョを押しのけて前に出る。
 
「…まぁ、このまま当てもなくさ迷うのはごめんだけどね」
 
 レベッカが請け負うと、偉そうなピクシーは交渉成立だな、と言って交換条件を話し始めた。
 
「ここより東にある洞窟に向かってくれ。
 
 そこに、我らが同朋が囚われておるのだ」
 
 ピクシーの話にレベッカが首をかしげる。
 
「囚われている?
 
 さらったのは何者なのかしら?」
 
 すると、若草色の髪の方が跳ねるように飛びながら言う。 
 
「インプよっ、インプ!
 
 あの悪戯ッ子め、まさかこんな行動に出るなんて!」
 
 そこでシグルトが進み出た。
 
「では、あなた方の同胞をインプのいる東の洞窟より連れ帰ればいいんだな?
 
 承知した。
 やり遂げるよう努力する」
 
 きゃー、カッコイイ~と飛び回っている2人のピクシーを無視して、偉そうなピクシーが目を丸くする。
 
「これは…
 
 なるほど、あの2人がお前たちを信頼して連れて来たのは、中にお前のような者がいたからか」
 
 シグルトを見て何か納得している偉そうなピクシーに、どういうこと、とレベッカが尋ねる。
 
「うむ、知らんのか?
 
 この者、ハイエルフや古エルフとも呼ばれる高貴な上位妖精の一部族、白エルフの王族の血筋なのだ。
 私には匂いと魂の色を見ればそれがどういうものか分かるが…
 
 おそらくは国を捨て野伏(レンジャー)となった人の王子と、北方の白エルフが姫君と間に生まれたというハーフエルフ、オルテンシア姫のお血筋。
 オルテンシア姫のお父君は青黒い瞳の美丈夫、母君は雪も恥らって溶けるというほど美しく白い輝くような肌をお持ちだったそうだ。
 その男の不思議な青黒い瞳と白い肌、そして精霊を魅了する魂…間違いあるまい。
 
 昨今の妖精たちでも、これほど高貴な血と魂を宿したものはなかなかおらん」
 
 さっぱり分からない風のレベッカが、そうなの、とシグルトに聞く。
 
「さぁな。
 
 俺の先祖はエルフの血を引いていたと聞いたことがあるが、あまり実感はないな」
 
 たいしたことは無いだろう、とシグルトは肩をすくめた。
 
 
 ピクシーの村を出発した一行は東にある洞窟に向かった。
 
 洞窟に入ると、小さな三叉戟を持ったインプがあらわれて降圧的な態度で、喋りだす。
 
「やいやいやいやい!

 人間様が何の用じゃんよー!?」
 
 その様子を見たロマンがこめかみを押さえる。
 
「なんだか、随分馬鹿っぽいインプだね」
 
 聞こえないようにぼそりとレベッカに呟く。
 
「本当ね。
 
 前に戦った連中と違って、どことなくアホ面だし」
 
 後ろでひそひそ話している2人を置いて、シグルトが前に出る。
 
「お前が件のインプか?
 
 ここにピクシーがいる事は分かっている。

 その身柄を返してもらおう」
 
 シグルトの言葉にインプが引きつる。
 
「どっ、どうしてそれを…?
 
 …け、けどっ!
 ニンゲンなんかに渡すもんか!

 帰れっ、帰れっ!」
 
 インプはそう言うと一目散に逃げていった。
 
「仕方ない。
 
 追跡するぞ!」
 
 一行はその後を追う。
 たちまち追いつかれたインプは、癇癪を起こして、洞窟の石壁を叩いている。
 
「もうっ!
 
 しつこいなオマエら!
 
 地獄に落ちろっつ~の!」
 
 インプが指を鳴らすとゴブリン2匹、ホブゴブリン2匹、そして一匹の羆が現れる。
 
「それっ、やっちゃえみんな!
 
 そいつら殺してティーパーティーだっ!!」
 
 さすがに一同の間に緊張が走る。
 
 ラムーナが羆の顔を蹴り飛ばし、その気を引く。
 
 シグルトが武器の上から力任せに攻撃し、ゴブリン1匹を吹き飛ばす。
 ラムーナの後ろ蹴りがそのゴブリンを弾き飛ばし、石壁に激突したそれは動かなくなる。
 
 ロマンの魔法が羆を拘束した。
 
 劣勢と見てゴブリンとホブゴブリンが相次いで逃げ出す。
 
「こら~、逃げるなっつーの」
 
 ロマンの【焔の竜巻】が怒り狂っているインプの尻を焦がす。
 
「うわぁちゃあっ!!!」
 
 インプが跳ね回ってる横で、シグルトが羆に止めを刺し(というか剣で頭をぶん殴って気絶させ)、最後のホブゴブリンの顔面にラムーナの膝が入ってノックアウトした。

「え?
 そ、そんな…えぇい、こんな所でくじけるもんか!
 
 オマエ達!
 後できっとぴいぴい泣かせてやるぅ!」
 
 焦げた尻を押さえながら、インプは捨て台詞を残して逃げ去った。
 
「…やっぱり馬鹿っぽいインプだね」
 
 ロマンの言葉に一同が頷いた。
 
 その奥には人口の扉があった。
 
「御丁寧に、鍵と罠が仕掛けてあるみたいね」
 
 しかしレベッカはさっさとそれらを外してしまう。
 
「ちょ、ちょいの、ちょいっと♪
 
 さぁて、行きましょうか」
 
 扉の奥ではインプが待ち構えていた。
 
「…こら、ニンゲン!

 もう気付いてると思うけどね、おいらの逃げた方向以外に行くと、ひどい目に遭うんだぞ!
 
 しかも、この先にはね!
 今までより段違いの、凶悪な罠が仕掛けてあるのさ!
 
 へへん、どうだい?
 恐いだろぉ~!?

 さぁ、4つに1つだ!
 おいらがどこに逃げるか当ててみな!」

 インプは飛び回って残像を残し姿を消した。
 
 しかし、シグルトが一つの通路を指し示す。
 彼は【影走り】でつちかった驚異的な動体視力を持っている。
 
「…何か、やっぱり阿呆ね、あれ」
 
 ぼそりと言ったレベッカに一同は頷いた。
 
 簡単に行き先を見つけられたインプは半泣きだ。
 
「ひえぇっ!
 
 何で分かったんだよ~!?
 う、うわ~ん!!」
 
 洞窟の奥では震えるインプと能天気そうなピクシーがいた。

「…さ、さぁ、来るならこい!
 狂暴なニンゲンめ!
 彼女は絶対守ってやるんだっ!!」
 
 能天気そうなピクシーは植物の穂の様なものを振ってニコニコしていた。 
 
「インプちゃんかっこいい~♪

 そのままやっつけちゃって~!」
 
 気を張るインプの後ろで、無責任にピクシーが声援を送っている。
 
「う、うん、ポーリャちゃん!
 君のためなら
 おいら死んでもいいっ!!」
 
 少し赤くなって、インプがそれに応える。
 
「きゃ~♪」
 
 一行は顔を見合わせる。 
  
「…何か、様子が違わなくない?」
 
 ロマンがあきれた様子で言った。

「ピクシー達は、同胞がインプにさらわれた…そう言ってたよね?」
 
 そういうわりにインプとポーリャという能天気なピクシーは仲が良い。
 
「という事は…駆け落ち!?」
 
 レベッカが声を上げると、ポーリャは心外そうに声を上げた。

「え~? ちょっとぉ、何でそんな事になってんの~?

 あたしはインプちゃんとこに遊びに来ただけなのに~」
 
 その前で指をもじもじさせながらインプが照れた様子である。

「お、おいらは構わないよっ!

 さぁ、ポーリャちゃん!
 おいらと一緒に地獄の果てまで逃げようぜ!」

 あげく、拳を震わせこんなことを言った。

「え~…パス。
 
 あたし、じめじめしたとこキラ~イ」
 
 何かが欠けたような音響きそうな拒絶の言葉だった。
 
「が、がび~ん…そりゃないよ、ポーリャちゃん…」

 ショックを受けたインプがへなへなと地面に落ち、こけた。 
 その横をロマンがすたすたと歩いてポーリャの前に行く。 
 
「…取り込み中悪いんだけど僕たちにも事情があるんだ。

 君をピクシーの村まで連れ帰らせてもらうよ」
 
 それを聞くとポーリャは頷く。 
 
「うん♪
 
 …あ、そうだ、インプちゃん!
 村まで一緒に来なよ。

 インプちゃんもそこで暮らそ!」
 
 その言葉に、こめかみ辺りにあった縦線を吹き飛ばすような勢いで、インプが立ち上がる。 

「え…ホント、ポーリャちゃん?
 
 お、おいら、感激の余りむせび泣きしそうだよ…ぐっすん」
 
 その横でロマンが口元を引きつらせて言った。  
 
「話はまとまった?

 これで一件落着、なのかな…」
 
 すでにインプは完全に復活していた。 

「ポーリャちゃん!
 
 危なくなったらおいらが守ってあげるからねっ!!」
 
 背中にざぱ~ん、と波を背負っていそうなインプであった。
  
「うれしいっ!

 インプちゃん♪」 
 
 完全に2人の世界を作ってるインプとポーリャに、レベッカもしらけたように言った。 
 
「あ~、何かごちそうさまって感じよね…」 
 
 
 何とかピクシーの村に帰り着き、東の抜け道と荷馬車の場所を聞き出した一行は、また山をさまようのだった。
 
「ふぅ、なんとか抜け道を抜けたわね」
 
 レベッカが額の汗をぬぐう。
 
「…ロマンやスピッキオが限界だな。
 
 どこかで休まないともたない」
 
 シグルトの言葉にサンチョが文句を言うが、サンチョの足もがくがくしている。
 
「休憩?
 
 た、助かった~」
 
 ロマンは一行よりも体力が無い上、子供の足である。
 
「ふぅ、ふぅ。
 
 年寄に山道はやはりきついわい」
 
 スピッキオは体力はあるが、体格という荷物がある。
 畑仕事や力仕事は得意らしいが、こういう急な坂道の上り下りはかなり辛いらしい。
 
 ラムーナは身軽な分そういうことは無いが、それでも歩き詰めでさすがに疲れが見える。
 
「シグルトはタフよね~
 
 まだまだいけそうじゃない?」
 
 レベッカもかなり堪えていた。
 優れた盗賊といっても、パーティを組むまでは都市活動が主で、体力的に鈍っている。
 
「俺の故郷は標高の高い場所で、森の散策と山登りは子供の遊びみたいなものだったからな。
 
 このぐらいの山ならいくらでもあったし、鍛えられもするさ」 
 
 そんな会話をしながら少し坂道を登ると山小屋があった。

「ちょうどいい。
 
 あそこで少し休息しよう」
 
 山小屋には簡易ベッドもあり、一行はおのおの座り込んだり壁に寄りかかったりする。
 シグルトが見張りをしてくれている中、ロマンの差し出した滋養強壮の薬草で作った薬湯をレベッカが煎れて、一同はまったりと休息した。
 

「ふぃ~…しんどい山道だったなぁ!
 
 おらもうへとへとで動けねぇだ…うん、やっぱ布団の上はいいべ」
 
 真っ先に簡易ベッドを占領してしまったサンチョを一同は冷ややかな目でみる。
 
「けどさ、ここまで歩いてまだ荷馬車を発見できないなんて…

 サンチョ、あなた、えらい距離を逃げて来たもんよね?」
 
 薬湯を啜りながら、レベッカがサンチョの意外な体力に感心する。
 
「あ~…うん、それがだなぁ、これには理由があるんだぁよ」

 サンチョの言葉に一同首をかしげた。
 
「でへへ…実はおら、方角をまちがえちまったんだね、これが!」 

 一同が沈黙する。
 レベッカの口元は少し引きつっていた。
 
「ほれ、最初の時によ、本当は北さ案内せにゃあかんかったんだ。
 
 だどもおら、勘違いして西さ行っちまったんだ。
 そだからして、まだこんな所をうろちょろ遠回りしちょるんだぁよ。
 
 はぁ~この調子だと、いつになったら荷馬車が見つかんのかのぉ…?」
 
 レベッカが山小屋にあった切れたロープの残骸を掴んで、パシン!と引っ張る。
 こめかみに青筋が浮いている。
 
「ためだよ、レベッカ。
 
 ここで怒ったらもっと疲れちゃうよ…」
 
 へたり込んだロマンがレベッカの足をぽんぽん、と叩いて慰める。
 
「…サンチョぉぉぉ~!
 
 あんた、この貸しはとぉっても大きいわよぉ…」
 
 サンチョがレベッカの迫力に圧されて、簡易ベッドから文字通り転がり落ちた。
 
 スピッキオの後ろでレベッカのあまりの迫力にラムーナが震えている。
 
「…サンチョのやつめ、自業自得じゃがな。
 
 レベッカに狙われたら出会うたびに財布にされるじゃろうなぁ」
 
 最近レベッカの噂を時々聞く仲間たちである。
 
 この女盗賊に弱みや借りを握られると、尻の毛まで毟り取られると冒険者仲間では評判だ。
 〝少しだけ〟誇張のある話であるが。

 
 一時間ほど一行は休憩を取る。
 
 簡易ベッドに腰掛けて休んでいるレベッカを見つめながら、サンチョはまだ部屋の隅でビクビクしている。
 
「さて、そろそろ出発するか」
 
 シグルトの一声で、一行はさっと立ち上がる。
 
「そうだね~」
 
 ラムーナがぴょん、と跳ねるように立ち上がった。
 
「っ!!!!!」
 
 そのとき、小屋の外から悲鳴のようなものが聞こえた。
 
「ひえぇっ!?

 こりゃ一体どういう事さね!」
 
 驚くサンチョに、シグルトはわからんが、と言いつつ剣を抜く。
 
「これだけ怪物の多い場所だ。
 
 人が襲われているのかもしれん…俺は行くぞ」
 
 はぁ~せっかく休んだのに、とロマンがぼやく。
 シグルトの後に仲間たちが続いた。
 
 小屋の扉をあけると、1人の男が野犬の群れに囲まれている。
 
「わわっ、何だあんた達は!?
 
 …まぁいいや!
 何でもいいから助けてくれぇ~!!」
 
 その男を庇ってシグルトが前に出た。
 
「…ここは俺たちに任せて、あんたは小屋の中に逃げていろ!」
 
 頼もしいシグルトの言葉に、感激したように男は礼を言って小屋に転がり込んだ。
 
「さて、無益な殺生はしたくない。
 
 死にたくないなら逃げるといい…」
 
 シグルトは野犬へと一歩踏み出した。
 
 野犬は10匹はいる。
 
 ラムーナが襲い掛かろうとした1匹を蹴り倒すが、1匹が長い吼え声をあげると、森の中から1匹飛び出してくる。
 
「むうっ、まだおるやも知れん。
 
 皆、離れて囲まれる出ないぞ!」
 
 スピッキオの掛け声に皆頷く。
 ラムーナが1匹、レベッカが1匹、スピッキオが1匹と倒していくが同じだけ数が増える。
 
「タァァァッ!!!!」
 
 ラムーナが【群れる蜂】の動作で駆け抜けて野犬たちを弾き飛ばす。
 攻めの緩んだ野犬たちにロマンの【眠りの雲】が飛び、ばたばたと眠らせる。
 
 残った野犬たちや倒されていて起き上がった野犬たちは、慌てて逃げ出した。
 
「ふう、皆怪我は無いか?」
 
 戦闘中スピッキオを庇ったシグルトと、戦闘で転倒したロマンがかすり傷を負っただけだった。
 
「野犬に引っ掻かれたの?
 
 とりあえず小屋で治療しようよ」
 
 さっきの人との話もあるし、と一行は小屋に戻った。
 
 小屋の中ではさっきの男が出迎えてくれた。
 
「おぉ、皆さん御無事で…本当に助かりました!」
  
 シグルトは野犬たちを追い払ったと伝える。
 
「あの野犬どもには狼との混血も混じっているらしいんですよ。
 
 それを追い払うとは、いやぁ、お強い…」
 
 感激した様子であった。
 
「ところで、あんたは狩人のようだが?」
 
 シグルトの問いに、はい、と男が答える。
 
「では、このあたりの地理には詳しいでしょうね。
 
 実はごつごつ山という場所を探しているんだけど…」
 
 レベッカが尋ねると男は、ああそれならそれほど離れていない場所に、と言うがすぐに表情を曇らせた。
 
「ただ、私は実際に入った事がないので、良く知らないのですが…

 そこへ行くためには、洞窟を抜ける必要があるのです。
 
 それも、『沼地の洞窟』と『黄金蜘蛛の洞窟』…このどちらかを、越えなければなりません。
 何でも、古代に作られたトンネルだという話ですが、まぁ、今では魔物の棲み家です。
 
 土地の者は、恐がって近づきもしませんが…あなた方なら大丈夫でしょう!」

 その後、狩人の男は、昔ちょっと習ったといって、呪文の巻物を見せてくれる。
 2つのうち1つを、と言うことらしい。
 
「1つは僕が使えるから、もう1つを見せてもらうね」
 
 道すがら読むといって、ロマンが巻物1つを預る。
 
 一行は治療を終えると、山小屋を後にした。
 
 
 最初、一行は『黄金蜘蛛の洞窟』に向かうが、蜘蛛が邪魔して最後の鍵を取れず、仕方無しにもう一方の方に向かった。
 落ちかけた橋をロマンの呪縛の魔法で固定して通れるようにし、一行は何とか橋を踏破した。
 
 『沼地の洞窟』では死体のようなモンスターに襲われた。
 
「レブナントだ!
 
 気をつけて、こいつらゾンピとは比べ物にならないくらい強いアンデッドモンスターだよ!!」
 
 腐った身体が見る間にか再生するレブナントを相手に一行は苦戦する。
 
「死体は火葬に限るよね…
 
《…焼き払え!》」
 
 ロマンの【焔の竜巻】が敵を火達磨にする。
 
「ぉぉぉぉおおお!!!」
 
 シグルトが一体一体、渾身の一撃でその頭を粉砕していく。
 何とか敵を倒すと、一行は洞窟を調べ始めた。
 
 
 一行は洞窟の出口に到達していた。
 
「はぁ、それにしても不気味な謎かけだったわね」
 
 レベッカがげっそりしたように言う。
 謎かけ、それは半分ミイラになりかかった身体の一部を、正しく指定された棺に納めるというものだった。
 ここは頭を使うのが得意なロマンの本分である。
 
 古文書から、他のものにはさっぱりの人体の役目を正確に言い当て、一行は見事にこの洞窟を突破したのである。
 
 途中、大量の蝙蝠の出てくる穴があったが、ロマンが【眠りの雲】で蝙蝠を眠らせて難なく突破した。
 
「う~ん、魔法って便利よね」
 
 感心するレベッカに、ロマンが 習ってみる?と聞くと、必要になったらねと消極的な答えを返してきた。
 正直レベッカは、読書みたいなお勉強はあまり好きではない。
 ロマンの話だと、才能はあると思う、との話だ。
 
「たぶん卑劣な魔法の素質は、普通の魔法使いを凌ぐかも…」
 
 その言葉に一同は忍び笑いを漏らし、レベッカはすねてしまった。
 
「そういえばロマンはどんな魔術師の呪文でも使いこなせるのか?」
 
 シグルトが聞くと、ロマンはまぁね、と頷く。
 
「本来僕が一番得意なのは多分魔法の制御系みたいな地味なものだよ。
 
 必要だから使ってるけど、攻撃的なのや派手なのは嫌いだね」
 
 そう言いつつ、この少年の攻撃魔法の威力は凄まじい。
  
 話をしながらようやく洞窟を抜け、先に進むと、サンチョが荷馬車を見つけて走り出した。
 
「おぉ、やっと来ただかあんた方!

 これを見てくんろ!」
 
 それは馬もついたままの荷馬車であった。
 
「やっと見つかっただぁ、おらの大事な荷馬車がよぉ!

 うぉっほ~い!!」
 
 喜んでサンチョが飛び跳ねている。
 
「ふぅ…やれやれじゃ。
 まさかこんなに難航するとは思わなんだが…

 とりあえず依頼達成という所かの?」
 
 一同が大きな溜め息をついた。
 
「んだ。
 あんた方には何から何まで世話になっただ。
 ほんに感謝しとるだよ。
 
 …ほれ、あんた方も疲れとろう?

 そこら辺で休んどるがいいだ。
 おらは荷馬車を調べてくるだよ」
 
 それに頷いて、一行はおのおの座る場所を見つけて休みだす。
 
 緊張の糸がぷつりと切れた一行は、へたへたとその場に座り込んだ。
 木漏れ日に、思わず目を上に向ける…
 
「…眩しいな」
 
 1人だけ立ったまま、シグルトは日差しを手で遮りながら呟いた。
 
 空は夕暮れ前の一瞬の明るさに満ちていた。

 …まったく、ずいぶん長い事、山の中をうろついていたものだと、汗をぬぐう。
 
 一行は休息を済ませると立ち上がる。

「…そろそろ『小さき希望亭』に帰ろっ!」
 
 元気なラムーナの言葉に、皆頷いた。
 
「ちょ、ちょいと待っとくれんか、あんた方!
 
 お、おらの、おらの…!」
 
 青ざめたサンチョがそこにいた。
 
「む? 
 
 …おい、どうしたのじゃサンチョ?
 ばかに落ち着きがないぞい」
 
 スピッキオが首をかしげる。
 
「つ、積荷が、根こそぎなくなっとるんだぁよぉっ!!」
 
 サンチョは頭を抱えて、混乱していた。
 
「落ち着いて…とにかく、荷馬車を調べてみましょ。

 何か手掛かりが得られるかもしれないわ」
 
 レベッカはすぐ荷馬車に向かい周囲を調べ始める。
 
「ほっ、ほれ、見とくれよ!

 なんもかんもすっからかんだぁ!
 
 何度も何度も調べたけんど、やっぱし何にも見つかんねぇ!
 手掛かりなんてねぇべよ!」」

 サンチョはそう言っておいおい泣き出した。

「いえ、そうでもないわよ。
 見て…地面に、何か重いものを引き摺った跡が残ってるわ。

 これをたどれば…」
 
 探索のプロである盗賊の追跡術で犯人を追う行うレベッカ。
 やがて、岩の小さな丘のようなものがある場所に出る。
 
「アイツが犯人みたいね」
 
 レベッカ指差した、それは丘の頂に向かって登っていく巨体のオーガである。
 
「うわっ!
 
 前にフォーチュン=ベルで倒したのより一回り大きいよ!!」
 
 オーガは積荷らしい樽を抱えて頂を登っていく。
 
「どうやら、あいつ、戦利品を自分の穴倉に持ち帰るつもりのようだな…」
 
 シグルトがそういって一同を見る。
 
「ひえぇっ、そりゃ勘弁だぁよ!
 
 …あんた方、何とかしてくれんかっ!?」
  
 サンチョが土下座する。
 
「お願いだ、積荷がありゃせんと、おら、運送員さ解雇されちまうだよ…

 なぁ、お願いだぁよぉっ!!」
 
 その肩をぽん、とレベッカが叩く。
 
「ま、やらないと報酬にありつけないでしょ。
 
 この分はツケね」
 
 一行は仕方ないという感じである。

「すぐ追い掛けるぞ…準備はいいな?」
 
 剣を抜き、シグルトがいう。
 すぐにスピッキオが護りの秘蹟を全員に与える。
 
「やれやれ、まさかもう一働きさせられるとはね…
 
 けど、まぁいいや」
 
 ロマンが魔導書を撫でる。
 
 一同は準備を終えてオーガを追跡する。
 
「あの岩の上だぁ!」

 サンチョが跳ねながらオーガの背を指差す。
 
「ここからじゃ上にあがれないわ、横の斜面から回り込むのよ!」
 
 傾斜45度はあろうかという斜面を一行は登っていく。
 足音に気がつき、オーガがこちらを向く。
 
「行くぞ!!!」
 
 シグルトの掛け声とともに戦闘が始まった。
 
 敵だと認識したオーガは樽を投げつけてくる。
 足場の悪い中で、凄まじい戦闘が始まった。
 
 シグルトが樽のひとつを蹴飛ばして粉砕する。
 ラムーナが樽の間を縫ってオーガの分厚い胸に剣を吐きたて、ロマンの【魔法の矢】がオーガを穿つ。
 
「く、でかいだけあってなんてタフな…」
 
 次の呪文を用意しつつぼやくロマンの前で、シグルトの姿が一瞬ぼやけると、次の瞬間にはシグルトの愛剣がオーガの脇腹を大きく抉る。
 奥の手である剣技【影走り】を使ったのである。
 
 その後ろで、ロマンが【焔の竜巻】で落ちてくる樽を一気に焼き、その炎のもたらす上昇気流で軌道をそらす。
 
 一気に迫ったシグルトの一撃、ラムーナの一撃が一瞬オーガの動きを止める。
 
「とっとと、死にやがれぇっ、このデカブツがぁ!!!」
 
 樽を飛び越えて、レベッカが体重を乗せた突きでオーガの眉間を貫いた。
 
「グギョアアアァァッ!!」
 
 轟音を立ててオーガは急な斜面を転がり落ちていった。
 
「…ああ、もうっ面倒くさい!
 
 やっと死にやがったか、この×××!!!」
 
 ぺっと唾を吐いてレベッカが汗で張り付いた髪を払う。
 
 見たのならものすごい迫力だった。
 それはもう、オーガが可愛いくらいに。
 
 だが一行は皆がっくりと身を崩して、手近な岩に腰をおろした。
 
 もう手にも足にも力が入らない。
 あまりの疲れに考える事も出来ず、ただ空腹だけが猛烈に襲い掛かって来た…
 
「ふう…今日はもう何があっても帰るわよっ!
 
 おいしいものたくさん食べて、お酒飲んで、寝るの~!!!」
 
 レベッカはへたり込んだまま、叫んでいた。
 
 すでに日が沈もうとしている。
 
 空も山も赤々と輝いていた。

 太陽が沈むにつれ、伸びやかな黒い影が、潮が満ち寄せるようにさぁっと、まどろみゆく大地をすきこんでいった。

「ちょいと、あんた方…ほれ、こらぁ約束の報酬だがや。

 遠慮せずに受け取ってくんろ」
 
 サンチョが銀貨五百枚をシグルトに手渡す。
 
「ほんに、あんた方にゃあ迷惑をかけたなぁ。
 
 結局、あのばけもんのせいで積荷はめためたになったけんど…

 おら、いい冒険が出来たと思っとるだぁ」
 
 シグルトが、それは光栄だな、と苦笑する。
 
「んだ、きっと忘れねぇだよ…」
 
 爽やかに去ろうとしたサンチョの襟首をむんずとレベッカが掴む。
 
「な、なんだぁ?!」
 
 レベッカはにっこり笑っているが、背筋の寒くなるような何かがある。
 
「安心なさい、私が明日商会に掛け合って、サンチョが仕事をやめなくていいように上手く話してあげるから。

 あんたの住所、教えなさい。
 あと商会の場所もね」
 
 本当け!と喜ぶサンチョ。
 
 その後、レベッカはサンチョからいろいろ聞き出すと、手を振って彼を送った。
 
「わぁ、レベッカ、優しい!」
 
 ラムーナがそういうと、レベッカはニヤリッ、と一同が凍りつくような笑みを浮かべた。
 
「ふ、ふふ。
 
 私にこれだけ苦労させて、銀貨五百枚で済まそうなんて甘いわ。
 サンチョはこれからしばらく、私の予備のお財布決定ね…」
 
 ロマンの背筋を冷たいものが流れ落ちた。
 
 
 後日談。
 
 サンチョはレベッカの見事な交渉術のおかげで仕事を辞めずに済んだという。
 しかし、サンチョは冒険者、という言葉を聞くと、思わず財布を握ってしまうという。
 
 ツケを払ってもらうと、レベッカに会う度に酒や食事を奢らされ、サンチョはストレスと食費不足で少し痩せたそうだ。
 仕事をサボってお酒を飲むようなことも無くなり、仕事のできる男として商会からの信頼も厚いという。
 
 彼曰く…
 
「レベッカってぇ名前の冒険者だけは怒らせたらならねぇど!」
 
 だとか。

 
 
 コメディものの長編、きしりとおるさんの『傾斜45度の戦い』です。
 
 楽しいシナリオです。
 うちのわりとシリアスな“風を纏う者”にはそぐわないような内容かもしれませんが、ささくれた話の後にはこういうのも好いかと。
 
 文章もかなりコメディ調にやりました。
 
 
 今回早速出番となったNIFQさんの店シナリオ『賢者の街キルノレ』の【焔の竜巻】、大活躍でした。
 私は【炎の玉】より使用頻度が高いです。
 
 利点としてまずレベルが比較的低くて使える全体攻撃魔法であること。
 でも威力は充分で、抵抗に失敗したゴブリンぐらいは一掃出来ます。
 
 そしてこの魔法の最大の特徴である防御効果、これこそが私が愛用する一番の理由です。
 魔術師って奴はタフネスに問題あるものが多いので、雑魚の攻撃で昏倒することもしばしばあります。
 この魔法はそれを防ぎつつ、雑魚を薙ぐには最適の魔法です。
 回避力と防御力+5は強力な防衛手段です、効果がそのラウンドだけでも充分。
 ボス戦で身を守るのにも使えます。
 敵の行動が分かっていればカウンターにも使えるので、序盤の全体攻撃を何にしようかと迷った方にはお勧めします。
 
 注意点は魔法の多くが遠距離攻撃なのに対し、これは【薙ぎ倒し】とかに近い近接攻撃だということでしょう。
 
 でも、【炎による攻撃】のキーコードは発火にも使えるので便利なんですよね~
 
 『賢者の街キルノレ』はプライベートシナリオなのでNIFQさんのホームページでないとDLできません。
 
 私、個人的にこのシナリオのかぼちゃの召喚魔法、大好きです。
 SIGさんの『異端なる魔剣の入手法』で箒を手に入れて、魔女チックな装備をしてみたい、今日この頃です。
 
 
 今回、シナリオが長かったので編集に手間取りました。
 長編はきついですね。
 このシナリオ、文章量がすごいので半泣きにで書いていたんですが、つまらないといわれると、作者さんに申し訳ないのを含めて泣きます、たぶん。
 
 レベッカの悪辣さとか、シグルトの血筋とか、伏線もいくつか登場していますが、基本的にざっと読んでもらえれば幸いです。
 
 今回のシナリオでレベッカが4レベルになりました。
 きっと、サンチョに奢らせて英気を養ったからです、きっと。
 
 
 ではいつもの報酬編です。
 
・宝箱から+300SP
・報酬+500SP
 
・【呪縛解除】入手と売却 +300SP
・【火焔弾】入手と売却 +300SP
 
・【槍騎兵の盾】売却 +250SP
・【バックラー】売却 +250SP
 
・【クロタカの爪】×2売却 +50SP
・【ブーイー草】×2売却 +50SP
 
 
◇現在の所持金 4431SP◇(チ~ン♪)
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この記事のコメント

 いや、レベッカさんあくどいというか、このシナリオの雰囲気とも合わさって、影でニヤリと笑ってそうに見えて楽しめました。他が朴念仁、ひねた子供、天然少女、じいさんな司祭とブラックな笑いを提供してくれそうなキャラがいない分、姐さんには期待します。
 たまにはこんな息抜き、必要ですしね。

 今後に期待しています。

 では、失礼。
2006-07-11 Tue 00:39 | URL | 暁艮 #-[ 編集]
こんにちはm(__)m(こんばんはの方が適切かも!?)

申し訳ありませんが、シナリオのリプレイの様子よりキャラの好物がわかったときの方が、面白い(というより、思わずにやけてました)決してリプレイがつまらなかったとかそういうことではありませんので、怒らないでください(土下座)

私の好物のはロマン君+スピッキオさんです。それにしても、胡桃を噛み砕く顎の力って凄まじいですね・・・

オーガ>
このシナリオのオーガは強かったです。オーガは2.3度屠った事があるので楽勝だろうと思っていたら中々倒せませんでした。エディタで開いたら耐久力が凄い事に!!

魔道士>
確かに、策士型の子供や老人は耐久力に難があるので回避力や防御力が上がるスキルは最適ですね♪板金鎧などで防御力をあげてもイメージが崩れますし・・・
好戦性が高い豪傑型や勇将型のPCも魔道士の適正がまったくないわけではありませんが、イメージ的に合間戦(T-T)

箒>
老人♀の冒険者に持たせるといかにも、魔女って感じであってます♪でも、ジブリの有名な映画みたいに子供のキャラクターに持たせても、いい感じですね♪

素敵なリプレイをありがとうございました。それでは、失礼いたしますm(__)m
2006-07-11 Tue 17:52 | URL | らっこあら #mQop/nM.[ 編集]
 いらっしゃいませ~
 
>暁艮さん
 ブラックなネタはたぶん、ロマンも提供することがあるかもしれませんが、何分誠実とかお人好しの多いパーティなので、基本的にあくどいことは、利己的で不実なレベッカが担当してしまいます。
 レベッカの武勇伝はそのうちちょこちょこと紹介していきますね。
 
>らっこあらさん
 好物が分かると親近感がわくというのはあるかもしれません。
 実は唐辛子を使おうとして、アレが南米原産でしかも大航海時代以後にもたらされたんだと知って、ショックを受けました。
 中世、調味料が少ないので、料理の描写が大変です。
 アーモンドは旧約聖書に登場するとか。
 胡桃は握力で潰すことも可能なので、頑丈な顎なら大丈夫です。現代の私のようなやわな顎だと、歯が折れるかもしれませんが。
 質素な生活って大切ですね。
 
 このシナリオのオーガ、本当にタフでした。
 しかも呪縛とか麻痺に無敵でしたし。
 
 私はスキルの破壊力より、利便性を重要視します。
 目的が一つのスキルって使い難いので。
 CWのキーコードは偉大です。
 
 スキルで攻防一体のスキルは大好きです。
 
 箒と一緒にアサメイ(魔女の短剣)作りたい気分です。
 
 長いリプレイですみませんです。
 次回はあっさり系かも。
 
 また来てくださいね~
2006-07-11 Tue 22:46 | URL | Y2つ #TIXpuh1.[ 編集]
なんだか最近二度ギャグ(天丼)系の笑いが冴えてますね。
シリアスもコメディもいけると言うくらいまで慣れておくと、
比重が片寄りすぎることもなく、
読者を選ばない軽快さを身につける事が出来ちゃいそうです。

そういえばこのシナリオはスキルが手に入るんですよね。
そう考えるとプレイしとくのも有りかな……
もちろんシナリオ自体も面白いですし。
サンチョのダメダメ加減が蘇ってきて、また彼に会いたくなりました。

シグルトの血統が明らかになってきましたね。
英雄候補にふさわしい、大きな風呂敷だと思います。
今後、どんな宿敵と出会い、どう乗り越えるのか。
とっても楽しみです!
2006-07-25 Tue 02:15 | URL | Djinn #I9hX1OkI[ 編集]
 このシナリオは抱腹絶倒ですよね。
 
 サンチョのだめっぷりは最高でした。
 
 このシナリオでスキルを手に入れ、売り払うとそれなりのお金になります。
 
 楽しくて儲かります。
 
 シグルト、御大層な出生ですが、実は彼の英雄性のための伏線ではないんですね。
 伏線が分かったときの反応がちょっぴり楽しみです。
2006-07-28 Fri 23:46 | URL | Y2つ #TIXpuh1.[ 編集]

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