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『碧海の都アレトゥーザ』 風は留まらない

2018.06.02(11:53) 448

 レベッカとスピッキオが合流するまでの数日、ラムーナの新しい技と新しい装備バックラーの習熟のため、シグルトは時間を割いていた。
 ロマンはその見学である。

「今日は武術の重要な要素である【接迫(バインド)】と、【感受(フィール)】について教えよう。

 盾を構えてくれ」

 ラムーナが盾を突き出すと、シグルトはその盾に手に持った棒を当て少し力を込める。

「手に持った武具や素手が触れ合っている状態、これを【接迫】と言う。
 あらゆる武術で基礎となる状態の一つだ。
 鍔迫り合いや戦闘前に武器を合わせるのも【接迫】の動作になる。

 この状態からの展開は、武器を受けた時や攻撃を流す時、弾く時、押しやる時、引っ張る時、引っ掛ける時と様々に変化する。
 どんな武器であっても体験する姿勢であり、武具の特性がことさらに影響する機会でもある。

 今俺が盾にかけている圧力は肌を通して感じるだろう?
 目で見なくても、押す力も引く力も、その力の加減で感じ取れるはずだ。
 例えばこうやって【接迫】した武器を滑らすと、どう動くか感じ取れるな?

 皮膚で感じる圧力や空気の流れ、持った武器を通して力の流れを知覚すること…これを【感受】という。

 【接迫】の状態で強い力が加わるか圧し合っている状態を【剛(ハード)】、相手の攻撃をいなしたり力が足りない状況で【接迫】から逃れようとしている状態などを【柔(ソフト)】と言う。
 東洋の言葉に〈柔よく剛を制す〉というものがあるが、突き詰めれば武術において必ずの正解じゃない。

 〈柔を以って剛を制し、剛を以って柔を制す。剛柔を重ねて技とし、剛柔を超えて自在神速なれば芸の極みなり〉。

 【剛】の状態をいなすのが【柔】で、【柔】の状態を壊すのが【剛】。この二つの要素を合わせて活用すれば技として成り立ち、剛柔を臨機応変に使いこなして合わせた力を昇華した極みに、奥義への扉がある。
 ラムーナは、腕力や体格が【剛】には向かないから【柔】に優れているが、かといって【柔】の状態ばかり使っていても頂には遠い。
 苦手な【剛】の要素も【柔】に〈足して〉技を振るえ、ということだ。
 
 剛柔を合わせて臨機応変に活用するのには【感受】の熟練こそが最も大切になる。

 まずは盾を地面に突き立てた木の棒に当て【接迫】、力を加えて【剛】、力を抜いて【柔】、その感覚を【感受】で聴く…感じ取ることを繰り返せ。
 専門用語が多くて難しいなら、〈【接迫】、【剛】、【柔】、それを【感受】!〉と言葉にして呟きながら、手に感じる圧力の変遷を聴いてひたすら続けるんだ。

 言葉が頭に入ったら、今度はそれを対人でやる。ゆっくり、ゆっくりだ。相手も力加減を変えて、その上で絶対に【接迫】の状態を解除しない。
 その時は【接迫】が離れない状態になるようにしつつ、自分が【剛】と【柔】どちらをしているか言葉にして、感覚を身体に染み込ませる。同時に相手がどのようにし、どこで力を入れ抜いているか感じ取れるようにも意識する。

 一千回やればなんとなく、一万回やれば身体が憶える。
 その後はひたすら鍛錬を続け、だんだん早くして行く。

 敵の攻撃がぶつかった瞬間、こちらが攻撃をぶつけた刹那、それらが理解できるようになってやっと第一段階だ。
 意識して巻き込みやフェイント、攻撃まで【剛】と【柔】を応用して相手を攻められれば第二段階。
 自然に身体が応え、憶えた舞踏のように〈行おうとする意思〉より速く行えれば、そこが到達点。

 そのために、ひたすら繰り返し身に刻む。

 …俺が師に学んでいた頃、体格も膂力も俺に勝る兄弟子が、なかなか奥義の伝授を許されず、師に抗議した。
 師は、"師を信じずして無漏の継承は成らず。愚直に器を成さねば、すでに壊れ漏れ出しているのだ"と兄弟子を叱り、基礎の継続を強要した。

 俺は、才気あふれる兄弟子すら叱られる…師の奥義の深淵はまだ遠いのだと、ひたすら型を繰り返し、気付けば〈体得〉していた。

 武芸というのはそういうものだ。
 浅きより深きに入るため、愚直にできるようになるまでやる。

 考えるより、繰り返しやってみることだ」

 シグルトの教えているのは、【聴勁】の鍛錬法である。
 【聴勁】というのは東方武術において詳しい概念で、皮膚感覚によって敵の力の強弱を感知し、それに合わせたカウンターや巻き込みを仕掛ける時に必要となる。
 過去の達人は指先に鳥を止まらせ、鳥が羽ばたこうとして足に力を籠めるのを察知して手を引き、飛び立てないようにする訓練を行ったという。

 【接迫】は西方の武術ではとても重要な要素だ。
 特に西方北部でとある剣聖が残した武術書に、その状態からの変化で様々な技を仕掛けるものを記したものがある。

 こういった古流武術は、一時期衰退することになる。
 闘気や呪文で技を強化する技法が流行したからだ。

 【勁】と呼ばれる力学と鍛錬の研鑚によって生まれた武術的な力の出し方や技術は、力が少なくても可能な〈力の付与〉の技術の登場によって薄らいでしまうのである。
 無論、古典的な技術を頑なに継承してきた武術家もいるのだが、非力な僧侶が素手で放つ【掌破】でアンデッドを砕き、物理攻撃が効かない幽霊を軽々と断つ【居合斬り】などは戦士の在り方を大きく変えた。

 シグルトはその時代に、あえて古典的技術をラムーナに教える。
 彼が至った武術理論とは、〈力の集合こそ強さである〉ということ。
 安易な強化ができる闘気や魔法の前に、修められる古典的な技術を最大限まで修め、その延長線上に闘気や魔法を重ねた技こそがより頂に近い。

 器用さも俊敏性も剛腕も…フィジカルな才能に影響された技は才能にこそ支配される。
 真の武が、そうあってはならない。

 鍛錬によって才能で表現できる部分をひたすら繰り返して模倣し、一番得意な才能を基準として、苦手な才能の分野すら習合した力を、最大限という形で発揮する。
 武術とは、すなわち才能の希薄な者が、至難の技術を鍛錬によって修め、天稟という弱者を阻む壁を超越することにあるのだ。

 このような哲学を口先で語ったとしても、多くの者は理解を示さないだろう。

 実用的で安易な技術こそが大衆に求められるもので、その究極となるのは未来に登場する火器や兵器の類である。
 それは後に白兵戦の手段の多くを無用の骨董品に変える。
 武術はスポーツとなり、破壊と殺戮の術理は変化して古いものから伝統や歴史という枠に収まり薄れていく。
 武術家の黄昏はそうやって訪れると、聡明な者はすでに予感している。

 シグルトの理論は、その時代まで武術を存続させるために足掻く者たちが行き着く答えの、一つであった。

 ラムーナやロマンに理解までさせるべきこととは思わない。
 それでも、先達が足掻き続け到達した術理を少しでも取り入れて最新の武術とするのが、後進の武術家が担うべき役割ではないかと思う。
 だからこそシグルトは、頑なに基礎を取り入れ、愚直に繰り返すことを伝える。

 そのやり方を継承するか、効率という枠に収めて無駄とともに削り落として自分なりの吸収をするかは、学ぶべき後進が選ぶ自由である。

 幸いラムーナは好奇心旺盛で、ロマンはシグルトの語る古い術理を興味深く聞いていた。
 シグルトの語る武術は先達としての高慢さがない。かみ砕いてわかりやすく、磨いた鋼のように効率的で、知識では修められない感性での継承を〈体得〉という言葉に置き換えて伝えている。

 伝える側は誠実に、受ける側は愚直に。
 その信頼関係が成り立った時にこそ、漏れずに武術の継承はなされるのである。


 その日の夕刻。
 『悠久の風亭』にレベッカが到着した。
 
「…元気だったか、レベッカ?
 いや、少し顔色が悪いか。

 スピッキオもいるようだな」
 
 穏やかな微笑を浮かべ、シグルトが宿を見渡す。
 カウンターに座っていたレベッカが、お帰りとばかりにアレトゥーザ名物【イル・マーレ】の瓶を掲げた。
 数日前にしくじって少し怪我をしたので、病み上がりなだけだということだが、先ほどスピッキオに治癒の秘蹟を施してもらったらしい。
 
 その横でナッツを摘んでいたスピッキオが、ほほ、と笑った。
 
「遅いよ、もう。
 
 書棚2つ分の本を読むくらい待ったんだからね」
 
 すねたようにロマンがそっぽを向くが、再会が嬉しいのか少し頬が赤い。
 この少年のひねくれた態度は、相変わらずだ。

「お前たちが来るまでに、ラムーナの新しい技はすぐ戦闘で連携に取り入れられるように調整しておいた。

 それに合わせて新しい装備、バックラーを買って前衛の守備力強化を図ったから、承知しておいてくれ」

 合わせて装備の代金は自分の稼ぎから出したこともレベッカに告げ、シグルトは、銀貨の袋を取り出すとカウンターに置いた。
 “風を纏う者”の他のメンバーたちは、結構な額の銀貨に目を丸くしていた。
 
「驚いた…

 貴方の方で使うかも知れないと思って渡した銀貨の他に、幾分増えてるじゃない」
 
 渡した時に比べて増えた銀貨を確認し、レベッカも銀貨を懐から取り出してその横に置いた。
 銀貨五百枚ほどである。
 
「私もちょっとばかり収入があったのよ。
 
 別れる前にシグルトと私で稼いだお金の合わせると、これで銀貨六千枚以上あるわ。
 その仕事で見つけた魔法のお宝なんかもあるし、しばらくは資金に困らないわね。
 
 余裕も出来たことだし、今夜は久しぶりの再会を祝して豪勢にしましょうよ」
 
 レベッカがそう言うと、宿の女将であるラウラがやって来て、皆の前に料理の大皿をどさりと置いた。
 
「これはうちの奢り。
 
 ラムーナたちには、留守番や宿の雑用をやって貰ってたからね」
 
 新鮮な海産物をふんだんに使ったボリュームたっぷりの料理に、レベッカが目を輝かした。
 
「すまない…馳走になる。
 長旅で保存食ばかりだったから、楽しみだ。
 
 レベッカは…手持ちの酒があるようだな。 
 ロマンには、蜜入りの果実水を。
 ラムーナには、ミード(蜂蜜酒)でいいか?
 スピッキオはいつもワインだったな。
 俺はエールを貰おう。

 それと、魚の〈あら〉があったら、いつもみたいに辛めの香草を使って一料理頼む。 
 仲間には、適当な料理を見繕って出してくれ」
 
 ラウラが呆れたように肩をすくめた。
 
 シグルトは、余り豪華な食事を頼まない。
 硬い筋の肉や、魚のあらを好む。
 あげくに、あまり好まれない海草や、臓物の煮込みなども好き嫌い無く食べる。
 
 硬い物ばかり食べるシグルトの顎は強靱で、胡桃や動物の骨を容易く噛み砕けるほどだ。

「あんたさぁ…

 こんな時ぐらい、もっと良い物食べなさいよ」
 
 レベッカがそう言うと、シグルトは苦笑した。

「古くなった塩漬けの魚に比べれば、みんな御馳走だ。
 
 それに、〈あら〉は煮込みにするとなかなかいける。
 なにより、身になる食い物だからな」
 
 魚の骨や目玉も残さず食べるというシグルトは、やや痩せた体格にしては骨格ががっしりしており、かなりの力がある。
 彼より二回りも大きい男を、軽々と投げ飛ばすぐらいだ。
 
 戦士は食事から、というのがシグルトの言い分だ。
 脂肪の少ない物を食べ、鍛錬を怠らないシグルトは余分な贅肉など全くなく、猫科の野獣のようにしなやかな筋肉をしている。
 持久力が高く、打たれ強い。
 
 祝いの席ですら酒の量を守る徹底ぶりも、リューンの『小さき希望亭』では有名だった。
 シグルトが好むのは辛口のワインかエールだが、ぐいぐい飲むのではなく、ちびちびやる。
 
 素面を保ち腹八分であることが、どんな時でもすぐ動き回れる条件だからという言い分だ。
 そのあたりでも優秀な戦士である。
 
 己の腹についた脂肪を思い出し、レベッカは少しやけになって杯をあおった。
 
(まったく、美味しいから仕方ないじゃないっ!)
 
 心の中で愚痴を言うレベッカの横で、遠慮無く食べているのはラムーナである。
 
 育ち盛りのラムーナは、今までが痩せ過ぎだったので、食事は大いに必要なのだ。
 最近の鍛錬が過酷だったのと、激しい戦いのダンスを習得したため、その分活力を求めておいしそうに食事をしている。
 
 ロマンは小食だが、甘い物が好きである。
 食べても一向に太らない体質で、ニキビすらない端整な顔立ちは女性に羨ましがれる程。
 曰く、適度に食事を摂取をしないとさらに太りやすくなるそうである。
 決まった時間に量を計算して摂取するのが、肝要らしい。
 
 スピッキオは老人ではあるが、長身のシグルトよりもさらに一回り大柄である。
 だが、見た目に似合わず大食いではなかった。
 彼の好物はナッツ類で、胡桃や南瓜の種には目が無い。
 肉類よりも海産物が好きで、それは南海地方の出身らしいとも言える。
 
 久しぶりになるパーティ揃っての食事は、それぞれ思うところはあるものの、和やかな時間となるのだった。


「皆、食事をしながら聞いてくれ。
 
 今後のことなんだが…
 最近アレトゥーザ近郊には、随分余所の冒険者が集まって来たようだ。
 噂では地元の冒険者と、俺たち外様の冒険者の間で摩擦が起きているらしい。
 
 こんな競争状態の状況では、あまり仕事が無いと思うんだ。
 
 この手のことは、リューンやアレトゥーザのような大都市では頻繁あることだが、そのうち落ち着くだろう。
 だが、暇を持て余すのも考えものだ。
 
 早いうちに別の都市に移動した方が仕事にありつけるかもしれないし、今なら路銀にも余裕がある。
 通る街道の、選択肢も増えるはずだ。

 明日には出立したいと思うんだが、どうだろう?」
 
 都市に訪れたその日に旅立ちを提案するシグルト。
 気が早いようにも見えるが、リーダーとしてのシグルトは迅速な決断力を持っていた。
 彼のこういった提案は、大概が正論である。
 
「それには私も賛成ね。
 
 良いだか悪いんだか、私たち“風を纏う者”は、仕事が出来るからって、地元の冒険者に煙たがられているのよ。
 名が売れることは、大切なことなんだけど。
 
 さっき都市の知り合いと話したんだけど、露骨に私たちをライバル視してる連中もいるって聞いたわ。
 
 この都市の業界で“海風を薙ぐ者達”っていう地元のベテラン連中を中心に、ちょっとばかりきな臭い噂もあるみたいだし。
 連中、でっかいへまをやらかしたらしくて焦ってるって話ね。

 地元の連中に、目の敵にされたらやっかいよ。
 少なくとも今の私たちじゃ“海風を薙ぐ者達”に、足下にも及ばないわ。
 こいつ等の武勇伝は有名だしね。
 
 それに、聖海教会の派閥闘争が激しくなりそうだわ。
 あの教会は、保守派と穏健派で真っ二つに別れてるけど、最近特に保守派が派手に動き回ってるみたい。
 
 今の司教はバリバリの保守派で潔癖症って話だから、私たちにもとばっちりが来るかも知れないわ。
 教会って、時には仕事をくれるお得意様だけど、教義とか信仰が絡まると途端に石頭になって文句を言ってくるし。
 保守派の何人かは、国外の人物…特にラムーナみたいな東方の民や、南方大陸出身の黒き民を目の敵にしているしね。
 
 この間、チーロとかいう保守派の坊主がラムーナに因縁をふっかけてきたのよ。
 いかがわしいとか、なんとか。
 しばらくふんぞり返って椅子に座ることが出来なくしてやったけどさ。
 
 小耳に挟んだ話じゃ、この都市近郊の〈鮫〉…海賊の動きが活発になってきたみたいだし、アレトゥーザの宿敵といえる隣国フォルトゥーナとの緊張が高まって、騒がしくなってるわ。
 戦争が起こりそうな感じで、しかも仕事がやり難い規制がかかりそうな気もするのよ。
 軍人どもやお役所は、余所者の活動を嫌うからね。
 
 今後、動き難くなるかもしれないし、出入りが緩やかなうちにこの都市を出るのが賢明でしょう?」
 
 レベッカの言葉に、ロマンが続く。
 
「最近『賢者の塔』で、馬鹿な同業者が礼儀を欠いたことをしたんだよ。
 おかげで、僕らも貸し出し書物に制限がかかちゃったんだ。
 
 今読める類の本はわりとどこにでもあるし、僕も別の都市に移るのは反対しないよ。
 修理に出しておいた手袋も直ったしね」
 
 確認するように皆の視線がラムーナの方を注視する。
 
「ここで習ったダンスは、後は実戦で磨くだけだって言われてるよ。
 盾の扱い方もシグルトに教えてもらったし。
 私はいつでも大丈夫。
 
 仕事を探すのなら、すぐにでも出発しようよ」
 
 ラムーナの横で、一人渋い顔をしているのはスピッキオである。
 
「儂としては、レベッカの言った教会のことが悩ましいところなんじゃが。
 教会での後進にすべき教導は、ちゃんと終わったからの。
 
 他に反対もおらんようじゃし、仕方あるまいて」
 
 決まりだな、とシグルトが決を出した。
 
「…お前たち、此処を離れるのか?」
 
 話を聞いていたらしい『悠久の風亭』のマスターが、ぼそりと野太い声で問うた。
 シグルトが、悪漢たちに絡まれいたレナータを助けて彼女と親しくなって以来、このマスターのシグルトを見る目は大きく変わっている。
 
 最初は余所者として少し粗雑な扱いを受けていたのだが、“風を纏う者”の仲間が長く逗留したせいもあってか、今ではこの宿に属す地元冒険者たちに対するように扱ってくれた。
 
「ああ。
 落ち着いたらまた来るつもりだが、しばらくは別の都市で仕事をすることになるだろう。
 
 俺たちは冒険者だ。
 旅をするのは職業柄、だな」
 
 シグルトが苦笑して応えると、マスターは深く溜息を一つ吐き、不意に面を上げて言った。
 
「…お前たち、この宿の専属にならねぇか?」
 
 “風を纏う者”の面々が、一様にマスターを注視する。
 
「余所者から、この都市の宿で専属になる冒険者も沢山いる。
 もちろん専属にするなら、宿の店主の目に適った奴じゃなきゃいけねぇんだがな。
 
 その点、お前たちは問題ねぇ。
 名声って意味じゃ発展途上だが、仕事の誠実さはあちこちで聞いてる。
 地元の連中を立てて依頼を譲るから、騒動も少ない。
 パーティとしての結束力もつえぇ。
 
 レベッカはこの都市の盗賊ギルドにコネがあるだろ?
 そこの爺さんは、聖海の司祭様じゃねぇか。
 縁だって十分にある。
 
 その気がありゃ、問題はねぇよ」
 
 やや頬を赤らめているマスターである。
 褒めることが苦手なのだろう。
 
 マスターの横で、ラウラが片目を瞑った。

「この人がこんなことを言うのは珍しいのよ。
 
 でも、あんたたちを認めてるのはこの人だけじゃない。
 私としても、あんたたちには専属になって欲しいわ。
 
 仕事が出来て信頼に値する冒険者を、より多く抱えるのは冒険者の宿でとても大切なことなのよ。
 特に盗賊と僧侶が揃っていて、シグルトのように優れたリーダーがいるパーティは、喉から手が出るくらい需要があるの」
 
 ラウラの言葉を横で聞いていたマスターは、動きを止め、真剣な顔になった。

「シグルトはレナータと仲良くしてくれてるだろ?
 
 美人なレナータ目当ての軟派野郎なら、ぶん殴って追い出すところだが、お前は見返りも求めずあいつを助けてくれた。
 恩を着せたりしてねぇ。
 お前がどんな奴かしばらく見てきたつもりだが、レナータの知り合いの中じゃ、一番男気がある奴だ。
 いっつもあいつに気を遣ってくれてるし、お前と会ったって後、レナータがよく笑うんだよ。 
 
 あいつはこの都市で、一人で頑張ってるんだ。
 だがよ…
 この間みたいにいわれのねぇ因縁ふっかけられて、酷い目に遭うこともある。
 女一人で生きてくにゃ、世知辛い世の中だ。
 あいつが不憫でよぅ。
 
 俺たちはレナータにでかい借りがある。
 その借りを返してぇんだが、俺たちがしてやれることっていえば、せいぜい食い物の差し入れをするぐれぇだ。
 
 レナータには、もっと側で支えてやる奴が必要だと思っちゃいるんだが、よ。
 だから、あいつと仲の良いシグルトが此処に留まってくれると、ありがてぇんだ」
 
 マスターは期待の籠もった目でシグルトを見つめる。

 シグルトは少し目を伏せ、そして首を横に振った。
 
「マスターの申し出は凄く嬉しい。
 
 だが、俺たちはリューンの冒険者だ。
 仲間の意見はそれぞれあると思うが、俺は流浪していたところをリューンの『小さき希望亭』で拾って貰った恩義がある。
 
 安易に宿を換えるのは、冒険者として不義理の極みだ。
 それをやれば冒険者の世界では、村八分に近い扱いをされるのはマスターたちも知ってるだろう?」
 
 登録した宿を抜けて他の宿の冒険者になるということは、一見当たり前に出来そうだが、実は最大の禁忌の一つである。
 何故なら、特定の冒険者の宿に属す冒険者は、宿独自のコネクションや秘密に関わり、特権と共に多くの責任を有するからだ。
 
 宿を通して受けた依頼人の秘密や、宿独自のルール。
 宿を換えるのは、そういったものを捨てるということだ。
 同時に宿に所属する冒険者たちにとって目障りな存在となり、裏切り者同様の扱いとなる。
 
 過去にそのような宿抜けをしたことがある冒険者は、「裏切る可能性のある者」として扱われることが多い。
 だから、冒険者として再び迎え入れる宿は少なくなり、そう言う人物だと知って迎え入れた宿は、常識知らずだと不名誉な扱いをされる。
 そんな宿は、冒険者に関わる組織から爪弾きにされ、経営がおぼつかなくなるだろう。
 
 冒険者が宿を移籍する場合は、互いに友好的な関係の宿同士で、片方から紹介状を携えて行うのが普通だ。周知も行う。
 これはそれなりに実力のある冒険者がやることであり、冒険者になって間もないシグルトたちは紹介状を書いてもらえる立場ではない。
 実績は積みつつあるが、“風を纏う者”の面々は組んで一年にもならない駆け出しである。
 
 遠方からの移籍である場合、例外となる場合もある。
 これは、あまり褒められたことではないが仕方ない、程度に扱われる場合がほとんどだ。
 最も、不義理だと白い目で見られる可能性は捨てきれない。
 
 他には、冒険者その者が独立して冒険者の宿のようなコミュニティを作る場合もある。
 これは引退した冒険者などの選択肢で、現役の冒険者がすることではない。
 
 こういった背景から、冒険者は離れた地域で活動していても、何れは所属していた冒険者の宿に帰還するのが常識であった。
 冒険者にとって所属する宿は、根無し草とも言われる冒険者たちの故郷であり、帰るべき拠点(ホーム)なのである。
 
 宿の移籍はつまり、故郷の家族を見限るような行為なのだ。
 
 無論、このような綺麗事だけで冒険者がやっていけるわけではない。
 実際に無理な移籍をしつつも、実力で周囲に認めさせた者たちもいるし、止むに止まれぬ事情で移籍に踏み切った者たちもいる。
 
 だが、義理堅いシグルトとしては出来る限り仁義を守るのがスタイルだ。
 マスターの申し出を有り難いと思っていても、裏切り者の汚名を世話になっている『悠久の風亭』にもたらすのは絶対避けたいという気持ちだった。
 
 シグルトの言いたいことが判ったのか、マスターは残念そうに肩を落として、「そりゃ、仕方ないよなぁ」と呟いた。
 
「あんたみたいな義理堅さがあるからこそ、声をかけたんだけどね。
 最初にこの宿に来てくれなかったことを残念に思うわ。
 
 でも、もし何かあって行き場所が無くなったら、うちに来ることを最優先にしてね」
 
 ラウラは結果が判っていた、とばかりにそう付け加えた。
 
 シグルトは、「すまないな…」と謝罪の言葉を言うと、出されたエールを一口啜った。
 “風を纏う者”の面々も、シグルト同様の意見らしく、皆申し訳なさそうにしている。
 
「…だが誓おう。
 
 俺が及ぶ限り、レナータのために尽くすつもりだ。
 彼女は、この都市で出来た最初の友だからな」
 
 何気ない言葉であったが、シグルトは誓いのために命を賭けられる男だった。
 誓いのために己の力を尽くすことは、彼の名誉なのだ。
 
 誠実で公正なシグルトが誓う言葉に嘘は無い。

「それに、レナータは強い女性だ。
 誰かに護られることを、好しとはしないだろう。
 
 親しいということは、信じられることでもあると俺は思ってるよ。
 
 だから、彼女が本当に助けを求めた時…
 俺が助けるべき時が来た時に、力を尽くす。
 
 彼女を背負うわけでも、恩を売るわけでもない。
 共に歩む時がある、けれど互いの誇りと別の道を歩むことを尊重して並ぶことが出来る…
 
 俺は、そんな友でありたい」
 
 シグルトの言葉に、マスターが目を見開いた。
 
 レナータが自身の道を必死に生きていることを、シグルトはちゃんと見ているのだ。
 だからこそ、彼女の誇りを重んじ、友として横に並ぶのだと。
 
 レベッカが誇らしそうに鼻を鳴らした。

「うちのリーダーはこういう奴よ。
 
 だから、この私が認めてるの」
 
 自慢げなレベッカの態度に、マスターがまた一息大きく吐いた。
 今度は諦めたような、溜息だった。


 翌日。
 “風を纏う者”は『悠久の風亭』の主人とラウラにしばしの別れを告げると、旅の装備を整えるためアレトゥーザの朝市に出かけた。

 港を持つ都市の市に特有の人の熱気と海産物の生臭さが混じる空気を嗅ぎながら、食料品や消費した道具を買い揃える。

「シグルトのくれた粉薬、使い切ってしまったのよねぇ。
 あれって凄いわ。

 特別な奴でもう手に入らないのよね?」

 以前別れて行動していた時に、崖から落ちて重傷を負ったレベッカは、悪い風を防ぐという秘薬を使った。
 それはシグルトが所持していた特別なものだ。

「あれを作れる者は今ペルージュにいるはずだ。
 とはいっても、材料をそろえるには酒蔵のような設備と時間がいるからおいそれとは作れないだろうが。

 俺の所持する物やレベッカに渡した分は、俺が故国を旅立つ時に餞別で貰った物だから量はそれほどない。
 薬には寿命もあるし役立ったなら何よりだが、何れ使い切るものとして、今後は別の手段を探すべきだろうな。

 思うに、悪い風の対策で最も優秀なのは水の精霊術だ。
 適量ずつ精霊の作り出す浄水で傷を清め、傷に含まれた毒素を流し去って傷を癒す。
 悪い風によって発生した毒素も、水の精霊が汗や血から見つけ出して浄化してくれるから、あの粉薬が効かない緑青の膿が出る毒や労咳の緩和にも効果がみられるだろう。

 だが、水の精霊術師はとても稀少だ。
 教会の治癒の秘蹟より病気に有効という点から既得権益を奪う者として、水の精霊術師は目の敵にもされるため、立場を隠す術師も多い。
 リューンの精霊宮で召喚術を習得するのも手だが、あれは高等技術だ。儀式呪文と割り切らない限り、素人が手を出せるものではないだろう。

 他の手段としては解毒薬の類だが…高価だし、毒が発生しない限り使えない。

 予防処置としては解毒性の強い木タールを使うことだが、あれは傷が化膿するのを少しばかり防ぐのがせいぜいだ」

 アフマドに学んだ高度な医療知識を語りながら、シグルトは「怪我をしないことと、清潔・早期の治療が大切だ」と語る。

「水の精霊術師かぁ。
 そういえば、シグルトの知り合いっていう精霊術師さんはそっちの専門家よね?

 今後もし新しい仲間を入れるとしたら、水の精霊術師か野伏(レンジャー)ねぇ。

 野伏の医療術も馬鹿にならないのよ?
 あの連中は不潔な極限環境の専門家で、生存術に関しては冒険者の上に行く連中だから。

 機会があったら、私たちも野伏から専門の野外知識を学んでおくべきかもね」

 レベッカの言う野伏(レンジャー)は、狩人に近い素養を持つ野外活動の専門職だ。
 彼らの中には薬草の調合や優れた医療技術を持つ者もおり、盗賊と並ぶ斥候としての能力から僧侶・魔術師・盗賊の次に重宝がられる。
 ただ、野伏となる者は厭世的な性格の人間が多くあまり世に出ない。精霊術師や吟遊詩人と並んで存在数が稀少だ。
 本職ではなく戦士などが兼業する場合もあるが、そういう者たちは職業専門の特技(スキル)が使えない場合も多い。

「無いものねだりしとってもらちがあかんの。
 今は道具で補えるようにするしかないわい。

 あらゆる病を治したという聖女オルデンヌの秘蹟でもあれば別じゃが、あれは聖女の遺体ごと奪い去られてしまったから遺失して学べんのじゃよ。

 教会にも病や悪風に対抗する秘蹟はいくつかあるんじゃが、ほとんどが奥義の類での。
 解毒の秘蹟は戦いの高揚時に他の術の発動を阻害しやすく、冒険者の仕事向きとは言えん。

 わしとしてはそっちよりも対不死者の術を補っておきたいしの」

 スピッキオが自分の知る知識から、現状での保留を言葉にする。

「魔術師にも治癒術はあるんだよ。
 でもその中でも有名な術を書いた魔術師は隠棲してどこかに身を隠してしまったらしいね。

 僕としてもいろんな分野に手を出して器用貧乏になりたくないから、治療魔術の習得は却下。
 治癒術を使える魔法の杖でもあれば別だけどね。

 何かで治療面を補えるように、薬に関して機会があったら調べておくよ」

 シグルトに防御や回復手段の重要性を教えられたロマンは、別のアプローチを提案した。

「う~ん、仲間を癒す様な特別な【呪舞】は凄く稀少だって先生が言ってたよ。
 私の使える舞踏はどっちかって言うと戦士向きで、自分を強くしたり、攻撃に使うものが多いから。

 先生がそういう踊りをいつか編み出したいって言ってたけどね」

 ラムーナは「私にも無理~」とぐんにゃりする。

「今度ペルージュに立ち寄った時、知り合いに相談しておこう。

 これで買い物はだいたい済んだな…」

 会話をしながら、各々で必要な装備を整えている当り、この面々もだいぶ冒険者として慣れてきたと言えるだろう。
 かくして、いつもの不機嫌な衛兵のいるアレトゥーザの街門に向かおうと一行が思考を切り替えたとき、不意にそれを遮る者があった。

「おう、あんたらは確か一度俺の店を冷やかしに来てくれた“風を纏う者”だよな?」

 ガラの悪い男であったか、顔に覚えがある。

「あなたは…フォーチュン=ベルの交易所の店主だったわね?」

 「ロゴージンだ。こんなところで奇遇だな」と答えた男は、以前立ち寄ってゴブリンや狼退治の依頼を受けたフォーチュン=ベルで交易商を営む男だった。
 目付きが悪いわりになかなか口が上手い男で、取りそろえた交易品も一級の品ばかりである。

「珍しいな、南海まで来るなんて。

 商品の仕入れか?」

 旅先で出会った知り合いの商人は貴重な情報源だ。
 世間話も大切な情報収集と、シグルトが「少し会話をしよう」と仲間に目配せして切り出した。

「まぁな。
 聖典教徒の連中がいる地方の遺跡で発掘される魔法の指輪がやっと届いたんだよ。
 貴重品なんで、フォーチュン=ベルの冒険者を雇って受け取りに来たわけだ。

 こいつはあんまり強力な魔法の品じゃないんだが、小器用にいろいろできて便利なんだぜ」
 
 そう言ってロゴージンが取り出した指輪。
 施錠・解読・魔力感知・生命感知・灯火の魔法を可能とするもので、あらゆる願いをかなえるという伝説の指輪をモデルに、古代沢山作られたものだという。

「こっちの遺跡なんかでも、大昔の魔術師が研究で取り寄せたものがまれに見つかるんだが、売り物にするには数が少なくてな。
 風の噂で、向こうで大量に見つかったって話を聞いたもんだから、交易商人に仕入れさせたんだよ。

 この指輪で使える魔法は、日常生活やってると役に立たないものばかりだから、コレクターか遺跡専門の冒険者でもないと需要がない。
 で、趣味人や冒険者を相手にすることがよくある俺としては、良い飯の種ってわけだ。
 どんな奴でも呪文を理解して唱えれば使えるっていう、すごい代物なんだぜ?

 あんたらも一つ買わないか?」

 降って湧いた商談に、“風を纏う者”の面々は顔を見合わせる。

「魔術・魔法の専門家として言わせてもらうと…【解読】の魔法が使えるのは凄い。
 この魔術はほぼ遺失扱いで出回っていないからね。

 どんなに知識を学んでも、遺失した言語の発音や読解はできない場合もあるんだ。
 僕ら人間には、発声器官の違いや可聴領域が異なって聞き取れない言語、思考の違いから学んでも読み取れない言語っていうのがあって、そういう特殊な言葉を一次的に理解できるようにするには、こういった裏技を使わないと無理。
 倫理観や性格の素養も影響するものがあって〈狂気に陥らないと読めない〉魔導書もある。

 【解読】は術の影響する範囲が不安定で、術者の理解力と解読しようとする言語に込められた魔力や残留思念を利用するから、そういうものを残せる素養の無い人が書いた書物には効果が無いなんてことを言ってる研究者もいる。
 再現性が不安定過ぎるということから、正規の魔術書には載せられなかったらしいよ。

 とはいえ、可能性として未知の言語を理解できるかもしれない点で、僕ら賢者にとっては反則的に魅力のある手段。

 【魔力感知】や【生命感知】も使いようによっては探索に役立つから、僕は迷わず購入を推奨するよ」

 ロマンの言葉にシグルトが頷く。

「俺も購入に一票だ。
 専門家のロマンが言うその能力は、遺跡探索に関わることも多い冒険者が用意すべき手段のはず。

 冒険者をやっていれば、未知に対する対策はいくらでもあっていいはずだ」

 その声にレベッカも同意する。

「間違いなく買いね。
 魔術師じゃなくても使えるっていうのがいいわ。

 財布に余裕もあるし、パーティの共有財産ってことで買いましょう」

 レベッカで五人中三人目ということで、多数決も成立している。
 パーティの資材購入を担当し倹約家のレベッカが同意するということは、反対の余地がないとも言えるが。

 ラムーナやスピッキオも問題無いと同意を示した。

「それじゃあ、一つ購入ということでお願いするわ。

 そっちが持ち掛けてきた話だし、当然値引きしてくれるのよね?」

 向き直ったレベッカは、にっこりと笑う。
 その笑みの背後に底知れない威圧感を感じたロゴージンは、冷や汗を浮かべて首肯した。

 結局銀貨五百枚の売値から銀貨二百枚ほどを値引かせて、“風を纏う者”は魔法の指輪を購入する。
 
 「フォーチュン=ベルに寄ったら、うちの店を贔屓にしてくれよ」と約束を取り付け、ロゴージンは苦笑しながら去って行った。

「ま、滞在費と旅の準備に銀貨二百枚ぐらいかかってるから、値引いた分でとんとんなのよねぇ」

 そんなことを言いつつ上機嫌なレベッカに呆れながら、“風を纏う者”はアレトゥーザを後にするのだった。



 本当は次のシナリオの導入部分にする予定だったのですが、思ったより長くなってしまったのでいったん切って一話にしました。

 シグルトの語ってる武術知識は、リアルなドイツの剣術書をベースにしたもので『続・中世ヨーロッパの武術』という専門書を参考にさせていただきました。使用に当たり英語のカタカナルビに意訳変換しています。
  【接迫】と【感受】はY2つなりの意訳です。
 本来バインドは競り合いとかの方があってるかもしれませんが、武器が触れ合っている・迫り合っている状態ということで【接迫】に。
 フィールはフィーレンというドイツ語が元で、近しいのは触覚なんですが、武術の専門用語として独立させた方がいいかなと思ったのでこの言葉を当てました。

 本来フォーチュン=ベルにいるはずのロゴージンを登場させましたが、これは【アラジンの指輪】だけ購入にフォーチュン=ベルを訪れるのはタイムテーブル的に時間のロスが大きいかな、と感じて、指輪のモデルであるリアルアラジンの冒険が中東圏の『千夜一夜物語』ということで、港町に仕入れに来たロゴージンから購入するという描写にしてあります。

 私の個人的感想と申しますか、無限使用できる手段で解読を習得すると、元のスキルのありがたみを激しく奪うため、あえてコスト有の指輪を購入しました。『棒杖のお店』と『隠者の庵』で余計なボーナスを発生させると、作者としてなんとなく肩身が狭いのもあって、キャラクター作成時の初期ボーナス的使用以外では自作シナリオのボーナスは避けるように心がけています。
 500SPとそこそこの値段ですが、25SPで1回というコストパフォーマンスとしてはなかなかのアイテムです。
 使用回数と消費するコストにじりじりするのも、ゲームの楽しみ方だと思いますのでお勧めですよ。

 パーティ集合で所持金の総額もはっきりと。

【アラジンの指輪】購入 -500SP

◇現在の所持金は… 6717SP(チャリ~ン♪)◇


〈著作情報〉2018年06月02日現在
 カードワースはgroupAskに著作権があり、カードワースの管理、バージョンアップ、オフィシャルな情報等はgroupAsk official fansiteにて、カードワース愛護協会の皆さんがなさっています。

 このリプレイは各シナリオをプレイした上で、その結果を小説風リプレイとしてY2つが書いたものです。
 書かれた記事、書かれる記事は、特定のシナリオの名前が出たときは、そのシナリオの著作権はすべてそのシナリオの作者さんにあります。

 リプレイ環境であるCardWirthPy Rebootは2018年2月1日リリースされたCardWirthPy 2.3 - CWXEditor同梱版に拙作のカードワースダッシュStandard Editionを使ったスキンを作成してプレイしているものです。
 CardWirthPy Rebootは同名の開発サイト
 ( https://bitbucket.org/k4nagatsuki/cardwirthpy-reboot/wiki/Home )で配布されています。
 カードワースダッシュStandard Editionはこのブログのリンクから行ける、Y字の交差路別院にて配布しています。
 エンジンと付属物の著作権・開発状況・その他の情報は各配布元を御参照ください。

 【CW:リプレイ】、【CW:リプレイ、R】、【CW:リプレイ2】、【CWPyDS:リプレイ】等で書かれた記事、書かれる記事は、特定のシナリオの名前が出たときは、そのシナリオの著作権はすべてそのシナリオの作者さんにあります。
 また私がお預かりしているMartさんの“風を駆る者たち”リプレイの記事を参考にした内容は、それぞれのシナリオそのものの著作権はそれそれの作者さんにあり、参照記事はMartさんに著作権があります。
 御了承下さい。
 また、リプレイ中に使われる内容には、各シナリオで手に入れたスキルやアイテム、各シナリオに関連した情報等が扱われることがあります。
 それらの著作権は、それぞれのシナリオの作者さんにあります。
 またカード絵等の素材に関しては、シナリオ付属の著作情報等を参考にして下さい。
 
 『希望の都フォーチュン=ベル』はDjinnさんのシナリオです。現在私(Y2つ)が別院で代理公開中です。
 シナリオの著作権は、作者さんにあります。

 『碧海の都アレトゥーザ』はMartさんのシナリオです。現時点でVectorにて配布されています。
 シナリオの著作権は、Martさんにあります。
 このリプレイの時のバージョンはVer1.22です。
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コメント
 今回はかなり専門的な武術知識が登場しましたね。

 皮膚を通じて、圧力や押し引きの加減への感覚をひたすら研ぎ澄ます。
 理解ではなく体得、身体が覚えて自動的に繰り出せる段階まで、ひたすらに鍛錬を積む。
 そこには近道などなく、雨だれで岩を穿つような一念で、基礎の修練を繰り返す…
 こういう地道な指導を提示するのは、本当にシグルトらしいと思いました。

 この話を聞いて私が思い出したのが、子供の頃に自転車を乗る練習をした時のことです。
 やっていたのは単純に、漕ぐ動きとバランス感覚の確認を、ただひたすら繰り返していました。
 前に進めず転びまくった段階、倒れないように意識して漕ぐ段階、何も考えなくても脚が動く段階。
 何度も何度も転びながら、気が付いたら、考え事をしながらでも乗りこなせるようになっていました。
 難易度の高低を脇に置けば、基礎の繰り返しが要という点で、武術の鍛錬とどこか似てるなぁ、と。

 身体を動かす事を学ぶには、概して愚直なほどの繰り返しが大切になるものなのでしょうか…?

 もう一つ、仁義を大切にするシグルトが、宿の移籍の話を丁寧に断り。
 水の精霊術師レナータが、彼に助けを求めてきたときは力を貸すと誓う場面。
 シグルトにとって、約束や契約というものはとても重いものと感じました。
 だから、義理堅く誠実な彼は、宿の専属契約移動については首を縦に振らなかったのだと。

 ところが、その直後のシーンで、シグルトはレナータの為に尽くすことを誓っています。
 レナータの意志と信念を尊重し、懸命に生きる彼女の誇りを尊重する。
 それでも彼女が助けを欲するときに、力を尽くすと。

 話し手が義理堅い人間であるほど、『誓う』という言葉は大きな意味を持つと、私は思っています。
 『誓いを全うする』覚悟と意志をもったシグルトの発言は、それだけの力が籠っていたのだな、と私は推察致しました。

 この部分のお話、サラリと書かれてはおりますが。
 リプレイ全体でも結構重要なターニングポイントに感じました。

 次回のお話はどんなものになるのか…楽しみにしていますね!
【2018/06/03 02:41】 | モコイ #HE1By42c | [edit]
 シグルトは武器を持ったまま行う投げ技や組み技も使いこなします。
 そも、本来の古典武芸は武器の技だけではありません。取っ組み合いや投げ技の多いこと。
 カードワースのスキルだけでは表現できないので、アクションカードやフェントとして動作表現的に入れたりしています。

 知識でいくら知っていても、実際に身体が動くかは慣熟によりますし、結局反復で「才能でマスターする」レベルを超えないと武術の高みには行けないのではないかと。
 そも、「技を使う」という意識は、達人同士ではテレフォンパンチみたいなもの。意より速い反応こそが達人の領域で、そこまで行くには寝ながら体が反復運動するぐらいになっているべきかなと。

 自転車や自動車の運転って、慣れるとあんまり考えずにできますもんね。ここはこう、みたいな。


 シグルトは誠実の特徴持ち。
 まず相手を立てることを考えないで押し付ける人の好さは、ただのお節介になります。
 でも、必要な時にたとえお節介でも踏み込む決断力もまた、親しい仲には必要なのです。

 そうやって友の心を「はかるという気遣い」こそがシグルトの誠実さなんじゃないかなと。

 シグルトの助力は、相手が立てるように手を伸ばし助力すること。立たせるために依存させて全部やってやるわけではないのです。
 相手が努力しているという矜持と誇りを知っている。それが名誉を守るってことじゃないかなと。
【2018/06/09 21:14】 | Y2つ #- | [edit]
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