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『碧海の都アレトゥーザ』 鼠たちの囁き

2018.06.28(22:39) 457

 路地裏を歩く女がいる。
 
 最近新調した服は、革を使ったもので身体のラインをしっかりと強調していた。
 胸元も大胆に開いており、扇情的な色香に溢れている。
 
 気だるげな表情。
 だらしのない緩んだ口元。
 
 怠惰な雰囲気が、見て取れる。
 
 だが足音は全くしない。
 滑るように、羽根でも生えているかのように、ふわふわした歩み。
 
 まるで彼女の周囲だけ、音が消えているような違和感。
 
 緊張を見せずにこんなことができるのは、熟練の盗賊だけである。
 
 女…レベッカは路地裏のすえた臭いをよく知っている。
 
(―――昔は私もこんな路地裏にいた、ただの〈鼠〉だったわね)
 
 立ち止まったレベッカは、路地の隙間から見える本通りを眺めた。
 一台の馬車が駆け抜けていく。
 
 レベッカはそれを見てかすかに眉をひそめた。
 彼女にとって、始まりの記憶は馬車だったからだ。
 
 
 男が倒れている。
 女が倒れている。
 
 男は紫色になった舌をベロリと口からはみ出させ、血の泡を吐いている。
 女は綺麗な顔半分と血に染まった髪で、紅い縞模様だ。
 
 少女はじっと二人を見つめている。
 
 雨が降っていた。
 
 男の上に横転した馬車が乗っている。
 女の頭は半分が異様にへこんでいる。
 
 少女の顔に、ぬるりとした何かが張り付いていた。
 人間の脳漿だ。
 
 倒れている二人は少女の両親だった。
 
 たぶん、父親は優しくて頭を撫でてくれたと思う。
 たぶん、母親は美人でよく笑う人だったと思う。
 
 でもそこにあったのは両親だったものの死体と、天涯孤独になった少女だけ。 
 冷たい雨が、少女の顔についた母親の部品を洗い流してくれた。

 泥にまみれて転がった、雨に濡れる母親の眼球が、まるで泣いているようだった。
 
 後で知ったのは、乗った馬車が横転して夫婦が死に、1人の年端もいかない少女が後に残されたという…おせっかいな婦人が同情して泣きそうな、ありふれた話。
 
 数日後、遺産をよく知らない親戚に搾り取られた少女は、下町の孤児院に預けられた。
 
 
 そこは地獄だった。
 
 鞭を持った神経質そうな男と、でっぷりと太った偽の尼僧がいた。
 
 孤児院の子供たちは飢えてぎらぎらしていた。
 食べ物を巡って争う子供たち。
 喧嘩して食器を使って殴り合い、死ぬ者もいた。
 
 諍いの首謀者は神経質そうな男に、鞭で散々ぶたれて泣いていた。
 
 愚かな奴ら…私ならもっと確実にしっかり食べられる、と少女は思った。
 
 太った尼僧が大喰らいなのは知っていた。
 彼女の食べ物をちょろまかすだけ。

 年下の、身体が大きな子供が一人、レベッカを姉のように慕ってくれた。
 少女は兄弟がいなかったので、その子供にだけは目を掛けてあげた。

 「姉ちゃん、姉ちゃん」と慕われることは、地獄で唯一、心が温まる瞬間だった。
 
 だからその少年には、狡猾に生きる方法を教えてあげた。
 二人で協力して、悪戯や窃盗といった悪さをしたこともある。
 
 悪事を知らなければ、出来なければ、そこは生き残るにも困難な場所だった。
 
 時々孤児院の子供たちは数が減った。
 すぐに新しい孤児が連れてこられたが。
 
 神経質そうな男と太った尼僧は、子供が減る度に銀貨を数えていた。
 
「あの生意気な餓鬼はどうしたの?」
 
「今頃、変態親父に嬲られてるさ」
 
「あのぼ~っとした娘は?」
 
「今頃、お人形さんみたいに貴族のボンボンの玩具になってるさ」
 
「昨日の綺麗な子は?」
 
「今頃、怪しい黒服の奴らに生贄にされているさ」
 
 そうして神経質そうな男と太った尼僧は、儲かった、とほくそ笑んでいる。
 
 少女は顔に泥を塗って普段は下を向き、馬鹿な振りをして、来客がある時姿をくらましていれば大丈夫だと知っていた。
 弟分には、同じように逃げる方法を教えてあげた。
 
 足を折った乞食の爺さんに、盗んだパンをあげたら教えてくれた方法だった。
 
 この馬鹿どもはなかなか売れないと、神経質そうな男と太ったシスターは嘆いたが、少女にはこんな阿呆どもに得をさせるつもりはなかった。
 どうせ一定の年齢になれば間引かれる…タイミングは分かっているのだから、それまではこの屑どもを利用すればいい。
 
 二人が酔っ払ったり出かけた隙に、銀貨をちょろまかして貯めてある。
 気付かれないよう、少しずつだ。

 …もう少しで千枚になる。

 少女はお金を使えばいろんなことが可能だと、大人たちを盗み見て知っていた。
 自分がお金を使うなら、太った尼僧のように無駄に太るまで食べたりしないし、神経質そうな男のように財宝を集めたりはしない。
 上手に使って見せる。
 
 お金を溜め切ったらこんな地獄、とっととおさらばする気だった。
 できれば弟分を連れて、だ。
 一人より二人の方がきっと生きて行くのにも楽しいし上手く行くと、あたりを付けていた。
 
 やがて、銀貨が九百九十九枚貯まった時、孤児院が火事になった。
 
 目の前で、太った尼僧が喉を絞められて殺されていた。
 
 神経質そうな男と、頭を布で巻いている男が戦っていた。
 
 神経質そうな男は、脇腹から血を流している。
 頭を布で巻いている男は、片腕が無くて血を流している。
 
 さっき頭を布で巻いている男は、子供を盾にした神経質そうな男に不意を突かれて、剣で腕を切られた。
 頭を布で巻いている男は、きっとお人好しだろう。

 盾にされたのは、あの弟分だった。
 神経質そうな男に、建物を燃やす炎が大きくなって弾けて大きな音を立てた瞬間、見えない位置から焦げた木片をぶつけてやった。
 びっくりした神経質そうな男が手を離した隙に、弟分は逃げてくれたようで、少しほっとした。
 
 少女はわざと、神経質そうな男が自分をまた盾にするように、怯えた振りをして近づいて行く。
 案の定、神経質そうな男が少女を抱き上げて剣を突きつけた。
 少女は神経質そうな男の首に抱きついて、その首の後ろの少し上に、拾ったばかりの錆びた長い釘を思いっきり突き刺した。
 
 神経質そうな男が、前に生意気な子供を殺した方法をその通りやっただけ。
 
 神経質そうな男はあっけにとられた表情で倒れ、びくびくと痙攣していた。
 たぶんこの時、少女は初めて自分の手で…人を殺した。

 案外、何も感じないものだ。
  
 少女は頭を布で巻いている男に近づくと、お礼に私を助けなさい、と言った。

 男はびっくりしたように眼を見張り、そして次の瞬間楽しそうに笑い出した。
 
 後で名乗り合う。
 少女はレベッカ、頭を布で巻いている男はユベールという名前だった。
 
 
「…昔を思い出すほど、年を食ったのかしらねぇ」
 
 レベッカは「ぼやくのがすでに拙いわねぇ」と思いながらまた歩き出した。
 
 前に、この都市の知り合いに聞いておいた目印を探す。
 
 見るとその盗賊は、また立ち番をしていた。
 
「精が出るわね、鎧の置物みたいにさ」
 
 レベッカが声をかけると盗賊は肩をすくめる。
 
「仕方ないさ。

 それに、鹿みたいに角突き(抗争に明け暮れる)するよか、遥かに楽だぜ…」
 
 盗賊…ファビオは、相棒に合図するとレベッカを連れて歩いて行く。
 
 行き先は前とは違う。
 今度は廃教会だった。
 
「あらま…
 
 最近は随分と信心深いわね~」
 
 ファビオは「言うな」、と肩をすくめた。
 
「前の巣は、ロネって〈蝿〉が馬鹿やって叩かれた。
 
 〈蝿〉は残飯か糞溜めに群がってればいいのによ」
 
 〈蝿〉とはちんぴらの隠語だ。
 
「〈蝿〉っていや、最近気障な〈羊飼い〉の小僧が〈蝿〉と〈ハイエナ〉を飼い始めて、お前んとこの〈虎〉のことを嗅ぎまわってるぜ。
 
 『蒼の洞窟』を泳いでる可愛らしい〈お魚〉を食っちまおうって腹みたいだがな。
 
 ま、今回のはサービスしとくぜ、レベッカ」
 
 〈羊飼い〉は聖職者、特に聖北教会や聖海教会などの僧職を意味する。
 〈ハイエナ〉は傭兵やならず者のことだ。
 〈虎〉は戦士でも腕の立つ者に使う。
 
 〈お魚〉というのは、ファビオが作った急ごしらえの造語だろう。
 
 抽象的だったり、長かったり、幅広い意味の言葉を飾って言う時は仕掛けがある。
 水に関係ある言葉、可愛らしい〈お魚〉、つまりはシグルトがよく会いに行く件の精霊術師だろう。
 
「ちんぴらっていや、最近気障な僧職の小僧がちんぴらと傭兵を雇って、お前んとこの戦士(シグルト)のことを嗅ぎまわってるぜ。
 
 『蒼の洞窟』の可愛らしい精霊術師をやっちまおうってことが、目的みたいだ」
 
 ファビオがレベッカに伝えた言葉の意味は、このようなものである。
 
「ありがとう、ファビオ。
 
 お礼と言っちゃなんだけど…
 最近あんたんとこ、随分〈鮫〉に食い荒らされてるわよね?
 
 他の海で馬鹿な〈雑魚〉どもが、次にロアンの港で食事をするって息巻いてたわ。
 たぶんあと二、三日後みたい。
 
 どう、あんたの腹の足しにはなりそう?」
 
 レベッカの言葉にファビオが目を丸くし、続いてニヤリと笑う。
 
「ありがてぇ…
 
 今度一杯奢るぜ、レベッカ。
 ボスが探してたネタなんだ」
 
 貸し借り無しでいいわよ、とレベッカがファビオの肩を叩く。
 
「最近なんか〈鮫〉によく関わってね~
 
 フォーチュン=ベルでも〈鮫〉釣りするはめになったわ。
 あんたんとこ荒らしてるのよりは、綺麗な海の連中みたいだったけどね」
 
 〈鮫〉は海賊を意味する隠語である。
 
 隠語と関係ある言葉で、会話をまとめるのがスマートなやり方だ。
 
 レベッカはロアンという港を二、三日後に海賊が襲撃しようとしている計画があるをファビオに伝え、最近フォーチュン=ベルでやった海賊退治のことを話題にしたのだ。
 ちなみに「あんたんとこのより綺麗な海の連中」とは、「あんたのところの海賊よりは道理をわきまえていた」という意味だ。
 
 最近アレトゥーザ近郊を悩ます海賊の非道ぶり、は有名だった。
 
「まったくだぜ…
 
 最近ボスの機嫌が悪くてよ。
 〈鮫〉の中に獰猛な奴がいるみたいで、陸まで上がって来て喰いやがる」
 
 陸に勢力を伸ばした海賊に悩まされていることを、ファビオはぼやいていた。
 
「ま、がんばんなさいな。
 
 応援ぐらいはしてあげるわよ?」
 
 そういうレベッカに、ファビオは、それじゃ腹はふくれねぇんだよ、と毒づいた。
 
「おっと、いけねぇ…お仕事、お仕事、っと。
 
 今日はどんな用事だレベッカ?」
 
 回り道をして本題に入る。
 情報戦から入る盗賊にとっては何時ものことだ。
 
「あんたんとこ、〈鼠〉に芸を仕込んでくれるんでしょ?
 
 昔の勘を取り戻したくなってさ…
 
 あの頃得意だったちょっとした小技と〈蛇〉の芸を鍛えたいのよ。
 〈大蛇〉が踊るような凄い奴、ね。
 
 しばらく厄介になりたいんだけど、いいかしら?」
 
 ファビオが目を丸くする。
 
「〈蛇〉の芸って、お前…」
 
 言い難そうにするファビオにレベッカは、いいのよ、と言って続けた。
 
「確かに私は〈蛇〉の芸は嫌いよ。
 
 でもあんた、知ってたわよね?
 〈雌蟷螂(めすかまきり)〉に仕込まれてたこと」
 
 〈雌蟷螂〉という言葉に、ファビオが心底嫌そうに眉をひそめた。
 
「…ああ。
 
 そんなことがあったって聞いた時は、相応しくねぇ仕事をやらせた、事に関わった連中を全員絞めたくなったぜ。
 …ユベールの親父や、お前の腕に対する侮辱でしかねぇ」
 
 最高の〈鼠〉をよ、とファビオはむっつりと黙り込んだ。
 
「別にいいのよ。 
 ファビオは〈鼠〉が過去に何仕込まれて何食ってたかって、蔑んだ目では見ないからね。
 
 〈雌蟷螂〉の仕事は一番やりがいの無い仕事だったからねぇ。
 
 上で尻振ってる雄を、さっくり食い殺しちゃうだけなんだけど、臭いし汚いしさぁ…」
 
 さらに嫌そうな顔をするファビオに、ごめんごめんと謝りつつ、レベッカが頭を掻く。
 
 〈雌蟷螂〉というのは、性行為の最中に男を殺す暗殺者のことである。

 蟷螂の雌は交尾中に雄を食べてしまうことから、こう呼ばれている。
 暗殺のやり方の中でも、最も汚れた方法として忌み嫌われていた。
 
 〈蛇〉は暗殺者や刺客を意味し、例えば〈毒蛇〉が毒薬を使う暗殺者、〈大蛇〉が絞殺を専門とする暗殺者のことだ。
 執念深く獲物を狙う様からこう言われている。
 
 レベッカは本来穏健派の盗賊で、得意分野はスリや盗みだったが、今までに殺した人間もたくさんいる。
 
「最初に獲物を食ったのは八つの時よ。
 
 ま、今更聖処女様を気どるつもりは無いけどね。
 
 今まで必要無いから、芸から離れてただけよ。
 これからは〈蛇〉に戻ることがあってもいいと思ってる。
 
 綺麗な奴が汚れるより、慣れてるのが代わってやった方がいいでしょ。
 効率もいいし、さ」
 
 遠い目をして、優しげな笑みを浮かべるレベッカ。
 
「〈猫〉が女王やってた頃と同じ目をするんだな…」
 
 ファビオは懐かしそうに呟いた。
 
 リューンでファビオを助けた時も、この女盗賊は仲間や後輩たちをとても大切にしていた。
 
「残忍なくせに、身内には甘いんだよな、お前」
 
 ファビオの苦笑に、悪い?と返すレベッカ。
 
「いいや。
 
 俺はそういうところ、嫌いじゃないぜ。
 お前の男になるのは勘弁してほしいけどな」
 
 「失礼ね~、私だってあんたなんか願い下げよ」とファビオの脇腹に拳を入れてくる元暗殺者をなだめながら、ファビオは地下にある訓練場にレベッカを連れて行った。
 
 
 レベッカは近くに置いた鉢の中に入っている銀貨を、少し離れた場所にある籠に投げ入れていた。
 ひたすらそれを繰り返している。
 
 だがよく見れば、レベッカが投げる度に、銀貨を挟むその指が変わっていることに気がつくだろう。
 
 親指と人差し指、親指と中指、親指と薬指、親指と小指、人差し指と中指、人差し指と薬指、人差し指と小指、中指と薬指、中指と小指、薬指と小指で1セット。
 
 今度は格好を変えながら行っていく。
 時には座って、時には片手で壁に寄りかかって、時には食事をしながら、時にはワインを瓶ままラッパ飲みしながら。
 
 朝からそれだけを行っている。
 
 銀貨はすべて籠に入っていた。
 
「…やってるな」
 
 ファビオが若い男を連れて訓練場に入ってくる。
 野暮用があるからと留守をしていたようだ。
 
「まったく、生徒をほったらかしてどこ行ってたの…
 
 ファビオって女に興味がなさそうって思ってたけど、そこのはあんたの新しい恋人かしら?」
 
 馬鹿言え、俺は男色の気はねぇぜ、と口を尖らすファビオ。
 
 側にいた軽そうな男は、レベッカの投擲を見ていたが、「上手ぇな」と呟いた。
 
「…その若いのは何よ?」
 
 レベッカはまた銀貨を投げる。
 
「憶えてないのか?
 
 まあ、お前が…」
 
 ファビオが言おうとした言葉を制して、レベッカは薄っすらと笑う。
 
「分かるわよ。
 
 “風を駆る者達”のユーグ、でしょ?」
 
 そして、後ろの男にウインクをしてみせる。
 
「…いい腕だ。
 
 〈盗賊の腕一本は命の半分〉ってわけだ」
 
 ユーグと呼ばれた男はニヤリと笑う。
 それはレベッカとユーグにとって、特別な意味を持つ言葉だった。
 
 レベッカが最後の銀貨を放り投げる。
 それが綺麗に籠に入った。
 
「ひゅぅっ♪
 
 百発百中か?」
 
 ユーグが言うとレベッカは左右に首を振った。
 
「百枚中三枚が裏になっちゃったわ。
 
 まだまだよねぇ…」
 
 ファビオが籠を見て唸る。
 
 籠の中で綺麗に重なっている銀貨の中に、裏向きに伏せられたものが確かに三枚あった。
 こんな結果を出せる者は、盗賊ギルドでも数人しかいない。
 
「ファビオが惚れ込むわけだな…
 
 確かに噂通りだ」
 
 レベッカはしばらくユーグを見ていたが、なるほどねぇと頷く。
 
「…思い出したわ。
 
 ファビオが連れて来たのは、そっちでかぁ」
 
 レベッカはふう、と息を吐くとユーグに椅子を勧める。
 
 近くのテーブルの上にあったワインの栓を、ナイフで器用に抜くと、グラスに注いでユーグの前に置く。
 
「…お父ちゃんの葬式以来ね、ユーグ坊や。
 
 今まで思い出せなかったのは、それだけなまってたって証拠だわ」
 
 記憶術は、盗賊の重要な能力である。
 自嘲的な笑みを浮かべ、レベッカはくいっとワインを一口呷ると、目を細めてグラスを回し弄び始める。
 
「親父が泣くぜ、レベッカさんよ。
 
 俺より目をかけられてた、あんたがそれじゃあな…」
 
 ユーグもワインを呷り、この季節なら冷えたエールの方が美味いな、と言う。
 
 二人は、初めて会った日を思い出していた。
 
 
 昔、ユベールという盗賊がいた。
 
 盗賊の中の盗賊と讃えられた人物で、リューンの盗賊ギルドで幹部をしていた男だ。
 
 しかし彼は組織の縄張りで悪さをしていた男を粛清しようとして、思わぬ反撃から盗賊の商売道具とも言うべき利き腕を失ってしまう。
 ユベールの配下は不幸を嘆き、彼のライバルはお祭りのように喜んだ。
 
 だがユベールは、気落ちした風でもなかった。
 ギルドから去っていく彼の傍らには、八歳ぐらいの小汚い女の子がついていた。
 彼曰く、命の恩人だ、とのことだった。
 
 ユベールは何を思ったのか、家族と離れてその女の子を引き取ると、リューン郊外の小さな家に引っ越した。
 
 誰もが腕を失っておかしくなったんだと言ったが、一月後に様子を見に行ったギルドの盗賊は目を見張った。
 
 現れた愛らしい容貌の少女が、お茶を入れてくれたのだ。
 
 ユベールはその時、盗賊にこう言ったという。
 
「俺は半分死人さ。
 
 あの時食らった傷と武器に塗ってあった毒の後遺症でそんなに生きられんし、周りには醜態を晒しているようにしか見えないかもしれん。
 
 だが俺は宝石の原石を手に入れたのさ。
 今の俺には後継者を残すことしかできないが、全てを譲れる逸材を見つけられた。
 
 腕一本と数年の命でも、最高のお宝に換えたと思えば安いかもしれんな…」
 
 それから二年後に、ユベールは静かに息を引き取った。
 看取ったのはその少女である。
 
 葬儀の席で、泣きもせず葬儀に参列していた黒い喪服の少女。
 
 少女をじっと見ている少年がいた。
 ユベールの忘れ形見ユーグである。
 
 周囲の盗賊仲間はその少女…レベッカを見て、陰口を囁いた。
 ユベールに育てられた盗賊たちなどは、泣きもしないレベッカに「恩知らず」と口汚く罵った。
 
 ユーグはその時に、薄ら寒い笑みを浮かべて盗賊たちに言い返したレベッカをはっきりと憶えている。
 
「あんたたちは三流ね。
 
 お父ちゃんはいつでも冷静沈着にっ、て言わなかった?
 こんなところで私が泣き喚いたら、お父ちゃんが化けて出るわよ。
 
 私は笑って送ってあげたわ。
 それが私の手向け方よ…」
 
 侮辱されて怒り、叩こうとした大人の盗賊を足を引っ掛けて見事に転倒させると、レベッカはユーグの元に来てその頬を両手で優しく包んだ。
 
「…お父ちゃんはあんたに、盗賊にはなってほしくないってさ。
 
 でもお父ちゃんの子供だもんね、分からないよね。
 あんたの人生はあんたで決めるんだよ、ユーグ坊や」
 
 ユーグの周りの人間は、レベッカが父親を奪ったのだと教えて来た。
 だが、ユーグはこの日レベッカに言われたことを忘れなかった。
 レベッカを憎む気は起こらなかった。
 
 
 レベッカがユベールを葬った後のこと。
 
 元々ユベール最後の弟子という肩書きしか持っていなかったレベッカは、ギルドの使い走りをしながら、〈猫〉(スリ。相手にすり寄っていく様からそう呼ばれる)をして糊口をしのいでいた。
 
 少し成長して初潮が来ると、その容貌の美しさを見込んだ暗殺部門の幹部が、色香で男をたらし込み殺す〈雌蟷螂〉としてレベッカを引き取って鍛え、レベッカは暗殺者として数年を過ごす。

 その幹部は目的のためには手段を選ばない卑劣な男で、魅力的な容貌の女盗賊の弱みを握って自分の情婦にしたり、〈雌蟷螂〉や〈女郎蜘蛛〉(娼婦の肩書きを持つ暗殺者で、〈雌蟷螂〉が場所を問わないのに対し、娼館や決まったねぐらに誘い込んで暗殺を行う)といった身体を武器にする女の暗殺者を、多数手下に持っていた。

 まだ年齢が若く、後ろ盾の無かったレベッカは、つけ込まれて〈雌蟷螂〉をやることになったのだ。
 レベッカはその男の下で十人以上殺したが、結局その上司はある日あっけなく首を絞められて殺された。

 実はその上司を殺した男が、レベッカが〈雌蟷螂〉になる代わりに〈女郎蜘蛛〉から足を洗わせた〈猫〉時代の仲間であり親友の、兄だったのだが。

 問題の多かった上司の死には何も感じなかったが、レベッカは身の振り方を悩んだものである。
 
 レベッカの扱いに困った盗賊ギルドは、最初にやっていた〈猫〉の部門にレベッカを送るが、その時、あまりに鮮やかなレベッカの腕と統率力にギルドのメンバーたちは驚嘆した。
 そしてユベールは正しかったと口々に言い、レベッカはあと十年もすれば上級幹部だろうと噂されるようになった。
 十代で下級幹部である〈猫〉の親となり、“猫の女王”という別名を知らしめたことは、多くの盗賊の間で語り草である。
 
 しかし、かつてレベッカの師であるユベールと対立していた老年の幹部が、彼女の台頭を恐れて〈猫〉の部門を縮小したのである。
 盗賊同士では、疑心暗鬼でこの手の牽制がよく行われた。
 
 レベッカはそれを期にギルドを抜けて、冒険者になったのである。

 〈雌蟷螂〉の時代、幹部に請われてレベッカに女の武器…誘惑の仕方や化粧、養生術(いわゆる閨のテクニックである房中術の他に、薬学や健康法、その逆を含めた知識と技術)を教えたのは、当時のギルドの若手で最強の暗殺者だった“黒豹”エイダであった。
 エイダは数ある後輩の中でも、レベッカは特に目をかけて可愛がり、自身が諸事情で盗賊ギルドから抜けて冒険者として大成した後、レベッカが冒険者になる時は様々な場所に口利きをしてくれた後援者である。
 レベッカが冒険者という職業に就いたのは、この大先輩によるところが大きい。
 “黒豹”エイダの弟子、というのもレベッカの持つブランドである。
 
 レベッカの実力を知る者たちは、彼女の腕を惜しんだ。
 なにしろ大盗賊“錦蛇”ユベールと“黒豹”エイダの愛弟子で、二十歳前に、下級幹部に抜擢される程の才媛である。
 
 レベッカ自身は盗賊の前線から身を引いて気楽になったと、落ち込んだ様子もなかったのだが。
 そして、それからは自堕落に過ごすようになった。
 
 時が経ち、また組織の内部が入れ替わり、レベッカの実力を知る者は、彼女を何度も組織に誘ったが面倒だからと引き受けなかった。
 
「組織に属してると、細かい掟やら派閥やらと、しがらみの中で生きなきゃいけないから胃が痛くなるのよねぇ。
 せっかく面倒な手続き無しで、ギルドの檻から出られたんだし。
 
 慕ってくれる若いのがいるのは嬉しいんだけど、看板として担がれて矢面に立たされるのは勘弁願いたいわ」
 
 後年、酒を飲んだ席でレベッカがそうぼやいていたと、ある盗賊は語る。
 
 レベッカ弱みは後ろ盾になるビッグネームが身近にいない、ということだった。

 彼女の最大の後援者である“黒豹”エイダは冒険者として活躍した後、遠方の都市で恋人の子を産み、その都市で盗賊ギルドのトップになっていた。
 大先輩の威を借りるにはいささか距離があり過ぎるし、エイダはリューンの外…他所の組織関連の人間ということで扱いが繊細だ。

 そういう自分が台頭して面に出れば、警戒されて真っ先に潰されることをレベッカはよく心得ていた。
 
 だが、スリの時代に面倒を見た後輩や、彼女自体が作った仲間同士のコネクションはかなりのもので、彼女を慕う者や親しい盗賊も今だ多い。
 
 アレトゥーザのファビオもその一人である。
 
 
「それにしても、あのユーグ坊やが、ねぇ。
 
 今は新進気鋭のパーティで、腕を唸らしてるって話じゃない。
 願わくば、敵同士にならないようにって思うわぁ」
 
 レベッカがワインを飲みながら、うんうんと頷いている。
 ほんのりと頬が赤い。
 
「…その坊やっての、やめてくれねぇか?
 
 あんたとだって大して変わらないはずだぜ」
 
 ユーグは気に食わない、という顔でワインを飲み干す。
 
「そうね、そんなガタイで坊やも無いか。
 
 大きくなったもんよねぇ」
 
 そう言って、レベッカは手の上でくるくるとグラスを弄んでいた。
 かなり際どい扱いをしているが、中身のワインは一滴も零さない。

 格下に扱われているようで、ユーグは不愉快になってくる。
 
 最初からこの女は、ユーグを子供扱いだった。
 盗賊らしく、やり返さねばなるまい。
 
「…ケッ、年くってあんたがババァになったんじゃねぇのか?」
 
 坊や扱いなら年増扱いが意趣返しになる、と毒舌で一本取ろうとしたユーグは、次の瞬間首に綱を巻かれ吊り上げられていた。
 
「…ッッッ!!!」
 
 顔の横には、ぞっとする暗い目で自分を見ているレベッカがいた。
 ユーグは素早く綱を短剣で切る。
 
「…女に歳の話をするもんじゃないわよぉ」
 
 とろんとした様子で、レベッカはすでに座りワインを飲んでいる。
 先ほどの殺意に満ちた目ではもうない。
 
「…だ、だからって、絞めるか、普通っ!」
 
 酔いが醒めて冷汗を流しつつ、ユーグは悪態をつく。
 
「どうやら、俺が教えなくてもすぐ昔のお前に戻りそうだな…」
 
 ファビオがやれやれと肩をすくめている。

「って、おま、こらファビオ!
 
 涼しげに、殺されそうになった俺を無視すんじゃねぇ!!」
 
 激昂するユーグに、ファビオが切れた綱を指差していった。
 
「よく見ろ。 
 この綱は練習用だ。
 
 本物ならもう喋れねぇし、喉の痕もそんなじゃ、すまねぇぜ?」
 
 アレトゥーザの盗賊ギルドには【絞殺の綱】という暗殺芸が存在する。 
 ユーグも得意とするそれは、敵の背後に回りこんで首を絞め、声を上げることもできないままに絞め殺す技である。

 絞殺は古くからある暗殺の技で、絞殺紐(ギャロット)と呼ばれる革の紐を使う。
 実際には、【絞殺の綱】の綱は特殊な鋼糸を仕込んで強度を増し、ユーグが切って抜け出したような防御ができないようにしてある。

 絞殺紐には両端に滑らなくするために鮫の皮が編みこまれ、輪を作って絞めると仕込んだ鋼糸がむき出しになり、発声器官を強烈に圧迫して、綱を外しても少しの間声を上げられなくなる。
 乱戦において締め上げた対象を盾にし、身を守るところまで考えた、実に悪辣な技であった。
 
 絞殺術は大蛇が獲物を絞め殺すのに姿が似ている。
 袋をかぶせて黙らせる方法もあり、これは〈飲込み〉や〈丸飲み〉などとも呼ばれる。
 故に絞殺を得意とする盗賊は〈大蛇〉と呼ばれるのだ。
 
 ユーグは落ちていた綱を摘み上げて、なるほど、と言った。
 
 それは綿で作ったもので、強く締めると普通はすぐ切れてしまう。
 
 首に頑丈な皮と金属の防具を巻いた練習相手が動き回り、それを捕らえて綿の綱を首に巻き絞めて切るのが【絞殺の綱】の訓練法なのである。
 おそらく、ユーグが短剣を使わなくても勝手に切れただろう。
 
「練習用にしちゃ、一瞬身体が浮いたぜ、畜生…」
 
 ユーグが喉を擦りながら言うと、レベッカは艶然と微笑んだ。
 
「お父ちゃんは、それで人を絞め落せたそうよ。
 
 あんたも“錦蛇(パイソン)”ユベールの息子なんだがら、精進しなきゃね」
 
 ユーグの父親は【絞殺の綱】を得意としていたらしい。
 
 絞殺術は窒息させることを目的にしているように見えるが、実際は脳に行く血流を止めて絞め落し、意識を奪ってから窒息させるのが理想的な形だ。
 さらに優れた使い手は、相手を落す前に頚骨をはずすか砕いて殺すこともできたと云われている。
 
 芸が巧みなら、ユーグも落ちていたかもしれないわけだ。
 
「ユベールの親父が現役だった頃にゃ、綱一本でいろんな技がやれたらしいからな。
 
 だから〈大蛇〉の中でも派手な“錦蛇”なんて呼ばれてたそうだ。
 カラフルに何でもこなすって意味でな。
 もっとも、あの親父は『百芸百名』って話だからよ。
 
 その異名もあだ名の一つに過ぎなかったんだろうぜ…」
 
 ファビオがしみじみと言う。
 
 ユーグは面白くも無い顔である。
 
「まぁ、間違ってもガリーナっていう意中の可愛い娘に、今みたいな失言やって呪われないようにねぇ…」
 
 レベッカはワインの栓を手に取ると、素早く銀貨の入った籠に向けて投げる。
 その一擲は迷い込んできた一匹の蝿を打ち落とし、栓は籠の中に落ちた。
 
「…あんた、酔ってないだろ?」
 
 ユーグはこの女に試されたと知って、ぶすっとした顔で言った。
 
「今更気が付いたの?
 
 まだまだ坊やねぇ…」

 さらに痛烈な意趣返し…言葉にはもうできないが、まさに年の功だ。
 
 顔色を操作して自在に表情を作るのも、盗賊の変装術の一つである。
 この女は〈狐〉(詐欺師)にもなれるだろう。
 
 ユーグは、レベッカとの再会を少し後悔した。
 
「…ところで、ユーグ。
 
 あなた、情報を手に入れるとかの理由でたくさん女の子口説いてるみたいねぇ。
 フォーチュン=ベルの『幸福の鐘亭』のママとかさ」
 
 ユーグは、レベッカとの再会を激しく後悔した。
 
「は、ははは、何言ってるんだ、お、俺はガリーナ一筋…」
 
 別の意味での冷汗をかきつつ、ユーグは、レベッカとの再会をとてつもなく後悔した。
 
「あら、本当に?
 
 じゃ、あんたが仲間からちょろまかしたお金を、賭博ですったとかいう噂もあるんだけどぉ…」
 
 ユーグは目の前の女が悪魔のように思えて来た。
 
「し、しらねぇぞ、俺は。
 
 証拠があるとでも言うのかよ!!!」
 
 横でファビオが、この女の地獄耳は情報屋泣かせだぜぇ、とか言っている。
 
「別に証拠なんて無いわよ。
 
 でも一回、あんたの仲間を連れて賭博場に行ってみない?
 行ってないなら、〈旦那、毎度!〉なんて声はかけられないでしょうから、大丈夫よね?」
 
 ユーグは顔が引きつりつつあった。
 
「再会を祝して、河岸を代えて飲むとしましょうか。
 
 もちろんユーグの、お・ご・り・でっ♪」
 
 硬直しているユーグの肩を、ファビオが軽く叩く。
 
「…うわばみで高い酒が好きだから、財布の中身にゃ気をつけてな」
 
 まったく、怖い蛇女だ、とファビオが肩をすくめると、ユーグは恨めしそうにファビオを眺めつつ、レベッカに襟首を掴まれて引きずられて行くのだった。



 レベッカのエピソードです。
 前のとほとんど変わらず再録ですね。
 エイダの話とか、ちょっとだけ入れてますが。

 本当はすぐに魔剣工房から『ジゼリッタ』(楓さんがシナリオを現サイトで再公開なさいました!)行こうかなと計画していたのですが、そのつなぎにやりたかったレイさんのヴァンドールのほうが入手不可能となってしまい、スキルの慣らしができる軽い戦闘があるシナリオを探しています。

 経験値の入らない、低レベル用のソロ闘技場…あると楽しいんだけどなぁ。今度作るかなぁ。リューンスキルの256色カラーバリエーションリソースとして考えてるシナリオがありますし。


 さて、今回レベッカは【小細工】と【絞殺の綱】を習得します。

 【小細工】は、自分を含めた味方にスキル配布をするという地味なスキル。
 ところが、真面目に盗賊やってる(つまり専用スキルにスキル枠を割かれて戦闘力があんまりない)とこのスキルがすごく強い。
 個人で戦闘力がある盗賊キャラなら、【暗殺の一撃】とかのが強い気がするのですが、それは「自分の行動だけ」が対象となります。
 【小細工】の優秀なところは「仲間を選んで使える」ということでしょう。
 回復スキルがほしいけど防御させたいヒーラーに使うとか、【眠りの雲】使った直後に追撃フォローをさせたい魔術師にとかはもちろん、アクションカードを使って戦ってるけどなかなかスキルが来ない戦士に使って勢いをつけられます。
 対象は「手札を捨てないでスキルが配布される」ので、ある程度手札のコントロールもできるわけです。手札の交換は一度にスキルが来る可能性があるようでいて、実際は変化が大きすぎて不発になることも。そういう意味ではスキル配布アイテムは大味だったりするのですね。
 このスキルカードはちょっぴり防御系のカードでもあって使いやすく、レベルも低いので結構枚数があります。
 【闇に隠れる】で自分の行動を浪費したり、フェイントと見切りばっかりしてるより、明確なフォローになるはず。
 役に立たないキャラほど、強いキャラにこのスキルを使うとナイスフォローになります。

 【絞殺の綱】は暗殺+短時間呪縛+沈黙+自己防衛というマルチスキル。
 威力が低く、呪縛や沈黙の効果時間も短いのですが、フィールドで暗殺をする時に使ったり、ちょっと拘束したいとか思った時は抜群に便利だったり。
 短時間呪縛、実は使い方次第で鬼です。
 このスキルを決めてから【蜘蛛の糸】を重ねがけするとか、精神抵抗がやたら高い相手に抵抗系魔法を問答無用で入れていったり。大ぶりの当たり難いスキルが来たら、このスキルでふんじばって確実に当てるとか。
 あと、フォーチュン=ベルの悲鳴をあげる敵の声封じとか。
 【眠りの雲】から連動でゴブリンシャーマンを黙らせたり、先手で行ければ怪力無双の敵の出足を封じたり。
 ちなみにダメージと沈黙は生き物にしか効かないので要注意。

 どちらのスキルも、私がMartさんにデータや案を送ったものでして…その癖は知り尽くしています。
 ある意味シンプルな暗殺スキルより盗賊らしい万能感(加えて、威力が低いけど工夫次第で価値が出る使い勝手とか)があってお勧めです。
 盗賊は威力的な戦闘力が無い方がいいんだ~って人が戦力強化したいならば、使ってみてはどうでしょうか。

・【小細工】  -600SP
・【絞殺の綱】 -1000SP


 で、盗賊的隠語が出てきたので、おさらいということで上げておきます。

・鼠…盗賊全般を指すが、情報屋と言う意味もある
・虎…戦士や武人、特に腕利きを指す
・烏…かっぱらい、特にストリートチルドレンの類
・猫…スリ
・蛇…暗殺者のことで、執念深いことが理由…ジャンル別に呼び方が違う
・鮫…海賊
・蟻…騎士や兵士、軍隊を表し、蟻塚は砦や城を意味する。大軍を意味する場合も
・犬…密偵のことで、組織に属した仇を意味する場合もある
・狐…詐欺師 、山師のこと
・狸…商人、金貸しといった腹黒い連中
・豹…軽戦士(俊敏な戦い方をする戦士)
・梟…見張りや監視役
・鸚鵡…魔法使い(呪文を唱える者たち全般)
・狼…野盗、山賊
・小鳥…獲物や弱者を意味する
・羊…聖北教会を主とした信者のこと
・羊飼い…聖北等の教会聖職者
・牧童…修道士のこと
・ハイエナ…傭兵や食いつめ浪人、山賊の一歩手前
・蝿…ちんぴら、弱者たかってくる腐った連中
・ダニ、蚊、蛭…血を吸う者はヒモや寄生虫じみたろくでなしのこと
・蛆虫…状況が一転した時、倒れた者から搾取する者、嫌悪感を含めた言葉
     反面、そういった者たちが、処理できないことを鎮静させる自浄作用を意味する場合もある
・山羊…場合により淫祀邪教の徒を意味し、羊と対にして使う、牧神パンがルーツ
・獅子…武術肌か恐ろしい権力者のこと
・鯱…海軍、あるいは公認海賊といった、海の危険人物あるいは組織
・耳…情報屋、情報組織
・目…監視、調査
・雌~/女~…女を武器にする者、差別や蔑視の意味合いで使われることも多い

 もちろん使われ方が全く違う場合もあります。
 素人向けの簡易版であり、情報戦ともなれば、暗号を加えてより複雑に表現します。


〈著作情報〉2018年06月28日現在
 カードワースはgroupAskに著作権があり、カードワースの管理、バージョンアップ、オフィシャルな情報等はgroupAsk official fansiteにて、カードワース愛護協会の皆さんがなさっています。

 このリプレイは各シナリオをプレイした上で、その結果を小説風リプレイとしてY2つが書いたものです。
 書かれた記事、書かれる記事は、特定のシナリオの名前が出たときは、そのシナリオの著作権はすべてそのシナリオの作者さんにあります。

 リプレイ環境であるCardWirthPy Rebootは2018年2月1日リリースされたCardWirthPy 2.3 - CWXEditor同梱版に拙作のカードワースダッシュStandard Editionを使ったスキンを作成してプレイしているものです。
 CardWirthPy Rebootは同名の開発サイト
 ( https://bitbucket.org/k4nagatsuki/cardwirthpy-reboot/wiki/Home )で配布されています。
 カードワースダッシュStandard Editionはこのブログのリンクから行ける、Y字の交差路別院にて配布しています。
 エンジンと付属物の著作権・開発状況・その他の情報は各配布元を御参照ください。

 【CW:リプレイ】、【CW:リプレイ、R】、【CW:リプレイ2】、【CWPyDS:リプレイ】等で書かれた記事、書かれる記事は、特定のシナリオの名前が出たときは、そのシナリオの著作権はすべてそのシナリオの作者さんにあります。
 また私がお預かりしているMartさんの“風を駆る者たち”リプレイの記事を参考にした内容は、それぞれのシナリオそのものの著作権はそれそれの作者さんにあり、参照記事はMartさんに著作権があります。
 御了承下さい。
 また、リプレイ中に使われる内容には、各シナリオで手に入れたスキルやアイテム、各シナリオに関連した情報等が扱われることがあります。
 それらの著作権は、それぞれのシナリオの作者さんにあります。
 またカード絵等の素材に関しては、シナリオ付属の著作情報等を参考にして下さい。

 『碧海の都アレトゥーザ』はMartさんのシナリオです。現時点でVectorにて配布されています。
 シナリオの著作権は、Martさんにあります。
 このリプレイの時のバージョンはVer1.22です。
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