Y字の交差路

 ここはY2つめがノリで作ったブログです。  カードワースを中心に、私が思ったことや考えたことを徒然なるままに書きたいと思います。

『凪』

 コツコツコツ…
 
 明け方のことである。
 
 眠そうな半眼にいらついた表情で、レベッカは『悠久の風亭』のカウンター席に腰掛け、指でカウンターをノックしていた。
 
 シグルトの帰りを待って、結局徹夜してしまったのだ。
 もしかしたら、シグルトはレナータという精霊術師のところに泊まったのかも知れない。
 無理に起きて待つ必要も無かったのだが、レベッカは眠ることが出来なかった。
 
 昨日の夕方、盗賊ギルドを訪ねるとファビオはおらず、訓練場の仮眠室で痣だらけのユーグがぐっすりと眠りこけていた。
 いつもなら顔に悪戯描きの1つもするのだが、その日のレベッカにはそういういつもの余裕が無かった。
 
 “風を纏う者”のメンバーは皆調子が悪かった。
 
 個性的で才能豊かなメンバーを束ねていたシグルトというリーダーの存在の大きさを、一同は改めて感じていた。
 おそらく、彼らをレベッカではまとめ切れない。
 シグルトという大きな存在の裏方に回ってこそ、レベッカの策略も技も冴えていたのだ。
 
 だが、ついにやってきたリーダーの故障。
 
 レベッカにはシグルトの状態がどれほど悪いかよくわかっていた。
 人体の器官や生理について、レベッカは師であるユベールに一番最初に叩き込まれたものだ。
 暗殺、潜入、尾行、脱出…
 盗賊の多くの技術は、身体のあらゆる機能を知らなければ使えないのだ。
 
 そのレベッカをして、シグルトの身体を診断した結果…
 さじを投げて溜息しか出ない。
 
 シグルトの身体はぼろぼろだった。
 
 まず、筋や腱ががまともに機能していない。
 シグルトは器用に動かせない身体を、他の部分の運動エネルギーを利用することで動かしているのだ。
 もしシグルトにまともな筋肉と腱が備わっているなら、おそらくは西方でも指折りの戦士になっていただろう。
 
 そしてあちこちの骨に歪がある。
 歪な動きのし過ぎで姿勢が少しずつ歪んできたのだ。
 老人の曲がった腰のように、動くたびに激痛が走るだろう。
 
 触れて分かった臓器の異常。
 消化と呼吸の器官がまともに機能しなくなってきている。
 長時間の運動は呼吸不全を起こすだろう。
 
 体温調整がまともに働いていない。
 周囲の温度に身体がついていけなくなっている。
 冬の寒さで冷えていってしまう。
 
 心肺機能も弱っている。
 心不全が起きる恐れもある。
 
 腎臓肝臓が弱っている。
 ちょっとした毒素も大きなダメージになるし、他の臓器に負担にもなるだろう。
 
(本当、あれだけ動くのが不思議なくらいだわ…)
 
 おそらくシグルトは無意識に体内に精霊を宿して、その一部の機能を肩代わりさせているのだろう。
 そうでもなければ動くことの説明がつかない。
 それほどにシグルトは危険な状態だった。
 老衰で死ぬ寸前の老人のような状態を連想させる。
 
(あの身体じゃ、もう冒険者なんて続けられるわけない。
 
 …でも、シグルトを失ったら私たちの結束も無くなるわ。
 
 アイツの行動力と度胸、そして戦士としての戦力。
 リーダーとしての公正さと決断力の速さ。
 
 うちのパーティの連携はあいつが半分作ったようなものよ。
 
 私は慣れてるけど、シグルトの欠落はロマンやラムーナには酷ね。
 
 シグルトが治るまで、パーティを1回解散すべきかもしれないわ…
 アイツが治る可能性が無いのは、皆薄々気がついてる。
 だけど、いつかは治るかもしれないと一端現実から目を背けたほうが、まだ若い2人には結果的に良いかもしれない。
 
 忘却もまた最良の治療法だから。
 
 後の身の振り方は、ラムーナを私が引き取って、ロマンは大学なり家なりに帰還。
 スピッキオの爺さんは教会に転がり込めばいいわね。
 
 …やっぱり憂鬱だわ。
 
 どんな状況も予想して動くのが盗賊ってものだけど、こんな消極的なこと考えるのは…)
 
 レベッカにとって、シグルトは自慢の弟のような存在だ。
 彼女が出会ってきた誰より信頼している。
 おそらく、シグルトと別れて新しくパーティを組むとしても、レベッカは長くそこにはいられないと感じていた。
 
(畜生…
 
 アイツが隣にいないとこんなに頼りないなんて、私はいつからこんな甘ちゃんになったのよ!
 
 何度も私は1人になったはずなのに…)
 
 そしてレベッカは師であるユベールの言葉を思い出す。
 
〝仲間は掛買いの無い宝だぞ、レベッカ。
 信頼できること、信頼させること、信頼し合うことが最高の得物になる。
 
 盗賊という仕事は自分も他人も信頼出来ない職業だ。
 だが、《間違いない》切札と《予想外のとき》に助けてくれる仲間は何より有難いものだ。
 
 真に信頼できる仲間を得るために、汚れても邪(よこしま)になるな。
 
 売った信頼は後で返ってくるものだ。
 だが、それ以上に信頼を無償で生む人間関係こそが、黄金に勝る。
 
 盗賊が義理や掟を重んじるのは、最終的にそのことを理解できた奴が優れた首領になるからだ。
 
 無一文になったとき、お前が信頼でき信頼してもらえる仲間って奴が残っていたなら、それは儲けものなんだよ〟
 
 1人でやっていた頃、この言葉は理解が出来なかった。
 
(今なら分かるよ、お父ちゃん。
 
 アイツのためなら、この都市の全部の黄金だって惜しくない。
 私の大切な仲間のためなら、国を売る事だって惜しくない。
 
 仲間って、そういうものなんだね…)
 
 レベッカは、シグルトを愛しているのだと思う。
 だが、それは他の仲間に対して持っている感情に近い。
 家族愛とでも言おうか。
 
 だが、レベッカがここまで執着した仲間は今までいなかった。
 
(…私、馬鹿ね。
 
 何とかなるように考えるのが私の《お姉ちゃん》としての役目じゃない。
 そうと決まれば、またファビオを探して名医や癒しに優れた聖者様の噂でも見つけてもらいましょう)
 
 そう考えたレベッカは、眠気覚ましに辛い酒を一杯やると、盗賊ギルドに向けて出立した。
 
 
 レベッカがいつものように路地をうろついていると、ふと嗅ぎ慣れた臭いがした。
 
 鉄のような錆びた臭い。
 血臭である。
 
 臭いの元を注意深く探ったレベッカは、路地の壁に寄りかかって喘いでいる人物を見つけ、目を見開いた。
 
「…ファビオッ!」
 
 髪が濡れたまま放置したようにぼさぼさで、潮と泥の混じったような異臭を放っている。
 服は生渇きで、応急処置に巻いた血止めらしい布が乾いた血で黒く染まっていた。
 
「…ぐ、レベッカか?
 
 はは、ようやくツキが巡ってきたみてぇだ」
 
 目を閉じたまま、ファビオは何とか吐き出すように言葉を紡ぐ。
 
「…あんたほどのやり手を、ここまで追い込むなんて。
 
 とにかく、話は後で聞くわ。
 
 肩を貸す?
 それともギルドの三下どもを連れて来る?
 
 まずは治療をしないと…」
 
 レベッカがそう言いながら駆け寄ると、ファビオは首を横に振った。
 
「さっき、仲間を呼ぶ笛を鳴らした。
 直に来るから、俺の事はいい。
 
 それより、シグルトは昨日戻ったか?」
 
 ファビオは眩しそうに目を開くとレベッカに問うた。
 
「…昨日夜を明かして待ってたけれど、戻らなかったわ。
 
 あのレナータって娘のところにいるんじゃないかしら?」
 
 レベッカの応えに、ファビオは舌打ちした。
 
「く、じゃあ戻ってないのか…
 
 掴まっちまったようだな、シグルトの奴」
 
 ぐい、とレベッカがファビオの服を掴んだ。
 
「…何があったの?
 
 シグルトが関わってるっていうの?!
 あいつ、今戦える状態じゃ…」
 
 そこまで言って、苦しそうなファビオに気付き、慌てて手を緩める。
 
「…余談抜きだ。
 
 シグルトは昨日、俺とこのアレトゥーザの危機に関わる話をしていた。
 ところがその最中に、この間レナータって精霊術師を襲った奴らが用心棒を雇って仕返しに来やがった。
 
 俺はシグルトが隙を作ってくれたから何とかこうやって逃げ延びた。
 …この様だがな。
 
 レベッカ、お前はシグルトを仲間たちと助けに行け。
 東にある岬の上の廃教会だ。
 俺は、シグルトとの約束を守らなきゃならねぇ。
 
 後で回せる連中がいたら、そっちに回すから急げ。
 
 シグルトには借りを返さなきゃならねえんだ。
 必ず助けろよ。
 
 いいか、ザハっていう緑の服の仮面野郎と、ヒギンっていう魔術師風の男に気をつけろ。
 あいつら、多分アレトゥーザでも最強の冒険者“海風を薙ぐ者達”の連中に次ぐ一級の腕前だ。
 
 ザハって奴は闘舞術と南方の体術を使う格闘家だ。
 全身が武器みてぇな野郎だ。
 
 ヒギンはこのアレトゥーザで導師をしてたこともある魔術師だ。
 堅実で地味だが、嫌な防御の魔法を使いやがる。
 賢者の塔のすかした魔術師の兄ちゃんをライバル視してたが、それぐらいの実力はある野郎だ。
 噂じゃ竜巻の魔法を使えるらしい。
 俺の背中もこのおっさんにやられたが、剣を飛ばす魔法も使うから注意しろよ。
 
 あと、前にシグルトと闘ったバドゥーリって傭兵崩れは腕が立つ。
 ロネって腕の長い盗賊野郎は腕もそこそこだが、汚い手をよく使う。
 
 注意しろよ…」
 
 そこまで一気に言ったファビオは、息を吸いすぎて派手にむせた。
 その背を撫でながら、レベッカはこれからすべきことを頭の中で整理していく。
 
「…分かったわ。
 
 私は仲間を集めつつ、岬の廃教会を目指す。
 そしてシグルトを助けるわ。
 
 その後は?」
 
 仲間がいる場所を思い浮かべながら、ファビオの応急手当をするレベッカ。
 
「ことが片付いたら、そのまま『蒼の洞窟』を目指してくれ。
 そこに、もう1つ問題ごとがある。
 
 かなりやばい怪物がこのアレトゥーザの近海にいるらしい。
 2匹のでかい海蛇だ。
 1匹はレナータが封じ込めてるらしいが、もう1匹はどこにいるかわからねぇ。
 話じゃ、体長15mになる特大サイズらしいな。
 こんなのが暴れたら、海に近い場所の住人や漁師たちにかなり死人が出るだろう。
 
 そいつらの退治が仕事だ。
 
 俺はこの様で動けねぇから、ボスに掛け合ってあんたたちの報酬を都合つけておく。
 ただ働きにはしねぇから、頼む。
 
 あと、“風を駆る者たち”にも手伝うよう伝えてくれ。
 1パーティじゃ手に余る仕事だからな。
 シグルトが闘えないんじゃ、余計に戦力が必要だ。
 
 俺も出来るだけ声はかけてみるが、拙いことに、最近“鮫(海賊のこと)”の動きが盛んで、ギルドの連中が出払ってる。
 何とか手を回してみるが…
 
 たぶん出せる報酬は、全部で銀貨二千枚ぐらいだ。
 “風を駆る者たち”の連中と組むなら山分けってことになる。
  
 この件の解決はレナータって娘を救うことに繋がるし、シグルトも望んでることだ。
 
 …正直、時間が無ぇ。
 無茶な依頼だが、何とか仲間を説得してやってくれ。
 
 必ずこの借りは返すからよ…頼む」
 
 レベッカはしっかり頷く。
 
「わかったわ。
 
 その傷が治ったら、あんたの奢りで高級酒1本。
 それでチャラにしてあげる。
 
 私はもう行くわ。
 あんたは…」
 
 見るとファビオは気が抜けたのが意識が無い。
 
 レベッカは苦笑すると、ファビオのいる場所を知らせるために、その路地の入り口にある木の壁に小型ナイフを突き立て、その柄に彼の衣服の切れ端を特殊な結び方で結わえておいた。
 
 こちらに向かってくる数人の気配がするが、歩き方が素人ではない者もいるようだ。
 笛に気付いた盗賊ギルドの者たちだろう。
 ファビオは彼らが回収するはずだ。
 
「…さて、行くか」
 
 そう呟くと、レベッカは疾風のように走り出した。
 
 
 ザザ…
 
 波の音が聞こえ、シグルトは目を覚ました。
 全身が軋むように痛む。
 
 身体に巻かれた感触は治療のための布の他に、拘束するための縄の感触もあった。
 
(…生きてはいるが、掴まったわけか)
 
 縄の感触は初めてではない。
 冷たい石の床の感触も。
 
 あの時は嫌らしい笑いを浮かべた男たちがいて、妹が拘束されていた。
 
(…ファビオは、いないみたいだな。
 
 なら、何れ助けが来る。
 俺は耐えて待てばいいだけだ。
 
 あのときに比べれば、かなりましだな)
 
 そう思って目を開けると、そこは日の光が差し込む窓のすぐ側だった。
 海が近いのだろう、潮騒の音が聞こえる。
 窓から吹き込んでくる風は、すでに冬の冷たさを含んでいる。
 
「…ドウヤラ、気ガ付イタヨウダナ」
 
 くぐもった独特の発音の声だった。
 
 確認すると、シグルトの意識を奪った緑衣に仮面の人物が、シグルトを見下ろしていた。
 
(ザハ、とかファビオが言っていたな)
 
 闘って分かったが、かなりの使い手だった。
 おそらく、総合的な技量ではシグルトに勝るかもしれない。
 
「…マァ、私ト慣レ合イナドシタクハ無イダロウガ、オ前サエ暴レナイナラ、手ハ出サナイ。
 
 依頼主ハ、ワカランガナ」
 
 そう言うと仮面は縛られて動けないシグルトの横に腰を下ろした。
 
「…オ前ガコレカラドウナルカハ知ラナイガ、何カ起コル前ニ、伝エテオキタイ。
 
 オ前ハ偉大ナ戦士ダ。
 ソノ武勇、讃エヨウ。
 
 オ前ノヨウナ戦士ト闘エタコトト、ソノ闘争ヲ我ガ手デ終ワラセタコトヲ、私ハ誇ル」
 
 そう言うと、仮面はシグルトがつけた緑衣の裂け目の修復痕を指差した。
 
「アノ見エナイ剣モ、風ノ剣モ素晴ラシイ。
 
 久シクナカッタ、甘美ナ勝負ダッタ。
 敵ニコノヨウニ言ワレテモ、嬉シクナドナカロウガ、コレダケ言イタカッタ」
 
 そう言って、仮面は小首をかしげた。
 
「…あんたは女か?」
 
 シグルトはその小さな動作で、その性別を見破った。
 
「ソノ通リダ。
 
 コンナ格好デモシナケレバ、南方出身ノ黒イ肌ノ元奴隷女ガ、男ニ混ジッテ仕事ヲスルノハ難シイ。
 ソレニ、コノ格好ハ正体ヲ隠スニハ最適ダ」
 
 仮面はその面に手をかけ、外す。
 
 道化の仮面の下から現れたのは、黒い瞳の、20代後半ぐらいの女性だった。
 黒曜石のように黒い肌は磨かれたように光っている。
 厚い唇は笑みの形に結ばれていた。
 
「俺に見せても大丈夫なのか?」
 
 そうシグルトが言うと、女…ザハはニッと笑った。
 
「少ナクトモ、今ノ依頼主タチニ見セルツモリハ無イガ、オ前ハ見セルニ値スル。
 
 ソノボロボロノ身体デ私ヲアソコマデ追イ詰メタ。
 私ノ故郷デハ、強ク、ソレ以上ニ勇猛デ誇リアル者ニハ、最大ノ礼ヲ尽クス」
 
 ザハは無愛想な仮面には似つかわしくないほど、感情豊かな顔で、胸を張って言った。
 
「…そうか」
 
 少し苦笑すると、シグルトは黙った。
 
「…私ガ何故アノ男タチニ従ウノカ、聞カナイノカ?」
 
 やがてザハの方から話しかけてきた。
 
「人には色々な理由や考えがある。
 その全てを理解することは俺には出来ないが、金にしろ人にしろその理由が命をかけるほど大切なら、俺がどうこう言うまでもない。
 
 あんたは戦士なんだろう?
 闘う理由はそれだけで事足りる。
 
 あいつらに従う理由があんたの中にあるなら、それで十分だろう」
 
 聞くのは野暮なことだ、とシグルトは苦笑した。
 
「…ソウイウモノカ?」
 
 また小首をかしげたザハに、シグルトは苦笑して頷いた。
 
 そのとき、石の床を歩く硬い靴音が聞こえてきた。
 
「…依頼主ノオ出マシノヨウダ。
 私ハモウ行ク。
 
 …サラバダ」
 
 元のように仮面をつけ、ザハは流れるような動作で去っていった。
 
 その後すぐ、部屋に2人の男が入って来た。
 
「…よぉ、芋虫みたいな格好だな。
 
 気分はどうだい?」
 
 傭兵崩れの男、バドゥーリである。
 
「…最悪だな。
 
 床の冷たさが心地よかったが、あんたたちの顔を見たら吐き気がしてきた」
 
 憎まれ口で返すシグルト。
 
「へっ、言うね。
 
 むかつくのを通り越して、気持ち好いぐらいだ。
 そういうてめぇを見下ろすのもな」
 
 下品な顔で笑うバドゥーリ。
 
「…余計な話はしないで下さい。
 
 用件があるのは私なのです」
 
 もう1人の男はジョドというレナータをバドゥーリたちに襲わせた侍祭だった。
 
「今回もあんたが黒幕か?
 
 うちの司祭の爺さんが嘆きそうだ。
 いつから、聖海の徒はこんな下種になったのかってな」
 
 ガスッ!
 
 鈍い音とともにシグルトの身体が転がった。
 
「…黙りなさい、魔女の手先の分際でっ!」
 
 目を吊り上げるジョド。
 
 シグルトは咳き込んだ後、哀れむような目でジョドを見返した。
 
「…何ですか、その目は!」
 
 ガスッ!!
 
 もう一度ジョドがシグルトを蹴り飛ばす。
 だが、シグルトは歯を食いしばって転がらず、黙ってそれを身体で受け止めた。
 
「…あんたと同じ目をした奴を、俺は知っている。
 
 権勢や組織の威を自分の都合のいいように解釈して、狂信に走った壊れた奴の目だ。
 
 縛られていて残念だよ。
 殺さない程度にぶん殴ってやれないからな」
 
 低い声でシグルトははっきりと言った。
 
「な、なにぃ!」
 
 怒り狂ったジョドが、さらに暴力を振るおうと構えたわずかな呼吸のとき、シグルトはくっと睨みつけた。
 
「…いい加減にしろっ!!!」
 
 そして一喝。
 
 驚いたジョドは体勢を崩して尻餅をついた。
 
「…邪悪な奴は今のお前の方だ。
 
 そうやって、正義のためだと1人の女の子を悪人に仕立てるのか?
 聖海の教えは異国の神すら改宗させて列聖させたんだろう?
 
 自分たちと違うから、レナータを悪にするのか?
 
 俺は坊主じゃないから、あんたの言う御大層な魔女だの悪魔だのという話は理解できん。
 
 だが、心を救い、魂を救うのが宗教じゃないのか?
 
 抵抗しないものをいたぶって、それを正義とほざくお前はその辺の害獣よりよほどたちが悪い。
 
 都合よく作り上げた使命感や、誰かを不幸にする大儀を掲げても、俺には醜い行いにしか見えない。
 誰かを貶めることに固執して、何の正義があるって言うんだ?
 
 …お前の中で俺が魔女の使徒なら、それでもかまわん。
 お前と同類扱いされるよりは、よほど居心地がいいだろう」
 
 迷い無い瞳で、迷い無い言葉でシグルトはジョドを貫いた。
 
「…だまれぇぇぇえっ!!!!!」
 
 逆上したジョドはシグルトの顔面を蹴り飛ばした。
 
「私が、私が怯むとでも思っているのかっ!
 
 異教徒の分際で、魔女の下僕の分際で、よくも、よくも、よくもぉぉぉっ!!!」
 
 狂ったようにジョドはシグルトを蹴り続けた。
 
 やがて、疲れて動きを止めたジョドを、シグルトはまた哀れむような目で見つめた。
 
「…きっと、お前の狂信は俺が殴っても治らないんだろうな」
 
 何か言い返そうとしたジョドは、荒い呼吸しかできなかった。
 
「がははっ!
 
 痛快だったぜ、シグルトさんよ。
 
 けどよぉ、あんたは人質なんだぜ?
 そんなにのん気に、坊さんに説教してていいのかぁ?」
 
 バドゥーリが下品に嗤いながらシグルトを見下ろした。
 
「…こんなときでもなければ説教も出来まい。
 
 お前らはいつも問答無用で襲い掛かってきたからな」
 
 シグルトの泰然とした態度に、バドゥーリが鼻白む。
 
「丁度、休暇の予定だったからな。
 …存分に説教してやるぞ。
 
 人質なんて三流の悪役のようなことを続けていれば、そのうちにボロが出る。
 
 俺といた男は逃がしたみたいだな?
 のん気なのはお前たちの方じゃないのか?」
 
 バドゥーリは押し黙った。
 シグルトにはどんな脅しも無駄だと分かったからだろう。
 
 だが、バドゥーリの後ろでゆらりとジョドが立ち上がった。
 
「………」
 
 ジョドの目は狂気に犯されていた。
 
「バドゥーリ、この男を立たせなさい」
 
 何をする気だ、と聞こうとしたバドゥーリをジョドが睨む。
 
「…へいへい。
 
 三下は辛いねぇ」
 
 バドゥーリはシグルトの縄を掴んで立ち上がらせた。
 
「なぁ、旦那。
 
 何するつもりだ?」
 
 ジョドは黙って短剣を抜くとシグルトの右手の掌を刺した。
 
「…っ!」
 
 焼けるような痛みに対し、シグルトは歯を食いしばって耐えた。
 
「おいおい、治療するのは俺たちなんだぜ?
 
 あんまり血が出るやり方はしねぇでくれよ」
 
 バドゥーリがうんざりしたように言う。
 
「無用ですよ、手当てなど。
 
 処刑すればいいのですから」
 
 恍惚の表情を浮かべてジョドが嗤う。
 
 バドゥーリが止めるまもなく、ジョドはシグルトの腹を短剣で貫いた。
 引き抜き、すぐにその胸も刺す。
 肺腑を刺されたシグルトは小さく咳き込んで吐血した。
 
 そしてよろめくシグルトを、ジョドは教会の窓から海に向かって蹴り落とした。
 
「…旦那?」
 
 少し青ざめてバドゥーリがジョドを見る。
 
「…悪の1つはこれで滅びました。
 
 次は魔女ですよ、バドゥーリ」
 
 光の無い狂信の目で微笑むジョドに、バドゥーリの背筋を冷たい汗が滑り落ちた。
 
「あと、悪魔の武器は危険ですね。
 
 大いなる海に委ねましょう」
 
 そしてジョドは、バドゥーリが持っていたシグルトの愛剣【アロンダイト】も、ゴミを放るように海に投げ捨てた。
 
 
 シグルトは落ちていた。
 
 教会の窓の下は崖だった。
 その下は海である。
 
 身体を動かそうとして喀血し、そして激しい衝撃が身体を襲った。
 
 高所から落ちると、水面すら岩のような硬さを持つ。
 まともに身体の動かせなかったシグルトは、海面に叩きつけられたのだ。
 
 全身の血肉が逆流するような感触。
 跳ね上がる大量の水飛沫。
 
 見る間にシグルトの血が、碧い海水に紅い帯を引いた。
 
 シグルトの意識はそこで途切れ、筋肉質の重い身体はゆっくりと海に沈んでいった。

 
 ビュオォォォォォッ!!!!!
 
 風が一度大きく逆巻くと、碧海を望む都の風は突然止んだ。
 同時にアレトゥーザの臨む碧海の潮騒も波も、ぴたりと静まる。
 
 突然の凪(なぎ)であった。
 
 船の出入りが多いアレトゥーザにとっては大きな問題である。
 
(…何なんだ、この凪は?
 
 まるで風も水も塞ぎこんでるようだ。
 
 それに、このどす黒い不安はいったい…)
 
 ニコロが眉間に皺を寄せていると、エイリィが心配そうに見つめてきた。
 
「ああ、ごめん。
 
 なんだかすごく嫌な凪だから」
 
 そういうニコロにエイリィも頷く。
 
「…私もそう思う。
 
 孤児院で仲のよかった子が死んじゃった朝、こんな不安な気持ちになったわ。
 皆、大丈夫かな?」
 
 不安そうなエイリィの肩を、ニコロは優しく叩いた。
 
「大丈夫だよ。
 
 皆も、レナータさんも、シグルトさんもきっと」
 
 ニコロとエイリィは『蒼の洞窟』へと急いでいた。
 
 “風を駆る者たち”は3グループに分かれて別行動をとっていた。
 時間を節約するために、レイモンが提案した案である。
 
 レイモンとオーベは教会に。
 ガリーナとユーグは盗賊ギルドに。
 
 事の起こりは、『悠久の風亭』のマスターの依頼である。
 
 聖地である『蒼の洞窟』を巡って、聖海教会の保守派がレナータへの迫害を強め、洞窟からの立ち退きを勧告しはじめたのだ。
 それに対して首を縦に振らないレナータを、教会の保守派は近く行われる《ネプトゥヌスの祝祭》で魔女として裁く予定だという。
 
 レナータを師として慕うニコロが、これに黙っているはずがない。
 “風を纏う者”もシグルトの故障でまともに動けないだろうと、マスターは“風を駆る者たち”にレナータが立ち退かない理由の調査と、彼女の保護を依頼したのだ。
 
(…今行くよ、レナータさん!)
 
 ニコロは焦る気持ちを必死に抑えながら、足を速めていた。
 
 
 “風を纏う者”の面子は、レベッカの行動で集まっていた。
 
 そして、そのまますぐに岬の廃教会をめざしていた。
 仲間が揃い、“風を駆る者たち”に増援を頼もうしていた時、突然顔色を青くしたラムーナが先に行くといって駆け出してしまったからだ。
 
「…変なの。
 
 ものすごく嫌な予感がする」
 
 走り出す途中で、ラムーナは一度立ち止まり空を仰いだ。
 
「…風が止んだ?」
 
 いつも海から吹き上げる潮風は、大きな一吹きの後にぴたりと止んでいた。
 同時に周囲の海も沈黙する。
 
「…凪ね。
 
 でも、この場所でこの時期におかしいわ」
 
 ラムーナは自分の肩を抱き、震えていた。
 
「ラムーナ?」
 
 レベッカがその表情を伺う。
 
「…怖い。
 
 よくないことが起きてる」
 
 こんなラムーナを見たのは初めてだった。
 足の遅いロマンやスピッキオがようやく追いつく。
 
「…はぁ、はぁ。
 
 2人とも足、速すぎるよ」
 
 ロマンが荒い息で言う。
 
「…まったくじゃ。
 
 年寄にこの坂を走らせるのは、酷というものじゃよ」
 
 汗を拭いながら杖で身体を支えるスピッキオ。
 
 2人がラムーナを見ると、蒼白な顔でレベッカに支えられている。
 
「…お姉ちゃんが死んだときと同じ…
 
 あの日も風が止んじゃった…
 
 だめ…急がなきゃ、急がなきゃっ!!」
 
 ラムーナはまた走り出す。
 
 ロマンとスピッキオがそれを見て、仕方ないという風にまた足を速める。
 
 なぜかもう不満の声は出なかった。
 
(…くそ、私も嫌な予感がするわ。
 
 何だっていうのよ、この不安な気持ちは)
 
 レベッカも怠惰な彼女には珍しく、真剣な顔で走るのだった。
 
 
 走り通しだった“風を纏う者”は、昼には廃教会の前までやってきていた。
  
「今回は相手が強いわ。
 
 相手の主力は4人。
 戦士が2人に、魔法使いが1人、盗賊が1人。
 
 どうやら秘蹟を少しばかり使うボス猿がいるみたいだけど、白兵戦はからっきしみたいだから、まずは主力を一気に潰す。
 
 目標はシグルトの救出よ。
 お互い無理はしない。
 
 いいわね?」
 
 一同は黙って頷いた。
 
 本来は彼らをまとめるシグルトがいない。
 しかし、シグルトのためという意識が強い連帯感を生んでいた。
 
「OK。
 
 じゃあ、いくわよ!」
 
 レベッカが廃教会の壊れかけた窓から忍び込んで、正面の戸を開け、一気に侵入する。
 そこには、昔礼拝堂だったらしい場所で、数人の男が酒を飲み交わしていた。
 
 その中に腕の長いチンピラ風の男、ロネもいる。
 
 レベッカが1人の男を刺し殺し、ロマンの【眠りの雲】の呪文で半数が無力化する。
 ラムーナは即座に2人の傭兵を蹴り倒していた。
 
 慌てたロネが叫びながら、逃げていく。
 
 おそらく連中はシグルトを盾にしてくるだろう。
 そう思っていたレベッカは、逆にその時にシグルトを救出する腹だった。
 
 しかし、一行が奥の広間にたどり着くと、そこには5人の敵がいるだけだった。
 
 ジョドという侍祭を囲み、仮面に魔術師、そして傭兵と盗賊。
 
 敵の1人、ザハという仮面が前に出て来た。
 
「…シグルトはどこ?」
 
 レベッカは恫喝するように、低い声で言った。
 
 一瞬仮面がちらりと窓の方を見た。
 その先には、南海の強い日差しが差し込むだけだ。
 
「さぁて、なぁ。
 
 知りたきゃ、俺らを倒すんだなっ!」
 
 傭兵…バドゥーリが剣を抜く。
 
 そしてザハから動いた。
 
 ラムーナがザハの拳をひらりとかわすと、鋭い蹴りを見舞い、即座に体勢を整える。
 両名の激しい攻防が行われるが、どちらも高い回避力でまったく互いの攻撃が当たらない。
 
 【幻惑の蝶】と呼ばれる回避術。
 
 素早い闘舞術の使い手が使うと、そのフットワークは驚異的なディフェンスとなる。
 
「《…穿て!》」
 
 一方ロマンは【魔法の矢】を撃つ。
 
「こしゃくな小僧めっ!」

 接近してきたバドゥーリが【魔法の矢】の直撃を食らって転倒するが、相手の魔術師はロマンに対するように複雑な印を結ぶ。
 そして東方の発音を含んだ独特の詠唱。
  
「《砂塵が装束、猛る輪舞を踊れ妖霊ぃ!》
 
 《叫べ、竜鳴く風の暴虐を!!!》」
 
 ロマンの顔色が青くなる。
 
「気をつけてっ、【砂の旋風】だ!!!」
 
 廃教会の壁を裂きながら巻き起こった竜巻。

 巻き込まれたレベッカたちは、風に裂かれ壁や床に叩きつけられて傷ついた身体を庇い、後ろに引いた。
 アレトゥーザでも伝授されるこの魔法は集団に大きな打撃と、深刻な能力低下を招く。
 
 砂の混じった風は目を霞ませ、身体を大きく切り裂くのだ。
 
「…主よ!
 
 我が主よ!
 
 我等に祝福を与えたまえ!」
 
 スピッキオの祈りの声が柔らかく仲間を包む。
 そして即座にスピッキオは【癒しの奇跡】を用いて仲間を癒した。
 
 敵は【魔法の鎧】による補助で堅牢であるが、“風を纏う者”もスピッキオの【聖別の法】で守られている。
 しかも、スピッキオの唱える【祝福】の言葉が、“風を纏う者”の能力を高めていた。
 
 砂塵による行動の阻害が【祝福】によって洗い流され、“風を纏う者”は奮い立つ。
 
「!!!」
 
 激闘の末、レベッカが絞殺紐でロネを絞め落とした。
 回復の援護の無い敵側は、スピッキオの回復の秘蹟を破れずに一方的に疲弊していった。
 
「《刃の精霊、剣の主よ、斬り裂け、断ち斬れ、血潮を出だせ…》
 
 《岩をも穿つ咒(のろ)いを刻め!》」
 
 ラムーナがザハとの膠着状態から隙をついてその頭上を跳び越し、ヒギンを襲った。
 
 空中で舞われるまじないの剣舞。
 
 相手の防御を紙同然にする【咒刻の剣】である。
 ラムーナが新しく習得したこの技が、【魔法の鎧】の防御を無力化して大きな傷を与える。
 
 着地と同時に紫色のまじないが、ヒギンを袈裟斬りにした。
 
「ぐぅぅ、このようなまじないもどきに…」
 
 あふれる己の鮮血を押さえ、ヒギンは呻いた。
 
 この世界の法則では、常に防御の魔力は塗り変えられる。
 ラムーナの剣は、鉄のような防御の魔法を打ち破り、その上でさらに防御を奪ったのである。
 
 そしてザハが庇いに入る前に、ラムーナの鋭い突きがヒギンに止めを刺した。
 
 直後に対峙する2人の舞い手。
 闘舞術の使い手同士の激しい戦闘がまた始まる。
 
 レベッカは綱を構えながら、バドゥーリと激しくせめぎ合う。
 
 ジョドの唱える【聖なる矢】にロマンが【魔法の矢】で返し、腕を貫かれたジョドは慌てて遮蔽物の後ろに隠れた。
 
 舞い手同士の凄まじい攻防は、目まぐるしい動きで続いていた。
 
 ザハが不意に不自然に顔を向け、瞬間ラムーナが石の様に硬直する。
 即座に【幻惑の蝶】の【幻蝶舞踏】の動作で、ラムーナは間一髪でザハの拳を避ける。
 
「…知ってるはず。
 
 呪縛や緊縛に対して、その脱出は闘舞術の基本だよ」
 
 ラムーナは相手を威圧するように言う。
 
 南方大陸から伝わった戦いのダンス《闘舞術》。
 足場の悪い場所や拘束された状態から脱出して闘うその技法。
 一説には、その舞踏を生み出した先達には奴隷階級だった者もいたという。
 
 一方、ザハの使った《倣獣術》も南方大陸から伝わった武芸だ。
 相手を即座に硬直させる【妖狐の呪眼】。
 邪眼(イビルアイ)の1つとして恐れられる金縛りの瞳術(どうじゅつ…目や視線を使った技術)である。
 
 身体能力を高め、非力な舞い手が体重や遠心力で力を得られる《闘舞術》。
 相手の体勢を崩し、身体の躍動で恐るべき破壊力を生む《倣獣術》。
 
 この2つは相反する部分と共通する部分を持つ武芸であり、両方を揃って使いこなしたときこそ、恐ろしい効果が生まれるとされる。
 その典型であるザハは強い。
 しかし、一芸を磨いてきたラムーナも強かった。
 
 だが、【妖狐の呪眼】受けた直後のラムーナの行動は守備に徹している。
 
「…我ガ瞳術ノ封ジルハ、身体ダケデハナイ。
 
 闘ウベキ心ヲ奪ワレタ者ニハ、敗北アルノミダ」
 
 【妖狐の呪眼】の恐ろしいところは、相手の心に恐怖や慎重さを刻み付けて、防戦一方に追いやる効果にある。
 
 目に見えてラムーナが押され始めた。
 
「《…眠れ、穏やかに》」
 
 その背後から不意に響くロマンの詠唱。
 
「…ヌカッ…タ」
 
 奇襲で放たれた【眠りの雲】の起こす激しい睡魔に体勢を崩すザハ。
 ラムーナは準備していた【連捷の蜂】の初動作でザハの延髄を蹴る。
 挫けそうな心を叱咤し、次の攻撃を放つ。
 それは目覚めたザハにかわされたが、即座に【咒刻の剣】の構えを取った。
 
「《…縛れ!》」
 
 ロマンの呪縛の呪文が相手の動きを一瞬縛る。
 
「…グッ!!!」
 
 呪縛を解こうとする直前のわずかな隙。
 
「《岩をも穿つ咒いを刻め!!!》」
 
 ザハが【蜘蛛の糸】を解く前に、わずかに速かったラムーナの剣がザハの防御を破りその身を穿った。
 
「…潮時カ」
 
 何とかその攻撃に耐えたザハは、呪縛を破ると傷を押さえながら窓の外を見る。
 
「契約変更ノ時間ダガ 、私ハ人質ヲ激昂シテ殺スヨウナ依頼主ニハ、コレ以上ツイテイケヌ。
 
 私ノ仕事ハココマデダ」
 
 あっさりとザハは逃走する。
 
「ま、待ちなさい!
 
 逃げたら、後金は払いませんよ!!」
 
 ジョドが必死に呼び止めるが、ザハは入り口で立ち止まり振り向かずに手を振った。
 
「…結構ダ。
 最低限ノ仁義ヲ守レヌ奴ニ、後金ナド期待シナイ。
 
 今マデ闘ッタノハ、キチントシタ契約デ前金をモラッテイタカラナ」
 
 実にクールなしぐさでジョドを黙らせる。
 
「…シグルト。
 
 アノ男ハ、真ノ戦士ダッタ。
 私ハ、戦士ノ死ヲ軽ンジル者ハ信用シナイ」
 
 そう言い残し、ザハは去って行った。
 
「…あ~あ、こりゃ俺らの負けだわ」
 
 バドゥーリが剣を投げ捨てる。
 降参の構えか、両手を大きく万歳の形で上げる。
 
「…待ちなさい!
 
 今の仮面野郎の言ってたことってっ!!」
 
 レベッカが目を剥く。
 普段冷静沈着な彼女が焦った様子だった。
 
「…言葉通りだよ。
 
 俺らの依頼主は、切れて縛られたままのシグルトをぶっ刺して海に投げ落としちまった。
 
 この辺は鮫が多いし、傷の1つは肺のあたりだった。
 おまけに船はこの凪で通らねぇだろうし、泳ぎついで這い登れる岸も近くに無いからな。
 
 死んだのは間違いねぇだろ」
 
 そう言うとバドゥーリは疲れたような顔で苦笑した。
 
「う、嘘だ!
 
 シグルトが、シグルトが死ぬはずないよっ!!」
 
 ロマンが取り乱して否定する。
 
「あの野郎とは、剣で決着をつけたかったぜ。
 多分勝てなかっただろうがな。
 
 つまらねぇ話だ。
 
 あんなに強くて、憎たらしいぐらい男前だったのによ。
 死ぬときは、あっけなかったぜ。
 
 世の中ってやつは、いっつも理不尽だ」
 
 バドゥーリは頭をぼりぼりと掻きながら、海を眺めた。
 
「…戦争がなくなりゃ、俺たち傭兵はお払い箱だ。
 
 ちんけな野郎について、酒飲んで、盗んで、女犯して、人殺してよ。
 でも、な~んも感動が残らねぇ。
 
 シグルトの野郎、縛られて蹴飛ばされても真っ直ぐな目で居やがった。
 あんなに理不尽に死んじまう時まで、あの目のまんまだった。
 
 …すげぇよなぁ」
 
 それはとても疲れた男の目だった。
 戦場で戦い、修羅場を何度も経験して戻れなくなった男。
 
 そんな彼は心の隙を埋めるために、魔女狩りという大儀に半信半疑で加担したのだ。
 
 戦場では腕利きとされた彼は、平和な世界では鼻つまみ者だった。
 そして、彼が選んだ道は悪人の道だった。
 
「にわか正義はだめってことだな。 
 
 俺も、こんな奴につくのは止めるぜ。
 
 …戦場で死んでりゃ、よかったな。
 
 官憲に身柄がいきゃ、余罪で縛り首だからなぁ。
 こんなちんけな野郎の側じゃ、どうせ神の国なんて、いけねぇだろうしなぁ。
 地獄行き決定だわな。
 
 …俺も逝くわ。
 無様に晒されるよりゃ、いくらかましだろ。
 
 んじゃ、バ~イって、な」
 
 バドゥーリは走り出すと窓から海に飛び込んだ。
 冷たい水音の前に、一度岩で身体がひしゃげる鈍い音が鳴った。
 
 だがシグルトの死というショックに、一同は動けないままだった。
 
 数秒後、レベッカだけはジョドの隠れる場所に向かっていく。
 そこで震えていたジョドを蹴り倒し、仰向けにして馬乗りになる。
 
「ひぃ、止めろ!
 
 私は、私は聖海の…」
 
 暴れる邪魔なジョドの腕を止めるために、レベッカは能面のように無表情な顔でジョドの肩の腱を断ち切った。
 
「うぎゃぁぁぁ!!!!」
 
 凄まじい絶叫があたりに響く。
 
 グシャッ!!
 
 騒がしい叫びを止めさせるため、レベッカは短剣の柄で、ジョドの鼻っ柱を粉砕した。
 
 ジョドがくぐもった呻き声しか上げられなくなると、レベッカはその胸倉を掴む。
 
「…あんたがシグルトを殺したの?」
 
 ひぃひぃと言うだけのジョドの頬を強く張る。
 
「返事をしないなら、耳を削ぐわ」
 
 短剣をその耳に当てられたジョドは、失禁しながら何度も頷く。
 
「…縛ったまま刺して海に落としたって、本当?」
 
 ジョドは必死に頷くだけだった。
 
「…そう」
 
 レベッカはそう言うと、ジョドの喉笛を短剣で掻き切った。
 
 ひゅう、ひゅう…
 
 気管から空気の抜ける音。
 ジョドが泣きながらレベッカを見つめる。
 
「…あんたの神様に祈ったら?
 
 無理か。
 もう喋れないもんね。
 
 その腕じゃ、十字も切れないし、地獄行きね」
 
 冷たい目でレベッカは一瞥して立ち上がった。
 
 ジョドは白目を剥き、そしてこと切れた。
 
「…畜生」
 
 レベッカはそう言って寝転がってるロネのところに行く。
 
 冷たい目のままレベッカは、ロネが目を覚ます前に止めを刺した。
 
 凄惨な殺人を冷たい表情で行うレベッカに、スピッキオは動けなくなっていた。
 怠惰だが、陽気で情に厚いレベッカとは思えない行動だった。
 
「…いけね。
 
 あんたたちがいたんだよね」
 
 その暗い瞳は、奈落を目に映した亡者のようだ。
 
 だが、ロマンはそれにも気付かずにシグルトの姿を探している。
 
「嘘だ、嘘だ、嘘だ…」
 
 うろうろとシグルトを探し続けるロマンの瞳もまた暗い。
 
 そして、ラムーナは脱力したように座り込んで海を眺めていた。
 
「…主よ。
 
 かくも慕われる若者を、何ゆえ召された?」
 
 しかし、スピッキオの言葉に応えるものは無く、静かな風の無い海が陽光を反射して輝くだけだった。
 
 
「くそ、4人だけで向かうなんて、無茶しやがって」
 
 “風を駆る者たち”のユーグとガリーナは、“風を纏う者”と合流するため、岬の廃教会を目指していた。
 
「無駄口叩かずに走る!」
 
 ガリーナはユーグの俊足について走っている。
 ユーグのお姫様は見た目より健脚だった。
 
 やがて廃教会につくと、入ってすぐの礼拝堂跡には激しい戦いの後が残っていた。
 
「この人数をシグルト抜きの4人で突破したのか…」
 
 倒れた傭兵たちを見て、ユーグはその鮮やかな手並みに感心する。
 
「…私たちと同格って言われてるんだから、この程度は当たり前よ」
 
 ガリーナは冷静な顔で奥をめざす。
 
 そして奥の広場。
 
「…うわぁ、こりゃ何があったんだ?
 
 柱がぼろぼろじゃねぇか」
 
 そう言うユーグの横で、屈んだガリーナは床を指で撫でる。
 
「【砂の旋風】よ。
 
 使った奴はかなりの実力ね。
 この惨状…私やロマンより格上かもしれないわ」
 
 ガリーナは立ち上がって歩き出そうとして、立ち止まった。
 
 さめざめと泣いている子供がいた。
 柱に寄りかかって呆けている娘がいた。
 娘を抱きかかえてぼんやりしている女がいた。
 そして小さな血の染みの前で、静かに祈る老人がいた。
 
「お、皆無事だった…ムグッ」
 
 じゃべり出そうとするユーグの口を塞ぐガリーナ。
 
「な、何を…」
 
 目を剥くユーグをガリーナが睨む。
 
「場を察しなさい。
 
 こんなのおかしいでしょう?」
 
 ユーグも、あらためてその異様さに気付く。
 
「…何があったんだ?」
 
 その呟きに、ラムーナを抱いて撫でていたレベッカが立ち上がった。
 
「…ユーグ、来たんだ。
 
 戦いは終わったわよ、無駄足になっちゃったけど」
 
 その瞳を見て、ユーグは背筋が震えた。
 
(…こんな濁ったドブみたいな目しやがって、何があったんだ?)
 
 ユーグを押しのけ、ガリーナが核心を言葉にする。
 
「ねぇ、《シグルト》はどこ?」
 
 《シグルト》という言葉に、“風を纏う者”の一行がびくりとする。
 その行為で、ユーグも事情を推測できた。
 だがその推測が外れていてほしいと、ユーグは思う。
 
 レベッカがすっと凪いだ碧海を見つめる。
 
「たぶん、あそこ。
 
 刺されて、海に投げ込まれたんだってさ。
 手足を縛られて…
 
 アイツ、もう手足もろくに動かせなかったのに」
 
 その言葉にまたロマンが泣き始めた。
 
「…嘘だろ?
 
 あのシグルトが、死んだって言うのか?」
 
 ユーグが呆然とした様子で言うと、レベッカは壊れた機械のように小首をかしげた。
 
「…嘘だとよかったんだけどね。
 
 そこにあいつの血糊が残ってるのよ」
 
 スピッキオが、飛び散った血の跡に向かって祈りの言葉を捧げていた。
 
 ユーグは何か言おうとするが、言葉にならなかった。
 ガリーナも黙ったままだ。
 
 しばしの沈黙の後、レベッカは軽く首を振り、少しだけ生気を取り戻した瞳になった。
 
「…さて休憩終わり。
 
 レナータちゃん、助けに行こう」
 
 レベッカがラムーナの肩を叩く。
 
「お前ら、そんな状態で…」
 
 そう言ったユーグに、レベッカは潤んだ瞳で苦笑した。
 
「アイツが望んだ仕事よ。
 アイツの言葉が生きているの。
 
 だから、私たちがやらなきゃ、ね」
 
 スピッキオが立ち上がる。
 
「悲しむのは後じゃ。
 
 シグルトの意志を全うするのが、今のわしらに出来ることじゃよ」
 
 涙をこすって拭き取ると、ロマンも頷く。
 
「僕たちのリーダーが決めたことだから、やらなきゃ」
 
 最後にラムーナが立ち上がる。
 
「これ以上、悲しいことはダメだよ」
 
 傷つき、疲れ、失った“風を纏う者”はともに手をとって歩き出した。
 
 ユーグはどうしていいか分からずにガリーナを見た。
 
 唇を噛み締めながら、ガリーナは吐き出すように呟いた。
 
「…ニコロたちに何て言えばいいのよ…」
 
 その呟きも、凪いだ南海の静寂(しじま)に融けて消えていくのだった。

 
 
 ようやくお届けします、レナータ編の中です。
 
 シグルト、逝きました。
 心臓止まってます。
 
 カードワースは3~6レベルぐらいが一番スリリングで面白い頃です。
 召喚獣が2種類セット可能になり、スキルカードも4~5枚とバリエーションが豊富になります。
 今回の敵、ザハやヒギンもかなり高レベルらしい闘い方をしていました。
 ヒギンは【魔法の鎧】を使い、ザハは【幻惑の蝶】を使っていました。
 実際のシナリオで、NPC側がこういうやや健全なドーピングをしていることは少なく、反則的なドーピング(能力改造とか)の方が多いような気がします。
 能力をUPし、堅実な勝利を狙うのは5レベル前後のベテランであれば当然のことだと思います。
 敵も味方もどっちもです。
 
 私はMartさんにアレトゥーザの新スキル案をデザインして送ったとき、利点と欠点を含めた傾向を作ってみました。
 
 《闘舞術》は能力向上があり、決定的な破壊力は無いものの、能力低下や呪縛に強い仕様。
 《倣獣術》は能力低下と破壊力が高く、直接的な効果の変わりに単体では呪縛や能力低下に弱い仕様。
 《盗賊術》は威力ではなく嫌らしさや狡さを強調したトリッキーな仕様。
 実は三つとも、非実体や、まともな血肉と精神を持たない連中が苦手になるようになっています。
 《闘舞術》はいくらか補えますが、もともとの破壊力の低さから考えるとやっぱり苦手が残ります。
 
 私は利点を活かし、いかに欠点を補うかを考えることが、プレイヤーとしてのやりがいに繋がると思っています。
 
 アレトゥーザのサブシナリオは、このあたりを考えてデザインしてらっしゃるので、何度もやりたくなります。
 
 《闘舞術》のダンスは面白い特性があって、能力ダウンを受けたら、それから即座に体勢を立て直す瞬発力があります。
 回避ダウンが毎ラウンドイベントで起こるシナリオで【幻惑の蝶】を使うとかなり痛快です。
 
 スキルの効果や使われた状況をイメージしつつ、リプレイを読んでいただくと、また味わいが違うかと思います。
 私の文章では美味しくないかもしれませんが…
 
 
 雑談が過ぎました。
 
 今度はいよいよレナータ編最終話です。
 
 Martさんがレナータ編最終話の後に、リプレイのブログを閉鎖するに当たり、それに花を添える話にしたいものですが…
 
 なお、Martさんの“風を駆る者たち”のリプレイはうちのブログに引っ越す予定です。
 今準備をしていますので、また読めます。
 
 詳しくは別の記事にて書きますので。
 
 私の方のブログはゆっくりマイペースに続けるつもりですので、今後ともよろしくお願い致します。
 
 これからも沢山の人が愛せるカードワースでありますように。
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この記事のコメント

前編も暗い話でしたがさらに暗くどんよりとした話でした。
タイトルもなかなか不気味さを感じさせてくれました。
前編ではもうシグルトがぼろぼろの体で大した治療も受けようとせず
戦って身体の無理で再起不能になるか死んでしまうかするのではと思っていましたが
本当に伏線で、死んでしまうとは・・・
生き抜いてこそ意味のある冒険者としては彼は失格のようですね。
他の風を纏う者のメンバは海蛇を退治した後は解散してしまうのだろうかそれとも・・・?
ダナの伏線は使われてないしまさか復活とか?
Y二つさんのブログは続くようだしお約束と言ってしまうと
薄っぺらくなりすみませんが私はそういった読みです。

風屋さんのダナのこともあって仮面に加え緑ときたら
ザハはやはり九条のんさんのあの素材からでしょうか?
こう質問すると固定してしまうことになりますが
シグルト以外にザハも死んでしまうのかとハラハラしながら
読んでもいました。実は女性だと言うことは驚きましたがむしろ一瞬で見抜くシグルトやレベッカやファビオの観察力、或いは体力に恐怖を感じるほどです。

ロネについて
腕が長い以外特徴無く、見せ場が無く終わってしまったロネ。
数合わせなのか何なのか意外に記憶に残りました。

六人目の冒険者について
リノウかシアかどうなんだと待っていましたがここで
減ってしまったわけでシグルトの代わりに加わるのか
も気になるところです。確か何かのシナリオの連れ込み
NPCなんですよね?

スキルの話
前編でシグルトが放った複合技は動きが影走りで
斬撃が縮影閃なのですかそれとも二つの技を二撃連続
でしょうか?
舞闘術が気功と違い何度も発動する理由が分からなかったので解せました。
防御無視(貫通)攻撃が防御を上げてくる敵に決まると確かに痛快です。(ギミック戦含め)
2006-09-11 Mon 23:31 | URL | ブリック #eoRN1yn.[ 編集]
 ブリックさん、いらっしゃいませ。
 
 この場でシグルトの退場はかなりショッキングだったと思います。
 中盤の山場ですから、お約束を使うにしても、このぐらいはしないと盛り上がらないですよね。
 
 ただ、シグルトは死にたがりでは無くて、むしろかなりしぶといタイプです。
 それこそ、仲間のためにはアンデッドになっても最後まで闘うような。
 
 シグルトはたいした治療もしなかった、ではなく、治療法が無い状態でした。
 いかに【癒身の法】とか治癒魔法があるといっても、体組織の再生は困難です。
 それこそ、フォーチュン=ベルのエリクサーや、【大海の慈悲】、上位精霊の癒しでもないと回復は難しいわけですね。
 
 あと、シグルトは目的を果たすために足掻き、その上で人質になった後、仲間が助けに来ることを信じ、期待していました。
 単にジョドが「ありえない愚行を犯した」わけでして、シグルト自身に死ぬ気はまったくありませんでした。(この回でシグルトが仲間が助けに来ることを心の中で予想していましたよね?)
 足掻いて理不尽に殺されてしまうのもまた悲しい世の常で、そのことをシグルトは親友の死を通してよく知っています。
 自分が死ねば悲しむものがいることを知っており、生き足掻いていたのがシグルトです。
 命をかけるほどの覚悟が無ければ、守りながら生きられないのだというのが、シグルトの考え方です。
 命は大切だけど惜しまないってやつです。
 限りある時と場合によってはすぐになくなってしまう冒険者としての一生を、悔いなく精一杯生きようと、彼なりに努力はしていましたし、一応そのように書いてきたつもりです。
 
 ファンタジーには『死んじゃったまま闘う』という手段もありますし、お約束通り復活か、死んじゃったままかは次回まで保留ということで… 
 
 ザハは、お察しの通り、九条さんの仮面絵をモデルにしています。
 実は能力値や装備スキルもちゃんとキャストデータであったりします。
 バドゥーリやロネのデータももちろんあります。
 
 あっけなく死んでしまったロネですが、こいつはもともとあっさり死ぬ予定の悪役でした。
 数合わせ、というより、前の一件から引き続き登場して今回死んだ、という感じでしょうか。
 何というか、やられ役チンピラ代表です。(苦笑)
 
 六人目はバレバレですが、まあ、登場まで秘密ということで。
 分かりますよね…現在オール4レベルの“風を纏う者”に足りないメンバーを考えれば。(どこかではっきり宣言してたような気もしますが)
 
 スキルについてですが、シグルトは【影走り】、【縮影閃】の順に使っています。
 風の剣で、シグルトが風に声を出して呼びかけて使う方が基本的に【風疾る利剣】、それ以外は【縮影閃】です。
 
 ザハは最初の【影走り】を【魔法の鎧】の影響下で受け、【縮影閃】の大ダメージを、【魔法の鎧】の効果に加えて【防御】で耐えています。
 必殺剣の二連発で、何とか立っていられるわけですね。
 
 私って、設定狂の理屈やですので、お約束を使うにしてもかなり細かい理由付けをやるタイプです。
 本当はジャガイモやトマトの料理を出したいのに、中世にはそれらが無かったから出さなかったりするやつですから。
 
 中編の戦闘も、ダメージ計算しながら書きました。
 本当の話です。
 少しはリアリティが出ていればよいのですが。
 
 暗い話でしたが、最近シグルトたち快進撃ばかりでしたから、たまにこういう泥臭いネタがあってもよいかと。
 
 次回もあきれずに読んでくださると嬉しいです。
2006-09-12 Tue 02:21 | URL | Y2つ #TIXpuh1.[ 編集]
初めまして。ruiruiと申す者です。
いつも「風を纏う者」の冒険譚、楽しく読ませていただいています。
私もCW好きで、CWサイトを巡っているうちにここにたどり着きました。
今回、シグルドが死んだのに衝撃を受けてコメントしている次第です。

今回はかなりの急展開に少々驚いていますが、この後どうなってしまうのか気になります。

シグルド・・・復活でしょうか、それとも・・・?

支離滅裂かもしれませんが、これからも読ませていただきますのでよろしくお願いします。
2006-09-12 Tue 15:31 | URL | ruirui #sr2itbjc[ 編集]
しばらくCW離れているうちに、「風を纏う者」が大変なことに・・・。

>囚われの主人公、荒波へ投げ出される・・・。
なんとなく『岩窟王』を思い出しました。
縛られ、刺され、体もボロボロ・・・ですが復活すると信じています。
海竜や、一緒に捨てられたアロンダイトが伏線・・・?

レベッカの焦りとか、盗賊らしい残酷さも好みでした。
抱く感情は『家族愛』とのことですが、今後変化はあるのでしょうか?
過去が過去だけに、幸せにならんかなぁ・・・とw

>しんじゃったまま闘う
どんな作品か興味あります。
ファンタジー?

>設定狂の偏屈や
・・・同士ですねw
設定大好きですよ、私も。
やれ魔術にしろ聖北の術にしろ、ウダウダと考えるのは楽しいです。
『マギック・サーキット』の設定だと、CWシステム的にもしっくりきますね、カード制限。
機能はアレの『魔術刻印』に近いものでしょうか?
マギック=マギウス?

それではこれからも頑張ってください!
2006-09-12 Tue 21:06 | URL | SIG #klq26XPE[ 編集]
 ruiruiさん、SIGさんいらっしゃいませ。
 文字ばっかりのブログですが、よろしくお願いします。
 
>ruiruiさん
 はじめまして。
 
 何分、文才という奴が無いものでして、お粗末なリプレイですが、“風を纏う者”の冒険はまだ続きます。
 
 今回のレナータ編は序盤、言うなれば第一部のクライマックスというやつになります。
 昨今の物語はお約束が増えまくっているので、多分皆さんの予想通りお約束になるかとも思いますが、少しひねくれた内容になるかもしれません。
 私がひねくれものなので。
 
 ただ、シグルトは本当に死んでいます。
 死という概念のとらえ方にもよりますが。
 間違いなく、肺を刺されて冬に海に高所から落っこちて生きてるわけは無いわけです。
 彼がどうなるかは現在ちまちまと書いていますが。
 結果はともかく、過程にはひねりを入れるつもりです。
 
 かなり、我の強い文章を書きますが、これからもよかったら読んでくださいね。
 
 
>SIGさん
 お久しぶりです。
 
 ブログの記事を見ると分かるとおり、8月、9月は更新が滞っていました。
 まあ、マイペースに続けるつもりですし、CWはぼちぼちとやっていくつもりです。
 プライベートシナリオも現在大改装をやってまして、売り物がどっさり増えると思います。
 何かほしいスキルをリクエストしてくださるとそっちも増えるかもしれません。
 プライベートなのでやり放題やってます…
 
>伏線
 張りまくってます。
 
 でも、シグルトって美形型の主人公なので、人気ないかな~と思ってたんですが、わりと彼のファンがいらっしゃるようでびっくりしています。
 
 レベッカはクールな姐御タイプをイメージしてます。
 広江礼威のマンガ『BLACK LAGOON』(アニメにもなってますね)のバラライカが性格のモデル、名前はヒロインのレヴィーからもらいました。たまに熱いのは名前のせいです。
 クールで格好好い悪人、実は大好きでして。
 本物の悪人(現実世界という意味)は嫌いですけど。
 …歪んでますね私。
 
 レベッカは間違いなく一生独身です。
 多分、子供を生んでもシングルマザーになるタイプ。
 子煩悩になると思いますけどね。
 シグルトに対する愛情は仲間であり、姉弟。
 発展したとしても“最高のパーティ”でしょうね。
 
 ただ恋愛に持って行くのって、パターン過ぎて、私のひねくれものの虫が許さないというか…
 仲間と居るだけで十分幸せさんですけどね、彼女の場合。
 
>死んじゃったまま闘う
 最近のものでは赤人義一のマンガ『屍姫』とか。
 半機械化とか、サイボーグ化とか、ゾンビっぽいネタのものって、昨今の氾濫した小説や漫画の中にはけっこうありそうです。
 生きた屍ってやつですね。
 ヴァンパイアネタもそれっぽいですね。
 
>設定
 リプレイ中もこっそり出していますが、私は勝手に召喚獣の装備スペースを《付帯領域》などと呼んでいます。
 カードワースのシステムにあわせてストーリーや世界法則を考えたりしてます。
 
 アレの《魔術刻印》は、イメージとしてはアイテムか付帯能力っぽいですね。
 システムの上では『魔剣工房』の【カドゥケウス】がかなり近いと思います。
 
 私の場合、できるだけ広範囲に解釈できるように設定しています。
 例えば、《マギック・サーキット》に関しても、ロマンはその系統で、他はそれぞれだよ~という感じで。
 
 マギックという言葉は、わりと最近使われるようになった言葉だったと思います。
 奇術をマジックとし、それと区別する形でマギックと呼ぶよう、近代の魔術師がそう言ってたと聞いた記憶があるようなないような。
 マギとか、マギウスという言葉は古いみたいですけど。
 某PCゲームの場合、魔法と魔術をくっきり分けてますよね?
 奇術めいた荒唐無稽な凄まじい効果の《魔法》をマジック、普通に《魔術》をマギック、とか?
 
 ぼちぼちやります。
 また来てくださいね~
2006-09-14 Thu 00:11 | URL | Y2つ #TIXpuh1.[ 編集]
行き過ぎた発言すみませんでした。
自分もシグルトが好きなわけであまり死を認めたくなかったわけです。
これまでのタフさもありますし(正確には気力によるところが大きいですね。)

SIGさんと同様にレベッカについても同じように思ったわけですが
やはり設定は綿密でブレがないですね。自分はあの仮DOLLでここまで細かい物を
初めて読んで、驚いたくらいであるくらいなんで浅くても設定好きなんだと思います。
死んじゃったまま戦うことやマギックについても
知りませんでした。なるほどというところです。

ちょっとしたことでもまとまらない・・・
文才無くても文はまとめられるようになりたいところです。

6人目は考えたこともあったのですがふっと忘れていたようです。何となく分かったような気がします。
2006-09-14 Thu 23:22 | URL | ブリック #eoRN1yn.[ 編集]
 ブリックさん、いらっしゃいませ。
 先ほど、皆さんが気になっているシグルトの行く末を判明させました。
 
 罵詈雑言や、やるなという言葉を押し付けられるのは大嫌いですが、ブリックさんのように質問を正直にぶつけていただけるとそっちは参考になります。
 
 私、「お約束」という言葉を連発で書いてますが、あれはブリックさんを責める意図ではありません。
 最近のお約束が増えちゃって、新鮮なネタがわからなくなってる現状を嘆いてみただけでして。
 
 文章という奴は難しいです。
 不快に感じたようでしたら、そうしようとしたわけではありませんので…申し訳ないです。
 
 今回のシグルトの状態を皆さんがどう感じるのか、ちょっと楽しみです。
 
 では、またいらしてくださいね。
2006-09-18 Mon 03:53 | URL | Y2つ #TIXpuh1.[ 編集]

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