CWPC3:ロマン

2006.06.02(04:12)

 レベッカは刺激された好奇心を抑えつつ、何気なくシグルトを見た。
 
「…魔術師と知り合いなの?」
 
 シグルトは今度は苦笑いをして、まあな、と言った。
 
「もうすぐ来るはずだがな…
 あいつは歳のわりに爺臭くて時間にはうるさいはずなんだが」
 
 からん…
 ドンぴしゃりのタイミングでドアのベルが鳴った。
 三人がいっせいに扉に眼を向けるが、すぐには相手を見つけられなかった。
 少し視線を下げて、シグルト以外の二人は目を丸くした。
 
 子供であった。
 
 年の頃は10歳ほどだろうか。
 
 まるでドワーフの銀細工のような細いシルバーブロンド。
 血管が透けて見えるような白い肌。
 金色かかった神秘的な茶色の瞳。
 ほっそりとして力を込めたら折れてしまいそうな身体。
 まるで芸術の神が作り上げた彫像のような、繊細で美しい子供だった。
 
「遅かったな、ロマン」
 
 シグルドが声をかけると子供はその美しい眉を寄せた。
 
「時間は正確だよシグルト。僕は自分でも無頓着な方だとだと思うけど、君ほど時間に鈍感じゃない」
 
 子供とは思えない辛辣で理知的な回答だった。
 そして口調から性別が判明する。
 声変わりこそしていないが、少年のようだ。
 一見女の子にも見えるぐらい中性的な雰囲気があるのだが。
 
「いや、お前なら少し早く来るかと思ったんだがな…」
 
 シグルトは参ったよ、というふうに肩をすくめた。
 少年はため息をつくと、まったくしょうがない、とかぶつぶつとつぶやいていたが、やがて気付いたようにぼけっと突っ立ってる親父とレベッカを見た。
 そしてレベッカの胸元に眼が止まった瞬間、まるで染めたように真っ赤になって固まってしまった。
 
「ロマンにはその服はちょっと刺激が強かったみたいだな」
 
 その言葉に少年は何とか言い返そうとしつつ結局黙ってしまった。
 小動物のように身を固め、フルフルと柔らかな銀髪がなびいている。
 
 その仕草に、レベッカはふつふつと湧き上がるある衝動を感じていた。
 
(…か、かわいい!)
 
 美少年愛好とでも言おうか。
 少年はその手の母性というか感性というかを猛烈に刺激する雰囲気を持っていた。
 
 親父とシグルトの視線の隙をつき、レベッカは流れるような動作で少年に接近した。
 
「…ふえ?」
 
 突然目の前に現れた色っぽい美女に、眼を丸くした瞬間である。
 
「か~わ~い~い~!!!」
 
 レベッカは少年の顔を自分の豊満な胸に抱き寄せ、柔らかな銀髪のなびく頭をがっしりと抱きしめた。
 
「~!!!!」
 
 少年の声にならない悲鳴が宿を震わせることになった。
 
 
 ロマンというこの少年は魔術師、というよりは賢者だった。
 
 まだ10歳であるが、3歳で神童と呼ばれ、5歳で3つの言語をすらすらと話せるようになった天才児である。
 
 リューンの大学に6歳で出入りを許されたらしい。
 さすがに入学は年齢的に無理だったという話だが。
 
 最近は大学の図書館では物足りなくなって、市井の雑学の研究のために外出をしていたが、ごろつきにからまれ、シグルトに助けてもらったというのだ。
 そのときの乱闘でシグルトはごろつきが振るった凶器を剣で受けて、唯一の武器を破損してしまったのである。
 
 シグルトへの恩義と、彼がいう冒険者という職業について興味を持ったロマンは、研究と恩返しの意味でシグルトに同行することにしたのだという。
 話によると初歩的な魔法なら使えるとのことだ。
 
 レベッカの動向にびくびくしながら、ロマンは訥々と語った。
 どうやらシグルトにはかなり心を許しており、ときおり辛辣なセリフも言っている。
 だが本来は結構人見知りをする内気な性格らしい。
  
 心なしか青ざめているのは、先ほどのレベッカのハグで呼吸困難を起こしたからだ。
 
 レベッカはこのでこぼこコンビを気に入り始めていた。
 特にこのロマンという少年は可愛い。
 さすがにもう警戒して先ほどのようなことはできだろうが。
 戦士と魔術師が一気に揃うのも好い。
 爺むさい魔術師や厳つい戦士と組むよりは彼女の好奇心を満たしてくれるだろう。
 
「というわけで…よろしくお願いします」
 
 丁寧に頭を下げる少年に眼を白黒させて、親父はこれからのことに思いをはせていた。
 レベッカ以上に騒ぎそうな人物を親父はもう一人知っていた。
 
(しばらく姦しくなるな…)
 
 食材の仕入れにいっている身内を思い起こして、親父は自分の額をつるりと撫でた。

 
 
 
 ロマンは選んだPCのカード絵の関係で、女の子みたいな美少年という設定になった人物です。
 彼もインチキで生まれた天才型。
 
 何でこんなに特殊型を作ったかといえば、あるシナリオの連れ込みNPCを狙っていたのと、そのNPCの連れ込みまで5人編成でいこうと考えていたからです。
 
 ロマンという名前はフランス人の役者さんの名前からもらいました。
 
 彼は内気で人見知りの激しい性格ですが、一度信頼した人物には結構辛辣なことも言います。
 それは彼なりの信頼の表れなのですが、ひねくれていますからね。
 ちなみに「大人のくせになさけないよね…」が口癖で、内面はニヒリストでませています。
 ただし、女性関係にはまだ子供なのでウブな反応を示します。
 
 神経質で悲観的で繊細で内気という性格は、かなり内向的になることを狙っていたのですが、思ったほどではありませんでした。
 鈍感で武骨なシグルトに、むらのある性格のレベッカに負けない個性を考えて特徴を選んでいたら自然とこうなりました。
 
 ロマンはごく普通の商家の生まれでしたが、頭脳明晰な上に学問好きで努力家でした。
 遊び人で怠け癖があるレベッカとは対照的です。
 まあ、子供のくせに努力もなしに天才と呼ばれるほど知識を持つにはそれなりに努力は必要でしょうしね。
 
 いくら天才だからといっていきなりレベル1の子供がリューンの大学に入学するのも変なので、「将来を見込まれて出入り自由」程度の設定にしておきました。
 
 シグルトには憎まれ口を吐きつつ、兄のように慕っています。
 彼らの馴れ初めはこの次のPCの項で語りますが、シグルトがロマンを助けるためにごろつきとひと悶着起こしたのは、シグルトがお人好しで、弱いものを守ろうとする意識が強いからです。
 そして、助けたことで恩を売ったりしないところをロマンはとても格好良く感じたのだと思います。
 実直なシグルトは年齢とか性別で差別せず、実力で評価するという美徳をもっています。
 天才と言われながらどこかで子供扱いされていたロマンにとって、シグルトのそういう性格も貴重で嬉しかったのでしょう。
 
 ロマンとシグルトは冒険の中で、リーダーと参謀としてよく意見を交わすことになります。
 
 脳内設定では「女性にマスコット扱いされる」美少年属性です。
 顔を赤らめて母性を刺激する彼は、もてるというよりおもちゃにされます。

 
◇ロマン
 男性 子供 天才型

秀麗     不心得者   誠実
無欲     保守派    神経質
無頓着    穏健     悲観的
勤勉     内気     謙虚
上品     繊細     ひねくれ者
 
器用度:7 敏捷度:7 知力:12 筋力:2 生命力:5 精神力:9
平和性+1 臆病+1 慎重性+3
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コメント
 おはようございます。
 勝手にトラックバックをさせていただきましたが
 宜しかったでしょうか?
 Y2つさんに関連するシナリオだったものですから。

 Y2つさんらしい、詳細な設定を備えた魅力的なPCが一人一人登場するのとても楽しいです。
 シグルトタイプの戦士もレベッカタイプの盗賊もロマンタイプの魔術師も私は未だ使ったことがありません。後の3人もそうですが…。
 彼らの冒険譚が待ち遠しいです。
 お忙しいとは思いますが、更新、頑張ってくださいね。

 それでは失礼いたします。
【2006/06/02 10:08】 | Mart #WkyY9OVg | [edit]
 いらっしゃいませ。
 Martさんでしたらもう、何をしていただいても結構ですよ。
 
 フォーチュン=ベルのリプレイもそのうちぼちぼちとやると思います。
 冒険譚は、一つ一つじっくりとやって行く予定です。
 とりあえずPCが5人揃うまでお待ちください。
【2006/06/02 20:41】 | Y2つ #- | [edit]
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