Y字の交差路

 ここはY2つめがノリで作ったブログです。  カードワースを中心に、私が思ったことや考えたことを徒然なるままに書きたいと思います。

『荒波を裂く風』

 “風を駆る者たち”と“風を纏う者”が『蒼の洞窟』に集結したのは、その日の夕方だった。
 
 まずレナータのもとに真っ先にニコロとエイリィが駆けつけ、彼女に事件の発端となる理由を聞きつつ、彼女を守っていた。
 
 そしてレイモンとオーベが『悠久の風亭』のマスターと到着。
 
 最後、日が傾いてきた頃にユーグとガリーナ、そしてシグルトを欠いた“風を纏う者”の4人が洞窟にやってきた。
 
 先に洞窟にいたメンバーは互いの情報を交換しながら励まし合い、士気を高めていた。
 だが、皆一様に何か胸騒ぎと不安を感じていた。
 突然アレトゥーザの臨む碧海が凪いでしまったこともその不安を強いものにしていた。
 ニコロやレナータには精霊たちが、塞ぎこんでしまったように感じられた。
 
 おそらくは今回レナータを生贄にしようとする魔女狩り騒動と、聖海保守派の動き、そして近海で蠢く海賊たちも関わっているのかもしれない。
 
 やっとユーグたちが到着した時、待っていた者たちはほっとしたのである。
 
「遅かったじゃないか!」
 
 ニコロが焦りと安堵が入り混じった顔で、ユーグとガリーナを迎えた。
 しかしやって来た2人は、ともに暗い表情である。
 
 レイモンは、一緒にやってきた“風を纏う者”のメンバーの悲壮な様子に驚いた。
 
「…シグルトはおらんのか?
 
 まぁ、あの身体では宿で休んでおった方がよいじゃろうがの」
 
 オーベががそういうと、やってきた者たちは一様にびくりと反応した。
 
「…あのね、オーベ。
 
 何というか、話し難いことなんだけど…」
 
 いつもはっきりものを言うガリーナがこのように言いよどむのは珍しい。
 他の面々も、ただ事ではないことが起起きたのだと推測できた。
 
「…シグルトはいないわ」
 
 意外にもレベッカがはっきり言った。
 彼女のやつれた様子に、“風を駆る者たち”のメンバーも息を飲む。
 
「どういうことですか?」
 
 レイモンは嫌な予感がしつつ、それでも聞いた。
 
「…シグルトは死んだわ。
 
 ジョドっていうレナータちゃんを襲った侍祭に殺されたの」
 
 死んだ、という一言で場が凍りついた。
 
「なっ、あのシグルトが死んだって?
 
 冗談にもほどがあるぞ、レベッカ!!!」
 
 いつもの大声で『悠久の風亭』のマスターががなる。
 だが、“風を纏う者”のメンバーの様子は側で見れば酷いものだった。
 
「う、嘘だ、そんなの嘘だっ!!」
 
 そう言ったニコロは、小さな風の動きを感じてそちらを見る。
 それは所在無げに“風を纏う者”の周囲を飛び回る風の精霊たちだった。
 
 ニコロやレナータには見覚えがある。
 
 その精霊たちは、いつもシグルトの側に居たがった風たちだ。
 特に、海風の強いアレトゥーザでは決してシグルトから離れずに側にいた。
 そして、その精霊たちは半分狂いつつあるのが分かる。
 
 精霊が狂うのは、依存していた主や寄り代を失った場合が最も多い。
 
「「なんだい、このシルフどもは狂いかけているじゃないか」」
 
 ニコロの側にいるナパイアスが鼻白む。
 
 ニコロは精霊たちの声を聞く。
 
「「居ない、居ない、シグルトが居ない。
 
 殺された、刺されて海に沈んだ。
 
 どこにも居ない。
 シグルトが居ない…」」
 
 普通は澄んでいる瞳が赤黒く濁り、風の精霊たちは呻きながらふわふわと飛び回っていた。
 
 そして、ニコロの目にはっきりとその映像が映る。
 
 澱んだ目で嗤い、短剣を振りかざすジョド。
 何度も刺され、血を吐いて、縛られたまま海に蹴り落とされるシグルト。
 刺された箇所の一箇所が胸の辺りで、致命傷であることがはっきりと分かった。
 
「っっ、ぃ、いやぁぁぁぁっ!!!!!」
 
 目を見開いたレナータが絶叫した。
 
 おそらくはニコロと同じく、精霊の記憶を垣間見たのだろう。
 風の知らせというぐらい、風の精霊は記憶や情報を精霊術師に伝えることがある。
 
「嫌、嫌、嫌ぁぁぁ!!!!」
 
 パニックを起こして叫ぶレナータを、マスターが慌てて抱き押さえる。
 
 ニコロは何も出来ず呆然としていた。
 そのくらい、風の精霊が見せた映像はショッキングで凄惨なものだった。
 
 レナータはマスターを振り切って水の精霊を召喚すると、シグルトを探すように頼む。
 特別水の精霊力が強い『蒼の洞窟』では、精霊の力を高め、情報を精霊に探らせることも出来るのだ。
 
 しかし、その水の精霊の言葉は残酷な真実を告げた。
 
「「その人は海の底。
 
 姫様のいる、海の底。
 
 血を流して沈んでいった。
 
 息吹も血潮の流れも、止まったまま沈んでいった。
 
 そのままずっと、海の底…」」
 
 ぺたりと、レナータは力が抜けたように座り込んだ。
 
 ニコロの前であれほど苛々していたレナータが、倒れそうな疲労の中で心の平静を取り戻していたのは、シグルトの言葉があったからだ。
 
 レナータはニコロたちに、洞窟でシグルトが励ましてくれたことを誇らしそうに話してくれた。
 自分に友として生きていてほしいのだと言ってくれたことを、大切な宝物のように。
 
 ソレント渓谷に行く前、ニコロを励ましてくれたシグルトの姿が浮かぶ。
 公正で優しくて、いつも苦笑していた少し年上の冒険者。
 沢山の悲しみを味わいながら、それでもしっかりとした意思で立つことを示し、ニコロの旅立ちを支持してくれたシグルト。
 
「畜生…こんな、こんなことって…」
 
 何も出来なかったことが悔しくて、ニコロは拳を痛いほどに握り締めた。
 
 レナータが誕生日にシグルトからもらったペンダントを握り締める。
 
「…嘘つき…
 
 待っていてくれって、言ったのに」
 
 レナータの碧い瞳から、涙が零れ落ちた。
 
 
「…起きろ、ルト」
 
 シグルトは懐かしい呼び方に、目を開けた。
 ルト。
 シグルトの幼馴染は、妹と同じ発音がある名前をそのまま呼ぶことを面倒くさがり、略してそう呼んだ。
 彼の妹のシグルーンも、ルーンと呼ばれていた。
 
 もう決して聞くことは出来ないと思っていた声。
 シグルトが声の主を探すと、くすんだブロンドの陽気そうな若者が悪戯っぽい笑みを浮かべて立っていた。
 
「…ワイス、か?」
 
 シグルトにワイスと呼ばれた若者はしっかりと頷いた。
 
「とうとうお前もここに来ちまったな。
 
 無茶ばっかりしやがってよ…」
 
 仕方ない奴だ、とワイスは肩をすくめた。
 
 そこは蒼い空と、清らかな川のある美しい場所だった。
 シグルトが起きた所は川辺の柔らかな草の上である。
 そしてワイスの後ろには大きな森が広がっていた。
 
「…そうか、俺は死んだのか」
 
 納得したように胸を撫でる。
 そこはまだ血で紅く染まっていた。
 
「…おかしなものだな。
 痛みも苦しみも無い。
 
 これが、死か…」
 
 ふわふわと浮いたような所在の無い感触に、シグルトは眉をひそめた。
 
「俺やエリスは教会に神の園へ入ることを神の言葉で否定されたから、まだここを彷徨っているんだ。
 
 ここは赤銅と青銅の魂の者たちが、その記憶が融ける前に訪れる、混沌の海へ続く死の川のほとりだ。
 生への執着が強いものや、俺やエリスのように信じた信仰の世界に否定された者が留まる場所でもある。
 
 エリスはお前の恋慕。
 俺はグールデンへの復讐。
 
 未練と執着があったのさ。
 
 そして、教会の名でエリスは自殺者としてその死を汚され、俺は聖職者に刃を向けた罪人としてここにいる。
 だが、狂わず、地獄に落ちず、死霊になって彷徨っていないのは…
 
 ルト、お前やルーンが俺たちのために泣いてくれたおかげなんだ。
 
 お前たちの祈りが俺たちを救ってくれた。
 
 グールデンの野郎は、死神がそのまま地獄に引っ張っていったけどな…」
 
 …ワイス。
 シグルトの幼馴染で、親友だった男である。
 がさつだが、陽気で気の好い男だった。
 
 かつてシグルトは国一番の美女と噂の貴族の娘ブリュンヒルデと恋仲だった。
 そして、そのことを嫉妬していた男がグールデンである。
 
 グールデンは何度もシグルトを貶めようとし、ついにはシグルトに想いをよせるワイスの妹のエリスを拉致し、数人の男たちで彼女に暴行をしたのである。
 悪漢に乱暴され、自慢の美しい金髪すら剃り落とされて、絶望したエリスが自殺すると、ワイスは激憤した。
 
 シグルトはそんなワイスに復讐を手伝ってくれと言われ、怒り狂うワイスを留めた。
 
 シグルトには守るべき妹と母がいた。
 だから慎重になり、そしてワイスは煮え切らないシグルトを罵って1人で復讐しようとしてグールデンに掴まり、なぶり殺しにされたのだ。
 
 シグルトの国の教会の権力は強く、同時に自殺者や聖職者への危害は重い罪に問われる。
 エリスは自殺者としての罰で首を切り落とされ、なます切りにされたワイスは死体を広場に晒された。
 シグルトは、墓に葬ることを許されなかった2人の遺体を、グールデンの目を盗んで取り返し、郊外の森に墓を作った。
 
 すべてはグールデンがシグルトに嫉妬して行った凶行から起こったこと。
 シグルトの大切な幼馴染の兄妹は死んでしまった。
 
 シグルトは2人を守れなかったことに嘆き、そして自分が原因であったことに苦しんだ。
 
 そして、ついには妹シグルーンをグールデンに攫われ、自身は捕まり、身体を切り刻まれた。
 遂には妹が暴行されそうになり、激昂したシグルトはぼろぼろになりながらグールデンを殴り殺した。
 
「…ワイス、すまない。
 
 俺はお前の力にもなれず、エリスを救うことも出来ず、結局お前たちを死なせてしまった。
 俺の側にいたせいで、お前たちは…」
 
 不意にシグルトの目から涙がこぼれた。
 
 シグルトにはずっと罪の意識があった。
 巻き込み、そして失ったことを忘れた日は無かった。
 大切な友を守れなかった己の不甲斐なさに、ずっとその悲嘆を抱えてきたのだ。
 
 膝を屈して謝るシグルトを、横からそっと起こす手がある。
 
「ルト兄ちゃんのせいじゃないよ。
 
 それに、ルト兄ちゃんを好きだったのは私の誇りだよ?」
 
 それは、そばかすの残る陽気そうな、美しい金髪の娘だった。
 
「エリス…?」
 
 金髪の娘はにっこりと笑って、シグルトの手を自分の手でそっと包む。
 
「強くて、優しくて、格好良くて。
 でも、人一倍頑張り屋さんで、いつも苦笑いしてるルト兄ちゃんが好き。
 
 ブリュンヒルデ様に、恋人の席はとられちゃったけど、今でもルト兄ちゃんを愛してるよ。
 
 そんなに自分を責めて泣かないで…」
 
 優しくエリスはシグルトの肩を撫でた。
 
「…ルト。
 
 俺たちは理不尽に膝を屈して死んでしまった。
 
 だけど、お前は嘆きながら、俺たちを忘れずにずっと戦ってくれた。
 俺たちが飲まれた理不尽と戦ってくれた。
 
 だから、とっくに許しているよ。
 
 それに、おまえの一番の親友だったのは俺の誇りなんだぜ?
 
 だから嘆かずに、もう休んでもいいんだよ」
 
 そう言ってワイスもシグルトの肩を抱く。
 
「…ワイス、エリス。
 
 ありがとう」
 
 シグルトは2人を抱き寄せた。
 その目から新しい涙がこぼれる。
 
「泣くなよ、お前らしくない」
 
 そう言ってワイスは晴れやかに笑った。
 
 
「…なぁ、ワイス、俺は死んだのか?」
 
 しばらくしてシグルトは落ち着くとそう聞いた。
 
「ああ。
 
 今、お前の身体は海の底に沈んでる。
 そしていつかは魚たちに食われるんだ。
 
 お前は精霊に愛されているから、今はネレイデスがお前の身体を守っているがな」
 
 シグルトは一度目を閉じ、そして立ち上がった。
 
「ワイス、エリス。
 話せてよかった。
 
 俺は行く。
 待たせている奴らがいるんだ」
 
 ワイスは肩をすくめた。
 
「死んだ身体に戻っても生きられないんだぞ?
 
 それでも留まろうとすれば、お前はアンデッドに堕ちる。
 摂理を歪めても生きたいのか?」
 
 シグルトは少し考えるように目を閉じ、そして頷いた。
 
「俺には残してきたものがある。
 果たしていない約束がある。
 
 そして失いたくないから足掻く。
 身体の一片が果てるまで、終えていないことをやり通すよ。
 
 生きてほしいと思った人がいる。
 大切な仲間がいる。
 
 だから、目的を果たすために行く、ただそれだけだ」
 
 迷いの無い目でシグルトはワイスを見返した。
 
「あのぼろぼろの身体でか?
 
 それだけのことをしたって、お前に何が残るんだ?
 アンデッドになって、最後に無理やり聖北の坊主に、【亡者退散】で消されて終わりかもしれないんだぞ。
 
 勝って、生き返って、ハイ幸せでしたなんて奇跡、起きると思うのか?」
 
 ワイスが現実の厳しさを示唆する。
 だが、シグルトは爽やかにワイスに微笑んだ。
 
「奇跡が起きるかなんて分からない。
 
 でも、動かなければ、尽くさなければ結果は生まれない。
 俺は奇跡を待つような人間じゃないよ。
 
 それに、奇跡は起きるのをただ待つのではなく、自分で励み起こすものだ。
 
 必要なら、そうなるまでやるだけだ」
 
 こともなげに言って見せたシグルト。
 ワイスは額に手をやり、こういう奴だったよなぁ、と肩を落とした。
 黙ってエリスがワイスを見て、首を横に振る。
 
「…無茶な野郎だ。
 
 そして女泣かせだ。
 罪作りな親友だよ、お前は」
 
 寂しげな妹を見て、ワイスは深いため息をついた。 
 そしてシグルトの背後を指差す。
 
「この先に真っ直ぐ走れ。
 
 まぁ、やってみろ」
 
 シグルトは苦笑して頷いた。
 
「ルト兄ちゃん…
 
 ルト兄ちゃんはいつかまた苦しむことになるよ。
 この先に行くと…」
 
 そう言ってエリスはしかし、すぐに寂しそうに微笑んだ
 
「でも行くんだよね。
 
 じゃあ、お願い。
 ルト兄ちゃんが帰れて、迷いも消えたら、いつかブリュンヒルデ様やルーンにも会ってあげて。
 2人とも、ルト兄ちゃんを待ってるから…」
 
 2人の女性の名前の登場に、シグルトは驚いたようにエリスを見る。
 
 最愛の恋人だったブリュンヒルデ。
 自分の半身のように大切だった妹のシグルーン。
 
 やがてシグルトはしっかりと決意した顔になった。
 
「わかった。
 いつか、会おう。
 
 …約束だ」
 
 頷くと、シグルトはワイスとエリスに別れを告げ、後は振り返らずに走った。
 
 
「…行ったな。
 
 あいつは、本当に苦労性だよ」
 
 ワイスが言うと、エリスが頷く。
 
「ルト兄ちゃんは“鋼の魂”。
 
 死にそうになるたびに、挫けない意志があれば運命に打ち直されて生まれ変わる。
 
 私たちはルト兄ちゃんを鍛える薪なんだよ。
 だがら、その身を焦がして与えた熱さがルト兄ちゃんを強くして、その身と心に宿るの。
 
 私はここで見守ってるんだ。
 そして待ってる。
 いつかきっと、また逢えるから…」
 
 そう言って涙を流す妹の肩を兄は優しく抱いて、親友が走って行った先をいつまでも眺めていた。
 
 
 レナータが泣いていると、レベッカがその側に屈んだ。
 
「あなたがレナータちゃんね?
 
 私はレベッカ。
 シグルトの仲間よ。
 
 悲しいかもしれないけど、今はやらなきゃいけないことがあるわ。
 
 あなたが封じているっていう怪物ともう1匹をどうにかするの。
 
 悲しむのは後でも出来るわ。
 私も、ことが終わったらきっと泣くわ。
 
 でも、今は目の前のことをやらなくちゃ。
 
 あなたを犠牲にしたりしない。
 必ず助けるわ。
 
 私たちのシグルトがそう願ったのよ。
 
 だから、お願い…
 今はやることをやって、そして後で女同士で一緒に泣きましょう」
 
 悲しみと寂しさに囚われながら、それでも決意に満ちた目で、レベッカはしっかりとレナータの瞳を見つめた。
 レベッカの言葉にロマンがしっかりと頷き、ラムーナが胸に手を当ててじっとレナータを見る。
 
「…ジョドという男のしたことは、同じ聖海の徒としてわしが生涯懺悔しても足りぬことじゃ。
 そして、聖海の一部がお前さんを追い詰めてしまったことを、お詫びしたい。
 
 …すまぬ。
 
 じゃが、レナータさんや。
 すべての懺悔の前に、シグルトの望んだことをさせてほしいのじゃ。
 
 シグルトはわしの子も同然じゃった。
 
 その死を汲んでほしい。
 どうか、この老骨に免じて、あと少し堪えてくだされ」
 
 スピッキオは膝をつき、レナータに頭を下げた。
 
 レナータがシグルトを信頼していたように、彼女の目の前の“風を纏う者”の面々は、皆シグルトを愛し大切に思っていたのだ。
 本来なら、シグルトが死ぬ原因ともとれるレナータを、彼らは責めたりしなかった。
 “風を纏う者”が示す心。
 それはシグルトがレナータに向けてくれた親しみの感情と同じだった。
 
「どうか、お2人とも立って下さい。
 
 私は大丈夫です。
 シグルトさんが生きてくれって、言ってくれたんです。
 
 私、頑張りますから…」
 
 レナータは涙を拭うと強い意志を込めて一同を見返した。
 
「さぁ、そろそろ仕事にかかるわよ」

 それまで沈黙を守っていたガリーナが口を開いた。

「…レベッカのいうとおりだ。今は海蛇を倒さなくちゃな…」

 ユーグがぎり、と歯を噛みしめながら言葉を繋ぐ。
 頷く面々。
 
 そしてニコロとレベッカを先頭に奥へ進む。
 闇が深みを増していく中、マスターがぼそりと言葉を呟くと、周囲に明るさが広がった。

「【魔法の灯火】
 …へへ、俺にだってこれぐらいのことはできるぜぇ。
 
 おめぇらに無駄な力は使わせたくねぇからな…」
 
 一行は光を頼りに洞窟の奥に進み、そして中にあった威容に一同は息を飲んだ。
 
「…なんと大きいのじゃ…」
 
 その巨体に、オーベは息を呑んだ。
 
 てらてらと光る胴は巨木のように太く、体当たりされれば骨が砕けるだろう。
 金属片のような大きな鱗は、重装の鎧を連想させる。
 額の部分が大きく突起し、首周辺に無数の棘がある。
 
 その凶悪な外見はまさに“怪物”であった。
 
「いいかみんな、一斉に行くぞ!?」
 
 ニコロが言うと、皆戦闘の構えを取る。
 
 そしてガリーナが練り上げた【氷柱の槍】が海蛇の巨体を穿った。
 
「…ゥグガァァァァアアア!!!!!」
 
 驚いたように眠りから醒めた海蛇は咆哮し、そして怒り狂って襲い掛かってきた。
 
 近寄ってくる海蛇を待ち構えていた“風を駆る者たち”と“風を纏う者”。
 しかし、洞窟の海に通じる部分で何かが蠢いたのをレベッカが目ざとく見つける。
 
「あれはっ!!」
 
 ぬらりと巨体が水を裂いて出現した。
 
「ギィシェァァァァアアアアアアァッ!!!!!」
 
 新たに現れたそれは、水からその巨体を露にし、鎌首をもたげて凄まじい咆哮を上げた。
 
「…なんてことっ!
 
 あれは雄ですっ!!」
 
 レナータが叫ぶ。
 
「くそ、件のもう1匹が雌を守りに来たってわけかっ!
 
 とんだ騎士様ねっ!!」
 
 レベッカは素早く頭で次の行動を計算する。
 
「ロマン、ラムーナ、スピッキオ!
 私たちは雄を引き付けるわよっ!
 
 ユーグッ、そっちのデカブツはあんたたちが何とかしなさいよね!!」
 
 シグルトを欠いた状態で、しかしレベッカは迷い無く決断した。
 
「…分かったぜっ!
 
 すぐにこっちを片付けて行くから、持ちこたえろよ!!」
 
 応えるユーグに親指を突き出して不適に笑うと、レベッカは新たに現れた雄に向かって疾走した。
 
 その後ろで“風を駆る者たち”と大海蛇との壮絶な死闘が始まった。
 
 
 シグルトは闇をひたすらに駆けていた。
 そして、自分のおかれた状況がその脳裏に浮かぶ。
 縄で拘束されたまま、シグルトの身体は海に沈んでいた。
 その身体をネレイデスが取り囲んで魚たちから守っていた。
 
 すぐに場面が変わる。
 
 泣いているレナータの姿。
 項垂れるニコロの姿。
 
 そこは記憶が風となって吹き抜ける空間だった。
 
 シグルトは己の身体をイメージし、ひたすら走った。
 
 闇を振り切るつもりで速度を上げる。
 同時に胸の傷が痛み出す。
 
 それでも怯むことなく走るシグルト。
 
 やがて、大きく自分の身体が見えたとき、シグルトはそれに飛び込んだ。
 
 周囲に海の冷たさを感じ目を見開くが、死んだシグルトの目蓋は閉じたままだった。
 肉体に魂は戻っているのに、身体が生きていないのだ。
 冬の海に冷え切ったシグルトの身体は、猛烈な寒さをシグルトに感じさせた。
 
 歯を食いしばり、目を開こうとする。
 何度も何度も繰り返す。
 
 見える景色はシグルトの魂が見ている映像だった。
 目に感じる海水の違和感は無く、冷たいという事実のみが身体を凍えさせている。
 
(寒さを感じるのは、まだ魂と身体に接点があるからだ。
 
 このまま果てるものか…
 俺はレナータに待っていてくれと言ったんだ!)
 
 無為に見える行いをひたすらシグルトは繰り返す。
 
 やがてネレイデスが騒ぎ出す。
 見れば、一匹の巨大な鮫がやってくるのが分かる。
 
 あの巨体をネレイデスでは押さえきれないだろう。
 
 シグルトはその心の奥底で吼えた。
 
(食ってみろ!
 
 俺は、お前の身体を乗っ取っても、皆のところに行ってみせる!!!!!)
 
 次の瞬間、何かが光った。
 無心でそれを掴み振るうイメージ。
 
 シグルトを拘束していた縄が切れとんだ。
 
 海底を転がるシグルトの頬を、鮫の鑢(やすり)のような肌がこすり、擦過傷ができる。
 頬の皮をこそぐ痛み。
 
 同時にシグルトの身体の支配がほんの少しだけ戻る。
 体内にウンディーネが流れるのをイメージし、シグルトは掴んだ光を向かってきた鮫の目に突き立てた。
 
 激痛に暴れる鮫がシグルトの身体を吹き飛ばすが、シグルトは身体の鈍い痛みに耐え、次の一撃をイメージする。
 
 腹部に戻る痛み。
 まだ動かない心臓。
 
 ついに目もかっと見開く。
 
 シグルトは今、執念で体を動かしていた。
 思えば死ぬまでの間、普通ならまったく動かないはずの身体を、シグルトはこうやって動かしていたのだ。
 
 今のシグルトの身体は命の通わない死体である。
 そして痛みきったそれは常人が数度死ねる致命傷を負っている。
 心臓が動いても、呼吸が戻っても、シグルトはおそらくすぐに死ぬだろう。
 
 それでも目前の敵と対峙し、シグルトはがむしゃらに動いた。
 
 手に握った光はシグルトに応えるように、赤い燐光を放つ。
 
「「我が主。
 
 存分に戦われよ。
 私は貴方の剣。
 
 折れ果てるまでともにありましょう!」」
 
 手元の愛剣【アロンダイト】を握り締め、突進してくる鮫に向かって突き出す。
 シグルトはその魂の一念で鮫の眉間を貫いた。
 
 シグルトはぐったりとして流れていく鮫に見向きもせず岸を目指そうとして、折れた自分の左腕に気がつく。
 鮫との激しい格闘でシグルトの身体は擦り傷だらけだった。
 
 シグルトは愛剣をくわえると、まるで外れた部品をはめる様にねじ折れた腕を元の形に戻した。
 
 目的を遂げる一念で眉間によった厳しい皺と、瞳孔が開いたままの青黒い眼。
 歯を食いしばって足掻くシグルトは、さながら羅刹のような形相である。
  
 それは凄絶の一言に尽きる光景だった。
 今のシグルトはまさに動く屍である。
 
 だが、息をしなくて海中では都合がよい程度に己の状況を受け流し、シグルトは目的のために泳ごうとした。
 そして、不意にあたりに満ちる暖かな気配にふと、その顔に浮いていた鬼相を緩ませた。 

 シグルトの居る場所の水が奇妙な揺らぎを見せる。
 それは温度の違う水が混ざり合う時に生まれる、煙るような揺らぎである。
 海底で真水が湧き出しているのだ。
 
 真水は大きく揺らぐと、やがて1人の女性の姿を取った。
 
 半透明の身体。
 目を閉じたまま、柔らかな微笑を宿した神々しいほど美しい顔(かんばせ)。
 そして、何よりシグルトを絶句させるほどにすごい存在感がある。
 
(…なっ、上位精霊かっ?!)
 
 精霊とは本来は零落した神や地霊であるとも言われる。
 
 そして、精霊の中でも多神教の神に匹敵する高次元の存在を、上位精霊と呼ぶ。
 その力も存在も神に匹敵し、あるいは神そのものとして信仰さえされるのだ。
 
 上位精霊の顕現は地形を変え、天地の法則すらひっくり返ると言われている。
 
 まさに、それは奇跡の存在の現界(世界に現れること)であった。
 
 シグルトの心を、偉大な存在との邂逅による感動と畏怖が打ちのめした。
 
 唖然とするシグルトの前で、完全に姿を現した精霊はその碧い瞳をゆっくりと開き、じっとシグルトを見つめた。
 それだけで甘美な憧憬と、激しい慄きがシグルトの魂を刺激する。
 
「「…死しても戦う、鋼を魂に宿す人の子よ。
 
 貴方は何故、死した身で刃を振り続けるのですか?
 
 ここは私の分霊(精霊や神の魂の分身)が眠る褥(しとね)。
 水の娘たちが踊る安らぎの地。
 
 貴方の流す血潮と鬼気に、私の眷属が怯えています。
 
 事と次第によっては、争いを嫌う私でも貴方を外海まで追い払いますよ…」」
 
 少したしなめるような雰囲気の声だった。
 
 シグルトは言葉を出そうとして、初めて海中でそれが叶わぬことに気がつく。
 
 どう自分の伝えるか考え込んだシグルトに、その上位精霊はあきれたように眉をひそめた。
 
「「…本当に驚いた人間ですね。
 
 普通なら、己が死んでいることに気付いて狂うか混乱し、歪んで不死の魔性に身を落とすか消えてしまうものですよ。
 貴方は己の死体を魂の力で操りながら、なお邪悪な歪みを持っていない。
 
 むしろ、己の霊性を開花させ、半分精霊になりかけていると言うべきでしょうか。
 
 何が貴方をそこまで駆り立てるのかは知りませんが、そのまま肉体に固執すれば、己の肉体が死の理によって腐りゆく様を見ながら何れ狂ってしまいます。
 肉を捨てて新たな精霊となるか、昇華して貴方の信じる冥府の世界へ旅立つか。
 どちらかを選びなさい。
 
 その輝く強い魂に免じて、私が手助けしてあげましょう」」
 
 上位精霊がそう言うと、シグルトは首を横に振り、海面を仰ぎ見た。
 そして、なんとなくこうすれば通じるだろうと、魂を震わせて声を放った。
 
「「俺は行かなくてはならない。
 
 戻ると約束した。
 この身が果て、擦り切れるとしても、理不尽と戦っているあの娘を救うために。
 
 貴女の寝所を汚してすまないが、俺は死んだままでも行くつもりだ。
 
 あの海蛇を倒し、彼女を理不尽の頚木から解放するまで。
 彼女を生かすために俺は行く」」
 
 シグルトの強い言葉に、上位精霊はさらに驚いた表情になった。
 そしてシグルトに問う。
 
「「気骨ある人の子よ。
 
 それは貴方の命よりも大切なのですか?」」
 
 シグルトは頷いた。
 
「「命は大切だ。
 
 だが、その命を賭しても守りたいものがある。
 俺は後悔しないようにしたいだけだ。
 
 その結果で滅びても構わない。
 
 今、俺がすべきことを、できることをやりたいだけなんだ」」
 
 そう言って、シグルトは折れた腕に【アロンダイト】の鞘で添え木をし、自分を拘束していた縄で縛る。
 上手く動かないその腕を振るい、シグルトは海面を目指そうともがく。
 
 シグルトの瞳は真摯に海面の一点を見上げていた。
 
「「…そうまでして助けたい者とは誰ですか?」」
 
 シグルトの背後から上位精霊の声がする。
 
「「…レナータ。
 
 俺の友の精霊術師だ。
 彼女と、約束したんだ。
 
 戻ると、助けると。
 
 それを果たしていないのに、おめおめ死んでいられるものか」」
 
 そしてシグルトは強い意志を胸に、上位精霊を見つめた。
 
「「俺は誓った。
 
 死んでいった友たちに。
 彼らのような理不尽な悲しみを持つ者を、必ず助けると」」
 
 上位精霊はシグルトのそんな瞳を見て、やがて優しく微笑んだ。
 
「「レナータ。
 私の眷属たちの主ですね。
 
 そして貴方の言う海蛇は、近海を悩ます魔物。
 
 私の褥を荒らすのは貴方だけではなかったようです。
 あの魔物は、海の恵みを受けるにはいささか貪欲。
 
 それに引き換え、貴方は死んでも精霊に愛されている様子。
 そして私の眷属の主を救うというのですね?
 
 ならば、私は水を司るものとして成しましょう」」
 
 美しい上位精霊は居住まいを正し、謳う様に言葉を紡ぐ。
 
「「聞きなさい、人の子よ。
 
 私は湧き出でる原初の清水。
 混じる物無き清らかなる水。
 水の娘たちを束ねる泉の主。
 
 私の“水姫”の御名をもって、貴方に力を授けましょう。
 
 レナータという娘と、私の眠る碧海の都を護ると言うのならば…」」
 
 そう言って上位精霊は手を差し伸べた。
 彼女の両手の間に、美しい花弁の花が咲く。
 
「「貴方が望むなら契約をします。
 
 貴方が目的を成せるように、私が貴方の肉体を再生しましょう。
 
 汚れぬ精霊となるほどの魂。
 貴方ならば、蘇生はたやすいはず。
 
 海蛇を討ち、レナータという娘を助けなさい。
 
 それを成せば、蘇生し生き返ったその身は貴方のもの。
 ことを成せねばまた骸に戻り、その魂は海の藻屑と消えるでしょう。
 
 私の条件を聞き入れて、戦いますか?」」
 
 シグルトは迷わず頷いた。
 
「「たとえ、貴女の助けが無くとも。
 
 必ず護ろう…レナータも、この都のまだ見ぬ親しくなるべき人々も。
 
 そして結果的であれ、この美しい碧海の都を救うというなら、本望だ」」
 
 シグルトの言葉に、上位精霊は満足そうに頷いた。
 
「「契約は成りました。
 
 “水姫”アレトゥーザの名において、貴方に清水の癒しと祝福を」」
 
 上位精霊…アレトゥーザは手に出した花をシグルトの胸に押し込んだ。
 花から滾々と湧き出でる力が見る間にシグルトの身体を再生していく。
 皮膚が戻り、骨が繋がり、断裂しかけた腱も神経も再生していく。
 
 シグルトの脳も身体も、海中に落ちたショックで心臓が止まり、血流が完全に止まっていた。
 冷たい冬の海はシグルトの身体の劣化を防いでいたのだ。
 
 水難事故にあっておぼれたものが、水の冷たさのショックで心臓が止まり血管が収縮していると、長時間経っていても障害無く蘇生することもあるという。
 
 水の精霊の守りもあったシグルトは見る間にその身を癒し終えた。
 身体に戻り、水中の息苦しさを感じた瞬間、ドクンと血が流れ出し心臓が動き出す。
 
 アレトゥーザに伝わる、全てを癒す水の伝説がある。
 これはその伝説が真実であったことを証明していた。
 
 アレトゥーザの加護でもたらされた空気を再生した肺にいっぱいに吸い込むと、シグルトはアレトゥーザに一礼し、海面を目指して浮かび上がっていった。
 
「「何れまた逢いましょう、人の子よ。
 
 貴方の歩む道に多くの幸があらんことを…」」
 
 “水姫”アレトゥーザはシグルトの武運を祈るように目を閉じ、碧海に融けるように還って行った。
 
 
 大海蛇の雌と“風を駆る者たち”が戦う向こうで、“風を纏う者”は絶望的な戦いに挑もうとしていた。
 
 主力の戦士を欠きたった4人、獰猛で巨大なこの海蛇の雄と戦わねばならないのだ。
 レナータも“風を纏う者”と“風を駆る者たち”の間に立って精霊術の準備をしている。
 
「やるしかない…
 
 ユーグたちが勝つまでは粘るわよっ!」
 
 レベッカは利き腕に短剣を持ち、逆腕に絞殺紐を用意する。
 
「…絞め殺すにはその首は太いけど、そのでかい口ぐらいは黙らせてやるわ!」
 
 レベッカの後ろでロマンが魔導書を用いて、呪力高め魔術を準備している。
 そして、聖印を手にスピッキオが祈る。
 
 ラムーナが囮になるように防御の体制を取り、“風を纏う者”は迫り来る海蛇と対峙した。
 
 だが、突然海の水から人間の手が現れ、海蛇の背びれの突起を引っつかむ。
 
 驚いた海蛇が暴れる寸前、海水を割って彼は現れた。
 突起を踏み台に大きく跳び、赤い燐光を放つ魔法の剣を振り下ろす。
 硬い鱗が砕け、海蛇の血が飛び散った。
 
 現れた男は“風を纏う者”の前に、身体から落ちる水と一緒に着地する。
 濡れた髪を払って水気を切り、男はいつものように苦笑して言った。
 
「すまない皆。
 
 遅くなった…」
 
 それは冷静なレベッカがぽかんとするほど、鮮烈な登場だった。
 
「…シグルトっ!!!」
 
 ロマンが歓喜の声を上げた。
 
「話は後だ。
 こっちを倒す。
 
 スピッキオ、防御の秘蹟を。
 レベッカはアイツを撹乱しながら援護してくれ。
 ラムーナは俺と交互に攻める。
 ロマン、魔法を撃ちながらあいつの動きをおさえてくれ。
 
 行くぞっ!!!」
 
 走り出したシグルトに、一同が頷いた。
 
「この、馬鹿!
 
 後できっちり説明しなさいよねっ!!」
 
 レベッカが短剣を絞殺紐に持ち替えて走った。
 
 その横でラムーナが大きく跳躍した。
 宙返りをしながら海蛇の頭を蹴り飛ばす。
 
「…まずは勝とう!」
 
 空中でラムーナが微笑む。
 
 そしてロマンが【魔法の矢】を撃つ。
 
「納得する説明をしてもらうよ、シグルトっ!」
 
 そう言って嬉し涙を拭うロマン。
 
 スピッキオが祈りの言葉を唱える。
 
「…これぞまさに奇跡。
 
 主よ、感謝します」
 
 そしてレベッカが見事に絞殺紐で海蛇の口と牙を封じた。
 同時に吹き飛ばされるが、その隙をシグルトが剣で穿つ。
 
「…いつつ、こんにゃろうっ!」
 
 痛みと嬉しさに、レベッカは少しだけ泣いた。
 
「シグルトさんっ!!」
 
 駆け寄ってきたレナータに、シグルトは1つ頷いて微笑んだ。
 レナータも頷いて、ナイアド召喚しロマンを援護する。
 
 ラムーナの華麗な連続攻撃がみるみる敵の体力を奪っていく。
 倒れたレベッカをスピッキオが癒し、ロマンが呪縛で海蛇の動きを削ぐ。
 
「いくら怪力で引きちぎっても、一瞬の隙くらいは出来るんだっ!」
 
 シグルトがその隙に乗じて素早く海蛇を剣で斬る。
 
(…腱や筋もほぼ完治しているな。
 
 身体の不調の頃の感覚がまだ残っいて慣れるまでは少しかかりそうだが、痛まずに動くのは好い)
 
 その動きは実に巧みで素早かった。
 シグルトは身体を慣らすように、堅実な技で相手の体力を削いでいく。
 
「《岩をも穿つ、呪いを刻めっ!!》」
 
 ラムーナがまじないの剣舞で海蛇の防御を砕き、そこにシグルトの鋭い突きが決まる。
 
 海蛇は体力を奪われ、攻撃をレベッカの撹乱やロマンの魔法にそらされて苛立つと、間近にいたシグルトを襲う。
 しかし、シグルトの姿は突如かき消えた。
 
 岩に激突した海蛇の脇腹を、シグルトの剣が大きく抉る。
 シグルトの得意技、【影走り】であった。
 
「グァァゴゥォォォォオオッ!!!!!」
 
 海蛇は身体に走る激痛にのたうつ。
 
「今だっ!」
 
 ロマンが再び呪縛の魔法で動きを削ぐ、その瞬間。
 
 シグルトを緩やかに取り巻いていた風の精霊が、突風に姿を変え剣を被い尽くす。
 
「ハァァァァアアアアッ!!!」
 
 気合とともにシグルトはその斬撃を海蛇に打ち込んだ。
 アロンダイトが巨体を切り裂いた瞬間、剣から解き放たれた風の精霊が刃になって、血飛沫を巻き上げながら飛び立っていった。
 
 これが止めと放ったシグルトの秘剣【縮影閃】。
 
 風の精霊が削ぎ落とした血肉の奥に海蛇の白い骨が見えた一瞬の後、さらに大量の血を吹いてその巨体は海水に倒れ伏した。
 
 ザパァァァン!!
 
 血の混じった赤い海水が盛大に弾け飛ぶ。
 
 舞い戻って来る風の精霊に感謝の言葉を告げ、シグルトが振り向く。
 向こうからレナータと、戦いを今終えた“風を駆る者たち”、そして仲間たちが走ってくるのが見えた。
 
 シグルトは微笑むと、張り詰めていた糸が切れたように海水に倒れ伏した。
 水の冷たさでほてった身体を冷やしながら、シグルトは生き返ったことを実感していた。
 
 
 水に倒れたシグルトに駆け寄ったレベッカは、シグルトの胸が規則正しく動いていることを確認し、ほっと息を吐く。
 だが、胸と腹部に血の跡を見つけて、念入りに調べ、シグルトの傷が消えていることを確認して驚く。
 そればかりか、目に見える腕や身体の古い傷までもが消えてしまっていた。
 
 一瞬偽者ではないか、と考え、それがありえないことを即座に確認する。
 シグルトの衣服や持ち物、そして彼とレベッカしか知らない装備を、シグルトはちゃんとしていたのである。
 
「…疲れて眠ってるだけよ。
 
 本当に、困ったリーダーだわ」
 
 レベッカが苦笑すると、集まってきた皆は安心したように胸を撫で下ろした。
 
「…微かですが、とてつもなく高次元の精霊の力の形跡を感じます。
 
 おそらく、上位の精霊と何らかの関わりを持って、その力で回復したのだと思います」
 
 レナータの推測をニコロが頷いて肯定する。
 
「「…とんでもない男だね、こいつ。
 
 魂が半ば精霊に変化してる」」
 
 ナパイアスがレナータとニコロにしか聞こえない声で呟いた。
 
「どういうことだ、ナパイアス?」
 
 ニコロが訪ねると、ナパイアスは腕を組んで話し始めた。
 レナータがその会話を皆に通訳する。
 
「「精霊ってのは、もともと自然の精…力の結晶みたいなものが霊気をもつ意思ある存在になることなんだよ。
 
 だから、似たような状態にさえなれば精霊は生まれる。
 
 人間なんかも、英霊様とかで奉られると、人の信仰の念で精霊や神になるのさ。
 
 この男は、自身で魂をこの状態まで昇華させたみたいだね。
 もっと高い次元まで魂を成長させれば死んだ後には神様として信仰されるかもしれないし、生きたまま魂を神域まで高めたなら神仙(ディヴァイン)って呼ばれる高次元の存在になれるかも知れない。
 
 神仙は上位精霊や多神教の主神、準主神と同等の存在さ。
 
 東の国に、“仏”になろうって連中がいるらしいけど、そいつらも魂を昇華して精霊や神霊を超えた高次元の存在になろうとしているんじゃないか?

 この男を、精霊としての格付けで言うなら、中のちょっと前くらいだね。
 まあ、私ほどじゃないけど、たいしたもんだよ。
 
 たぶん、それだけのことをやって見せたから、このあたりの主である“水姫”様が気まぐれに力を貸したんだろう」」
 
 傍若無人なナパイアスが敬称をつけたので、ニコロが首をかしげた。
 
「「なんだいっ、私をそこいらのお馬鹿なネレイデスやウンディーネどもと一緒にするんじゃないよ。
 
 “水姫”アレトゥーザ様は、このあたりの水の精霊の最高峰。
 
 この地はあの方が精霊になられた聖地でもあるんだ。
 己の領域でこそ、その力を余すこと無く発揮できるのさね。
 
 上位精霊…その絶大な力から、時に神として崇拝される。
 
 ナイアドやウンディーネの上に居られる大精霊様さ。
 
 水の初源、清水の主。
 浄化と癒しを司り、生命を愛する慈悲深いお方だよ。
 ナイアドの大ボスみたいなものだね。
 
 昔、ある精霊術師の志を支持なさって、この地を清めて緑豊かな大地に変えたのも“水姫”様なんだよ。
 
 このあたりの生まれの精霊術師が水の精霊を好むのも、生まれたときから“水姫”様の霊気を含んだ水で育つ…つまり恩恵を受けているからさ」」
 
 意外なナパイアスの博学ぶりである。
 
「「この男は、いわば〝生まれ変わった〟んだろうね。
 
 一度肉体から魂が外れて、それが半精霊の高い次元になり、“水姫”様が再生させた器に戻って蘇生したというわけさ。
 まぁ、今は見てくれも力も普通の人間と大差は無いだろうが。
 細かいことを言うなら、魂の関してはもう人じゃなくて高等の妖精や妖魔に近いね。
 
 私も、こんなとんでもない男は見たことも聞いたこともないよ」」
 
 感心を通り越して半ばあきれているナパイアスの話に、皆押し黙る。
 
 だが周りの心も知らずに、シグルトは安らかな寝息を立てていた。
 
「お~い、大丈夫かっ!」
 
 洞窟の入り口に少数の人の気配がする。
 
「…って、もう終わってるじゃねぇかっ!」
 
 大剣を肩に担いだ冒険者である。
 
「グィードじゃねぇかっ!」
 
 『悠久の風亭』を中心に活躍する冒険者で、“風を纏う者”も“風を駆る者たち”も面識があった。
 
「くそ、またやり損ねたぜ。
 
 いや、盗賊ギルドからアレトゥーザ中の冒険者の宿に依頼が出回ってよ。
 何でも、でかい蛇を退治するっていう仕事らしいんだが、あっちにあるでかい2匹の死体だろ?
 
 銀貨二千枚の仕事だって言うから急いできたのに、くたびれ儲けだったぜ」
 
 他の数人の冒険者も落胆した感じだった。
 
「いや、仕事はまだあるぜ。
 
 お初にお目にかかりやす。
 あっしはバッコってぇケチな野郎で、盗賊ギルドで世話になっておりやすが…
 
 レベッカの姐御やユーグの兄貴の噂はうかがっておりやす」
 
 それはごつい顔をした小柄な盗賊風の男だった。
 
「“風を纏う者”と“風を駆る者たち”には、聖海教会から異端に手を貸したとかいう嫌疑がかかっておりやして、今都市の中では危険。
 
 あっしが明日早くに、抜け道を使って皆さんを外に案内いたしやすから、それまで『悠久の風亭』近くにあるギルドのアジトの1つで皆さんをお護り致しやす。
 ほとぼりがさめるまで、レナータさんも御一緒にリューンあたりにいらっしゃるとよろしいでしょう。
 
 なぁに、1月もすれば盗賊ギルドの情報操作で、姐御たちは蛇退治の英雄になっておりやすので、それまで御辛抱を…」
 
 そう言ってバッコと名乗った男は頭を下げると、グィードたちに向き直った。
 
「グィードさん方は、蛇の死体を解体するのをお願いしやす。
 
 蛇の首2つは、官憲どもに姐御たちの名誉の回復をしてもらうよう持ち込みますんで丁重に扱ってくだせぇ。
 聖海の保守派連中に死体が渡ると、あいつらの手柄にされちまいますから、手早く塵も残さずお願いしやすぜ。
 
 お1人銀貨百枚ぐらいは出しやす。
 お嫌なら、本当にくたびれ儲けになりやすね。
 
 あと、もしレナータさんや“風を纏う者”、“風を駆る者たち”の方々のことを情報を含めて売るような方がいらしたら、盗賊ギルドを敵に回しますんで御承知くだせぇ」
 
 アレトゥーザ冒険者たちが海蛇の巨体を見て、うんざりした顔になるが、仕方ないと死体の解体作業を始める。
 
「さぁて、じゃあ皆さんはあっしについて来てくだせぇ…」
 
 
 バッコにしたがって身を隠した“風を纏う者”と“風を駆る者たち”は、アジトに着くと勝利の宴などやる気力もなく、『悠久の風亭』のマスターとラウラの差し入れてくれた食事を食べると、泥のように朝まで眠った。
 
 次の日、シグルトが眼を覚ますと、彼の側の椅子に腰掛けたままレナータが眠っていた。
 そっとその髪のほつれを直すと、周囲に仲間たちが肩を寄せ合って眠っている姿が見えた。
 
(…ワイス、エリス。
 
 今の俺には護りたい仲間がある。
 そっちにはいつか行くだろうが、きっともっと先だろう。
 
 俺はこの命を後悔の無い様に使いたい。
 
 だから、それまでお別れだ)
 
 そっと眼を閉じて、友を想う。
 
「…うぅん…」
 
 レナータが身じろぎする。
 そして目覚めた彼女に、シグルトは穏やかな微笑を浮かべて言った。
 
「ただいま、レナータ。
 
 遅くなってすまなかった」
 
 
 起きた後のシグルトは皆の質問攻めにあい、1つずつ律儀に答えていった。
 
 自分が一度死んだこと。
 死後の世界らしきところで亡くした幼馴染に再会したこと。
 海中で死体に戻って行った鮫との格闘。
 そして“水姫”アレトゥーザとの邂逅。
 遂になしえた蘇生。
 
 シグルトは健全な若者としての肉体を取り戻していたが、戦いのスタイルを変え筋肉も違う形についてしまったため、昔の強さにはまだ及ばなかった。
 しかし、もはや身体の不調に悩まされることはないことも感じていた。
 
 シグルトの腕のうじゃじゃけた傷痕も、歪に繋がった骨や腱も今の肉体にあわせて綺麗に治っている。
 
「…うん、シグルトの雰囲気変わってる!」
 
 ラムーナがそう言うと、レナータとニコロが頷いた。
 
「ナパイアスの言ったとおり、魂が高い次元に昇華したからだと思います。
 
 今のシグルトさんはどこか、精霊のようです」
 
 シグルトからは清廉で涼しげな霊気が発せられている。
 レナータやニコロには、それが凛とした白銀色の力として見える。
 
「僕には雰囲気が変わったというより、前から感じてたものが強くなったように感じるよ」
 
 シグルトは、出会った当初から俗人とはちょっと違う不思議な雰囲気を持っていた。
 
「俺自身は何も特別な感じは無いんだが…」
 
 そうシグルトが言うと、ラムーナが微笑む。
 
「シグルト、いつもより笑い方が綺麗になったんだよ」
 
 ラムーナの言葉に、皆はっとなる。
 
 シグルトは微笑むときも、いつもどこか悲壮な感じがあった。
 それが《苦笑》のような形になっていたのだ。
 
 今のシグルトは憑き物が落ちたように、雰囲気が穏やかなのだ。
 
「〝泰然たる静けさを持ちて、功は極まる〟か…」
 
 シグルトが何気なく言った言葉に、皆が首をかしげる。
 
「昔、俺が武術を習った師がおっしゃっていた言葉だ。
 
 穏やかに自然体でいられるならば、目指すべき技巧を習得する、というような意味だな。
 
 俺は張り詰めすぎていたのかもしれん。
 今なら、師の言葉がなんとなく分かる…」
 
 そう言って、シグルトは穏やかに微笑んだ。
 
「…おう、その様子は生きてるな。
 
 また逢えて嬉しいぜ、シグルト」
 
 そこに現れたのはファビオだった。
 まだ包帯が痛々しいが、その眼はいつものように油断無く鋭い。
 
「ファビオ、あんた動いて大丈夫なの?」
 
 レベッカが訪ねると、ファビオは軽く首肯した。
 
「外回りはもう少し休むがな。
 
 重要な仕事だけは俺自身でやっとかないと気持ち悪いんだよ」
 
 そう言うとファビオはズシリとした銀貨の袋を2つと、小さな銀貨の袋を2つ、それらを“風を纏う者”と“風を駆る者たち”に等分して渡す。
 
「今回の報酬だ。
 
 でかい方はどっちも銀貨千枚。
 五百枚が盗賊ギルド、もう五百枚が正式なこの都市からの報酬ってことになる。
 もう三百枚は『悠久の扉亭』からの六百枚を三百枚ずつ折半って形だ。
 
 全部で銀貨千三百枚ずつ。
 
 あのでかい声のマスターが、何でも自分で払うって言ったが、あの宿にいきなり二千六百枚もの銀貨を出させるのは酷だし、あんたたちも《正式に都市から依頼されて報酬をもらった》ことになりゃ、後々面倒がないだろ?
 うちのギルドのボスがすげぇお偉いさんと会談して決めたことだ。
 ま、ギルドの方からは《善意の市民》からの報酬って、形の上ではなってるけどな。
 
 これならマスター1人で責任云々にゃ、ならねぇだろ?」
 
 盗賊ギルドの粋な計らいであった。
 
「それから、お前さん方は『悠久の扉亭』ではただで宿泊出来るってことになったみたいだぜ。
 あのマスターは外見も気風も太っ腹って奴だよな。
 
 1月もすりゃ、あんたたちやレナータの嬢ちゃんは大手を振ってこの都市を歩けるようにしておく。
 
 ただ、『蒼の洞窟』は新しい司教が動いて聖海のものになった。
 あの司教、かなりのやり手だ。
 この手の仕手戦で盗賊ギルドが後れを取ったのは久しいから、ボスが嘆いていたぜ。
 ま、近海の鮫…海賊どもに目がいってる隙にやられた感じだな。
 
 この借りは、そのうち返すけどな…」
 
 借りを返す、の部分でファビオの眼がギラリと光る。
 
「まぁ、そこなレナータ嬢ちゃんの身柄を聖海保守派は血眼になって探してるぜ。
 
 あんたらを捕まえられなきゃ、何人か坊さんが職を解かれて左遷になるらしい。
 
 …安心しろよ、一端聖北教会の縄張りまで逃げりゃ、大丈夫だ。
 あんたたちは坊さんたちの首がすげ変わったら、堂々と戻ってくりゃいい。
 
 外までは昨日のバッコが案内する。
 あと一刻(2時間)もしたら脱出だから、準備しておいてくれ。
 
 シグルト。
 あんたにはいつか借りを返すよ。
 
 レベッカ。
 約束の酒は今度な。
 今は傷にしみて付き合えねぇからよ。
 
 ユーグ。
 あの技をマスターしたからってサボるなよ。
 身体は正直だからすぐ鈍る。
 
 じゃ、俺は他の仕事があるから行くぜ。
 
 …またな」
 
 ファビオは一同を見回すと、軽く手を振り去って行った。
 
 
 その後“風を纏う者”と“風を駆る者たち”は、やってきたバッコについて、アレトゥーザの1つの噴水に通じる地下水道を通り、郊外の泉に出た。
 そこはアレトゥーザの立役者となった偉大な精霊術師が、“水姫”の力を借りて湧き出させた泉であり、今でも清浄な水が湧き出している。
 
 感じられるいくつかのナイアドの気配に、ニコロが少し感傷的な顔で立ち止まると、レナータが側に寄ってきた。
 
「…ニコロさん、水の精霊術についてもっと学びたいですか?」
 
 レナータの言葉に、少し考えたニコロは頷いた。
 
「私に精霊術を教えてくれた恩師、“水の詠い手”レティ-シャ先生なら、きっと貴方の精霊術に必要なことを教えてくださるでしょう。
 
 風の噂に、先生がここから遥か西北の山脈の向こうにある、ラグリアという国にいると聞いています。
 先生には、詩聖と呼ばれ、かつてともに冒険者だったという吟遊詩人にして歌い手の御友人がいらっしゃいますから、エイリィさんにも行く価値はあると思います。
 
 北方の精霊術には風と水の両方の力を宿す、雪や氷の精霊と関わるものもあるとか。
 
 ラダニール地方のエルトリア王国には雪の女王と契約を結んだ、“時を凍結せし”リャニエンという獣人の大精霊使い。
 北の大樹海アレウローディアには森の精霊術の奥義を知る翔精(フェアリー)の女王“新緑の主”オフェーリア。
 その西に広がる麗しき湖の孤島には“水姫”と並ぶ水の上位精霊“水の貴婦人”モルガンの契約者、“悠久の灑ぎ手”アリエス。
 
 これらの精霊術師たちは伝説とされる存在ですが、北方に行き、その足跡を追えば、あるいは貴方が求めるものに出会えるかもしれません。
 
 私がニコロさんに教えてあげることはもうすべて伝えました。
 恐れから私でもその力を使えないと思っていたナパイアスですら、貴方は従えています。
 
 きっと、貴方も私も新しい道を歩くときが来たのです」
 
 そこまで言うとレナータは、その碧い瞳で優しくニコロを見つめた。
 
「水は流れるうちに川となって別れ、違う道を歩んでいきます。
 私たちも、師弟という1つの流れから分かれるときが来たのです。
  
 水と風の精霊の担い手は、その精霊の気質から旅人が多いそうです。
 行くべき道を、お互い探すことになるでしょう。
 
 だから、もうすぐお別れです。
 
 でも、水はまた海で交わるのです。
 再会の時も生きていればきっとあるでしょう」
 
 その言葉は2人の別離の兆しであった。
 
 ニコロはレナータに何かを伝えようとして、しかし黙ってしまった。
 同じ系統の精霊術師は冒険者として一緒にいることはまずありえない。
 
 それに、レナータはニコロを一人前の精霊術師として認めてくれたのだ。
 側にいたいというのは甘えになる。
 
「…考えてみます」
 
 ようやく言えたのはそれだけだった。
 
 
「我々はここから別々に行くべきだと思います」
 
 レイモンのその提案に、シグルトが頷いた。
 
「この人数では目立ち過ぎるからな。
 
 バッコの案内も此処までだし、どちらかがレナータを連れてリューンを目指すのが妥当だろう」
 
 シグルトは何故か眼を閉じると、少し何かを考え、そしてレナータに向き直った。
 
「これはさっきレベッカたちとも話し合ったんだが…
 
 レナータ、冒険者になる気はないか?」
 
 シグルトの言葉に、レナータが眼を丸くする。
 
「本来、冒険者は6人で組むことが理想とされている。
 
 俺たちは今まで5人でやってきた。
 だが、やはり冒険中に困難を感じることもある。
 
 特に、うちはスピッキオに癒しを頼り切っているが、万全を期すなら癒し手は2人置くべきなんだ。
 それに、俺たちには毒を癒せる力が無い。
 今回の海蛇との戦いで感じたが、他の術も含めて君の精霊術は、俺たちにはありがたい能力だ。
 
 君さえよければだが、俺たちと来ないか?」
 
 突然の申し出にレナータは黙り込んだ。
 
「レナータちゃんなら、私たちは歓迎するわ。
 
 それに、うちのリーダーは不器用だから言わないけど、側にいるほうが護れるっていうのが本音なのよ。
 私たちなら協力して好いパーティになれると思う。
 
 それに、女が3人になると男と3人ずつで切りも好いし。
 
 うちのパーティはノリが家族だから、これでも人選にはうるさいのよ。
 人格、能力…いろんな意味で考えて、私たちが決めたことだから、あとは貴女次第。
 
 でも冒険者は、あの海蛇と戦ったときのような危険なことが沢山あるわ。
 女の私が感じてることだけど、女の冒険者って時と場合で扱いが酷かったりもする。
 食べ物や飲み物だって、場合によっては何日も草の根を齧り、露で喉を潤すようなこともありえる。
 女には環境だって不潔だし、辛いことも多いわ。
 とても過酷な仕事よ。
 
 だから無理は言えない。
 
 そのかわり、パーティに入ってくれたら、私が貴女の面倒を見るわ。
 女の冒険者としての知識、生き方、戦い方…
 私が全部教えてあげる。
 
 答えはリューンについてからで構わないわ。
 考えてもらえると嬉しい…」
 
 レナータには特に行くあても無い。
 この提案は彼女にとって何も無かったところに湧いた身の振り方の1つである。
 
 世間を生きていく以上、就職は重要な問題である。
 
 この時代、一人旅は何かと物騒なことが多い。
 何かのグループに属すことは、この時代の人間にとっては生きるために重要な処世術であった。
 
 それに“風を纏う者”にはレベッカという優れた女性冒険者の先輩がいる。
 歳の近い同性の先輩がいることはレナータにとってもメリットは大きい。
 
 もう遠くに見えるアレトゥーザを一度振り返り、レナータは考え込む。
 
 海風の戻った碧海の都は、冬の眩しい日差しを浴びて輝いているだけだった。
 
 今、道が分かれようとしていた。
 激しい戦いの後に、訪れた選択。
 
 天を見れば美しい蒼穹がある。
 
 レナータは碧い瞳に空を映し、未来へと思いを馳せた… 

 
 
 お待たせしました。
 レナータ編の後編です。
 
 シグルトファンの方は、前回かなりはらはらしたと思いますが、結果はこんな形になりました。
 
 一応、答えは《半精霊と化し生まれ変わった》になるのですが、これもお約束っぽいですね。
 
 死後の世界とか、“水姫”様登場とか、伝説の人物とか、スケールの大きな話も出しちゃいました。
 今回は気合が入っていた感じです。
 
 今回、シグルトが本来かなりホットな奴であることがはっきり分かったと思います。
 コイツ、生きる死ぬより、誠実であろうとする兄ちゃんです。
 
 神仙(ディヴァイン)についてですが、高い次元の魂を宿した高等存在で、古龍や神様級の存在という考えです。
 レベルが二桁に行った、高次元の超越者みたいなイメージです。
 シグルトは精霊化した魂が肉体という入れ物に宿っている、言わば受肉した精霊のような感じです。
 死んでそのまま普通に復活というのは芸がないかな、と思って、人外に行ってしまいました。
 でも、《人》とか《神》の境とは何なのでしょう?
 ファンタジーっぽい哲学をここで使ってみました。
 
 少なくとも、シグルトは別の存在になっても、心は人であろうとしています。
 シグルトは変質していく自分の魂に悩むことになるでしょう。
 
 今回登場したワイスとエリス兄妹ですが、彼らはまた番外編みたいな形でその生前を描きたいと思ってます。
 槍使いだったシグルトのストーリー、書きかけがあったりしますが。
 
 次回はリューンでレナータ編のエピローグです。
 最終回が近づいた“風を駆る者たち”の冒険も見逃せません。
 最終的にはこっちのブログに移りますが、それまではMartさんのブログにも御注目下さいね。
 今回はそっちを読んでないと分からないこともあったりしますし。
 
 では、また次回を…御期待いただければ幸いです。(ペコリ)
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この記事のコメント

楽しませてもらいました。
“風を駆る者たち”と“風を纏う者”、格好いいですよね。我が宿の冒険者達にも頑張ってもらわなければ。
言ったら何ですが、人外になって復活も芸が無いですケド。
シグルドとレナータの今後の関係も気になるかも。
次回、というか以降の展開も、期待しています。

質問ですが
死亡→復活に関して、カードワースのルール的にはどういった処理なんでしょうか?
・対象消去→キャスト配布
・リバース→戻す
・意識不明+中毒(40)+麻痺(40)→完全回復
の三つが思い浮かびますが。

神仙に関して、素質における「神仙型」(特に13Lv以降)を指すのでしょうか。
2006-09-18 Mon 17:51 | URL | 愛・舞・魅 #mQop/nM.[ 編集]
 愛・舞・魅さんいらっしゃいませ。
 
 シグルトの復活については、普通に蘇生すると、某ゲームのように死が軽々しくなってしまうので、変質して復活という形にしました。
 まぁ、あまりにシグルトが嫌われ者だったらPC作り直してもよかったのですが、彼はそれなりに好かれている登場人物だったので。
 
 CWの死は、PCの行動不能時を、生死をさまようぐらいまで解釈(シグルトの場合、大別すればここ)しても良いと思います。
 復活がまったく出来ない死はPC消去でしょう。
 必ずしも数値的に解釈しなくても、文章であれば広い表現ができます。
 実際、『魂の色』みたいな臨死体験っぽいシナリオもありますし。
 
 私の私的脳内設定ですが、レベルの桁が1つの境界線だと思います。
 だいたい8レベルぐらいが国の一級の英雄で、9レベルは伝説級、10レベルが神話級だと思います。
 
 私にとって、イメージでは、最盛期のヘラクレスが英雄型の11~12レベルぐらい。
 アキレウスが英雄型の10~11レベル。
 アーサー王なら7~9レベルでよい(アーサー王は実力ではなく、持ち物がすごかった気がします)と思います。ランスロットは無双型の9~10レベルといった感じでしょうか。
 ギルガメッシュは神仙型っぽいですが、レベルは10ぐらい。
 
 神話の下級神は能力やスキルや持ち物や称号がすごいのであって、レベル的には5~8もあればよいかと。
 
 主神クラスで12レベル前後もあれば、私は十分だと思ってます。
 人それぞれですけどね。
 あまりレベルに格差をつけると、攻撃そのものが当たりません。かといって回避力下げて防御力を上げるのはなんだかイメージに合わず、個人的には敬遠してしまいます。
 
 付帯能力くっつければレベル以上の事は出来ますし、あんまり10レベル級のスキルをぽんぽん使うのも、使われるのも嫌ですし。
 
 神仙と呼ばれるなら、10レベルに達していれば(レベル二桁)よいんじゃないでしょうか。
 マイナーな神話の神様なら、主神でもこのクラスでしょうし。
 
 神仙型は能力の優れた神仙になりやすいタイプということでしょうね。
 実際に国家の英雄には5レベルぐらいでもなれる場合があると思いますし。
 
 正直私は、カードワースを15レベルで遊んでもあまり面白みが無いです。
 対応したシナリオが数ありませんし。
 シナリオでは対応レベルは10までしか設定できませんから、それ以上をPCに求めるのは、私は変な感じがします。
 
 あくまでもこれらは私見ですけどね。
2006-09-18 Mon 21:59 | URL | Y2つ #TIXpuh1.[ 編集]
こんばんは。

不快には感じていませんし、思ってもいません。
ただY二つさんの風を纏う者と設定に対する愛を感じるだけです。

「お約束」という言葉についても蘇生に関して
自分が使い出したわけですし、良い意味にもなるときも
ありますが若干、悪い意味にもなるときがあると承知で、
勝手に先を予想したことをそこまで言って良いのかと
思いつつも使ったわけでして、二つさんは気になさることはないです。

思ったことは言いたくなってしまう性なので
いままで通り語弊はかまわず、
しかし節度は守るというスタンスでいこうと思います。

 今回の内容について
今回も震える場面はいくつかありましたが一つ挙げると
一般人レベルのマスターが【魔法の灯火】を使ったのが
格好良かったです。後でMartさんの方を読んだのですが
そこでも熱いマスターが・・・
シリアスな話なので言わない方がいいかも知れませんが
リューンの宿のあの親父だと頭を光らせてくれるのかと
想像するとギャグシナリオになって不釣り合いなのが
馬鹿馬鹿しくもあり、青い光も集め出すともう・・・
このへんで止めときます。

 シグルトの蘇生について
これは前回コメントしたので今回も扱う義務を無駄に
感じてしまったところですが。
ダナは外れました仮にそうだとすればあれほど
きれいにはならなかたでしょうね、そう思えば
今回の美しい結果が最良だったのでしょう、
肉体も完全に治りましたし。
話の途中では【アロンダイト】を真の意味で魔剣とし
アンデッド(もうスピッキオの秘蹟は受けられない)
になってしまうのかとも考えてしまいました。
結果については今までにない存在なので何とも言えず複雑です。

 レベル
リプレイを読んでいて風を纏う者のレベルに感じることは実際よりも、
3レベルほど高く感じることです。
シグルトに言えばディヴァインの話も出たので
英雄型から神仙型に変わったのかとも、本当は変わっていないのでしょうが。
 また既存のシナリオの限界もあるのですが
自分の宿の冒険者達(自分の冒険者観)は基本だらだらとしていて何でも屋、ツケを溜めている、自由を好む、
理想を果たしたいが、能力以上のことはしない、打算的である
たまには大冒険したり、人道を行く,理想を貫く、
そして拠点は宿。(魔王を倒したり,世界を救うよりも探索行や遭遇(魔法や遺跡、歴史、魔物など)を好む)
パッとあげるとこのくらいです。
2、3レベル上のパーティでもかないません。
そういった中で風を纏う者は自分の冒険者の理想
の一つでもあるわけです。

やっぱり長く、語弊も気にせずの形になりました。
以降はコメントするとしたら軽く行きますんで
これからもよろしくお願いします。

もう一つ自分は偶然ある意味‘Y二つ'なんです。
イニシャルのことなんですけど
もし気味悪く感じられたら申し訳ないです。
2006-09-21 Thu 00:18 | URL | ブリック #eoRN1yn.[ 編集]
>CWの死
最終的には、臨床学的な「死」と概念としての「死」を如何すり合わせるかという問題になってきますね。
私個人は、魔法や超文明のような、「凄い回復手段」がある世界観の場合、肉体が完全に再生されても蘇生しない、或は肉体の再生が不可能となった時点で「死んだ」と思っています。
CWの死に関しては大体同じだと思います。
『魂の色』…ギルドからダウンロードできなかった記憶があります。
『変異の泉』のように、対象消去くらっても「死んだ」わけではない場合も多々ありますね。

>必ずしも数値的に~
数値的な解釈ですが、「リプレイ」と銘打つ以上、避けて通れないところだと思うんです。なので、書かせていただきました。
シナリオ『きっと彼女は紺碧の海にたゆたっている』では、ミンチ状態から復活するとかしていますし、文章による表現は、カードワースの多くを占めています。
どこまで「ゲーム」でどこから「読み物」なのか…「リプレイ」というのは矢張り、「ゲーム」としての性質を認めてのものではないでしょうか。

レベル、神話
私の場合、ソードワールドの設定が頭にありますし、ヘルプのレベル解釈がそれとあまり離れていない事もあって、レベルに関する感覚は違いがありますね。
数千年を経る古竜や神々と(力量的に)肩を並べるのがLv15、だと思っています。
神様や英雄に関しては、持ち物が凄いとか言ってしまえばヘラクレスやアキレウスもそうなってしまいますよ、としか。アーサー王は周りの人物に支えられた英雄であったのは確かですが。

>あんまり10レベル級の~
…風屋は、言行不一致になるのでは…?

>正直私は、カードワースを15レベルで~
私が、時折神仙型を使うのは、<神殺しの剣>と似たような理由ですね。
まあ、そもそも特殊型自体がおまけ要素ですし、私は、カードワースで一番楽しいレベル帯は、3~7だと思っています。
高レベルのPCに相応しい高レベルのプレイヤーを想定した高レベルなシナリオがほぼ皆無である以上、これ以上のレベルはパワーゲーム化するしかありませんから。

『クリスタルタワー』をプレイすればLv1で国家の英雄に・・・。
2006-09-21 Thu 09:09 | URL | 愛・舞・魅 #mQop/nM.[ 編集]
>ブリックさん
 いらっしゃいませ~
 
 あのマスターの行動はMartさんが書いてくださったものです。
 熱くて好きです、あのマスター。
 
 シグルトは元6レベルだった過去と、高レベルの英雄の下で武術を鍛錬していたので、考え方が高レベルっぽいのです。
 他のメンバーは型にあわせて1~2レベル上っぽい雰囲気を持っています。
 まあ、特殊型があんまり貧相な行動をするのも…
 ラムーナはそういう意味では癒し系というか天然というか…でも、ラムーナはシグルトより戦闘で活躍することも多いです。
 
 《Y2つ》はイニシャルです。
 前に2Yとか使ってたら、「数学が好きなんですか?」とか言われて、ちょっと捻りました。
 ワイワイ楽しく、という意味で使ってます。
 試しに検索をかけてみたら同じHNが無いので重宝しています。
 
>愛・舞・魅さん
 いらっしゃいませ。
 風屋の件の二品はすでに修正してあります。
 シナリオの配布を停止していますが、品物の追加作業のためです。
 お心遣い感謝です。
 
 リプレイであるということは結構意識してやっているつもりです。
 今回も海蛇とのバトルはちゃんと収録しました。
 時々スキル以外の行動を省略したりもしますが、(バトルの完全実録にするとだらだらと長くなってしまうので)重要なバトルは気をつけてやっています。
 
 あと、今回はクロス企画のクライマックスだったので、かなり大げさな表現をしました。
 数値的な表現(ゲーム)と文章的な表現(小説)は同居が難しくなる場合もありますが、今回の表現は「~のイベントが起こるまでこんな感じだった」というTRPGでもよく使われる表現を使ったつもりでいます。
 私はPCたちの設定とシナリオでの矛盾がある場合は基本的にPCを優先しています。
 まぁ、私の拙い文章では表現し切れておらず、話がでかくなってるだけかもしれませんが…
 
 レベルについては低く低く見積もっています。
 ASKのヘルプではたしか11レベル以上という形までしか設定されてなかったような…
 あまり高レベルを設定して使うと、カナン王のようなNPC(回避力を戦闘にあわせて下げている)が生まれてしまうので、私は低めで考えてしまいます。
 
 風屋のスキルは使用回数を考えて出してあります。
 アレトゥーザの時と同じです。
 レベル12のウルトラスキルは、10レベル以下で使うからこそ楽しいはずです。
 10レベルだと使用回数2回だけ。
 実用にぎりぎり足り、出たら必殺、というイメージです。本当は麻痺の方がカードワースではおっかないのですが。
 イメージ的に「持っていてもやたらと使わない」のが10レベル以上のスキルだと思います。
 あと、「あんまり10レベル級のスキルをぽんぽん使うのも、使われるのも嫌」、というのは使用回数の問題です。
 15レベルでレベル12のスキルを装備するキャラクターは普通にこのスキルを使えるわけですから、怖すぎるというか。
 私が高レベルを嫌うのは、このあたり(レベル7やレベル9のスキルがまるで1レベル感覚)のシステムの上からでもあるのですが。
 
 高レベルスキルがあってもそれは自己満足用(要は持ってるよってだけか、めったに使わない)のおまけ。
 風屋の10レベルオーバーは値段を吊り上げているのからも分かるとおり、おまけなのです。
 カードワースの神仙型や英雄型の扱いと同じ感じで出してます。
 風屋の主人が持て余している封印スキル。
 誠実な性格の一見さんじゃない高レベルの冒険者がいるから、売ってくれるわけです。
 
 バランス、レベルに関しては私のこだわりです。
 風屋がプライベートなのはバランスや扱いが大衆的とは言えないものが多いからです。
 一応1つ売りを心がけていますので、一子相伝になるはずですが。
 
 クリスタルタワーは死にすぎると噂でやっていません。戦闘が無いシナリオはレベル1でも英雄でしょうが…周囲が信じてくれないかもしれませんね。
 
 
 またいらしてくださいね。
2006-09-21 Thu 13:37 | URL | Y2つ #TIXpuh1.[ 編集]
これだけのお仕事を短期間で・・・・。
お疲れ様です。

>リプレイ
やはりここでリタイアはだめですね、シグルト。
成すことをせずに、ただ死ぬだけの主人公はだめです。
復活・・・・というより、生まれ変わりに近い感じで解釈しました。
半神半人・・・金ピカメイルが必要ですね。

後半の共同戦線が特に楽しめました。
冒険者同士のこういう関係、CWだとなぜか少ないです。

シグルトはレナータとくっつくのでしょうか。
雰囲気はそんな感じです。
もし二股したら、だれかに「暗殺」されそうですがw

>普通に蘇生すると、某ゲーム・・・
アレは蘇生してない(多分)から、某鍵の初期作品ですかね?
私はあれは肌に合いませんでした。
それ以降の作品は好きですけど。
(意味不明でしたらすいません)

単純な蘇生系は、少し趣向にあわないので・・・。
私もシナリオでは蘇生モノは出さないつもり、
するのであれば、とてつもなく重い代償が好みです。

>特殊型&レベル解釈
特殊型がひとりもいない・・・でも欲しいです・・。
世代交代はまったくしないで、新規宿で始めるのが問題ですね。

私もレベル解釈は昔リドミに書きました。
人間のレベルでいえば、Y2つさんのに+1くらいでしょうか。
9で国一級、10で伝説一歩手前。
10以上の存在は、あえて怪物連中にまかせています。
とりあえず、Askさんの解釈寄りかも。
15でエルダー、20で古竜・・・・とか。
(ヘルプで古竜などのレベルについて書かれていたかと)
CWの戦闘的にボスとは6対1が多いので、
【冒険者Lv9×6】VS【Lv20のつええ怪物】
とかで釣り合うと考えています。
『老兵の歌』のファフニールなどは20近いイメージです。

>風屋
追加された無属性の必殺技を愛用してますよ。
「どのようなモノも殺せる」というのはシビレます(謎)
習得者がLv10なので、めったに使えない(Lv1で居合斬りより)
のも必殺技っぽいですね。

あと、いつものパーティに槍エルフ・斧ドワーフがいるので
買い物に困る彼らが一番恩恵を受けています。
全体攻撃が多いのもいいですね。

野伏の所持スキルがシグルトと酷似しました。
「影走り」「風疾る~」所持です。

リクエスト~は、お仕事が大変そうなので控えますが我侭を言えば・・・、
精霊術の、特に召還ではなく力を借りるもの(又は瞬間召還?)が好きです。
風屋さんでいえば水の回復術や、風の弓矢のやつですね。
他では『世捨ての集落』の火精の回復術など。
【精霊術師の地位向上】にはうってつけの術だと思います。


リプレイ&お店応援しています~。
2006-09-24 Sun 21:08 | URL | SIG #leF2ecbc[ 編集]
夜よりも朝にゲームしてる事が多かったり…。

特殊型に対する評価も少し違いますね。
判断能力等は経験>素養だと思っています。ただ、「PCはPCでない冒険者より「特別」だ。」と思っていますので、このくらいならより上のレベルというほどでもないかな、と思います。

>風屋の件の二品は~
余計なお世話だったようで、どうもすみません。

>「~のイベントが起こるまでこんな感じだった」というTRPGでもよく使われる表現
ゲームマスターも何度かした事があるのですが、「嫌われる表現」、と言うべきかもしれません。
実際、よくやってしまうのですが、プレイヤーとしては面白くない。ただ、CWはTRPGでは無いので同列に扱うわけにもいきませんが。

>レベルについては低く低く見積もっています。
「同一のルール上で表現すれば、例えレベルを100万にしても必ず倒される。」(少し違ってるかも…)
TRPGの話なのですけれど。
Lv99とか、極端に高いのは閉口しますが、そうまで低く見なくても、とも思います。最も勝ち目の無い者は、常に「データ無し」ですから。
あと、カナン王の回避率は、飛行の補正とあわせて、「魔力に強く依存する存在」だという設定とゲームバランスのすり合わせだと思っていました。

>風屋のスキル
私は、「技能に相応しい力量を持つものが所有すべき」との考えからどうしても凡庸、英雄、神仙型が所持してしまいます。Lv10以下のキャラクターが11Lv以上の技能を持つイメージがどうしても湧かないのです。
使用回数まで合わせてバランスをとるなら、「精神-不能」や一時クーポン等を利用して強力に制限をかけるべきなのではないでしょうか。
(使用回数二回あれば十分手札に来ますし。)

>誠実な性格の一見さんじゃない高レベルの冒険者がいるから
ゴシップ配布のタイミングの問題で、一見さんに売ってしまっていますよ。

>一子相伝
ふと気づけば、子に何も残さず逝った親がほとんど…。

>クリスタルタワーは死にすぎる
ゲームブック感覚ですから、まあ、他のシナリオに比べれば恐ろしく死亡率が高いですね。ただ、他のシナリオは危険性が無さ過ぎるとは思います。

ひとのコメントにレスしていいのかどうか…

>冒険者同士のこういう関係、CWだとなぜか少ないです。
シナリオでやると、「俺達、要らないんじゃ?」状態になる事が多いですし、そのせいかアレトゥーザの最終戦や、『ガイゼルベルグの大魔鏡』のようにライバル~敵対関係になる事が多いためではないでしょうか。
一緒に行動する場合でも、大抵は人数かレベルに差がありますし。

>世代交代はまったくしないで、新規宿で始めるのが問題ですね。
私は逆に3~5宿、5~10チーム(+元NPC)が居るのが問題ですね。神仙型がついに3人に…。

>「どのようなモノも殺せる」
死神をアレしてしまいました…ごめんなさい。

>召還ではなく力を借りるもの
精霊使いはどうしても、召喚スロットの制限を強く受けてしまいますし、私もこれは嬉しかったです。


リプレイ、シナリオとも、一つの形に出来る事を羨ましくも思いながら、応援させていただきます。
2006-09-25 Mon 09:03 | URL | 愛・舞・魅 #mQop/nM.[ 編集]
 お2人ともいらっしゃいませ。
 
 先ほど『風屋』の追加スキルの設定が終わりました。
 あとはテストを繰り返す感じです。
 
 スキルは『憑精術』という、熊の精霊を宿して狂戦士化したり、ナパイアスと合体して激流になったりする怪しげなスキルが増えました。
 精霊術の強化は一杯一杯ですが、『鋼鐵』関係で回復しつつ鉄壁防御をする特殊なスキルを追加いたしました。
 精霊術師の地位向上に繋がれば、と思います。
 
>SIGさん
 シグルトもレナータも仲は好いのですが、2人とも恋愛感情は持っていません。
 強いて言うなら、レナータの方はシグルトを特別な男性として意識していますが、ニコロに対しても同じで、「信頼できる男の人」程度です。
 シグルトは故郷の元恋人との辛い別れがあって、恋愛は避けているふしがあります。
 今後の展開次第ですけど。
 
>普通に蘇生すると、某ゲーム…
 ざ○りくなんて呪文があるゲームです。
 私ってこれの1の時代の人間なので…
 
>特殊型
 自作で特殊型を生む親を連れ込むシナリオを作ってたり…(外道)
 初代パーティでほしい時は使ってます。
 神仙型と凡庸型は作れないですけど。
 
>レベル
 PC中心に考えると、あんまり敵のレベルを強くしたくない私的な考えからです。(苦笑)
 まぁ、8レベルぐらいまではそれほどずれてないみたいなので、たぶんこのままです。
 
>無属性
 増えました。
 10レベルで弓と格闘系に一個ずつ。
 12レベルのあれらほど凶悪ではないのですが。
 でも、レベルが高すぎてほとんど使う機会が無いかもしれません。
 コロシアムものなりで使って下さい。
 スキルもソロプレイにも使えるスキルを、と考えて作ってます。
 
 
>愛・舞・魅さん
 リプレイもシナリオも好き勝手やってます…
 粗のあるところも多いですが、お見逃し下さい。
 
>「~のイベントが起こるまでこんな感じだった」というTRPGでもよく使われる表現
 
 プレイヤーとGMが相談して決めた場合、これもOKかと。
 カードワースの場合、プレイヤーがどちらも兼任する部分がありますので、やっぱり好き勝手やってしまいます。
 
>高レベルスキル
 私はスキルレベルの-2レベルからとりあえずまともな実用に足りる、と考えています。
 何とか使える、は-3レベル。
 同レベルで普通に使え、+2レベルで手足のように使う感じです。
 デフォルトの6つの型で使える技能で、とあのレベルにしておきました。
 まぁ、12レベルもそうですが、大雑把に「核兵器を持ってて使うか使わないか」というのがこのレベルのスキルかと。
 持っていて使えるのに使うのを躊躇ってしまう、その雰囲気を楽しむのもいいかと。
 
「あの技を使えば確実に勝てるが…危険すぎる!」
 
 見たいな感じで私は使ってますね、10レベル以上のスキル。
 
 あまり制限をかけすぎても、使うときにPCが死んじゃったり、ソロプレイの障害になるだけのスキルは使いづらいでしょうから、プレイヤーさんの倫理で使って~とこんな形にしてあります。
 
>誠実な性格の一見さんじゃない高レベルの冒険者がいるから
 
 う~ん、ゴシップは「紹介」の意味もあるのですが、称号の方がよいでしょうか?
 
 
>冒険者同士のこういう関係、CWだとなぜか少ない…
 商売敵というやつですね。
 
 ある意味、利害の一致で協力するのも冒険者らしいかもしれません。
 情を通わしたパーティ同士の友情、好きなんですけどね。
 
>「どのようなモノも殺せる」
 よく考えてみれば、シアのおとうをぶった切れますね。
 神殺しですからねぇ。
 
 お2人とも、ベルセルクネタの制御不能スキルとかはお好きですか?
 
 もう少ししたらブログの更新をします。
 本業が忙しかったので…
 
 また、お越し下さい。
 我侭な奴ですが、お付き合い願えれば幸いです。
2006-09-26 Tue 00:24 | URL | Y2つ #TIXpuh1.[ 編集]
>自作で特殊型を生む親を連れ込むシナリオを作ってたり…(外道)
とりあえず、私も遺伝子クーポンを見る程度はしていまして…結果、全特殊型を自由に作る事は出来ます。

>プレイヤーとGMが相談して~
先のイベントをプレイヤーにネタバレする危険性が高いので、矢張りお勧めはできませんけれど。カードワースなら、気にする事も無いでしょうね。

>見たいな感じで私は使ってますね
核兵器発言は、「(現実での)核兵器の使用の容認か!?」と言われないよう御気をつけて…。
私は、一部のイベント色の強い戦闘ではあえて使わない、と自主規制をかけていますね。そういう意味では意図から大きく外れていないようで、ほっとします。

>あまり制限をかけすぎても
制限が大きく、複雑なほど、使うのが楽しかったりもします。精神力喪失なら魔晶石も並行して売っていますから何とかなるのではないでしょうか。

>称号の方がよいでしょうか?
そうでなく、来た時にゴシップを渡しているので、初めての宿、初めてのパーティーでもLv7あれば買えて居ます。帰るときにゴシップを渡せばどうでしょうか。

>情を通わしたパーティ同士の友情
『レザニアの悪魔』シリーズのビディールたち、『サニィ・ウォーカーズ』シリーズのサニィ・ウォーカーズ、『協奏曲<FATE>』シリーズのレイアたち、ポートリオン関連シナリオの冒険者たち。
他にもあるかもしれませんが、この辺りでしょうか。

>ベルセルクネタの制御不能スキルとかはお好きですか?
内容次第、ですが
「Y2つさんが作ってくれるなら諸手を上げて大歓迎」です♪

…こうやって頻繁に書き込んで、次半年とか開いてしまうのが私の悪い癖なんですよね。
2006-09-26 Tue 09:42 | URL | 愛・舞・魅 #mQop/nM.[ 編集]

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